アーティクル デザイン・ショーケース ニュープロ …volume twenty-nine...

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Volume Twenty-Nine アーティクル VCO設計を容易にするシリコンバイポーラIC 3 デザイン・ショーケース 2.7Vで消費電流が僅か5mAのSSB変調器 9 +2.7Vで動作する調整不要の傾斜計 11 メイン/バックアップ電圧を選択し、負荷を切断する電源回路 13 負電源可変のDAC駆動チャージポンプ 15 バックコンバータを駆動するブーストコントローラ 16 ニュープロダクト データコンバータ ディジタル化ADCと再構築DACを組み合わせた IFアンダーサンプリングCODEC (MAX1005) 17 +2.7V、12ビット/10ビットADC、内部リファレンス付 (MAX1240/1242) 17 16ピンQSOPパッケージに収められた8ビットラッチ付パラレルDAC (MAX5480) 17 高速バッファ レイルトゥレイル出力の低価格、高速、単一電源SOT23バッファ (MAX4014/4017/ 4019/4022) 18 システム電源IC 面積0.4cm 2 、高さ1.11mmの安定化電源 (3V IN 、-5V OUT ) (MAX868) 18 電源の必要条件を50%軽減する高精度、電流制限スイッチ (MAX869L) 18 リモート/ローカル温度センサ、SMBusシリアルインタフェース付 (MAX1617) 19 ディジタル可変LCDバイアス電圧を提供するスイッチモードコントローラ (MAX1620/1621) 19 次世代のノートブックCPU用に最適化された高精度PWMバックコントローラ (MAX1636) 19 3.3V、5V又は可変出力を生成する低ドロップアウトリニアレギュレータ (MAX1658/1659) 20 125mAを供給する1MHzチャージポンプ (MAX1680/1681) 20 μP監視回路 低価格の、ロジック出力付SOT温度スイッチ (MAX6501~6504) 20 インタフェースIC AutoShutdown及び±15kVのESD保護付1Mbps RS-232 (MAX3243E/ 3244E/3245E) 21 パワーオンリセット機能を加えた250kbps RS-232トランシーバ (MAX3320) 21 ワイヤレスIC DBSテレビ信号を同調するダイレクトコンバージョンIC (MAX2102) 22 低コスト900MHz無線機に最適なイメージ除去RFトランシーバ (MAX2420) 23 リミッタ及びRSSIを備えた低電圧IFトランシーバ (MAX2511) 22 900MHzアプリケーションに最適の+3V、1W RFパワートランジスタ (MAX2601/2602) 21 VCOモジュールを置き換える超低位相ノイズRF発振器 (MAX2620) 23 光ファイバIC 622Mbps SDH/SONETレシーバに適した+3.3Vクロックリカバリ/ データリタイミングIC (MAX3675) 23

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Volume Twenty-Nine

アーティクル VCO設計を容易にするシリコンバイポーラIC 3

デザイン・ショーケース 2.7Vで消費電流が僅か5mAのSSB変調器 9

+2.7Vで動作する調整不要の傾斜計 11

メイン/バックアップ電圧を選択し、負荷を切断する電源回路 13

負電源可変のDAC駆動チャージポンプ 15

バックコンバータを駆動するブーストコントローラ 16

ニュープロダクト データコンバータ

• ディジタル化ADCと再構築DACを組み合わせたIFアンダーサンプリングCODEC (MAX1005) 17

• +2.7V、12ビット/10ビットADC、内部リファレンス付 (MAX1240/1242) 17

• 16ピンQSOPパッケージに収められた8ビットラッチ付パラレルDAC (MAX5480) 17

高速バッファ

• レイルトゥレイル出力の低価格、高速、単一電源SOT23バッファ (MAX4014/4017/4019/4022) 18

システム電源IC

• 面積0.4cm2、高さ1.11mmの安定化電源 (3VIN、-5VOUT) (MAX868) 18

• 電源の必要条件を50%軽減する高精度、電流制限スイッチ (MAX869L) 18

• リモート/ローカル温度センサ、SMBusシリアルインタフェース付 (MAX1617) 19

• ディジタル可変LCDバイアス電圧を提供するスイッチモードコントローラ (MAX1620/1621) 19

• 次世代のノートブックCPU用に最適化された高精度PWMバックコントローラ (MAX1636) 19

• 3.3V、5V又は可変出力を生成する低ドロップアウトリニアレギュレータ (MAX1658/1659) 20

• 125mAを供給する1MHzチャージポンプ (MAX1680/1681) 20

µP監視回路• 低価格の、ロジック出力付SOT温度スイッチ (MAX6501~6504) 20

インタフェースIC• AutoShutdown及び±15kVのESD保護付1Mbps RS-232 (MAX3243E/

3244E/3245E) 21

• パワーオンリセット機能を加えた250kbps RS-232トランシーバ (MAX3320) 21

ワイヤレスIC• DBSテレビ信号を同調するダイレクトコンバージョンIC (MAX2102) 22

• 低コスト900MHz無線機に最適なイメージ除去RFトランシーバ (MAX2420) 23

• リミッタ及びRSSIを備えた低電圧IFトランシーバ (MAX2511) 22

• 900MHzアプリケーションに最適の+3V、1W RFパワートランジスタ (MAX2601/2602) 21

• VCOモジュールを置き換える超低位相ノイズRF発振器 (MAX2620) 23

光ファイバIC• 622Mbps SDH/SONETレシーバに適した+3.3Vクロックリカバリ/データリタイミングIC (MAX3675) 23

VCO設計を容易にするシリコンバイポーラIC電圧制御オシレータ(VCO)の周波数は、そのチュー

ニングポートの電圧によって変化します。位相ロックループ(PLL)で動作するVCOは、スーパーヘテロダインレシーバの周波数変換用に適した局部発振器を提供します。また、VCOは送信ブロックにも利用されますが、この場合、空中波における送信に適した無線周波(RF)にベースバンド信号をアップコンバージョンします(図1)。

設計上の留意点

VCO設計者は、いくつかの重要な性能パラメータを考慮することが必要です。この性能パラメータとしては、次のものがあります。

• 出力レベル(1mWに対する相対dB)(dBm)

• 出力調波レベル(搬送波電力に対する相対dB)(dBc)

• チューニング感度(Hz/V)

•(360°回転した負荷電圧定在波比(VSWR)に対する)発振周波数の負荷プリング(Hz p-p)

• バイアス電源変化の周波数プッシング(Hz/V)

• 特定のオフセット周波数におけるVCO位相ノイズ(dBc/Hz)

以下に、それぞれのパラメータについて説明します。

出力レベル

典型的なスーパーヘテロダインレシーバでは、VCO出力によりPLLシンセサイザのRFプリスケーラだけでなく、ミキサも駆動することが必要です。この条件は、通常、負荷アイソレーション及びより強力な駆動力を提供するバッファアンプで満たします。

出力調波レベル

出力調波レベルは、発振周波数の高調波におけるVCOエネルギーの測度です。-15dBc以下のレベルで一般的なこれらの高調波は、オシレータのアクディブデバイスの非線形自己制限によって発生します。過大利得のオシレータ(共振での全ロスを補うのに必要な量以上)は制限もさらに厳しくなるため、出力波形に多くの高調波が発生します。設計者は、オシレータの起動を保証するために、要求される調波レベルと過大ゲインのバランスを取ることが必要です。

チューニング感度

チューニング感度とは、最大利用可能チューニング電圧を要求チューニング周波数範囲に関連付けるための、システムレベルのパラメータです(Hz/V)。この値は、負荷時のオシレータタンクの性能指数である負荷時のQと逆比例します。つまり、チューニング感度が高い程、負荷時のQが低いオシレータが必要になります。

この時、チューニング周波数範囲におけるチューニング感度の変化も重要です。チューニング帯域におけるVCOチューニング感度が大幅に変化すると、PLLシンセサイザの性能が劣化します。チューニング感度が数十

図1.典型的なこのスーパーヘテロダインレシーバでは、VCOがPLLの一部になります。

LOW-NOISEAMPLIFIER

IMAGEFILTER

SECOND IF FILTER

DUPLEXER

ANTENNA

SECONDMIXER

FIRSTIF FILTER

FIRSTMIXER

POWER-AMPLIFIER DRIVER

(MAX2430)

POWER-AMPLIFIER(MAX2601/MAX2602)

FIRSTMIXER

RF VCO(MAX2620)

IF VCO

CRYSTALREFERENCEOSCILLATOR

FIRSTIF FILTER

DUAL PLLSYNTHESIZER

DEMODULATOR

MODULATOR

SECONDMIXER

SECONDIF FILTER

IF GAINSTRIP IF VGA

3

MHz/Vの典型的なPLLでは、VCOが最高ゲインのデバイスになります。この量のゲインでは、チューニングポートのノイズによって望ましくない変調サイドバンドが発生するため、チューニングポートのノイズを最小化することが必要です。

負荷プリング

負荷プリングは、VCO出力の負荷変化に対する自走VCOの感度を測定します。この測定には、負荷インピーダンスミスマッチ及び可変長伝送ラインが必要です。この場合、VCOをミスマッチ負荷に接続し、伝送ラインの長さを変えることによって、360°までの位相角度(VCOと負荷間)を変化させます。得られたピークトゥピーク周波数変化を測定してください。VCO負荷プリングは、与えられた負荷VSWRにおいて360°まで回転した時の、最大ピークトゥピーク周波数シフトです。負荷VSWRと負荷インピーダンスミスマッチの関係を、式1に示します。

式1:

ここで、

VSWR = 電圧定在波比

G0 = 負荷反射係数。反射波に対する電圧入射波の(負荷における)比。

ZL = 負荷インピーダンス

Z0 = 伝送ラインの特性インピーダンス

バッファアンプを利用して負荷変化に対する自走VCOの感度を低減するのが、最も一般的な方法です。

周波数プッシング

周波数プッシングは、バイアス電源電圧の変化に対する自走VCOの感度を測定します。VCOの感度を測定するには、VCO周波数を測定しながら、与えられた範囲で電源電圧を変化させます。この周波数のシフトを電圧変化で割り、Hz/V単位による感度を求めます。良い設計のVCOのプッシング率は、主チューニングライン感度の5%~10%です。プッシング性能の優れた素子の例としては、マキシム社のMAX2620 VCOがあり、この素子のチューニングポート感度は10.4MHz/V、プッシング感度は僅か71kHz/Vとなっています。MAX2620のプッシング感度は、チューニングポート感度の1%以下です。

VCO位相ノイズ

自走VCOの位相ノイズは、ノイズサイドバンドレベルと搬送波電力レベルを関連付けます。典型的な測定では、搬送波からの与えられた周波数オフセットで1Hz帯域幅のノイズレベルを測定しながら、スペクトラムアナライザでVCO出力を測定します。特定のファームウェアオプションを備えた最近のスペクトラムアナライザでは、様々なオフセットで複数の測定を行い、各測定で内部IF帯域幅を適切に変更することによって、シングルサイドバンド位相ノイズとオフセット周波数の関係をグラフ表示できます。

位相ノイズの低いオシレータ(クリスタルオシレータ等)は、LOに対する位相ノイズ制限が高すぎるため、スペクトラムアナライザでは測定できません。HewlettPackard社の8561 RFスペクトラムアナライザは、位相ノイズ制限が10 0H zで - 8 0 d B c / H z、1 k H zで-97dBc/Hz、10kHzで-113dBc/Hz、30kHzで-113dBc/Hz、100kHzで-113dBc/Hzになっています。これに対し典型的なクリスタルオシレータでは、これらのオフセット周波数それぞれで30dB~40dB以下になっています。このような高品質のオシレータの場合、正確な位相ノイズを測定するには、より高度な技術が必要となります。

自走VCOの位相ノイズには、いくつかの要素が影響します。式2は、これらの要素全部を考慮した場合の、オシレータのシングルサイドバンドノイズを推定する式です。

式2:

ここで、

L(fM) = 搬送波からのオフセット周波数の関数となる、シングルサイドバンド位相ノイズ(dBc/Hz)

fO = 出力周波数(Hz)

QL = 負荷時の共振器Q(アクティブ負荷及び全寄生要素を含む共振器タンク回路)

fC = アクティブ発振器のフリッカノイズに対するコーナー周波数(Hz)

fM = 搬送波からのオフセット(Hz)

PS = アクティブ発振器の発振信号電力(ワット)

F = アクティブデバイスの回路内ノイズ率(アクティブ負荷及び全寄生要素を含む)

k = ボルツマン定数:~1.38 x 10-23 J/°K

T = ケルビン温度(°K)

L fM( ) =æ

èç

ö

ø÷ +

é

ë

êê

ù

û

úú

èç

ö

ø÷

é

ë

êêê

ù

û

úúú

log 101

2 21 1

2f

Q f

f

f

FkT

PO

L M

C

M S

VSWR 1 + 0=

-=

-

+

,

G

GG0

00

01where

Z Z

Z ZL

L

4

ここで

5

この式で、負荷時の共振器Qが位相ノイズを左右する主要な設計パラメータです。低ノイズ設計を達成するには、このパラメータを最大化してチューニング条件を満足することが必要です。負荷時の共振器Qが高い場合は、無負荷時のQの高い共振タンクコンポーネントを使用してください。これらの条件では、回路の残りの部分を起動し、発振を維持するためのエネルギーをタンクの負荷で結合することが必要です。発振器の負荷時のQは、無負荷時のQの10分の1以下にすることができます。

フリッカノイズのコーナー周波数は素子に依存し、低ノイズ設計にはフリッカの低いコーナーが必要です。このフリッカノイズコーナーを考慮した場合は、低ノイズオシレータ設計にバイポーラプロセスが最適です。GaAs素子は、ノイズコーナーがSiバイポーラ素子の100~1000倍になるため、適していません。

回路内のノイズ率は、外部回路だけでなく素子自体にも依存するため、低ノイズ設計では、これら両方を最適化することが必要です。位相ノイズは、発振信号電力を調整することによって多少制御できますが、現在の携帯用無線電話では、通常、発振部の電流ドレインを大幅に変化させることは不可能です。

式3に、オシレータ固有の位相ノイズを示します。この式に続き、チューニングラインのノイズによって発生する変調ノイズのサイドバンドを示します(式4参照)。

式3:

式4:

ここで、

LPUSH(fm) = バイアスラインを介してVCOを変調するノイズ電圧による、シングルサイドバンド位相ノイズ(dBc/Hz)

LMOD(fm) = VCOからチューニングラインまでを変調するノイズ電圧による、シングルサイドバンド位相ノイズ(dBc/Hz)

K2PUSH = 電源プッシング感度(Hz/V)

K2TUNE = オシレータのチューニング利得(Hz/V)

VN2BIAS(f) = 周波数の関数としてのバイアスライン上のノイズ電圧密度 (nV/√Hz)

VN2TUNE(f) = 周波数の関数としてのチューニングライン上のノイズ電圧密度 (nV/√Hz)

式2、式3、式4を加算すると、VCOのシングルサイドバンド位相ノイズ合計を示す式5が得られます。

式5:

前述のVCOパラメータの制限は、システム全体の性能低下にもつながります。例えば、セルラ電話のパワーアンプ(PA)は、音声信号が存在する時にしかアクティブになりません。このような切替えは、PAの入力インピーダンスに大きな変化をもたらし、送信チェーンを駆動するRF VCOにも影響します。この場合、(負荷バッファなどによって)VCOを負荷変動から絶縁しなければ、周波数変分によってPLLのサイクルスリップの発生や位相ロックを失ってしまいます。

もう1つの問題として、PAのオン/オフサイクルによって発生する消費電流の大幅な変化があります。GSM、DCS1800、及びDCS1900ハンドセットの公称PAは、1A以上を消費することがあり、さらに、電流スイッチングによってVCOのバイアスラインに電圧変化が発生することもあります。このようなバイアス電圧の変化やプッシング率が存在すると、PLLシンセサイザのループ帯域幅の外側に、望ましくない変調サイドバンドが発生します。この問題を回避するには、VCOのバイアス電圧を安定化することが必要です。

ディジタル変調されたシステムのフェーディングされていないビットエラー率(BER)は、送受信パスに存在する全信号ジェネレータの正味位相ノイズによって制限されます。通常、この主な原因となるのが、PLLシンセサイザのRF VCOです。図2のウォーターフォール(滝)曲線は、位相ノイズの効果を示したものです。Eb/NO

LTOTAL fm( )

=

æ

è

çç

ö

ø

÷÷

+

é

ë

êêê

ù

û

úúú

è

çç

ö

ø

÷÷

+( ) ( )( )

+( ) ( )( )

é

ë

êêêêêêêêêêêêê

ù

10

1

2 2 11 1

2

2

2

2 2

2

2 2

2

log

f

Q f

f

f

FkT

P

K VN f

f

K VN f

f

O

M

C

M S

M

M

PUSH BIAS

TUNE TUNE

ûû

úúúúúúúúúúúúú

LMOD fm( )

=( ) ( )( )æ

è

çç

ö

ø

÷÷

log 102

2

2

2TUNE TUNEK VN f

fM

LPUSH fm( )

=( ) ( )( )æ

è

çç

ö

ø

÷÷

log 102

2 2

2

PUSH BIASK VN f

fM

図2. より大きな1ビット当たりのエネルギー値を相加性ホワイトガウスノイズ密度で割ると(Eb/NO)、ビットエラー率(BER)がほぼ一定になります。

BER

Eb/NO

WITH PHASE NOISE

WITHOUT PHASE NOISE

(Eb:1ビット当たりのエネルギー、NO:相加性ホワイトガウスノイズ密度)があるレベルを超えると、BERはほぼ一定になります。さらに強力な通信ラインでは、PLLシンセサイザのRF VCOの位相ノイズを減らすことによって、フェーディングしていないBERを低減します。

搬送波位相を変調することによって情報をコーディングするディジタル変調技法では、位相ノイズが一番の問題になります。このような技法の例としては、直交位相シフトキーイング(QPSK)があります。アナログ分野の同相/直交変調に該当するQPSKでは、一対のビットを4つの異なる位相で符号化することによって、ビットストリームを半分のデータレートで送信できます。それぞれの位相(図3aのp/4、3p/4、5p/4、7p/4)は、システム内に存在する相加性ホワイトガウスノイズ(AWGN)で雲状に広がった、単一空間内の点で示します。

図3bに、同じAWGNでRMS位相を5°分散させたときのQPSKを示します。この場合、位相分散によって4つの領域がアーク状になり、領域間の距離が狭くなっています。このため、復調器のシンボルエラーが起こり易くなり、BERが増大します。許容できる位相分散の量は、復調器設計及び通信リンクに必要な性能に依存します。式6に、統合位相分散と位相ノイズの関係を示します。

式6:

ここで、

f1, f2 = 積分を評価する周波数範囲(通常は、復調器設計によって決まります)

s2f = ラジアンの2乗における総合位相分散

Sf(f) = ラジアンの2乗/Hzにおける位相電力分光濃度(角度が小さい場合は、シングルサイドバンド位相ノイズの2倍)

√s2f = 総合RMS位相エラー (ラジアン)

LOの位相ノイズに関しては、レシーバの感度低下で最も厳しい条件が要求されます。この例としては、セルラ電話や強い干渉信号の中で弱い信号を検出しなければならないような環境があります。図4では、近隣の強い干渉信号がLOの位相ノイズと重なり合ってノイズサイドバンドが発生し、IFの信号対雑音比が低下し、弱い信号を検出するためのレシーバ感度が低下しています。

s ff2 = ò ( )

f

fS f df

1

2

6

図3. 5°のRMS位相分散を加えると(b)、ガウスノイズを持つQPSK信号の信号領域(a)が劣化し、歪みによってBERが増加します。

1

-1

-1 0 1

Q

I

1

-1

-1 0 1

Q

I

(a) (b)

従来の低ノイズVCOは、フリッカノイズに対するコーナー周波数が低い特殊バイポーラトランジスタ、バイアス電源、及び負荷アイソレーションと出力駆動の増大を提供するバッファアンプといった、ディスクリートコンポーネントで構成されています。このようなディスクリート回路の受動チップコンポーネントの多くは、PCボードのスペースを多く必要とし、今日の小型無線ハンドセットには適していません。

解決法

マキシム社のMAX2620(図5)は、ディスクリートコンポーネントのアクディブ機能全てを、小型の8ピンµMAXパッケージに集積しています。このデバイスは、27GHz fTを特徴とするマキシム社独自のSiバイポーラプロセスで製造した、フリッカノイズに対して低コーナー周波数のバイポーラトランジスタを備えています。PC

ボードは、高集積によって領域を有効利用しているため、PCボードのレイアウトやシールドが容易になります。

MAX2620は、低ノイズトランジスタの他に、2つの出力を持つダブルバッファ(負荷アイソレーション用)、バイアスジェネレータ及び有用なシャットダウン機能を備えています。+2.7V~+5.5Vの単一電源で動作し、3Vでの消費電力は僅か27mWとなっています。900MHzにおける動作の場合、1.75:1の負荷VSWRを360°回転した時の周波数シフトは、163kHz以下です。MAX2620の内部バイアス電圧ジェネレータは、発振周波数のバイアス電圧変分の影響を大幅に低減します。中心周波数900MHz、3Vから4Vへの電源変化におけるプッシング感度は、71kHz/Vです。

MAX2620は出力を2つ持っています。一方の出力は50Ωの負荷に-2dBmを発生し、通常はミキサのLO入力を駆動します。他方の出力は50Ωの負荷に-12.5dBmを発生し、集積されたPLLシンセサイザのRFプリスケーラ入力を駆動します。高いQを持つ外部タンク回路と共に900MHzで動作させた場合のMAX2620及びその低ノイズ内部トランジスタが発生する位相ノイズは、25kHzで僅か-110dBc/Hz、300kHzで-132dBc/Hzです。この外部タンクを使用すると、アプリケーションのチューニング機能及びシングルサイドバンド位相ノイズを最適化できます。

発振起動を保証するには、タンク回路の実インピーダンスを、発振器の負の実インピーダンスの1/3~1/2にし、タンクの受動部品の正負は、オシレータの受動部品と反対にすることが必要です。起動後は、利得コンプレッションによって、オシレータの負抵抗が共振タンク回路と均衡になるまで低下します。

タンク回路にバラクタダイオード(電圧をチューニングした可変コンデンサ)を追加すると、望みのチューニング範囲でオシレータに適切な負抵抗が存在する限り、オシ

7

図4. 局部オシレータ信号に組み合せると、強い干渉信号により問題の信号をマスクするノイズサイドバンドが発生します。

LOW SIGNAL-TO-NOISERATIO CAUSED BY

LO PHASE NOISE MIXING WITH STRONG INTERFERER

LO PHASE NOISEMIXING WITH STRONG

INTERFERER

IF

AT POINT BAT POINT A

STRONG INTERFERER

DESIREDSIGNAL

B

NOISY LO

WEAKSIGNAL + STRONG

INTERFERER

A

図5. この典型的な動作回路には、VCOの構築にMAX2620を利用しています。

MAX26201

2

3

4

8

7

6

5

VCC VCC

VCC

VCC

BIASSUPPLY

C17

1.5pF

C5

C6

1000pF

1000pF

1000pF

10W

CERAMICRESONATOR

L1

VTUNE

1k

D1ALPHA

SMV1204-34

1.5pF 1.5pF

51W

10nH

C32.7pF

C41pF

0.1mF

1000pF

TO SYNTHESIZER

TO MIXER

SHDN

レータ周波数をチューニングすることができます。MAX2620は、この点で最適化されています。

MAX2620オシレータは、低位相ノイズにおける動作用としても最適化されています。最低の位相ノイズを達成するには、セラミック伝送回路共振器(無負荷時Qが400 typ)及び高Qインダクタ(無負荷時Qが180 typ)などのQの高いコンポーネントが必要になります。図5に示す負荷時のQを最大にするには、C5とC17を、希望する周波数及びチューニング範囲を満たす最低の値にします。例えば900MHz動作の場合、セラミック共振器回路ではC6を1pFにし、インダクタ回路では1.5pFにします。但し、Qの高いインダクタの無負荷時のQは、セラミック共振器のQより低いため、(セラミック共振器の代わりに)高Qインダクタを使用すると、位相ノイズが多少劣化します。インダクタを使用したタンクの位相ノイズは、25kHzで-107dBc/Hz、300kHzで-127dBc/Hzです。

MAX2620の2つの出力は、電源へのプルアップ用外部コンポーネントを必要とするオープンコレクタです。50Ωの抵抗により50Ωシステムへの出力マッチングが取れますが、抵抗は出力電力を消費します。最大の出力電力を確保するには、図5のバッファ出力に示すプルアップインダクタを使用してください。インダクタ回路のオープンコレクタ出力インピーダンスは、適切なマッ

チングネットワークを介して希望する負荷インピーダンスと一致させることが必要です。

最適なオシレータ性能を得るための重要なポイントは、PCボードのレイアウトです。寄生要素の影響を最低限に押さえるために、共振回路の構成部品の下やその回りから、PCボードのグランドプレーンを取り除きます。寄生インダクタンスを最低化するには、トレースをなるべく短くしてください。デカップリングコンデンサ(グランドへのピン1、4、及び7)は、グランドプレーンへの直接接続で、できるだけMAX2620パッケージの近くに接続します。図5のコンデンサには、0805又はこれ以下のものを使用することが必要です。

MAX2620は、現在の無線ハンドセットのRF VCOではコスト的に有利な低電力オシレータとして、従来から多数のディスクリート部品に要求されていた機能を提供します。MAX2620のダブルバッファ出力は負荷アイソレーションを提供し、内部安定化セルは、電源変動からのアイソレーションを提供します。+3V電源における消費電力は、僅か27mWとなっています。MAX2620は、非常に低い位相ノイズを達成するだけでなく、その外部タンクを利用すれば、任意のアプリケーションに適切なオシレータ回路を作成することもできます。

8

1. Boyles, John W.“The Oscillator as a ReflectionAmplifier: an Intuitive Approach to OscillatorDesign(反射アンプとしてのオシレータ:オシレータ設計への直感的アプローチ),”MicrowaveJournal, June 1986, pp 83-98.

2. Crawford, James A. Frequency SynthesizerDesign Handbook(周波数シンセサイザ設計ハンドブック), MA: Artech House, Inc., 1994.

3. Egan, W. Frequency Synthesis by Phase Lock(位相ロックによる周波数シンセシス). John Wiley& Sons, Inc., 1981.

4. Leeson, D.B.“A Simple Model of FeedbackOscillator Noise Spectrum(フィードバックオシレータノイズスペクトルの簡易モデル),”

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5. MAX2620データシート, Rev. 0, July 1997,Maxim Integrated Products, Inc.

6. Rhea, Randall W. Oscillator Design andComputer Simulation(オシレータ設計とコンピュータシミュレーション), Second Edition.Atlanta: Noble Publishing, 1995.

7. Temple, R.“Choosing a Phase NoiseMeasurement TechniqueÑÑConcepts andImplementations(位相ノイズ測定技法の選択-概念とインプレメンテーション),”HP RF andMicrowave Measurement Symposium, February,1983.

参考文献

9

周波数スペクトルの使用及び出力電力の発生に関しては、全周波変調よりもシングルサイドバンド変調(SSB)の方が効率的です。SSBは、データ送信に利用されることはありませんが、HFや低VHFにおける音声送信にはよく利用されています。図1の回路は、必要な機能全部を集積化したICと広帯域低電圧オペアンプを組み合せることによって、35MHz~80MHzのSSB信号を発生します。ここに示したICは、全て3V ±10%動作用です。

従来のSSB発生方法は、搬送波を変調してから出力をフィルタリングし、望ましくないサイドバンドと搬送波周波数を除去していました。この方法では、発生した電力の約2/3がフィルタリングで消費されてしまうことから、無駄の多い方法と考えられています。(しかし、このフィルタリングは出力段で実行しない場合もあるため、伝送電力の2/3が必ず無駄になるとは限りません。)

図1. このSSB変調器は、音声信号で変調した高周波数搬送波の低サイドバンドを発生します。

R R R R R R

R R R R R R

R R R R R R

R R R R R R

A1 B2 C3 D4 E5 F6

TO1A

TO2B

TO3C

TO4D

TO5E

TO6F

C1 C2 C3 C4 C5 C6

C1 C2 C3 C4 C5 C6

C1 C2 C3 C4 C5 C6

C1 C2 C3 C4 C5 C6

IC1

MAX2452

100k

100k

100k

100nF

100k

100k

100k

100k

100nF

11, 14

2, 15, 10100nF

2.7V

100nH

2.5pF TO 4.0pF

C8100nF

C7100nF

16

1

V/2

OUTPUT50MHz

I3

Q5

4

6

12

TO PLL(IF REQUIRED)

¸2 ¸8

98

33pF 33pF

fOSC = 100kHz

I

Q

10k

NOTES:R = 12k ±10%C1 = 0.044mF (2 x 0.022mF)C2 = 0.033mFC3 = 0.02mFC4 = 0.01mFC5 = 5600pFC6 = 100nF

100k

100k

10k

V/2

GAIN = 100

1k

1k

MICRO-PHONE

1/4MAX494

1/4MAX494

1/4MAX494

1/4MAX494

2.7V

V/2

2.7V

V/2(LOW-IMPEDANCE HALF-RAIL)

8

2.7V

47k

47k

4

1/2MAX492

100k

V/2

1/2MAX492

DESIGN SHOWCASE

2.7Vで消費電流が

僅か5mAのSSB変調器

10

別のSSB発生方法としては、整相(代数)法があります。このアプローチでは、望ましくない搬送波とその他のサイドバンドを抑制しながら、2つの変調器(ミキサ)で希望するサイドバンドを発生します。これら2つの変調器は、通常QAM信号の同相( I)及び直交(Q)変調で使用し、IC1で提供されます。得られた回路には、次のような利点があります。

• 低電力、低価格動作

• 4mと6mのアマチュア無線帯域を含む出力信号(35MHz~80MHz)

• 2組の接続を逆にすることによって(フィルタを交換することなく)、動作を高サイドバンドから低サイドバンドに切り替え可能

• フィルタが不要

• 必要なタンクオシレータ、2つの変調器及びサミングアンプを1つのICに統合

変調プロセスでは周波数の相殺が固有動作になるため、搬送波とサイドバンド周波数の抑制用フィルタは必要ありません。例えば、(信号の大きさを無視し)搬送波信号をsinwCt、変調信号をsinwMtとします。変調(ミキシング)は、次に示すように、搬送波信号と変調信号を掛け合わせたものになります。

[sinwMt][sinwCt] = 0.5cos(wM - wC)t - 0.5cos(wM + wC)t

いずれかの量に位相シフト90°を追加すると、sin(wC + 90°)t = coswCtとsin(wM + 90°)t =coswMtのコサインが得られます。これら入力(sinwMtとsinwCt)のそれぞれを90°シフトしてから別の変調器で変調すると、次の結果が得られます。

[coswMt] [coswCt] = 0.5cos(wM - wC)t + 0.5cos(wM + wC)t

ここで、IC1の出力でcos(wM- wC)tとして現れる低い方のサイドバンドは、これら2つの変調器出力の和、cos(wM+ wC)tとして現れる高い方のサイドバンドは、2つの変調器出力の差を示します。

RC整相ネットワークは、コンポーネント数の少なさよりも、簡易性を重視して選択したものです。5%のコンポーネントを使用すると、1°以下の位相シフトエラー及び0.2dB以下のエラーで、300Hz~3500Hzのネットワークレスポンスが得られます。IC1による、望ましくない搬送波及びサイドバンド周波数(-35dB)の抑制は、汎用機器を使用した場合、予想よりも約5dB低くなりますが、5W以下の出力電力レベルでも不適切な値ではありません。この抑制性能は、未使用の変調器入力の容量終端(C7及びC8)に多少依存します。出力段(図示省略)としては、単一トランジスタバッファ、クラスCパワーアンプ又はアプリケーションに必要な任意のものが利用できます。

簡易性を考え、この回路はIC1の内部自走オシレータで動作するように設計されています。この配置は安定性に欠けるため、IC(この場合はMAX2452)のデータシートの説明にあるように、外部ソースを設けるか、又はオシレータを外部位相ロックループの一部として接続することが必要です。外部ソースを使用すると、伝送周波数範囲を大幅に拡張できます。

この回路の測定値は、オシレータ周波数142MHz、搬送波71MHzにおける動作時に得られたものです。-27dBの搬送波抑制は、MAX2452データシートの公称抑制値よりも8dB低くなっていますが、IC1の入力I及びQをシングルエンドモードで駆動する回路では問題ありません。(差動で駆動すると、性能は向上します。)サイドバンド抑制は、最低-36dB(テストセットアップのノイズフロア)あります。

11

図1は、センサ(SN1)に電解液を充満した傾斜計(傾斜測定回路)です。ポテンショメータとして動作するこの傾斜計は、中央の電極の傾斜に比例する電圧を発生します。この液体は電気分解に影響するため、センサのフォーシング電圧は平均DC成分がゼロのACであることが必要です。IC1は、マイクロコントローラ(µC)IC2用のセンサ出力をディジタル化する、8チャネル、12ビットADコンバータ(ADC)です。

この種のセンサを処理するための回路は、通常、オペアンプ、アナログスイッチ及びポテンショメータを含みます。ポテンショメータの設定は、時間と温度によってドリフトするため、正確で厳密な処理に基づいて定期的にキャリブレーションを行うことが必要です。図1のアプローチは、このようなキャリブ

レーションを必要とせず、僅か+2.7Vの単一電源で動作します。

µCの2つのCMOSポートピンは、センサのAC駆動用として、180°逆位相の50Hz方形波を生成します。センサがレベル状態の時は、中央電極の電圧(R3/C4でフィルタリングしてからADCに供給)が、これらの駆動電極範囲(約VCC~0V)の中間になります。各ポートピンには、有限抵抗とそれに起因する電圧降下が存在します。この不正確さは、分圧器R4/R5で駆動信号の中間レベルの電圧をサンプリングし、ADCのチャネル2に供給することによって補償しています。電圧は一定値を保ちますが、中央電極の信号は傾斜方向に従って中間レベルを上下します。

DESIGN SHOWCASE

+2.7Vで動作する

調整不要の傾斜計

図1. この傾斜センサは簡単で正確なだけでなく、安価で調整も必要ありません。

C20.1mF

C30.1mF

R410k

ELECTROLYTICTILT SENSOR

SPECTRON: L-211FREDRICKS: 0725-5006

R510k

R11k

CONTRAST

R23.3k

R32.7k

C20.1mF

SN1

R647W

C110mF

1CH0

2 CH13

CH24 CH35

CH46 CH57

CH68 CH7

VDD

VDD

DIN

DOUT

SCLK

STRB11 VREF

9 COM13C5

0.1mFAGND

14

20

12

17

15

19

18

16

10DGND N.C.

N.C.

IC1

MAX147

CS

SHDN

VCC

7

2

LCD1DISPLAY MODULE

D08

D19 D2

10D3

11 D412

D5

14D7

13 D6

6 EN4 RS

3

15

V0R/W GND

14 VCC

VCC

3 RICC4

RB6

RB7

RB0

RB1

RB2

RB5

OSC1

OSC2

RB4

1

2

RA2

RA3

17

18

RA0

RA1

12

13

6

7

8

9

11

5

16Y12M

CERAMICRESONATOR

15

10IC216C54-ALT

PICmC

RB3

GND

MCLR

VCC

VDD

VCC

12

1つのチャネルの傾斜信号及び別のチャネルのリファレンス(中間レベル)信号は、ADCでディジタル化してµCに供給します。AC駆動は各極性で10msドウェルし、A/D変換前の12ビットセトリングに対して約9つの時定数を許容します。コンバータの擬似差動入力は、これらの信号の絶対値(-1/2VCC)をネゲート(否定)します。従って、(チャネル1に対し)チャネル0の量と極性は、傾斜の大きさと方向を示します。傾斜測定は比率計量に基づいているため、電源の大きな変化による影響は比較的小さくなっています(電源変化1ボルト当たりフルスケールの0.2%(typ))。

測定は、連続する2回のハーフサイクルから成り、µCはまず「センサ値 - リファレンス値」を計算し、次に逆の位相駆動信号を供給して「リファレンス値 - センサ値」を計算します。これらの値を引算すると、希望する傾斜値を2倍した値が得られるため、オフセットを取り消すことによってヌル調整する必要がありません。得られた値は、2の補数量としてソフトウェアで扱い(マキシム社のホームページwww.maxim-ic.comの「OtherSoftware」のソフトウェアリスト「Adjustment-Free Inclinometer」を参照してください)、整数として液晶ディスプレイ(LCD)に表示します。(このシステムのディスプレイはデモ用です。)

その他の観測

このシステムは、提供ソフトウェアには導入されていませんが、超低消費電力動作が可能になっています。変換処理を行っていない時は、IC1をシャットダウンすることができ、このモードでの消費電流は僅か10µAに低下します。但し、IC1のシャットダウン中

は、µCポートのピン12と13をローに設定し、DC電流によるセンサの損傷を防ぐことが必要です(最大許容DC電流については、センサのデータシートを参照してください)。µCの内部ウォッチドッグは、新規測定用として約1秒毎にウェイクアップすることができます。また、1秒当たりの測定数が2~3の場合、LCDをマキシム社のICM7211と置き換えることにより、全体的な消費電流を100µAに低減できます。

上に述べた技法は殆どのµCやマイクロプロセッサ(µP)とコンパチブルですが、µPの中には、出力構造がMicrochip PICTMと異なるものもあります。例えば8051の場合、その殆どにオープンドレイン出力とプルアップ抵抗があり、ポートピンのソース及びシンク電流に不一致が発生します。このようなµPは、ポートピンとセンサの間に外部CMOSインバータを接続し、動作の信頼性を確保することが必要です。センサのDC電流を最小化するために、起動時の初期化とパワーダウン条件を慎重に設計することが必要です。

最後に、もう1組の駆動電極用として2つのポートピンを追加することにより、これらの技法をデュアル軸センサ用に拡張することも可能です。この場合測定方法は同じですが、各軸のセンサピンは、測定を実行しながら交互にスリーステートに設定することが必要です。これにより、一般のアナログ技法では困難な交差軸インタラクションの最小化が達成できます。

PICは、Microchip Technology, Inc.の商標です。

13

図1に示す回路は、ドッキングステーションにプラグインできるシステムに適した、完全ポータブル機器電源です。メイン電源が切れるか安定範囲外になると、セレクタ回路によって、負荷が自動的にバックアップバッテリによる安定したスイッチモード電源に切り換わります。この切替えが発生すると、システムは制御プロセッサをフラグするだけでなく、バックアップバッテリ電圧がプログラマブルスレッショルド以下になると警告を出します。

DC-DCバックアップコンバータ(IC1及び関連コンポーネント)は、2つの放電したアルカリまたはニカド電池だけで動作します。このコンバータは、200mA

の出力電流でピン設定可能な5V又は3.3Vの出力電圧を発生します。メイン電源電圧(+5V)の使用時は、バックアップ電源がオフになります。つまり、+5V電源が存在する時は、超低電源コンパレータ/リファレンスデバイス(IC2)の出力がローの状態になり、PチャネルMOSFET Q3をオンにすることによって負荷と電源を接続します。また、IC2のロー出力はIC1をシャットダウンし、NチャネルMOSFET Q2をオフにします。C3は、Q1の寄生ダイオードを介してメイン電源で充電されるため、R5はQ1ゲートをハイにし、デバイスがオフになります。

図1. この電源は、+5V電源が接続されるまで、負荷の駆動用としてVBATTを供給します。その後、自動的に負荷をVBATTから切断し、+5V電源に接続されます。

IC1

MAX756

LBI5

LX

73

C268mF

2-CELLALKALINEBATTERY

GND

2

REF

OUT6

D11N5817

Q11/2 SI4539

Q31/2 SI4539

Q2SI9435

RESET/ALARM

VBATT

+5V(MAIN SUPPLY)

R6100k

LBO4

8

7

8

4

3

6

2 1

IC2

MAX981

OUT

V+

V- GND

C1100nF

L147mH

C368mF

C4470mF

TOmP

RLOAD

1SHDN

R1226k

R2100k

R3750k

POWERON

R4249k

R5100k

3/5

REF

IN+

IN-

ON/OFF

DESIGN SHOWCASE

メイン/バックアップ電圧を選択し、

負荷を切断する電源回路

14

+5V電源に異常が発生するか、電源が安定範囲外(R3とR4で決まる4.75Vスレッショルドで定義)になると、IC2の出力がハイになり、Q3をオフにしてメイン電源を切断し、IC1をシャットダウンモードからオンに設定して、Q1とQ2をオンにすることによってバックアップ電圧と負荷を接続します。Q1には、(消費電力を最小化するために)RDS(ON)の低いものを選択し、Q2には(メイン電源の異常時、VBATTへの切替えを確実に行うために)超低VGSスレッショルドを持つものを選択してください。(上で述べたように、常に存在する)C3の充電は、バックアップ電源の迅速なオン設定を保証し、C4の充電は、+5V電源とVBATT間の切替え時の出力電圧をサポートします。

システムがオフの時(バックアップコンバータがシャットダウンし、+5V電源が存在しない時)は、POWER ONボタンを押してバックアップ電源をオンにすることができます。(このスイッチからI/Oライン

への接続は、プロセッサへのオン/オフ制御を提供するだけでなく、電源からプロセッサにオン/オフ信号を送信することもできます。)このプッシュボタンを押すと、Q1、Q2及びIC1がオンになり、C4が充電できるようになります。プッシュボタンを離すと、R6のプルアップ/ラッチ効果が有効になります。

Q3の接続は、ドレインをソース以上の正にします。この異常な構成によって、+5V電源が接続された時に内部の寄生ダイオードによって電流が流れ、C4が直ちに充電され、IC2に電源が供給されます。(IC2の出力がローになると、Q3がオンになり、そのRDS(ON)によって寄生ダイオードがシャントされます。)この時、Q3の低い順方向降下がメイン電源許容差に与える影響は、無視できる程度です。

15

図1に示す回路は、センサバイアス、液晶ディスプレイ(LCD)のコントラストバイアス又は電圧制御オシレータ(VCO)のチューニング電源に適した、低電流、可変負電源を提供します。この回路を使用して、バッファされたD/Aコンバータ(DAC)の出力からチャージポンプダブラを駆動することにより、オペアンプやディスクリートコンポーネントに基づくレベルシフタを使用した従来のアプローチを回避できます。

IC1は、シリアル入力及びバッファ電圧出力を備えたデュアル8ビットDACです。出力インピーダンスは50Ωになっているため、通常のIC2チャージポンプに必要な1.1mAを供給しながら、動作時のDAC出力が約50mV降下します。0~255までの入力コードの変化に対するDAC出力範囲は、レイルトゥレイル®

で、1ステップ当たり約40mV変化します。

IC1への入力+5V(VCC)とIC2からの出力-3Vによりチャージポンプへの最小許容電圧(1.5V)を発生するコードは、80(10進数)です。このチャージポンプは、0.6mAから±2倍の電圧をVCCターミナルに発生し、入力範囲1.5V~6Vに対して±3V~±12Vを

発生します。(プラス出力とマイナス出力は、同時に使用できます。)メイン電源の最低電圧は2.7Vで、このときのマイナス出力は、-5Vを僅かに越える値です。この状態の最小コードは約140(10進数)です。

電源をシャットダウンするには、DACをゼロに設定します。DACは、消費電流が僅か1µAとなるシャットダウンモードを持っています。システムをシャットダウン状態から立ち上げる時に確実な起動を保証するには、最低2Vでチャージポンプを起動するための値をライトしてください。但し、パルス幅変調(PWM)出力を備えたマイクロコントローラ(µC)の場合は、DACを使用する必要はありません。例えば、20kHzのPWM信号を270Ω/3.3µFローパスネットワークでフィルタリングすると、可変VCCをチャージポンプに供給できます。この時µCのポートピンは、許容できる電圧降下で電流を供給することが必要です。供給できない場合は、CMOSバッファか74HC04などのインバータでバッファリングします。

図1. この可変負電源は、8ビットシリアル入力DACで制御したインバーティングダブラチャージポンプで構成されています。

IC1

MAX522 VO1

3

8

1

4

V+

C43.3mF

C23.3mF

2

C50.1mF

3V TO 10VAUXILIARY

POSITIVE OUTPUT

NEGATIVE LCD CONTRASTMAIN OUTPUT-3V TO -10V

5

6

7

SCLK

DATA

SPI/MICROWIRE-COMPATIBLE

INTERFACE*

CLOCK

*FOR 2-WIRE (I2C-COMPATIBLE) INTERFACE, USE THE MAX518 DAC (VCC > 4.5V).

SPARE

VCC

1.5V TO 5VDIN

CS

GND

VO2

REF

VCC2.7V TO 6V

VCC

IC2

MAX865

8

1

2

3

C1+7

6

4

C1-

C2+

C2-

V+

V-

5

C13.3mF

C33.3mF

CS

GND

DESIGN SHOWCASE

負電源可変の

DAC駆動チャージポンプ

レイルトゥレイルは、日本モトローラの登録商標です。

IC1

MAX867

4

5

3

7

2

8

R24.7k

R17.5k

N

VIN

LBI COMPARATOR

ERROR COMPARATOR

CURRENT-LIMIT COMPARATOR

ONE-SHOTTRIG Q

Q

ONE-SHOT

SHDN

1

TRIG

S QR

F/F

MINIMUMOFF-TIME

ONE-SHOT

10mF

0.1mF

VIN

LX

N

GND

VOUT

D1

R3*

R4*

*SEE TEXT

COILCRAFTDO1608C-334

330mH

10mFMOTOROLAMBR0530L

Q12N3906

FB

REF

(1.25V)

REFERENCE

MAXIMUMON-TIME

ONE-SHOT

LOWBATT

R5270k

R6470k

1M

OUT

6

16

低電圧からさらに低い電圧にステップダウンする場合、通常低ドロップアウト(LDO)リニアレギュレータを使用しますが、バッテリ駆動システムでは、LDOでエネルギーを最大限に活用することはほぼ不可能です。バッテリが空のときにドロップアウトに近い状態で動作するセル数を選択すると、バッテリ放電の殆どに適用する電圧が高すぎ、この範囲で最大効率を目的としてセル数を選択すると、バッテリが空になる前にドロップアウトが発生してしまいます。

この問題の解決策のひとつとして、高効率バックDC-DCコンバータが挙げられます(図1)。この回路は、最大80%の効率で入力を2Vに、出力を1.25Vにステップダウンでき(図2)、LDOのように低入力電圧で動作します。LDOとの違いは、最大許容値(6.5V)までの入力で、かなり高い効率を維持することにあります。

ステップアップスイッチングレギュレータ(IC1)は、外付スイッチングトランジスタ(Q1)を追加してステップダウンするようになっています。Q1は、LX(ピン8)を介し、グランドに接続したオープンドレインNチャネルパワーMOSFETから成るICの内部スイッチングトランジスタで駆動します。R2は、Q1のベース電流を制限し、R1は、LXがフロートした時に

Q1をオフにします。R1とR2の値は、最大出力電流を制限する軽負荷(1mA~10mA)で最大効率が得られるように選択します。R1とR2をより低い値にすると、さらに高い出力電流が得られますが、回路の自己消費電流レベルも高くなります。

出力電圧は、次の式に示すようにR3とR4によって決まります。

VOUT = VREF(R3 + R4)/R4

ここで、VREF = 1.25Vです。

最小出力電圧は、1.25Vです(R3 = 0で、R4が存在しない場合)。同様に、低バッテリ電圧のスレッショルドは、R5とR6によって決まります。入出力コンデンサとしては、低コストの電解質又はタンタルを使用できます。高い効率を得るには、定格値が希望の出力電流以上で、妥当な低さの直列抵抗を持つインダクタを使用することが必要です。ダイオードD1に関しては、ロスがダイオードの順方向電圧に比例し、この電圧が出力電圧の重要な部分になるため、ショットキタイプのダイオードを使用してください。

図1.これらの外部コンポーネントは、ブーストコントローラICをイネーブルし、低電圧バックレギュレータ回路をインプリメンテーションします。

図2. 図1の回路の変換効率は、グラフに示すように出力電流によって異なってきます。

85

500.1 100101

電力効率�対 出力電流�

60

70

65

55

75

80

出力電流 (mA)

効率 (

%)

VIN = +2.0V

VIN = +3.3V

VIN = +5.0V

DESIGN SHOWCASE

バックコンバータを駆動するブーストコントローラ

17

NEW PRODUCTS

16ピンQSOPパッケージに収められた8ビットラッチ付パラレルDAC

MAX5480は、殆どのマイクロプロセッサと直接インタフェースする8ビットパラレル入力CMOS DACです。内部入力ラッチにより、ランダムアクセスメモリの書込サイクルに似たDACインタフェースを形成します(制御入力はCSとWRのみ)。

全温度範囲で保証された仕様としては、単調性、±1/2 LSBの直線性及び消費電力2.5mW等が挙げられます。MAX5480は+5V単一電源で動作し、最大消費電流は+25℃で100µA、全温度範囲で500µAとなっています。電流出力動作と電圧出力動作の両方が可能です。

MAX5480は、16ピンCERDIP及びQSOPパッケージで提供されており、3つの異なる温度範囲のものが用意されています。価格については、¥170(1,000個以上)からとなっています。

ディジタル化ADCと再構築DACを組み合わせたIFアンダーサンプリングCODEC

MAX1005中間周波数(IF)アンダーサンプリングCODECは、PWT1900*通信機器のアナログ部とディジタル部の間のインタフェースを提供します。本素子は、レシーバIFバンドパスサンプリング用に5ビットアナログディジタルコンバータ(ADC)、アナログIFサブキャリアの再構築用に7ビットディジタルアナログコンバータ(DAC)及びそれらの各々について独立の低ノイズバンドギャップリファレンスを備えています。

ADCの変換レートが15Mspsであるため、1.5MHz信号の10xオーバーサンプリングが可能です。しかし、入力帯域幅が広いため(15MHz)、10.7MHz以上におけるIFアンダーサンプリングが可能となっています。

NEW PRODUCTSDACのグリッチエネルギーが非常に低く、スプリアスフリーダイナミックレンジが高いため、望ましくないスプリアス信号の送信を最小限に抑えることができます。

MAX1005は、単一電源又は独立したアナログ電源とディジタル電源で動作でき、電圧範囲はそれぞれ独立に+2.7V~+5.5Vです。例えば、アナログ電源として非安定化+5.5V、ディジタル電源として最低+2.7Vの安定化電源を使用できます。こうした柔軟性のため、バッテリが充電中でもそのバッテリで動作できることから、スイッチングレギュレータに伴うノイズを排除し、またリニアレギュレータを使用した場合と比べて電力を節約できます。

動作モードは、送信(DACがアクティブ)、受信(ADCがアクティブ)及びフルシャットダウン(消費電流が1µA以下に低減)があります。部分的シャットダウンからのウェイクアップ時間は僅か2.5µsであるため、MAX1005は短いアイドル時間でも電力を節約できます。

MAX1005は、超小型16ピンQSOPパッケージで提供されており、温度範囲は民生用(0℃~+70℃)及び拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥370(1,000個以上)からとなっています。

* PWT1900は米国のPCSエアインタフェース規格です。実証済みのDECT技術に基づくPWT1900は、長距離品質のワイヤレスPBX、PCS及びWLLアプリケーションに適しています。

8

VREF+5V

VOUT

DATA

CSWR

MAX5480

54805480

+5VV REF

C

8

CSWR

DATA

MAX5480 MAX4330

54805480

電圧モード� 電流モード�

4.98m m x 6.2

mm

5480

250

200

150

100

50

0300 1kサンプリングレート�(サンプル/秒)

10k

消費電流�

(µA)

† VREF = VDD。内部リファレンス使用、� 1ksps時の消費電流は139µA。

低電流†

220µA

10µA24µA

+2.7V、12ビット/10ビットADC、内部リファレンス付

MAX1240/MAX1242 12ビット/10ビットADCは低電力で動作し、内部リファレンスを備えています。互いにピン配置及びソフトウェアがコンパチブルで、いずれもトラック/ホールド、ADC、リファレンス、クロック及びシリアルインタフェースを8ピンSOPパッケージに収めています。

これらのコンバータは、+2.7V~+3.6Vの単一電源で動作します。消費電流は、サンプリングレートが73ksps(max)のときに2mA(リファレンス電流を含む)となっています。シャットダウン中は、消費電流が2µAまで低減します。3線シリアルインタフェースは、SPITM/QSPITM及びMicrowireTM

同期シリアル規格とコンパチブルです。

M A X 1 2 4 0( 3 つのグレード)及びMAX1242(2つのグレード)は、8ピンSOP又はDIPパッケージで提供されています。価格については、MAX1242が¥340、MAX1240が¥480(1,000個以上)からとなっています。

SPI及びQSPIはMotorola Inc.の商標です。

MicrowireはNational Semiconductor Corp.の商標です。

18

NEW PRODUCTSレイルトゥレイル出力の低価格、高速、単一電源SOT23バッファ

MAX4014ファミリは、高精度閉ループ高速バッファです。このファミリの回路当たりの自己消費電流は僅か5.5mAですが、高スルーレート(600V/µs)、広帯域幅(-3dBで200MHz)、大出力電流(±120mA)及び低利得/位相エラー(0.02%/0.02 )゚特性を備えています。出力は電源電圧範囲にスイングし、入力同相電圧範囲は負電源の200mV外側まで拡張されています。

MAX4014ファミリのバッファは、ビデオ、通信、計測器その他の広帯域幅を必要とする低電力/低電圧アプリケーション用に好適です。+3.3V~+10Vの単一電源又は±1.65V~±5Vのデュアル電源で動作し、反転又は非反転入力におけるノイズは僅か10nV/√Hz及び1.3pA/√Hzです。トリプルバッファMAX4019は、消費電流を350µAに低減するディセーブル機能を持っています。

MAX4014(シングル)、MAX4017(デュアル)、M A X 4 0 1 9(トリプル)及びMAX4022(クワッド)は、省スペース5ピンSOT23、µMAX又はQSOPパッケージで提供されています。価格については、¥120(1,000個以上)からとなっています。

電源の必要条件を50%軽減する高精度、電流制限パワースイッチ

MAX869L電流制限パワースイッチは、低オン抵抗(5Vで僅か35mΩ)と精度が±20%で400mA~2.5Aの範囲で可変の電流リミットを備えています。本素子は、システムを短絡及び過負荷障害から保護します。例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)アプリケーションでは、カードスロット又はプラグインポートでそうした障害があると、メイン電源電圧が最低動作レベルよりも低く引き下げられることがあります。

メイン電源をシンプルかつ安価にするには、出力電流リミットの公差が狭いことが必須です。例えば、最小連続電流として2Aを保証するために、MAX869Lでは公称2.5Aで最大3Aを維持します。ところが他社の類似製品は精度僅か±50%しか保証していないため、公称4Aで最大6Aを維持する必要があります。このため、精度の高いMAX869Lは、電源の必要条件を50%(6A~3A)軽減できます。

MAX869Lはサーマル過負荷保護を備えており、また電流リミットループは応答時間が4µsと高速であるため、ホットプラグインの際の大きな容量性負荷が起こす一時的な短絡によるシステムグリッチやリセットを防ぎます。MAX869Lが電流リミット又はサーマル過負荷状態になると、ロジックFAULT出力がマイクロプロセッサに警告します。

入力範囲が2.7V~5 .5Vであるため、MAX869Lは3V及び5V両方の機器に最適です。自己消費電流が非常に小さく(12µA)、OFF状態では僅か0.01µAに低下します。標準的なアプリケーションとしては、カードバス、PCMCIA及びUSB用のスロット及びポートを備えたノートブック及びハンドヘルドコンピュータ、そして周辺機器のパワーポート等が挙げられます。

MAX869Lは、ハイサイドPチャネルMO S F E Tパワースイッチのファミリ(MAX890L~MAX895L)の最新製品です。MAX869Lは、16ピンQSOPパッケージ(8ピンSOPと同面積)で提供されています。MAX869Lの価格は、¥270(1,000個以上)からとなっています。

面積0.4cm2、高さ1.11mmの安定化電源(3VIN、-5VOUT)

MAX868は、1.8V~5.5Vの入力を反転してから2倍圧する可変安定化スイッチドキャパシタ電圧コンバータです。-2VINの負電源電圧を発生するコンパクトで安価なこの30mAチャージポンプ素子は、インダクタを搭載したDC-DCコンバータを置き換えて、コスト、ボード面積及び高さを低減します。標準的なアプリケーションとしては、セルラ電話、小型LCDパネル及びPCMCIAカードが挙げられます。

450kHzチャージポンプ発振器をゲートして出力電圧を一定に保持することにより、レギュレーションが行われます。このオンディマンドスイッチング方式により、優れた軽負荷効率が得られ、また重負荷で最大30mAの出力電流を供給できます。MAX868を動作させるには、4つのセラミックコンデンサと出力を設定するための2つの外付抵抗が必要です。MAX868は自己消費電流が僅か30µAとなっており、しかもロジック制御のシャットダウンピンによりチャージポンプをターンオフして全消費電流を1µA以下に低減できるため、バッテリ駆動機器に最適です。

MAX868は、10ピンµMAXパッケージ(高さ僅か1.11mmで面積が8ピンSOPの半分)で提供されています。価格については、¥220(1,000個以上)からとなっています。

MAX868C1+

IN

PGND

SHDN

GND

FB

OUT

0.1mF

1mF

ONOFF R1

R2

2.2mF

安定化�負出力�

0V ~ (-2 x VIN)�最大 30mA

正入力�1.8V ~ 5.5V

= 0.06in2

= 40mm2

0.1mF

C1-

C2+

C2-0.18" x 0.33"

FITS IN

19

NEW PRODUCTS次世代のノートブックCPU用に最適化された高精度PWMバックコントローラ

低電圧MAX1636パルス幅変調(PWM)コントローラは、ノートブックコンピュータで高電圧バッテリから高精度に安定化されたCPU電源電圧を発生します。固定周波数電流モードPWMコントローラであるMAX1636は、今日のCPUで要求される高速過渡応答、低消費電流、優れた負荷レギュレーション及び優れた出力精度を備えています。その他のアプリケーションとしては、バッテリ充電器、インバータ及びブーストトポロジー回路等が挙げられます。

MAX1636は、低ドリフトリファレンス、低速積分ループ及び高速電流モードループの組み合わせにより、ライン及び負荷の全ての条件において±1%という抜群の出力精度を提供しています。出力を過電圧から保護するため、フィードバック信号が7%以上高くなるとクローバ回路がローサイドMOSFETをターンオンします(1µs以内、デューティサイクル100%)。さらに障害保護として、出力が予め設定された時間以内に安定化状態にならないと低電圧ディテクタがPWMをシャットダウンします。自己消費電力は僅か2mWです(max)。

MAX1636は4.5V~30Vの入力を許容し、1.1V~5.5Vの可変出力電圧を生成します。ローサイド外部MOSFETのゲートは、5V/25mAの内蔵リニアレギュレータ(シャットダウン中はオフ、スタンバイモードではオン)によって駆動されます。類似の素子でリニアレギュレータを持たない小型16ピンパッケージの製品については、MAX1637を参照してください。

MAX1636は、20ピンSSOPパッケージで提供されており、温度範囲は拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥490(1,000個以上)からとなっています。

ディジタル可変LCDバイアス電圧を提供するスイッチモードコントローラ

MAX1620/MAX1621ディジタル可変LCDバイアス電源は、超小型QSOPパッケージで提供されており、小型、薄型の外部部品で動作します。いずれもノートブック及びパームトップコンピュータ、電子手帳及びポータブルデータ収集ターミナルに適しています。+1.8V~+20Vのバッテリ電圧で動作し、±27Vの正又は負電圧を生成します。

外部抵抗が希望の最大及び最小出力電圧を設定し、POL端子の接続がハイかローかで出力極性が設定されます。この範囲内における調節は、外部ポテンショメータで行うか、あるいは内部5ビットディジタルアナログコンバータを使用して、ディジタルソフトウェア制御にすることができます。MAX1620は、この目的用にアップ/ダウンディジタル信号発生が可能です。MAX1621は、2線シリアルSMBusを通じて制御するためのインタフェースを提供しています。

標準アプリケーションでは、MAX1620/MAX1621はディスプレイの+3V~+5.5Vロジック電源で駆動され、150µA(250µAmax)を消費します。SHDN入力をこの電源に接続するとディスプレイが保護されます。電源電圧が失われると、シャットダウンがトリガされ、これによりディスプレイのバイアス電圧が除去されて、チップの自己消費電流が10µA(max)まで低減します。外部パワースイッチとして、NチャネルMOSFET又は低コストNPNトランジスタを使用できます。

MAX1620/MAX1621は、16ピンQSOPパッケージで提供されており、温度範囲は拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥250(1,000個以上)からとなっています。

リモート/ローカル温度センサ、SMBusシリアルインタフェース付

MAX1617は、自己のパッケージ温度とリモートセンサの温度を報告する高精度ディジタル温度計です。リモートセンサ(低コスト2N3904等の取付容易なダイオード接続NPNトランジスタ)は、従来のサーミスタ又は熱電対を置き換えることができます。複数のメーカから入手できるこれらのトランジスタをマキシム社の測定回路(特許取得)に組み込むと、キャリブレーションなしで±3%の精度を実現できます。リモートチャネルは、アクセス可能なダイオード接続トランジスタを持つ任意のIC(例えばマイクロプロセッサ)の温度を測定することもできます。

温度データを読取り、警報スレッショルドを設定するために、MAX1617はシステムマネジメントバス(SMBusTM)と呼ばれる2線シリアルインタフェースを通じて標準書込バイト、読取バイト及び受信バイトコマンドを受け付けます。データフォーマットは7ビットプラス符号の2の補数形式となっており、各LSBが1℃を表します。変換レート(そして消費電流)は、ユーザが設定します。また、低温、高温警報を設定し、測定がシングルショットか連続であるかについても設定します。

MAX1617は+3V~+5.5V電源で動作し、スタンバイモードでの消費電流は僅か3µA(typ)です。16ピンQSOPパッケージで提供され、温度範囲は軍用(-55℃~+125℃)のものが用意されています。価格については、お問い合わせください。

SMBusはIntel Corp.の登録商標です。

入力

VOUTMAX1636

ロジック出力付の低コスト、SOT温度スイッチ

MAX6501~MAX6504は低コスト温度スイッチで、2つの温度依存電圧リファレンスとコンパレータを備えています。+2.7V~+5.5Vの単一電源動作で、消費電流は30µA(typ)です。内部温度スレッショルド(部品番号サフィックスで表示)は、出荷時に-45℃~+115℃範囲の10℃ステップで設定されています。精度は全温度範囲で±0.5℃(typ)(±4℃ max)で、ヒステリシスはピン設定で+2℃又は+10℃を選択できます。外部部品は必要ありません。

MAX6501/MAX6503は、マイクロプロセッサのリセット入力を駆動するのに適したアクティブローのオープンドレイン出力、MAX6502 / MAX6504は、ファン制御ロジックを駆動するのに適したアクティブハイのプッシュ/プル出力を持っています。全て

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NEW PRODUCTS3.3V、5V又は可変出力を生成する低ドロップアウトリニアレギュレータ

MAX1658/MAX1659リニアレギュレータは、超低消費電流及び低ドロップアウト電圧特性によりバッテリ寿命を最大限に拡張します。Dual ModeTM動作により、3.3V(MAX1658)又は5V(MAX1659)の固定出力又は1.25V~16Vの可変出力を提供します。入力電圧範囲は、2 . 7 V~16 . 5 Vです。

出力電流能力は350mAで、標準ドロップアウト電圧は650mV(MAX1658)及び490mV(MAX1659)となっています。

内部PチャネルMOSFETパストランジスタにより、各素子は0~350mAの出力電流を供給しつつ自己消費電流を(ドロップアウト状態でも)30µAと低く維持することができます。シャットダウン中の最大消費電流は、1µAです。MAX1658/MAX1659のその他の特長としては、バッテリ逆挿入保護、短絡保護及びサーマルシャットダウン等が挙げられます。

MAX1658/MAX1659は、特殊8ピンSOPパッケージ(小型アプリケーションをサポートする大電力定格1.8W)で提供されています。温度範囲は、拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥240(1,000個以上)からとなっています。

Dual Modeはマキシム社の商標です。

125mAを供給する1MHzチャージポンプ

MAX1680/MAX1681は、高周波スイッチドキャパシタ電圧コンバータです。2.0V~5.5V入力を2倍圧又は反転し出力電流は125mAです。本製品は、アンプ及びアナログ測定回路の負電源を発生したり、入力電圧を2倍圧にするための最もコンパクトな方法を提供します。インダクタ使用のDC-DCコンバータをMAX1680/MAX1681で置き換えることにより、コスト、ボード面積及び高さを低減することができます。

MAX1681ではユーザが500kHz又は1MHzの動作周波数を選択することができ、MAX1680では125kHz又は250kHzを選択することができます。これら4つの周波数からの選択が可能であるため、設計時に必要な出力電流に対する自己消費電流と外部コンデンサのサイズのバランスを取ることができます。

MAX1681は、1MHz動作で1µFの外部コンデンサを使用した場合の出力抵抗が僅か3.5Ωです。MAX1680の場合は、この出力抵抗を維持するために10µFのコンデンサが必要です。1206サイズの1µFコンデンサを使用した場合、MAX1681のボード面積は僅か40mm2です。いずれの素子も、チャージポンプをターンオフして、自己消費電流を1µA以下に低減するロジック制御のシャットダウンモードを備えています。

MAX1680/MAX1681は、8ピンSOPで提供されています。価格については、¥260(1,000個以上)からとなっています。

0

10

20

30

40

50

60

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

�トリップスレッショルド精度�

ACCURACY (¡C)

PE

RC

EN

TA

GE

OF

PA

RT

S S

AM

PL

ED

(%

)

SAMPLE SIZE = 300

500

400

300

200

100

04 8 106 12 14 16 18

電源電圧(V)

最大出力電流�

(mA)

5VOUT MAX1659 IN 1.2WHIGH POWER SOIC

STANDARDSOIC

WIDEROPERATING

RANGE

1659

FSEL

CAP-

CAP+

SHDN

IN

1µF1µF

LO

HI

GNDLV

OUT

MAX1681

入力+2.0V ~ +5.5V

出力 -1 x VIN125mAOFF

SHUTDOWN

FREQUENCYSELECT

ON

の素子は、測定温度が出荷時に設定された高温(MAX6501/MAX6503)スレッショルド又は低温(MAX6502/MAX6504)スレッショルドを越えるとロジック出力を発生します。

MAX6501~MAX6504モニタは、5ピンSOT23パッケージで提供されており、温度範囲は軍用(-55℃~+125℃)のものが用意されています。価格については、¥70(10,000個以上)からとなっています。

1681

AREA = 40mm2

パワーオンリセット機能を加えた250kbpsRS-232トランシーバ

MAX3320は、電源電圧監視機能および自動パワーダウン機能(30秒間有効なデータ遷移が起こらなかった後)を提供するデュアルRS-232トランシーバです。アプリケーションとしては、ノートブック及びパームトップコンピュータ、高速モデム及びプリンタ等が挙げられます。

MAX3320のパワーオンリセット機能は、VCCが予め設定されたスレッショルドよりも低下するとアクティブローリセットを発生します。VCCがスレッショルドより高い値に戻っても、最低140msはリセット状態を維持します。リセットコンパレータは、VCCの高速遷移を無視します。また、リセット信号は、VCCが最低1Vに低下するまで正しいことが保証されています。MAX3320は、サフィックス文字で区別されるいくつかのスレッショルドが用意されているため、様々な電源電圧に対して使用できます。

デュアルトランシーバ(トランスミッタ2つ及びレシーバ2つ)は、デュアルチャージポンプ及びマキシム社独自のトランスミッタ出力段を備えています。この出力段はドロップアウトが低いため、+3V~+5.5Vの電源電圧範囲で有効なRS-232レベルが得られます。僅か4つの小型0.1µFコンデンサで動作し、データレートは最大250kbpsに達します。

シャットダウンモードは、MAX3320の消費電流を4µAに落とすことにより消費電力を低減し、ポータブル機器のバッテリ寿命を拡張します。レシーバ及びパワーオンリセット機能はシャットダウン中もアクティブな状態に留まり、モデムその他の外部機器を監視します。マキシム社のAutoShutdown PlusTMがイネーブルされている時に、レシーバ入力ラインに有効な遷移のない状態が30秒間続くとMAX3320はシャットダウンします。

MAX3320は、20ピンSSOPパッケージで提供されており、温度範囲は民生用(0℃~+70℃)及び拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥230(1,000個以上)からとなっています。

AutoShutdown及びAutoShutdown Plusはマキシム社の商標です。

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NEW PRODUCTSAutoShutdown及び±15kVのESD保護付1Mbps RS-232

新製品のMAX3243E/MAX3244E/MAX3245Eは、1MbpsのRS-232通信トランシーバです。いずれも3つのドライバ及び5つのレシーバからなる完全シリアルポートです。これらの素子は、ノートブック又はサブノートブックコンピュータで使用するように設計されており、マウスを駆動できることが保証されています。特長としては、自動シャットダウン及びウェイクアップ、高最大データレート及び静電放電(ESD)からの保護強化等が挙げられます。全てのトランスミッタ出力及びレシーバ入力は、ヒューマンモデル又はIEC 1000-4-2エアギャップ放電法で±15kV、及びIEC 1000-4-2接触法電圧法で±8kVまでESD保護されています。

トランシーバの安定化デュアルチャージポンプ及びマキシム社独自の低ドロップアウトトランスミッタ出力により、+3 . 0V~+5.5Vの単一電源で真のRS-232性能が可能になっています。消費電流は僅か300µAとなっています。MAX3243E/MAX3244Eはデータレート250kbpsまで、MAX3245E(マキシム社のMegaBaudTM機能付)は1MbpsまでRS-232出力レベルを維持します。

MAX3243E/MAX3244E/MAX3245Eのロジック制御シャットダウン機能は、消費電流を1µAにまで低減します。AutoShutdownTM

及びAutoShutdown Plus機能により、BIOSやオペレーティングシステムを変更することなく自動的にシステムの電力を節約することが可能です。例えば、AutoShutdown は、RS-232ケーブルが切り離されたり、接続されている周辺機器がターンオフされるとMAX3243Eをシャットダウンします。任意のレシーバ入力に有効なレベルが表れると、素子は再びターンオンします。AutoShutdownPlus素子(MAX3244E/MAX3245E)は、ケーブルが切り離されたり、周辺機器がアイドル状態になってから30秒経過するとシャットダウンし、任意のトランスミッタ又はレシーバ入力に有効なレベルが表れると、素子は再びターンオンします。

MAX3243E/MAX3244E/MAX3245Eトランシーバは、28ピンSOP及びSSOPパッケージで提供されています。価格については、¥470(1,000個以上)からとなっています。

MegaBaudはマキシム社の商標です。

900MHzアプリケーションに最適な+3V、1W RFパワートランジスタ

MAX2601/MAX2602は、低電圧バイポーラパワートランジスタです。利得と効率が高いため、ディスクリート又はモジュール式のC級又はAB級RFアンプの最終段に最適です。ドレインスイッチ及び負バイアス発生器を必要としないため、省コストかつ省スペースが可能です。

MAX2601/MAX2602は、3.6V電源動作で900MHz、1Wを出力する時の利得が11.5dBです。コレクタ効率は58%で、第2及び第3高調波抑圧比は43dBcです。これらの素子は、スプリアス発振や過剰な電力消費を引き起こすことなく、負荷ミスマッチ状態(全角度でVSWR = 8:1、VCC = 5.5V)に耐えます。MAX2602は、パワートランジスタの他にもサーマル及びプロセスマッチングされたダイオードを備えており、外付抵抗1個で簡単かつ正確なバイアスができるようになっています。

MAX2601/MAX2602は、放熱強化型8ピンSOPパッケージで提供されています。価格については、MAX2601が¥290、MAX2602が¥300(1,000個以上)からとなっています。

35

5

2信号出力電力�対 入力電力�

-5

25

入力電力 (dBm)

PO

UT

, IM

3, IM

5 (d

Bm

)

15 2510 20

15

5

POUT

IM5

IM3

MAX2601/2

リミッタ及びRSSIを備えた低電圧IFトランシーバ

MAX2511は、多数の無線機能を超小型パッケージに収めたIFトランシーバです。アプリケーションとしては、PWT1900、PACS、PHS及びDECT電話等のPCS機器及びベースステーション等が挙げられます。MAX2511は、これらの機器で第1 IFから10.7MHz第2 IFに至る全ての送信及び受信機能を実行します。MAX2511は、ISM等、200MHz~440MHzのキャリア周波数を持つ高度集積化フロントエンド無線トランシーバとしても使用できます。

MAX2511のレシーバ部は、まずイメージ抑圧比34dBのイメージリジェクトダウンコンバータがあり、それに続く広ダイナミックレンジIFバッファが外部IFフィルタを駆動します。次に、差動出力のリミティングアンプが信号を1Vp-pに増幅します。リミティングアンプから得られる受信信号強度インジケータ(RSSI出力)は、ダイナミックレンジが90dB以上あり、優れた直線性

を実現しています。保証相対誤差は±2dBです。

トランスミッタ部は、イメージリジェクトアップコンバージョン及び可変利得0dBm出力バッファアンプを備えています。バッテリ寿命を拡張するため、このアンプはユニークなバイアス方式により、必要な出力レベルを維持するために必要な最低のレベルに消費電流を調節します。

内部電圧制御発振器(VCO)は、外部タンク回路を加えることにより、完全なものとなります。この回路は、外部フェイズロックループを駆動するためのバッファを含んでいます。VCOへの電源は内部で安定化され、一定周波数の出力が保証されます。MAX2511は、動作電源電圧が+2.7V~+5.5Vであるため、3セルバッテリへの直接接続が可能です。また、4つの電力制御設定により、高度なシステム電源管理が可能です。シャットダウンモードでは、チップの消費電流が2µA以下に低下します。

トランスミッタ又はレシーバでイメージリジェクションを必要としないアプリケーション用として、マキシム社はMAX2510

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NEW PRODUCTSDBSテレビ信号を同調するダイレクトコンバージョンIC

MAX2102は、直接放送衛星(DBS)ディジタルテレビ用のセットトップボックスで使用するためのダイレクトコンバージョンチューナです。中間周波数(IF)構造と比較して、本素子はIFミキサ、IF局部発振器及びSAWフィルタの排除によりコストの削減を実現しています。

MAX2102は、950MHz~2150MHzのL帯域信号を希望のベースバンドにダウン変換します。本素子は、低ノイズアンプ、自動利得制御(AGC)アンプ、2つのダウンコンバータミキサ、発振器バッファ(64又は65分周のデュアルモジュラスプリスケーラ付)、90 直゚交(Q)発生器及び同相(I)及びQ出力について独立したベースバンドアンプを備えています。

MAX2102は、マキシム社の高周波バイポーラプロセス(GST-2、fT = 27GHz)で設計されています。全周波数範囲に渡り、IとQチャネル間の利得ミスマッチが>0.5%、

Q位相精度が±3°となっています。+5V単一電源動作で、-19dBm~-69dBm入力信号に対して50dB以上のAGC制御範囲を提供しています。AGC範囲がこのように大きいため、レインフォール減衰効果、ケーブル長の違い、DBSパラボラアンテナアライメントの狂い等に対応します。

1450MHzにおける雑音指数は13.2dBであり、入力3次高調波妨害ポイントが6.5dBmであるため、単一のディスクリートプリアンプで75Ωケーブルにインタフェースできます。内部オフセット補正アンプ(ディセーブルされていない時)は、ベース

バンドアンプのDCオフセットを自動的に除去します。ベースバンドにおけるチャネル選択は、ディスクリートの低コストLCフィルタ(通常5次又は7次ローパス応答)によって行います。

MAX2102のカスタマサポートとして、マキシム社では実装済みの評価キット(MAX2012EVKIT)を提供すると共に、チューナ設計のご相談に応じています。MAX2102は、28ピンSOPパッケージで提供されています。価格については、¥620(1,000個以上)からとなっています。

を近日中に発売します。これは、MAX2511のその他の殆どの機能(リミッタ、RSSI、制御機能等)を含んでいます。MAX2511は、28ピンQSOPパッケージで提供され、温度範囲は拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥730(1,000個以上)からとなっています。

QPSKDemodulator

MAX1003DualA/D

I

Q

MAX

2102

-5

-3

-4

0

-1

-2

1

2

4

3

5

-90 -70 -60-80 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20

RSSI相対誤差 対�LIMIN入力及び温度�

PLIMIN (dBm, 50W)

RS

SI 誤差

(d

B)

TA = +85¡C

TA = -40¡CTA = +25¡C

MAX2511

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NEW PRODUCTS622MbpsSDH/SONETレシーバに適した+3.3Vクロックリカバリ/データリタイミングIC

MAX3675は、SDH/SONET及びATMアプリケーション用のクロックリカバリ及びデータリタイミングICです。622MbpsNRZシリアルデータレシーバ用に設計された本製品は、小信号アナログ又は差動PECLデータを選択できるデュアル入力を備えています。アナログ入力の高利得リミティングアンプは、3.6mVp-p~1.2Vp-pの信号を許容します。

+3.3V単一電源動作のMAX3675は、消費電力が僅か215mWとなっています。タイプAリジェネレータ用のBellcore、ANSI及びITUの各規格に適合しています。外部リファレンスクロックは必要ありません。ロスオブロックモニタ付の完全集積化フェイズロックループによって、外部信号が追跡されます。クロック及びデータ出力は、差動PECLフォーマットです。リミティングアンプは、ロスオブパワー信号を発生します。この信号のトリップポイントは、内部バンドギャップリファレンスを使用して、電源電圧と独立に設定できます。

リミティングアンプは、信号強度インジケータ(RSSI)を提供する超高速対数信号パワーディテクタを持っています。パワーディテクタは広帯域パワーメータとして機能し、パスバンド内の全ての信号の全RMSパワーを検出します。温度及び電源に影響されないこのRSSI電圧は、デシベル値に直線的に対応して1.35V~2.4Vの範囲で変化します。これは、入力レベルとして-50dBm~-10dBm(2mVp-p~200mVp-p)に対応します。また、外部フィルタ部品を必要としない完全集積化入力オフセット補正ループも備えています。

MAX3675はチップ、あるいは32ピンTQFPパッケージで提供されています。いずれも温度範囲は、拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、パッケージに入った製品が¥5,440(1,000個以上)からとなっています。

VCOモジュールを置き換える超低位相ノイズRF発振器

MAX2620は、10MHz~1050MHzで動作する低ノイズ発振器です。MAX2620を外部バラクタ同調タンクと適正に組み合わせると、900MHzキャリアからのオフセット2 5 k H z に お け る位相ノイズは僅か-110dBc/Hzです。

この低ノイズ特性及び+2.7V~+5.25V単一電源動作の特長により、MAX2620は次世代のアナログ及びディジタルセルラ電話、900MHzコードレス電話、地上移動無線機及び狭帯域PCS機器(3つのNiCd/NiMHセル又は単一のリチウムイオンセルで動作)に最適です。

MAX2620は、低ノイズトランジスタ、2つのバッファアンプ、バイアス回路及び消費電流を動作中の9mAからシャットダウンモードの0.1µAに低減する電力節減機能を備えています。発振周波数は、外部バラクタ制御セラミック共振又はLCタンクで設定されます。MAX2620は、周波数プッシングが電源電圧1V当たり71kHzと小さいため、TDMA機器でよく見られる突然の電源電圧変化に耐性があります。

MAX2620は、8ピンµMAXパッケージで提供されており、温度範囲は拡張工業用(-40℃~+85℃)のものが用意されています。価格については、¥250(1,000個以上)からとなっています。

低コスト900MHz無線機に最適のイメージ除去RFトランシーバ

MAX2420は、900MHzコードレス電話、ワイヤレスモデム及びRFトランシーバのコストを低減する高集積化フロントエンドICです。本素子のダイレクトコンバージョンイメージリジェクトミキサは、外部フィルタ及び余分な周波数変換を排除するため、これらのアプリケーションで少なくともユニット当たり¥250の節約が可能になります。

従来のR Fトランシーバとは異なり、MAX2420はアクティブイメージ除去ミキサを備えています。レシーバ側では、イメージ除去により、複雑なフィルタなしに非常に低いIFが可能になります。また、このため第2の周波数変換の必要がなくなります。周波数ホッピング機器の送信側では、イメージ除去ミキサにより、ディジタル合成された送信信号のダイレクトアップコンバージョンが可能になります。この機能により調整と追加周波数変換段が排除されるため、コストとスペースが節約できます。

MAX2420のミキサは、イメージ除去が35dB(typ)です。雑音指数1.8dBの低ノイズアンプにより、複合ダウンコンバータ雑音指数4 d B、入力3次妨害ポイント( I P 3)-17dBmを実現しています。低ノイズアンプ

の利得を調節して、レシーバダイナミックレンジを拡張できます(最大入力IP3は2dBm)。

MAX2420は、10.7MHzの送信及び受信IF用に最適化されています。将来のバージョンでは45MHz、70MHz及び110MHzのIFに最適化されます。このファミリの将来の製品では、送信イメージ除去ミキサがバランスドミキサに置き換えられます。これは、平衡型変調器又は局部発振器バッファとして使用できます。受信専用バージョンも提供されます。

MAX2420は+2.7V~+4.8Vの単一電源で動作し、28ピンSSOPパッケージで提供されています。価格については、¥560(1,000個以上)からとなっています。

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�トランスミッタ出力スペクトラム�

周波数 (MHz)

電力 (dBm)

FUNDAMENTAL

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