#東洋大学産業組織論 : ゲーム理論 (12/15)

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東東東東 東東東東東 : 東東東東東 (12/15) 東東東

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#東洋大学産業組織論 : ゲーム理論 (12/15)

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Page 1: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

東洋大学 産業組織論 : ゲーム理論 (12/15)

原泰史

Page 2: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

今日のポイント• 練習問題• ゲーム理論

Page 3: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

講義スケジュール ( 前期 , 前半 )

• 1 . 4 / 8 : オリエンテーション ( 産業組織論ってなんだろう? )2 . 4 / 15 : 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 I • ( 泉田・柳川 pp. 22 - 28、長岡・平尾 pp. 1-16 )

• 3. 4 / 22 : 経済学で使う数学を振り返る & 産業組織分析の基礎 II • ( 泉田・柳川 pp. 28 - 44、長岡・平尾 pp. 1-16 )

• 4 . 4 / 29 : 独占企業の価格設定 I • ( 泉田・柳川 pp. 45 - 54、長岡・平尾 pp. 43-68 )

• 5 . 5 / 13 : 独占企業の価格決定 II• ( 泉田・柳川 pp. 54 - 68、長岡・平尾 pp. 43-68 )

• 6 . 5 / 20 : 自然独占と規制 I • ( 泉田・柳川 pp. 69 - 76、長岡・平尾 pp. 247-272 )

• 7 . 5 / 27 : 自然独占と規制 II • ( 泉田・柳川 pp. 77 - 87、長岡・平尾 pp. 247-272 )

• 8 . 6 / 3 : 中間テスト

Page 4: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

講義スケジュール ( 前期 , 後半 )

• 9. 6 / 10 : 参入の経済効果 I ( 泉田・柳川 pp. 87 - 96 )10 . 6 / 17 : 参入の経済効果 II ( 泉田・柳川 pp. 96 - 106 )11 . 6 / 24 : 休講 ( 学会での研究発表のため )12 . 7 / 1 : ゲーム理論 ( 泉田・柳川 pp.107-121)• 21:20 の便でアブダビにいくので , 19:50-21:20 のクラスのみ補講実施 (8/5)

• 13 . 7 / 8 : 技術進歩と研究開発競争 I ( 長岡・平尾 pp. 187 - 198 )14 . 7 / 15 : 技術進歩と研究開発競争 II ( 長岡・平尾 pp. 199 - 206 )15 . 7 / 22 : 期末試験• 公式な試験日は 7/29 ですが、国際学会 @ ドイツ に出席する必要があるため講義内

に期末試験を行います .

• 16. 8/5 : 補講 (2 部のみ ; 19:50-21:20)• 期末試験の解説を行う予定なので , 1 部のひとで興味のある方は参加してください

Page 5: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

教科書• 泉田・柳川 ( 2010 )

『プラクティカル産業組織論』有斐閣アルマ

• 長岡・平尾 ( 2013 )『産業組織の経済学 第二版』日本評論社

Page 6: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

今日の内容• 前半 : • レポートについて• 練習問題• ゲーム理論

• 泉田・柳川 pp.107-111

• 後半 : • ゲーム理論 (2)

• 泉田・柳川 pp.112-127

Page 7: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

練習問題• 男性 ( プレイヤー 1) と女性 ( プレイヤー

2) がデートの行き先として、ビアガーデンか映画を選ぶかの選択肢をもっている。女性は映画を好み、男性はビアガーデンを好む。

• しかし、デートのため二人にとって別々にそれぞれが好きなものを観るより、一緒に出かけることのほうが大切である。

• このとき、利得行列は右のように与えられる。

• 男性と女性が相談することなしに相手と独立してゲームの行き先を選択しなければならないときのナッシュ均衡を求めなさい。

ビアガーデン

映画

ビアガーデン

2,1 -1,-1

映画 -1,-1 1,2

プレイヤー 2

プレ

イヤ

ー1

Page 8: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

レポートについて

Page 9: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

レポートの内容• 1.テーマ : 独占 / 寡占企業の市場調査レポート• 自分の身近にある独占 / 寡占企業について調査し、

• (1) 何故独占や寡占状態にあるのか • (2) 企業が属する市場の経済的な規模 , 成長率• (3) どのような財 /サービスが提供されているのか• (4) どのようにして価格が設定されているのか• (5) 独占によってどのようなメリット / デメリットが供給者 /需要者それぞれに発生

しているのかまとめなさい .

• 2 .提出期間• 《必須》 2014年  7月 8 日(火) ~  7月 15 日(火) 14: 40 〆切• ToyoNet Ace 経由で提出

• 3 .対象者と配点• 対象 : 産業組織論 履修者• 配点 : max 25点

Page 10: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

レポートの内容• ( 2 ) 形式と提出

• Word または LaTeX 形式で作成し , Toyonet ACE にアップロードすること。

メールや LINE では提出を受け付けない

• ただし , 以下の様式を守ること• A4 長辺縦型,横書き,MSP 明朝 10.5pt,行間 1

行,余白 上下左右 25mm,頁番号 中央下部• 書籍を引用した場合、それを明記すること

• (3) 文字数の目安と枚数最低 5,000 字以上 (英字 2,500 word 以上 , なお 5,000/2,500word 以下は採点しない )

• レポートの記述様式 [おすすめ ]• (1) はじめに• (2) [取り上げる企業名 ]• (3) [ 企業 ] が属する産業の詳細• (4) なぜ [ 企業 ] は独占 , 寡占を維持できているのか

• (5) [ 企業 ] の価格設定方法• (6) [ 企業 ] の独占による消費者へ

の影響• (7) おわりに

(8) 参考文献

Page 11: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ゲーム理論 (導入 )

Page 12: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

相互依存とゲーム理論• 寡占市場• 市場だけではなく、相手企業の動向を把握する必要がある• 競合他社がどのような新商品を販売するのか、どのような価格で売り

出すのか• 競合他社の影響が、自社の利潤へと大きく影響を与える ( 相互依存 )

• 相互依存関係を利用することで、競合他社が自社に都合がいいように行動させる = 戦略的行動

Page 13: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

相互依存とゲーム理論• 企業が生産量を決める

• 独占の場合 : 他の企業の行動を気にせず、限界費用と消費者需要をもとに生産量と価格を決定する

• 完全競争の場合 : 市場の価格と限界費用をもとに価格と生産量を決定する• 寡占の場合 : 産業内のプレイヤーが数社に限られるため、生産量の変化は市場

価格や市場の供給量へと大きく影響を与える• 戦略的行動• 相互依存的

• ゲーム理論• 複数の企業が相互依存の状況にあるとき、企業の行動を説明しようとする理論

• 参入抑止やカルテルについて説明付けるときに活用できる

Page 14: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

参入抑止の空脅しゲーム• ゲーム設定

• 独占市場に参入しようとする企業に対して、独占企業が参入を抑止しようとする

• プレイヤー• 独占企業• 参入企業

• ゲームのルール• 行動の順序、選択肢、情報について明記

すること1. 潜在的な新規参入企業が { 参入する }

か { 参入しない } かを決める2. 独占企業は、参入企業が参入したかし

ていないかをもとに , {高価格 } または {低価格 } を選択する

• ゲームの利得• ゲームによってゲームのプレイヤー

が得られる利潤1. 参入が生じない場合

• 独占企業が独占価格を付ける場合 : 独占利潤

• 独占企業が限界費用を付ける場合 : 0• 参入企業は参入しない場合 : 0

2. 参入が生じる場合• 独占企業が独占価格を選ぶ場合 : 独占

利潤を二社で分け合う• 独占企業が限界費用を付ける場合 : 両者ともに利潤は発生しない

• 参入企業はサンクコストを支払う必要がある

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カルテルの囚人のジレンマゲーム• ゲーム設定

• 複占市場で企業がカルテルを行おうとする• カルテルを形成して、価格を引き上げ、生産量を減らし結果利潤を増加させようとする

• プレイヤー• 企業 1• 企業 2

• ゲームのルール• 生産量を企業 1 と企業 2 は同時に決定しよ

うとする• 他社の生産量を知らずに生産量を決める• 選択肢

• 1. {協調 } : 独占利潤を生み出す生産量の半分を生産する

• 2. { 競争 } : 他社の行動を予測して自社の利益を最大化するように行動する

• ゲームの利得• 相手が協調すると予測される場合

• 相手企業が生産量を減らしているときの裏切り行為となり、生産量を増やして利益を得ようとする

• 相手が競争すると予測される場合• 利得

• 1. 市場全体の生産量を決める• 2. 需要曲線上で価格が決定する• 3. 収入が決まり , 生産費用を差し引き利潤を計算する

• ゲームの結論• カルテルは成立しない• 「囚人のジレンマ」

• 協力すれば自分たちにとって望ましい結論が得られるのに、自らの利益を重視する結果利潤を獲得することができない

Page 16: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

展開型ゲームと戦略型ゲーム•展開型ゲーム• 逐次手番ゲーム

•戦略型ゲーム• 同時手番ゲーム

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格 高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

400, 400 500, 375375, 500 450, 450

企業 2

企業 1競争

協調

競争 協調

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Intermission

• レポート• 企業と市場の調査

• 期末試験 : 7/22• 定期試験時にヨーロッパ出張がはいるので、 15回目で実施します。

• 講義資料のアップロード先• Facebook Page

• https://www.facebook.com/toyo.io.2014• SlideShare

• http://www.slideshare.net/yasushihara/presentations• Toyonet-Ace

Page 18: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

成績について• 中間試験 : 25点 (換算 )• レポート : 25点• 期末試験 : 50点

•宿題 : +α点

の合算点で評価する予定

Page 19: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

テスト対策• 期末試験• 火 1: 9:20-10:20 [60 分 ] • 火 7: 20:10-21:10 [60 分 ]• 試験範囲

• 教科書• スライド ( いままでに配ったも

の )• 問題の形式

• 持ち込み可

• 数学の問題• 論述式の問題

Page 20: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ゲーム理論 (2)

Page 21: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ゲームの定式化 : 展開形ゲーム•展開形ゲーム• プレイヤー• プレイヤーの行動順序• プレイヤーの情報と行動の選択肢• 行動から得られる利得

をゲームツリーとして表す。

・プレイヤーの取る行動に順序があるゲーム : 逐次手番ゲーム

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格 高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

結節点 ( プレイヤーの行動位置 )

プレイヤーが取りうる行動

結節点 ( プレイヤーの行動位置 )

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ゲームの定式化 : 展開形ゲーム• 参入企業の利得• { 参入する } を選んだ場合

• 独占企業が高価格をつけた場合 : 独占利潤 20 の半分 (10) からサンクコスト 5 を引いた値 : 5• 独占企業が低価格をつける場合

利潤が 0 であり , サンクコスト 5 を支払う: - 5

• { 参入しない } を選んだ場合• 利潤が 0• サンクコストも 0

よって利得は 0

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格 高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

結節点 ( プレイヤーの行動位置 )

プレイヤーが取りうる行動

結節点 ( プレイヤーの行動位置 )

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展開形ゲーム : 囚人のジレンマ

• 同時手番ゲーム• 企業 1 が { 競争 } か {協調 } かのいずれ

かを選択する• 企業 2 は企業 1 がどちらの選択をした

かを知らずに、 { 競争 } か {協調 } かを選択する• 存在する結節点の集合 : 情報集合

• 利得の特徴• 協調するほうが競争するより望ましい• 相手が協調するときは、自分は裏切っ

て競争的に行動するほうがよい• 協調しているときにうらぎられると、

競争するときより悪い結果となる

企業 1

企業 2 企業 2

競争 協調

競争 競争協調 協調

400400

500375

375500

450450

企業 1 の利得企業 2 の利得

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戦略• 行動• 各プレイヤーの各「結節点また

は情報集合」で取りうる動き

• 空脅しゲームの場合• 参入企業 : { 参入する }, { 参入しな

い }• 独占企業 : {高価格 }, {低価格 }

• 囚人のジレンマゲームの場合• 企業 1, 2 : { 競争 },{協調 }

•戦略• 「ゲームの開始時点で」それ以

後の結節点または情報で自分のとるすべての行動を示したもの

• 空脅しゲームの場合• 参入企業の「戦略」は「行動」と同じ

• 囚人のジレンマゲームの場合• 企業 1 の「戦略」は「行動」と同じ

Page 25: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

戦略 (cont.): 「行動」と「戦略」が異なる場合• 空脅しゲームにおける独占企業の「戦略」• 独占企業の行動は参入企業の行動

に依存する• 参入企業が { 参入する } をとるなら

{低価格 } を選び , { 参入しない } を取るなら {高価格 } を選択する : 戦略• {低価格 , 高価格 } と表す

• 独占企業の戦略• {低価格 , 低価格 }• {低価格 , 高価格 }• {高価格 , 低価格 }• {高価格 , 高価格 }

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格

510

-50

020

00

高価格 低価格

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ゲームの定式化 : 戦略型ゲーム•戦略型ゲーム : 囚人のジレン

マ•戦略型ゲーム : 空脅しゲーム

400, 400 500, 375375, 500 450, 450

企業 2

企業 1競争

協調

競争 協調

5,10 5,10 -5,0 -5,0

0,20 0,0 0,20 0,0

参入する

参入しない

高価格 , 高価格高価格 , 低価格低価格 , 高価格低価格 , 低価格

独占企業

参入

企業

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ナッシュ均衡• ナッシュ均衡とは?• すべてのプレイヤーが、他のプレイヤーの戦略を所与として自らが最適な戦略を取っている場合 (最適反応 ) の戦略の組み合わせ• すべてのプレイヤーが最適反応を取っている状態の戦略の組み合わせ

• 「ある戦略が与えられた時、他のヒトの戦略がその与えられたものから変わらないと考えて、誰一人として自らの戦略を変更することがないならば、その戦略が実現する」

Page 28: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 囚人のジレンマゲームの場合

• ナッシュ均衡• ({ 競争 }, { 競争 }) : 企業 1 が { 競争 } を選ん

で , 企業 2 が { 競争 } を選ぶ• ナッシュ均衡の求め方

• 1. 企業 1 は企業 2 が { 競争 } を選ぶと想定する• 企業 1 が { 競争 } を選ぶと利得は 400• 企業 1 が {協調 } を選ぶと利得は 375

• 2. 企業 2 は企業 1 が { 競争 } を選ぶと想定する• 企業 2 が { 競争 } を選ぶと利得は 400• 企業 2 が {協調 } を選ぶと利得は 375

• 1. と 2. より , 企業 1 企業 2 がそれぞれ{ 競争 } を選択する ({ 競争 }, { 競争 }) がナッシュ均衡となる

400, 400 500, 375375, 500 450, 450

企業 2

企業 1競争

協調

競争 協調

Page 29: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 囚人のジレンマゲームの場合

• ナッシュ均衡以外のチェック• A. ({協調 },{ 競争 })

• 企業 2 が { 競争 } を選ぶ場合• 企業 1 が {協調 } を選ぶと利得は 375• 企業 1 が { 競争 } を選ぶと利得は 400

企業 1 は { 競争 } を選んだ方が利得が高くなるのでナッシュ均衡とはならない

• B. ({ 競争 },{協調 })• C . ({協調 },{協調 })

• 企業 2 が {協調 } を選ぶ場合• 企業 1 が { 競争 } を選ぶと利得は 500• 企業 1 が {協調 } を選ぶと利得は 450

企業 1 は { 競争 } を選んだほうが利得が高くなるのでナッシュ均衡とはならない

400, 400 500, 375375, 500 450, 450

企業 2

企業 1競争

協調

競争 協調

({協調 },{協調 })戦略を選択したほうが望ましいのにもかかわらず、利己的な行動をとるため協調が成立しない

(繰り返しゲームを行う場合には協調が成立するパターンも )

Page 30: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 空脅しゲームの場合

• ナッシュ均衡• 1. ({ 参入する }, {高価格 , 高価格 })• 2. ({ 参入する },{高価格 , 低価格 })• 3. ({ 参入しない }, {低価格 , 高価

格 })

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

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ナッシュ均衡 : 空脅しゲームの場合

• 1. ({ 参入する }, {高価格 , 高価格 }) がナッシュ均衡になる理由• 1- 参入企業が { 参入する } を選ぶ

• 独占企業が {高価格 } を選ぶ : 利得 10• 独占企業が {低価格 } を選ぶ : 利得 0

これより , ({ 参入する },{高価格 },{高価格 }) が最適反応となる

• 2- 独占企業が {高価格 , 高価格 } を選択するとする • = 参入企業が { 参入する } ときも独占企業は {高価格 }, 参入

企業が { 参入しない } ときも独占企業は {高価格 } を選択する。• 2. 2. のとき ,

• 参入企業が { 参入する } を選択した場合の参入企業の利得 : 5

• 参入企業が { 参入しない } を選択した場合の参入企業の利得 : 0

よって、参入企業は { 参入する } を選択する .

よって , ({ 参入する },{高価格 },{高価格 }) がナッシュ均衡となる

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 32: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 空脅しゲームの場合

• 2. ({ 参入する }, {高価格 , 低価格 }) がナッシュ均衡になる理由• 1. 参入企業が { 参入する } を選択した場合 , 独占

企業は {高価格 } を選択したほうが利得が高くなる

• 2. 参入企業が { 参入しない } を選択した場合 , 独占企業は {低価格 } より {高価格 } を選択したほうが利得が高くなるが実際に { 参入しない } は選択されない

よって , ({ 参入する },{高価格 , 低価格 }) は最適反応となる

• 3. 独占企業が {高価格 , 低価格 } を選ぶとき , • 参入企業が { 参入する } を選ぶ : 利得 5• 参入企業が { 参入しない } を選ぶ : 利得 0これより , 参入企業は { 参入する } を選ぶ

よって , ({ 参入する }, {高価格 , 低価格 }) はナッシュ均衡となる

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 33: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 空脅しゲームの場合

• 3. ({ 参入しない },{低価格 , 高価格 }) がナッシュ均衡になる理由• 1. 参入企業が { 参入しない } を選ぶとき ,

• 独占企業が {高価格 } を選択すると利得 : 20• 独占企業が {低価格 } を選択すると利得 :0独占企業は {高価格 } を選択したほうがよい

• 2. 独占企業が {低価格 , 高価格 } を選択するとき , • 参入企業が { 参入する } を選択すると利得 : -5• 参入企業が { 参入しない } を選択すると利得 : 0参入企業は { 参入しない } を選択したほうがよい

よって , ({ 参入しない }, {低価格 , 高価格 }) はナッシュ均衡とな

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 34: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

ナッシュ均衡 : 空脅しゲームの場合

• ナッシュ均衡• 1. ({ 参入する }, {高価格 , 高価格 })• 2. ({ 参入する },{高価格 , 低価格 })• 3. ({ 参入しない }, {低価格 , 高価

格 })

• 独占企業にとっては 3. が , 参入企業にとっては 1. または 2. が望ましくなる

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 35: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

サブゲーム完全均衡• 空脅しゲームのナッシュ均衡

• 1. ({ 参入する }, {高価格 , 高価格 })• 2. ({ 参入する },{高価格 , 低価格 })• 3. ({ 参入しない }, {低価格 , 高価格 })

• 3. の場合 , 参入企業がもし { 参入する } を選ぶと独占企業は {低価格 }を選ぶので , 参入企業は参入しないほうが利得が高くなる .

• こうした独占企業の行動は参入企業に対する脅しとなり , 参入企業が参入しないように促すことになる .

• しかし , 参入企業が { 参入する }を選んだ場合 , 独占企業は {低価格 } を選んで利得を 0 としてしまうよりも , {高価格 } を選んで利得を 10 としたほうがよい .

• 参入企業にとっては、独占企業の {低価格 , 高価格 } という戦略は信頼性が低い ( だって、どうせ高価格を選ぶんでしょ? )• 空脅し (信頼性のない脅し )

Page 36: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

サブゲーム完全均衡• ナッシュ均衡から「から脅し」均衡を除く方法

• サブゲーム : • 元来のゲームに含まれるどこかの単一の結節点

からはじまり、それに続くゲームツリーと情報集合および利得関数から作られるゲーム

• 元来のゲームもサブゲームのひとつとなる• 囚人のジレンマゲームの場合 : サブゲームはひ

とつ• 空脅しゲームの場合 : 3 つ

• 参入企業からはじまるゲーム• 参入企業が { 参入する } をえらんだときの、独占企

業の行動を決める結節点とそれ以下のゲームツリーと利得からなるゲーム

• 参入企業が { 参入しない } をえらんだときの、独占企業の行動を決める結節点とそれ以下のゲームツリーと利得からなるゲーム

• サブゲーム完全均衡• 「すべてのサブゲームでナッシュ均衡となる戦略の組み合わせ」

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 37: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

サブゲーム完全均衡

• 3. ({ 参入しない },{低価格 , 高価格 }) がサブゲーム完全均衡とならない理由• 1. 参入企業が { 参入しない } をえ

らぶとき , 独占企業が {高価格 }を選択するのは最適反応 ( 利得は高くなる ) になる

• 2. 参入企業が { 参入する } を選ぶとき , 独占企業が {低価格 } を選択するのは最適反応ではない ( 利得は低くなる )

• よって , この組み合わせはナッシュ均衡ではあるがサブゲーム完全均衡ではない

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 38: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

サブゲーム完全均衡

• 2. ({ 参入する },{高価格 , 低価格 }) がサブゲーム完全均衡とならない理由• 1. 参入企業が { 参入する } をえら

ぶとき , 独占企業が {高価格 } を選択するのは最適反応 ( 利得は高くなる ) になる

• 2. 参入企業が { 参入しない } を選ぶとき , 独占企業が {低価格 } を選択するのは最適反応ではない ( 利得は低くなる )

• よって , この組み合わせはナッシュ均衡ではあるがサブゲーム完全均衡ではない

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

Page 39: #東洋大学産業組織論  : ゲーム理論 (12/15)

サブゲーム完全均衡

• 3. ({ 参入する },{高価格 , 高価格 }) がサブゲーム完全均衡となる理由• 1. 参入企業が { 参入する } をえらぶとき ,

独占企業が {高価格 } を選択するのは最適反応 ( 利得は高くなる ) になる

• 2. 参入企業が { 参入しない } を選ぶとき , 独占企業が {高価格 } を選択するのは最適反応 ( 利得は高くなる ) になる

• 3. 1. および 2. は各サブゲームにおける最適反応になる

• 4. 元ゲームにて , 参入企業にとって独占企業が {高価格 , 高価格 } を選択するときは , { 参入する } をせんたくしたほうが最適な反応となる .

• すべてのサブゲームにてナッシュ均衡となるため , サブゲーム完全均衡となる .• ゲームの終了に近い方から最適な反応を推

論していくことを , 後ろ向き帰納法とよぶ .

参入企業

独占企業 独占企業

参入する 参入しない

高価格低価格 低価格

510

-50

020

00

参入企業の利得独占企業の利得

高価格

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参入阻止の可能性• 独占企業が参入企業の参入を抑止する方法 = 異なるゲームの

ルールを導入する• 参入企業から手番をはじめるのではなく、独占企業が参入企業の参入

決定前になんらかの手段を取る• 手段1:参入すると損害を被ることを信頼に足る形で知らせる (コミットメン

ト )• 手段 2: 参入企業が独占企業に係る情報を完全には有していない場合 (不完全情報 )• 「独占企業は、参入があれば価格を低価格にする」という評判を形成する

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今日のまとめ• 練習問題は来週提出• ゲーム理論

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次回予告13 . 7 / 8 : 技術進歩と研究開発競争 I ( 長岡・平尾 pp. 187- 198 )14 . 7 / 15 : 技術進歩と研究開発競争 II ( 長岡・平尾 pp. 199 - 206 )15 . 7 / 22 : 期末試験

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