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データに基づく犯罪予防 :どう実践するか? 雨宮 (東京大学空間情報科学研究センター) 1 アーバンデータチャレンジ東京 2013 2ndステージワークショップ 「先進事例をもとに解くべき課題を考えよう!」 130801@東京大学

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先進事例をもとに解くべき課題を考えよう!ーアーバンデータチャレンジ東京 2013 2ndステージワークショップー データに基づく犯罪予防——どう実践するか(雨宮護)

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データに基づく犯罪予防:どう実践するか?

雨宮 護(東京大学空間情報科学研究センター)

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アーバンデータチャレンジ東京 2013 2ndステージワークショップ「先進事例をもとに解くべき課題を考えよう!」 130801@東京大学

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各地で盛んに行われている「防犯まちづくり」

「施設の整備や管理等を通して犯行の機会や犯罪被害の不安感を軽減し,『生活の質』の向上をめざす,一連の持続的な取り組み」(山本,2005)

見守り活動 空き店舗の活用 設備の設置2

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「防犯まちづくり」の課題

• 漠然とした不安に基づく活動であり,根拠(データ)に基づく実践になっていない

• しかし,犯罪に関するオープンデータはない

DB名 公開空間単位 罪種別 小地域データ

警察庁統計「平成○年の犯罪」

都道府県 ○ ×

総務省「統計で見る市町村」

市町村 × ×3

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海外では位置情報つき犯罪データの公開が進んでいる

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日本で,防犯まちづくりの「根拠」をどう得るか?

:「ヒヤリ・ハット」への着目

「ヒヤリ・ハット」300件

「軽い事件」29件

「重大事件」1件

• 量としてかなり起きている• 犯罪に比べ市民からの情報提供が期待できる 5

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「ヒヤリ・ハット」被害率:子どもの被害の事例

行為の種類 提示文 大都市小学校5校

郊外都市小学校5校

追いかけ 追いかけられたり,後をつけられたりした. 5.1% 2.4%

暴力叩かれたり,物をぶつけられたり,手や服をつかまれたり,体を触られたりした(されそうになった)

4.9% 0.3%

盗難知らないうちに,持ち物を盗まれたり,盗まれそうになった 4.0% 0.6%

その他その他の怖いこと,嫌なことをされたり,されそうになった 3.5% 0.6%

誘いついてこないか,何か買ってあげようか,車に乗らないかなどと誘われたり,どこかへ連れて行かれそうになったりした

2.3% 0.6%

カツアゲ物やお金をひったくられたり,無理矢理取り上げられたりした 1.6% 0.1%

痴漢エッチなことを言われたり,恥ずかしいものを見せられたりした 1.5% 1.7%

上記いずれか 15.3% 6.2%6

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「ヒヤリ・ハット」地図

「どこに重点をおいて見守れば良いか」の判断材料 7

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東京都葛飾区の取り組み

• 「子どもへの被害調査→ワークショップ(討議)→実行計画策定」の3段階で実施

• 計画に基づき関係各主体が対策を実施

• 活動成果報告と事後検証による遂次改善

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どうやって「ヒヤリ・ハット」を収集し,使えるデータにするか?

☹ 標準化された方法で自ら収集する

☺ 日々生産される「ヒヤリ・ハット」データを蓄積・共有する

警察による公表データ 自治体による公表データ 学校による公表データ

メール ウェブ プリント 9

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「ヒヤリ・ハット」の公開事例

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http://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/joho/shisei/BDODkyougikai_sampledata.html

「ビッグデータ・オープン

データ活用推進協議会」ア

イデアコンテストのための

サンプルデータ

「福岡市webまっぷ」の

「犯罪危険箇所」「交通危

険箇所」「見守る店など」

「安全安心マップ」の一部

を緯度経度付きで公開

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しかし・・・現行のデータ共有の問題:現状の子どもの被害情報の流れから

危険体験

保護者

学校

市(教育委員会)

警察

自己申告

連絡 連絡

連絡不審者情報プリント

不審者・声かけマップ

ホームページ掲載・メール配信 情報発信

情報発信情報発信

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しかし・・・現行のデータ共有の問題:現状の子どもの被害情報の流れから

不審者情報プリント

不審者・声かけマップ

ホームページ掲載・メール配信危険体験

保護者

学校

市(教育委員会)

警察

自己申告

連絡 連絡

連絡

情報発信

情報発信情報発信

子どもの自己申告でのバイアス(同じ行為にあっても申告する/しない,どう申告するかは子ども

に依存)

連絡段階でのバイアス(どの場合に連絡するかが一定しない)/情報整理フォーマットはばらばら

情報発信段階でのバイアス(どのような場合にどのよ

うに発信するか)

情報発信段階でのバイアス(どのような場合にどのよ

うに発信するか)

情報発信段階でのバイアス(発信情報に恣意性が存在)

被害場所だけでなく,不安な場所,注意場所なども混在

発信された情報の質(内容の信頼性,形式の統一性)の問題から,時期間・地域

間の比較が困難

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解くべき課題

「ヒヤリ・ハット」を有効に活用し,「データ

に基づく犯罪予防」につなげるために

データの有効な収集・整理・蓄積方法

有効な活用方法

あり得る悪用・弊害の整理とそれへの配慮

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