ミクロ経済学...

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無断での複製・頒布は禁じます 1 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回 ミクロ経済学 基本講義 第3回 企業行動 Ⅲ Ⅰ.生産 せいさん 関数 かんすう と限界 げんかい 生産力 せいさんりょく (1) 生産 せいさん 関数 かんすう ろう どう (L) ほん (K) 生産量(Y) 企業の生産活動 [ 国家一般 ] Y= K 3/4 1/4 [ 国家一般 ] x=L・K (x:生産量) 1 5 [国税・労基] Y= 1/2 1/2 試験において出題される「生産関数」には、以下のようなものがある。 労働(L)と資本(K)の組合せが決まると、最大限生産可能な生産量(Y)が決まる。 生産関数 Y=f(K、L) 生産関数も問題文に与えられますので、基本的に、暗記や計算して導けるようにしておく必 要はありません。大切なのは、ここから始まる計算です。 費用最小化の方向 何個作るか? 必要最低限の生産要素は? 最小の費用額の決定 生産量 (Y) 資 本 (K) 労 働 (L) 費 用 (C)

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1 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

ミクロ経済学 基本講義

第 3 回 企業行動 Ⅲ

Ⅰ.生産せいさん

関数かんすう

と限界げんかい

生産力せいさんりょく

(1) 生産せいさん

関数かんすう

労ろう

働どう

(L)

資し

本ほん

(K)

生産量(Y)

企業の生産活動

[ 国家一般 ] Y= K3/4L1/4

[ 国家一般 ] x=L・K (x:生産量)

1

5 [国税・労基] Y= K1/2L1/2

♬ 試験において出題される「生産関数」には、以下のようなものがある。

労働(L)と資本(K)の組合せが決まると、最大限生産可能な生産量(Y)が決まる。

生産関数 : Y=f(K、L)

※ 生産関数も問題文に与えられますので、基本的に、暗記や計算して導けるようにしておく必

要はありません。大切なのは、ここから始まる計算です。

♪ 費用最小化の方向

何個作るか? 必要最低限の生産要素は? 最小の費用額の決定

生産量

(Y)

資 本

(K)

労 働

(L)

費 用

(C)

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2 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

(2) 限界げんかい

生産力せいさんりょく

(Marginal Productivity:MP)

資本● ●

(K)を一定● ●

(例えば、K=8)とすると…

生産関数(2 投入) : ex.Y=K・L

生産関数(1 投入) : ex.Y=8L

※ 労働投入量が 2 人のときには、16 個までの生産は可能であるが、これを超えた生産は

不可能であることが示されている。

生産量(Y)

労働(L) O 1 人

16 個

2 人 3 人

4 個

10 個

21 個

生産可能領域

Y=f(L)

労働(L)を追加的に 1 単位増やした● ● ● ●

ときに、生産量(Y)が

どれだけ増加● ●

するかを表す。

MPL = =

生産関数の接線● ●

の●

傾き● ●

の大きさ

★ 生産関数(Y)を労働(L)で“微分”する

生産量の増加分● ● ●

労働の増加分● ● ●

⊿Y

⊿L

限界生産力(MPL)

【 計算による場合 】

【 グラフで示す場合 】

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3 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

◆ 資本(K)も調整可能な「長期」を前提とするなら、資本(K)を増加させて生産量(Y)を

増加させることも可能になります。

(この場合には労働(L)を一定とみて、資本(K)と生産量(Y)の関係を前提にします)

~★ 計算練習 ★~

MPL

生産関数 : Y=3K2/3L1/3

MPK(資本の限界生産力)= (生産関数をKについて微分する) ⊿Y

⊿K

Lについて微分する時には、

Kは何もしないでそのまま。

労働の限界生産力MPL= = ・3K2/3L1/3-1=K2/3L-2/3 ⊿Y

⊿L

1

3

資本の限界生産力MPK= = ・3K2/3-1L1/3=2K-1/3L1/3 ⊿Y

⊿K

2

3

Kについて微分する時には、

Lは何もしないでそのまま。

L O

Y=f(L)

L0 L1

Y0

Y1

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4 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

Ⅱ.長期の費用ひ よ う

最小化さいしょうか

※ 生産関数(2 投入)(Y=f(K、L))

◆ 労働(L)と資本(K)の組合せが決まると、最大生産量(Y)が対応する。

◆ 生産量(Y)に対して、必要最低限の労働(L)と資本(K)が対応する。

(1) 等とう

生産量せいさんりょう

曲線きょくせん

と技術的ぎじゅつてき

限界げんかい

代替率だいたいりつ

【 等生産量曲線の一般的性質 】

生産量(Y)を一定● ●

(例えば、Y=18)とすると…

生産関数(2 投入) : ex.Y=K・L

生産関数(= 等生産量曲線) : ex.18=L・K or K= 18

資本(K)

労働(L) O 2 人

6 台

3 人 6 人

3台

9 台 ●

等とう

生産量せいさんりょう

曲線きょくせん

Y=18

同じ生産量を実現する 2 つの

生産要素の組み合わせの軌跡。

ⅰ).右上方ほど生産量が大きい

ⅱ).等生産量曲線は、交わらない

ⅲ).右下がりである

ⅳ).原点に対して凸である

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5 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

MRTSLK

= MPL÷MPK = ÷ = × =

等生産量曲線(生産関数)を微分することで計算することができますが、少し高度な

微分が必要になってしまいます。そこで、以下の関係を公式として利用します。

MPL

MPK

⊿Y

⊿L

⊿Y

⊿K

⊿K

⊿Y

⊿Y

⊿L

⊿K

⊿L

L O 2 人

6 台

3 人 6 人

3台

9 台

● Y=18

● ●

A´

技術的限界代替率

(MRTSLK)

【 計算による場合 】

【 グラフで示す場合 】

同じ生産量を前提として、1 つの生産要素(労働L)を 1 単位

増やしたときに、他方の生産要素(資本K)を何単位節約する

ことができるかを示す。

MRTSLK = - (プラスの値で定義する) ⊿K

⊿L

(Marginal Rate of Technical Substitution:MRTS)

等生産量曲線の接線● ●

の●

傾き● ●

の大きさ

(横軸にL、縦軸にKの平面上の傾きの大きさ)

◆ 技術的限界代替率(MRTSLK)は限界生産力(MP)の比●

に等しい。

MRTSLK = MPL

MPK

※ 確認!(“プラスの値で定義するためのマイナス”は無視します)

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6 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

♬ 生産関数が「コブ=ダグラス型」である場合には、技術的限界代替率(MRTSLK)は、以下

の公式にあてはめれば計算することができます。

~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №040)

与えられた生産関数はコブ=ダグラス型生産関数ですから、公式にあてはめて以下のように計算

します。

◆ コブ=ダグラス型生産関数Y=ALαKβ(A、α、β:定数)の場合、技術的限界代替率は、

ある経済において、マクロ生産関数が、

となっている(Y:産出量、K:資本量、L:雇用量)。

いま、K=1、L=4の状態からLを限界的に 1 単位減少させたとき、Lを減少させる前と

同一の水準のYを保つためには、Kをどれだけ増加させなければならないか。

Y =3K0.5L0.5

1.

2.

1

8

1

4

3. 3

8

4. 1

2

5. 1

MRTSLK= ・ = ・ K

α

β

0.5

0.5

1

4

∴ MRTSLK= (肢 2 が正解) 1

4

MRTSLK = ・

α

β

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7 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

(2) 費用ひ よ う

方程式ほうていしき

(= 等とう

費用ひ よ う

線せん

※ 等生産量曲線だけでは費用の金額が分からないので、労働と資本の組み合わせとかかる費用額

の関係を考えます。

〔案件 1:総費用C1=1 億円〕

〔案件2:総費用C2=2 億円〕

C1=wL+rK ⇔ K=- L+ w

C1

C2=wL+rK ⇔ K=- L+ w

C2

・ 総費用 : C

・ 労働の価格(賃金率) : w(一定)

・ 資本の価格(レンタルプライス) : r(一定)

費用(C)が小

さくなるほど、

切片の大きさが

小さくなる。

C = w・L + r・K

資本(K)

労働(L) O

等とう

費用ひ よ う

線せん

C1

C2

r -

r ♪ …… 生産要素の価格比

● ● ●

、相対そうたい

要素よ う そ

価格か か く

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8 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

(3) 費用ひ よ う

最小化点さいしょうかてん

の決定

~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №042)

MRTSLK

ある企業の生産関数が

で表されている。また、資本及び労働の要素価格はそれぞれ 3、16 である。この企業が産出量

を 40 に固定したままで費用最小化を図った。この場合の最適資本量はいくらか。

1. 60

2. 65

3. 70

4. 75

5. 80

Y =K3/4L1/4 〔Y:産出量、K:資本量、L:労働量〕

L(労働) O

K(資本)

C1

r -

Y=18

費用最小化点

C2

L*

K*

【 費用最小化条件 】

等生産量曲線の“(接線の)傾き● ●

” = 等費用線の“傾き● ●

MRTSLK= =

MPL

MPK

r MRTSLK = ・ =

α

β

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9 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

「正攻法」で行く場合、費用最小化条件は、

そこで、労働と資本の限界生産力を計算する。

これらを使って①式の技術的限界代替率を計算すると、

よって、①式(= 費用最小化条件)は

この②式とY=40 を生産関数に代入すると、

MRTSLK= = …… ① MPL

MPK

MPL= = K3/4L1/4-1= K3/4L-3/4

⊿Y

⊿L

1

4

1

4

MPK= = K3/4-1L1/4= K-1/4L1/4 ⊿Y

⊿K

3

4

3

4

MRTSLK= = K3/4-(-1/4)L-3/4-1/4= KL-1

1

4 K3/4L-3/4

3

4 K-1/4L1/4

1

3

1

3

⇔ MRTSLK= × (👈 p.6 の“公式”) 1

3

1

3

L × = ∴ L= K …… ②

16

3

40=K3/4・( K)1/4 ⇔ 40=K3/4・( )1/4・K1/4

⇔ 40= K ⇔ 40= K ∴ K=80 (肢 5 が正解) 1

2

公 式

② x-1 = 1

③ xa・xb=xa+b

1

16

1

16

1

16

⇔ 40=( )1/4・K ⇔ 40= ・K 1

16

① = xa-b xa

xb

公式①

公式②

公式③

11/4

161/4

1

24(1/4)

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10 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

Ⅲ.収 入しゅうにゅう

最大化さいだいか

収入を最大化するには、生産量(Y)を最大化すれば良いことが分かる。

= P・Y↑ - ( w・L+r・K ) P:財価格、Y:生産量、w:賃金率、

L:労働、r:資本の価格、K:資本

◆ 利潤(π)↑ = 収入(R)↑ - 費用(C) ⇒ 収 入しゅうにゅう

最大化さいだいか

問題

Y、R

L O

L O

Y=f(L、K)

L0

Y0

R0

収 入 費 用

R=P・f(L、K)

r・K

C=w・L+r・K

収 入しゅうにゅう

生産力せいさんりょく

曲線きょくせん

費用ひ よ う

方程式ほうていしき

Y、R

L O

♪ 生産関数:Y=2L

財の価格:P=3

収入(R)= P・Y

= 3・2L

= 6L

Y=2L

R=6L

最大生産量(Y)は生産関数から得られるので、生産関数を使って収入を計算すれば良い。

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11 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

◆ 利潤が最大となる労働ろうどう

需要量じゅようりょう

(L*)の下では、以下の条件が成立する。

◆ 資本(K)も調整可能な「長期」を前提とするなら、利潤を最大にするような資本(K)の

購入量(= 資本し ほ ん

需要量じゅようりょう

)を決定する必要がある。

※ 生産関数を使って利潤(π)を立て、LとKそれぞれについて“微分してゼロとおく”ことで

も計算することができます。

(⇒ 次ページの問題の解法 2 を参照のこと)

【 利潤最大化労働需要量の決定条件 】(1階条件)

収入の“(接線の)傾き● ●

” = 費用の“(接線の)傾き● ●

R、C

L(労働) O L0

R = P・Y

(Yは生産関数)

C=wL+rK

L* L1

w r・K

利潤最大

P・ ⊿Y

⊿L

= P・MPL

P・ = r ∴ P・MPK = r ⊿Y

⊿K

P・MPL = w P:価格(一定)、MPL:限界生産力、

w:賃金率(一定)

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12 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №045)

まず、生産関数から労働と資本の限界生産力(MPL、MPK)を計算しておきます。

これを使って、労働需要量と資本需要量の利潤最大化条件を立てます。

労働需要量の利潤最大化条件は、以下のように計算できます。

P・MPL = w

他方、資本需要量の利潤最大化条件は、以下のように計算できます。

P・MPK = r

ある生産物Yの生産関数がY=20K0.5L0.5で示され、生産物Yの価格は 1 であるとする。

ここで、生産要素のうちKは資本であり、Lは労働である。市場は完全競争を前提としている。

いま、資本Kの要素価格が 20 であるとするとき、企業が利潤最大化を図る場合、労働Lの要

素価格として正しいのはどれか。

1. 2

2. 5

3. 10

4. 15

5. 20

MPL = = 0.5・20K0.5L0.5-1 = 10K0.5L-0.5 = 10( )0.5 ⊿Y

⊿L

MPK = = 0.5・20K0.5-1L0.5 = 10K-0.5L0.5 = 10( )0.5 ⊿Y

⊿K

⇔ 1・10( )0.5 = w ⇔ ( )0.5 = …… ① K

10

⇔ 1・10( )0.5 = 20 ⇔ ( )0.5 = 2 L

K

⇔ ( )0.5= …… ② K

1

2 両辺の分子・分母をひっくり返せば、(K/L)

を1つの文字としてみて①式と連立して解くこ

とができます。

解法 1 : 利潤最大化条件(公式)を使って解く方法(『解説』の方法)

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13 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

となる。最後に①式と②式から

生産関数が与えられているので、「収入最大化」の方向で利潤最大化問題を考える。

企業の利潤(π)は、

π = P・Y-(wL+rK)

= 1・20K0.5L0.5-wL-20K …… ①

となる。

①式を労働(L)と資本(K)のそれぞれについて微分してゼロとおくと、

となる。最後に②式と③式から

= 0.5・20K0.5L0.5-1-1・wL1-1= 0 ⊿π

⊿L

⇔ 10K0.5L-0.5= w ⇔ ( )0.5= …… ② K

10

= 0.5・20K0.5-1L0.5-1・20K1-1= 0

⇔ 10K-0.5L0.5= 20 ⇔ ( )0.5=2 L

⊿π

⊿K

⇔ ( )0.5= …… ③ K

1

2

= ∴ w=5 (肢 2 が正解)

10

1

2

= ∴ w=5 (肢 2 が正解)

10

1

2

利潤の式を立て、生産量のところに

問題文にある生産関数を代入する。

解法 2 : 利潤(π)を立てて、微分してゼロとおく方法

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14 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

~★ 計算練習 ★~ (平成 19 年 裁判所職員)

難しいかもしれませんが、計算練習にもなる大変良い問題です。チャレンジしてみましょう。

ある企業は、労働からある財を生産しており、この企業の生産関数が、

x=√L (x:生産量、L:労働量)

で表されるとする。財の価格がp、賃金をw、固定費用を 0 としたとき、この企業の労働需要

量、財の供給量及び最大化された利潤の組み合わせとして最も適当なのはどれか。

1.

2.

3.

4.

5.

労働需要量 財の供給量 最大化された利潤

p2

4w2

2w

p2

4w

2w

p2

4w2

4w

p2

2w

2w

4w

2w

p2

4w

p2

2w

4w2

p2

2w

p2

4w

最低限解くべき問題

番 号 1 回目 2 回目 コメント

№ 040 / │ / │ 技術的限界代替率の定義と公式の確認に。

№ 041 / │ / │ 消費者理論の終了後に考えてみましょう。

№ 042 / │ / │ 費用最小化問題の典型問題。

№ 043 / │ / │ どのように文字を置いても、要求通りに解答すれば出ますね。

№ 045 / │ / │ 過去に繰り返し出題されている問題です。マスターしよう。

№ 046 / │ / │ 実質賃金率とは、w/P(賃金率/価格)のことです。

№ 048 / │ / │ 労働需要量の計算は、マクロ経済学でも活きてきます。

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15 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

【 2 つの利潤最大化条件の関係 】

まずは、全体的な説明をしておきます。企業の労働需要に関する利潤最大化条件(P・MPL=w)

を以下のように変形してみます。

P・MPL = w

ここで①式の右辺について考えてみましょう。(1/MPL)の部分は生産量を 1 単位増やす時に必

要となる労働者数を表しています。仮に、限界生産力を 5 とすると(MPL=5)、これは労働者数を

1 人増やせば生産量が 5 個増えることを表します。この状況で「生産量を 1 個増やすのに必要な労働

者数はいくつですか?」と問われれば、答えは(1/5)人ということになるでしょう。

では、(1/MPL)に賃金率(w)を乗じた、右辺全体は何を表しているでしょうか? 生産量を 1

個増やすのに(1/MPL)人の労働者が必要で、彼らにw円の賃金を企業は支払うことになります。

企業にとって費用が(1/MPL)・w円だけ増えることになるのです。つまり①式の右辺は、生産量

を 1 個増やす時に、費用がどれだけ増えるかを表します。これはまさしく限界費用(MC)であるこ

とを意味します。

このことは、利潤を最大にする労働需要量の決定条件P・MPL=wが成立しているとき、利潤を最

大にする生産量の決定条件P=MCも成立していることを示します。

⇔ P= ・w …… ① 1

MPL

P・MPL = w ⇔ P= ・w ⇔ P=MC 1

MPL

生産量(x)

労働(L) O

x=f(L)

L*

x*

P=MCを満たす生産量

P・MPL=wを満たす労働量

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16 2020 ミクロ経済学・基本講義 第 3 回

直感的に言えば、P・MPL=wを満たす労働量(L*)を決定したら、これを財の生産に投入し、

生産関数を通じて生産量が決定されます。このときの生産量(x*)はP=MCを満たす生産量になっ

ているのです。つまり、利潤最大化を実現している状況下では、労働需要量(L*)と生産量(x*)

は生産関数上で同時に決定されている(完全に対応する)のです。

【 解 説 】

このことを利用して本問を解いてみましょう。

まず、生産関数を微分して限界生産力(MPL)を計算します。

労働需要量の利潤最大化条件より、労働需要量は以下のように計算できます。

p・MPL = w

利潤最大化を実現しているとき、労働需要量と財の供給量(= 生産量)は生産関数上で 1 対 1 の

対応を実現しますので、③の結果を問題文の生産関数に代入します。

以上から、正解は肢 5 となります(利潤を計算しなくても正解肢は絞れます)。

以 上

MPL = = ・L(1/2)-1 = L-1/2 …… ② ⊿x

⊿L

1

2

1

2

⇔ p・ L-1/2 = w ⇔ L-1/2 = ⇔ L-1 = 1

2

2w

4w2

p2

⇔ = ∴ L = …… ③ 1

4w2

p2

p2

4w2

x=√L ⇔ x=L1/2 ⇔ x=( )1/2 ∴ x= p2

4w2

2w