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会場 【主催】 i Nurse 研究会 【協賛】フクダコーリン株式会社/オムロンヘルスケア株式会社 【後援】アークレイマーケティング株式会社/株式会社三和化学研究所 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社/seca株式会社/ニプロ株式会社 ロシュDCジャパン株式会社 秋葉原コンベンションホール 2F コンベンションホール 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-18-13 研究会 3 2017 1 21 日㈯ 11:00~15:30 看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして 看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして 看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして 記録集

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Page 1: 1 211.送信回数 平成27年の月平均の送信回数は3000回前後であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均 送信回数は約600回であった。月平均延べ在院患者数は1000~1100人で、検温回数などから考え

会場

【主催】i Nurse 研究会 【協賛】フクダコーリン株式会社/オムロンヘルスケア株式会社【後援】アークレイマーケティング株式会社/株式会社三和化学研究所

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社/seca株式会社/ニプロ株式会社ロシュDCジャパン株式会社

秋葉原コンベンションホール2F コンベンションホール〒101-0021 東京都千代田区外神田1-18-13

研究会

第3回

2017年

1月21日㈯11:00~15:30

看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして 看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして 看護師が専門性を発揮できる 安全な医療環境の実現をめざして

記録集

Page 2: 1 211.送信回数 平成27年の月平均の送信回数は3000回前後であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均 送信回数は約600回であった。月平均延べ在院患者数は1000~1100人で、検温回数などから考え

『i Nurse 研究会』世話人

黒田 知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部)

香西ひろみ(社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション)

瀬戸 僚馬(東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科)

松村 由美(京都大学医学部附属病院 医療安全管理室)

(順不同、敬称略)

『i Nurse 研究会』会則

総  則:

 本会は「iNurse研究会」と称する。

目  的:

 本会は、複雑化、多忙化する看護環境を単純化、効率化する方法の議論を通じ、看護師が専

門性を発揮できる安全な医療環境を実現することを目的とする。

会  員:

 本会の会員は、看護師等の医療従事者で、本会の目的に賛成するものとする。

(抜粋)

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11:00 ~ 11:10 開会の辞黒田 知宏

京都大学医学部附属病院 医療情報企画部

11:10 ~ 12:25 使用事例報告「バイタル記録システム」【座長】香西ひろみ

社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション3

報告1 �スポットチェックモニタ導入における業務の効率化と質の高い�看護の提供

報告2 �スポットチェックモニタと身長体重の導入による病棟業務の�変化について

報告3 �スポットチェックモニタ導入による効果と課題

久世 美樹岐阜県総合医療センター 看護部

中井 善能公立南丹病院 企画情報室

前田美恵子公立南丹病院 看護部

小澤 元子堺市立総合医療センター 看護局

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12:25 ~ 12:35 休 憩

12:35 ~ 13:20 特別講演(ランチョンセミナー)【座長】黒田 知宏

京都大学医学部附属病院 医療情報企画部16

航空機における自動化と安全への挑戦 ~進化を続ける航空業界の試み 狩川 大輔東北大学大学院 工学研究科

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13:20 ~ 14:05 教育講演【座長】松村 由美

京都大学医学部附属病院 医療安全管理室18

多職種協働とIoT時代における看護職の役割 ~看護がサバイブするには 荒木 暁子千葉県千葉リハビリテーションセンター 看護局

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14:05 ~ 14:20 休 憩

14:20 ~ 15:20 フィーチャリングセッション【座長】瀬戸 僚馬

東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科21

オープニングリマークス

パネルディスカッション~新しい安全看護支援システムを通して考える

瀬戸 僚馬東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科

黒田 知宏京都大学医学部附属病院 医療情報企画部

松村 由美京都大学医学部附属病院 医療安全管理室

香西ひろみ社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション

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15:20 ~ 15:30 閉会の辞黒田 知宏

京都大学医学部附属病院 医療情報企画部

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プログラム

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《使用事例報告》「バイタル記録システム」

【座長】

香西ひろみ社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション

報告 1久世 美樹

岐阜県総合医療センター 看護部

報告 2中井 善能

公立南丹病院 企画情報室

前田美恵子公立南丹病院 看護部

報告 3小澤 元子

堺市立総合医療センター 看護局

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使用事例報告

バイタル記録システムスポットチェックモニタ導入における業務の効率化と質の高い看護の提供

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報告1

施設概要

 岐阜県総合医療センターは岐阜二次医療圏に属し、急性期医療を担う基幹病院である。病床数604、診療科41で地域医療支援病院、救命救急センター等の機能を有している。平成27年度の手術件数は7206件、救急車受け入れ台数6104人である。「救命救急医療」「心臓血管疾患医療」「周産期医療」「がん医療」「女性医療」「こども医療」を重点医療とし、高度で先進的な医療の提供に努めている。看護師は725名で7:1の看護師配置を行っている。看護の質の向上を看護部の使命とし、専門・認定看護師を中心に積極的に取り組んでいる。

スポットチェックモニタ導入の背景

 入院患者の重症化や高齢化、ベッド稼働の上昇などにより看護業務はますます複雑かつ煩雑化する中、H26年度の業務量調査結果では時間外業務の41%を看護記録が占めていた。ベッドサイドではバイタルサインなどの電子カルテ入力に集中し、患者とのコミュニケーションがおろそかになっている状況であった。そこで、平成27年度より効率的な看護記録の入力とタイムリーな情報共有を目的とし各病棟に5台のスポットチェックモニタを配置した。また、平成28年度からは外来化学療法室のベッドサイドに20台を導入した。

スポットチェックモニタ導入の実際

1.送信回数 平成27年の月平均の送信回数は3000回前後であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均送信回数は約600回であった。月平均延べ在院患者数は1000 ~ 1100人で、検温回数などから考えるとほとんどの場面でスポットチェックモニタの活用がされていた。今年度から導入した化学療法室では、20床のベッドサイドにスポットチェックモニタが設置されたが、現在は15ベッドを稼動し治療を行っている。月平均の患者数は370人程度で、スポットチェックモニタの送信回数は月平均1000回であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均送信回数は66回であった。化学療養中の患者のバイタルサインの確認は安全に治療を終了する上で重要なため測定回数も多いが、転記や入力のための時間が短縮できた。2.スポットチェックモニタシステム スポットチェックモニタ導入とともにシステムを整えた。スポットチェックモニタシステムとは、新看護方式(パートナーシップナーシング・システム)の中で、スポットチェックモニタと電子カルテを活用した記録システムを言う。看護師2人が検温業務を行う際には、記録担当と患者担当に役割を決める。看護の提供は2名で責任を持つため、記録には2名の看護師名を記載する。バイタルサイン測定はスポットチェックモニタを用いて行い、測定したデータを二人の看護師と患者と一緒に確認し電子カルテへ送信する。正確な情報を電子カルテと患者から把握し、二人の看護師で分析し、患者の意向を踏まえて実践ができ、タイムリーな記録ができることが大きなメリットである。

久世 美樹岐阜県総合医療センター 看護部

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使用事例報告

バイタル記録システム

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看護業務量調査(スポットチェックモニタ導入前後の比較)

 平成26年度と平成27年度の看護業務量調査の看護記録時間を比較した。平成26年度は一日一人当たりの看護師の看護記録業務にかかる時間は94分であった。平成27年度は104分に増加した。しかし、看護記録業務が多くなる時間帯を見てみると、15時から徐々に増え始め17時にピーク迎えて、その後19時が次のピークになっていた。平成27年度も14時から15時にかけて急激に増加し、16時から17時がピークとなり、その後一挙に減少していた。平成26年度と平成27年度の違いは、スポットチェックモニタの導入をきっかけに、バイタルサイン測定と同時にタイムリーに看護記録をするようになった。したがって、時間外である18時以降の看護記録にかかる時間が減少した。また、A病棟で実施した検温業務の実測ワンディ調査では、検温時間が導入前113秒、導入後85秒と導入後が28秒短縮した。業務量調査で変化した業務は、看護記録、報告連絡情報収集、教育時間であった。一日の業務の中で看護師が看護記録に占めた割合は、導入前12.6%、導入後6.7%で導入後5.9%減少し約1/2になった。報告連絡情報収集の割合は、導入前15%、導入後17.1%と2.1%増加した。教育は導入前2.4%、導入後6.6%で4.2%増加した。スポットチェックモニタシステム導入後の看護記録看護師の意識調査は、導入したことで効果があったと回答した項目は、バイタル測定業務、入力業務の削減が約86%で最も多かった。看護記録については、90%以上変化したと回答した。看護業務内容と患者とのかかわりについては、70%以上が変化したと回答した。看護師間の連携、検温業務時の気持ちについては50%近くが変化したと回答した。

考察

 スポットチェックモニタシステムを導入することで、検温業務の時間や看護記録時間の短縮ができ、患者への関わりが増えていた。PNSの看護体制のもと、スポットチェックモニタと電子カルテをセットで使うことが効率化に繋がったと考える。さらに、スポットチェックモニタ導入により、看護師に気持ちのゆとりが生まれたことで、患者との関わり、看護師間の連携に対する意識が変化したと思われる。また、業務量調査の結果からは、教育時間の増加やまとめて指導をしていたのがそのつどタイムリーに指導をしている状況が推察できた。二人の看護師で、正確な情報を電子カルテと患者から把握・分析し、患者の意向を踏まえた看護実践ができ、現場での看護師間の教育が行えるようになったと思われる。スポットチェックモニタの導入は時間の短縮だけではなく、働き方そのものを変化させたと考える。

まとめと今後の課題

 スポットチェックモニタを導入し、PNSと電子カルテを活用したスポットチェックモニタシステムを運用することで検温業務の短縮、効率的な看護記録の記入ができ、短縮できた時間を患者のために使い看護の質の向上に取り組む風土ができた。今後は、看護師2人で行う検温業務のなかに患者が参加できるような話しやすい環境つくりをさらに工夫していく必要がある。また、便利がゆえに異常データを見過ごしてしまわないようなスタッフ教育やアセスメント力の強化が必要。また、院内感染対策への活用などデータの2次利用による看護の質向上に努めて行く必要がある。

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使用事例報告

バイタル記録システム

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使用事例報告

バイタル記録システム

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使用事例報告

バイタル記録システムスポットチェックモニタと身長体重の導入による病棟業務の変化について

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報告2

 当院は京都府中部にある急性期医療を担う病院である。400床規模の病院にあって、看護師の数は充足しているとは言い難い。多様化する看護業務の中、事務的作業もまた負荷をかける要因になっている。看護部が行っている業務負担軽減対策も大きな成果を出せないでいた。そんな中、3度目の電子カルテ更新プロジェクトが動き出すこととなった。この中でスポットチェックモニタを導入。併せて、全国的にも導入事例が少ない「身長体重測定連携」についても病棟導入を行った。

今回は、当院におけるスポットチェックモニタの1.導入までの経緯からシステム構築、使用の実際について2.システム導入効果と今後の課題・展望についての2点について報告する。

導入の経緯

 看護師不足は当院も例外なく悩みの種となっている。電子カルテ委員会としても看護師の業務負担軽減を行うことは、重要な案件と捉えていた。そんな時、国際モダンホスピタルショーで目にしたのがオムロンコーリン社(当時)のスポットチェックモニタである。バイタル入力にパソコンを用いずに簡便に電子カルテシステムへ転送できる仕組みは、当院の運用に非常にマッチしたものになると確信し、導入検討を積極的に進めることとした。

システム構築

 いくら電子カルテシステム更新に合わせて新規導入するといっても、その費用は高額になる。少しでも費用圧縮を図るため、サーバは部門システム用に構築した仮想化サーバへ搭載することとした。これにより物理サーバの購入費用の圧縮や電力量の圧縮に貢献することができている。

スポットチェックモニタ

 全8病棟に対して、5台ずつの導入を行った。新規導入システムであるため費用の捻出が困難であり、第一次導入として各病棟5台を割り当てることとした。

身長体重計

 販売開始されたばかりで全国での導入実績が少なかったが、病床回転率の高い病棟には有用だと考え、1病棟だけ試験的に導入することにした。この病棟は入院患者が1日10人を超えることもある病棟でもあり、当院では最も多忙な病棟とされていたため、身長体重測定業務の効率化をしたいと考えた。

中井 善能 公立南丹病院 企画情報室前田美恵子 公立南丹病院 看護部

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使用事例報告

バイタル記録システム

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稼働後

 スポットチェックモニタの稼働実績としては、1日700回程、1か月2万回程の送信回数となっている。稼働直後から送信回数には大きな変動はなく安定して使用されていることが分かる。身長体重計の稼働実績としては、1か月80回程の送信回数となっている。運用開始から半年が経過したので、対象看護師にアンケートを実施した。その内容とそこから見えた当院の課題について報告する。

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使用事例報告

バイタル記録システム

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使用事例報告

バイタル記録システム

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使用事例報告

バイタル記録システムスポットチェックモニタ導入による 効果と課題

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報告3

施設の概要

 35診療科で感染症7床を含む487床を擁する、大阪府南部の急性期医療の中核的施設である。三次救急医療機関、地域医療支援病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院等、各種指定や認定を受けている。昨年7月に現在の場所に移転し、名称も新たに再出発したところである。今年4月から11月までの病床稼働率は90.1%、平均在院日数は9.9日、重症度、医療・看護必要度は30.5%となっている。

1.はじめに 過去に行った業務量調査では、中項目別に業務量を見ると①電子カルテ入力②看護師間の報告・引き継ぎ③測定(観察及び評価、 計測、血糖測定)の順に多い結果であった。業務の効率化と改善を図るため、ICUを除く全病棟でスポットチェックモニタと血糖測定のポケットケムBGを導入して1年が経過した。本システムの効果と今後の課題を知るために、全病棟看護師を対象にアンケート調査を行ったので、本システムの運用を紹介するとともにアンケートの結果について報告する。

2.システムの概要1)導入台数 各病棟5台ずつ巡回型としてナースカートと同数のスポットチェックモニタを設置した。PNSの看護方式を取り入れているため、一般病棟45床では5台で充足している。また、血糖測定器も各病棟5台ずつ設置した。病床数の少ない小児や産婦人科病棟、救命病棟のスポットチェックモニタは3~4台とした。2)認証及びデータ送信の方法 スポットチェックモニタは、接続した専用のバーコードリーダーで看護師・患者IDを認証し、バイタルサイン測定後ベッドサイドでデータを送信する。血糖測定は、①測定時間が検温とは違う②複数の患者を一括で測定・入力するという業務内容を鑑みて、単体運用ができるようにした。測定器に内蔵されたバーコードリーダーで認証し、ナースステーションに設置している専用ソフト(MEQNET SMBG Viewer)をインストールした端末から一斉にデータ送信する方法をとっている。3)感染予防対策 感染管理認定看護師の指摘により、環境消毒クロスでの清拭消毒ができるよう血圧計のマンシェットを替えた。また、感染症対策をとる患者に対しては本システムを使用せず、従来からの感染症セットを病室内に常置する運用とした。

3.稼働実績と運用上の問題点1)スポットチェックモニタ 2015年9月~ 2016年6月の10 ヶ月間の送信件数は全体で224,047件、1日1台当たり15件のデータ送信を行っており、病棟別では図①のようになった。測定器機の操作についての問題は起きていない。2)血糖測定器

小澤 元子 堺市立総合医療センター 看護局

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使用事例報告

バイタル記録システム

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2015年9月~ 2016年8月の12 ヶ月の測定回数は49792回で、月平均測定回数は4149回だった。病棟別では図②のように、診療科によって格差があった。毎日140回以上の血糖測定が行われているが、予測通りデータの取り込みや送信は95%がナースステーションの端末から行われていた

(図③)。血糖測定器の操作では、血液混入による故障が発生した。

4.アンケート調査について1)目的 本システムを導入したことで期待する効果が得られているのか確認するとともに、今後の課題を明らかにする。2)方法 一般病棟の、管理者を除く看護師を対象として質問紙を配布し、回収した回答を単純集計した。3)結果及び考察 配布と回収数:対象看護師399名に配布し、377名から回答を得た。(回収率94.5%)集計結果を次に示す。

① システム導入前の検温業務について5割以上の者が「電子カルテへの測定値入力作業が負担」「入力漏れがないか不安」と答えている。また、「入力が遅くなることでの多職種間との情報共有が課題」と3~4割の者が答えていた(図④)。また、フリーコメントでは「手動血圧計で時間がかかっていた」や「ケアを優先しているとバイタルサインの入力が後回しになっていた」「測定値を忘れることがあった」などの意見があった。

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使用事例報告

バイタル記録システム

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② システム導入後、各項目の不満や課題が解決・達成できたかの問いについて「患者誤認防止」の達成度は最も高く、94%の者が達成できたと答えている。また、入力作業や転記作業の軽減や転記ミスの防止等は90%以上、多職種間のタイムリーなデータ共有についても85%が達成できたと答えている。(図⑤)このことにより、本システムの導入が業務の改善や安全確保に繋がっていることが言える。

③ スポットチェックモニタについて、認証の容易さでは83%が容易であると答えている。体温計やパルスオキシメータは使用後、本体にきちんと格納していると90%が答えているが、体温計は本体に格納しないと電池切れが早くなる事を47%が知らなかった。

④ 血糖測定について、指先穿刺での測定を常にしているのは79%で、注射器の血液での測定を時々していると答えた者が53%いた。(図⑥)チップは常に下向きにして吸引していると90%の者が答えていたが、チップを上向きにして吸うと、多量の血液吸引でエラーになることを知っていたのは81%であった。患者のヘマトクリット値が低い時にエラーになることは46%が知らなかった。(図⑦⑧)測定器についての知識習得と、手順の遵守の必要性が明らかになった。

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使用事例報告

バイタル記録システム

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⑤ システム改善点や要望について聞いた5項目では「バーコードリーダーの無線化」や「持ち運びやすさの向上」の要望が多かった(図⑨)。しかし、自由記載で見られた本システムの最も多い不満は「バッテリーの充電時間と稼働時間に関するもの」であった。

5.まとめ 稼働実績やアンケートの結果からは本システムが十分機能し、患者誤認や入力作業の軽減など業務の改善や安全確保に繋がっていることがわかった。しかし器機の操作については一部、知識不足や手順遵守の徹底など課題が明らかになった。また、システムとしてはバッテリーの改善やコードレス化が望まれる。

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《特別講演 ランチョンセミナー》

【座長】

黒田 知宏京都大学医学部附属病院 医療情報企画部

航空機における自動化と安全への挑戦 ~進化を続ける航空業界の試み

狩川 大輔東北大学大学院 工学研究科

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特別講演

航空機における自動化と安全への挑戦~進化を続ける航空業界の試み

狩川 大輔東北大学大学院 工学研究科

 航空機の全損事故率は、100万出発あたり0.5回未満(2015年)であり、最も高い安全性を実現している産業分野の一つと言えるでしょう。航空機のコックピットでは、パイロットのヒューマンエラーによる事故防止等を目的として、先進的な自動化が進められてきました。長距離国際線の場合、今や、パイロットが手動で航空機を操縦している時間は全フライト時間の1%未満、ほんの数分間であると言われています。 しかし、自動化は良いことばかりだったわけではありません。自動操縦システムに対する誤入力や、自機の状況把握の失敗等、これまでにはなかった新たなタイプのヒューマンエラーの原因ともなり、それらへの対策が必要とされてきました。そして今、航空安全をさらに高いレベルに引き上げるために、高度に自動化され、徹底的な標準化・マニュアル化がなされたコックピットにおけるパイロットの「応用力」の重要性が再認識されています。 今回は、このような航空機の自動化の現状と課題について述べると共に、ハイテク旅客機の安全を守る上で必要不可欠なパイロットの応用力を強化するための新たな訓練概念の構築など、進化を続けている航空業界の取り組みの一端をご紹介させて頂きます。

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《教育講演》

【座長】

松村 由美京都大学医学部附属病院 医療安全管理室

多職種協働と IoT 時代における看護職の役割 ~看護がサバイブするには

荒木 暁子千葉県千葉リハビリテーションセンター 看護局

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教育講演

多職種協働と IoT 時代における看護職の役割~看護がサバイブするには

荒木 暁子千葉県千葉リハビリテーションセンター 看護局

 リハビリテーション医療や重症心身障害児など長期ケアの現場で、患者には様々な専門職が関わる。朝起きたら早出の福祉職が更衣・洗面を介助し、食堂へ。食堂では深夜の看護師が投薬し、日勤の福祉職が歯磨きを。療法士が来て訓練をやり、病棟では福祉職がリクリエーションをする……。看護師が薬包をさばいている、その刹那、福祉職が残尿測定のために患者にプローブを当てている。外来では看護師が患者を呼び込んでいるときに、看護助手が身体測定をする。 多職種で関わるとき、以下の条件が満たされていなければ、効果は半減する。患者の状態に関する情報を共有し、気を付けなければいけないことを、皆共通に知っている。患者の達成すべきゴールを皆がきちんと理解し、それを目指すべく、それぞれの役割をお互いに理解したうえで、自らの責任を果たす。 医療現場のマンパワーの不足の原因は、患者の重度化と医療業務の複雑化である。医療デバイスや看護補助者のようなチーム医療は、本当に私たちを救うのか。看護師が手渡してはいけない業務は何か……。一緒に考えていきたい。

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《オープニングリマークス》瀬戸 僚馬

東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科

《パネルディスカッション》新しい安全看護支援システムを通して考える

黒田 知宏京都大学医学部附属病院 医療情報企画部

松村 由美京都大学医学部附属病院 医療安全管理室

香西 ひろみ社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション

《フィーチャリングセッション》

【座長】

瀬戸 僚馬東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科

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フィーチャリング セッション オープニングリマークス

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 患者の高齢化や認知症患者の増加、平均在院日数の短縮に伴う入院医療の濃厚化といった環境の変化により、看護業務は複雑化、膨大化している。 例えば、病棟看護師の1日の標準勤務時間のうち、電子カルテ端末操作時間(オーダ確認・看護記録入力など)が平均4.6時間にも及ぶとの報告(黒田知宏ら、第15回医療情報学会春期学術大会)がある通り、看護師本来の専門性をより発揮するためには、現在の看護業務を見直し、効率化していく必要がある。 また、電子カルテの導入により、多職種間で、正確かつリアルタイムでの記録や情報共有がされるべきであるにもかかわらず、入院患者に午前中に測定したバイタルサインが電子カルテに入力され、読めるようになるのには午後になるなど大きなタイムラグがあったとの報告もあり(瀬戸僚馬、第2回iNurse研究会)、正しい記録という医療安全の観点からも、業務改善の余地が大きいと考えられる。 本会は、複雑化、多忙化する看護環境を単純化、効率化する方法の議論を通じ、看護師が専門性を発揮できる安全な医療環境を実現することを目的としており、過去2回の研究会では、バイタルサインの記録自動化を主なテーマとしてきた。 そして、単純な転記作業は機器に任せることで、入力・記録業務のスリム化、誤入力などヒューマンエラーの防止に有益であるが、一方で、機器や情報システムに依存するのではなく、使用目的を明確にした上で、その特徴や限界も踏まえ、現場で運用していくことの重要性を、参加者とともに議論、理解してきた。 看護環境を単純化、効率化する方法の一つとして、今後も、医療機器や情報システムの活用はますます大きな役割を果たし、安全な医療環境の実現に役立つものと考えられる。本セッションでは、医療事故件数の約1/4を占める「転倒転落」にフォーカスし、新しい安全看護支援システムを題材として議論を深めていきたい。

【座長】瀬戸 僚馬(東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科)

【パネリスト】黒田 知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部)

松村 由美(京都大学医学部附属病院 医療安全管理室)

香西ひろみ(社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション)

Page 25: 1 211.送信回数 平成27年の月平均の送信回数は3000回前後であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均 送信回数は約600回であった。月平均延べ在院患者数は1000~1100人で、検温回数などから考え

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Page 26: 1 211.送信回数 平成27年の月平均の送信回数は3000回前後であった。スポットチェックモニタ1台当りの月平均 送信回数は約600回であった。月平均延べ在院患者数は1000~1100人で、検温回数などから考え

フィーチャリング セッション 新しい安全看護支援システムを通して考える

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パネルディスカッション

●「アラームが鳴ったらとりあえずベッドサイドに行く」現状が明らかに ライブアンケートではまず、司会進行役を務める瀬戸氏から「院内で最もよく使う、ベッド周りでの転倒転落防止機器は何か」という質問が投げかけられた。これに対し、看護師からは「床置きマット型センサ」、また看護師以外からは「ベッドマット型センサ」という回答が多く寄せられた(図1)。松村氏は、医師の立場から「よく目にするのは床置きマット型センサで、回診などの際に触れてしまう医師も多い。ただ最近は、赤外線センサも増えている印象がある」とコメントした。 次に、「現在使用している転倒転落防止機器で、必要な時にアラームが鳴らないと感じることはあるか」が問われた。その結果、「かなり頻繁」という回答こそなかったものの、「頻繁」「ときどき」と答えた看護師は5割以上にのぼった(図2)。香西氏は自らの経験を振り返り、「入院時に患者の体重や行動範囲などをきちんと設定していなかったために、必要な時に鳴らないということがあった」と述べた。一方、黒田氏は機器開発の現状について、「製品を作る側の理想と使う側の期待と、話を聞いてみるとどちらも間違っていることが多い。双方で認識のズレがかなりある」と語った。また、松村氏は「看護師が来ないよう、マットをまたぐ患者もいる」と指摘、「患者も鳴らない要因の1つとして考える必要があるのでは」と述べた。 では逆に、必要でない時に鳴ることはどれぐらいあるのだろうか。病棟や外来など現場で業務を担う看護師は、実に7割近くが「かなり頻繁」「頻繁」と回答し、通常業務が少なからず中断されていることが示唆された(図3)。この結果を受けて香西氏は、患者がベッドから起き上がろうとしただけでアラームが鳴り、看護師が駆けつけることが繰り返されるいわゆる「オオカミ少年現象」が、かつて勤務

【座長】瀬戸 僚馬(東京医療保健大学)

【パネリスト】黒田 知宏(京都大学医学部附属病院)

香西ひろみ(社会福祉法人津田福祉会 さわやか荘訪問看護ステーション)

松村 由美(京都大学医学部附属病院)

瀬戸 僚馬(東京医療保健大学)

図1

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していた病院でも起こっていたと述べた。とはいえ、実際に患者が落下するケースもあり、ギャップが生じている状況が浮き彫りにされた。 こうした状況をふまえ、次のQ4では「日勤帯で転倒転落のアラームが鳴った場合、すぐにベッドサイドに駆け付けているか」という質問が投げかけられた。その結果、属性を問わず9割近くが「必ず」「ほぼ」駆けつけていると回答し、行かなくていい時であってもとりあえずは行っている状況が示された(図4)。これは裏を返せば、そのために妨げられている他の業務があることを意味し、今後解決していくべき課題と考えられた。

図3

図2

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●転倒転落防止システムは動きのパターンを読むためのツール Q4では少数ながら、「アラームが鳴ってもあまり駆け付けていない」という回答もあった。転倒転落は、たとえ確率的には低くても起こしてはならない。本セッションではそのための方法論として、カメラとスマートフォンを利用した転倒転落防止システムが紹介された。すなわち、患者の頭に動きを検知できるカメラを付け、シルエットをスマートフォンで見られるようにしたもので、「起き上がる」「座る」「ずり落ちる」など、検出してほしい動きのパターンをあらかじめ設定することができる。では本システムを使用した場合、アラームが鳴ってすぐベッドサイドに駆け付ける頻度はどれぐらいになるのだろうか。Q4では看護師の約9割が「必ず」「ほぼ」駆け付けると回答していたのに対し、Q5では約6割が「だいたい」「ときどき」駆け付けると回答した(図5)。

図5

図4

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 ここで黒田氏から、「行かなくてもいいと思ったら行かない」のか「行かなくてもいいと思っても行く」のか、会場への問いかけがなされた。「行く」と答えたある参加者は、その理由を「患者がなぜそういう行動をしたのか確認し、危険回避につなげるため」と述べ、「ただし今すぐではなく、後から行くという選択肢もある」と付け加えた。これを受けて、瀬戸氏は「行くことに変わりはないが、今すぐ行く負担を軽減するという点で、こうしたツールは役立つのでは」とコメントした。 一方、松村氏は「新しいシステムの導入時は、『何をすればいいのか管理者に決めてほしい』という声もよく聞かれるが、そこは看護師が判断すべきでは」と述べた。これに対し、管理部門の看護師より

「個別性を重視した看護を提供することを、常々考えている。したがって、もしこうしたシステムを利用するとしても、管理部門が判断するのではなく、個々の現場判断に任せることになるだろう」という見解が寄せられた。 会場からはこのほか、「転倒だけでなく抜管のリスクなども考えられるので、自分だったら行く」という意見も出た。また、リハビリテーション病院勤務の看護師からは「センサも赤外線も画像も、患者がどういうパターンの動きをするか読むための初動キャッチシステムであり、それ自体で転倒転落は防げない。あくまで補助的なツールと考えて使うしかないのでは」という発言があった。さらに「重要なのはセンサの感度を上げることではなく、どのように患者の動きのパターンを読んでいくか、そのためにはどのツールが必要かということではないか」と指摘する声もあった。 瀬戸氏は「機器が増えれば判断材料が増え、使う側のスキルや難易度も上がる。よりよい意思決定ができる可能性は高まるが、ついていけないと振り回される恐れがある」と述べた。患者が落下して初めて鳴るような単純な構造の機器がいいのか、複雑な判断が求められても初動検知できる機器がいいのか。黒田氏は「看護師と一緒に医療機器を作っているメーカーはほとんどない」と指摘、「看護師が『こういう機器があれば、もっといい看護ができる』と働きかけることで、よりよい機器が作られる可能性がある」と語った。

●現場を知る看護師が意見を表明することで業務も変わる ライブアンケートの最後では、「転倒転落防止システムに期待する主な目的は何か」という質問が投げかけられた。その結果、「あまり期待できない」という回答が管理部門の看護師では約3割を占めたのに対し、現場の看護師では6%と少なく、その代わり「病室以外で即座に患者の状態確認ができる」という回答が約6割にのぼった(図6)。香西氏は「本システムが初動確認をするためのツール、看護という役割を忘れずに使う道具として開発されていくことを期待したい」と語った。 また、黒田氏は「航空業界では現場の人間であるパイロットが、安全管理や設計にも関わる仕組みになっている。医療機器も看護師が関わることで、見えてくるものがあるのではないか」と述べ、さらに

「機器も医療チームの一員。何ができて何ができないかという判断の元に使うこと、また作る側に『この機器はこういうことができるのでは』と伝えることが必要」と語った。松村氏は「職種によってシステムに対する反応は異なる」と指摘、「看護師は今あるものを工夫しようとする一方で、何かを変えようという行動は控えがち。現場を知っている看護師がもっと意見を表明することで、働き方も変えていけるのでは」と提言した。 最後に瀬戸氏は「カメラで監視することの倫理的問題」に触れ、「モニターやセンサ、カメラと機器が増えてきた中、どこで線引きするかは時代によって異なる」と見解を述べた。そして「新しい機器を使うことで業務が変わる時代が、すでにやって来ている。その中で、どのように意見やニーズを表現していくかが、看護師側の今後の課題といえるのではないか」とまとめた。

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図6