start small, fail fast の理論

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“Start small, fail fast” ののの ののののののののののののの ののののののの のの の Toru Nakata, AIST 1

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「小さく始めて、早く失敗せよ」というビジネス格言があるが、その理論的根拠を考えてみよう。 いくつかの手順が必要な仕事がある。「失敗しそうな手順」と「成功しそうな手順」のどちらを先に着手すべきだろうか? 理論的には、失敗しそうな手順から始めるべきである。 また、「安くできる手順」と「高コストの手順」とでは、「安くできる手順」を先回しにした方がよい。 その理由を述べる。

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Page 1: Start small, fail fast の理論

“Start small, fail fast” の理論工程の順序の入れ替えによる

コストの最小化

中田 亨Toru Nakata, AIST

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Page 2: Start small, fail fast の理論

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目的• 前提条件– 手順の前後入れ替えが可能– 不良の中途加工品はただちに除去し、下流工程に流

さない

• この場合、どのような手順から着手すべきか?– 特に、コスト最小にするには?

• 手順の前後入れ替え– 物理的・化学的な加工では難しい– 事務作業では、比較的容易

Page 3: Start small, fail fast の理論

凡例

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手順 iSi : 成功率

Ci: コスト単価

入力品数 合格品数

𝑆 𝑖=𝐶𝑜𝑟𝑟𝑒𝑐𝑡𝑂𝑢𝑡𝑝𝑢𝑡

𝐼𝑛𝑝𝑢𝑡𝐶𝑜𝑠𝑡=𝐶𝑖∗ 𝐼𝑛𝑝𝑢𝑡

Page 4: Start small, fail fast の理論

成功率が違う場合

• 成功率が低いものから着手すると良いようだ4

aSa: 0.1

Ca:1000

bSb: 0.9

Cb:1000

1 0.1 0.09

Cost 1000 Cost 100 C=1100

bSb: 0.9

Cb:1000

aSa: 0.1

Ca:1000

1 0.9 0.09

Cost 1000 Cost 900 C=1900

Page 5: Start small, fail fast の理論

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成功率問題の例• アメリカのスターを東京ドームで公演させた

• どちらの手順を先にするべきか?A) スターにオファーを出し、承諾を得るB) 東京ドームを予約する

• 両方とも必須で、事務コストは同じとする

Page 6: Start small, fail fast の理論

コスト単価が違う場合

• コストが低いものから着手すると良いようだ6

aSa: 0.8

Ca:1000

bSb: 0.8

Cb:9000

1 0.8 0.64

Cost 1000 Cost 7200 C=8200

bSb: 0.8

Cb:9000

aSa: 0.8

Ca:1000

1 0.8 0.64

Cost 9000 Cost 800 C=9800

Page 7: Start small, fail fast の理論

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単コストに差がある例• システムを作りたい

• どちらの手順を先にするべきか?A) 人月のかかる部分B) 人月のかからない部分

• 両方とも必須の部分で、成功率も同じとする

Page 8: Start small, fail fast の理論

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ことわざで言えば

•安く始めろ•速く失敗せよ• “Think big, start small, fail

quickly, scale fast.”

Page 9: Start small, fail fast の理論

一般の場合、どこから着手すべきか

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コスト単価 C

成功率S

O

1

Page 10: Start small, fail fast の理論

2つの手順の一体化

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ASa, Ca

BSb, Cb

1 Sa SaSb

Cost Ca Cost SaCb

C=Ca+SaCb

ABSaSb,

Ca+SaCb

Page 11: Start small, fail fast の理論

手順合成の図的意味

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Page 12: Start small, fail fast の理論

「手順合成」はどんな写像か

12

手順 A が○の位置にあり、手順Bが青の格子状に動く場合、AB の合成手順は赤の網状に動く

Page 13: Start small, fail fast の理論

AB の方が BA より安いとは

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1−𝑆𝑏

𝐶𝑏

<1−𝑆𝑎

𝐶𝑎

(失敗率 ÷ コスト単価)が大きな手順から先着すべき

Priority=

<

<

Page 14: Start small, fail fast の理論

優先度

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(失敗率 ÷コスト単価)が大きな手順から先着すべき

Priority=

優先

劣後

Page 15: Start small, fail fast の理論

コストの漸増、成功率の漸減

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Page 16: Start small, fail fast の理論

手順の前後関係に拘束がある場合

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コスト単価

成功率

O

1 B A

C D

E

「 B は A よりも先に着手できない」という拘束は逆向きなので手順設計に困る

「 D は C よりも先に着手できない」という拘束は、順方向なので問題なし、忘れてよい

Page 17: Start small, fail fast の理論

AB は連続実行すべき

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コスト単価

成功率

O

1 B A

B はなるべく前にやるべきであり、 A が完了してB が許可されるやいなや着手すべき。

C D

E

Page 18: Start small, fail fast の理論

図形解法

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コスト単価

成功率

O

1 A

C D

E

SaSbAB

B

Page 19: Start small, fail fast の理論

手順の最適解C D A B E

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コスト単価

成功率

O

1

C D

E

AB

Page 20: Start small, fail fast の理論

実質の製造コスト1製品を作るためにかかる費用

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Sorted Best Total CostO

1𝐶𝑝𝑒𝑟𝑂𝑛𝑒=

𝐶𝑠𝑜𝑟𝑡𝑒𝑑𝐴𝑙𝑙

∏ 𝑆𝑖

成功率総乗

Page 21: Start small, fail fast の理論

非必須だが付加価値を高める手順は実行すべきか

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O

1成功率総乗

Sorted Best Total Cost

𝐿=𝑉 𝑎𝑑𝑑𝑖𝑡𝑖𝑜𝑛𝑎𝑙∏ 𝑆𝑖

損失を挽回するのは、付加価値が大きくないと難しい

Page 22: Start small, fail fast の理論

まとめ• ことわざ “ Think big, start small, fail

quickly, scale fast.” – 当たり前ではあるが、、、– 個々の手順の改善はなし、順序入れ替えだけ

で、コストが下がる

• 図形解法で、すっきり整理できる

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