組織活性化に必要な...
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組織活性化に必要なリーダーシップの課題
Kaizen IT Summit in Gifu 2017
ソフトピアジャパン
同志社大学商学部 鈴木良始
2017.9.281
日本企業のリーダーシップの質やリーダーシップ育成状況については、
①社員の評価は芳しくない。②世界の企業と比較してみると、遅れている。
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今求められるリーダーシップ
組織活性化と組織成果を実現する2つのリーダーシップ
仕事のリーダーシップ
•決める
•支援する
•育てる
意欲のリーダーシップ
•達成感
•コラボレーションと連帯感
•公平感
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求められる「仕事のリーダーシップ」
What だけでなく, Why, Howを示す
説得的に説明する
チームと対話・議論し、What, Why, Howを
決める、共有する
メンバーと対話・議論し、役割(What)と
Howを
決める
観察・対話しながら進捗に合わせて相談・
激励・支援
チームとメンバー個人への随時、迅速なフィードバックと振り
返り
仕事を管理するというより、「決める」のをファシリテートし、目標達成を「支援」する
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何が新しいか、何が大事か①
WhyとHowを考えるリーダー
• Whyを考え、説得的に説明するリーダー。
• Whyとは、組織にとっての意義、顧客にとっての意義、チームとメンバーにとっての意義。
• Howを考えるリーダー。Howとは、「これなら達成できそうだ」という方針・方策。
• Whatに見合うHowを考え、Howをフォローする二次的What(量的指標)を考え、二次的WhatのためのHowを考える→ WhatとHowの往復。
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まとめると
仕事のリーダーシップの3側面
WhyとHowを考えられるリーダー
自律性を支援するリーダー
メンバーを成長させるリーダー
仕事のサイクルを通してOn-the Jobで
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日本企業の従業員モチベーションの現状はかなり低いことを確認します
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モチベーション3要素
D.シロタ,L.ミスキンド,M.メルツァー著『熱狂する社員(The Enthusiastic Employee):企業競争力を決定するモチベーションの3
要素』英治出版,2006年
(ウォートン経営戦略シリーズ)The Wharton School of the University of Pennsylvania
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公平感のある組織はエンゲージメントを高める
自分に「良い感覚」を与えてくれるもの(組織、人)に対しては、人は好感を持つ。好感は信頼感を高める効果があり、信頼感は貢献しようとする感情を生み出す(抗いがたい心理)
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達成感を上げるリーダーシップ
• 企業ビジョンから職場のWhyまで、各階層のリーダーが仕事の意味を明確にする。
• 顧客の笑顔・評価、他部署の声、社会の評判など、「何のため,誰のため」の「結果」を知ることにリーダーは努力する。
• 仕事の各サイクルで自律性に配慮するリーダー。OBMを実行するリーダー。
• 強みとキャリアパスを配慮した仕事の割当て
• 優れたHowと仕事の支援で、目標達成。
• 迅速、適切なフィードバック10
連帯感を上げるリーダーシップ
• 競争意識を刺激する施策・仕事の割当・評価を弱め、目標の共有、チーム目標達成への協力的姿勢の称揚→ 信頼と尊敬のチーム文化を育てるリーダー
• 心理的安全(気兼ねなく何でも言い合える職場)を育てるリーダーシップ。 グーグル社の「アリストテレス・プロジェクト」→ 均等時間発言傾向、相互感情理解→ つねに高業績を出すチームの共通項。ベースにあるのは信頼と尊敬の文化。
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優れたリーダーシップ
仕事の成果が上がる
仕事のリーダーシップ
意欲のリーダーシップ
相互作用の好循環
モチベーションが上がる
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「ノーレイティング」は何をやめるのか
• 1つは、MBO(年次の目標管理制度)によるトップダウンの個人目標設定と、年次単位の業績評価。期中の上司との、業務推進に関する相談・対話は、ほとんど機能していない。
• 2つは、ベルカーブ(正規分布)を基準とした、業績達成順による社員の強制的ランク付け。たとえば、GEはAランクに社員の2割、Bランク7割、Cランク1割でランク分けし、Aランクを優遇して定着を図り、Cランクは転職を促す。
• 要するに、トップダウンの目標設定と相対評価によって、社員の働きを刺激する評価制度
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「ノーレイティング」が示す方向性
• 会社の年次目標の一方的ブレークダウンではなく、①個別の課題・プロジェクトごと、②社員の成長やキャリアパスを考慮し、③対話による課題設定。
• マネジャーと部下の、①業務に関する対話、②日常的な(週次の)対話、③対話による業務支援。
• 評価は、①日常対話をベースとした、②課題・プロジェクトごとの評価の積み上げ
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アメリカの「ノーレイティング」の潮流は、リーダーシップの変革を意味する。
その方向性は、
「仕事のリーダーシップ」と「意欲のリーダーシップ」であると見ることがで
きる。
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この「ノーレイティング」変革が定着するとき、アメリカ企業の競争力は
数段アップする。日本企業はこの方向へ
リーダーシップ水準を引き上げることの重要性を理解しなければならない。
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