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14 国別CO2 排出量割合ではCO2 排出量上位 14 72排出しておりそのほとんどは先進 である 24図 2-11CO2 排出量部門別内訳日本では CO2 排出総量 12 2 400 t 2013 年度) のうち20自動車はじめとする運輸部門から排出されている 24図 2-12この割合地域によりはあるものの米国では30欧州では20めているb今後予測 CO2 排出量人口増加経済成長エネルギー使 用量技術発展などによってきくなるIPCC 第五次報告いくつかのシナリオをいて今後CO2 排出量予測しているこれらの予測では代表濃 度経路複数用意それぞれの将来機構予測るとともにその濃度経路実現する多様社会経済 シナリオを策定できるRCP シナリオいているここでは気温上昇抑制幅基準つのシナリオ にて試算しており2100 には0.34.8℃気温がり2682 cm 海面上昇すると予測されている 2-1321運輸部門から排出される CO2 排出量についてはエネルギー機関Energy Technology Perspectives にて 2050 までの排出量予測している 図 2-14現在傾向いた場合2050 CO2 排出量2000 年時点2.5 になると予測される 262政策 a国際的取組地球温暖化科学的影響ずしも証明されていな いものの1980 年代より国際的取組みが論議されて いる並行して世界気象機関(WMO国連環境計 画(UNEP気候変動する最新科学的知見りまとめ各国政策科学的基礎えること 目的としてIPCC International Panel on Climate 図 2-11 世界各国別 CO2 排出量割合(2012年) (24) その22.62012 年度 総排出量: 32 562 Mt-CO2 その他上位排出国: ドイツ 2.2韓国 1.8イギリス 1.4メキシコ 1.4カナダ 1.4ブラジル 1.3インドネシア 1.2オーストラリア 1.2イタリア 1.1中国 27.8米国 15.8インド 6.0ロシア 5.4日本 3.7図 2-12 日本:CO2 排出量の部門別内訳(2013年度) (24) その7産業部門 33家庭部門 15業務部門 21運輸部門 17転換部門 72013 年度 総排出量: 1 310 Mt-CO2 図 2-13 気温上昇の予測 (21) 6.0 4.0 2.0 0.0 過去期間のモデル結果 RCP2.6 RCP8.5 42 1950 2000 2050 2100 39 32 世界平均地上気温変化 RCP2.6 RCP4.5 RCP6.0 RCP8.5 20812100 平均 〔℃〕 2.0 図 2-14 運輸部門化の CO2 排出量予測 2618 16 14 12 10 8 6 4 2 0 2000 2011 2020 2030 2040 2050 6DS to 4DS GtCO 2 4DS to 2DS 2DS to 2DS-ET 4DS 2DS-ET Sample

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Page 1: SAMPLE14 国別のCO 2 排出量割合では,CO 2 排出量が多い上位 14 カ国が約72%を排出しており,そのほとんどは先進 国である(24()図2-11).

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 国別の CO2排出量割合では,CO2排出量が多い上位14カ国が約 72%を排出しており,そのほとんどは先進国である(24)(図 2-11). CO2排出量の部門別内訳は,日本では CO2排出総量12億 2 400万 t(2013年度)のうち,約 20%が自動車をはじめとする運輸部門から排出されている(24)(図 2-12).この割合は地域により差はあるものの,米国では約30%,欧州では約 20%を占めている. (b) 今後の予測 CO2排出量は,人口増加,経済成長,エネルギー使

用量,技術の発展などによって,大きく異なる.IPCC

第五次報告は,いくつかのシナリオを置いて,今後のCO2排出量を予測している.これらの予測では代表濃度経路を複数用意し,それぞれの将来の機構を予測するとともに,その濃度経路を実現する多様な社会経済シナリオを策定できる「RCPシナリオ」を用いている.ここでは,気温上昇の抑制幅を基準に四つのシナリオにて試算しており,2100年には,0.3~4.8℃気温が上がり,26~82 cm海面が上昇すると予測されている(図2-13)(21). 運輸部門から排出される CO2排出量については,国際エネルギー機関が Energy Technology Perspectives

にて 2050年までの排出量を予測している(図 2-14).現在の傾向が続いた場合,2050年の CO2排出量は,2000年時点の約 2.5倍になると予測される(26). (2) 政策 (a) 国際的取組み 地球温暖化の科学的影響は必ずしも証明されていないものの,1980年代より国際的な取組みが論議されている.並行して,世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が,気候変動に関する最新の科学的知見を取りまとめ,各国の政策に科学的な基礎を与えることを目的として,IPCC(International Panel on Climate

図 2-11 世界各国別CO2 排出量割合(2012年)(24)

その他22.6%

2012年度総排出量:

32 562 Mt-CO2

その他上位排出国:ドイツ 2.2%,韓国 1.8%,イギリス 1.4%,メキシコ 1.4%,カナダ 1.4%,ブラジル 1.3%,インドネシア 1.2%,オーストラリア 1.2%,イタリア 1.1%

中国27.8%

米国15.8%

インド6.0%

ロシア5.4%

日本3.7%

図 2-12 日本:CO2 排出量の部門別内訳(2013年度)(24)

その他7%

産業部門33%

家庭部門15%

業務部門21%

運輸部門17%

転換部門7%

2013年度総排出量:

1 310 Mt-CO2

図 2-13 気温上昇の予測 (21)

6.0

4.0

2.0

0.0

過去の期間のモデル結果RCP2.6RCP8.5

42

1950 2000 2050 2100

39

32

世界平均地上気温変化

RC

P2.

6R

CP

4.5

RC

P6.

0R

CP

8.5

2081~2100年平均

〔℃〕

-2.0

図 2-14 運輸部門化のCO2 排出量予測(26)

1816141210864202000 2011 2020 2030 2040 2050

6DS to 4DS

GtC

O2

4DS to 2DS2DS to 2DS-ET

4DS

2DS-ET

Sample

Page 2: SAMPLE14 国別のCO 2 排出量割合では,CO 2 排出量が多い上位 14 カ国が約72%を排出しており,そのほとんどは先進 国である(24()図2-11).

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3-3-2 ディーゼルエンジン

 (1) 環境性能とは トラック・バス用ディーゼルエンジンの環境性能とは,燃費,排出ガス,騒音である.燃費は重量車燃費基準にて基準が設けられ,排出ガスは自動車排出ガス規制,騒音は自動車単体騒音規制にて規制される.図3-17に T2カテゴリにおける重量車燃費の推移を示す.2011年からのハイブリッド車および新型エンジンの登場により燃費が向上していることがわかる.今後も厳しくなる排出ガス規制,騒音規制を満足しつつ,燃費を向上させていかなければならない. (2) 燃費と排出ガスの両立 3 Lディーゼルエンジンにおける計算結果を図 3-18に示す.一般的に燃費と排出ガスはトレードオフの関係にある.次に述べるように,DeNOx触媒の有無により,両立させる手法が異なってきている. (3) 燃費 燃費について理解を深めるため,正味熱効率ηtheを下式のように展開する(44).  ここで,hth:理論熱効率( ),hgl:等容度,hcomb:燃焼効率,hcool:熱損失率,hbl:ブローダウン損失率,hpl:ポンプ損失率,hm:機械効率,f:圧縮比,l:比熱比(定性的理解のため狭義の理想気体). (a) 理論熱効率 hth

 理論熱効率は圧縮比を上げれば向上するため,DeNOx触媒を用いるエンジンでは,圧縮比を高くする傾向にある.圧縮比を上げると,圧縮端温度および燃焼温度が上がり,NOxの排出量が増えるが,DeNOx触媒で浄化する.一方,DeNOx触媒を用いないエンジンでは,圧縮比を下げ,NOxが減った分 EGR率を下げる,燃料噴射時期を進める等により等容度を上げ,燃費を向上させている.また,ハイブリッド車専用ではあるが,膨張比>圧縮比となるミラーサイクル(アトキンソンサイクル)が日野自動車 N04Cエンジンにて採用され,NOx排出量を増やさずに理論熱効率を上げることが可能となった.このミラーサイクルは,吸気弁閉弁時期を通常より遅くする吸気遅閉じにて実現されて

いる. 比熱比は,空気過剰率を上げることで高めることができるが,ターボチャージャの性能限界(圧力比,サージング,チョーク,総合効率)および EGR率との兼ね合いにより積極的な動きはない.一部のエンジンにおいて二段過給が採用されているが,これも空気(新気)過剰率を上げるためではなく,DeNOx触媒を用いないための高 EGR率化に際し,必要新気量の確保が目的である. (b) 等容度 もともとは Sootを減らすため,燃料噴射圧は増加傾向にあり,特にコモンレール式噴射系の実用化後は顕著で,250 MPaまで採用されており,さらなる高圧化も研究されている.高圧化により噴射期間および燃焼期間が短縮し,等容度が上がり,正味熱効率が上がる.また,高圧化に伴うサプライポンプの駆動損失増加も,インジェクタのリークレス化で対応されている. 図 3-19に示す 2段リップ燃焼室が実用化され,空気利用率を上げることで Sootを低減させるとともに,燃焼速度が速まり,等容度も上昇し,燃費も改善している.図は日野自動車 N04Cエンジンのものである. これらの対応も NOxが増えるので,DeNOx触媒,圧縮比,EGR率,燃料噴射時期も含めて検討しなければならない. (c) 燃焼効率 圧縮比が高くリーン燃焼であるディーゼルエンジンにおいては,燃焼効率は 0.98以上あり問題になることはない.しかし-20℃といった低温始動の際は,暖機

図 3-17 T2カテゴリの重量車燃費推移(43)

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

14

13

12

11

10

9

8

7

重量車燃費〔

km

/L〕

重量車燃費(T2カテゴリ)

図 3-18 NOと燃費率のトレードオフ関係

燃費率〔

g/kW

h〕

NO〔g/kWh〕0 1 2 3 4 5 6 7

206

205

204

203

202

201

200

199

198

197

計算仕様 排気量;2.999 L 1 400 rpm 245 Nm

図 3-19 2段リップ燃焼室(45)

従来 新型

SAMPLE

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第 3章 環境・エネルギー対応技術 19

するまで燃焼室温度が低いため燃焼効率は低い.ただし,この場合も HC,COの増加という現象であり,暖機までの燃費悪化に大きく影響を及ぼすのは機械効率の悪化である.なお,今後低温燃焼が開発される場合には考慮に入れる必要があろう. (d) 熱損失率 冷却損失率ともいう.図 3-20に 3 Lディーゼルエンジンの熱勘定の計算結果を示す.一般的に損失の約20~25%を占める.ただし,この熱勘定には EGRクーラ,インタクーラ等の冷却損失も含まれる. 熱損失は減らしたいが,燃焼室構成部品の破損防止,シリンダボアの潤滑性維持,体積効率確保,高温燃焼回避のため,適切な冷却は必要である.1990年代に断熱エンジン(セラミックエンジン)が盛んに研究されたが,頓挫したのは,特に体積効率低下と,高温燃焼による Soot悪化のためである. 大きな進歩はないが地道な改良は行われており,2000

年以降の乗用車用ガソリンエンジンでは常識であるシリンダボアの上部しか冷却しないシリンダブロック構造が,欧州のトラック・バス用ディーゼルエンジンにおいて採用されている.たとえばダイムラー社 OM934,OM936エンジン(46)である.また,ダウンサイジング,ダウンスピーディングにより,通常使用時のエンジン負荷を高めることは熱損失率を減らすことになり,これらによる燃費向上の理由の一つである. (e) ブローダウン損失率 排気弁が下死点の手前で開くために起こるが,わずかな値であることと,ターボチャージャで回収できるため特段の損失低減手段は講じられていない. (f) ポンプ損失率 2000年以降は 4弁式が標準となり,ポンプ損失はターボチャージャの総合効率に負う.そのため二段過給とし,段間にインタクーラを設け,見かけのコンプレッサ断熱効率を上げたエンジンが欧州で実用化されている.たとえばMAN社 D3876エンジンである.コンプレッサにおける圧縮はポリトロープ変化であるが,途中にインタクーラによる等圧変化を挟むことで,二段

合わせた圧縮過程は等温変化に近づく.よって見かけのコンプレッサ断熱効率が上がる.図 3-21に P-V線図を示す.同じ圧力比を少ない動力で得られることがわかる. また,単段過給の場合,可変ノズル付きタービンが用いられることが多いが,現状の可変ノズル付きタービンはノズルレスタービンに比べ断熱効率が低い.そこで,ツインスクロールタービンの一種であるアシンメトリックターボが,三菱ふそうトラック・バス 6R10

エンジンにおいて用いられている(図 3-22). (g) 機械効率 摩擦損失(フリクションロス)のことであるが,運動部品の機械損失のほかに,ウォータポンプ,オイルポンプという補機の駆動損失も含められる.なお,クーリングファン,発電機,空調用コンプレッサ,冷凍機用コンプレッサ等の駆動損失は,エンジン試験上は含めないが,実用燃費を向上させるためには,これらも合わせて補機類の改善が重要である.たとえば三菱ふそうトラック・バス 6R10エンジンにおいて,電子制御可変流量ウォータポンプが採用されており,部分負荷時に冷却水流量を減らし,ウォータポンプの駆動損失を減らすとともに,油温を適温に保つことで機械損失も減らしている.また,電子制御クーリングファンは,大型エンジンでは各社標準装備となっている. 摩擦損失はピストン,ピストンリング,シリンダボアの往復運動部品で 40%,クランクシャフト主軸受,

図 3-20 熱勘定(3L ディーゼルエンジン)

100%

80%

60%

40%

20%

0%110 Nm 220 Nm

未燃損失

機械損失

ポンプ損失

排気損失

冷却損失

正味仕事

1 600 rpm

図 3-21 コンプレッサ P-V線図

容 積二段過給 二段過給+インタクーラ

圧 力

図 3-22 アシンメトリックターボ(47)

SAMPLE