20150627 第5回組織の経済学勉強会

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Economy & Finance


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Page 1: 20150627 第5回組織の経済学勉強会

『組織の経済学』勉強会第Ⅳ部 雇用:契約、報酬、キャリア

第 10章・第 11章

2015年 6月 27日(土)

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自己紹介

お名前お仕事今日、ディスカッションで議論したいこと(人事に関する問題意識等)

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古典派モデル

雇用需要と供給が雇用と賃金を決定• 労働者の限界生産性が賃金率に等しくなる(古典派第一公準)→労働需要曲線• 労働者の限界不効用が賃金の限界効用と等しくなる(古典派第二公準)→労働供給曲線

前提• 企業は常に雇用水準を調整する(賃金水準の変動も激しい)• 労働者の流動性が高い(転職が容易)

古典派モデルが適用できるケースは?

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単純作業労働• 海外のワーキングホリデー(果樹園での収穫の手伝い等)

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なぜ労働者間で賃金に差が出るのか?生産性が異なるため

なぜ労働者間で生産性に差が出るのか?保有する知識/技能が異なるため

なぜ労働者間で保有する知識/技能が異なるのか?教育や職業訓練等への投資水準が異なるため• 労働者=人的資本

人的資本の種類企業特殊的汎用的/非特殊的• 企業の立場から見て、望ましい人的資本はどっち?• 企業特殊的技能が重視されるのは大企業と中小企業ではどっち?

人的資本

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個人事業主とサラリーマンでは所得に対する要求リターンが高いのはどっち?

企業は無数の投資家を想定しており、リスクが分散=リスク中立的• 企業が所得変動リスクを負担→被雇用者であるサラリーマン(簡単には解雇されない)の所得リスクは低い

個人事業主は高いリスクプレミアムを要求(ハイリスク、ハイリターン)

需要変動/所得リスク

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雇用関係

雇用契約=不完備契約起こりうる全ての事態を想定することは不可能、不測の事態に対する解決の仕組みを記載した相互関係を規定

採用情報の非対称性→個人の能力に関する情報量:就職希望者>企業• シグナル:就職希望者による情報開示(例:学歴、身だしなみ等)• スクリーニング:企業側が応募条件を提示することで就職希望者の能力に関する開示を促進(例:ビジネス英語必須、完全歩合制等)

過去の日本企業における女性従業員→「腰掛け OL(すぐに辞めてしまうから、重要な役職に就けない)」というイメージが固定化した理由は?

• 重要なポストに配置されない→能力を発揮する機会がない→イメージを払拭できない(イメージが固定化) 6

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雇用関係

雇用/労働継続のインセンティブ企業• 労働者が企業特殊的技能を獲得するための訓練に投資することで、新しい労働者を雇用するよりも高い生産性を享受(=準レント)

労働者• (企業特殊的技能による高い生産性の結果として)準レントを得た企業から、他社に転職した場合よりも高い賃金を受け取ることが可能

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賃金プロファイル

賃金(率)を(限界)生産性で決めて良いのか?生産性は外的ショックによって変動する(=リスク)• リスクは企業が負担した方が効率的→ならば、賃金は(一時的な)生産性とは無関係に決定すべきでは?

賃金を生産性と切り離すためには労使双方のコミットメントが重要企業:賃金>生産性の時でも(簡単に)レイオフや賃金引き下げを行わない

労働者:賃金<生産性の時でも転職しない• 具体策:年功賃金(ラジアーモデル)• 若い間は生産性を下回る賃金(=将来の雇用や賃下げリスクを低減する為の保険料)で働くが、年を取ってからは生産性を上回る賃金をもらう

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レイオフ(年功賃金が適用されている状態で)若手から順番に人員削減が行われるのはなぜか?• 企業にとっては若手の方が価値が高い(賃金<生産性)が、年配者から削減する(=若手の時に払った保険金が返って来ない)と「裏切り者」という評判が形成され、労働者からの長期雇用に対するコミットメントが得られない

雇用関係

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ストライキへの対応労働争議(ストライキ)に対して、企業が強気に出る(事業停止も厭わない)ケースは需要が伸びている時か、低迷している時か?• 機会損失が小さい時=需要低迷時

(同じような文脈で)• MBA志願者が増えるのは好景気の時か、不景気の時か?

雇用関係

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(過去の)日本的雇用慣行

新卒一括採用、年功序列、終身雇用、企業別労働組合外部環境• 大企業と中小企業の賃金格差が大きい、大企業は中途採用を行わない

内部環境• 従業員が意思決定に参加(人的資本への投資促進のため)• ジョブローテーション(環境変化に対応して従業員を再配置)

効果• 企業特殊的技能への投資促進• インフルエンスコストの低減(短期的業績を良く見せる必要なし)• 多能工化、チーム作業(職務記述書に記載していない仕事もカバー)

必要条件• 人事部による人的資源管理(適材適所)が効率的に行われていること• 定年制(ちなみに、アメリカでは年齢による職業差別は禁止されている)

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グループディスカッション

日本的雇用慣行が崩壊した理由は?景気悪化に伴い、年功賃金を維持できる企業が減少した→企業側のコミットメントが弱まった

• 幅広い業種の大手企業がリストラや倒産を余儀なくされた−優秀な人材が外部労働市場へ供給された→転職を促進する市場環境が整った(人材紹介会社等)

グローバル化に伴い、企業特殊的技能よりも汎用的技能(例えば、英語力)が重視される場面が増えた

IT化が進んだことにより、企業特殊的技能(人的ネットワーク等)の価値が低減した

ニーズが多様化したことにより、過去の延長線上ではなく、新しいアイデア(外部人材の登用による組織の新陳代謝)が求められるようになった

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内部労働市場

企業と長期雇用の従業員から構成賃金は外部労働市場と切り離されている• (古典派が想定しているように)生産性では決まらない• 仕事の内容や職務能力によって決定される

人材は外部からではなく、内部選抜によって手当てされる• 昇進が重要

職能資格制度(日本)役職(職務)と職能資格を区別し、賃金を職能資格と連動させる• 高い能力を示した従業員には昇格による昇給で報いる• 報酬を変えることなく、職務の変更(ジョブローテーション)が可能

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昇進

有能な従業員に対して、責任と権限を割り当てる経営陣は企業の業績に対する影響力が大きい• ピーターの法則:従業員は能力に対して、 1回だけ余分に昇進する(能力以上のポストに就くことで昇進がストップ)

インセンティブ(昇給を伴う)昇進=有能であるというシグナル→外部労働市場でも高い賃金• ポストが空席の場合も、外部から人材を登用せず、内部昇進者を手当てすることで昇進レースのインセンティブを維持

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トーナメント理論

ホワイトカラー同士の絶対的な人事評価は困難相対的評価( A/B/C/D)• 上位に行くほどポストが少なくなる=昇進に対するインセンティブが減少• 対応策として・・・• インセンティブを維持するためには、上位に行く程、昇給額を大きくする必要有り→ CEOの報酬が高額な理由

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シード選手

最初の人事評価がその後のサラリーマン人生を大きく左右するAと Bが 2回戦の試合を行う場合を想定( 1回戦の勝者は Aとする)

Aと Bを平等に扱う場合− 2回戦は Bが勝ったとしても、 Aも Bも同じくらい優秀であると考えられるので、 1回戦終了時点で Aのみを幹部候補と考えて良い

Aに有利な状況を設定(重要なプロジェクトに任命する等)した場合

−この状態で Bが勝てば、 Bが Aよりも優秀と考える事が可能

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人事評価

(本社ではなく)現場の管理職が部下の能力や貢献度を評価評価を行う上で、(日常、接していることから)部下に関する情報量が多い

ただし・・・• 損益責任を負っているかどうか(プロフィットセンター orコストセンター)で部下に対する評価水準が大きく異なる• 高い評価(他部門の引き抜きを招く)や厳しい評価(部下とのコンフリクトが生じる)を避ける→中心化傾向、評価インフレ

対応策として・・・• 部門毎に相対評価の総枠を決定( Aは上位 10%、 Bは上位 3

0% ・・・)

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人事評価

個人が良い(悪い)業績を出す理由(例:生産性が高いのか、生産性は低いが長時間労働によるものか)が分かりにくい

企業は過去及び現在の業績を参考にせざるを得ない• 従業員には長時間労働を行うインセンティブがある(特に新入社員はその傾向が強い→将来 CFの獲得期間が長いため)• 一方で、意図的に努力を隠す(コソ勉)ことで個人の能力を実際よりも高く見せるインセンティブが働くケースもある

インフルエンス・コスト努力を適正に評価することが難しい→「誰に評価されるか」が重要

−社内政治にリソースが投入されてしまう(派閥争い)−対応策としては、業績も加味したインセンティブ体系の導入が必要(短期的業績に対してボーナスで報いる)

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終身雇用/ UP or OUT

終身雇用利点• 長期的視野に立って、リスクの高い仕事にチャレンジできる• 自分よりも優秀な人材を正しく評価できる(自分の立場が脅かされない)• 長期間のスクリーニングを経て、優秀な人材を選抜できる

欠点• 外部環境の変化に対応できない(組織が硬直化)

UP or OUT利点• 組織の新陳代謝が可能(新しいアイデアが組織に導入される)

欠点• 組織内の競争が激しくなり、足を引っ張り合う(協調性が無くなる)

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グループディスカッション

日米で昇進スピードが異なる理由は?日本:新卒入社後、 10~ 15年の間は同期入社の間で大きな差がつかない

米国: 5年程度の間で幹部候補生が選抜され、昇進する• 米国→経営陣の意向(私的情報)が早期に開示される(シグナル)

−上司の意向に沿った形で仕事することが合理的=トップダウンの組織において整合的(補完性)

−幹部候補生は仕事への意欲が増すが、それ以外は仕事の意欲が減退する→転職を促進

• 日本→従業員間の格差が大きくない−コンセンサス重視、合議制の意思決定(ボトムアップ)と補完性あり

−長期間に渡って昇進のチャンスあり→転職を抑制20

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グループディスカッション

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上司による主観的な人事評価による弊害を緩和するために、近年導入が進んでいる評価制度は?その問題点は?

360度評価• 上司だけでなく、同僚や部下、取引先等からの評価も考慮することでインフルエンスコストを抑える• 問題点:①導入や適正な運用に多大なコストを要すること、②周りに迎合する人が増加する傾向あり

業績連動給• 主観的評価は人材育成のためのフィードバックとして用いるのみとし、賃金は業績に連動する部分を含める• 問題点:①本人の努力に拠らない部分(景気等)で賃金が左右されてしまう