だれでもできるかんたん栄養評価 食事作りの工夫 体験しよ...
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だれでもできるかんたん栄養評価&
食事作りの工夫
体験しよう!嚥下障害時の食事
筑波メディカルセンター病院管理栄養士 秋野 早苗
本日の内容
講義(40分 13:00~13:40)
1.高齢者でみられやすい栄養・食事面の問題2.栄養状態を評価しよう3.食べやすい食形態を理解しよう4.必要な栄養量を考えよう5.食事を「負担なく用意できる」方法を考えよう
実習(70分 13:50~15:00)
.食形態の評価、調理・食べさせ方の工夫
~嚥下障害時を体験してみよう
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1.高齢者で見られやすい栄養・食事面の問題
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高齢者に起こりやすい栄養・食事の問題①
加齢による消化・吸収・栄養代謝の変化 消化機能の低下胃酸、ペプシン分泌の減少大腸:特に80歳以上で便の排出速度が遅くなる傾向 →便秘リスク大
骨格筋におけるタンパク質合成が進みにくい骨格筋における蛋白合成について・高齢者では、食事摂取(=蛋白質)後の合成が進みにくい・運動、特にレジスタンス運動によって進みやすいものの空腹時(=蛋白質供給がない)に運動すると、
合成より異化反応が亢進しやすい状態に厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015 参考資料1対象者特性 高齢者より
サルコペニア、フレイルのリスク大4
サルコペニア(Sarcopenia)とはギリシア語の「sarx」=肉、肉付き 「penia」=消失、欠如筋肉量、筋力が低下した状態
進展すると、ADL低下、転倒、入院、死亡等のリスクが高まる
フレイル(Frail)とはFrailty(虚弱)の日本語訳 日本老年医学会が提唱
筋肉量、筋力が低下するサルコペニアを含め、活力が低下した状態
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低栄養
サルコペニア
基礎代謝↓
食欲低下摂取量↓
エネルギー消費量↓
身体機能↓
(歩行速度↓)
疲労・活力↓
筋力↓
活動度↓
フレイルサイクル
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」策定検討会報告書参考資料1対象特性3高齢者 より
Frailty cycle
サルコペニアの診断基準
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高齢者
歩行スピード>0.8m/秒握力 男性≧26kg
女性≧18kg
歩行速度と握力測定
サルコペニアなし低筋肉量
男性 <7.0kg/㎡女性 <5.7kg/㎡
(BIA)<5.4kg/㎡
(DXA)
筋力量測定(BIAorDXA)
歩行スピード≦0.8m/秒または 握力 男性<26kg
女性<18kg
正常筋肉量男性 ≧7.0kg/㎡女性 ≧5.7kg/㎡
(BIA)≧5.4kg/㎡
(DXA)
サルコペニアなしサルコペニア
筋力低下
筋量低下
高齢者に起こりやすい栄養食事の問題②
身体状態として脳梗塞、加齢、認知症などからの・咀嚼力低下 ・嚥下障害
・味覚・嗅覚障害 ・食欲低下
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高齢者に起こりやすい栄養食事の問題③
社会的な面からの問題として
現状にあわせた対応が難しい
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・食事形態や栄養に関する知識不足・介護力がない老々介護、一人暮らし、生活力がない介護者等
・金銭的な余裕がない
・かつて元気であったご本人への期待 など
栄養不良がもたらす影響
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虚弱・サルコペニア予防における医科歯科連携の重要性東京大学高齢社会総合研究機構HPよりhttp://www.iog.u-tokyo.ac.jp/?page_id=1791
高齢者の栄養・食事で重要なこと
栄養状態を評価しよう
食べやすい食形態を理解しよう
必要な栄養量を考えよう
食事を「負担なく用意できる」方法を考えよう
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2.栄養状態を評価しよう
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1)栄養状態を評価しよう ①
MNA-SFⓇ(エムエヌエー ショートフォーム)対象:65歳以上の高齢者対象
特徴:信頼性、妥当性が検証されている数少ない栄養評価方法
項目数が多くなく、誰でもできる内容で評価の負担が少ない
http://www.mna-
elderly.com/forms/mini/m
na_mini_japanese.pdf
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A:過去3ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、咀嚼、嚥下困難などで食事量が減少しましたか?
0=著しい減少 1=中等度の減少 2=食事量の減少なし
B:過去3ヶ月間で体重の減少がありましたか0=3kg以上の減少 1=わからない 2=1~3kgの減少 3=体重減少なし
C:自力で歩けますか0=寝たきりまたは車椅子を常時使用 1=ベッドや車椅子を離れられるが歩いて
外出はできない 2=自由に歩いて外出できる
D:過去3ヶ月間で精神的ストレスや急性状態を経験しましたか?0=はい 2=いいえ
E:神経・精神的問題の有無0=強度認知症またはうつ状態 1=中等度の認知症 2=精神的問題なし
F1:BMI 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が0=19未満 1=19以上21未満 2=21以上23未満 3=23以上
※BMIが測定できない場合 F2:ふくらはぎの周囲長(cm)が
0=31cm未満 3=31cm以上
⇒合計した点数が12-14:栄養状態良好 8-11:低栄養のおそれあり 0-7:低栄養
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サルコペニアの診断基準
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高齢者
歩行スピード>0.8m/秒握力 男性≧26kg
女性≧18kg
歩行速度と握力測定
サルコペニアなし低筋肉量
男性 <7.0kg/㎡女性 <5.7kg/㎡
(BIA)<5.4kg/㎡
(DXA)
筋力量測定(BIAorDXA)
歩行スピード≦0.8m/秒または 握力 男性<26kg
女性<18kg
正常筋肉量男性 ≧7.0kg/㎡女性 ≧5.7kg/㎡
(BIA)≧5.4kg/㎡
(DXA)
サルコペニアなしサルコペニア
筋力低下
筋量低下
1)栄養状態を評価しよう ②
サルコペニア評価として
・指輪っかテスト両手の親指と人差し指で「指輪っか」をつくり、ふくらはぎの一番太い部分を囲むすき間ができていないか?
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サルコペニアの危険度高
実際に栄養状態を評価してみよう
例: A子さん 80歳 女性身長148cm 体重42kg 3ヶ月前は45kg
3ヶ月前に高熱が出て一週間ほど寝込んで以来、食欲が低下、食べる量が少なくなった外出する機会も減り、動作も緩慢になっている
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A:過去3ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、咀嚼、嚥下困難などで食事量が減少しましたか?
0=著しい減少 1=中等度の減少 2=食事量の減少なし
B:過去3ヶ月間で体重の減少がありましたか0=3kg以上の減少 1=わからない 2=1~3kgの減少 3=体重減少なし
C:自力で歩けますか0=寝たきりまたは車椅子を常時使用 1=ベッドや車椅子を離れられるが歩いて
外出はできない 2=自由に歩いて外出できる
D:過去3ヶ月間で精神的ストレスや急性状態を経験しましたか?0=はい 2=いいえ
E:神経・精神的問題の有無0=強度認知症またはうつ状態 1=中等度の認知症 2=精神的問題なし
F1:BMI 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が0=19未満 1=19以上21未満 2=21以上23未満 3=23以上
※BMIが測定できない場合 F2:ふくらはぎの周囲長(cm)が
0=31cm未満 3=31cm以上
⇒合計した点数が12-14:栄養状態良好 8-11:低栄養のおそれあり 0-7:低栄養
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3.食べやすい食形態を評価しよう
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