中国の生活・文化...中国の気候は,気候要素や気候因子である風,緯度・...

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  • ード=一路」をつなぎ,中国の影響力を強めようとする計画である。一帯一路構想の沿線・沿岸国は60か国以上にのぼる。人・モノ・金の移動を活発にして投資が積極的に行われることが期待されている。

    次に地図帳p.7~8や教科書p.61「⑤中国とその周辺の自然環境」と断面図(図2)から「西高東低」の特徴を読み取らせたい。その際,中国の地形は3段構造となっていることを説明すると理解しやすい。デジタル地図帳で3つの地域をペンツールで囲んだり,ふせんツールで文字を入力したりするなどして解説したい(図1)。上段がチベット高原とその南のヒマラヤ山脈である。ヒマラヤ山脈はインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込む場所にできた褶曲山脈で,今でも隆起が続く。中段はジュンガル盆地,タリム盆地,タクラマカン砂漠,ゴビ砂漠,ホワンツー高原,スーチョワン盆地で,下段は東部の低平なトンペイ平原,華北平原,長江中下流平原である。ところで南東部のフーチエン省とコワントン省は山地と丘陵が多く,平地が少ない。ひんぱんに上陸する台風はこの地に自然災害をもたらしてきた。こうしたことがフーチエン省やコワントン省の人々を海外移住させ,「華僑」を生み出した一因でもある。中国の主要な河川は黄河,長江,チュー川である。地図帳p.9~10「①中国要部」やp.14「③シャンハイ市とその周辺」,p.15「①チュー川(珠江)デルタ」を用いて,流路や周辺の都市の特徴を確認させてもよいだろう。

    はじめに1

    地理Aでは,多くの学校で地誌の最初に中国を扱うことが多いだろう。『高等学校 新地理A』(以下,教科書)の年間指導計画案には,中国の自然環境について「内陸部と沿海部,南部と北部の対比をふまえながら,その地域性と特徴について考察する」とある。中国の学習は,地形・気候・人口分布・農業・工業などさまざまな視点で地域の対比と地域性の特徴を考察できるのが魅力である。今回は教科書と『新詳高等地図』(以下,地図帳)に加え,指導者用デジタル地図帳(以下,デジタル地図帳)を活用した中国地誌の授業案を紹介したい。

    授業の流れ2

    【1時間目】 ……………………………………………

    中国の自然環境

    中国の面積は世界第4位,960万k㎡で日本の25倍もある。まずはじめに地図帳p.7~8「①東アジア」で,中国は多くの国と国境を接していることを確認させる。あらためて中国の広大さを実感できるだろう。

    国境を接する国と地域は,東アジア・中央アジア・西アジア・南アジア・東南アジアの国々とロシアである。中国政府は現在,一帯一路構想を推進している。中国から中央アジア,中東,ヨーロッパへと続く「シルクロード経済ベルト=一帯」と,南シナ海やインド洋の沿岸諸国を経てアフリカへいたる「21世紀の海上シルクロ

    使用教材 : 平成30年度版『高等学校 新地理A』 平成30年度版『新詳高等地図』 平成29年度版『帝国書院 指導者用デジタル地図帳 新詳高等地図・標準高等地図』

    跡見学園中学校高等学校 阿部 崇

    いきいき授業実践地理A

    中国の生活・文化―地誌学習の楽しさを学ぼう―

    問い 「中国と国境を接する国を調べよう」

    答えの例: 北朝鮮・ロシア・モンゴル・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・アフガニスタン・インド・ネパール・ブータン・ミャンマー・ラオス・ベトナムの13の国と地域。

    問い 「中国の地形の特徴をとらえよう」

    答えの例: 中国の地形の特徴は「西高東低」である。東部は黄河や長江の下流域に平野が広がり標高は低い。西に行くにしたがって標高が高くなる。西部にはチベット高原やタクラマカン砂漠など標高の高い地域がある(図1)。

    12 地理・地図資料  2018年度1学期号

  • 中国の気候は,気候要素や気候因子である風,緯度・高度・地形と関連づけて理解させるとよいだろう。地図帳p.11「③気候」から,まず「1月の平均気温線」を読み取らせる。北回帰線付近に20℃,北緯30度付近に10℃,北緯40度付近に-10℃の等温線が見え,おおむね緯線に平行しているが,内陸では冬にシベリア高気圧の影響を受け南に蛇行している。降水量は夏に海から季節風が吹き込む南部で多く,北西に向かうにしたがって少なくなる。チンリン山脈とホワイ川を結んだ線より南は年降水量1000mm以上,北は1000mm未満である。この線を境に南は稲作地帯,北は畑作地帯となる。一方,内陸に行くにしたがって海からの季節風の影響を受けにくくなり降水量は少なくなる。ここでは雨温図を用いて各都市の気候を比較させたい。

    デジタル地図帳には,各都市の雨温図を重ね合わせて表示できる機能がある。これを利用して各都市の降水量や気温の違いに着目させ,国土が広い中国の気候の多様性に気づかせたい。その際,生徒が居住する日本(東京)の雨温図と重ね合わせることで,より実感を伴って気候の特徴をとらえることができるだろう(図3)。ここではシャンハイとペキンの雨温図を比較してみよう(図4)。シャンハイは夏に高温多雨となり,東京と同じ温暖湿潤気候(Cfa)である。ペキンは冬の降水量が少なく11月~2月の総降水量はわずか19mmでステップ気候(BS)である。東北区のターリエンは,冬の降水量が少なくきわめて寒い亜寒帯(冷帯)冬季少雨気候

    (Dw)である。北西に位置するカシはタクラマカン砂漠にあり,降水量はきわめて少なく砂漠気候(BW)である。内陸のため気温の年較差が大きい。ラサは標高3650mの高地にあるが,北緯29度という低緯度にあるため冬の寒さはそれほど厳しくなく夏は涼しい。気温の年較差は小さいものの日較差は大きい。中国では,生活水準の向上や工業化により1人あたりの水使用量は増加している。しかし降水量は増えるわけではなく,南水北調プロジェクトなど安定した水の確保が課題となっていることにも触れたい。

    【2時間目】 ……………………………………………

    多民族からなる中国

    中国は世界一の人口を有する国である。最近まで一人っ子政策を行ってきた。中国の人口分布は地形・気候と関連づけて理解させたい。

    中国は世界第1位である14億(2015年)の人口を有するが,人口や都市の分布は均一ではなく,東部に偏在している。人口密度は西高東低の地形とは逆の「東高西低」となる。地図帳p.11「②人口密度」から人口密度が高い地域と低い地域はそれぞれどのようなところか考えさせたい。人口密度が高いのは東側の標高

    問い 「中国の気候の特徴をとらえよう」

    答えの例: 南部は温暖で降水量が多いが,北西に向かうにしたがって降水量は少なくなり,冬の寒さは厳しくなる。西部には標高が高く寒さの厳しいチベット高原やほとんど雨が降らないタクラマカン砂漠が広がっている。

    問い 「人口が多いのはどのような地域か」

    答えの例: 人口は東部に多い。とくに黄河流域や長江流域,スーチョワン盆地,沿海部である。これに対して西部は人口密度が低い。

    図2 中国の断面図『高等学校 新地理A』p.61「⑦中国の断面図」

    図1 『新詳高等地図』p.7~8「①東アジア」(デジタル地図帳 新詳高等地図 アジア (1)東アジア)

    図3 ペキンと東京の雨温図

    図4 シャンハイとペキンの雨温図

    デジタル地図帳 各地の雨温図

    ペンツールで書き込みができる! 見せたい図を

    拡大できる!

    2画面表示機能で並べて比較できる!

    各都市を重ねて比較できる!

    ペキンを青,東京をピンクで表示。 シャンハイを青,ペキンをピンクで表示。

    ペンツールで書き込みができる! 見せたい図を

    拡大できる!

    2画面表示機能で並べて比較できる!

    各都市を重ねて比較できる!

    ペンツールで強調できる!ペンツールで囲んで着目させることができる!

    ふせんツールで文字が入力できる!

    13地理・地図資料  2018年度1学期号

  • 500m未満の低平な地域である。これに対し人口境界線(北東部の都市ヘイホーと南西部の都市トンチョンを結んだ線)より西側の標高500m以上の地域は人口密度が低い。この境界線は農業地域と牧畜との境界線でもある。とくにゴビ砂漠,タクラマカン砂漠,チベット高原は人口希薄地帯となっている。デジタル地図帳では,ペンツールを使って人口境界線を書き込み,生徒に示したい。また,中国は多民族国家である。人口の91.5%を占

    めるのは漢民族である。残りの8.5%は55の少数民族からなり,その総数は約1.1億人である。地図帳p.11「①民族」「②人口密度」から,人口密度の高い地域には漢民族が多く居住していることにも気づかせたい。

    中国は1970年代末より,1組の夫婦には子供を1人までしか認めない一人っ子政策を実施し,人口抑制をはかってきたことから,少子高齢化が進行している。さらに平均寿命は上昇しており,年少人口の減少,老年人口の増加,そして社会経済を支える生産年齢人口の減少は,今後の経済成長の足かせとなりかねない。こうしたことから,一人っ子政策は2015年12月末で廃止された。

    【3時間目】 ……………………………………………

    巨大な人口を支える農業と農民

    世界最大の人口を有する中国は,米と小麦の生産量が世界一である。中国の農業の特色について,図版の比較により考察させたい(図5)。デジタル地図帳の2画面表示機能を用いて解説や補足を加えていく。

    まず,教科書p.64「①屋台で売られる羊肉のくし焼き」「②刀削麺をつくる職人たち」「③ご飯とおかずの食卓を囲む家族」を見せ,写真に見られる羊肉,麺類の原材料である小麦,米がおもにどの地域で栽培されてい

    るかを考えさせたい。次に,なぜそのような食生活が営まれているのか,1時間目で学習した気候を復習しながら考えていく。デジタル地図帳で地図帳p.11「③気候」と「④農業地域区分」「⑤米・小麦の栽培」をそれぞれ並べて映し出し(図5),東部の農耕地域は年降水量1000mmのラインであるチンリン山脈とホワイ川を結んだ線より北が畑作地帯,南が稲作地帯となっていることに気づかせたい。中国の農業地域区分をより細かく見ていくと,華北区では小麦,とうもろこし,綿花などが栽培されている。そのため,教科書p.64②の写真のように小麦からつくられる麺類や蒸しパンが多く食べられる。長江区では稲作を中心に小麦,菜種,茶が栽培されている。華南区では米の二期作が行われている。これらの地域では教科書p.64③の写真のように炊いた米がおもに食べられる。西部区では羊や馬などの牧畜に加え,オアシス農業で小麦や綿花が栽培されている。ムスリムが多いこともあり,教科書p.64①の写真のように羊肉がよく食べられている。なお,東北区では近年,品種改良により寒さに強い米の栽培がさかんであることも補足したい。中国の食生活と自然環境を関連づけて写真・図版を読み取らせることで,生徒の興味・関心を引き出したい。最後に,教科書p.64「⑤中国の野菜の栽培面積と輸

    出額」から,中国の農業はこれまで穀物生産にかたよ

    答えの例: チンリン山脈とホワイ川を結んだ線より南は年降水量1000mm以上,北は1000mm未満である。この線を境に南は稲作地帯でおもに炊いた米が主食として食べられ,北は畑作地帯となっており,小麦を使った主食がおもに食べられている。

    問い 「中国の食文化と気候・農業には   どのような関係があるか考えよう」

    答えの例: 一人っ子政策により少子高齢化が進むとともに社会経済を支える生産年齢人口が減少してしまうおそれがあるから。

    問い 「一人っ子政策は どうして廃止されたのだろう」

    図5 「③気候」,「④農業地域区分」,「⑤米・小麦の栽培」『新詳高等地図』p.11(デジタル地図帳 新詳高等地図 )

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    ふせんツールで記入

    14 地理・地図資料  2018年度1学期号

  • っていたが,近年,野菜生産が増大していることにも気づかせたい。これは生産責任制の下で経営の自由度が増した農民が,商品作物である野菜の生産を行うようになったことと,生活水準の向上に伴う消費の多様化によるものである。野菜は日本へも輸出されている。

    【4時間目】 ……………………………………………

    工業の発展

    生徒たちは,社会主義計画経済の時代の中国を知らない。計画経済にもとづく国営企業による生産は,市場における競争の原理がはたらかず,効率的な生産や技術の革新が行われなかった。結果として経済発展は進まなかった。1970年代以降,政治分野では中国共産党の一党独裁という社会主義を堅持しつつも経済分野では改革開放政策を導入した。改革開放政策により外国企業が中国に進出し,外国

    企業の技術や資本と,中国の安価で優秀な労働力を用いて輸出向けの工業生産が拡大した。中国は「世界の工場」とよばれるようになった。近年,労働者の賃金の上昇により「巨大市場」としての魅力も高まっている。例えば自動車は生産台数,販売台数ともに中国は世界一である。中国のモータリゼーションは始まったばかりであり,巨大な市場が広がっている。一方で賃金の上昇は企業にとっては生産コストの増大をもたらす。繊維産業などはさらに人件費の安い東南アジアや南アジアに工場を移す動きもみられることを,この後に行う「東南アジア」「南アジア」をふまえて生徒に伝えたい。

     家の中には多くの「MADE IN CHINA」の物がある。同時にマレーシア,インドネシア,タイ,ベトナムなど東南アジア製の物も多いことに気づくだろう。なかにはミャンマー,カンボジア,バングラデシュ,パキスタンなど中国よりさらに人件費の安い国でつくられた物もある。 また,地図帳p.16「②世界中から輸入する原料・製品」(図6)から中国は世界中から原料を輸入していることを読み取らせたい。鉄鉱石はオーストラリアやブラジルから輸入している。2000年以降,中国の粗鋼生産量

    が飛躍的に増加しているためである。中国は鉄鉱石の主要産出国であるが,世界一の鉄鉱石輸入国でもある。石油も同様で,世界有数の産出国であるが,現在は輸入量,消費量ともアメリカ合衆国につぎ世界第2位でもある。中国の石油消費の行方は石油価格の動向に影響を与えている。中国は世界中の資源を買いあさっているといわれることがある。しかし私たちの身のまわりには多くの中国製品がある。私たちは中国を通じて大量の資源・エネルギーを消費しているのである。 また,パソコンは集積回路などの部品を輸入し,国内の安価な労働力を利用して組立加工し,完成品を輸出している。世界のパソコンのほとんどは中国で生産されている。

     今回は,教科書と地図帳に加え,デジタル地図帳を活用した中国地誌の授業案を紹介させていただいた。デジタル地図帳を用いて見せたい図版を大きく掲示することで,より生徒の視点を集めることができ,図版をしっかりと読み取らせることが可能である。 「1はじめに」でも述べたように,中国は地形・気候・人口分布・農業・工業などさまざまな視点で地域の特徴を考察できる。生徒には,自然環境が人口の分布や農業など人々の生活に大きくかかわっていること,中国の近年の動きと世界とのかかわりなど,中国の地域的特色をしっかりとらえさせ,地誌学習の楽しさを伝えていきたい。

    答えの例: 課題にして家で探させ,発表させる。さまざまな家庭電化製品とそのリモコン,パソコン,スマートフォン(iPhoneなど),衣類,かばん,靴,玩具など。

    問い 「家にある『MADE IN CHINA』の物を 探してみよう」

    おわりに3

    ■参考文献・上野和彦編(2011)『世界地誌シリーズ②中国』朝倉書店・季増民(2008)『中国地理概論』ナカニシヤ出版・矢野恒太記念会(2017)『世界国勢図会2017/18』・21世紀中国総研編(2017)『中国情報ハンドブック2017年版』蒼蒼社

    図6 世界中から輸入する原料・製品『新詳高等地図』p.16「②世界中から輸入する原料・製品」

    (デジタル地図帳 新詳高等地図 )

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    15地理・地図資料  2018年度1学期号