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献血ベニロン‐I 静注用 500mg 献血ベニロン‐I 静注用 1000mg 献血ベニロン‐I 静注用 2500mg 献血ベニロン‐I 静注用 5000mg に関する資料 本資料に記載された情報に係る権利及び内容についての責任は、財団法人 化学及 血清療法研究所に帰属するものであり、当該情報を本薬剤の適正使用以外の営利 目的に使用することはできません。 財団法人 化学及血清療法研究所

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GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

献血ベニロン‐I 静注用 500mg

献血ベニロン‐I 静注用 1000mg

献血ベニロン‐I 静注用 2500mg

献血ベニロン‐I 静注用 5000mg

に関する資料

本資料に記載された情報に係る権利及び内容についての責任は、財団法人 化学及

血清療法研究所に帰属するものであり、当該情報を本薬剤の適正使用以外の営利

目的に使用することはできません。

財団法人 化学及血清療法研究所

1.4 特許状況

GGS-CSS 1.4 特許状況

1

1.4 特許状況

1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

略号一覧表 略号 英名 日本語

ACR American college of rheumatology 米国リウマチ学会

AGA Allergic granulomatous angiitis アレルギー性肉芽腫性血管炎

ALT Alanine amino transferase アラニン・アミノトランスフェ

ラーゼ

ANCA Anti-neutrophil cytoplasmic antibody 抗好中球細胞質抗体

CSS Churg-Strauss syndrome チャーグ・ストラウス症候群

EAN Experimental autoimmune neuritis 実験的自己免疫性神経炎

ECP Eosinophil cation neurotoxin 好酸球性陽イオンタンパク質

EDN Eosinophil-derived neurotoxin 好酸球由来神経毒タンパク質

EPO Eosinophil peroxidase 好酸球ペルオキシダーゼ

FAS Full analysis set 大の解析対象集団

GLOBULIN-S Freeze-dried sulfonated human normal immunoglobulin

(一般名)乾燥スルホ化人免疫

グロブリン、(成分名)スルホ

化人免疫グロブリン Gを含む製

剤:本剤又は GGS

GM-CSF Granulocyte macrophage colony-

stimulating factor

顆粒球マクロファージコロニー

刺激因子

GPT Glutamate pyruvate transaminase グルタミン酸ピルビン酸トラン

スアミナーゼ

HAV Hepatitis A virus A 型肝炎ウイルス

HBV Hepatitis B virus B 型肝炎ウイルス

HCV Hepatitis C virus C 型肝炎ウイルス

HIV Human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス

HTLV-I Human T-cell lymphotropic virus type 1 ヒトT細胞白血球ウイルス 1 型

IFN Interferon インターフェロン

IgE Immunoglobulin E 免疫グロブリン E

IgG Immunoglobulin G 免疫グロブリン G

IL Interleukin インターロイキン

IVIg Intravenous immunoglobulin 静注用免疫グロブリン

LPS Lipopolysaccharide リポ多糖体

MAF Macrophage activating factor マクロファージ活性化因子

MBP Major basic protein 主要塩基性タンパク質

MCF Macrophage chemotactic factor マクロファージ走化性因子

MCP-1 Monocyte chemoattractant protein-1 単球走化性因子

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

略号一覧表(続き)

略号 英名 日本語

MMT Manual muscle test 徒手筋力テスト

MPO-ANCA Myeloperoxidase anti-neutrophil

cytoplasmic antibody

抗好中球細胞質ミエロペルオ

キシダーゼ抗体

NAT Nucleic acid amplification test 核酸増幅検査

NO Nitric oxide 一酸化窒素

PAF Platelet activator 血小板活性化因子

PG Prostaglandin プロスタグランジン

QOL Quality of life 生活の質

RF Rheumatoid factor リウマトイド因子

TNF Tumor necrosis factor 腫瘍壊死因子

Treg Regulatory T cell 制御性 T 細胞

VAS Visual analogue score 感覚障害の視覚的アナログスコ

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

目次

1.5.1 はじめに ·································································1 1.5.2 チャーグ・ストラウス症候群(CSS)及びアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA) ···2

1.5.2.1 CSS及びAGAの診断基準と特徴 ···········································2 1.5.2.2 CSS及びAGAの患者数 ···················································6 1.5.2.3 CSS及びAGAの治療の現状と問題点 ·······································7

1.5.3 起源又は発見の経緯 ·······················································8 1.5.4 開発の経緯 ·······························································9

1.5.4.1 非臨床試験 ··························································10 1.5.4.2 臨床試験 ····························································11 1.5.4.3 治験相談 ····························································14

1.5.5 特徴 ····································································15 1.5.6 本剤の臨床的位置付け ····················································17 1.5.7 参考文献 ································································18

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

1.5.1 はじめに

GLOBULIN-S(成分名:スルホ化人免疫グロブリン G、以下、「本剤」という)は、人免

疫グロブリンの鎖間ジスルフィド結合を選択的にスルホ化することにより、Fc 活性を保持し

たまま補体の異常な活性化を抑制した完全分子型静注用人免疫グロブリン製剤である。本剤

は細菌、毒素、ウイルスに対する中和活性を有し、オプソニン作用や溶菌作用、抗炎症作用

を示すほか、血小板減少症モデルや実験的アレルギー性神経炎モデルなどで有効性が確認さ

れている。1979 年に「低又は無ガンマグロブリン血症」及び「重症感染症における抗生物質

との併用」を適応症として医薬品製造承認を取得して以来、特発性血小板減少性紫斑病、川

崎病及びギラン・バレー症候群に対しても適応を取得し、広く使用されている。

チャーグ・ストラウス症候群(CSS)及びアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)は、気管

支喘息と好酸球増加に続き全身性に血管炎を生じる疾患で、血管炎症状は末梢神経や肺など

全身に出現する。CSS 及び AGA の発症や病態進展の機序は未だに明らかになっていないも

のの、免疫応答の異常亢進が病因と考えられている。基本的治療としてステロイド剤又はス

テロイド剤と免疫抑制剤の併用投与が行われるが、血管炎症状のうち多発性単神経炎による

神経障害に対して十分な効果が得られず、重症な運動・感覚障害が後遺症となり日常生活の

動作に障害を残し、患者の社会復帰を妨げることが問題となっている。

一方、免疫グロブリンは抗炎症作用をはじめとした多様な免疫調節作用を有することが多

くの公表論文で報告されており、様々な自己免疫疾患で静注用免疫グロブリン(IVIg)の治

療効果が示されている。 CSS 及び AGA においても 1990 年頃から IVIg の臨床使用例が報告

され、血管炎症状の改善とステロイド剤の減量効果が示されていることから、本剤の投与が

CSS 及び AGA に対して改善効果を示す可能性があると考え、20 年より臨床試験を開始し

た。これまでに得られた第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験成績より、ステロイド療法に抵抗性の神

経障害を有する CSS 及び AGA 患者に対する有効性は評価ができたと考え、表 1.5.1-1 に示す

効能・効果及び用法・用量の承認事項一部変更承認申請を行うこととした。

また、本効能・効果に対して、平成 20 年(2008 年)12 月に厚生労働省より希少疾病用医

薬品として指定「指定番号(20)薬第 218 号」を受けた。

表 1.5.1-1 申請内容

申請区分 医療用医薬品(4)新効能医薬品

申請品目 販売名:献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 500mg、 献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 1000mg、 献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 2500mg、献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 5000mg

一般名:乾燥スルホ化人免疫グロブリン

効能・効果

案 次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る) チャーグ・ストラウス症候群 アレルギー性肉芽腫性血管炎

用法・用量

案 チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障

害の改善に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グロブリン G 400 mg(8 mL)/kg 体重を 5 日間点滴静注する。

1

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

1.5.2 チャーグ・ストラウス症候群(CSS)及びアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)

1.5.2.1 CSS 及び AGA の診断基準と特徴

(1)CSS 及び AGA の診断基準

CSSは、1951 年にChurg氏とStrauss氏がアレルギー素因を有し、細小血管の肉芽腫性血管炎

と血管外肉芽腫による疾患を結節性多発動脈炎から分離独立させた壊死性血管炎の一つで、

AGAと同義語で扱われている。厚生労働省 厚生科学特定疾患対策研究事業 難治性血管炎に

関する調査研究班の診断基準ではAGA(CSS)と表記され、本疾患は特定疾患調査研究分野に

指定されている。

CSS 及び AGA の診断基準には、表 1.5.2-1 に示す厚生労働省 厚生科学特定疾患対策研究事

業 難治性血管炎に関する調査研究班の「アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss 症候群)

診断基準(1998 年)」[文献 1]と、表 1.5.2-2 に示す米国リウマチ学会(ACR)の「Churg-Strauss

症候群分類基準(1990 年)」[文献 2]とがある。

表 1.5.2-1 アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss 症候群)診断基準(厚生労働省 厚

生科学特定疾患対策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班)[文献 1]

主要臨床所見 (1)気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎 (2)好酸球増加 (3)血管炎による症状

発熱(38℃以上、2 週以上)、 体重減少(6 ヵ月以内に 6 kg 以上)、 多発性単神経炎、消化管出血、紫斑、多関節痛(炎)、 筋肉痛(筋力低下)

臨床経過の特徴 主要臨床所見(1)、(2)が先行し、(3)が発症する。 主要組織所見 (1)周囲組織に著明な好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫性、又は

フィブリノイド壊死性血管炎の存在 (2)血管外肉芽腫の存在 AGA 確実:主要臨床所見の(1)、(2)及び(3)のそれぞれ一つ以上を示

し同時に、主要組織所見の 1 項目を満たす場合 疑い:主要臨床所見 1 項目及び主要組織所見の 1 項目を満たす場合

判定

CSS 確実:主要臨床所見 3 項目を満たし、臨床経過の特徴を示した場合

疑い:主要臨床所見 3 項目を満たすが、臨床経過の特徴を示さない

場合 参考となる検査所

見 (1)白血球増加(1 万 /μL) (2)血小板数増加(40 万 /μL) (3)血清 IgE 増加(600 U/mL 以上) (4)MPO-ANCA 陽性 (5)リウマトイド因子陽性 (6)肺浸潤陰影

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GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

本邦の難治性血管炎に関する調査研究班の診断基準における主要臨床所見は、(1)気管支

喘息あるいはアレルギー性鼻炎、(2)好酸球増加、(3)血管炎による症状(発熱、体重減少、

多発性単神経炎、消化管出血、紫斑、多関節痛(炎)、筋肉痛、筋力低下)である。臨床経過

の特徴として臨床所見の(1)気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎、(2)好酸球増加が先行

し、(3)血管炎による症状が発症する。CSS の判定は、主要臨床所見 3 項目を満たし、上記

の臨床経過の特徴を示した場合と定義されている。また、AGA の判定では、主要臨床所見 3 項

目のそれぞれ 1 つ以上を示し同時に、主要組織所見[(1)周囲組織に著明な好酸球浸潤を伴

う細小血管の肉芽腫性又はフィブリノイド壊死性血管炎の存在、(2)血管外肉芽腫の存在]

の 1 項目を満たす場合と定義されている。

一方、表 1.5.2-2 に示す ACR の Churg-Strauss 症候群分類基準では、全身性血管炎の中から

鑑別することを前提としており、(1)喘息、(2)10%以上の好酸球増加、(3)単または多発

性単神経炎、(4)固定していない肺浸潤影、(5)副鼻腔異常、(6)血管外好酸球浸潤の生検

による証明、のうち 4 項目以上満たすものを CSS としている。ACR の CSS 診断基準は、基

本的に日本の診断基準と異なることはないと考える。

表 1.5.2-2 Criteria and definitions used for the classification of

Churg-Strauss syndrome(ACR)[文献 2]

Criterion Definition Asthma History of wheezing or diffuse high-pitched rales on

expriration Eosinophilia eosinophilia >10% on white blood cell differential count history of allergy* History of seasonal allergy (e.g., allergic rhinitis) or other

documented allergies, including food, contactants, and others, except for drug allergy

mononeuropathy or polyneuropathy Development of mononeuropathy, multiple mononeuropathies, or polyneuropathy (i.e., glove/stocking distribution) attributable to a systemic vasculitis

pulmonary infiltrates, non-fixed Migratory or transitory pulmonary infiltrates on radiographs (not including fixed infiltrates), attributable to a systemic vasculitis

paranasal sinus abnormality History of acute or chronic paranasal sinus pain or tenderness or radiographic opcification of the paranasal sinuses

extravascular eosinophils Biopsy including artery, arteriole, or venule, showing accumulations of eosinophils in extravascular areas

*: History of allergy, other than asthma or drug-related, is included only in the tree classification criteria set and not in the traditional format criteria set, which requires 4 or more of the 6 other items listed here.

(2)CSS 及び AGA の発症機序(仮説)

現時点で CSS 及び AGA の発症機序は明らかとなっていないが、気管支喘息、好酸球増加

を有する患者に発現することから、何らかの抗原刺激により発症すると考えられる。すなわ

ち、抗原刺激により好酸球から種々の組織傷害因子が産生し、小動脈から毛細血管に血管炎

を生じ、臨床症状を呈すると考えられている。

図 1.5.2-1 に CSS 及び AGA の発症機序の仮説を示す[文献 3、4]。

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GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

気道

粘膜、マスト細胞、マクロファージ、T細胞、好酸球、血管内皮など

好酸球動員活性化

MBP :主要塩基性タンパク質 MCP-1 :単球走化性因子 ECP :好酸球性陽イオンタンパク質 GM-CSF :顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 EPO :好酸球ペルオキシダーゼ ANCA :抗好中球細胞質抗体 EDN :好酸球由来神経毒タンパク質 RF :リウマトイド因子 MCF :マクロファージ走化性因子 PG :プロスタグランジン MAF :マクロファージ活性化因子 PAF :血小板活性化因子 TNF :腫瘍壊死因子 IFN :インターフェロン IgE :免疫グロブリン E IgG :免疫グロブリン G

図 1.5.2-1 CSS 及び AGA の発症機序(仮説)[文献 4 一部改変]

1) アレルギー体質の患者が気道に抗原刺激を受けると、気道粘膜やマスト細胞、マクロフ

ァージなどがサイトカインやケモカインを産生する。

2) 動員された好酸球は種々のサイトカインにより活性化する。活性化した好酸球は組織傷

害性蛋白やサイトカインなどを分泌し、気管支喘息の悪化と末梢神経障害、心筋障害な

どを発症する。

3) 炎症性サイトカインにより活性化した好中球の脱顆粒や活性化した B 細胞の抗体産生亢

進を介した免疫複合体の沈着により、血管内皮細胞を傷害して壊死性血管炎が発症する。

なお、壊死性血管炎が末梢神経の栄養血管に及ぶことで多発性単神経炎が起こると推定

される。

4) 活性化した T 細胞はマクロファージ走化性因子(MCF)、マクロファージ活性化因子(MAF)、

インターロイキン(IL)-5 を産生し、マクロファージを活性化する。血管内皮が産生す

る顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、マクロファージを傷害部位

に浸潤させ、肉芽腫形成の要因となる。

細胞障害性蛋白サイトカイン

気管支喘息 多発性単神経炎

B細胞活性化

抗体産生

好中球動員活性化

壊死性血管炎

T細胞活性化

マクロファージ活性化

類上皮細胞

血管壁肉芽腫 血管外肉芽腫

抗原刺激

体質・素因

気道

( IgE, IgG (RF), ANCA, etc. )免疫複合体,抗体依存性,サイトカイン, etc.

MCF, MAF,GM-CSF, etc.

蛋白分解酵素リソソーム酵素PG, NO, O2-.

MBP, ECP, EPO,EDN, PAF, etc.

(エオタキシン, TNFα, IL-1, 4, 5, 6, 8, 10, IFNγ, MCP-1など)

粘膜、マスト細胞、マクロファージ、T細胞、好酸球、血管内皮など

好酸球動員活性化

細胞障害性蛋白サイトカイン

気管支喘息 多発性単神経炎

B細胞活性化

抗体産生

好中球動員活性化

壊死性血管炎

T細胞活性化

マクロファージ活性化

類上皮細胞

血管壁肉芽腫 血管外肉芽腫

抗原刺激抗原刺激

体質・素因体質・素因

(エオタキシン, TNFα, IL-1, 4, 5, 6, 8, 10, IFNγ, MCP-1など)

MCF, MAF,GM-CSF, etc.MCF, MAF,GM-CSF, etc.( IgE, IgG (RF), ANCA, etc. )

免疫複合体,抗体依存性,サイトカイン, etc.

免疫複合体,抗体依存性,サイトカイン, etc.

蛋白分解酵素リソソーム酵素PG, NO, O2-.

蛋白分解酵素リソソーム酵素PG, NO, O2-.

MBP, ECP, EPO,EDN, PAF, etc.MBP, ECP, EPO,EDN, PAF, etc.

組織傷害性蛋白

サイトカイン

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GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

また、CSS 及び AGA の患者の 38%~85%で、自己の好中球に対する抗体である抗好中球

細胞質抗体(ANCA)が検出されることも知られ[文献 4]、CSS 及び AGA は ANCA 関連血

管炎に分類されている[文献 5]。

(3)CSS 及び AGA の症状

CSS 及び AGA の 95%以上は、CSS 及び AGA 発症の前に気管支喘息が 1 年から数年見られ

る。気管支喘息の多くは発症時から重症でかつ慢性型で、ステロイド剤の長期投与を必要と

する場合が多い。年齢別では 30~60 歳代での発症が多く、小児期には稀で、男女差や地域

差はない[文献 6]。

CSS 及び AGA の臨床症状は、臓器に分布している血管の炎症によるものである。血管炎

症状は全身にわたり、表 1.5.2-3 に示す本邦の疫学調査[文献 3]によると、CSS 及び AGA

患者 74 例全例で発熱と体重減少がみられ、多発性単神経炎の発症頻度が も高く(100%)、

他に皮膚(紫斑、皮下出血など:57%)、消化管(出血、腹膜炎など:50%)、心(心不全、

梗塞、心包炎など:42%)、筋炎(31%)、肺(間質性肺炎、胸膜炎など:28%)などの症状

を来たすと報告されている。また、多発性単神経炎、筋力低下、下血、下腿浮腫の 4 症状が、

本症を診断する上で確度が高い症状であると報告されている[文献 7]。

表 1.5.2-3 血管炎症候群の臓器症状[文献 3] (N = 74)

臓器(疾患)名 症例数 頻度(%)

多発性単神経炎 74 100 皮膚(紫斑、皮下出血など) 42 57 消化管(出血、腹膜炎など) 35 50 心(心不全、梗塞、心包炎など) 31 42 筋炎 23 31 肺(間質性肺炎、胸膜炎など) 21 28 関節炎 17 23 眼(視力低下、上強膜炎) 12 16 中枢神経(出血、梗塞など) 12 16 高血圧 10 14 腎(蛋白尿、腎不全) 8 11

また、ステロイド療法に抵抗性で、寛解・増悪を繰り返す症例があり、多発性単神経炎後

遺症が約 30%に観察されている[文献 3]。28 例について発症後平均 4.2 年間の経過を観察

したところ、ステロイド療法から 4 週間以内に障害度(Modified Rankin Score)の改善が認め

られなかった患者では、血管炎による組織傷害が大きく多発性単神経炎を引き起こしやすい

ことが報告されている[文献 8]。

5

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

多発性単神経炎は治療開始が遅れるほど後遺症として残りやすいと言われている。CSS 及

び AGA の多発性単神経炎により患者は、上肢・下肢の筋力低下や麻痺が出現し歩行困難とな

る場合もあり、日常生活に著しい影響を及ぼすことがある。

CSS 及び AGA 診断から 5 年以内の死亡率は 21%~38%[文献 9、10、11]で、死因は血

管炎に起因する心合併症(心不全、心筋梗塞)が多い[文献 9]。CSS 及び AGA 患者 74 例

における転帰調査(表 1.5.2-4)では、19%が死亡し、血管炎による心不全、脳血管障害、消

化管出血などが死因として挙げられている。

表 1.5.2-4 CSS及びAGAの転帰[文献 3] (N = 74)

転帰 症例数 %

寛 解 60 81

完全寛解 9 12

気管支喘息持続 24 32

多発性単神経炎後遺症 22 30

血管炎症候再発 5 7

死 亡

14 (死因:心不全:3、脳血管

障害:3、消化管出血:3、呼吸不全:2、感染症:2、自殺:1)

19

1.5.2.2 CSS 及び AGA の患者数

CSS 及び AGA の正確な患者数は不明であるが、下記の調査報告より本邦の年間受療患者

数は 450 例程度と推定される。

1993 年の厚生省特定疾患 難治性血管炎調査研究班による全国疫学調査(有効回答3,195 科/

調査対象 5,537 科)では、本邦の 1 年間あたりの CSS 及び AGA 受療患者数は 450 例(95%

信頼区間 370~530 例)と推定されている[文献 12]。

また、1997 年の厚生省特定疾患 免疫疾患調査研究班による調査報告(6,835 科/調査対象

10,717 科)では、ANCA 関連血管炎症候群の受療患者数は 2,260 例(95%信頼区間 1,900~

2,600 例)、そのうち AGA 患者割合は 9.1%であると報告されている[文献 13]。AGA 患者の

ANCA 陽性率は 44%~75%[文献 6]といわれていることから、AGA 患者は 500 例程度と

推定され、この患者数は 1993 年調査と同様の結果であった。

これ以降に公的な疫学調査は行われておらず、2002 年 3 月の厚生労働省 厚生科学特定疾

患対策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班による「難治性血管炎の診療マニュアル」

[文献 1]では、本邦の推定受療患者数は 450 例と 1993 年の疫学調査[文献 12]が引用さ

れ、発症頻度は 2.4 人/100 万人程度と報告されている。また、2007 年 6 月の難病情報センタ

ーの報告では、本邦の CSS 及び AGA の推定受療患者数は 450 例で、年間新規患者数は約 100

例と推定されている[文献 14]。

6

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

また、2004 年に申請者が 実施した

病院を対象とした調査 では、治療中の CSS 及び

AGA 患者数は 例であった[文献 15]。更に、2004 年に申請者が 実施した

施設 を対象とした調査でも、現在治療中の CSS

及び AGA 患者は 例であった[文献 16]。1993 年、1997 年に実施された厚生省の全国疫

学調査では、当該患者の治療にはほとんど関連しない診療科や小規模の一般病院も調査対象

となっており一概に比較できないが、大学病院などの大規模な病院であっても患者数が極め

て少ないことが再確認された。

以上のように、本邦の CSS 及び AGA 患者数は 450~500 例程度と推定される。

CSS 及び AGA の治療は、「難治性血管炎診療マニュアル(2002 年)」[文献 1]によると、

ステロイド剤のパルス療法を施行した後、ステロイド剤の経口投与が行われているが、CSS

及び AGA でステロイド療法などを実施したにもかかわらず、血管炎症状の一つである多発性

単神経炎が残存する患者割合は約 30%であると報告されている[文献 3]。したがって、本剤

が対象としているステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者数は、本

邦では年間 150 例程度と推定される。 1.5.2.3 CSS 及び AGA の治療の現状と問題点

CSS 及び AGA の治療法は、難治性血管炎の診療マニュアルに、「基本的治療(免疫抑制療

法)を行うとともに、気管支喘息に対する治療を行い、更に多発性単神経炎の運動療法には

リハビリテーションを行う。」と記載されている(表 1.5.2-5)[文献 1]。

この難治性血管炎の診療マニュアルでの CSS 及び AGA の基本的治療は、「メチルプレドニ

ゾロン 0.5~1.0 g/日のパルス療法を 3 日間施行し、その後経口的にプレドニゾロン 40 mg/日

を 8 週間投与する。その後は臨床症状、検査所見、特に好酸球数を参考にして漸減、維持療

法に移る。多くの例はステロイドの治療のみで寛解するが、ステロイド投与量をあまり早く

減量すると再発することがある。血管炎症候群の著しい例にはシクロフォスファミド、もし

くはアザチオプリン 50~100 mg/日を併用する。これらの免疫抑制剤は医薬品適用外の薬剤で

あり、使用にあたっては十分なインフォームド・コンセントをとり、副作用に十分注意する。」

である。

ステロイド剤の大量投与と免疫抑制剤の使用により、消化管出血症状、肺浸潤などはほぼ

改善されるが、CSS 及び AGA 患者のうちステロイド療法に抵抗性の症例では血管炎症状の

一つである多発性単神経炎が約 30%も残ると報告されている[文献 3]。多発性単神経炎によ

る重症な運動・感覚障害が後遺症になり、日常生活の動作に障害を残して患者の社会復帰を

妨げることが問題となっている。また、長期間に及ぶステロイド療法が必要なため、副作用

の発現が懸念される。

現在、ステロイド療法に抵抗性の神経障害に対する有用な治療薬はなく、CSS 及び AGA

の神経障害を改善することは、患者の QOL 向上のために重要である。

7

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

表 1.5.2-5 治療指針(厚生労働省 厚生科学特定疾患対策研究事業 難治性血管炎に関する調

査研究班, 2002 年)[文献 1]

1.基本的治療(免疫抑制療法)

メチルプレドニゾロン 0.5~1.0 g/日のパルス療法を 3 日間施行し、その後経口的にプ

レドニゾロン 40 mg/日を 8 週間投与する。その後は臨床症状、検査所見、特に好酸球

数を参考にして漸減、維持療法に移る。多くの例はステロイドの治療のみで寛解するが、

ステロイド投与量をあまり早く減量すると再発することがある。

血管炎症候群の著しい例にはシクロフォスファミド、もしくはアザチオプリン 50~

100 mg/日を併用する。これらの免疫抑制剤は医薬品適用外の薬剤であり、使用にあた

っては十分なインフォームド・コンセントをとり、副作用に十分注意する。

2.気管支喘息に対する治療

一般の気管支喘息に用いられる薬剤を適宜使用する。

3.多発性単神経炎の運動療法には、リハビリテーションを行う。

1.5.3 起源又は発見の経緯

本剤は、人免疫グロブリンの鎖間ジスルフィド結合を選択的にスルホ化することにより、

Fc活性を保持したまま補体の異常な活性化を抑制した完全分子型静注用人免疫グロブリン製

剤である。帝人株式会社(現、帝人ファーマ株式会社。以下、「帝人」という)が創案し、財

団法人化学及血清療法研究所(以下、「化血研」という)との共同開発により本邦で初めて製

剤化されたIVIgである。現在、「献血ベニロンⓇ-Ⅰ」として化血研が製造し、本邦で化血研及

び帝人が販売している。本剤は、免疫グロブリンG(IgG)鎖間のジスルフィド結合のみを選

択的にスルホ化することにより、静注時の安全性が確保されている。また、種々の細菌、毒

素、ウイルスなどに対する特異抗体を有し、IgG分子のFc活性を保持した完全分子型であるた

め感染症治療に対するオプソニン効果、溶菌活性などの作用が認められている。更に、血小

板減少抑制作用、冠動脈障害抑制効果、末梢神経障害の抑制作用が認められている。

本剤は、昭和 54 年(1979 年)5 月 22 日に「低又は無ガンマグロブリン血症」及び「重症

感染症における抗生物質との併用」を適応症として、2,500~5,000 mg の点滴静注又は直接静

注にて製造承認を得て、昭和 55 年(1980 年)2 月 1 日に薬価収載された。なお、「重症感染

症における抗生物質との併用」の適用については再評価の結果、承認内容と同じであること

が確認された(2001 年 8 月)。

また、特発性血小板減少性紫斑病に対して、血小板数の増加作用とこれに伴う出血症状の

改善作用を有することが確認され、昭和 60 年(1985 年)4 月 16 日に「特発性血小板減少性

紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要

とする場合)」を適応症として、200~400 mg/kg 体重/日、5 日間の用法・用量にて効能・効

果が追加された。更に、川崎病の急性期における冠動脈障害に対する抑制効果が確認され、

平成 2 年(1990 年)9 月 28 日に「川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険が

ある場合)」を適応症として、200 mg/kg 体重/日、5 日間の用法・用量にて効能・効果が追加

8

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

された。その後、川崎病の急性期において平成 15 年(2003 年)7 月 1 日、2,000 mg/kg 体重、

1 回投与の用法・用量追加が認められた。更に、平成 12 年(2000 年)12 月 12 日に「ギラン・

バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)」を適応症として、400 mg/kg 体重/日、5 日

間の用法・用量にて効能・効果が追加された。

平成 年(20 年) 月 日に に対して、

を実施

中である。

また、現在、 症を対象とした本剤の臨床試験を実施している。

なお、昭和 54 年(1979 年)5 月の製造承認取得時は輸入由来原料血漿を使用していた(製

品名「ベニロンⓇ」)が、平成 3 年(1991 年)7 月 10 日に国内献血由来原料血漿を使用した製

品(製品名「献血ベニロンⓇ-I」)として製造承認を受けた。更に医療事故防止のための販売

名変更により代替新規申請を行い、平成 21 年(2009 年)6 月 23 日に製品名「献血ベニロンⓇ

-Ⅰ静注用 500mg」、「献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 1000mg」、「献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 2500mg」、

「献血ベニロンⓇ-Ⅰ静注用 5000mg」として新たに製造承認を受けた。

本剤は生物学的製剤基準に準拠して製造され、本剤の原材料となる献血者の血液について

は、HBs 抗原、抗 HCV 抗体、抗 HIV-1 抗体、抗 HIV-2 抗体及び抗 HTLV-I抗体陰性で、か

つ ALT(GPT)値でスクリーニングを実施している。また、原料血漿については HIV、HBV、

HCV、HAV 及びヒトパルボウイルス B19 について核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した

血漿を本剤の製造に使用している。本剤の製造工程では、ウイルスの不活化及び除去を目的

とした Cohn の低温エタノール分画、スルホ化処理及びウイルス除去膜処理を実施している。

1.5.4 開発の経緯

CSS 及び AGA の発症や病態進展の機序は不明な点が多いが、免疫応答の異常亢進が病因

と考えられている。CSS 及び AGA の基本的治療はステロイド剤又はステロイド剤と免疫抑

制剤の併用投与により行われるが、多発性単神経炎は基本的治療に対して抵抗性を示すこと

が多い。一方、免疫グロブリンは抗炎症作用をはじめとした多様な免疫調節作用を有するこ

とが知られ、多くの自己免疫疾患において有効性が示されている。CSS 及び AGA において

も全身性血管炎に対して有効であったとする論文が下記のように報告されている。

本邦では CSS 及び AGA に対する IVIg の臨床効果に関する治療報告がある[文献 17、18、

19、20]。既存薬(ステロイド剤など)による治療で血管炎症状が改善しない CSS 患者(全

例で末梢神経障害が残存)を対象に、IVIg の大量療法(400 mg/kg 体重/日、5 日間)を実施

した結果、15 例中 13 例が投与終了後 1 週間以内に運動神経障害を改善したと報告されてい

る[文献 20]。

海外では CSS 及び AGA の全身性血管炎に対して IVIg が有効であったとする報告[文献

21、22、23、24]があり、ステロイド療法が著効するがステロイド剤の漸減により再発する

CSS 患者において、IVIg の併用によりステロイド剤を減量した状態で症状が安定化したと報

告されている[文献 21]。また、高用量のステロイド療法によっても好酸球の増加、呼吸困

9

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

難の増悪、重篤な発作を起こす CSS 患者における IVIg の著明な改善効果が報告されている

[文献 23]。

これらの文献報告を参考に、ステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA

患者を対象に、本邦で帝人が 20 年 月~20 年 月に本剤の第Ⅱ相試験を実施した。そ

の後、20 年 月及び 月に医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び独立行政法人医

薬品医療機器総合機構(以下、「医薬品機構」という)への治験相談を実施し、その内容を踏

まえて 20 年 月~20 年 月に第Ⅲ相試験を実施した(相談記録は CTD1.13 に添付)。

また、20 年 月の 相談後に希少疾病用医薬品指定申請書を厚生労働省に提出し、

本効能・効果に対して、平成 20 年(2008 年)12 月に厚生労働省より希少疾病用医薬品とし

て指定「指定番号(20)薬第 218 号」を受けた。

なお、本製造販売一部変更承認申請は、製造元である化血研が行う。

本剤の開発の経緯図を図 1.5.4-1 に示す。

試験項目 担

20 年

20年

20 年

20年

20年

20年

20 年

試験報

告書添

付場所

第Ⅱ相 探索試験

人5.3.5.2.1

験 第Ⅲ相 投与時期無作

為化前後比較

試験

人5.3.5.1.1

図 1.5.4-1 開発の経緯図

1.5.4.1 非臨床試験

(1) 薬効薬理

CSS 及び AGA は、気管支喘息と末梢又は組織における好酸球増加を先行症状とする全身

性の血管炎で、血管炎の一症状である多発性単神経炎はほぼ 100%の患者に発現する[文献 3]。

患者がアレルギー素因を有することや、患者の血液中に自己抗体である ANCA が検出される

ことなどから、免疫応答の異常亢進が病因と考えられているが、詳細は解明されていない。

CSS 及び AGA の治療ではステロイド剤が用いられるが、ステロイド療法に抵抗性で、多発

性単神経炎の後遺症が約 30%に認められる[文献 3]ことが問題となっており、新たな治療

薬が望まれている。

非臨床においては、CSS 及び AGA の病態を再現する全身性の血管炎モデルは報告されて

いない。また、血管炎に基づく多発性単神経炎を呈する動物モデルも報告されていないため、

CSS 及び AGA に対する新規薬剤の有効性を非臨床試験で評価することは非常に困難である。

一方、IVIg は様々な自己免疫疾患において治療効果を示すことが報告され、その有効性は免

10

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

疫グロブリンの有する多様な免疫調節作用に基づくと考察されている[文献 25、26、27]。本

申請では、薬理試験を行う代わりとして、公表論文で報告されている免疫グロブリンの作用

に基づき、IVIg 製剤である本剤の CSS 及び AGA における有効性を考察した。

CSS 及び AGA における免疫グロブリンの有効性には、抗炎症作用が大きな役割を果たし

ていると考えられる。免疫グロブリンの抗炎症作用としては、炎症性サイトカインの産生抑

制[文献28、29]、細胞増殖抑制[文献 30]、アポトーシス誘導[文献 31、32、33]、活性化

好酸球数の抑制[文献 20]などの多くの作用が報告されている。作用機序についても多くの

論文が報告されており、特に IgG の Fc フラグメントとエフェクター細胞上の Fc ガンマ受容

体との相互作用が重要な役割を果たすと考察する総説は多い[文献25、26、27、34]。また、自

己免疫反応やアレルギー反応の誘発を抑制する制御性 T 細胞(Treg)に対する免疫グロブリ

ンの作用も注目されており、高濃度の IgG が Treg に作用してその機能を増強させ、炎症を抑

制する方向に作用すると報告されている[文献 35]。 近、免疫グロブリンの Treg に対する

作用機序を考察する論文が報告され[文献 36]、これまでの IVIg 投与による抗炎症作用の発

現を強く裏付ける分子メカニズムとして注目されている[文献 36]。また、IVIg に含まれる

多様な抗体による中和作用も有効性に寄与すると考えられている[文献 27]。これらの作用

は、既に報告されている自己免疫疾患における IVIgの治療効果を強く裏付けるものと考えられ、

CSS 及び AGA の患者においても同様の作用機序によって抗炎症作用が発現し、疾患に関わ

るエフェクター細胞の機能が抑制されて、疾患が改善されることが期待される。また、免疫

グロブリンには、ステロイド剤との併用による細胞増殖抑制作用の増強[文献 30、37]やサイ

トカイン産生抑制作用の増強[文献 30]といったステロイド感受性亢進作用が報告されている。

CSS 及び AGA においては IVIg 投与による血管炎の改善とステロイド剤の減量効果が示され

ているが、作用機序としては免疫グロブリンの抗炎症作用に加えステロイド感受性亢進作用

も寄与していると考えられる。

本剤は IVIg 製剤であることから、免疫グロブリンの作用に関する論文報告と同様の免疫調

節作用に基づく抗炎症作用、抗原抗体反応による中和作用、及びステロイド感受性亢進作用

を有することが期待される。抗イディオタイプ抗体や自己抗原に反応する自然抗体、抗サイ

トカイン抗体も抗炎症作用に寄与すると考えられている[文献 26]。

以上のことから、本剤はこれらの作用に基づいて CSS 及び AGA 患者におけるステロイド

剤の効果が不十分な多発性単神経炎を改善し、神経障害を軽減する治療薬となることが期待

される。

1.5.4.2 臨床試験

CSS 及び AGA の患者数が極めて少ないため、対照群を置いた二重盲検並行群間比較試験

によって有効性を統計学的に検証することが困難である。そこで、図 1.5.4-2 に示すようにス

テロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者を対象に、第Ⅱ相探索試験(

治験実施計画書番号:GGS-CSS-1)及び第Ⅲ相投与時期無作為化前後比較試験(治験実施計

画書番号:GGS-CSS-2)の 2 試験を本剤の臨床データパッケージとした。本申請における評

価資料はこの 2 試験である。

11

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

8 例 23 例

第Ⅲ相試験 対象:ステロイド療法に抵抗性

の神経障害を有する CSS及び AGA 患者

用量:400 mg/kg 体重/日、5 日間

プラセボ、5 日間×2 デザイン:二重盲検投与時期無作

為化前後比較 主要評価:MMT スコア合計の 2

週間後の変化量

第Ⅱ相試験 対象:従来療法に抵抗性の神経障

害・心機能障害を有する

CSS 患者 用量:400 mg/kg 体重/日、5 日間

(1 クール又は 2 クール)

デザイン:非盲検非対照 評価項目:Barthel Index、腱反射、

感覚障害、MMT、ピン

チ力検査の 1 週間後及

び 1 ヵ月後の変化

図 1.5.4-2 本剤の臨床データパッケージ

(1) 第Ⅱ相試験(治験実施計画書番号:GGS-CSS-1)[CTD 2.5.4.1、CTD 2.5.5.2 参照]

まず 20 年 月~20 年 月に、適切な有効性評価指標の探索及び安全性を検討するた

めに、多施設共同オープン(第Ⅱ相)試験を実施した。従来療法(ステロイド剤・免疫抑制

剤)に抵抗性の神経障害・心機能障害を有する CSS 患者(8 例)を対象に、本剤 400 mg/kg

体重/日、5 日間を静脈内点滴投与(4 例は 2 クール投与)した。

1) FAS 解析対象 8 例において、神経障害の評価項目である徒手筋力検査(MMT)スコア

合計の変化について観察した結果、MMT スコア合計の平均値が本登録時 115.19 に比べ、

本剤投与開始 1 週間後 123.71 及び 1 ヵ月後 127.93 に増加した。

2) MMT スコア 3 以下箇所数の平均値は、本登録時 9.0 に比べ、本剤投与開始 1 週間後 6.0

及び 1 ヵ月後 4.0 に減少した。

3) 被験者の日常生活における総合的な運動機能を評価した Barthel Index の平均値は、本登

録時 78.1 に比べ、本剤投与開始 1 週間後 80.7 及び 1 ヵ月後 83.6 に増加した。

4) 安全性解析対象 8 例中、有害事象は 7 例 31 件認められた。重篤な有害事象が 2 例 8 件

認められ、そのうち貧血、血小板減少症(1 例 2 件)は因果関係が否定されなかった。因

果関係が否定されず副作用と判定された有害事象が 5 例 7 件に発現し、血小板減少症 2

件、貧血、食欲減退、頭痛、白血球数減少、好中球百分率減少 各 1 件が認められた。

第Ⅱ相試験成績より、ステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 患者に対し、MMT

スコア合計の 1 週間後の変化量などで本剤の有効性が示唆された。また、第Ⅲ相試験では

MMT スコア合計を主要評価項目にすることが適切であると判断した。

12

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

(2) 第Ⅲ相試験(治験実施計画書番号:GGS-CSS-2)[CTD 2.5.4.2、CTD 2.5.5.2 参照]

第Ⅱ相試験後、治験相談での医薬品機構の助言を踏まえ、20 年 月~20 年 月に、ス

テロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者(23 例)を対象に、本剤 400

mg/kg 体重/日、5 日間静脈内点滴投与とし、プラセボ投与時期を設けた二重盲検投与時期無

作為化前後比較試験を実施した。第Ⅱ相試験で本剤投与開始 1 週間後に改善した MMT スコ

ア合計の変化量が、本剤投与開始 1 ヵ月後に改善した MMT スコア合計の変化量と同程度で

あったことから、本剤投与までの期間及び投与期間中の長期入院による被験者への負担を考

慮し、第Ⅲ相試験では治験薬の投与間隔を 2 週間と設定し、本剤投与直前から本剤投与開始

2 週間後の MMT スコア合計の変化量を検討することを主目的とした。また治験薬を投与し

た 23 例を FAS( 大の解析対象集団)及び安全性解析対象集団とした。

1)有効性の主要評価項目である本剤投与直前から本剤投与開始 2 週間後の MMT スコア合計

の変化量を観察した結果、MMT スコア合計の平均値が 7.13 増加し、統計学的に有意な改

善を示した(95%信頼区間 2.91 ~ 11.35、P = 0.002)。

2)第 1 期間の投与前後(2 週間後)の MMT スコア合計の変化量について、本剤投与群(A

群)とプラセボ投与群(B 群+C 群)を比較した結果、プラセボ投与群に比べて本剤投与群

の MMT スコア合計の変化量は大きい傾向を示した(群間差 4.99、95%信頼区間 -0.64 ~

10.63)。

3)本剤投与直前から本剤投与開始 2 週間後の MMT スコア 3 以下箇所数の変化量を観察した

結果、MMT スコア 3 以下箇所数が有意に減少し、改善を示した(平均値 -2.7、95%信頼区

間 -4.4 ~ -0.9、P = 0.004)。

4)第 1 期間の投与前後(2 週間後)の MMT スコア 3 以下箇所数の変化量について、本剤投

与群(A 群)とプラセボ投与群(B 群+C 群)を比較した結果、プラセボ投与群に比べて本

剤投与群の MMT スコア 3 以下箇所数が有意に減少した(群間差 -3.5、95%信頼区間 -6.5

~ -0.4、P = 0.028)。

5)個々の MMT スコアの推移について、本剤投与前に障害のあった箇所が本剤投与開始 2 週

間後に改善された割合は 38.7%(161 箇所/ 416 箇所)、4 週間後は 54.6%(227 箇所/ 416

箇所)、8 週間後は 63.0%(262 箇所/ 416 箇所)であった。

また、本剤投与前に MMT スコア 3 以下の重度の障害があった箇所が本剤投与開始 2 週

間後に改善された割合は 46.0%(104 箇所/ 226 箇所)、4 週間後は 59.7%(135 箇所/ 226

箇所)、8 週間後は 70.4%(159 箇所/ 226 箇所)であった。

次に、第 1 期間の個々の MMT スコアの推移について、本剤投与群(A 群)とプラセボ

投与群(B 群+C 群)との間で比較した。その結果、プラセボ投与群に比べ本剤投与群が

統計学的に有意な MMT スコアの改善を示した(P<0.001)。第 1 期間の投与前後(2 週間

後)で 1 段階以上改善された割合は、プラセボ投与群 22.5%(64 箇所/ 284 箇所)に比べ、

本剤投与群では 38.5%(67 箇所/ 174 箇所)であった。また、MMT スコアが 3 以下であっ

た箇所の第 1 期間投与前後の改善割合は、プラセボ投与群 20.0%(31 箇所/ 155 箇所)に

比べ、本剤投与群は 51.1%(45 箇所/ 88 箇所)であった。このことから、プラセボに比べ

本剤は、重度の神経障害が残存する障害箇所を改善することが示された。

13

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

6)本剤投与直前から本剤投与開始 8 週間後までの MMT スコアについて、全群をまとめて検

討した結果、本剤 400 mg/kg 体重/日、5 日間静脈内投与による改善効果は、8 週間持続し

た。

本剤投与直前から本剤投与開始 8 週間後の MMT スコア合計の変化量(平均値)は、13.65

であった。また、MMT スコア 3 以下箇所数(平均値)は、本剤投与直前は 9.8 箇所、本剤

投与開始 8 週間後は 4.9 箇所に減少した。

7)Modified Barthel Index の本剤投与直前から本剤投与開始 2 週間後の変化量は、改善の傾

向を示した。

上肢の機能が反映すると考えられる食事、下肢の機能が反映すると考えられる歩行及び

階段の昇降に着目し、要介助の状態(スコア 3 以下)から介助の必要がない状態(スコア

4 以上)に改善した被験者数を集計した。

その結果、本剤投与開始 2 週間後に、食事の動作では 5 例中 1 例、歩行では 6 例中 1

例、階段の昇降では 10 例中 2 例がスコア 4 以上に改善した。更に、本剤投与開始 8 週

間後には、食事の動作では 5 例中 4 例、歩行では 6 例中 3 例、階段の昇降では 10 例中 4

例がスコア 4 以上に改善した。

8)安全性解析対象 23 例中、有害事象は本剤投与後に 22 例 59 件認められた。重篤な有害

事象として肺炎、尿路感染(2 例 2 件)が認められたが、いずれも治験薬との関連性は否

定された。因果関係が否定できず副作用と判定された有害事象が 14 例に 21 件発現し、頭

痛、ALT 増加、倦怠感などが認められた。治療を必要とする中等度の副作用として、頭痛、

注射部位そう痒感、末梢性浮腫、白血球数減少 各 1 件が認められたが、回復した。

第Ⅲ相試験成績より、ステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者に

対し、本剤の有効性が認められ、新たな安全性の問題は認められなかった。また、第Ⅲ相試

験は第Ⅱ相試験の結果を再現したと考えられるものであり、これらの試験成績が頑健である

ことを示している。これら 2 つの試験結果から、本剤のステロイド療法に抵抗性の神経障害

を有する CSS 及び AGA 患者に対する有効性は示されたと考える。

1.5.4.3 治験相談

CSS 及び AGA の患者数が極めて少ないため、対照群を置いた二重盲検並行群間比較試験

によって有効性を統計学的に検証することが困難であることから、本剤の臨床開発に関して

平成 年(20 年) 月に医薬品機構との 相談、及び平成 年(20

年) 月に 相談を実施した。更に、 、平成 年(20 年) 月

に 相談を行った。主な相談内容を以下に示し、治験相談記録は CTD1.13 に添付した。

(1) 相談(受付番号 )

、20 年 月 日に、

について、治験相談を実施した。

14

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

医薬品機構より、

と助言を受け

た。

(2) 相談(受付番号 )

、20 年 月 日に、 について

治験相談を実施した。

について、相談した。

医薬品機構より、

ように、助言を受けた。

治験相談結果に基づき、専門家と共に第Ⅲ相試験の治験実施計画書を再検討し、本剤投与

時期と 2 回のプラセボ投与時期を設けた二重盲検投与時期無作為化前後比較試験デザインを

計画した。対象はステロイド療法に抵抗する神経障害を有する CSS 及び AGA 患者(目標症

例数 21 例)とし、本剤投与直前から投与開始 2 週間後の MMT スコア合計変化量を主要評価

項目に設定した。

(3) 相談(受付番号 )

、20 年 月 日までに、

について、 相談を実施した。

医薬品機構より、

助言を受けた。

1.5.5 特徴

(1) CSS及びAGA患者に対して、基本的治療のステロイド療法では治療効果が得られなかった神

経障害を短期間で改善する

ステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者(23 例)を対象とした第

Ⅲ相試験の結果、本剤 400 mg/kg 体重/日、5 日間静脈内投与した際、2 週間後の MMT スコ

15

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

ア合計が有意に増加した(平均値 7.13、95%信頼区間 2.91 ~ 11.35、P = 0.002)。また、第 1

期間投与前後(2 週間後)の MMT スコア合計の変化量の平均値は、プラセボ投与群(3.13)

に比べ本剤投与群(8.13)は改善した[CTD 2.5.4.2 参照]。

更に、個々の MMT スコアの推移を分析した結果、本剤投与開始前に障害のあった箇所の

改善率は 2 週間後に 38.7%(161 箇所/ 416 箇所)、4 週間後に 54.6%(227 箇所/ 416 箇所)、

8 週間後に 63.0%(262 箇所/ 416 箇所)であった[CTD 2.5.4.2 参照]。

MMT スコア合計 7.13 の変化は、本剤投与開始 2 週間後に MMT スコア障害箇所の 38.7%

を改善することを示しており、これまでのステロイド療法では治療効果が得られなかった神

経障害を、本剤は投与直後から短期間で改善することが確認された。

(2) 重度の神経障害部位にも改善効果を示す

MMT スコア 3 とは、抵抗が加わると関節運動ができない筋力低下であり、上下肢を動か

すことはできても日常生活上は支障をきたす状態である。MMT スコア 3 以下箇所数が、本剤

投与開始 2 週間後に有意に減少した(平均値 -2.7、 95%信頼区間 -4.4 ~ -0.9、P=0.004)。

また、第 1 期間投与前後(2 週間後)の MMT スコア 3 以下箇所数の変化量の平均値は、プ

ラセボ投与群(-0.5)に比べ、本剤投与群(-4.0)で有意に減少した(P=0.028)[CTD 2.5.4.2

参照]。

更に、MMT スコア 3 以下の箇所において、個々の MMT スコアの推移より分析した結果、

本剤投与開始 2 週間後に 1 段階以上改善された割合は 46.0%(104 箇所/ 226 箇所)、4 週間

後では 59.7%(135 箇所/ 226 箇所)、8 週間後では 70.4%(159 箇所/ 226 箇所)であった。

また、プラセボとの効果の差を検討するため個々の MMT スコアの推移を分析した。その結

果、MMT スコア 3 以下箇所において第 1 期間投与前後(2 週間後)に 1 段階以上改善され

た割合は、プラセボ投与群が 20.0%(31 箇所/ 155 箇所)に比べ、本剤投与群は 51.1%(45 箇

所/ 88 箇所)であり、重度の障害部位の神経障害を改善することが確認された[CTD 2.5.4.2

参照]。

したがって、MMT スコアを 4 以上に改善させ、上肢・下肢を自立して運動できるように

する本剤は有用であると考える。

また、MMTスコア0であった11 箇所中、本剤投与開始2 週間後に8 箇所が改善し、8 週

間後では 10 箇所が改善した[CTD 2.7.6.2 参照]。本剤投与により上肢・下肢が動かすこと

ができなかった状態から、動かすことができる状態へと変化することが確認された。

(3) 長期間にわたり神経障害改善効果が持続する

第Ⅲ相試験の結果、本剤 400 mg/kg 体重/日、5 日間静脈内投与による神経障害の改善効果

は、少なくとも 12 週間持続した[CTD 2.5.4.2 参照]。本剤 1 クールの投与にて長期間の神経

障害改善効果を示すことが確認された。

(4) 患者の運動や動作に関するQOLを向上させ、早期の社会復帰を可能にする

本剤の日常生活に対する効果について、Modified Barthel Index の個々の推移より分析した

結果、下肢の機能が反映すると考えられる歩行及び階段の昇降、上肢の機能が反映すると考

16

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

えられる食事の各項目で 1~3 段階の改善が認められた。また、介助が必要であった(スコ

ア 3 以下)被験者に着目すると、本剤投与開始 8 週間後に歩行では 6 例中 3 例、階段の昇

降では 10 例中 4 例、食事の動作では 5 例中 4 例で介助の必要がなくなった[CTD 2.5.4.2

参照]。

CSS 及び AGA 患者はステロイド療法に抵抗性の神経障害により、上肢・下肢の筋力が低

下し、歩行困難など日常生活に著しい影響を受けている場合がある。本剤は、患者の運動や

動作に関する QOL を向上させ、早期の社会復帰に貢献できるものと考える。

1.5.6 本剤の臨床的位置付け

第Ⅲ相試験では、従来療法[A:寛解導入療法として、ステロイド剤をプレドニゾロン換

算で 40 mg/日以上(パルス療法を含む)を 4 週間以上、その後 B:漸減後に維持療法として、

ステロイド剤をプレドニゾロン換算で 5 mg/日以上 20 mg/日以下の一定用量を 4 週間以上]

を同意取得時まで実施した患者を登録した。被験者はステロイド療法を実施したにもかかわ

らず、本登録時の MMT スコア合計の平均値は 109.16(範囲:62.0~129.0)であり、MMT ス

コア 3 以下となる障害を有し上肢や下肢を自立して動かすことは困難であった。第Ⅲ相試験

の結果、本剤 400 mg/kg 体重/日、5 日間投与において、投与後 2 週間で神経障害の改善が認

められた。また、有害事象に関して、重篤な副作用の発現もなく、本剤の安全性に大きな問

題はなかった。

これまで CSS 及び AGA 患者に対し、500~1,000 mg/日のステロイドパルス療法を 3 日間

施行し、40 mg/日の経口ステロイド剤を 8 週間投与する寛解導入療法が行われ、その後、漸

減し維持療法が数年間継続されている。血管炎症状が著しい場合は免疫抑制剤が保険適用外

であるが投与されている。しかし、これまでの治療を実施しても多発性単神経炎が CSS 及び

AGA 患者の約 30%[文献 3]も残り、重症な運動・感覚障害が後遺症となる患者の存在が問

題となっている。本剤は従来の治療ではこれまで治療効果を得られなかった神経障害を短期

間に改善し、日常生活に支障を来たしている CSS 及び AGA 患者の QOL 向上に貢献するもの

と考える。現在、CSS 及び AGA の治療において、ステロイド療法に抵抗性の神経障害を改

善する治療薬はなく、本剤の医療上の有用性は高いものと考える。

17

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

1.5.7 参考文献

文献番号 著者・表題・文献 CTD

資料番号

1 橋本 博史. 難治性血管炎の診療マニュアル 厚生労働省厚生科学特定疾患対

策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班報告書. 2002. 5.4-1

2 Masi AT, Hunder GG, Lie JT, Michel BA, Bloch DA, AREND WP, et.al. The American college of rheumatology 1990 criteria for the classification of Churg-Strauss syndrome (allergic granulomatosis and angiitis). Arthritis Rheum. 1990; 33(8):1094-1100.

5.4-2

3 長沢 俊彦. アレルギー性肉芽腫性血管炎. アレルギー. 1991; 40(1): 1-7. 5.4-3 4 橋本 博史. 血管炎-アレルギー性肉芽腫性血管炎を中心として. アレルギー.

2003; 52(5): 481-4. 5.4-4

5 小林 朋子、橋本 修. ANCA 関連血管炎と肺病変. 呼吸と循環. 2003; 51(4): 357-66.

5.4-5

6 谷口 正実、末次 勸. Churg-Strauss 症候群. 日胸 1997; 56(10): 813-24. 5.4-6 7 橋本 博史、磯部 幸雄、竹内 健、樺沢 一之、長沢 俊彦、小泉 富美朝. アレ

ルギー性肉芽腫性血管炎の診断基準に関する検討. リウマチ. 1992; 32(4): 292-9.

5.4-7

8 Hattori N, Ichimura M, Nagamatsu M, Li M, Yamamoto K, Kumazawa K, et.al. Clinicopathological features of Churg-Strauss syndrome-associated neuropathy. Brain. 1999; 122: 427-39.

5.4-8

9 Chumbley LC, Harrison EG, DeRemee RA. Allergic Granulomatosis and Angiitis ( Churg-Strauss syndrome ) - Report and analysis of 30 cases. Mayo Clin Proc. 1997; 52: 477-84.

5.4-9

10 Gayraud M, Guillevin L, Toumelin P, Cohen P, Lhote F, Casassus P, et al. Long-term followup of Polyarteritis Nodosa, Microscopic Polyangiitis, and Churg-Strauss syndrome. Arthritis Rheum. 2001; 44(3) : 666-75.

5.4-10

11 Guillevin L, Lhote F, Gayraud M, Cohen P, Jarrousse B, Lortholary O, et al. Prognostic factors in polyarteritis nodosa and Churg-Strauss syndrome. A prospective study in 342 patients. Medicine. 1996; 75: 17-28.

5.4-11

12 橋本 博史、矢野 哲郎、安倍 達、尾崎 承一、細田 泰弘、長沢 俊彦、他. 中・

小型血管炎の全国疫学調査. 厚生省特定疾患難治性血管炎調査研究班 1995年度研究報告書. 1996; 9-21.

5.4-12

13 松本 美富士、稲葉 裕、中山 登志子、玉腰 暁子、大野 良之、小林 茂人、他. 難治性血管炎(抗好中球細胞質抗体関連血管炎症候群、抗リン脂質抗体症候群、

側頭動脈炎)全国疫学調査の基本的疫学像. 難治性血管炎分科会 平成 10 年

度研究報告書. 1999; 15-23.

5.4-13

14 難病情報センター. アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス症候

群). URL: http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/005_i.htm

5.4-14

15 株式会社 . Churg-Strauss 症候群の受診患者数に関する調

査 2004 年. 社内資料 5.4-15

16 帝人ファーマ株式会社 . CSS/AGA 受診患者数に関する調査 結果報告書

2004 年. 社内資料 5.4-16

17 石井 孝典、友 雅司、金子 啓二、柴田 哲雄、田代 隆良、那須 勝、他. アレ

ルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)にネフローゼ症候群を合併した 1 症例. 日本

腎臓学会誌 1989; 31(12): 1340.

5.4-17

18 谷口 正実、廣瀬 邦彦、大河原 重栄、田中 一徹、中村 慎吾、佐藤 元彦、他. ステロイドパルス療法とシクロフォスファミドに抵抗するもガンマグロブリ

ン大量投与が奏効した Churg Strauss Syndrome の 1 例. 間質性肺疾患研究会議

事録. 1996; 55: 79-84.

5.4-18

18

GGS-CSS 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

文献番号 著者・表題・文献 CTD

資料番号

19 釣木澤 尚実、秋山 一男. Churg-Strauss 症候群と神経症状(ニューロパチー). 呼吸. 2003; 22: 349-56.

5.4-19

20 Tsurikisawa N, Taniguchi M, Saito H, Himeno H, Ishibashi A, Suzuki S, et.al. Treatment of Churg-Strauss syndrome with high-dose intravenous immunoglobulin. Ann Allergy Asthma Immunol. 2004; 92(1): 80-7.

5.4-20

21 Hamilos DL, Christensen J. Treatment of Churg-Strauss syndrome with high-dose intravenous immunoglobulin. J Allergy Clin Immunol. 1991; 88(5): 823-4.

5.4-21

22 Armentia A, Fernandez A, Sanchez P, de la Fuente R, Sanchis E, Mendez J, et al. Asthma and vasculitis. Response to intravenous immunoglobulins. Allergol Immunopathol (Madr). 1993; 21(2): 47-52.

5.4-22

23 Levy Y, George J, Fabbrizzi F, Rotman P, Paz Y, Shoenfeld Y. Marked improvement of Churg -Strauss vasculitis with intravenous gammaglobulins. South Med J. 1999; 92 (4): 412-4.

5.4-23

24 Levy Y, Sherer Y, George J, Langevitz P, Ahmed A, Bar-Dayan Y, et al. Serologic and clinical response to treatment of systemic vasculitis and associated autoimmune disease with intravenous immunoglobulin. Int Arch Allergy Immunol. 1999; 119 (3): 231-8.

5.4-24

25 Nimmerjahn F, Ravetch JV. Anti-inflammatory actions of intravenous immunoglobulin. Annu Rev Immunol. 2008; 26: 513-33.

4.3-1

26 Nimmerjahn F, Ravetch JV. The antiinflammatory activity of IgG: the intravenous IgG paradox. J Exp Med. 2007 Jan 22; 204(1): 11-5.

4.3-2

27 Negi VS, Elluru S, Siberil S, Graff-Dubois S, Mouthon L, Kazatchkine MD, et al. Intravenous immunoglobulin: an update on the clinical use and mechanisms of action. J Clin Immunol. 2007; 27(3): 233-45.

4.3-3

28 Abe Y, Horiuchi A, Miyake M, Kimura S. Anti-cytokine nature of natural human immunoglobulin: one possible mechanism of the clinical effect of intravenous immunoglobulin therapy. Immunol Rev. 1994; 139:5-19.

4.3-4

29 Andersson U, Bjork L, Skansen-Saphir U, Andersson J. Pooled human IgG modulates cytokine production in lymphocytes and monocytes. Immunol Rev. 1994; 139: 21-42.

4.3-5

30 Yoon JS, Kim HH, Han JW, Lee Y, Lee JS. Effects of intravenous immunoglobulin and methylprednisolone on human umbilical vein endothelial cells in vitro. Immunobiology. 2006;211(5):351-7.

4.3-6

31 Tsujimoto H, Takeshita S, Nakatani K, Kawamura Y, Tokutomi T, Sekine I. Intravenous immunoglobulin therapy induces neutrophil apoptosis in Kawasaki disease. Clin Immunol. 2002; 103(2): 161-8.

4.3-7

32 Yi QJ, Li CR, Yang XQ. Effect of intravenous immunoglobulin on inhibiting peripheral blood lymphocyte apoptosis in acute Kawasaki disease. Acta Paediatr. 2001; 90(6): 623-7.

4.3-8

33 Nakatani K, Takeshita S, Tsujimoto H, Sekine I. Intravenous immunoglobulin (IVIG) preparations induce apoptosis in TNF-alpha-stimulated endothelial cells via a mitochondria-dependent pathway. Clin Exp Immunol. 2002; 127(3): 445-54.

4.3-9

34 Nimmerjahn F, Ravetch JV. Fcgamma receptors as regulators of immune responses. Nat Rev Immunol. 2008; 8(1): 34-47.

4.3-10

35 Kessel A, Ammuri H, Peri R, Pavlotzky ER, Blank M, Shoenfeld Y, et al. Intravenous immunoglobulin therapy affects T regulatory cells by increasing their suppressive function. J Immunol. 2007; 15; 179(8): 5571-5.

4.3-11

36 De Groot AS, Moise L, McMurry JA, Wambre E, Van Overtvelt L, Moingeon P, et al. Activation of natural regulatory T cells by IgG Fc-derived peptide "Tregitopes". Blood. 2008 Oct 15;112(8):3303-11.

4.3-12

37 Spahn JD, Leung DY, Chan MT, Szefler SJ, Gelfand EW. Mechanisms of glucocorticoid reduction in asthmatic subjects treated with intravenous immunoglobulin. J Allergy Clin Immunol. 1999 Mar;103(3 Pt 1):421-6.

4.3-13

19

1.6 外国における使用状況等に関する資料

GGS-CSS 1.6 外国における使用状況等に関する資料

1

1.6 外国における使用状況等に関する資料

2009 年 8 月現在、本剤は外国では販売されていない。また、外国において、CSS 及び AGA

の効能・効果を承認取得している静注用人免疫グロブリン製剤はない。

1.7 同種同効品一覧表

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表

1

1.7 同種同効品一覧表

本邦では、今回申請する「次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分

な場合に限る) チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎」を効能・効

果に有する医薬品はない。

同種同効品として、本邦で承認されている「静注用人免疫グロブリン製剤」である 3 製剤

(表 1.7-1)及び本剤の効能・効果、用法・用量、使用上の注意などの情報を表 1.7-2、3、4、

5 に示す。

表1.7-1 同種同効品一覧表

医薬品製造販売業者 販売名 生物基準名

乾燥ポリエチレングリコー

ル処理人免疫グロブリン

pH4 処理酸性人免疫グロブ

リン

ポリエチレングリコール処

理人免疫グロブリン

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

2

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

承 認 年 月 日 1991 年 7 月 10 日(500mg、1,000mg、2,500mg) 2000 年 12 月 13 日(5,000mg)

再 評 価 年 月 日 再 審 査 年 月 日

2001 年 8 月(再評価結果) 2003 年 6 月(再審査結果)

製 剤 1 バイアル中スルホ化人免疫グロブリン G として 500mg、1,000mg、2,500mg、5,000mg 含有

規 制 区 分 特定生物由来製品、処方せん医薬品

効 能 ・ 効 果

1.低又は無ガンマグロブリン血症 2.重症感染症における抗生物質との併用 3.特発性血小板減少性紫斑病

(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必

要とする場合) 4.川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合) 5.ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例) 6.次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)

チャーグ・ストラウス症候群 アレルギー性肉芽腫性血管炎

用 法 ・ 用 量

本剤は、添付の日局注射用水 (500mg製剤では 10mL、1,000mg製剤では 20mL、2,500mg製剤では 50mL、5,000mg 製剤では 100mL)に溶解して、以下のとおり効能又は効果

に応じて投与する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。 (1) 低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用に用い

る場合は、通常、成人に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブリン G 2,500~5,000mg(50~100mL)を、小児に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブリン G 50~150mg(1~3mL)/kg 体重を点滴静注又は直接静注する。なお、年齢及び症状

に応じて適宜増減する。 (2) 特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グロ

ブリン G 200~400mg(4~8mL)/kg 体重を点滴静注又は直接静注する。なお、5日間投与しても症状の改善が認められない場合は以降の投与を中止すること。年齢

及び症状に応じて適宜増減する。 (3) 川崎病に用いる場合は、 通常、1 日にスルホ化人免疫グロブリン G 200mg(4mL)/kg 体重を 5 日間点滴静注又は直接静注、若しくは 2,000mg(40mL)/kg 体重を

1 回点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて 5 日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。

(4) ギラン・バレー症候群に用いる場合は、 通常、1 日にスルホ化人免疫グロブ

リン G 400mg(8mL)/kg 体重を 5 日間点滴静注又は直接静注する。 (5) チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障

害の改善に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。

使 用 上 の 注 意

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には

慎重に投与すること)】 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

3

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

<効能・効果に関連する使用上の注意> (1) 重症感染症において抗生物質との併用に用いる場合は、適切な抗菌化学療法に

よっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること。 (2) 川崎病に用いる場合は、発病後7日以内に投与を開始することが望ましい。 (3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治

療に用いる場合は、ステロイド剤による適切な治療(原則として、副腎皮質ステロ

イドをプレドニゾロン換算で 40 mg/日を 4 週間以上投与)によっても十分な効果

の得られない患者を対象とすること〔【臨床成績】(6)の項参照〕。 <用法・用量に関連する使用上の注意> (1) 急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある。

(特に低又は無ガンマグロブリン血症の患者には注意すること。) (2) 投与速度

1) 初日の投与開始から 30 分間は 0.01~0.02mL/kg/分で投与し、副作用等の異常

所見が認められなければ、0.03~0.06mL/kg/分まで徐々に投与速度を上げても

よい。2 日目以降は、前日に耐容した速度で投与することができる。 2) 川崎病に対し 2,000mg(40mL)/kg を 1 回投与する場合には、基本的には 1) の投与速度を遵守することとするが、目安としては 12 時間以上かけて点滴静注する

こと。 (3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治

療において、本剤投与後 4 週間は再投与を行わないこと(4 週間以内に再投与し

た場合の有効性及び安全性は検討されていない)。 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1) IgA 欠損症の患者 〔抗 IgA 抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれ

がある。〕 (2) 腎障害のある患者 〔腎機能を悪化させるおそれがある。〕 (3) 脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者 〔大量投与による血液粘度の上

昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある。〕 (4) 血栓塞栓症の危険性の高い患者 〔大量投与による血液粘度の上昇等により血

栓塞栓症を起こすおそれがある。〕 (5) 溶血性・失血性貧血の患者 〔ヒトパルボウイルス B19 の感染を起こす可能性

を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起

こすことがある。〕 (6) 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者 〔ヒトパルボウイルス B19 の感染を起こ

す可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。〕

(7) 心機能の低下している患者〔大量投与により、心不全を発症又は悪化させるお

それがある。〕 2. 重要な基本的注意 [患者への説明] 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に

際しては感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているものの、ヒトの血

液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することが

できないことを、患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。 (1) 本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs 抗原、抗 HCV 抗体、抗 HIV-1抗体、抗 HIV-2 抗体及び抗 HTLV-I抗体陰性で、かつ ALT(GPT)値でスクリー

ニングを実施している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV、

使 用 上 の 注 意

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

4

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

HAV 及びヒトパルボウイルス B19 について核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合

した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該 NAT の検出限界以下のウイルスが

混入している可能性が常に存在する。その後の本剤の製造工程である Cohn の低温

エタノール分画、スルホ化処理及びウイルス除去膜処理は、HIV をはじめとする各

種ウイルスの除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、

次の点に十分注意すること。 1) 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルス B19 等のウイルスを

完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能

性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。 2) 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が

伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し

得るとの報告があるものの、理論的な vCJD 等の伝播のリスクを完全には排除でき

ないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上

投与すること。 (2) ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので注意して使用し、経過を十分

観察すること。 特に小児等に使用する場合には投与速度に注意するとともに、経

過を十分に観察すること。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照) (3) 本剤は抗A及び抗 B 血液型抗体を有する。したがって、血液型が O 型以外の

患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。 (4) 本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原因療法ではなく、対症療法で

あることに留意すること。 (5) 小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場合自然寛解するものであるこ

とを考慮すること。 (6) 川崎病の患者における追加投与は、本剤投与における効果不十分(発熱の持続

等)で症状の改善が見られない等、必要と思われる時のみに行うこと(本剤の追加

投与に関しては有効性、安全性は確立していない)。 (7) ギラン・バレー症候群においては、筋力低下の改善が認められた後、再燃する

ことがあるので、その場合には本剤の再投与を含め、適切な処置を考慮すること。

(8)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害にお

いて、本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化や新たな神経症状の発現等が認められ

た場合には、治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で、本剤の再投与を判断

すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない)。 3. 相互作用

[併用注意](併用に注意すること)

使 用 上 の 注 意

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

5

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 非経口用生ワ

クチン (麻疹ワクチ

ン・おたふく

か ぜ ワ ク チ

ン・風疹ワク

チン・これら

混 合 ワ ク チ

ン・水痘ワク

チン等)

本剤の投与を受けた者は、生ワ

クチンの効果が得られないおそ

れがあるので、生ワクチンの接

種は本剤投与後 3 カ月以上延期

すること。また、生ワクチン接

種後 14 日以内に本剤を投与し

た場合は、投与後 3 カ月以上経

過した後に生ワクチンを再接種

することが望ましい。なお、特

発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、ギラン・バレー症候群、

チャーグ・ストラウス症候群又

はアレルギー性肉芽腫性血管炎

に対する大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを接種す

る場合は、原則として生ワクチ

ンの接種を 6 カ月以上(麻疹感

染の危険性が低い場合の麻疹ワ

クチン接種は 11 カ月以上)延期

すること。

本剤の主成分は免

疫抗体であるため、

中和反応により生

ワクチンの効果が

減弱されるおそれ

がある。

4. 副 作 用 ベニロンの承認時まで及びベニロン、献血ベニロン-Ⅰの使用成績調査等の総症例

13,339 例中 165 例(1.24%)に副作用が認められており、効能・効果別の副作用発

現状況は次のとおりである。主な副作用は、発熱 33 件(0.25%)、頭痛 27 件(0.20%)、

発疹 20 件(0.15%)等であった。いずれも一過性で自然に消失するか、又は抗ヒス

タミン剤、ステロイド剤等で治癒している。 1)低又は無ガンマグロブリン血症:

264症例中11例(4.17%)に副作用が認められた。主な副作用は、発熱3件(1.14%)、悪寒2件(0.76%)、血圧低下2件(0.76%)等であった。(承認時及び使

用成績調査終了時) 2)重症感染症における抗生物質との併用:

10,881症例中37例(0.34%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹8件(

0.07%)、悪寒6件(0.06%)、発熱6件(0.06%)、蕁麻疹5件(0.05%)、呼吸

困難5件(0.05%)、悪心5件(0.05%)等であった。(承認時及び使用成績調査

終了時) 3)特発性血小板減少性紫斑病:

709症例中53例(7.48%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛18件(2.54%)、発熱17件 (2.40%)、そう痒症5件(0.71%)、悪心5件(0.71%)、嘔

吐4件(0.56%)、発疹4件(0.56%)等であった。(承認時及び再審査終了時)

4)川崎病: 1,389症例中15例(1.08%)に副作用が認められた。主な副作用は、チアノーゼ3件(0.22%)、蕁麻疹3件(0.22%)、ALT(GPT)上昇3件(0.22%)、AST(GOT)上昇3件(0.22%)、振戦2件(0.14%)、悪寒2件(0.14%)、発熱2件(0.14%)、血圧低下2件(0.14%)等であった。(承認時及び再審査終了時)

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

6

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

5)ギラン・バレー症候群: 65例中30例(46.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、白血球数減少8件(12.3%)、ALT(GPT)上昇8件(12.3%)、AST(GOT)上昇7件(10.8%)、発

疹6件(9.2%)、顆粒球数減少6件(9.2%)等であった。(承認時) 6)チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎:

31例中19例(61.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛5件(16.1%)、

ALT(GPT)上昇3件(9.7%)、血小板減少症2件(6.5%)、倦怠感2件(6.5%)、

白血球数減少2件(6.5%)等であった。(承認時) なお、川崎病の急性期を対象とした使用成績調査における副作用の発現率は 1.14%(12 例/1,053 例)で、そのうちショック 0%(0 例 0 件)、ショック又はショック

が疑われる症状(チアノーゼ、血圧低下等)0.28%(3 例 4 件)であり、重篤な副作

用の発現率は 0%(0 例 0 件)であった。また、川崎病の急性期の再審査期間中に報

告された自発報告において、出荷量あたりの重篤な副作用の発現例数は 2.8 例/

1,000kg(7 例 12 件)で、そのうちショック 1.6 例/1,000kg(4 例 4 件)、ショック

又はショックが疑われる症状(チアノーゼ、血圧低下等)1.6 例/1,000kg(4 例 4 件)

であった。 (1) 重大な副作用 1) ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満):

ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に

行い、呼吸困難、頻脈、不安感、胸内苦悶、血圧低下、チアノーゼ等が認められ

た場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 2) 肝機能障害、黄疸(頻度不明):

AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDH の著しい上昇等を伴う肝機能

障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた

場合には、適切な処置を行うこと。 3) 無菌性髄膜炎 (頻度不明):

大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識

混濁等)があらわれることがあるので、このような場合は投与を中止し、適切な

処置を行うこと。 4) 急性腎不全 (頻度不明):

急性腎不全があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にない

ことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレア

チニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を

行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、適宜減量し、でき

るだけゆっくりと投与することが望ましい。 5) 血小板減少 (頻度不明):

血小板減少を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、

適切な処置を行うこと。 6) 肺水腫 (頻度不明):

肺水腫があらわれることがあるので、呼吸困難等の症状があらわれた場合には投

与を中止し、適切な処置を行うこと。 7) 血栓塞栓症 (頻度不明):

大量投与例で、血液粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静

脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、中枢

神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、

下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を

使 用 上 の 注 意

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

7

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

行うこと。 なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっ

くりと投与することが望ましい。〔「慎重投与」(3)(4)および「高齢者への

投与」(2)の項参照〕 8) 心不全 (頻度不明):

主として川崎病への大量投与例で、循環血漿量過多により心不全を発症又は悪化

させることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、心雑音、心機能低下、浮

腫、尿量減少等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

なお、心機能の低下している患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくり

と投与することが望ましい。〔「慎重投与」(7)の項参照〕 (2) その他の副作用

頻度不明 0.1~5%未満 0.1%未満

過敏症注) 発赤、腫脹、水疱、

汗疱 発疹

熱感、蕁麻疹、そう

痒感、局所性浮腫等

循環器 血圧低下、血圧上昇

肝臓 AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇

消化器 悪心、嘔吐、食欲不

振、腹痛 血液 白血球減少、好中球

減少、好酸球増多、

溶血性貧血、貧血

その他 胸痛、体温低下、CK(CPK)上昇、喘息

様症状

頭痛、発熱、悪寒、 戦慄

倦怠感

注)このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5.高齢者への投与 (1) 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら

慎重に投与すること。 (2) 一般的に高齢者では脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、

血栓塞栓症を起こすおそれがあるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与す

ること。

6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると

判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立してい

ない。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。

感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性があ

る。〕

7.小児等への投与 低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。

8.臨床検査結果に及ぼす影響

使 用 上 の 注 意

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表(献血ベニロン-I/財団法人化学及血清療法研究所)

8

生 物 基 準 名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

献血ベニロン-I静注用 500mg 献血ベニロン-I静注用 1000mg 献血ベニロン-I静注用 2500mg 献血ベニロン-I静注用 5000mg /財団法人化学及血清療法研究所

本剤には各種感染症の病原体又はその産生物質に対する免疫抗体が含まれており、

投与後の血中にこれら免疫抗体が一時検出されることがあるので、臨床診断には注

意を要する。

9.適用上の注意 投与時: 1) 溶解時に不溶物の認められるものは使用しないこと。また、一度溶解したもの

はできるだけ速やかに使用を開始すること。なお、使用後の残液は、細菌汚染のお

それがあるので再使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しか

も保存剤を含有していないため)。 2) 他の製剤との混注は避けること。

添付文書作成年月日 :今回変更箇所

表 1.7-2 献血ベニロン-I

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

9

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

承 認 年 月 日

再 評 価 年 月 日

再 審 査 年 月 日

製 剤

規 制 区 分

効 能 ・ 効 果

用 法 ・ 用 量

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

10

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

11

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

12

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

13

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

14

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

15

生 物 基 準 名 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

添付文書作成年月日

表 1.7-3

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

16

生 物 基 準 名 pH4 処理酸性人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

承 認 年 月 日

再 評 価 年 月 日

再 審 査 年 月 日

製 剤

規 制 区 分

効 能 ・ 効 果

用 法 ・ 用 量

使 用 上 の 注 意

表1.7-4

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

17

生 物 基 準 名 pH4 処理酸性人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-4

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

18

生 物 基 準 名 pH4 処理酸性人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-4

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

19

生 物 基 準 名 pH4 処理酸性人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-4

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

20

生 物 基 準 名 pH4 処理酸性人免疫グロブリン 販 売 名 / 会 社 名

添付文書作成年月日

使 用 上 の 注 意

表1.7-4

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

21

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

承 認 年 月 日

再 評 価 年 月 日

再 審 査 年 月 日

製 剤

規 制 区 分

効 能 ・ 効 果

用 法 ・ 用 量

使 用 上 の 注 意

表 1.7-5

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

22

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-5

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

23

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-5

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

24

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-5

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

25

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

使 用 上 の 注 意

表1.7-5

GGS-CSS 1.7 同種同効品一覧表( )

26

生 物 基 準 名 ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン

販 売 名 / 会 社 名

添付文書作成年月日

表1.7-5

1.8 添付文書(案)

* 添付文書(案)は審査段階のものであり、

最新の添付文書を参照すること

*新薬承認情報提供時に記載

1.8.1 添付文書案 日本標準商品分類番号

876343

血漿分画製剤

静注用人免疫グロブリン製剤

献血ベニロン®-I静注用500mg

献血ベニロン®-I静注用1000mg

献血ベニロン®-I静注用2500mg

献血ベニロン®-I静注用5000mg 生物学的製剤基準 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

500mg 製剤 22100AMX010400001000mg 製剤 22100AMX010410002500mg 製剤 22100AMX01042000

承認番号

5000mg 製剤 22100AMX01043000薬価収載 2009 年 9 月

500mg 製剤 1000mg 製剤 2500mg 製剤

1992 年 1 月 販売開始

5000mg 製剤 2001 年 11 月 再審査結果 2003 年 6 月 再評価結果 2001 年 8 月 効能追加 ○○年○月

用量追加 2003 年 7 月 Kenketsu Venilon®-I 貯 法:30℃以下に凍結を避けて保存

特定生物由来製品

処方せん医薬品

注意-医師等の処方せんに

より使用すること

有効期間:国家検定合格の日から2年 (最終有効年月日は容器及び外箱に表示) 本剤は、貴重なヒト血液を原材料として製剤化したものである。有効成分及び添加物としてヒト血液由来成分を含

有しており、原材料となったヒト血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程

における一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原材料とし

ていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討

の上、必要最小限の使用にとどめること。(「使用上の注意」の項参照) __________________________________________________

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とす

るが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 【組成・性状】

1.組成 本剤は、スルホ化人免疫グロブリンGを含む凍結

乾燥製剤で、1バイアル中に各々下記の成分を含

有する。

成 分 500mg製剤

1,000mg 製剤

2,500mg製剤

5,000mg製剤

有効 成分

スルホ化人免疫

グロブリンG 500mg 1,000mg 2,500mg 5,000mg

グリシン 225mg 450mg 1,125mg 2,250mg人血清アルブミン 25mg 50mg 125mg 250mg

D-マンニトール 100mg 200mg 500mg 1,000mg添加物

塩化ナトリウム 90mg 180mg 450mg 900mg 添付溶剤: 日本薬局方注射用水

10mL 20mL 50mL 100mL

本剤の有効成分であるスルホ化人免疫グロブリンG

及び添加物の人血清アルブミンは、ヒトの血液(採

血国:日本、採血方法:献血)を原材料としている。

また、本剤は製造工程でブタの腸粘膜由来成分(ヘ

パリン)を使用している。 2.製剤の性状

本剤は白色の凍結乾燥製剤であり添付の溶剤で溶解

するとき、微黄色の澄明又はわずかに白濁した液剤

となり、肉眼的にほとんど沈殿を認めない。

pH 6.4~7.2 浸透圧比 約2(生理食塩液に対する比)

【効能・効果】 1.低又は無ガンマグロブリン血症 2.重症感染症における抗生物質との併用 3.特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な

出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止

血管理を必要とする場合) 4.川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の

危険がある場合) 5.ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重

症例) 6.次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が

効果不十分な場合に限る)

チャーグ・ストラウス症候群

アレルギー性肉芽腫性血管炎

<効能・効果に関連する使用上の注意> (1)重症感染症において抗生物質との併用に用い

る場合は、適切な抗菌化学療法によっても十分な

効果の得られない重症感染症を対象とすること。

(2)川崎病に用いる場合は、発病後 7 日以内に投

与を開始することが望ましい。 (3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー

性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療に用いる場合

は、ステロイド剤による適切な治療(原則として、

副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で 40 mg/日を 4 週間以上投与)によっても十分な効果の

得られない患者を対象とすること〔【臨床成績】(6)の項参照〕。

1

【用法・用量】 本剤は、添付の日局注射用水(500mg製剤では10mL、1,000mg製剤では 20mL、 2,500mg製剤では 50mL、

5,000mg製剤では100mL)に溶解して、以下のとおり効

能又は効果に応じて投与する。直接静注する場合は、

極めて緩徐に行う。 (1)低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症にお

ける抗生物質との併用に用いる場合は、通常、成人

に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブリンG

2,500~5,000mg(50~100mL)を、小児に対しては、

1 回にスルホ化人免疫グロブリンG50~150mg(1~3mL)/kg 体重を点滴静注又は直接静注する。なお、

年齢及び症状に応じて適宜増減する。 (2)特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、通

常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG200~400mg(4~8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。

なお、5日間投与しても症状の改善が認められない

場合は以降の投与を中止すること。年齢及び症状

に応じて適宜増減する。 (3)川崎病に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人

免疫グロブリンG200mg(4mL)/kg体重を5日間

点滴静注又は直接静注、若しくは2,000mg(40mL)/kg体重を1回点滴静注する。なお、年齢及び症状

に応じて5日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場

合は適宜減量する。 (4)ギラン・バレー症候群に用いる場合は、通常、1

日にスルホ化人免疫グロブリンG400mg(8mL)/

kg体重を5日間点滴静注又は直接静注する。 (5)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性

肉芽腫性血管炎における神経障害の改善に用いる場

合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。

<用法・用量に関連する使用上の注意> (1)急速に注射すると血圧降下を起こす可能性が

ある。(特に低又は無ガンマグロブリン血症の

患者には注意すること。) (2)投与速度1):

1)初日の投与開始から 30分間は 0.01~0.02mL/kg/分で投与し、副作用等の異常所見が認められな

ければ、0.03~0.06mL/kg/分まで徐々に投与速度

を上げてもよい。2 日目以降は、前日に耐容し

た速度で投与することができる。 2)川崎病に対し 2,000mg(40mL)/kg を 1 回投与

する場合には、基本的には 1)の投与速度を遵

守することとするが、目安としては 12 時間以

上かけて点滴静注すること。 (3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー

性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療において、

本剤投与後4週間は再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全

性は検討されていない)。

【使用上の注意】 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者で

は過敏反応を起こすおそれがある。〕 (2)腎障害のある患者〔腎機能を悪化させるおそれが

ある。〕

(3)脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者〔大

量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又

は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがあ

る。〕 (4)血栓塞栓症の危険性の高い患者〔大量投与による

血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすお

それがある。〕 (5)溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルス

B19の感染を起こす可能性を否定できない。感染

した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全

身症状を起こすことがある。〕 (6)免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボ

ウイルスB19の感染を起こす可能性を否定でき

ない。感染した場合には、持続性の貧血を起こす

ことがある。〕 (7)心機能の低下している患者〔大量投与により、心

不全を発症又は悪化させるおそれがある。〕 2.重要な基本的注意

[患者への説明] 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤

の必要性とともに、本剤の製造に際しては感染症の

伝播を防止するための安全対策が講じられているも

のの、ヒトの血液を原材料としていることに由来す

る感染症伝播のリスクを完全に排除することができ

ないことを、患者に対して説明し、その理解を得る

よう努めること。 (1)本剤の原材料となる献血者の血液については、

HBs 抗原、抗 HCV 抗体、抗 HIV-1 抗体、抗 HIV-2抗体及び抗 HTLV-I抗体陰性で、かつ ALT(GPT)値でスクリーニングを実施している。さらに、プー

ルした試験血漿については、HIV、HBV、HCV、HAV及びヒトパルボウイルスB19について核酸増幅検査

(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使

用しているが、当該 NAT の検出限界以下のウイルス

が混入している可能性が常に存在する。その後の本

剤の製造工程である Cohn の低温エタノール分画、

スルホ化処理及びウイルス除去膜処理は、HIV をは

じめとする各種ウイルスの除去・不活化効果を有す

ることが確認されているが、投与に際しては、次の

点に十分注意すること。 1)血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボ

ウイルスB19 等のウイルスを完全に不活化・除去

することが困難であるため、本剤の投与によりそ

の感染の可能性を否定できないので、投与後の経

過を十分に観察すること。 2)現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェ

ルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告は

ない。しかしながら、製造工程において異常プリ

オンを低減し得るとの報告があるものの、理論的

な vCJD 等の伝播のリスクを完全には排除できな

いので、投与の際には患者への説明を十分行い、

治療上の必要性を十分検討の上投与すること。 (2)ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので

注意して使用し、経過を十分観察すること。 特に小

児等に使用する場合には投与速度に注意するととも

に、経過を十分に観察すること。(<用法・用量に関

連する使用上の注意>の項参照) (3)本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したが

2

って、血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、

溶血性貧血を起こすことがある。 (4)本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原

因療法ではなく、対症療法であることに留意するこ

と。 (5)小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場

合自然寛解するものであることを考慮すること。 (6)川崎病の患者における追加投与は、本剤投与にお

ける効果不十分(発熱の持続等)で症状の改善が見

られない等、必要と思われる時のみに行うこと(本

剤の追加投与に関しては有効性、安全性は確立して

いない)。 (7)ギラン・バレー症候群においては、筋力低下の改

善が認められた後、再燃することがあるので、その

場合には本剤の再投与を含め、適切な処置を考慮す

ること。 (8)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉

芽腫性血管炎の神経障害において、本剤投与後に明

らかな臨床症状の悪化や新たな神経症状の発現等が

認められた場合には、治療上の有益性と危険性を十

分に考慮した上で、本剤の再投与を判断すること(本

剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立して

いない)。 3.相互作用

[併用注意](併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

非経口用生ワ

クチン 麻疹ワクチン おたふくかぜ

ワクチン 風疹ワクチン これら混合ワ

クチン 水痘ワクチン

本剤の投与を受けた者

は、生ワクチンの効果が

得られないおそれがあ

るので、生ワクチンの接

種は本剤投与後 3 カ月

以上延期すること。ま

た、生ワクチン接種後

14 日以内に本剤を投与

した場合は、投与後 3 カ

月以上経過した後に生

ワクチンを再接種する

ことが望ましい。なお、

特発性血小板減少性紫

斑病(ITP)、川崎病、ギ

ラン・バレー症候群、チ

ャーグ・ストラウス症

候群又はアレルギー性

肉芽腫性血管炎に対す

る大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを

接種する場合は、原則と

して生ワクチンの接種

を 6 カ月以上(麻疹感染

の危険性が低い場合の

麻疹ワクチン接種は 11カ月以上)延期すること2)3)。

本剤の主成分は

免疫抗体である

ため、中和反応

により生ワクチ

ンの効果が減弱

されるおそれが

ある。

4.副作用

ベニロンの承認時まで及びベニロン、献血ベニロン-Ⅰの使用成績調査等の総症例 13,339 例中 165 例

(1.24%)に副作用が認められており、効能・効果別

の副作用発現状況は次のとおりである。主な副作用は、

発熱 33 件(0.25%)、頭痛 27 件(0.20%)、発疹 20件(0.15%)等であった。いずれも一過性で自然に消

失するか、又は抗ヒスタミン剤、ステロイド剤等で治

癒している。

1)低又は無ガンマグロブリン血症: 264症例中11例(4.17%)に副作用が認められた。

主な副作用は、発熱3件(1.14%)、悪寒2件(0.76%)、血圧低下2件(0.76%)等であった。(承認

時及び使用成績調査終了時) 2)重症感染症における抗生物質との併用:

10,881症例中37例(0.34%)に副作用が認められ

た。主な副作用は、発疹8件(0.07%)、悪寒6件(0.06%)、発熱6件(0.06%)、蕁麻疹5件(0.05%)、呼吸困難5件(0.05%)、悪心5件(0.05%)

等であった。(承認時及び使用成績調査終了時) 3)特発性血小板減少性紫斑病:

709症例中53例(7.48%)に副作用が認められた。

主な副作用は、頭痛18件(2.54%)、発熱17件 (2.40%)、そう痒症5件(0.71%)、悪心5件(

0.71%)、嘔吐4件(0.56%)、発疹4件(0.56%)

等であった。(承認時及び再審査終了時) 4)川崎病:

1,389症例中15例(1.08%)に副作用が認められた。

主な副作用は、チアノーゼ3件(0.22%)、蕁麻疹

3件(0.22%)、ALT(GPT)上昇3件(0.22%)、

AST(GOT)上昇3件(0.22%)、振戦2件(0.14%)、

悪寒2件(0.14%)、発熱2件(0.14%)、血圧低

下2件(0.14%)等であった。(承認時及び再審査

終了時) 5)ギラン・バレー症候群:

65例中30例(46.2%)に副作用が認められた。主

な副作用は、白血球数減少8件(12.3%)、ALT(GPT)上昇8件(12.3%)、AST(GOT)上昇7件(10.8%)、発疹6件(9.2%)、顆粒球数減少6件(9.2%)等であった。(承認時)

6)チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽

腫性血管炎: 31例中19例(61.3%)に副作用が認められた。主

な副作用は、頭痛5件(16.1%)、ALT(GPT)上

昇3件(9.7%)、血小板減少症2件(6.5%)、倦怠

感2件(6.5%)、白血球数減少2件(6.5%)等であ

った。(承認時)

なお、川崎病の急性期を対象とした使用成績調査にお

ける副作用の発現率は 1.14%(12 例/1,053 例)で、

そのうちショック 0%(0 例 0 件)、ショック又はショ

ックが疑われる症状(チアノーゼ、血圧低下等)0.28%(3 例 4 件)であり、重篤な副作用の発現率は 0 %(0 例 0 件)であった。また、川崎病の急性期の再審査期

間中に報告された自発報告において、出荷量あたりの

重篤な副作用の発現例数は 2.8 例/1,000 kg(7 例 12 件)で、そのうちショック1.6 例/1,000 kg(4 例4 件)、

ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ、

血圧低下等)1.6 例/1,000 kg(4 例 4 件)であった。

(1)重大な副作用

1)ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満):

ショック、アナフィラキシー様症状があらわれ

ることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、

3

頻脈、不安感、胸内苦悶、血圧低下、チアノーゼ等

が認められた場合には、直ちに投与を中止し、

適切な処置を行うこと。 2)肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST(GOT)、

ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LDHの著しい上昇

等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることが

あるので、観察を十分に行い、異常が認められ

た場合には、適切な処置を行うこと。 3)無菌性髄膜炎(頻度不明):大量投与により無

菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あ

るいは意識混濁等)があらわれることがあるの

で、このような場合は投与を中止し、適切な処置

を行うこと。 4)急性腎不全(頻度不明):急性腎不全があらわ

れることがあるので、投与に先立って患者が脱

水状態にないことを確認するとともに、観察を

十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチ

ニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には

投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急

性腎不全の危険性の高い患者においては、適宜

減量し、できるだけゆっくりと投与することが

望ましい。 5)血小板減少(頻度不明): 血小板減少を起こす

ことがあるので、観察を十分に行い、このような

場合には、適切な処置を行うこと。 6)肺水腫(頻度不明):肺水腫があらわれること

があるので、呼吸困難等の症状があらわれた場

合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 7)血栓塞栓症(頻度不明):大量投与例で、血液

粘度の上昇等により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞

栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわ

れることがあるので、観察を十分に行い、中枢

神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸

痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢の疼痛・浮

腫等の症状が認められた場合には、投与を中止

し、適切な処置を行うこと。 なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者において

は、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与す

ることが望ましい。〔「慎重投与」(3)(4)およ

び「高齢者への投与」(2)の項参照〕 8)心不全(頻度不明):主として川崎病への大量投

与例で、循環血漿量過多により心不全を発症又

は悪化させることがあるので、観察を十分に行

い、呼吸困難、心雑音、心機能低下、浮腫、尿

量減少等が認められた場合には、投与を中止し、

適切な処置を行うこと。 なお、心機能の低下している患者においては、

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与するこ

とが望ましい。〔「慎重投与」(7)の項参照〕

(2)その他の副作用

頻度不明 0.1~5%

未満 0.1%未満

過敏症注) 発赤、腫脹 水疱、汗疱 発疹

熱感、蕁麻

疹、そう痒

感、局所性浮

腫等

循環器 血圧低下、 血圧上昇

肝臓 AST(GOT)、ALT(GPT) 等の上昇

消化器 悪心、嘔吐、

食欲不振、腹

血液

白血球減少、

好中球減少、

好酸球増多、

溶血性貧血、

貧血

その他

胸痛、体温低

下、CK ( CPK )上

昇、喘息様症

頭痛、発熱、

悪寒、戦慄 倦怠感

注)このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う

こと。 5.高齢者への投与

(1)一般に高齢者では生理機能が低下しているので、

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。 (2)一般的に高齢者では脳・心臓血管障害又はその

既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こ

すおそれがあるので、患者の状態を観察しなが

ら慎重に投与すること。 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療

上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に

のみ投与すること。 〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。

本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染

の可能性を否定できない。感染した場合には胎児へ

の障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性

がある。〕 7.小児等への投与

低出生体重児、新生児に対する安全性は確立してい

ない。 8.臨床検査結果に及ぼす影響

本剤には各種感染症の病原体又はその産生物質に

対する免疫抗体が含まれており、投与後の血中にこ

れら免疫抗体が一時検出されることがあるので、臨

床診断には注意を要する。 9.適用上の注意

投与時: 1)溶解時に不溶物の認められるものは使用しない

こと。また、一度溶解したものはできるだけ速や

かに使用を開始すること。なお、使用後の残液は、

細菌汚染のおそれがあるので再使用しないこと

(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、し

かも保存剤を含有していないため)。 2)他の製剤との混注は避けること。

4

【薬物動態】 1.低又は無ガンマグロブリン血症患者7例にスルホ化

人免疫グロブリンGを100㎎/㎏体重投与した場合

の平均血中濃度(投与前149㎎/dL)は投与24時間

後では313㎎/dL、2週間後では206㎎/dLであった4)。

2.健康成人及び低又は無ガンマグロブリン血症の患者

における投与試験から、スルホ化人免疫グロブリン

Gの血中半減期は約25日であることが確認されて

いる4)5)。 【臨床成績】 1.臨床効果

(1)低又は無ガンマグロブリン血症: 低又は無ガンマグロブリン血症患者に維持療法(投

与期間は 60~220 日)を実施し、効果を判定しえた

27 症例における有効率は 88.9 %(24 例/27 例)

であった。 (2)重症感染症における抗生物質との併用:

再評価に対する市販後臨床試験において、広範囲抗

生物質を3日間投与しても感染主要症状の十分な改

善が認められない重症感染症の患者682例を対象と

して、抗生物質と静注用人免疫グロブリン5 g/日、

3日間との併用群(IVIG群)又は抗生物質単独投与

群(対照群)に割り付けた非盲検群間比較試験を行

った。 解熱効果、臨床症状の改善効果又は検査所見(炎症

マーカーであるCRP値の推移)を評価基準として有

効性を評価した結果、IVIG群はいずれにおいても

対照群に比べ有意に優れており、有効率はIVIG群

61.5%(163/265)、対照群47.3%(113/239)であ

った6)。 (3)特発性血小板減少性紫斑病(ITP):

ITP患者で副腎皮質ステロイド剤が無効な症例及

び摘脾後再発し、薬剤が無効な症例又は主治医が

適当と認めた症例の計177症例(成人75例、小児102例)のうち400㎎/kg/日の5日間投与された93例(成人33例、小児60例)での成績の概要は以下の通

りであった。 1)有効率は68.8%(64例/93例)であった。 2)血小板数は、投与前2.7万/mm3、投与1日後3.8万

/mm3、投与2日後6.6万/mm3、投与3日後7.8万/

mm3、投与4日後10.2万/mm3、投与5日後13.2万/

mm3、投与7日後12.8万/mm3と増加した。 3)93例のうち、副腎ステロイド剤が無効であった60例に対する有効率は63.3%(38例/60例)であっ

た。また、摘脾の効果が一過性あるいは無効であ

った12例に対する有効率は66.7%(8例/12例)

であった。 (4)川崎病:

1)200㎎/kg/日、5日間投与された151症例のうち

冠動脈障害が認められなかった有効以上の症例

は127例であり、有効率は84.1%(127例/151例)

であった。 上記川崎病に対する効果はベニロンとアスピリ

ンを併用した100症例(有効率84.0%)、ベニロン

単独の51症例(有効率84.3%)から得られたもの

である。

2)信頼の出来る学術雑誌に掲載された科学的根拠

となり得る論文の試験成績では、2g/kgを1回投

与された原田スコア4以上の急性期ハイリスク

患児72例のうち冠動脈障害が認められなかった

症例は69例(95.8%)であった7)。 (5)ギラン・バレー症候群:

1)400mg/kg体重/日、5日間投与された重症成人

患者23例において、Hughesの運動機能尺度が1段階以上改善した治療開始4週目の改善率は

60.9%(14例/23例)であった8)。 2)重症小児患者11例では、同じく治療開始4週目

の改善率は81.8%(9例/11例)であった。 (6)チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽

腫性血管炎: ステロイド抵抗性(ステロイド剤を寛解導入療法と

してプレドニゾロン換算で40mg/日以上を4週間以

上投与、漸減後に維持療法としてプレドニゾロン換

算で5~20mg/日の一定用量を4週間以上投与)で、

MMTスコア合計が130以下、かつMMTスコアが3以下となる神経障害箇所を有する患者23例に本剤

400mg/kg/日を5日間投与した。その結果、本剤投与

開始2 週間後の徒手筋力検査(MMT)スコア合計変

化量が本剤投与前に比し有意に改善した(表1)。な

お、第1期でのMMTスコア合計変化量は本剤群でプ

ラセボ群の変化量を上回った(本試験では、本剤の

プラセボに対する優越性を検証するための検出力

は考慮されていない)(表2)9)。

表1 本剤投与開始2週間後のMMTスコア合計の変化量 本剤投与開始

直前 本剤投与開始

2 週間後 変化量 p値*

113.37±16.02 120.50±11.91 7.13±9.76 0.002平均値±標準偏差(23 例) *対応のある t 検定

表 2 第 1 期の本剤及びプラセボ投与開始 2 週間後のベ

ースラインからの MMT スコア合計変化量

第 1 期投

与薬剤 ベースラ

イン 投与開始

2 週間後 変化量 群間差 [95%信

頼区間]

本剤 (A 群、

8 例)

110.00±12.56

118.13±11.15

8.13±9.49

プラセボ

(B+C群、

15 例)

109.97±16.95

113.10± 17.42

3.13±3.52

4.99 [-0.64, 10.63]

平均値±標準偏差 本試験では、3 つの投与期を設定し、A、B 及び C 群の各投

与期における投与薬剤は以下のとおり設定した。 A 群:第 1 期 本剤、第 2 期 プラセボ、第 3 期 プラセボ B 群:第 1 期 プラセボ、第 2 期 本剤、第 3 期 プラセボ C 群:第 1 期 プラセボ、第 2 期 プラセボ、第 3 期 本剤

2.反復投与

本剤を1年以上にわたってくり返し投与した症例に

おいても本剤に対する特異的な抗体産生は見られて

いない10)。

5

【薬効薬理】 1.抗体活性

10,000人以上の健康成人血漿から精製濃縮された

高純度の免疫グロブリンGを原料としているため、

種々の細菌、毒素、ウイルス等に対する抗体を有し

ている11)。 2.オプソニン効果

大腸菌を用いて検討した結果、スルホ化人免疫グ

ロブリンGは生体本来の免疫グロブリンGと同様、

食細胞の貪食能、殺菌能の増強効果等のオプソニ

ン効果が認められている12)13)。 3.溶菌活性

スルホ化人免疫グロブリンGは正常な補体の活性

化にもとづく溶菌活性能を有している14)15)。 4.血小板減少抑制効果

抗血小板抗血清を投与したラットの実験的血小板

減少症において、スルホ化人免疫グロブリンGを

投与することにより、血小板減少抑制作用が認め

られている16)。 5.冠動脈障害抑制効果

離乳期ウサギに馬血清をくり返し投与することに

よって作成した冠動脈障害モデルに対して冠動脈

障害抑制効果が認められている17)。 6.末梢神経障害抑制効果

ウシ末梢神経抗原の免疫により惹起されたラット

アレルギー性神経炎モデルにおいて、ラット免疫

グロブリン又はスルホ化人免疫グロブリンGを投

与することにより末梢神経障害の抑制作用が認め

られている18)19)。

【取扱い上の注意】 [記録の保存] 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤

を使用した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番

号又は製造記号(ロット番号)、使用年月日、使用し

た患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間

保存すること。 【承認条件】

1.急性期川崎病治療における2,000mg/kg体重1回投

与での副作用発現、臨床効果等に関するデータを

収集する目的で、適切な市販後調査を実施するこ

と。 2.チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽

腫性血管炎における神経障害の改善について、国

内での治験症例が極めて限られていることから、

製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積さ

れるまでの間は、原則として全症例を対象に使用

成績調査を実施することにより、本剤使用患者の

背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び

有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適

正使用に必要な措置を講じること。

【包装】 献血ベニロン-I静注用500㎎:1バイアル

溶剤(日本薬局方注射用水)10mL添付 献血ベニロン-I静注用1,000㎎:1バイアル

溶剤(日本薬局方注射用水)20mL、薬液調整用

針(溶解移注針)、通気針添付 献血ベニロン-I静注用2,500㎎:1バイアル

溶剤(日本薬局方注射用水)50mL、薬液調整用

針(溶解液注入針)、通気針添付 献血ベニロン-I静注用5,000㎎:1バイアル

溶剤(日本薬局方注射用水)100mL、薬液調整

用針(溶解液注入針)、通気針添付 【主要文献】 1)USP DI(United States Pharmacopeia Dispensing

Information) p1624,1998 2)Hall,C.B. et al. :Pediatrics,93(4),682,1994 3)薗部友良:小児内科、26(11),1929,1994 4)安保 亘ほか:臨牀小児医学、26(2),147,1978 5)岸本 進ほか:基礎と臨床、12(3),493,1978 6)正岡 徹ほか:日本化学療法学会雑誌、48(3),

199,2000 7)Sato,N. et al.:Pediatr.Int., 41(1),1, 1999 8)野村恭一ほか:神経治療学、18(1),69,2001 9)社内資料:臨床試験(チャーグ・ストラウス症候群、

アレルギー性肉芽腫性血管炎),2009 10)小菅啓司ほか:日本小児科学会雑誌、83(10),

1356,1979 11)岩村善利ほか:臨牀と研究、55(6),1900,1978 12)増保安彦ほか:臨牀と研究、55(11),3722,1978 13)笹田昌孝ほか:日本血液学会雑誌、46(3),671,1983 14)鈴木洋二ほか:日本薬学会第 101 年会、講演要旨

集 p306,1981 15)新井俊彦:感染症学雑誌、59(1),41,1985 16)斉藤典之ほか:ITP に対する免疫グロブリン療法、

ライフサイエンス・メディカ(東京)p59,1982 17)田宮 寛ほか:Prog. Med.,9(1),49,1989 18)社内資料:末梢神経障害抑制効果(ラット),1996 19)Miyagi,F.et al.:J.Neuroimmunol.,78(1),127,1997 【文献請求先】 主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請

求下さい。 財団法人 化学及血清療法研究所 営業管理部学術第一課 熊本市大窪一丁目 6 番 1 号 TEL 096(345)6500 帝人ファーマ株式会社 学術情報部 〒100-8585 東京都千代田区霞が関3丁目2番1号 ☎03-3506-4053

6

<溶解方法>

冷蔵保存をしていた場合は製剤及び添付の溶剤(日本

薬局方注射用水)バイアルを冷蔵庫から取り出し、室

温にもどす。製剤バイアルは陰圧となっているため、

必ず下記の順序に従って溶解すること。

500mg 製剤

1.製剤及び溶剤バイアルのゴム栓を消毒する。 2.注射器で溶剤を全量抜き取り、製剤バイアルに突き

刺し、溶剤の全量を壁面に沿ってゆっくり注入する。 3.製剤バイアルをできるだけ泡をたてないようゆるや

かに回転振盪しながら完全に溶解する(激しく振盪し

ないこと)。

1,000mg、2,500mg、5,000mg 製剤

1.製剤及び溶剤バイアルのゴム栓を消毒する。 2.添付の薬液調整用針の保護キャップのついている側

を上にし、針に指を触れないようにして溶剤バイアル

1 にまっすぐにさし込む(図 1)。 3.薬液調整用針の保護キャップを外した後、薬液調整

用針を溶剤バイアルにさしたまま逆さまにし、針に指

を触れないようにして製剤バイアル 2 にまっすぐにす

ばやくさし込む(図 2)。 4.溶剤が全量注入されたら、製剤バイアルから薬液調

整用針を溶剤バイアルとともに抜き去る。 5.製剤バイアルをできるだけ泡をたてないようゆるや

かに回転振盪しながら完全に溶解する(激しく振盪し

ないこと)。

注:なお、誤って、先に製剤バイアルに薬液調整用針

を取り付けると、製剤バイアル内の陰圧が解除され、

溶剤を移注出来ません。この場合は 500mg 製剤の溶

解方法に準じて、注射器を使用して移注して下さい。

<通気針の使用方法>

(1,000mg、2,500mg、5,000mg製剤) 1.製剤バイアルに点滴チューブの針を刺し、バイアル

を逆さまにつるしておく。 2.通気針のフィルターの部分を指で蓋をした状態のま

ま、通気針を製剤バイアルにさし込み、先端が液面上

に出たことを確認してからフィルター部分の指を放す。

この製品は献血血液から製造されています。

薬液調整用針

保護キャップ

7

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

1.8.2 効能・効果 (案) 並びにその設定根拠

(1) 効能・効果(案)

効能・効果は、第Ⅲ相試験の結果に基づき、下線のとおり設定した。

【効能・効果】

1.低又は無ガンマグロブリン血症

2.重症感染症における抗生物質との併用

3.特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一

時的止血管理を必要とする場合)

4.川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)

5.ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)

6.次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)

チャーグ・ストラウス症候群

アレルギー性肉芽腫性血管炎

<効能・効果に関連する使用上の注意>

(1)重症感染症において抗生物質との併用に用いる場合は、適切な抗菌化学療法によっても

十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること。

(2)川崎病に用いる場合は、発病後 7 日以内に投与を開始することが望ましい。

(3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療に用い

る場合は、ステロイド剤による適切な治療(原則として、副腎皮質ステロイドをプレドニゾ

ロン換算で 40 mg/日を 4 週間以上投与)によっても十分な効果の得られない患者を対象とす

ること〔【臨床成績】(6)の項参照〕。

(2) 設定根拠

CSS 及び AGA の治療では、ステロイド療法を実施したにもかかわらず、多発性単神経炎

による神経障害が残存することが問題となっている。本剤はこのようなステロイド療法に抵

抗性の神経障害を有する患者を治療対象とした。

また、CSS と AGA の診断基準は一部異なるものの、本邦では同義語として用いられてい

ることから、第Ⅲ相試験は CSS及び AGA患者を対象とした。CSS及び AGAは、アレルギー

素因を有し細小血管の肉芽腫性血管炎と血管外肉芽腫を伴う壊死性血管炎の一つと分類され

る。CSS は生検による組織学的所見が得られなくとも診断可能であり、臨床症候のみの場合

に CSS と診断される。一方、AGA は組織学的所見が得られた場合に、AGA と診断される

[文献 1]。厚生労働省 厚生科学特定疾患対策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班

による「難治性血管炎の診療マニュアル」[文献 1]では、CSS と AGA の主要臨床所見と治

療指針が共通であることから、CSS と AGA は同義に扱われている。

第Ⅲ相試験は、「CSS 確実」(18 例)又は「AGA 確実」(5 例)と診断され、選択基準に規

定したステロイド療法を実施したにもかかわらず、1 項目以上に MMT スコア 3 以下となる

障害を有しかつ MMT スコア合計 130 以下の患者(平均値:109.98)を対象に実施した。その

8

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

結果、MMTスコア合計が有意に増加し、またMMTスコア 3以下箇所数において有意な改善

を認めた[CTD 2.5.4.2 参照]ことから、上記のごとく効能・効果が設定できると考えた。

また、第Ⅲ相試験の診断名別層別解析の結果、CSS、AGA 患者ともに MMT スコア合計が

増加し(表 1.8.2-1)、本剤の効果が認められていることから、2 種の診断名を併記することが

適切であると考えた。

表 1.8.2-1 MMT(徒手筋力検査)スコア合計における本剤投与直前から本剤投与開始 2 週

間後の変化量 –診断名別結果

95%信頼区間 診断名 N 平均値

下限 上限 P

CSS 18 7.06 1.76 12.35

AGA 5 7.40 -0.68 15.48 0.946

1.8.3 用法・用量 (案) 並びにその設定根拠

(1) 用法・用量 (案)

用法・用量は、第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験の結果より、下線のとおり設定した。

【用法・用量】

本剤は、添付の日局注射用水(500mg製剤では10mL、1,000mg製剤では20mL、2,500mg製剤

では50mL、5,000mg製剤では100mL)に溶解して、以下のとおり効能又は効果に応じて投

与する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。 (1)低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用に用いる場合

は、通常、成人に対しては、1回にスルホ化人免疫グロブリンG2,500 ~5,000 mg(50~100 mL)を、小児に対しては、1回にスルホ化人免疫グロブリンG50~150 mg(1~3 mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、年齢及び症状に応じて適宜増減す

る。 (2)特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG

200~400 mg(4~8 mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、5日間投与して

も症状の改善が認められない場合は以降の投与を中止すること。年齢及び症状に応

じて適宜増減する。 (3)川崎病に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG200 mg(4 mL)/kg

体重を5日間点滴静注又は直接静注、若しくは2,000 mg(40 mL)/kg体重を1 回点滴

静注する。なお、年齢及び症状に応じて5日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合

は適宜減量する。 (4)ギラン・バレー症候群に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG400

mg(8 mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注する。 (5)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障害の

改善に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グロブリンG 400 mg(8 mL)/kg体重

を 5 日間点滴静注する。

9

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

(1)急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある。(特に低又は無ガンマグロブリン

血症の患者には注意すること。)

(2)投与速度:

1)初日の投与開始から 30 分間は 0.01~0.02mL/kg/分で投与し、副作用等の異常所見が

認められなければ、0.03~0.06mL/kg/分まで徐々に投与速度を上げてもよい。2 日目以

降は、前日に耐容した速度で投与することができる。

2)川崎病に対し 2,000mg(40mL)/kg を 1 回投与する場合には、基本的には 1)の投

与速度を遵守することとするが、目安としては 12 時間以上かけて点滴静注すること。

(3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療にお

いて、本剤投与後 4 週間は再投与を行わないこと(4 週間以内に再投与した場合の有効性

及び安全性は検討されていない)。

(2) 設定根拠

CSS 及び AGA 患者数が極めて少ないため、用量反応検討の試験の実施は困難であると考

え、本剤の既承認適応症の用法・用量、臨床研究報告[文献 2]を参考に、第Ⅱ相試験の用

法・用量を設定し実施した。第Ⅱ相試験成績より、MMT スコア合計の 1 週間後の変化量な

どで本剤の有効性が示唆されたため、本剤 400 mg/kg 体重/日、5 日間投与の用法・用量が妥

当であると判断した。

その後、この用法・用量にて第Ⅲ相試験を実施した結果、筋力低下の評価指標である

MMTスコア合計が有意に増加し、また MMTスコア 3以下箇所数が有意に減少し、本剤の有

効性が認められた。

第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験の結果、本剤の有効性が認められ、安全性上の問題がみられな

かったことから、ステロイド療法に抵抗性の神経障害を有する CSS 及び AGA 患者に対する

用法・用量は「スルホ化人免疫グロブリンGとして 400 mg/kg体重/日を 5 日間点滴静注する。」

に設定できると考えた。

なお、CSS 又は AGA 患者では、再燃する場合がある[文献 3]。再燃した患者に対し IVIg

の再投与(400 mg/kg 体重/日、5 日間)が有効であったと報告[文献 4]されており、IVIg

による再投与は患者の QOL 向上に必要であると考える。しかし、CSS 及び AGA 患者に対し、

第Ⅱ相試験では本剤投与 1 ヵ月後に 2 クール目を投与したが、4 週間以内の短期間で本剤を

再投与した実績はなく、本剤の 4 週間以内の再投与に対する有効性及び安全性は確認できて

いない。そのため、「用法・用量に関連する使用上の注意」に「(3)チャーグ・ストラウス症

候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療において、本剤投与後 4 週間は本剤

の再投与を行わないこと。」と記載する。

また、ステロイド剤の効果が不十分な CSS 又は AGA 患者では、本剤の再投与が必要とな

る場合があることから、「使用上の注意」の「重要な基本的注意」に「チャーグ・ストラウス

症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害において、本剤投与後に明らかな臨床症

状の悪化や新たな神経症状の発現等が認められた場合には、治療上の有益性と危険性を十分

10

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

に考慮した上で、本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性

は確立していない)。」を記載することが適切であると考えた。

1.8.4 使用上の注意(案)及びその設定根拠

使用上の注意(案)を下線のとおり、設定した。

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 設定根拠

本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とする

が、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】

設定根拠

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

【使用上の注意】 設定根拠

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)IgA 欠損症の患者〔抗 IgA 抗体を保有する患者では過敏反応

を起こすおそれがある。〕

(2)腎障害のある患者〔腎機能を悪化させるおそれがある。〕

(3)脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者〔大量投与によ

る血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症

を起こすおそれがある。〕

(4)血栓塞栓症の危険性の高い患者〔大量投与による血液粘度の

上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。〕

(5)溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルス B19 の感染

を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急

激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。〕

(6)免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルス B19

の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持

続性の貧血を起こすことがある。〕

(7)心機能の低下している患者〔大量投与により、心不全を発症

又は悪化させるおそれがある。〕

2. 重要な基本的注意

[患者への説明]

本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性ととも

に、本剤の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策

が講じられているものの、ヒトの血液を原材料としていることに由

11

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないこと

を、患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。

(1)本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs 抗原、抗

HCV 抗体、抗 HIV-1 抗体、抗 HIV-2 抗体及び抗 HTLV-I抗体陰

性で、かつ ALT(GPT)値でスクリーニングを実施している。

さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV、

HAV及びヒトパルボウイルスB19について核酸増幅検査(NAT)

を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該

NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存

在する。その後の本剤の製造工程である Cohn の低温エタノー

ル分画、スルホ化処理及びウイルス除去膜処理は、HIV をはじ

めとする各種ウイルスの除去・不活化効果を有することが確認

されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。

1)血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイル

スB19 等のウイルスを完全に不活化・除去することが困

難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定

できないので、投与後の経過を十分に観察すること。

2)現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・

ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかし

ながら、製造工程において異常プリオンを低減し得ると

の報告があるものの、理論的な vCJD 等の伝播のリスクを

完全には排除できないので、投与の際には患者への説明

を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与するこ

と。

(2)ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので注意して使

用し、経過を十分観察すること。 特に小児等に使用する場合

には投与速度に注意するとともに、経過を十分に観察するこ

と。

(3)本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したがって、血液型

がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすこ

とがある。

(4)本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原因療法では

なく、対症療法であることに留意すること。

(5)小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場合自然寛解

するものであることを考慮すること。

(6)川崎病の患者における追加投与は、本剤投与における効果不

12

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

十分(発熱の持続等)で症状の改善が見られない等、必要と

思われる時のみに行うこと(本剤の追加投与に関しては有効

性、安全性は確立していない)。

(7)ギラン・バレー症候群においては、筋力低下の改善が認めら

れた後、再燃することがあるので、その場合には本剤の再投

与を含め、適切な処置を考慮すること。

(8)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管

炎の神経障害において、本剤投与後に明らかな臨床症状の悪

化や新たな神経症状の発現等が認められた場合には、治療上

の有益性と危険性を十分に考慮した上で、本剤の再投与を判

断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確

立していない)。

3. 相互作用

[併用注意](併用に注意すること)

薬剤名等:非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワ

クチン、風疹ワクチン、これら混合ワクチン、水痘ワクチン等)

臨床症状・措置方法:本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの

効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤

投与後 3 ヵ月以上延期すること。また、生ワクチン接種後 14

日以内に本剤を投与した場合は、投与後 3 ヵ月以上経過した後

に生ワクチンを再接種することが望ましい。なお、特発性血小

板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、ギラン・バレー症候群、チャ

ーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎に対

する大量療法(200 mg//kg以上)後に生ワクチンを接種する

場合は、原則として生ワクチンの接種を 6 ヵ月以上(麻疹感染

の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は 11 ヵ月以上)延期

すること。

機序・危険因子:本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応

により(承認時)効果が減弱されるおそれがある。

4. 副作用

ベニロンの承認時まで及びベニロン、献血ベニロン-Ⅰの使用成績

調査等の総症例13,339例中 165例(1.24%)に副作用が認められて

おり、効能・効果別の副作用発現状況は次のとおりである。主な

副作用は、発熱33件(0.25%)、頭痛27件(0.20%)、発疹20件(0.15%)

等であった。いずれも一過性で自然に消失するか、又は抗ヒスタミ

ン剤、ステロイド剤等で治癒している。

CSS 及びAGA 患者では神経障害が再燃したり、

ステロイド剤の効果が不十分な場合があるこ

とから設定した。

大量療法(200 mg/kg 以上)の疾患としてチャ

ーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉

芽腫性血管炎を追記した。

チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー

性肉芽腫性血管炎に対する本剤の臨床成績結

果を追加して設定した。

13

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

1)低又は無ガンマグロブリン血症:

264症例中11例(4.17%)に副作用が認められた。主な副作用

は、発熱3件(1.14%)、悪寒2件(0.76%)、血圧低下2件(0.76

%)等であった。(承認時及び使用成績調査終了時)

2)重症感染症における抗生物質との併用:

10,881症例中37例(0.34%)に副作用が認められた。主な副作用

は、発疹8件(0.07%)、悪寒6件(0.06%)、発熱6件(0.06%)、

蕁麻疹5件(0.05%)、呼吸困難5件(0.05%)、悪心5件(0.05%)

等であった。(承認時及び使用成績調査終了時)

3)特発性血小板減少性紫斑病:

709症例中53例(7.48%)に副作用が認められた。主な副作用

は、頭痛18件(2.54%)、発熱17件(2.40%)、そう痒症5件(0.71

%)、悪心5件(0.71%)、嘔吐4件(0.56%)、発疹4件(0.56%)

等であった。(承認時及び再審査終了時)

4)川崎病:

1,389症例中15例(1.08%)に副作用が認められた。主な副作用

は、チアノーゼ3件(0.22%)、蕁麻疹3件(0.22%)、ALT(GPT)

上昇3件(0.22%)、AST(GOT)上昇3件(0.22%)、振戦2件

(0.14%)、悪寒2件(0.14%)、発熱2件(0.14%)、血圧低下2

件(0.14%)等であった。(承認時及び再審査終了時)

5)ギラン・バレー症候群:

65例中30例(46.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、

白血球数減少8件(12.3%)、ALT(GPT)上昇8件(12.3%)、AST

(GOT)上昇7件(10.8%)、発疹6件(9.2%)、顆粒球数減少6

件(9.2%)等であった。(承認時)

6)チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎:

31例中19例(61.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭

痛5件(16.1%)、ALT(GPT)上昇3件(9.7%)、血小板減少症2

件(6.5%)、倦怠感2件(6.5%)、白血球数減少2件(6.5%)等で

あった。(承認時)

なお、川崎病の急性期を対象とした使用成績調査における副作用

の発現率は1.14%(12 例/1,053 例)で、そのうちショック0%(0

例0 件)、ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ、血

圧低下等)0.28%(3 例4 件)であり、重篤な副作用の発現率は0 %

低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症

における抗生物質との併用、特発性血小板減

少性紫斑病、川崎病及び GBS に対する副作用

について集計の見直しを行い、主な副作用の

事象名・発現率を追記した。

第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験の CSS 又は AGA

患者の安全性解析対象例 31 例に対する本剤

400mg/kg 体重、5 日間投与の臨床成績結果か

ら設定した。

14

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

(0 例0 件)であった。また、川崎病の急性期の再審査期間中に

報告された自発報告において、出荷量あたりの重篤な副作用の発

現例数は2.8 例/1,000 kg(7 例12 件)で、そのうちショック1.6 例

/1,000 kg(4 例4 件)、ショック又はショックが疑われる症状(チ

アノーゼ、血圧低下等)1.6 例/1,000 kg(4 例4 件)であった。

(1)重大な副作用

1)ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満):ショック、

アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察

を十分に行い、呼吸困難、頻脈、不安感、胸内苦悶、血圧低下、チ

アノーゼ等)が認められた場合には、直ちに投与を中止し、

適切な処置を行うこと。

2)肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST(GOT)、ALT(GPT)、

Al-P、γ-GTP、LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸

があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認

められた場合には、適切な処置を行うこと。

3)無菌性髄膜炎(頻度不明):大量投与により無菌性髄膜炎

(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等)があ

らわれることがあるので、このような場合は投与を中止し、適

切な処置を行うこと。

4)急性腎不全(頻度不明):急性腎不全があらわれることがあ

るので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認す

るとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清ク

レアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を

中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の

高い患者においては、適宜減量し、できるだけゆっくりと投与

することが望ましい。

5)血小板減少(頻度不明): 血小板減少を起こすことがあるの

で、観察を十分に行い、このような場合には、適切な処置を行

うこと。

6)肺水腫(頻度不明):肺水腫があらわれることがあるので、

呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切

な処置を行うこと。

7)血栓塞栓症(頻度不明):大量投与例で、血液粘度の上昇等

により、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の

血栓塞栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、

15

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然

の呼吸困難、息切れ、下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められ

た場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

なお、血栓塞栓症の危険性の高い患者においては、適宜減量

し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。

8)心不全(頻度不明):主として川崎病への大量投与例で、循

環血漿量過多により心不全を発症又は悪化させることがあ

るので、観察を十分に行い、呼吸困難、心雑音、心機能低下、

浮腫、尿量減少等が認められた場合には、投与を中止し、適

切な処置を行うこと。

なお、心機能の低下している患者においては、適宜減量し、

できるだけゆっくりと投与することが望ましい。

(2)その他の副作用

過敏症注):頻度不明;発赤、腫脹、水疱、汗疱、0.1~5%未満;

発疹、0.1%未満;熱感、蕁麻疹、そう痒感、局所性

浮腫等

循環器:頻度不明;血圧低下、血圧上昇

肝 臓:0.1~5%未満;AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇

消化器:0.1%未満;悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛

血 液:頻度不明;白血球減少、好中球減少、好酸球増多、溶血

性貧血、貧血

その他:頻度不明;胸痛、体温低下、CK(CPK)上昇、喘息様

症状、0.1~5%未満;頭痛、発熱、悪寒、戦慄、0.1%未

満;倦怠感

注)このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5. 高齢者への投与

( 1)一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患

者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

(2)一般的に高齢者では脳・心臓血管障害又はその既往歴のあ

る患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがあるので、

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

16

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

【使用上の注意】(続き) 設定根拠

6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性

が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。本剤の投与に

よりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染

した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こ

る可能性がある。]

7. 小児等への投与

低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。

8. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤には各種感染症の病原体又はその産生物質に対する免疫抗

体が含まれており、投与後の血中にこれら免疫抗体が一時検出さ

れることがあるので、臨床診断には注意を要する。

9. 適用上の注意

投与時:

1)溶解時に不溶物の認められるものは使用しないこと。また、

一度溶解したものはできるだけ速やかに使用を開始するこ

と。なお、使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので再使

用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、し

かも保存剤を含有していないため)。

2)他の製剤との混注は避けること。

17

GGS-CSS 1.8 添付文書(案)

参考文献

文献番号 著者・表題・文献 CTD

資料番号

1 橋本 博史. 難治性血管炎の診療マニュアル 厚生労働省厚生科学特定疾患

対策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班報告書. 2002. 5.4-1

2 Tsurikisawa N, Taniguchi M, Saito H, Himeno H, Ishibashi A, Suzuki S, et.al. Treatment of Churg-Strauss syndrome with high-dose intravenous immunoglobulin. Ann Allergy Asthma Immunol. 2004; 92(1): 80-7.

5.4-20

3 中林 公正. アレルギー肉芽腫性血管炎. 難病の最新情報-疫学から臨床・

ケアまで- 南山堂. 2000; 83. 5.4-25

4 谷口 正実、廣瀬 邦彦、大河原 重栄、田中 一徹、中村 慎吾、佐藤 元彦、

他. ステロイドパルス療法とシクロフォスファミドに抵抗するもガンマグ

ロブリン大量投与が奏効した Churg Strauss Syndrome の 1 例. 間質性肺疾患

研究会議事録. 1996; 55: 79-84.

5.4-18

18

1.9 一般的名称に係る文書

1

GGS-CSS 1.9 一般的名称に係る文書

1

1.9 一般的名称に係る文書

該当なし。

1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

GGS-CSS 1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

平成 10 年 3 月 18 日医薬審査第 268 号医薬安全局審査管理課長通知「新医薬品の毒薬及び

劇薬の指定に関する資料の提出について」に従い、作成した。

毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

現行

化学名・別名 乾燥スルホ化人免疫グロブリン

構 造 式 人免疫グロブリンGの鎖間ジスルフィド結合のみが選択的にスルホ化されたもの

であり、人免疫グロブリン G の立体構造、物理化学的性状はそのまま保持されて

いる。

効能・効果 1.低又は無ガンマグロブリン血症

2.重症感染症における抗生物質との併用

3.特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置

又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)

4.川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)

5.ギラン・バレー症候群(急性期で歩行困難な重症例)

用法・用量 本剤は、添付の日局注射用水(500 mg 製剤では 10 mL、1,000 mg 製剤では 20 mL、

2,500 mg 製剤では 50 mL、5,000 mg 製剤では 100 mL)に溶解して、以下のとおり効

能又は効果に応じて投与する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。

(1)低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用に用

いる場合は、通常、成人に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブリン G 2,500

~5,000 mg(50~100 mL)を、小児に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブ

リン G 50~150 mg(1~3 mL)/kg 体重を投与する。なお、年齢及び症状に応

じて適宜増減する。

(2)特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グ

ロブリン G 200~400 mg(4~8 mL)/kg 体重を投与する。なお、5 日間投与し

ても症状の改善が認められない場合は以降の投与を中止すること。年齢及び症状

に応じて適宜増減する。

(3)川崎病に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グロブリン G 200mg(4

mL)/kg 体重を 5 日間投与又は 2,000 mg(40 mL)/kg 体重を 1 回投与する。

なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

(4)ギラン・バレー症候群に用いる場合は、通常、1 日にスルホ化人免疫グロブ

リン G 400 mg(8 mL)/kg 体重を 5 日間投与する。

劇薬等の指定 特定生物由来製品、指定医薬品、処方せん医薬品

1

GGS-CSS 1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

市販名及び有

効成分・分量

製剤:献血ベニロン-I(添付の溶剤で溶解すると、その 1 mL 中にスルホ化人免

疫グロブリン G 50 mg 含有。)

毒 性 急性 LD50(mg/kg) 経口 皮下 静脈

マウス ♂,♀ >3,000 >3,000 >3,130

ラット ♂,♀ >3,130 >3,130 >2,500

亜急性 ヒトと種を異にした実験動物で長期間にわたり反復投与する亜急性・

・慢性 慢性毒性試験では、異種蛋白(ヒト蛋白)に対する抗体産生を起こし、

実施しえない。

副 作 用 低又は無ガンマグロブリン血症 特発性血小板減少性紫斑病

重症感染症

川崎病の急性期 ギラン・バレー症候群

副作用

発現率9/420=2.1% 53/709=7.5%

副作用の種類 件数 副作用の種類 件数

5 頻脈,脈拍衰弱 2 発熱

5 胸痛 2 頭痛

5 顔面退色,チアノーゼ 2 食欲不振

4 血圧低下 2 悪心嘔吐

1 蕁麻疹 1 掻痒感

等 等

副作用

発現率3/336=0.9% 30/65=46.2%

副作用の種類 件数 副作用の種類 件数

8 8 発熱 ALT 上昇

4 8 顔面退色,チアノーゼ 白血球減少

4 7 振戦 AST 上昇

1 6 頻脈、脈拍衰弱 顆粒球減少

4 無菌性髄膜炎 等

4 髄液細胞増加

4 γ-GTP 上昇

4 好酸球増多

会 社 財団法人化学及血清療法研究所 原体:製造、製剤:製造

本製剤は帝人株式会社と共同開発である

2

GGS-CSS 1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

追加(下線部分が今回の追加・修正部分)

化学名・別名

構 造 式

効能・効果 1.低又は無ガンマグロブリン血症 2.重症感染症における抗生物質との併用 3.特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置

又は出産等一時的止血管理を必要とする場合) 4.川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合) 5.ギラン・バレー症候群(急性期で歩行困難な重症例) 6.次の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)

チャーグ・ストラウス症候群 アレルギー性肉芽腫性血管炎

用法・用量 本剤は、添付の日局注射用水(500 mg 製剤では 10 mL、1,000 mg 製剤では 20 mL、2,500 mg 製剤では 50 mL、5,000 mg 製剤では 100 mL)に溶解して、以下のとおり効

能又は効果に応じて投与する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。 (1)低又は無ガンマグロブリン血症、重症感染症における抗生物質との併用に用

いる場合は、通常、成人に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブリンG2,500~5,000 mg(50~100 mL)を、小児に対しては、1 回にスルホ化人免疫グロブ

リンG50~150 mg(1~3 mL)/kg 体重を点滴静注又は直接静注する。なお、

年齢及び症状に応じて適宜増減する。 (2)特発性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グ

ロブリンG200~400 mg(4~8 mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。

なお、5日間投与しても症状の改善が認められない場合は以降の投与を中止す

ること。年齢及び症状に応じて適宜増減する。 (3)川崎病に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG200 mg(4

mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注、若しくは2,000 mg(40 mL)/

kg体重を1回点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて5日間投与の場合は

適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。 (4)ギラン・バレー症候群に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブ

リンG400 mg(8 mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注する。 (5)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経

障害の改善に用いる場合は、通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400 mg(8 mL)/kg体重を5日間点滴静注する。

劇薬等の指定 特定生物由来製品、処方せん医薬品

製剤:献血ベニロン-I静注用 500mg、献血ベニロン-I静注用 1000mg、 市販名及び有

効成分・分量 献血ベニロン-I静注用 2500mg、献血ベニロン-I静注用 5000mg(添付の溶剤

で溶解すると、その 1 mL 中にスルホ化人免疫グロブリン G 50 mg 含有。)

毒 性

3

GGS-CSS 1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ

副 作 用 低又は無ガンマグロブリン血症 特発性血小板減少性紫斑病

重症感染症

川崎病の急性期 ギラン・バレー症候群

チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎

11/264=4.17%

毒 性

会 社 財団法人化学及血清療法研究所 原体:製造、製剤:製造

本製剤は帝人ファーマ株式会社と共同開発である

53/709=7.48%副作用

発現率 37/10,881=0.34%

副作用の種類 件数 副作用の種類 件数

18発熱 9 頭痛

17発疹 9 発熱

5悪寒 8 悪心

5蕁麻疹 6 そう痒症

4呼吸困難 5 嘔吐

4 悪心 5 発疹

等 等

副作用

発現率115/3,624=3.17% 309/977=31.63%

副作用の種類 件数 副作用の種類 件数

24 69発疹 肝機能異常

18 67ALT上昇肝機能異常

9 56AST上昇蕁麻疹

7 34AST増加 白血球数減少

6 29頭痛 頭痛

23等 好中球数減少

19/31=61.3%副作用

発現率 副作用の種類 件数

5頭痛

3ALT増加

2血小板減少症

2倦怠感

2白血球数減少

4

1.12 添付資料一覧

0

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

第 4部 非臨床試験報告書

4.1 参考文献

4.3 - 資料番号 著者・表題・文献 引用先

1 Nimmerjahn F, Ravetch JV. Anti-inflammatory actions of intravenous immunoglobulin. Annu Rev Immunol. 2008; 26: 513-33.

1.5-25 2.4-1 2.6-2

2 Nimmerjahn F, Ravetch JV. The antiinflammatory activity of IgG: the intravenous IgG paradox. J Exp Med. 2007 Jan 22; 204(1): 11-5.

1.5-26 2.4-16 2.6-3

3 Negi VS, Elluru S, Siberil S, Graff-Dubois S, Mouthon L, Kazatchkine MD, et al. Intravenous immunoglobulin: an update on the clinical use and mechanisms of action. J Clin Immunol. 2007; 27(3): 233-45.

1.5-27 2.4-17

4 Abe Y, Horiuchi A, Miyake M, Kimura S. Anti-cytokine nature of natural human immunoglobulin: one possible mechanism of the clinical effect of intravenous immunoglobulin therapy. Immunol Rev. 1994; 139:5-19.

1.5-28 2.4-7 2.6-19

5 Andersson U, Bjork L, Skansen-Saphir U, Andersson J. Pooled human IgG modulates cytokine production in lymphocytes and monocytes. Immunol Rev. 1994; 139: 21-42.

1.5-29 2.4-8 2.6-12

6 Yoon JS, Kim HH, Han JW, Lee Y, Lee JS. Effects of intravenous immunoglobulin and methylprednisolone on human umbilical vein endothelial cells in vitro. Immunobiology. 2006;211(5):351-7.

1.5-30 2.4-9 2.6-29

7 Tsujimoto H, Takeshita S, Nakatani K, Kawamura Y, Tokutomi T, Sekine I. Intravenous immunoglobulin therapy induces neutrophil apoptosis in Kawasaki disease. Clin Immunol. 2002; 103(2): 161-8.

1.5-31 2.4-13 2.6-11

8 Yi QJ, Li CR, Yang XQ. Effect of intravenous immunoglobulin on inhibiting peripheral blood lymphocyte apoptosis in acute Kawasaki disease. Acta Paediatr. 2001; 90(6): 623-7.

1.5-32 2.4-12 2.6-10

9 Nakatani K, Takeshita S, Tsujimoto H, Sekine I. Intravenous immunoglobulin (IVIG) preparations induce apoptosis in TNF-alpha-stimulated endothelial cells via a mitochondria-dependent pathway. Clin Exp Immunol. 2002; 127(3): 445-54.

1.5-33 2.4-11 2.6-9

10 Nimmerjahn F, Ravetch JV. Fcgamma receptors as regulators of immune responses. Nat Rev Immunol. 2008; 8(1): 34-47.

1.5-34 2.4-15 2.6-1

11 Kessel A, Ammuri H, Peri R, Pavlotzky ER, Blank M, Shoenfeld Y, et al. Intravenous immunoglobulin therapy affects T regulatory cells by increasing their suppressive function. J Immunol. 2007; 15; 179(8): 5571-5.

1.5-35 2.4-20 2.6-16

12 De Groot AS, Moise L, McMurry JA, Wambre E, Van Overtvelt L, Moingeon P, et al. Activation of natural regulatory T cells by IgG Fc-derived peptide "Tregitopes". Blood. 2008 Oct 15;112(8):3303-11.

1.5-36 2.4-22 2.6-13

13 Spahn JD, Leung DY, Chan MT, Szefler SJ, Gelfand EW. Mechanisms of glucocorticoid reduction in asthmatic subjects treated with intravenous immunoglobulin. J Allergy Clin Immunol. 1999 Mar;103(3 Pt 1):421-6.

1.5-37 2.4-31 2.6-28

14 Wahl SM, Chen W. Transforming growth factor-beta-induced regulatory T cells referee inflammatory and autoimmune diseases. Arthritis Res Ther. 2005;7(2):62-8.

2.4-4

15 Saito H, Tsurikisawa N, Tsuburai T, Akiyama K. Involvement of regulatory T cells in the pathogenesis of Churg-Strauss syndrome. Int Arch Allergy Immunol. 2008;146 Suppl 1:73-6.

2.4-5 2.6-14

16 Tsurikisawa N, Saito H, Tsuburai T, Oshikata C, Ono E, Mitomi H, et al. Differences in regulatory T cells between Churg-Strauss syndrome and chronic eosinophilic pneumonia with asthma. J Allergy Clin Immunol. 2008 Sep; 122(3):610-6.

2.4-6 2.6-15

1

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

4.3 - 資料番号 著者・表題・文献 引用先

17 Prasad NK, Papoff G, Zeuner A, Bonnin E, Kazatchkine MD, Ruberti G, et al. Therapeutic preparations of normal polyspecific IgG (IVIg) induce apoptosis in human lymphocytes and monocytes: a novel mechanism of action of IVIg involving the Fas apoptotic pathway. J Immunol. 1998 Oct 1;161(7):3781-90.

2.4-10 2.6-8

18 Samuelsson A, Towers TL, Ravetch JV. Anti-inflammatory activity of IVIG mediated through the inhibitory Fc receptor. Science. 2001 Jan 19;291(5503):484-6.

2.4-18 2.6-6

19 Jungi TW, Brcic M, Kuhnert P, Spycher MO, Li F, Nydegger UE. Effect of IgG for intravenous use on Fc receptor-mediated phagocytosis by human monocytes. Clin Exp Immunol. 1990 Oct;82(1):163-9.

2.4-19 2.6-5

20 Hori S, Nomura T, Sakaguchi S. Control of regulatory T cell development by the transcription factor Foxp3. Science. 2003 Feb 14;299(5609):1057-61.

2.4-21

21 Rossi F, Kazatchkine MD. Antiidiotypes against autoantibodies in pooled normal human polyspecific Ig. J Immunol. 1989 Dec 15;143(12):4104-9.

2.4-23

22 Marchalonis JJ, Kaymaz H, Dedeoglu F, Schluter SF, Yocum DE, Edmundson AB. Human autoantibodies reactive with synthetic autoantigens from T-cell receptor beta chain. Proc Natl Acad Sci U S A. 1992 Apr 15;89(8):3325-9.

2.4-24 2.6-20

23 Hurez V, Kaveri SV, Mouhoub A, Dietrich G, Mani JC, Klatzmann D, et al. Anti-CD4 activity of normal human immunoglobulin G for therapeutic use. (Intravenous immunoglobulin, IVIg). Ther Immunol. 1994 Oct;1(5):269-77.

2.4-25 2.6-21

24 Vassilev T, Gelin C, Kaveri SV, Zilber MT, Boumsell L, Kazatchkine MD. Antibodies to the CD5 molecule in normal human immunoglobulins for therapeutic use (intravenous immunoglobulins, IVIg). Clin Exp Immunol. 1993 Jun;92(3):369-72.

2.4-26 2.6-22

25 Vassilev TL, Kazatchkine MD, Van Huyen JP, Mekrache M, Bonnin E, Mani JC, et al. Inhibition of cell adhesion by antibodies to Arg-Gly-Asp (RGD) in normal immunoglobulin for therapeutic use (intravenous immunoglobulin, IVIg). Blood. 1999 Jun 1;93(11):3624-31.

2.4-27 2.6-23

26 Bendtzen K, Hansen MB, Ross C, Svenson M. High-avidity autoantibodies to cytokines. Immunol Today. 1998 May;19(5):209-11.

2.4-28 2.6-18

27 Svenson M, Hansen MB, Ross C, Diamant M, Rieneck K, Nielsen H, et al. Antibody to granulocyte-macrophage colony-stimulating factor is a dominant anti-cytokine activity in human IgG preparations. Blood. 1998 Mar 15;91(6):2054-61.

2.4-29 2.6-24

28 Basta M, Van Goor F, Luccioli S, Billings EM, Vortmeyer AO, Baranyi L, et al. F(ab)'2-mediated neutralization of C3a and C5a anaphylatoxins: a novel effector function of immunoglobulins. Nat Med. 2003 Apr;9(4):431-8.

2.4-30 2.6-27

29 新井 俊彦. スルホ化免疫グロブリン製剤の各種日和見感染菌に対する抗体価と補体依存性溶菌活性. 感染症学雑誌. 1985; 59(1):41-6.

2.4-33 2.6-32

30 増保 安彦、渡辺 環、岩村 善利、進 貞夫、大友 信也. 食菌作用におよぼすスルホ化人免疫グロブリン(ベニロン)のオプソニン効果. 臨床と研究. 1978; 55(11):3722-6.

2.4-34 2.6-33

31 笹田 昌孝、久保 明美、上田 孝典、吉田 弥太郎、内野 治人、村地 孝他. ヒト好中球の貪食殺菌並びにO2

-産生に対するガンマグロブリン及び補体の影響. 日本血液学会雑誌. 1983; 46(3):671-6.

2.4-35 2.6-34

32 富岡 治明、大森 斉、鈴木 洋二、橋本 喜信、野口 照久、岩村 善利他. Globulin-S の薬効(第 3 報)静注用スルホ化ヒト免疫 Globulin による実験的マウス感染症における抗生剤との治療効果に関する研究. 応用薬理. 1978;15(7):1157-67.

2.4-36 2.6-35

2

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

4.3 - 資料番号 著者・表題・文献 引用先

33 斉藤 典之、岡田 信夫、神本 福吉、井上 京子、竹下 徹. 血小板減少モデル動物に対するベニロン(S-スルホ化-γ-グロブリン)の効果. ITP に対する免疫グロブリン療法. 1982:59-66.

2.4-37 2.6-36

34 田宮 寛、尾内 善四郎、榊原 吉峰、安藤 峯子、生田 耕司、永松 潔和他. 血清病離乳期ウサギの心冠状動脈病変に対する免疫グロブリンの効果. Prog Med. 1989; 9(1):49-54.

2.4-38 2.6-37

35 Miyagi F, Horiuchi H, Nagata I, Kitahara S, Kiyoki M, Komoriya K, et al. Fc portion of intravenous immunoglobulin suppresses the induction of experimental allergic neuritis. J Neuroimmunol. 1997 Sep;78(1-2):127-31.

2.4-39 2.6-38

36 Ichiyama T, Ueno Y, Hasegawa M, Niimi A, Matsubara T, Furukawa S. Intravenous immunoglobulin inhibits NF-kappaB activation and affects Fcgamma receptor expression in monocytes/macrophages. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2004 Apr;369(4):428-33.

2.6-4

37 Park-Min KH, Serbina NV, Yang W, Ma X, Krystal G, Neel BG, et al. FcgammaRIII-dependent inhibition of interferon-gamma responses mediates suppressive effects of intravenous immune globulin. Immunity. 2007 Jan;26(1):67-78.

2.6-7

38 Ephrem A, Chamat S, Miquel C, Fisson S, Mouthon L, Caligiuri G, et al. Expansion of CD4+CD25+ regulatory T cells by intravenous immunoglobulin: a critical factor in controlling experimental autoimmune encephalomyelitis. Blood. 2008 Jan 15;111(2):715-22.

2.6-17

39 Viard I, Wehrli P, Bullani R, Schneider P, Holler N, Salomon D, et al. Inhibition of toxic epidermal necrolysis by blockade of CD95 with human intravenous immunoglobulin. Science. 1998 Oct 16;282(5388):490-3.

2.6-25

40 Kaveri S, Vassilev T, Hurez V, Lengagne R, Lefranc C, Cot S, et al. Antibodies to a conserved region of HLA class I molecules, capable of modulating CD8 T cell-mediated function, are present in pooled normal immunoglobulin for therapeutic use. J Clin Invest. 1996 Feb 1;97(3):865-9.

2.6-26

3

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

第 5部 臨床試験報告書

5.2 臨床試験一覧表 第 5 部に添付

5.3 臨床試験報告書及び関連資料

5.3.1 生物薬剤学試験報告書 該当資料なし

5.3.2 ヒト生体試料を用いた薬物動態関連の試験報告書 該当資料なし

5.3.3 臨床薬物動態(PK)試験報告書 該当資料なし

5.3.4 臨床薬力学(PD)試験報告書 該当資料なし

5.3.5 有効性及び安全性試験報告書

CTD No.-

資料番号 表題 実施期間

掲載誌・

その他

評価/

参考の別

5.3.5.1.1 CSS/AGA を対象とした GGS の二

重盲検投与時期無作為化前後比較

試験(第Ⅲ相臨床試験) 治験総

括報告書(GGS-CSS-2)

20 年 月~

20 年 月

社内資料 評価資料

5.3.5.2.1 Churg-Strauss 症候群(CSS)におけ

る神経障害・心機能障害に対する

GGS の多施設共同オープン試験

(第Ⅱ相臨床試験) 治験総括報

告書(GGS-CSS-1)

20 年 月~

20 年 月

社内資料 評価資料

5.3.6 市販後の使用経験に関する報告書 該当資料なし

4

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

5.3.7 患者データ一覧表及び症例記録

CTD No.-

資料番号 表題 実施期間

掲載誌・

その他

評価/

参考の別

5.3.7.1 CSS/AGA を対象とした GGS の二

重盲検投与時期無作為化前後比較

試 験 ( 第 Ⅲ 相 臨 床 試 験 )

(GGS-CSS-2)

(1) 症例一覧表

(2) 副作用一覧表

(3) 重篤な有害事象一覧表

(4) 基準範囲外の臨床検査値一

覧表

(5) 臨床検査値推移図

20 年 月~

20 年 月

社内資料 評価資料

5.3.7.2 Churg-Strauss 症候群(CSS)におけ

る神経障害・心機能障害に対する

GGS の多施設共同オープン試験

(第Ⅱ相臨床試験)(GGS-CSS-1)

(1) 症例一覧表

(2) 副作用一覧表

(3) 重篤な有害事象一覧表

(4) 基準範囲外の臨床検査値一

覧表

(5) 臨床検査値推移図

20 年 月~

20 年 月

社内資料 評価資料

5

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

5.4 参考文献

5.4 - 資料番号 著者・表題・文献 引用先

1 橋本 博史. 難治性血管炎の診療マニュアル 厚生労働省厚生科学特定疾患

対策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究班報告書. 2002. 1.5-1 2.2-5 2.5-4 2.7-11

2 Masi AT, Hunder GG, Lie JT, Michel BA, Bloch DA, AREND WP, et.al. The American college of rheumatology 1990 criteria for the classification of Churg-Strauss syndrome (allergic granulomatosis and angiitis). Arthritis Rheum. 1990; 33(8):1094-1100.

1.5-2 2.5-5

3 長沢 俊彦. アレルギー性肉芽腫性血管炎. アレルギー. 1991; 40(1): 1-7. 1.5-3 2.2-1 2.4-3 2.5-6 2.7-1

4 橋本 博史. 血管炎-アレルギー性肉芽腫性血管炎を中心として. アレルギ

ー. 2003; 52(5): 481-4. 1.5-4 2.4-2 2.5-7

5 小林 朋子、橋本 修. ANCA 関連血管炎と肺病変. 呼吸と循環. 2003; 51(4): 357-66.

1.5-5

6 谷口 正実、末次 勸. Churg-Strauss 症候群. 日胸 1997; 56(10): 813-24. 1.5-6 2.5-3

7 橋本 博史、磯部 幸雄、竹内 健、樺沢 一之、長沢 俊彦、小泉 富美朝. アレルギー性肉芽腫性血管炎の診断基準に関する検討. リウマチ. 1992; 32(4): 292-9.

1.5-7 2.5-14

8 Hattori N, Ichimura M, Nagamatsu M, Li M, Yamamoto K, Kumazawa K, et.al. Clinicopathological features of Churg-Strauss syndrome-associated neuropathy. Brain. 1999; 122: 427-39.

1.5-8 2.5-15

9 Chumbley LC, Harrison EG, DeRemee RA. Allergic Granulomatosis and Angiitis ( Churg-Strauss syndrome ) - Report and analysis of 30 cases. Mayo Clin Proc. 1997; 52: 477-84.

1.5-9 2.2-2 2.5-16

10 Gayraud M, Guillevin L, Toumelin P, Cohen P, Lhote F, Casassus P, et al. Long-term followup of Polyarteritis Nodosa, Microscopic Polyangiitis, and Churg-Strauss syndrome. Arthritis Rheum. 2001; 44(3) : 666-75.

1.5-10 2.2-3 2.5-17

11 Guillevin L, Lhote F, Gayraud M, Cohen P, Jarrousse B, Lortholary O, et al. Prognostic factors in polyarteritis nodosa and Churg-Strauss syndrome. A prospective study in 342 patients. Medicine. 1996; 75: 17-28.

1.5-11 2.2-4 2.5-18

12 橋本 博史、矢野 哲郎、安倍 達、尾崎 承一、細田 泰弘、長沢 俊彦、他. 中・小型血管炎の全国疫学調査. 厚生省特定疾患難治性血管炎調査研究班

1995 年度研究報告書. 1996; 9-21.

1.5-12 2.2-.6 2.5-10

13 松本 美富士、稲葉 裕、中山 登志子、玉腰 暁子、大野 良之、小林 茂人、

他. 難治性血管炎(抗好中球細胞質抗体関連血管炎症候群、抗リン脂質抗体

症候群、側頭動脈炎)全国疫学調査の基本的疫学像. 難治性血管炎分科会

平成 10 年度研究報告書. 1999; 15-23.

1.5-13 2.5-11

14 難病情報センター. アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス

症候群). URL: http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/005_i.htm

1.5-14

15 株式会社 . Churg-Strauss 症候群の受診患者数に関する

調査 2004 年. 社内資料 1.5-15 2.5-12

16 帝人ファーマ株式会社. CSS/AGA 受診患者数に関する調査 結果報告書

2004 年. 社内資料 1.5-16 2.5-13

6

GGS-CSS 1.12 添付資料一覧

5.4 - 資料番号 著者・表題・文献 引用先

17 石井 孝典、友 雅司、金子 啓二、柴田 哲雄、田代 隆良、那須 勝、他. アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)にネフローゼ症候群を合併した 1 症例

. 日本腎臓学会誌 1989; 31(12): 1340.

1.5-17 2.5-24 2.7-3

18 谷口 正実、廣瀬 邦彦、大河原 重栄、田中 一徹、中村 慎吾、佐藤 元彦、

他. ステロイドパルス療法とシクロフォスファミドに抵抗するもガンマグ

ロブリン大量投与が奏効した Churg Strauss Syndrome の 1 例. 間質性肺疾患

研究会議事録. 1996; 55: 79-84.

1.5-18 2.5-23 2.7-.4

19 釣木澤 尚実、秋山 一男. Churg-Strauss 症候群と神経症状(ニューロパチー)

. 呼吸. 2003; 22: 349-56. 1.5-19 2.5-25 2.7-5

20 Tsurikisawa N, Taniguchi M, Saito H, Himeno H, Ishibashi A, Suzuki S, et.al. Treatment of Churg-Strauss syndrome with high-dose intravenous immunoglobulin. Ann Allergy Asthma Immunol. 2004; 92(1): 80-7.

1.5-20 2.4-14 2.5-26 2.6-30 2.7-6

21 Hamilos DL, Christensen J. Treatment of Churg-Strauss syndrome with high-dose intravenous immunoglobulin. J Allergy Clin Immunol. 1991; 88(5): 823-4.

1.5-21 2.5-19 2.7-7

22 Armentia A, Fernandez A, Sanchez P, de la Fuente R, Sanchis E, Mendez J, et al. Asthma and vasculitis. Response to intravenous immunoglobulins. Allergol Immunopathol (Madr). 1993; 21(2): 47-52.

1.5-22 2.5-20 2.7-8

23 Levy Y, George J, Fabbrizzi F, Rotman P, Paz Y, Shoenfeld Y. Marked improvement of Churg -Strauss vasculitis with intravenous gammaglobulins. South Med J. 1999; 92 (4): 412-4.

1.5-23 2.5-21 2.7-9

24 Levy Y, Sherer Y, George J, Langevitz P, Ahmed A, Bar-Dayan Y, et al. Serologic and clinical response to treatment of systemic vasculitis and associated autoimmune disease with intravenous immunoglobulin. Int Arch Allergy Immunol. 1999; 119 (3): 231-8.

1.5-24 2.5-22 2.7-.10

25 中林 公正. アレルギー肉芽腫性血管炎.難病の最新情報-疫学から臨床

・ケアまで- 南山堂. 2000; 83. 1.8-1

26 Churg J, Strauss L. Allergic granulomatosis, allergic angiitis, and periarteritis nodosa. Am J Pathol. 1951; 27(2): 277-301.

2.5-1

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