転倒時の頭邪外傷発生予防に効果的な 頭邪保護帽の...
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転倒時の頭部外傷発生予防に効果的な転倒時の頭部外傷発生予防に効果的な転倒時の頭部外傷発生予防に効果的な転倒時の頭部外傷発生予防に効果的な
頭部保護帽の開発頭部保護帽の開発頭部保護帽の開発頭部保護帽の開発
2012. 10. 7
転倒予防医学研究会
穴田賢二穴田賢二穴田賢二穴田賢二1111
鴻巣敦宏鴻巣敦宏鴻巣敦宏鴻巣敦宏1111
一色孝廣一色孝廣一色孝廣一色孝廣1111
森久見子森久見子森久見子森久見子2222
森田敏昭森田敏昭森田敏昭森田敏昭3333
吉成哲吉成哲吉成哲吉成哲4444
1. 一般財団法人日本自動車研究所(JARI)
2. 株式会社特殊衣料
3. 東京造形大学
4. 北海道立総合研究機構
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000
10000
65歳以上の死者数の割合[%]
死者数[人]
男性
女性
総数
65歳以上
転倒事故による死者発生状況転倒事故による死者発生状況転倒事故による死者発生状況転倒事故による死者発生状況
7686人人人人(2011年年年年)
0%
10%
20%
0
1000
2000
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
65
年
転倒・転落事故による死者数の推移(厚生労働省・人口動態統計)
・転倒事故による死者数は年々増加傾向(7686人,2011年)
・交通事故による死者数(4612人,2011年)よりも多い.
・高齢者が大半を占める → 増加傾向が持続することが推測される.
転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策
被害軽減被害軽減被害軽減被害軽減
(床面,プロテクター・・・)
予防予防予防予防
(運動,補助器具・・・)
頭部保護帽
コスト,普及性
予防対策に
利用
〈市販されている頭部保護帽〉
単に何らかの緩衝材を内蔵.保護性能は不明確なものも多い.
自動車衝突実験
転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策転倒事故における安全対策
被害軽減被害軽減被害軽減被害軽減
(床面,プロテクター・・・)
予防予防予防予防
(運動,補助器具・・・)
頭部保護帽
コスト,普及性
予防対策に
利用
〈市販されている頭部保護帽〉
単に何らかの緩衝材を内蔵.保護性能は不明確なものも多い.
⇒ 自動車に関する知見を活用できないか?
自動車の衝突安全に関する知見を活用し,
より安全な頭部保護帽の開発
本研究の目的
緩衝材の選定緩衝材の選定緩衝材の選定緩衝材の選定
素材1
発泡スチロール
通気性:なし
素材2
発泡ウレタン
ろ過シート
通気性:高い
7種類の素材を用意し,同一条件下で衝撃吸収性能試験を実施種類の素材を用意し,同一条件下で衝撃吸収性能試験を実施種類の素材を用意し,同一条件下で衝撃吸収性能試験を実施種類の素材を用意し,同一条件下で衝撃吸収性能試験を実施
素材3
ポリウレタンフォーム
通気性:なし
素材4
発泡ウレタン
クッションシート通気性:なし
素材5 素材6
素材7
発泡ポリエチレン
シート
通気性:なし
通気性:低い
合成ゴムシート
通気性:なし
ポリエチレンビーズ
通気性:高い
衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験
実験装置
・胴体部は・胴体部は・胴体部は・胴体部はH鋼,鋼,鋼,鋼,頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(Hybrid ⅢⅢⅢⅢ 50th Mail Dummy)を使用)を使用)を使用)を使用
・質量・質量・質量・質量47.8kg. 回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約1500mm....(日本人(日本人(日本人(日本人70歳代男性平均歳代男性平均歳代男性平均歳代男性平均 身長:身長:身長:身長:1.605mmmm 体重:体重:体重:体重:59.3kg))))
実験条件
・角度約・角度約・角度約・角度約15°°°°,高さ約,高さ約,高さ約,高さ約900mmから衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下
⇒⇒⇒⇒緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(HIC)値)値)値)値≒≒≒≒2000の条件の条件の条件の条件
・頭部・頭部・頭部・頭部3軸加速度から軸加速度から軸加速度から軸加速度からHIC値を算出値を算出値を算出値を算出
衝撃吸収性能試験装置
約15°約900mm
試験片のサイズ
(約)80×80×10 mm
・頭部・頭部・頭部・頭部3軸加速度から軸加速度から軸加速度から軸加速度からHIC値を算出値を算出値を算出値を算出
・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施
衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験衝撃吸収性能試験
実験装置
・胴体部は・胴体部は・胴体部は・胴体部はH鋼,鋼,鋼,鋼,頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(頭頚部にはダミー(Hybrid ⅢⅢⅢⅢ 50th Mail Dummy)を使用)を使用)を使用)を使用
・質量・質量・質量・質量47.8kg. 回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約回転中心から頭頂まで約1500mm....(日本人(日本人(日本人(日本人70歳代男性平均歳代男性平均歳代男性平均歳代男性平均 身長:身長:身長:身長:1.605mmmm 体重:体重:体重:体重:59.3kg))))
実験条件
・角度約・角度約・角度約・角度約15°°°°,高さ約,高さ約,高さ約,高さ約900mmから衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下
⇒⇒⇒⇒緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(緩衝材無しの状態で頭部傷害基準(HIC)値)値)値)値≒≒≒≒2000の条件の条件の条件の条件
・頭部・頭部・頭部・頭部3軸加速度から軸加速度から軸加速度から軸加速度からHIC値を算出値を算出値を算出値を算出
衝撃吸収性能試験装置
約15°約900mm
試験片のサイズ
(約)80×80×10 mm
・頭部・頭部・頭部・頭部3軸加速度から軸加速度から軸加速度から軸加速度からHIC値を算出値を算出値を算出値を算出
・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施・各素材を用いて,複数回試験を実施
衝撃吸収性能の評価方法衝撃吸収性能の評価方法衝撃吸収性能の評価方法衝撃吸収性能の評価方法
頭部損傷を評価する指標.自動車の安全性評価試験などに用いられている.
( )max
12
5.2
12
)()(1 2
1
−
⋅
−= ∫ ttdtta
ttHIC
t
t
a:頭部重心並進合成加速度[G] t1,t2:積分開始,終了時間
ただし,t1,t2はHICが最大になるように選択しなければいけない
HIC(Head Injury Criterion:頭部傷害基準)
ただし,t1,t2はHICが最大になるように選択しなければいけない
0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%
100%
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
傷害発生確率
HIC
重傷相当以上
HIC値と傷害発生確率の関係
各素材の衝撃吸収性能試験結果各素材の衝撃吸収性能試験結果各素材の衝撃吸収性能試験結果各素材の衝撃吸収性能試験結果
素材5
素材4
素材3
素材2
素材1 1037
1776
796
1843
1157
0 500 1000 1500 2000
素材7
素材6
素材5
HIC
平均
1157
924
931
・重傷リスクを半減以下(HIC1000以下)にできる緩衝材は3つ・快適性の達成に必要な通気性や柔軟性を確保可能なのは,素材6
頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作
開発した頭部保護帽(abonet+JARI)
・全周囲(前後左右,頭頂)に緩衝材を配置.
⇒ いずれの方向の転倒に対しても衝撃吸収可能
・頭頂の緩衝材は出し入れ可能
・外観は自然
・重さは市販の頭部保護帽の中でも軽量
日常生活において
着用可能
頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作
開発した頭部保護帽(abonet+JARI)
・全周囲(前後左右,頭頂)に緩衝材を配置.
⇒ いずれの方向の転倒に対しても衝撃吸収可能
・頭頂の緩衝材は出し入れ可能
・外観は自然
・重さは市販の頭部保護帽の中でも軽量
日常生活において
着用可能
開発した
頭部保護帽
市販
頭部保護帽
ヘルメット
平均
頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作頭部保護帽の製作
最大値最小値
(4(4(4(4種類種類種類種類))))
(21(21(21(21種類種類種類種類))))
0 100 200 300 400 500 600
質量 [g]
・全周囲(前後左右,頭頂)に緩衝材を配置.
⇒ いずれの方向の転倒に対しても衝撃吸収可能
・頭頂の緩衝材は出し入れ可能
・外観は自然
・重さは市販の頭部保護帽の中でも軽量
日常生活において
着用可能
質量の比較
開発した頭部保護帽の衝撃吸収性能開発した頭部保護帽の衝撃吸収性能開発した頭部保護帽の衝撃吸収性能開発した頭部保護帽の衝撃吸収性能
実験条件
・角度約・角度約・角度約・角度約15°°°°,高さ約,高さ約,高さ約,高さ約900mmから衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下から衝突面に落下
⇒⇒⇒⇒無帽状態で頭部傷害基準(無帽状態で頭部傷害基準(無帽状態で頭部傷害基準(無帽状態で頭部傷害基準(HIC)値)値)値)値≒≒≒≒2000の条件の条件の条件の条件
・頭部・頭部・頭部・頭部3軸加速度から軸加速度から軸加速度から軸加速度からHIC値を算出値を算出値を算出値を算出
・前頭部,後頭部および側頭部など代表的な衝突位置を複数選択・前頭部,後頭部および側頭部など代表的な衝突位置を複数選択・前頭部,後頭部および側頭部など代表的な衝突位置を複数選択・前頭部,後頭部および側頭部など代表的な衝突位置を複数選択
・緩衝材選定時と同様の衝撃吸収性能試験装置を使用
0 500 1000 1500 2000
開発した
頭部保護帽
市販の
頭部保護帽
HIC
平均
最小値
最大値
1359
888
(8種類)
約15°約900mm
衝撃吸収性能試験装置 試験結果
0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%
100%
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
傷害発生確率
HIC
重傷相当以上
約約約約60%%%%
低減低減低減低減
まとめまとめまとめまとめ
本研究では,自動車の衝突安全に関する知見を活用して,
より安全な頭部保護帽の開発を行った.
� 自動車の安全評価試験などに用いられる頭部傷害基準を用
いて,数種類の緩衝材の衝撃吸収性能試験を実施した.その
結果,安全性と通気性に優れたポリエチレンビーズを緩衝材と
して採用することとした.
� 選定したポリエチレンビーズを用いて頭部保護帽の製作を� 選定したポリエチレンビーズを用いて頭部保護帽の製作を
行った.製作した頭部保護帽は,市販されている頭部保護帽と
比較して高い安全性能を有することがわかった.さらに無帽状
態と比較して,重傷相当以上の傷害発生確率を60%低減する
ことがわかった.
以上より, 従来以上に安全な頭部保護帽の開発を行うことがで
きた.