大型二枚貝タイラギの

垂下養殖技術について

説 明 資 料

西海区水産研究所 有明海・八代海漁場環境研究センター

タイラギ（平貝）

ズベ（タイラギ） ケン（リシケタイラギ）

■ 有明海におけるタイラギ漁獲量の変動 ■

元々変動幅が大きいが、近年は振幅が小さい

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

1958

1960

1962

1964

1966

1968

1970

1972

1974

1976

1978

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

漁獲

量（殻

付き

重量

；t)

年

熊本

福岡

佐賀

長崎

伊勢･三河湾

播磨灘・備讃瀬戸

伊予灘 有明海

貧酸素＆立ち枯れ

現在の漁場

タイラギにとって住みづらくなった海底から切り離し

大量死亡からの回避

減耗要因（生物・物理環境）海底

海面

タイラギ養殖

タイラギ養殖の工程

人工稚貝

6月

（採卵）

種苗生産 中間育成 養殖

8月

(殻長3cm)

8月～12月

(殻長3cm→10cm)

0才12月～1才12月

(殻長10cm→20cm)

0+才4月

(殻長12cm-13cm) 天然稚貝

着底稚貝

6月

（産卵） ｜ ｜ ｜

｜ ｜ ｜ ｜ ｜ ｜

｜

｜ ｜

タイラギ幼生浮遊の分布

技術開発

（2006-2008年)

付着生物

省コスト

実証試験

（H2009-2011年）

【図１】

９．増水位

８．初水位

７．間歇作動用電動ﾀｲﾏｰ

３．水中ポンプ

１．飼育水槽

５．噴霧水貯水槽

４．噴霧ノズル

６．噴霧水供給用水中ポンプ

２．定量・小噴量式噴霧装置部

噴霧ノズルからの矢印（点線）および飼育水中の矢印（実線）は、それぞれ噴霧水および飼育水の動きを示す

【図１】

９．増水位

８．初水位

７．間歇作動用電動ﾀｲﾏｰ

３．水中ポンプ

１．飼育水槽

５．噴霧水貯水槽

４．噴霧ノズル

６．噴霧水供給用水中ポンプ

２．定量・小噴量式噴霧装置部

噴霧ノズルからの矢印（点線）および飼育水中の矢印（実線）は、それぞれ噴霧水および飼育水の動きを示す

９．増水位

８．初水位

７．間歇作動用電動ﾀｲﾏｰ

３．水中ポンプ

１．飼育水槽

５．噴霧水貯水槽

４．噴霧ノズル

６．噴霧水供給用水中ポンプ

２．定量・小噴量式噴霧装置部

噴霧ノズルからの矢印（点線）および飼育水中の矢印（実線）は、それぞれ噴霧水および飼育水の動きを示す

タイラギの幼生は水面に張り付いて死んでしまうので対策が必要

2006年度に1500個体の生産に成功

しかし，それ以降再現性が得られず

（種苗の安定供給＝タイラギ養殖の大きな課題

26-Aug 15-Sep 5-Oct 25-Oct 14-Nov 4-Dec 24-Dec 13-Jan 2-Feb0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100殻長(mm)

ｱﾝｽﾗｻｲﾄサンゴ砂海砂珪砂

アンセラサイト（無煙炭）が最も適していた

カップ等に詰めて海面でも育成試験を実施

9

人工採苗貝

垂下養殖における殻長および生残率の推移

2007.2.26～2008.5.7 （436日間）

40

60

80

100

120

140

160

180

2007/2/1 2007/7/1 2007/12/1 2008/5/1

shell lengt

h (

mm

)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

surv

ival ra

te

shell ｌengｔh (mm)

survival rate （%）

真珠（アコヤガイ）養殖用ネットを改良したもの

一方で，現場で実際に養殖するには・・・

１．豊穣の海＝付着生物との戦い

２．施設＝波浪対策＆コスト削減

３．儲かる？＝コスト計算

有明海漁業振興技術開発事業（実証化）

改良点：ネット

１．段ネットの改良 ポケット（2ポケット×3段）を作ることで大部分の親貝を垂下することが可能。 ２．付着生物対策 付着物抑制対策として生地の部分にシリコン系防汚剤を塗布した。 ３．コスト削減と省力化 本ネットは価格が安く、付着生物の抑制効果にも優れています。また小さなものは、最大で12～24貝収容可能。ネットは錆が出ないように樹脂コートされており、丈夫で軽量。

１．コスト削減

波浪につよく，耐久年数の長い，ロープ筏を設置（3倍以上の耐久年数）。

２．効率化

筏の4倍を垂下可能。

３．省力化 ロープやフロートなども同様の防汚処理を施すことで、一定期間の付着生物抑制効果。

改良点：筏

さらに大きな成果が!!

１．わずか2～3ヶ月の垂下で貝柱の重量が2～3倍になること

を3年連続で実証。 ２．9月～12月の短期養殖で高品質かつ集約的な生産が可能。 ３．1筏あたりで黒字になると算出。

左：養殖，右：天然

タイラギ養殖の可能性

人工稚貝

6月

（採卵）

種苗生産 中間育成

8月

(殻長3cm)

8月～翌8月

(殻長3cm→15cm)

翌年4月

(殻長10cm) 天然稚貝

着底稚貝

6月

（産卵） ｜ ｜ ｜

｜ ｜ ｜ ｜ ｜ ｜

｜

｜ ｜

タイラギ幼生浮遊の分布

重点課題

そのままでは貧酸素・立ち枯れで死亡

中間育成

翌年4月～8月

(殻長10cm→15cm)

養殖

翌年8～12月

(殻長15cm→20cm)

貝柱3倍

安定供給

対策急務

タイラギ資源の現状と養殖を用いた回復

貧酸素水

海 面

立ち枯れへい死

衰弱・死亡

養殖生産 高付加価値

環境の改善

二枚貝類復活

発現機序解明

長期的取り組み

養殖による生産向上

健全な母貝の確保

環境浄化

短期的取り組み

母貝集団

このままでは回復の見込みがない

天然稚貝を有効利用

主力漁場

天然稚貝を有効利用