「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順...magpapaliwanag kami ukol sa pamumuhay sa...

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「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順 ―外国にルーツをもつ子どもたちが編入してくることになったら…― 京都市教育委員会

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「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順

―外国にルーツをもつ子どもたちが編入してくることになったら…―

京都市教育委員会

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目 次

○「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

○資料 1 外国人のための相談・情報提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

○資料 2 個人カード 生活調査 学習調査 の記入と活用について ・・・・・・・・・12

○資料 3 「日本語の力見取り表」の記入と活用について・・・・・・・・・・・・・・17

○資料 4 「日本語の力に応じた支援表」について・・・・・・・・・・・・・・・・・18

※「日本語の力見取り表」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

※「日本語の力に応じた支援表」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

○資料 5 人権教育学習指導案 「外国の学校へ行ってみよう」・・・・・・・・・・・・23

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「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順

学校がすること 通訳ボランティアの役割 本人・保護者がすること

①編入手続き日 ・初面談日の決定

・学校指導課への連絡

通訳ボランティアの申請

(初面談日・初登校日の分)

・学校との打合せ

②初面談日まで ・必要な書類の準備

・説明に使う学習予定表や具体物

などの準備

・通訳ボランティアと打合せ

③初面談日 ・学校生活についての説明

・記入が必要な書類の説明

・初登校日の持ち物の連絡

・初登校日の給食の手配

・編入学年と学級の決定

・教科書の手配

・購入物品の手配

・初登校日に必要な物の準備

・全教職員での共通理解

・通訳ボランティアの申請(1 週

間後の分)

・日本語指導の申請

・学校側の説明内容の

通訳

・保護者と本人からの

質問事項の通訳

・保護者と本人が来校

・必要な書類の記入

・必要な物品の購入

・銀行の口座開設手続き

・初登校日の持ち物準備

④初登校日 ・学校案内

・母国の生活についての聞き取り

・学力把握テスト※1

・職員室で昼食についての説明

・受入れ学級での準備

・個人カードの作成

・学校案内の際の通訳

・母国の生活について

聞き取る際の通訳

・昼食準備や食べ方に

ついて通訳

・その他学校側の伝達

事項の通訳

・本人だけ登校(保護者同伴

も可)

・教室の確認

・学習予定表の見方の確認

・通学路の確認

⑤2日目 ・朝の準備方法やロッカーなどの

確認(担任が一緒に行う)

・学校生活での様子の把握

・次回通訳ボランティア派遣に合

わせて連絡事項の整理

・朝の準備方法やロッカーな

どの確認

・日本語学習開始(ひらがな

の習得から)※2

1週間後 ・1週間の様子の把握

・学校からの連絡事項の伝達

・母語で話す抽出時間の確保

・次回の通訳ボランティアの申請

・1週間の様子につい

て聞き取り,内容を

学校へ伝達

・通訳ボランティア来校時刻

に合わせて,1時間別室学

習(保護者来校も可)

約1ヶ月後 ・1ヶ月の様子の把握

・学校からの連絡事項の伝達

・母語で話す抽出時間の確保

・その後の様子につい

て聞き取り,内容を

学校へ伝達

・通訳ボランティア来校時刻

に合わせて,1 時間別室学

習(保護者来校も可)

学力把握テスト※1 『帰国・外国人児童生徒受入れの手引き〈全市版・試案〉』平成 19年 3月 京都市日本語指導・支援体制連絡協議会

日本語学習開始※2 指導時間の確保や指導者の確保が難しい場合は,ひらがなプリントを宿題にして,読み方だけを指導する。

○学校指導課人権教育担当に申請

(1週間前を目安に申請)

○対象児童生徒一人につき,年間10回まで派遣可能

○教科学習の通訳は不可

○保護者に関わる通訳(懇談や参観など)は可能

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①編入手続き日 帰国・外国人児童生徒が編入してくる場合は,ほとんどが突然であり,日本語が全くわからない状態での

編入です。そのため,どのように受入れればよいのか,言葉が通じなくてどうすればよいのかなど,受入れ

る学校では戸惑うことが多く不安に感じることでしょう。しかし,外国にルーツをもつ子どもの編入は,

日本の子どもたちや教職員が日本とは違う文化に触れる素晴らしい機会になります。また,一人一人が違う

という点では,帰国・外国人児童生徒も,日本の子どもたちも同じです。まずは,子どもの実態をしっかり

と把握するために,通訳も交えての第一回面談をもち,ゆっくりと話を聞きましょう。編入学年については,

原則的には該当学年に入ることになりますが,中学 3年生の年齢での編入といった場合は,進路のことも考慮

しなければなりませんので,下の学年に編入といった配慮が必要な場合もあるでしょう。

ということを伝え,面談の約束をします。通訳の手配もありますので,次の日の約束ではなく,2・3日後で

約束をしましょう。通訳の手配は,初回面談と,初回面談の翌日の午前(児童生徒の初登校日の午前)の

2 回分続けて依頼する必要があります。初登校日は通訳 2回分(4時間)で依頼するとよいでしょう。

英語・中国語であれば,京都市の電話通訳(※資料 1 参照)を利用することも可能です。

上の日本語の各国語訳は次の通りになります。活用してください。

<英語>

We’d like to ask parent(s) or/and guardian(s) to come to school with your child/children. We will provide

information about school life and have interview on your child/children. This meeting needs two hours. We will

arrange an interpreter because issues are very important. Please let us know your convenient time.

<中国語>

老师要对有关学校生活作详细的说明,还要向您了解有关您孩子的各方面的具体情况。这些都是很重要的谈话内容,那时会

有翻译来。时间大约需要 2 小时左右。同时,务必请您和孩子一起来。您在什么时间有空能来学校?

<タガログ語>

Magpapaliwanag kami ukol sa pamumuhay sa eskuwela o kaya magtatanong ukol sa anak ninyo. Ihahanda

rin naming ang tagapagsalin dahil importanteng pag-uusap ito. Ito ay mga 2 oras. Isama rin po ang

inyong anak. Anong oras ang mainam para sa inyo?

<韓国・朝鮮語>

학교생활에 대해서 설명하거나 자녀의 상황에 대해서 확인하려고 합니다. 중요한 이야기이므로

통역사가 들어올 것입니다. 시간은 2 시간 정도 걸립니다. 자녀와 함께 와 주십시오. 가능한 시간대는

언제입니까?

※ 通訳の依頼も含めて,外国籍または外国にルーツのある児童生徒の編入があることを,『学校指導課人権教育

担当』に連絡してください。

②初面談日まで ・説明が必要な書類や,物品などの準備をします。

・通訳ボランティア決定後,電話で簡単な打合わせをします。

『学校について説明したり,お子さんのことについて聞いたりすることがあります。 大切な話なので,通訳に来てもらいます。時間は 2 時間くらいです。子どもさんも 一緒に来てください。何月何日の何時に来ることができますか?』

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③初面談日 【学校側・・・管理職,教務主任】【帰国・外国人児童生徒側・・・本人と保護者】 ※2時間程度

通訳を交えての貴重な面談の時間です。伝える必要のあること,保護者に聞いておく必要のあることに

ついて抜け落ちてしまわないように,事前に具体物や書類などの準備をしておきましょう。

初めての面談で伝える必要のあること,聞き取る必要のあることは,次の通りです。

・説明してから手渡す書類・・・ で表記(学習予定表 時間割表 など)

・準備が必要な書類(その場で記入するもの)と具体物・・・ で表記(教科書 給食袋 など)

○学校生活全般について

○学校の費用について

①学校の一日の流れ・・・学習予定表や時間割表,校時表で具体的に説明します。

②学習する教科・・・教科書を見せて説明します。

※体育などの実技教科については,全ての活動に参加しなければならないことや,成績が

つくことを説明します。夏の水泳学習についても説明が必要です。

③昼食について

<小学校>給食カレンダーや献立表 ,給食袋と給食当番のエプロンで説明します。

<中学校>お弁当も可,給食は申し込み制であることを説明します。 ※申し込み用紙の記入

※ アレルギーや宗教上の理由から,食べることができない物の確認

④一年間の予定・・・学校だよりや学年だよりで説明します。

・4月開始 3月終了,前期・後期制,休日や長期休業について

・遠足,宿泊学習,運動会,学芸会・学習発表会,体育祭・文化祭について

※行事の際にはお弁当が必要なことも説明しておきましょう。お弁当の

文化がない国もあるので,写真などがあればわかりやすいです。

・家庭訪問,個人懇談について

※大切な機会であるので,必ず仕事の都合をつけていただく必要がある

ことを説明しておきましょう。

・授業参観,学級懇談会について

※なるべく仕事の都合をつけ参加して欲しいことを説明しましょう。

⑤学校のきまり・・・きまりを記載したもの。基本的には守る必要があることを説明します。

※生活習慣や宗教上の理由でのピアスやクロスの着用などは,配慮が必要です。

⑥身体計測や保健に関する検査・・・身体測定の内容や,各検診,尿検査などについては,実施

について説明します。

①授業料・・・公立小学校,中学校については,授業料はかからないことを伝えます。

②給食費,教材費,積み立てなど・・・それぞれの費用がわかるものを提示して説明します。

③銀行引き落とし・・・銀行口座から引き落とすことを伝え,銀行に持参する用紙で銀行での

手続きを説明します。年度初めに配布する,引き落とし日と年間の引き

落とし金額がわかるプリントを用意しましょう。

④就学援助制度・・・実際の説明書と申請書を用意しておきます。特に,収入証明については

わかりにくいため,具体物を用意して見せるとよいでしょう。

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○準備物について

○その場で記入してもらう書類について ※個人情報については厳密に取り扱うことを説明します。

<毎日使うもの>

・ふでばこ(中身も説明,特に鉛筆の濃さに注意)

・したじき

・各教科のノート(学校で買える場合は購入してもらいましょう。値段を伝えます。)

・連絡帳(使い方)

・上靴 体育館シューズ

・通学かばんについても,望ましいものを説明します。

・各教科の教科書(無償で,後日渡すことを伝えます。)

欠席や遅刻,早退,

体育の見学等の連絡

方法について説明

<学校指定のもの>

・中学校の標準服 体育の服装など

購入方法と申し込み用紙があれば手渡します。貸し出しできるものがあれば,貸与します。

・小学校のお道具箱と中身

金額のわかる一覧表を準備。学校で購入し,後日集金することを伝えます。

<各教科で必要なもの>

絵の具セット 習字道具 裁縫道具 リコーダー アルトリコーダー 鍵盤ハーモニカ

コンパス 三角定規 30センチものさし 算数セット 彫刻刀などについては,基本的には

学校で学年が使っているものを購入する方向で説明します。「経済的に大変ではないか」とい

った心配もありますが,学習に必要なものであり,揃っていないと困るのは子どもたちです。

「道具が無いから学習に参加できない」ということがないように,また,就学援助制度の対象に

なるかもあわせて保護者に説明します。

これらについては,編入学年が決まってからの購入になります。そのことも伝えます。

①緊急連絡カード

学校でけがをしたり,熱が出たりした場合に,連絡すること,必要であれば保護者に迎えを

お願いすることを説明します。健康保険証の有無は忘れずに尋ねます。(記号・番号は家で

記入してもらい,初登校日に児童生徒が持ってくることを伝えましょう。)

②保健調査表

わかる範囲で記入をお願いします。既往症や予防接種などについては,家で記入して初登校

日に持ってきてもらってもよいでしょう。ただし,母子手帳のようなものがないこともありま

す。その場合は,既往症,予防接種の項目に沿って,通訳を介して尋ねます。

③教育調査票(家庭環境調査票)・・・通学路について伝えましょう。

④個人カード 生活調査・学習調査

12 ページからの「個人カード」についての資料を活用して,できる範囲で聞き取って記入

しておきましょう。学習調査については,初登校日に児童生徒本人に尋ねることも可能です。

生活調査については,通訳と保護者が揃っている,初面談の時間に記入を終えるようにして

おきましょう。

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○日本語指導と通訳派遣について ※以下の制度があることを説明します。

①初期日本語指導員派遣制度 ※永住者対象

・原則来日後 3ヶ月以内の児童生徒に日本語指導の専門員が派遣されます。

・週に 1~2回,授業または放課後の時間に日本語指導を受けることができます。

・派遣回数は,小学校は 25回,中学校は 35回です。

<英語>

① Japanese Language Instructors for learners in early stage *Permanent residents only

We send Japanese language specialists for students in the first 3 months in Japan.

They teach Japanese in “pull out” classes during school hours or after school once or twice a week.

An elementary school student and a junior high school student receive this service 25 times and 35

times a year, respectively.

<中国語>

① 对初来日本者的日语指导员派遣制度 ※对象:永住者

・对来日本 3个月以内的中、小学生,将派遣日语专门人员进行日语指导。

・每周 1-2次,利用上课的时间或者是放学后的时间,进行日语指导。

・派遣次数小学生是每人 25次,中学生是每人 35次。

<タガログ語>

①Paunang Pagpapapunta ng Tagapagturo ng Wikang Hapon ※Para sa permanenteng residente lamang

・Ang mga batang bago mag 3 buwan dito sa Japan ay puwedeng magkaroon ng tagapagturo ng wikang

Hapon.

・Magtutoro ito ng wikang Hapon sa bata sa klase o pagkatapos ng mga klase, 1 o 2 beses sa isang

lingo.

・Pupunta ito sa elementarya nang 25 beses, at 35 beses sa junior high school, kada isang estudyante.

<韓国・朝鮮語>

①초기 일본어 지도자 파견제도 ※영주자 대상

・일본에 온 지 3 개월 이내의 아동학생에게 일본어 지도 전문가를 파견합니다.

・주 1~2 회, 보충수업 또는 방과 후에 일본어를 지도합니다.

・파견 회수는 초등학생 한 명 당 25 회, 중학생 한 명 당 35 회입니다.

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②日本語指導ボランティア派遣制度

・初期日本語指導員の派遣終了後,日本語指導ボランティアに指導が引き継がれます。

・週に 1~2 回,放課後の時間の指導になります。派遣回数は年間上限 52回です。

・毎年度始めに,一斉受付がありますが,年間を通じて受け付けられています。日常会話ができても,

教科学習の理解が十分ではない児童生徒への派遣も可能です。

<英語>

②Volunteer Japanese Language Instructors

Volunteer Japanese language instructors subsequently teach the students who have completed the

previous lessons by specialists.

We send the teachers after school once or twice a week. Service is available up to 52 times a year per

person.

We can also send the teachers to the students who have some trouble to understand coursework in

classes, even if they can handle everyday conversations.

<中国語>

②日语指导志愿者派遣制度

・对初来日本者的日语指导员派遣结束后,由日语指导志愿者进 行指导。

・这是每周 1-2次,在放学后的时间进行指导。派遣次数是每人一年 52 次。

・可以进行日常会话,但在接受教学过程中,对日语的学习用语不能充分理解的学生,也可进

行派遣。

<タガログ語>

②Pagpapapunta ng Boluntaryong Tagapagturo ng Wikang Hapon

・Pagkatapos ng paunang tagapagturo, ang boluntaryong tagapagturo ng wikang Hapon ang tutulong

sa bata.

・Pupunta ito pagkatapos ng klase 1 o 2 beses sa isang lingo, 52 beses sa isang taon kada isang

estudyante.

・Puwede na rin tulungan ang batang marunong na sa pang-araw araw na salita ngunit di pa sapat

sa pag-aaral.

<韓国・朝鮮語>

②일본어 지도 봉사자 파견 제도

・초기 일본어 지도자의 파견 지도가 끝난 후 일본어 지도 봉사자가 지도합니다.

・주 1~2 회, 방과 후에 지도합니다. 파견 회수는 한 명 당 연간 52 회입니다.

・일상 회화가 가능해도 교과학습의 이해도가 떨어지는 아동학생에게도 파견합니다.

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編入学年決定について

基本的には年齢相当の学年が原則です。しかし,本人の来日前の教育環境や学力等で年齢相当の学年で

受入れることは困難であると想定される場合は,調査課及び学校指導課にご相談ください。

○母語の保持について ※日本語習得だけではなく,母語も大切なことを伝えます。

<年齢が低い場合(8歳前後まで)>

・家庭では母語でのやりとりを続けていくことが大切です。日本語の会話は早く覚えますが,母語も

早く忘れるからです。家庭でのコミュニケーションができなくなる可能性があります。

・母語の本などの読み聞かせや,テレビやビデオを視聴したりする機会が大切です。

<年齢が高い場合(母語での読み書きができている場合)>

・母語の学習が日本語の習得にもよい影響をもたらすため,家庭での母語学習は大切です。

・母語対訳の教材があれば,積極的に手渡し,自学自習を勧めます。※母語訳教材については,資料参照

③通訳ボランティア派遣制度

・児童生徒一人に対して,年間 10回まで通訳ボランティアの派遣が可能です。

・1回あたり約 2時間です。教科指導の通訳はできません。児童生徒本人だけではなく,家庭訪問や

懇談会,行事の説明会など,保護者対応への通訳も対象です。

・尐なくとも,1 週間前までには申し込みをしましょう。日本語がある程度できる保護者であっても,

母語で話せる機会を保障しましょう。

<英語>

③Volunteer Interpreters

This service is available up to 10 times a year per person.

Each lesson is about 2 hours long. Interpreters provide language support not interpretation service in

studying. Parents/guardians can use this service for a parent - teacher conference, school guidance,

etc.

<中国語>

③口头翻译志愿者派遣制度

・每人一年最多可以接受 10次派遣。

・一次大约是 2 小时。这是对来日已经 3 个月以上,但对日语的学习用语还不能够理解的学生

的派遣。还有,谈心会、说明会等时也可以为家长做口头翻译。

<韓国・朝鮮語>

③통역 봉사자 파견 제도

・한 명 당 연간 10 회까지 파견이 가능합니다.

・1 회에 약 2 시간입니다. 교과지도의 통역은 불가능합니다. 간담회나 설명회 등 보호자에게 통역은

불가능합니다.

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④初登校日

管理職もしくは,教務主任と通訳ボランティアと一緒に行動します。通訳ボランティアは 2回分(4時間)

申請しましょう。初登校日に,母国での生活や学習の様子,算数(数学)や母語での学力状況などを把握

する時間を確保し,子どもの現状を知ることが大切です。できれば、初登校日の午前中は在籍学級とは別の

部屋を確保することが望ましいでしょう。通訳ボランティアが一緒に行動できる 4時間を目安に過ごし方を

考えます。給食は職員室で準備し,配膳の練習や食べ方についても説明できると安心です(中学校では昼食

について説明)。午後からの時間は在籍学級に入る,もしくは別室でひらがなや簡単な挨拶の学習を始める

ことなどが考えられます。

〈小学校での初登校日の過ごし方例〉

学校案内

・高学年の子どもには,校舎平面図や教室配置図をもちながら

案内するとわかりやすいでしょう。

・保健室については,養護の先生がおられるときに案内できると

安心です。

学力把握テスト

・算数の計算力把握テスト(平成 19 年 3 月 帰国・外国人児童

生徒受入れの手引き p.37~)

・母語での作文 (例えば,「母国の学校紹介」)

※低学年で母語での読み書きができない場合もあります。

母国での学校生活について

・母国の学校生活について,「個人カード 学習調査」を使って

聞き取ります。

※宿題の有無や,習い事,学習形態や教師の雰囲気なども聞い

ておくようにします。

毎日の準備について

・学習予定表の見方を説明します。各教科と持ち物の母語を書き

入れながら説明します。この最初の学習予定表を参考にして,

今後の予定表を見ていくように指示します。

・対象児童生徒が自分の名前を言う練習をしておきましょう。

職員室で準備など

・給食準備を手伝いながら説明します。

・食べなれない物の減らし方や増やし方も説明します。

・片付けの方法を,実際にしながら説明します。

・給食当番の役割の説明をします。

在籍学級に入る

もしくは

別室で日本語学習

・在籍学級に入る場合は,下校時に帰り道が同じ方向の友だちと

担任とで一緒に帰れるようにしましょう。

・日本語学習は,ひらがなや簡単な挨拶から始めます。

全教職員での共通理解

これまでの聞き取りなどでわかったことについて,全教職員で共通理解します。職員朝礼や職員

会議の時間を利用します。

在籍学級以外のクラスの子どもたちにも,外国からの転入生があることを知らせるようにしまし

ょう。どこの国からの転入なのか,日本語がまだわからないことなども伝えます。

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○教室での準備

・学級の子どもたちには,名前,出身国,日本語がわからないことを伝えます。

・みんなの話す日本語やみんなの行動がお手本となることを伝えましょう。

・編入児童生徒の母語の「こんにちは」という挨拶を,みんなで練習

するのもよいでしょう。

・「外国から新しい友だちがやって来る」という,嬉しい気持ちで迎え

られるようにしましょう。

〈環境面での準備〉 ※クラスの子どもたち全員で準備できるといいでしょう。

〈配慮すること〉 ※学年に応じた説明の仕方で理解をうながします。

⑤2日目 ・登校後,学級担任と一緒に教室へ行き,朝の準備の仕方やロッカーの場所などを確認します。

・休み時間には,全員で遊ぶ機会を設けるなど,一緒に過ごせる工夫をしましょう。

ただ,日本では当たり前の遊びも,知らない可能性があります。

・給食時間には,食べ慣れないものについては,残してもよい配慮が必要です。

・学習に必要な物が全部揃うまでの配慮が必要です。

※国旗や挨拶の言葉も

表示しましょう。

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授業で配慮すること

「日本語がわからないなら,集団での学習に入ることは無理なのではないか」と考えてしまいます。しかし,

日本に来た子どもたちの一番の願いは,「みんなと仲良くすること」「みんなと同じ勉強をすること」です。

以下の例を参考に,いっしょに活動できる工夫を考えていきましょう。

・ひらがなが読めるようになれば,漢字にふりがなをつけることにより,文章を読めるようになります。

・短い日本語を使った指示や発問(ゼスチャーも伴って),視覚的に理解できる教材を準備しましょう。

・友だちのまねをすることから覚えていくことが多いので,二人組や尐人数グループでの学習を心がけま

しょう。

・ワークシートは,キーワードを書き込むだけで完成するようなものを個別に準備しましょう。

・国語科の音読は,ひらがなが読めるようになれば可能です。ふりがなや区切る場所を教科書に記入した

り,範読を録音したりしましょう。

母国のことを知る時間

外国にルーツをもつ子どもの編入は,日本の子どもたちがその子どもの母国について知り,

視野を広げるきっかけとなります。朝の会や終わりの会,給食時間など短い時間を利用して,

挨拶や曜日の言い方,食べ物の言い方などを母語で教えてもらう取組ができると,双方にとって

良い機会となることでしょう。

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資料 1

(1)外国人のための相談・情報提供 ※詳しくは各団体のホームページを御覧ください。

団体名 電話番号 内容

(財)京都市国際

交流協会

075

752-3511

※月曜日休館

・多言語のホームページ有

・日本語教室の開催

・行政電話通訳 075-752-1166

英 語 火・木 10:00~16:00

中国語 水・金 10:00~16:00

・生活相談 相談時間 9:30~20:30

(英語,韓国・朝鮮語,中国語,ドイツ語,スペイン語,フランス語)

(財)京都府国際

センター

075

342-5000

・多言語のホームページ有

・日本語教室の開催

・生活相談 相談時間 13:00~17:00

専用電話075-342-0088

FAX075-342-5050

月曜日 英語

水曜日 スペイン語,ポルトガル語

木曜日 タガログ語

金曜日 中国語

土曜日 韓国・朝鮮語

京都 YWCA APT

(アプト)

075

431-0351

・日本語教室の開催

・電話相談 075-451-6522

相談日・時間

月曜日 13:00~16:00 タイ語,タガログ語

中国語,英語

木曜日 15:00~18:00 月曜日と同じ

伏見青尐年活動

センター

075

611-4910

・日本語教室

・外国人青尐年交流会活動

(2)日本語指導に関する書籍や教材の閲覧や貸し出し

京都市カリキュ

ラム開発支援セ

ンター

075

371-2341

・京都市立学校の教職員やボランティアへの貸し出し,コピー等

開室時間 月~金 9:00~21:00

土 9:00~17:00

※長期休業日や年末年始の開室については,お問合せください。

(3)日本語指導に関する教材,翻訳教材 ※各教材の詳細はホームページで確認してください。

教材名・サイト名 団体名 内容

マルチメディア

「にほんごをま

なぼう」

日本語指導教材研究会

(文部科学省委託)

学校生活で使われる日本語を,コンピュータで絵を動かしな

がら,音声付で勉強することができる。

(ポルトガル語,スペイン語,中国語,英語,韓国・朝鮮語,

ベトナム語,カンボジア語)

KIDS WEBJAPAN 外務省 日本の文化や学校などについて,多言語で説明している。

(スペイン語,韓国・朝鮮語,フランス語,ドイツ語,オラ

ンダ語,フィンランド語,スウェーデン語,アラビア語)

かすたねっと 文部科学省 ウェブ上で公開されている多言語教材や多言語学校関係文

書の検索サイト。

デジタル絵本サ

イト

国際デジタル絵本学会 世界の民話を中国語,韓国・朝鮮語,英語,ドイツ語,フラ

ンス語,イタリア語,スペイン語,インドネシア語,ノルウェ

ー語,スウェーデン語,アミ語訳付で読める絵本サイト。日本

の民話も各国語で読める。

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資料 2 個人カード 生活調査・学習調査の記入と活用について

【記入方法について】

「個人カード」は,対象児童生徒のこれまでの生活経験や将来の展望,家庭の状況などについて把握するも

のです。小・中学校 9年間継続して記録し,引き継ぐことができるようになっています。

学習調査には,母国での学習経験を問う欄があります。日本の教科学習について,その主な内容を学習した

ことがあるかどうか,経験を○・×で記入します。また,日本の学校行事についても,その経験の有無を○・

×で記入します。

【活用の仕方について】

個人カードは,対象児童生徒の学級担任だけではなく,子どもに関わる全ての指導者が必要なときに

確認できることが大切です。例えば,クリアファイルを用意して,個人カードと,次で紹介する「日本

語の力見取り表」を一緒に保存するようにします。それ以外にも,子どもの成長の様子が確認できる,

作文やテストのコピーなどを一緒に入れておくとよいでしょう。ただし,扱いについては「指導要録」

と同様,必ず鍵のかかる場所で保管しましょう。※個人情報関係の書類です,厳重に管理しましょう。

母国での生活経験や学習経験から,支援が必要な場面がはっきりとします。例えば,運動会の経験が

ない子どもに対しては,映像を見せたり,意義を説明したりする支援が必要です。教科学習の経験に

ついても,既習事項でない事柄については,日本語の習得に関係なく理解することができないと考える

ことが大切です。

このように,一人一人の子どもについて現状を把握することが大切です。

帰国・外国人児童生徒用 ○秘 個人カード 学習調査

1年 組(担任 ) 4年 組(担任 ) 中学1年 組(担任 )

2年 組(担任 ) 5年 組(担任 ) 中学2年 組(担任 )

3年 組(担任 ) 6年 組(担任 ) 中学3年 組(担任 )

ふりがな

名前

性別

男・女

小学校 1 年

から中学校 3

年までの記入

欄がある。

母国での学習

経験について記

入する欄。日本

の主な教科学習

内容について,

学習経験の有無

を記入する。

運動会や遠足

などの学校行事

について,経験

の有無を記入す

る。

12

●母国での学習経験( 年 月 日記入)

教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・×

国語

生物

保健 技

調理

四則計算 化学 球技 裁縫・ミシン

図形 物理 陸上 コンピュータ

長さ・重さ・かさ等 地学 器械体操 木工

時刻 音

歌(合唱) 縄跳び 栽培

地理 鍵盤ハーモニカ ダンス

絵・版画

歴史 リコーダー 水泳 造形(粘土)

公民 英語 道徳 工作

○学習内容以外で確認しておきたい事項 ※母国の学校での有無を○・×で記入

運動会 遠足 身体計測 体育の全員参加

学芸会・学習発表会 宿泊学習 授業参観・懇談会 体育の服装

<その他,母国の学校で学習していた教科や特別な活動>

算数・数学

図工・美術

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13

帰国・外国人児童生徒用 ○秘 個人カード 生活調査

1年 組(担任 ) 4年 組(担任 ) 中学1年 組(担任 )

2年 組(担任 ) 5年 組(担任 ) 中学2年 組(担任 )

3年 組(担任 ) 6年 組(担任 ) 中学3年 組(担任 )

ふりがな

名前

要・準

生年月日 年 月 日 ( 年 月 日)

来日年月日 年 月 日

編入学年月日 年 月 日 ( 年入学・編入)

国籍(出身地)

現住所 〒 -

電話 自宅:( 075 ) ―

学習歴 入学・卒業・転入・転出年月日 学校名

年 月 日入学・転入

年 月 日卒業・転出 ( 年制)

年 月 日入学・転入

年 月 日卒業・転出 ( 年制)

年 月 日入学・転入

年 月 日卒業・転出

年 月 日入学・転入

年 月 日卒業・転出

来日の目的 留学・就労・国際結婚・永住・その他( )

在日予定期間 1.永住 2. 年 月まで 3.不明

過去の在日経験 あり・なし

日本語の状況

(日本語学習歴)

日本語学習歴: 年 ヵ月 教育機関:

<特記事項>

使用可能言語

母語( ) 聞く: 話す: 読む: 書く:

母語以外( ) 聞く: 話す: 読む: 書く:

※言語状況の選択肢

【A:読み書きを含めて問題ない B:日常会話は問題ない C:簡単な日常会話程度 D:ほとんどわからない】

進路希望

将来の夢

趣味・特技

特に知っておいて欲しいこと

(持病やアレルギーなど)

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14

氏名 続柄 年齢 言語状況 備考(使用可能言語等)

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

日本語 聞く: 話す: 読む: 書く:

語 聞く: 話す: 読む: 書く:

※言語状況の選択肢【A:読み書きを含めて問題ない B:日常会話は問題ない C:簡単な日常会話程度 D:ほとんどわからない】

緊急連絡先

名前 (在宅時間: )

( ) ― 携帯: ― ―

日本語の援助をしてくれる知人(連絡先)

学年 生活面における特記事項

小学校1年

小学校2年

小学校3年

小学校4年

小学校5年

小学校6年

中学校1年

中学校2年

中学校3年

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帰国・外国人児童生徒用 ○秘 個人カード 学習調査

1年 組(担任 ) 4年 組(担任 ) 中学1年 組(担任 )

2年 組(担任 ) 5年 組(担任 ) 中学2年 組(担任 )

3年 組(担任 ) 6年 組(担任 ) 中学3年 組(担任 )

ふりがな

名前

性別

男・女

●本人の興味・関心

得意教科

特別活動

その他

・出欠状況

・留年経験

・学校外での活動 等

●母国での学習経験( 年 月 日記入)

教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・× 教科 学習内容 ○・×

国語

生物

保健 技

調理

四則計算 化学 球技 裁縫・ミシン

図形 物理 陸上 コンピュータ

長さ・重さ・かさ等 地学 器械体操 木工

時刻 音

歌(合唱) 縄跳び 栽培

地理 鍵盤ハーモニカ ダンス

絵・版画

歴史 リコーダー 水泳 造形(粘土)

公民 英語 道徳 工作

○学習内容以外で確認しておきたい事項 ※母国の学校での有無を○・×で記入

運動会 遠足 身体計測 体育の全員参加

学芸会・学習発表会 宿泊学習 授業参観・懇談会 体育の服装

<その他,母国の学校で学習していた教科や特別な活動>

算数・数学

図工・美術

15

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学年 学習面における特記事項

小学校1年

小学校2年

小学校3年

小学校4年

小学校5年

小学校6年

中学校1年

中学校2年

中学校3年

※帰国・外国人児童生徒受入れの手引き<全市版・試案> 平成 19年 3 月 京都市日本語指導・支援体制連絡協議会作成 より 一部改定

16

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資料 3 「日本語の力見取り表」の記入と活用について ※「日本語の力見取り表」は p.19,20に掲載

○子どもの言語の力には次の三つの特徴があるといわれています。

更に,子どもは認知面でも言語面でも発達の途中にあります。そのため,日本語指導が必要な

子どもたちの日本語の力は,ペーパーテストではとらえきれないと考えられます。

そこで,以下の 5点に配慮して「日本語の力見取り表」を作成しました。

【聞くこと】

聞く力 子どもの様子 小学校1年 小学校2年 小学校3年 小学校4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年 中学校3年

初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終

①生活場面における聞く力 ◎ 日常的な会話であれば,問題なく理解している。

○ 一対一で,ゆっくりと話せば,大体理解している。

△ 単語とジェスチャーで伝えれば,なんとか理解している。

②学習場面における聞く力 ◎ 授業中に先生や友だちの発言を聞いて理解している。

○ 全体への指示や発問などを聞いて理解している。

△ 一対一の対応があれば理解している。

特記事項 小学校1年 小学校2年 小学校3年 小学校4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年 中学校3年

例:授業中の発問は黒

板に書くと理解

することができ

る。(12月)

例:日常会話は問題な

いが,学習場面で

は,指示や発問な

どをよく聞き直

す。(3月)

記入者(担当教科)

【話すこと】

話す力 子どもの様子 小学校1年 小学校2年 小学校3年 小学校4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年 中学校3年

初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終 初 中 終

①生活場面における話す力 ◎ 日常会話であれば,流暢に話している。

○ たどたどしい表現があるが,なんとか話している。

△ 単語とジェスチャーを組み合わせて,話している。

②学習場面における話す力 ◎ 自分の思いや考えを話している。

○ 全体への発問に対して,答えが明らかな場合には発言している。

△ 個別への問いかけに対して,単語程度で答えることができている。

特記事項 小学校1年 小学校2年 小学校3年 小学校4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年 中学校3年

例:算数で答えがわか

ったときには手

を挙げる。(7月)

例:生活場面において

は,子ども同士の

意思疎通はでき

ているが,教師と

の意思疎通は難

しい状況である。

(12月)

記入者(担当教科)

≪記入の仕方≫ ・それぞれの力で,「◎」「○」「△」を記入します。

・「△」のレベルに達していない場合は「×」を記入します。

・「初」は夏休み前,「中」は冬休み前,「終」は学年末の時期を表しています。

外国にルーツをもつ子どもたちの

日本語の力見取り表 名前

動態性

常に変化している

非均質性

場面や状況に応じて変わる

相互作用性

目的や相手によって異なる

○子どもに関わる全ての指導者が使えること

○子どもの様子から見取ること

○聞く・話す・読む・書く の 4技能から見取ること

○小・中学校 9年間継続して把握すること

○見取った結果が支援につながること

聞くこと・話すこと

読むこと・書くこと

小・中学校 9 年間継続して記入

年間 3 回記入

子どもの様子から

◎,○,△(×)で

記入

子どもの様子の項目

以外の特記事項

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資料 4 「日本語の力に応じた支援表」について ※「日本語の力に応じた支援表」は p19,20に掲載

日本語の力見取り表で見取った「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の四つの力

は,各教科等の授業で必要な力です。それぞれの力に応じた支援を採り入れることができれば,

どの授業でも有効であると考えました。

そこで,「日本語の力に応じた支援表」を作成しました。支援は,次の二つに分けて提示しま

した。

<理解支援> 提示物・板書,指導者の話し方,学習形態

<表現支援> 表現方法,モデルの提示,学習形態

また,学習場面における支援については,読1 のように番号がついています。これらの具体

的な支援例は,3月末に発信予定の「日本語指導が必要な子どもたちのための日本語の力,生活

経験に応じた授業づくりの考え方・支援例集」に掲載されています。

【「日本語の力に応じた支援表」の見方】

<理解支援>提示物・板書の工夫,指導者の話し方,学習形態の工夫など

子どもの様子 支 援 例

△単語とジェスチャーで伝えれば,

なんとか理解している。

・話しかける際には,一対一で顔を見て,口をはっきりと開けて

一言ずつゆっくりと話す。

・絵カードを利用したり,筆談で簡単な絵などを採り入れたりし

て話す。

・時間割の教科名は,教科書の写真を提示して伝える。

・持ち物は,絵や写真を提示して伝える。

○一対一でゆっくりと話せば,大体

理解している。

・話しかける際には,一対一で顔を見て,ゆっくりと話す。

・主語と述語を明確にして話す。

・理解できているかどうか,時々確認しながら話す。

△一対一の対応があれば理解してい

る。

聞1 発話の文末表現は,「です」「ます」で統一する。

聞2 指示や発問は,同時に動作を加えたり,絵カードを示した

りしながら,主語と述語の2語文で伝える。

聞3 説明しようとするものに関する,絵カードや具体物,半具

体物(写真や絵など)により,視覚的に理解をうながす工

夫をする。

聞4 指示は個別に伝える。

聞5 二人組での学習形態を採り入れる。

○一斉への指示や発問などを聞いて

理解している。

聞6 指示や発問はフラッシュカードや板書で示す。

聞7 主語と述語が明確な,短い文で話す。

聞8 経験のない学習活動の説明や,説明の内容が複雑な場合は,

見本を見せたり,ICT機器(電子黒板,デジタルテレビ,

実物投影機など)を活用したり,視覚的に理解をうながす

工夫をする。

聞9 二人組や尐人数での学習形態を採り入れる。

聞 10 友だちの発言内容が理解できるように,板書を工夫する。

△絵や写真などの資料から,大体の

内容を理解している。

読1 文や文章の大体の内容を理解する手助けとなる挿絵や写

真,資料など,視覚的に理解をうながす工夫をする。

読2 物語文の場合は,最初に登場人物や場面を確認する。

読3 各場面や各段落の内容を,「誰(何)がどうした。」のよう

な2語文で示す。

○語句の説明があれば,文章の大体

の内容を理解している。

読4 文章の中の大事な言葉を明示する。

読5 抽象的な言葉や,理解しにくい言葉,日本文化を背景とし

た言葉については,簡単な日本語で言い換えたり,理解で

きる教材を工夫したりする。

「日本語の力見取り表」の

子どもの様子

それぞれの力に応じた支援

18

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日本語の力に応じた支援表

※表中に番号がついている支援は,支援の具体例が「日本語指導が必要な子どもたちのための『日本語の力,

生活経験に応じた授業づくりの考え方・支援例集』」に掲載してあるものです。(学習場面における支援)

<理解支援>提示物・板書の工夫,指導者の話し方,学習形態の工夫など

子どもの様子 支 援 例

△単語とジェスチャーで伝えれ

ば,なんとか理解している。

・話しかける際には,一対一で顔を見て,口をはっきりと開けて

一言ずつゆっくりと話す。

・絵カードを利用したり,筆談で簡単な絵などを採り入れたりし

て話す。

・時間割の教科名は,教科書の写真を提示して伝える。

・持ち物は,絵や写真を提示して伝える。

○一対一でゆっくりと話せば,大

体理解している。

・話しかける際には,一対一で顔を見て,ゆっくりと話す。

・主語と述語を明確にして話す。

・理解できているかどうか,時々確認しながら話す。

△一対一の対応があれば理解して

いる。

聞1 発話の文末表現は,「です」「ます」で統一する。

聞2 指示や発問は,同時に動作を加えたり,絵カードを示し

たりしながら,主語と述語の 2語文で伝える。

聞3 説明しようとするものに関する,絵カードや具体物,半

具物(写真や絵など)により,視覚的に理解をうながす工

夫をする。

聞4 指示は個別に伝える。

聞5 二人組での学習形態を採り入れる。

○一斉への指示や発問などを聞い

て理解している。

聞6 指示や発問はフラッシュカードや板書で示す。

聞7 主語と述語が明確な,短い文で話す。

聞8 経験のない学習活動の説明や,説明の内容が複雑な場合

は,見本を見せたり,ICT機器(電子黒板,デジタルテ

レビ,実物投影機など)を活用したり,視覚的に理解をう

ながす工夫をする。

聞9 二人組や尐人数での学習形態を採り入れる。

聞 10 友だちの発言内容が理解できるように,板書を工夫する。

△絵や写真などの資料から,大体

の内容を理解している。

読1 文や文章の大体の内容を理解する手助けとなる挿絵や写

真,資料など,視覚的に理解をうながす工夫をする。

読2 物語文の場合は,最初に登場人物や場面を確認する。

読3 各場面や各段落の内容を,「誰(何)がどうした。」のよ

うな 2語文で示す。

○語句の説明があれば,文章の大

体の内容を理解している。

読4 文章の中の大事な言葉を明示する。

読5 抽象的な言葉や,理解しにくい言葉,日本文化を背景と

した言葉については,簡単な日本語で言い換えたり,理解

できる提示物や教材などを工夫したりする。

21

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※表現支援中の「ひらがな・カタカナが併記された五十音表」「感情を表す言葉カード」については,「日本

語指導が必要な子どもたちのための『日本語の力,生活経験に応じた授業づくりの考え方・支援例集』」

に資料として掲載しています。

<表現支援>表現方法,モデルの工夫,学習形態の工夫など

子どもの様子 支 援 例

生活場面

話す力

△単語とジェスチャーを組み合わせて話している。

・話を聞く際には,一対一で顔を見て聞くようにする。

・発言や意思表示に使う絵カードを準備して渡す。 ・筆談で,簡単な絵などを使って話すようにうながす。

○たどたどしい表現があるがなんとか話している。

・話を聞く際には,一対一で顔を見て聞くようにする。

・表現しにくい場合には,筆談を採り入れて話すようにうながす。

・表現しにくい場合には,質問したり言葉を補ったりして話が

続けられるようにする。

学習場面

話す力

△個別への問いかけに対し て,単語程度で応えること ができている。

話1 発言や意思表示に使う絵カードを準備して渡す。

話2 絵や図での表現を採り入れる。

○一斉への発問に対して答えが明らかな場合には発言している。

話3 書いたものを読んだり見せたりしながら,発表する形態

を採り入れる。

話4 発言や意思表示に使う「動作を表すカード」「感情を表

す言葉カード」「発表に使う話型カード」などを準備する。 話5 発表前に,話す内容を書く時間を設定する。 話6 二人組や尐人数での学習形態を採り入れる。

ひらがな・カ

タカナを読む

△発音するのに時間がかかっている。

読6 ひらがな・カタカナが併記された五十音表を渡す。

○時々,発音を間違えて読んでいる。

読7 正しく発音できない場合は,指導者の発音を聴いて繰り

返して発音する。

文章を音読する力

△言葉や文単位で読むことができず,一文字ずつ読んでいる。

読8 指導者の範読,それらを録音したものなどを活用して,

読みのモデルを示す。 読9 分かち書きされていない文には,文節に区切りを入れる。

○漢字や文の区切りを,時々間違えて読んでいる。

読 10 (漢字が)読めない場合には,ふりがなをうつ。

読 11 区切りがわかりにくい言葉や文がある場合には,区切 りを入れる。

読 12 「」(かぎかっこ)の工夫がわかりにくい場合には,声 の調子を記入する。

ひらがな・カタ

カナを書く

△文字を書くのに時間がかかっている。

書1 ひらがな・カタカナが併記された五十音表を渡す。

○時々,表記を間違えている。 書2 正しく表記できない場合は,個別に濁音・半濁音,促

音,撥音,拗音・拗長音などの書き方をまとめたカー

ドを準備して渡す。

漢字を書く力

△「山」や「目」など,簡単 な漢字なら書いている。

書3 書けない場合は,個別に漢字を示す。

書4 提示物や板書は,漢字の字形や見やすさを考えてふり がなをうつ。

○難しい漢字は書けないが, ある程度の漢字を書いている。

書5 提示物や板書は見やすい大きさで書く。

文章を書く力

△一文程度なら書いている。 書6 大事な言葉だけを書き写すワークシートを準備する。

書7 絵や図での表現を採り入れる。

○経験したことやあったことを書いている。

書8 あらかじめ書き出しが書かれていたり,穴埋め形式に

なっていたりするワークシートを準備する。 書9 書くときの手本となるモデル文を提示する。 書 10 書くときの参考となる「動作を表す言葉カード」「感情

を表す言葉カード」などを準備する。

22

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資料 5 人権教育学習指導案「外国の学校へ行こう」

単 元 名 「外国の学校に行ってみよう」

単元目標 ・「帰国・外国人児童生徒」への理解を深めることで人権意識を高める。

・母国の様子や日本に来てからの自分について発信し,周りから認められることで自己肯定感を

高める。

指導計画(全 2時間)

学習のめあて

第 1時 対象児童生徒がルーツをもつ国の言葉や生活の様子について知り,日本の言葉や生活の様子と

比べることで,それぞれの違いや良さを認めようとする態度を養う。

第 2時 対象児童生徒の母語を使った授業を体験することを通して,お互いの気持ちを理解し,ともに

成長していこうとする心情を育てる。

~実践についての留意点~

【時数の扱いについて】

・「外国の学校に行ってみよう」という 2 時間単元です。1 時間目は,「日本語指導が必要な児童生徒」が

ルーツをもつ国の様子を知ることで,違いや良さを認めようとする態度を養うことがねらいです。2時間

目は,言葉がわからない状況の体験を通して,「日本語指導が必要な児童生徒」への理解が深まることを

ねらいとしています。この 2 時間については,学級活動や総合的な学習の時間など,学校の実情に合わ

せて時間をとるように考えてください。

【授業の了承について】

・実践に当たっては,対象児童生徒本人と保護者の了承が必要になります。説明の際に通訳が必要である

場合は,通訳ボランティアを手配します。

【ゲストティーチャーの手配について】

・第 2 時の対象児童生徒の母語での授業は,ゲストティーチャーを迎えて実施します。ゲストティーチャ

ーの手配は,京都市の「多文化学習推進プログラム」の事業プログラムを利用する方法が考えられます。

このプログラムの申請などについては,学校指導課人権教育担当が窓口になっています。

【授業の準備について】

・母国での生活紹介や,日本に来てからのことを伝える場面については,事前に対象児童生徒に聞き取り

を行い,発表できるように準備します。聞き取りの際に通訳が必要であれば,通訳ボランティアの手配

をします。発表準備については,日本語指導担当者の協力を仰ぐことも可能です。

23

外国にルーツをもつ子どもたちが,自分がつながる国について紹介したり,母国の学校生活につい

て紹介したりすることで,お互いの違いをよさとして認め合うという目的の授業です。また,「言葉が

わからない状況」を体験することで,対象児童生徒の来日後の状況を認識し,ともにがんばろうと

する学級の雰囲気づくりをめざしています。

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■題 材 「日本以外の国の様子を知り,日本と比べてみよう」

■第 1時のねらい

・ 対象児童生徒がルーツをもつ国の言葉や生活の様子について知り,日本の言葉や生活の様子と比べる

ことで,それぞれの違いや良さを認めようとする態度を養う。

・ 母語や母国について自分の言葉で伝える機会を通して,日本語を話すことへの自信をもつことができ

るようにする。

■第1時の展開

学習活動 ○主な発問 ・予想される子どもの反応 ※資料 ・留意点 ●対象児童生徒への支援

1.対象児童生徒がルーツ

をもつ国について知る。

○今日は,ある国につい

て勉強します。どこの

国のことでしょうか。

(写真や資料を提示し

て)

2.対象児童生徒が母国の

生活の様子や学校の

一日を紹介する。

○~さんが,自分の国の

ことや通っていた学

校の様子をみなさん

に紹介してくれます。

3.質問や感想を出し合う。

○もっと聞いてみたい

ことはありますか。

紹介を聞いた感想も

聞かせてください。

4.学習を振り返る。

○今日の学習で感じた

ことや考えたことを

ワークシートに書き

ましょう。

・あの国旗はどこの国のものかな。

※対象児童生徒がルーツをもつ国の

国旗や民族衣装,食べ物,有名な

遺跡,動物などの写真などを示す。

※提示用の世界地図

・早く聞きたいな。

・日本の学校とぜんぜん違うのかな。

・給食がないんだな。

・同じ勉強もあるな。

・朝が早くて大変だな。

※対象児童生徒の紹介内容を提示す

る資料を示す。(例:対象児童生徒

が通学していた学校の時間割や

一日の予定表など)

・宿題はあったのかな。

・友だちとはどんなことをして遊ぶの

かな。

・テストはあるのかな。

・日本と似ているところや違うところ

があったな。

・挨拶の言葉以外の言葉も教えて欲し

いな。

・日本語で上手に紹介できていたな。

・日本語で話せてよかった。みんなに

聞いてもらってうれしい。

※振り返り用のワークシート

・全員がはっきりと見える大きさ

の資料や地図を用意する。

● 事前に聞き取りをして,提示

物の準備や発表の練習をして

おくことにより,自信をもっ

て母国の様子を紹介できるよ

うにする。

● 日本語の力に合わせて紹介

方法を考えることにより,わ

かりやすく紹介できるように

する。(自分で紹介する,担任

の質問に答えるなど)

・日本とよく似ていることと,ま

ったく違うことがあることに

気づくことができるようにする。

● 日本語の力に合わせて通訳を

手配しておくことにより,

安心して受け答えできるよう

にする。

・感想は板書する。

・日本と比べてどうだったか,ど

のように感じたかという視点

で振り返る。

・板書を見て振り返りができる

ようにする。

●紹介してみてどうであったか

という視点を示すことにより,

振り返ることができるように

する。

24

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■題 材 「外国の学校で授業をうけてみよう」

■第 2時のねらい

・対象児童の母語を使った授業を体験することを通して,お互いの気持ちを理解し,ともに成長していこ

うとする心情を育てる。

・母語も日本語も身につけようとしている自分に誇りをもつ。

■第 2時の展開

学習活動 ○主な発問 ・予想される子どもの反応 ※資料 ・留意点 ●対象児童生徒への支援

1.前時の学習内容を思い

出す。

2.日本語以外の言語で

簡単な算数(数学)の

授業を受ける。

○今日はこれから~さ

んの通っていた学校

に行って授業を受け

てみましょう。

3.授業を受けて考えたこ

とや感想を出し合う。

○授業を受けて感じた

ことや考えたことは

ありますか。

4.対象児童生徒のおもい

を知る。

○~さんは日本に来て

から,どんなことを感

じたり考えたりした

のでしょう。

5.学習を振り返る。

○今日の学習で思った

ことや考えたことを

書きましょう。

※提示用の世界地図

・みんなで一緒にいくのかな。

※違う国に行く場面設定で使用する,

写真,効果音,資料など

・何を言ってるのかわからないよ。

・早く終わらないかな。

・数字を書いたから算数なのかな。

・~さんはわかっていてすごいな。

・何を言っているのかわからないから

困った。

・不安だった。

・~さんは全部答えていて,すごいな

と思った。

・言葉がわからなくて嫌だっただろう

な。

・日本語で上手に発表しているな。

※対象児童生徒が書いた作文のプリ

ント

・~さんは1年間でここまでがんばっ

てきてすごいな。自分もがんばろ

う。

・日本語がわからないときに,もっと

ゆっくり話しかければよかったな。

・もっと,フィリピンのことを教えて

もらいたいな。

・私も,日本のことでわからないこと

をもっと友だちに聞いていこう。

※振り返り用のワークシート

・第 1時の内容が想起できるよう

に,教室掲示等を工夫する。

・違う国の学校に行くということ

がイメージできる場面設定を

する。

例:飛行機やその国の写真を映し

出す。ゲストティーチャーとの

交代場面を工夫する,など

●対象児童生徒に,事前に授業

内容を説明することにより,

受け答えすることができるよ

うにする。

・ゲストティーチャーの授業は 10

分程度であったことを確認する。

・授業の中で受け答えしていた対

象児童生徒の様子にもふれる。

・感想や考えたことを板書する。

●事前に母語での作文や聞き取

りを通して作文を準備し,練習

しておくことにより,自信をも

って表現することができるよ

うにする。

・作文のプリントは発表が終わっ

てから配布するようにする。

・板書や,対象児童の作文のプリ

ントを見ることで,学習内容を

振り返ることができるように

する。

●学年全員の前で発表した自分

の気持ちや,板書で友だちの

感想を見直すことにより,学習

を振り返ることができるよう

にする。

ゲストティーチャーによる母語での授業

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Page 26: 「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順...Magpapaliwanag kami ukol sa pamumuhay sa eskuwela o kaya magtatanong ukol sa anak ninyo. Ihahanda rin naming ang tagapagsalin

「帰国・外国人児童生徒」の受入れ手順

平成24年6月発行

○発 行 京都市教育委員会学校指導課

○作成協力者 大菅 佐妃子 総合教育センター研究課 研究員

○連 絡 先 〒604-8571

京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地

℡:075-222-3815 FAX:075-231-3117