日本の大学入学試験における波及効果の可能性 一ライティングテ...

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 81 日本の大学入学試験における波及効果の可能性 一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 木幡 隆宏 The Possibility of Washback Effect i皿th JapaneSe U皿iverSity EntranCe Examina Focusing on the A皿alysis of Writing Tes Takahiro Kowata Abstract The present study investigated the possibility of the washback effe in the context of Japanese university entrance examinations based o analysis methods. The first method was classifying晒iting tests in reordering, translation, su㎜arization, and written composition was classifying the tests of written composition into four rhetorica suggested five predictions of the washback effect. First, writing done less than reading ones in English I and II classes. Second, sum would be rarely done in English classes. Third, teachers whose s enter a private university would put stress more on reordering or o writing in their classes. Fourth, students’ability to write objec would be especially increased. Finally, students would get les chronological narratives.

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 81

日本の大学入学試験における波及効果の可能性

一ライティングテスト分析に焦点を当てて一

木幡 隆宏

The Possibility of Washback Effect i皿the Context of

    JapaneSe U皿iverSity EntranCe ExaminatiOnS:

      Focusing on the A皿alysis of Writing Tests

Takahiro Kowata

Abstract

  The present study investigated the possibility of the washback effect of writing tests

in the context of Japanese university entrance examinations based on two types of test

analysis methods. The first method was classifying晒iting tests into four test types:

reordering, translation, su㎜arization, and written composition. The other method

was classifying the tests of written composition into four rhetorical types. The results

suggested five predictions of the washback effect. First, writing activities would be

done less than reading ones in English I and II classes. Second, sumrnarizing actiVities

would be rarely done in English classes. Third, teachers whose students wished to

enter a private university would put stress more on reordering or other skills than on

writing in their classes. Fourth, students’ability to write objectively and logically

would be especially increased. Finally, students would get less ability to write

chronological narratives.

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82 木幡 隆宏

1研究の背景

2 先行研究と研究の目的

3 調査

 3.1調査対象

 3.2 調査方法

4 結果

 4.1形式の種類

 4.2 文体の種類

5考察 5.1大学入学試験のライティング問題の形式

   から予測される波及効果

 5.2 大学入学試験の英作文問題の文体から予

   測される波及効果

6 結論と今後の課題

1研究の背景

 日本の大学入学試験制度は非常に複雑であり、

大きく推薦入試、AO(アドミッションズ・オフ

ィス)入試、一般入試に分かれる。推薦入試には

指定校推薦と自己推薦があり、主に高校在学時の

実績が大学入学の判断材料となる。AO入試は受

験者の入学後の見通しを中心に大学入学の可否が

判断される。また、一般入試では、すべての国公

立大学受験者が受験しなければならないセンター

試験に加え、大学独自の試験も多くの大学で課せ

られる。同時に私立大学にもこのセンター試験を

課す場合があるが、多くは大学独自の試験を課し

ている。

 2006年度より、日本の大学入学試験制度の中で

最も多くの受験者を持つセンター試験において、

英語科目にリスニングが導入されたことで、リス

ニング能力を測定するという目的と同時にその波

及効果が期待されている。一方、センター試験は

マークシートで実施されているため、ライティン

グとスピーキングテストが実施されていない。大

学独自の入学試験を見てみると、英語を試験科目

のひとつとしている大学は全てではないがライテ

ィングテストを導入しており、高校の授業へ何ら

かの波及効果が期待できる。本研究ではその大学

独自の入学試験の英語ライティング問題の波及効

果に焦点を当てて論じる。

2 先行研究と研究の目的

 1990年代からAlderson&Wal(1993)の波及

効果仮説(Washback Hypotheses)を検証した研

究をきっかけに言語テストの波及効果研究が徐々

におこなわれるようになってきた。それと同時に、

波及効果を妥当性の一部として考えるべきである

と考える研究者(Frederiksen and Colhns,1989;

Alderson and Wal,1993;Messick,1996)もおり、

テストにおけるその重要性が認識されてきている。

 Bailey(1996)はそれまでの研究をもとに波及

効果のモデルを視覚的に示した(図1)。このモ

デルでは、テストが学習者、教師、教材やカリキ

ュラム開発者、研究者に影響を与え、それらが直

接または間接的に学習や指導、教材やカリキュラ

ムに影響を与えるということを示している。しか

し、ここで問題になってくることは、どのような

影響を与えるのかということである。テストが変

わればその通りに学習や指導が変わるのだろうか。

実際はそうではなかった。テストは指導内容に影

響を与えるが、その方法には必ずしも影響を与え

るとは限らない(Alderson and Wall,1993)。また、

テストに影響を受ける教師とそうでない教師が存

在し、テストそのものよりも彼らの信念が指導の

変化を決める要因になっているようなのだ

(Watanabe,1996)。それと同時に、教師の能力や

自信なども負の波及効果をもたらす要因になって

いる(Wal and Alderson,1996)。また、妥当性の

高いテストのみが正の波及効果をもたらすわけで

はなく、妥当性の低いテストも正の波及効果をも

たらすこともある(Messick,1996)。これらの研

究からも分かるように、テストの波及効果の仕組

みは非常に複雑であり、様々な要因が影響してい

る。これまで波及効果研究の対象となった主なテ

ストには、TOEFL(Alderson and Hamp-Lyon,

1996;Hamp-Lyon,1998など)やIELTS(Hayes

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 83

PARTICIPANTS PROCESS PRODUCTS

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Abasicmodel ofwashback(Bailey,1996より引用)

d Read,2004;Green,2007など)、大学入試やそ

準じるテストに限ると、スリランカlderson and Wall,1993)やイスラエル

hohamy, et al.,1996)、ブインランド(Huhta et

,2006)、香港(Cheng,1997など)、中国

uxia,2005)などがある。しかし、これらの研

果は必ずしも一致していない。テストの波及

はコンテクストに依存する部分がありheng and Curtis,2003)、その研究結果の解釈も

テクストの要因を考慮にいれる必要がある

atanabe,1996)からだ。

れでは、日本の大学入試とはどのようなコン

ストでおこなわれているのだろうか。多くの

者は一般入試に合格することで大学に入学し

り、一般入試にはセンター試験と大学独自の

がある。先にも述べた様に、センター試験に

イティングとスピーキング問題がなく、その

つの技能が直接測定されていない。スピーキ

問題については、各大学独自の試験において

施されている大学は殆どない。一方、ライテ

グ問題については、各大学独自の試験におい

施されている大学もあり、そのライティング

が受験者または教師に影響を与えているので

いだろうか。しかし、出題される内容は各大

よって異なり、その波及効果を研究するには

らのテストの分析が必要不可欠である。

ストには、測定方法によって大きく直接テス

間接テストに分類される。リーディング、ラ

ィング、リスニング、スピーキングの4技能

ち、受容技能であるリーディングとリスニン

目に見えない活動であるため、その能力測定

ずと間接テストに頼ることになる。ライティ

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84 木幡 隆宏

ングとスピーキングは産出技能であるため、その

能力を直接測定することができる。それと同時に

間接的にも測定することが可能である。Hughes

(2003)は直接テストの利点として、作成とその

結果の解釈が容易であるという点に加え、その練

習が促進したい技能の練習を含むために波及効果

が期待されるという点を挙げている。つまり、間

接テストより直接テストの方がよい波及効果が期

待できる。

 ライティングの直接テストの特徴を示すものと

して、文章の文体、トピック、制限語数などがあ

る。文体については、Beck and Jeffery(2007)

が、説明(explanation)、物語(narrative)、報告

(report)、意見(argument)の4つに分類してお

り、その構成やレジスターの特徴を示している

(付録1)。また、Bain(1890)は語り文(narra-

tion)、描写文(descriptive)、説明文(exposi-

tion)、論証文・意見文(argumentation)の4つ

に分類しており、大井他(2008)がその文体の特

徴とよく使われる表現を紹介している。

 この2種類の分類のうち、物語と語り文、意見

と論証文・意見文は内容が一致している。Beck

and Jeffery(2007)と大井他(2008)によると、

物語・語り文とは、ある状況における特定の人物

の視点から出来事が時系列に書かれた文章のこと

であり、過去形の動詞、人称名詞、時系列的な出

来事の表現を助ける接続詞や副詞が多く使用され

る。意見・論証文・意見文は、著者の立場を明ら

かにしてその意見を客観的かつ論理的に書かれた

文章のことであり、現在形の動詞、抽象的な概念

を示す名詞の他に引用などが使用される。また、

Bain(1890)の説明文はBeck&Jeffery(2007)

の報告と説明を含んでいるものであり、事実や物

事を論理的に解説したり、情報を伝えたりする文

章のことである。「過程」、「分類」、「原因と結果」、

「比較と対照」、「問題解決」を表す文章に分けら

れ、現在形の動詞と無生物名詞が多く使用される。

また、描写文とは、人やもの、場所など知ってい

るものを相手に伝える文章であり、様子を表現す

る形容詞や場所を表す前置詞または前置詞句が多

く使用される。

 大井他(2008)はそれらの文体と学習段階ごと

に授業実践例を紹介している。そのことからもわ

かるように、文体は指導を考える際の重要な要因

になっている。

 ライティングテストを特徴付ける観点として、

直接テストと間接テストという特徴の他に、問題

の形式がある。松井他(2007)では受験者が書く

量が節以上であるライティング問題を、和文英訳、

英問英答、要約、条件作文、自由作文の5種類に

分類している。英問英答はある文章について英語

で質問され、英語で答えることを求められる問題

を意味し、条件作文と自由作文の違いは「内容的

(トピックより詳細)、言語材料的制約があるか」

で、制約がある問題を条件作文、制約がない問題

を自由作文としている。この5種類の問題形式の

他のライティング問題のひとつに、並べ替え問題

がある。これは、文字、語、文、パラグラフを正

しい順番に並べ替えるという形式で、日本では多

く使われている。しかし、この問題は直接的なラ

イティング問題の並存的妥当性を満たしていない

(perkins, et・al.,1991)という研究もある。

 以上で述べてきたように、波及効果はテスト内

容だけでなくコンテクストによってその効果が異

なる。Bro㎜(1997)はその波及効果に影響を及

ぼす要因を“prestige factors”、“test factors”、

“people factors”、“curriculum factors”の4つの

カテゴリーに分類した(付録2)。ここで示され

る“垂窒?唐狽奄№?@factors”とはテストの威信や結果の

重要度に関係する要因のことであり、“test fac-

tors”はテストの目的や形式などテストが持つ特

徴、“people factors”は受験者のテストに対する

不安など人が持つもの、“curriculum factors”は

テストと授業の一致度などカリキュラムや授業に

関係する要因のことを指す。また、各カテゴリー

には6ずつのサブカテゴリーが設けられている。

日本の大学入学試験のライティング問題がどのよ

うな波及効果をもたらすかは、それらの要因で大

きく左右される。

 本研究では、日本の大学入学試験のライテイン

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 85

グ問題を分析することで、その波及効果の可能性

を探る。その際、大学独自の入学試験が大学によ

って異なっていることから、分析には“test fac-

tors” ノ焦点を当てることとする。

表1 調査対象となる大学入学試験の内訳

国公立 私立 合計

2006年度

2007年度

 大学数学部・学科数

 大学数学部・学科数

80

93

82

95

99 179150 24395 177147 242

3 調査

3.1調査対象 2006年度と2007年度の日本の大学入学試験問題

(旺文社、2007a、2007b、2008a、2008b)を調査

対象とした。2006年度の大学入学試」験は179大学

(国公立:80;私立:99)から243学部・学科(国

公立:93;私立:150)を、2006年度の大学入学

試験は179大学(国公立:82;私立199)から243

学部・学科(国公立:95;私立:150)を含んで

おり(表1)、日本の主要な大学の入学試験を包

括している。

3.2 調査方法

 まず、調査対象となる試験問題からライティン

グ問題を、形式別に並べ替え、和文英訳、要約、

英作文(自由作文と条件作文)に分類した(問題

例は付$.X 3. 1-3 .5を参照)。分類には松井他

(2007)の分類のうち、和文英訳、要約、条件作

文、自由作文の分類方法を参考にした上で、条件

作文と自由作文をひとつのカテゴリー(英作文)

にした。英問英答(英語の質問に対してその答え

を英語で答えることを求める問題)はリーディン

グ能力を測定している問題の解答方式として使わ

れている場合が殆どだったため、今回の調査対象

には含めなかった。また、並べ替え問題は直接的

なライティング問題の並存的妥当性を満たしてい

ない(Perkins, et・at.,1991)という研究があるが、

ライティング能力の下位能力を測定しているだろ

うという点と、高校の教科書に含まれている活動

であるという点から今回の調査対象に含めた。

 次に英作文の文体について分析した。分類には

日本の大学入試で見られる描写文(description)

を含んでいる点と、Beck and Jeffery(2007)の

分類内容はBain(1890)の分類に含まれている

点から、Bain(1890)の語り文(narration)、描

写文(descriptive)、説明文(exposition)、論証

文・意見文(arg㎜entation)の4種類に分類方

法に倣うこととし、その判断には問題文と解答例

(旺文社、2007a、2007b、2008a、2008b)に加え、

大井他(2008)とBeck and Jeffery(2007)で示

している各文体の特徴を参考にした。

 最後に上記の分析結果と問題文を質的に分析し

て考察した。また、その際にはセンター試験を必

ず受験する国公立大学とそうではない私立大学を

分けての考察も行った。

4 結果

4. 1形式の種類

 表2は、ライティング問題形式について、出題

している試験の数とその割合で示している。年度

によって出題されている問題形式に大きな差がな

かったため(付録4,1、4.2参照)、ここでは2年

分の試験問題を合計した結果のみを示す。条件作

文と自由作文の数値の和が英作文の数値と一致し

ていないのは、条件作文と自由作文両方を出題し

ている試験が存在したということと、英作文問題

が出題されていたが、著作権の問題で問題の詳細

が確認できず、条件作文であるか自由作文である

か判断できなかった問題が含まれているという理

由からである。

 大学全体で出題されているライティング問題形

式の傾向を見ると、並べ替え、和文英訳、英作文

が30%前後の試験で出題されている一方で、要約

はほとんどの試験で出題されていないことがわか

る。国公立大学と私立大学の数値を比較すると、

大きな差があることが分かる。要約問題ではその

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86 木幡 隆宏

表2ライティング問題の形式(2006-07年度)

国公立大学(188) 私立大学(297) 合計(485)

問題の種類出題数

出題割合 (%)

出題数     (%)

出題割合     出題割合出題数     (%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文(①or②or省略)

⑦要約まで(⑥or③)

⑧和文英訳まで(⑦or④)

⑨並べ替えまで(⑧or⑤)

⑩出題されていない

73

42

 8

89

17

110

110

166

169

19

38.83

22.34

4.26

47.34

9.04

58.51

58.51

88.30

89.89

10.11

25

 5

 451

143

26

23

79

203

94

8.42

1.68

1.35

17.17

48.15

8.75

7.74

26.60

68.35

31.65

98

47

12

140

160

136

133

245

372

113

20.21

9.69

2.47

28.87

32.99

28.04

27.42

50.52

76.70

23.30

表3 文系理系別ライティング問題の形式(2006-07年度)

国公立大学(84) 私立大学(218)

問題の種類文系(53) 理系(31) 文系(171) 理系(47)

    出題割合出題数        出題数     (%)

出題割合        出題割合                 出題割合    出題数             出題数 (%)         (%)                  (%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文①or②or省略⑦要約まで⑥or③

⑧和文英訳まで⑦or④

⑨並べ替えまで⑧or⑤⑩出題されていない

45.28

16.98

5.66

39.62

5.66

62.26

62.26

79.25

83.02

16.98

29.03

16.13

0.00

25.81

9.68

41.94

41.94

61.29

67.74

32.26

9.36

2.34

2.34

22.22

39.18

11.70

14.04

33.92

67.84

32.16

001

6.38

0.00

0.00

14.89

65.96

6.38

6.38

17.02

78.72

21.28

差はほとんどないものの、他の問題形式では大き

な差がみられる。自由作文、条件作文、和文英訳

の各問題を出題している大学の割合は、国公立大

学が私立大学を大きく上回っているが、並べ替え

問題では、私立大学での出題割合が上回っている。

さらに、自由作文、条件作文、要約、和文英訳問

題のいずれかが出題されている割合(⑧)は、国

公立大学が大きく上回っている(国公立大学:

88.30%、私立大学:26.60%)。このことから、

実際に英語を書く問題が出題されている割合は国

公立大学の方が圧倒的に多いことが分かる。

 表3は、文系と理系の大学(学部)別に、ライ

ティング問題形式を出題している試験の数とその

割合で示している(文系と理系両方の学部に同一

の試験を実施している問題は除外されている)。

年度によって出題されている問題形式に大きな差

がなかったため(付録5.1、5.2参照)、ここでは

2年分の試験問題を合計した結果のみを示す。国

公立大学、私立大学ともに、自由作文、条件作文、

要約、和文英訳問題は文系が、並べ替え問題は理

系が上回る結果となった。しかし、各問題の差は

2.34~16.78%と大きくはなかった。

4. 2文体の種類

 表4は、大学入学試験に出題されている英作文

において、書くことが求められている文体の種類

の数と割合を示している。国公立大学、私立大学

とも年度によって出題されている英作文の文体の

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 87

表4 英作文の文体(2006-07年度)

文体国公立大学(119) 私立大学(31) 合計(150)

出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%)

語り

描写

説明

論証・意見

その他

10.92

6.72

9.24

68.07

5.04

   2

6.45

0.00

9.68

77.42

6.45

15

 814

105

 8

033031   

種類に大きな差がなかったため(付録6.1、6.2参

照)、ここでは2年分の試験問題を合計した結果

のみを示す。今回の分類方法には当てはまらなか

った問題はその他とした。その例として、Eメー

ルで用件を伝えるという問題が挙げられる。

 全体的な傾向として、論証文・意見文を書かせ

る問題が70.00%と非常に高い割合を占めていた

が、他の文体の割合は非常に小さかった(語り

文:10,00%、描写文:5.33%、説明文:9.33%)。

また、国公立大学と私立大学では大きな差は見ら

れなかった。

5考察5.1大学入学試験のライティング問題の   形式から予測される波及効果

 テストの波及効果はその環境差や個人差による

ところがあることは先にも述べた。ここでは、大

学入学試験の波及効果の可能性を探るという目的

のため、教師は出題傾向を明示的もしくは経験的

に認識しており、大学入学試験がすべての教師、

すべての教室環境に影響を与えると仮定し、調査

結果からどのような波及効果が起こり得るか予測

する。

 まず、実際に書くことが求められるライティン

グ問題は約50%(並べ替え問題を含めると約

75%)の大学入学試験で出題されていることが分

かったが、リーディング問題が今回調査したすべ

ての試験に含まれていたということと比較すると、

この数字はかなり低い。高校の外国語科の授業に

は、オーラル・コミュニケーション1、オーラ

ル・コミュニケL-一・・ションll、英語1、英語ll、リ

ーディング、ライティングの6種類の科目がある。

オーラル・コミュニケーション1、オーラル・コ

ミュニケーション]1では「聞くこと及び話すこ

と」が、リーディングでは「読むこと」、ライテ

ィングでは「書くこと」を重点に置き「積極的に

コミュニケーションを図ろうとする態度」を育成

することを目的としているが、英語1では、「聞

いたり読んだりしたことを理解し、その内容につ

いて、自分の意見をまとめ、それを発表したりす

るような、総合的な言語活動」を、また英語11で

は、「聞いたり読んだりしたことを理解し、その

内容について、その要旨を書いたり、話し合った

りするような、総合的な言語活動」を行うことを

目的としている(文部省、1999)。つまり、英語

1及び英語IIでは他の教科とは異なり、4技能の

どれかに特別重点を置くことなく、そのすべてに

ついての活動をカバーしなければならない。しか

し、大学入試でのライティング問題の実施状況か

ら、英語1及び英語Hの授業ではリーディング活

動に比ベライティング活動にはあまり重点が置か

れなくなってしまうということが予測される。

 次に、要約の問題はほとんどの試験で出題され

ていなかった。このことから、授業では概要や要

点を書く活動がほとんど実施されないということ

が予測される。

 また、国公立大学と私立大学で出題されている

ライティング問題の形式には大きな違いがあるこ

とが分かった。私立大学は英作文が10.10%、和

文英訳が17.17%と、国公立大学の55.32%と

47.34%に遠く及ばない。これは、受験者数と採

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88 木幡 隆宏

点の容易さが関係していると思われる。国公立大

学の入学試験には前期試験、中期試験、後期試験

と日程が3つに分かれ、多くの国公立大学はこの

うち2つの日程で試験を実施する(1つの日程の

大学もあるが、3つの日程で実施する大学はな

い)。受験者は最大で3回しか国公立大学の試験

を受けることができない。一方の私立大学の入学

試験は日程が大学または学部や学科によって様々

であり、受験者は日程が重ならなければいくつの

大学でも受験することができる。そのため、受験

者数が自ずと多くなる私立大学では、採点に労力

がかかる英作文や和文英訳問題を出題しない傾向

にあるのではないだろうか。このことから、私立

大学を受験する生徒が多い学校やクラスでは、英

作文や和文英訳の活動はあまりおこなわれないと

いうことが予測される。その代わりに並べ替え問

題の対策、もしくは他の技能に関係する活動に重

点を置くということが考えられる。そして、これ

らのことは文系クラス、理系クラス問わず起こる

だろう。

6 結論と今後の課題

今回の調査結果から、大学入学試験のライティ

ング問題がもたらす波及効果として、主に以下の

5点が予測される。

・総合的な英語学習の教科である英語1・Irの

授業ではライティング活動を行う時間がリー

ディング活動を行う時間より少ない

・概要や要点を書く活動はあまり行われない

・私立大学を受験する学習者や私立大学を受験

する生徒が多い学校の教師は英作文や和文英

訳よりも並べ替え問題又は他の技能を重視す

・ライティング活動では論証文と意見文が多く

扱われ、生徒は意見を客観的にまたは論理的

に書く能力がよく育成される

・ライティング活動では語り文があまり扱われ

ず、生徒は時系列的な出来事を表現する能力

があまり育成されない

5.2大学入学試験の英作文問題の文体か   ら予測される波及効果

 英作文の文体は論証文と意見文が70.00%と他

の3種類を大きく上回った。このため、授業では

論証文・意見文を書く機会が多くなり、語り文や

描写文、説明文を書く機会が少なくなっているの

ではないだろうか。文章の言語的特徴は文体によ

って異なり、扱う文体の偏りは指導内容の偏りを

引き起こすことが予測される。その結果、意見を

客観的にまたは論理的に書く能力は育成されるが、

出来事を時系列に書いたり、人やものの見たまま

の様子を書いたりする能力があまり育成されない

可能性がある。具体的には、現在形の動詞や抽象

的な概念を示す名詞を用いた文章はよく書けるが、

それと比べて、過去の出来事や物事の様子を表現

することや、時系列的な出来事や位置関係を表現

することが苦手な学習者が多くなっているのでは

ないだろうか。

 これらは、Brown(1997)がまとめた波及効果

に影響を及ぼす要因の中の“test factors”の一部

である“format of the test”を分析して予測した

ものであるが、その要因が波及効果の源となって

いることは間違いない。

 しかし、テストの波及効果にはテストそれ自体

だけでなく、教室環境や教師の信念など、他の

様々な要因が関係しているため、今後これらの影

響が実際に起こっているかは実証的な研究が必要

である。

 今回の調査の問題点としていくつかの点が挙げ

られる。Hamp-Lyon(1991)はライティングの

直接テストを100語以上のものと定義しているが、

日本の大学入学試験問題で100語以上書くことを

受験者に課している問題は少なかったことから、

今回の調査では受験者に求められる語数を制限し

なかった。そのため、“test factors”が十分に分

析されず、予測の検討が不十分である。また、こ

の他に“test factors”として分析しなければなら

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 89

なかった点があるかもしれない。今後はそれらを

検討し、さらなる分析を加えるとともに、授業観

察や生徒のライティング能力を調査するなどの実

証的研究を進める必要がある。

                 謝辞

 本稿の執筆に当たって、助言を頂いた東京外国

語大学英語学習支援センターのヤスミン・ロメロ

先生に心から感謝致します。

参考文献

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旺文社(2007b)

旺文社(2008a)

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  classroom-based research. LαngzLαgθTest乞γzg,13,318-333.

付録1

Key structural and register features of genres encountered in the benchmark papers(Beck&Jeffery,2007)

Genre Structure Register Feature Example

Explanation

Narrative

Report

Argument

Organized around a logical se-

quence of how something works,

or why something is so;Content

separated血to sections based on

thematic relevance

Begins with an orientation to

characters and setting and es-

tablishrnent of point of View;

Subsequent sections are usualy

temporally organized in chrono-

logical order

Introduction usualy contains a

general classification statement

about the topic to be discussed;

Information is organized logi-

caly and thematicaly, not tem-

porally;Conclusions usualy oP-

tional

Thesis or position statement in

the introduction is foUowed by a

body that contains evidence to

supPort this thesis, then  a

conclusion that reiterates the

writer’s position

Verbs usually in declarative mood

and  often  in  present tense.

∧lozens often represent non-hu-

man participants, Or groups

rather than individual actors,

especially in scientific contexts

∧[ozLns:Human agents are the

most common participants. Verbs

are typically in past tense;action

verbs predominate although exis-

tential and relational verbs may

be employed in the writer’s

renections  on  the  narrative.

Conjunct乞07乙sα7z(1.Aelvθr~)s sup-

port chronological ordering of the

events.

Language is precise, technical

and factual.“_ohicαnθs, bθ?z〔ls,

αnd dθの乞鋤oγzs_γoαdzvay de一

吻η8_fixθd吻ects,”VeTbs:

Existential(is, was)and Relatio-

nal verbs predominate;Passive

verbs are cornmonly employed to

convey obj ectivity.∧lozens:Noun

packing iS a common tendency-

nouns and a(ljectives combined to

form a nominal group;Non-hu-

man or generic participants are

CO㎜on agents.

レ診rbs:Declarative mood choices

help to present statements;tirne-

less  present  tense. 1Vヒ)τ↓7乙s:

Typically refer to abstract con-

cepts or generalized participants.

Verbs:Modals employed to ex-

press the degree of certainty/

commitment of the writer.

“The[f. s. dollαr is one(~f tんθ

most stαblθ α?Z(I rθtaα~)tθ C?Lγ一

γθnc乞θS O7↓王]αrth 

‘7んαnded tんθpapθrs bαcん

Sω碗Zy, much to thθ CO吻8乞on

qr thθαc励佃,αnd sαid∫

woutd tαんθ?ZO S乞des. Then

lOOん仇9鋤0んis eyes 1 toldん伽

プdcθ toプdce thαt by doang whαt

tんey?vere do仇9, tんθαctivists

2〃θre hetPtn9 no onθ”

‘‘

Q chicanes, bends, and devia-

tions... roadway designs... fixed

objects,”“This problem also can

be remedied by good comm迦ty

design which promotes safe,

heart-hθαltんy  wαtんing”  ‘‘ln

αddition to poor street lαyoτet

α閲ぬが7c spθθds, commzen吻

plαnnMg乞8α膓80αproblemthαt invotvθs especiαlly c励一

deen once agαin.”

‘C

撃伯薰T?zot good, bzet・evil thαt乞5

f‘)resωom to.failZLre, time and

timθ agαin.”

‘‘

goweveγ~tんere alwαys seems

to be one incidθnt thαt seem8

to(LffectαPθγSO咋励posi-tively.”

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて 91

付録2

波及効果に影響を与える要因(Brown,1997)

f)γθStigθプ’actoTS

Prestige or status of the test(Gates,1995;Alderson&Hamp-Lyons,1996)

Status of the subject-matter of the test(Shohamy, et al,1996)

Perception of quahty and importance of the test(Shohamy,θt at,1996)

Degree to which at test has a monopoly on assessment(Gates,1995)

Level of stakes(Alderson&Hamp-Lyons,1996;Shohamy, et al,1996)

Use to which the scores will be put(Shohamy, et al,1996)

Testfactors

Nature of the test(purpose)(Shohamy, et at,1996)

Format of the test(Shohamy, et aI,1996)

Skills being tested(Shohamy, et al,1996)

Accuracy the scores(Gates,1995)

Utility of the test and its results(Gates,1995)

Practicality of the test(Gates,1995)

PθOl)tθ factOTS

1 The degree to which students and parents are aware of the existence and content of the test(Shohamy,θt at,

1996)

How students and parents perceive effects of test results(Shohamy, et at,1996)

Student anxiety(Gates,1995)

How the various language inspectors view the role, status, and impact of the test(Shohamy,θt al,1996)

The extent to which the test has a changed the prestige and position of the areas tested(Shohamy, et ae,1996)

Transparency of the informatj on provided by the test to teachers, students, parents, etc.(Gates,1995)

Cz6rriCZLtZLm factors

6

Match of test to current teaching practices(Alderson&Hamp-Lyons,1996)

Effect of test on promoting leaning(Shohamy,θt al,1996)

Types of classroom activities and time allotted for each(Shohamy, et at,1996)

The extent to which the test has generated new teaching materials(Shohamy,θt al,1996)

The extent to which teachers and textbook writers think about appropriate methods of test preparation

(Alderson&Hamp-Lyons,1996)

The extent to which teachers and textbook writers are willing and able to㎞ovate(Alderson&Hamp-Lyons,

1996)

付録3 ライティング問題例(旺文社、2007a、2007bより抜粋)

付録3..1 自由作文問題例(2006年度茨城大学教育学部前期日程より)

  あなたが今までにもらったプレゼントの中で最も印象に残るものについて、 120~140語の英語で書きなさい。

付録3.2 条件作文問題例(2006年度神戸市外国語大学前期日程より)

  Describe an episode in your life in which you disobeyed or wanted to disobey someone in authority, whether a parent,

 teacher, coach, classmate, brother, sister or someone else. Do you regret your behavior, or are you glad about it?What

  did you learn?Write approximately 100 words in English.

付録3.3 要約問題例

  次の文章を読んで、

  語で書きなさい。

(2006年度東京外国語大学前期日程より)*(1)が要約問題例

(1)その内容を200語程度の英語で要約し、(2)その内容についてのあなたの意見を200語程度の英

(省略 失敗から学ぶという内容について1000語程度の日本語の文章)

付録3.4和文英訳問題例(2006年度東北大学前期日程より)

  次の文章の下線部①、②を英語に訳しなさい。

  ①訪れた異国の印象を語ろうとするとき、私がまず思い浮かべるのは、 食物でも建物でもなく、私と言葉をかわし

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92 木幡 隆宏

た人の顔であり、考え方である。そこになにがあったかより、そこにだれがいたかをまず考える。出会った人間と

の付き合いが深いほど、その国に親しみを覚える。極端にいえば、友人ができればその国が好きになり、友人を通

してその国を見ようとする。②一つの偏見をもつことになろうが、逆に友人ももてずに一国を理解しがたい、との

思いがある。日本を嫌いぬいて日本から帰った外交官やビジネスマンには、不思議と日本人の友人がいない、という。

付録3.5 並べ替え問題例(2006年度立命館大学2月1日実施より)

 次の(A)~(F)それぞれの日本文と同じ意味になるように(  )内の語句を正しく並べかえ、(

 目と6番目にくるものの番号を記しなさい。

)内で3番

(A)練習すればするほどこの曲は簡単に演奏できるようだわ、と彼女は思った。

 She(1 it 2 more 3 noticed 4 practiced 5 she 6that 7the), the easier the piece seemed to get.

(以下Fまで省略)

付録4.1ライティング問題の形式の種類(2006年度)

問題の種類国公立大学(93) 私立大学(150) 合計(243)

出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文①or②or省略⑦要約まで⑥or③

⑧和文英訳まで⑦or④

⑨並べ替えまで⑧or⑤⑩出題されていない

36.56

24.73

4.30

48.39

7.53

55.91

55.91

84.95

86.02

13.98

11

 2

 2

26

70

 9

11

38

101

49

7.33

1.33

1.33

17.33

46.67

6.00

7.33

25.33

67.33

32.67

45

25

 671

77

61

63

117

181

62

18.52

10.29

2.47

29.22

31.69

25.10

25.93

48.15

74.49

25.51

付録4.2ライティング問題の種類(2007年度)

問題の種類国公立大学(95) 私立大学(147) 合計(242)

出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文①or @ or省略

⑦要約まで⑥or③

⑧和文英訳まで⑦or④

⑨並べ替えまで⑧or⑤

⑩出題されていない

41.05

20.00

4.21

46.32

10.53

61.05

61.05

91.58

93.68

6.32

14

 3

 2

25

73

17

12

41

102

45

9.52

2.04

1.36

17.01

49.66

11.56

8.16

27.89

69.39

30.61

53

22

 6

69

83

75

70

128

191

51

21.90

9.09

2.48

28.51

34.30

30.99

28.93

52.89

78.93

21.07

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日本の大学入学試験における波及効果の可能性一ライティングテスト分析に焦点を当てて一 93

付録5.1文系理系別ライティング問題の種類(2006年度)

国公立大学(41) 私立大学(111)

問題の種類文系(26) 理系(15) 文系(86) 理系(25)

    出題割合             出題割合出題数         出題数     (%)              (%)

    出題割合             出題割合出題数         出題数     (%)              (%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文①or @ or省略

⑦要約まで⑥or③⑧和文英訳まで⑦or④

⑨並べ替えまで⑧or⑤

⑩出題されていない

38.46

19.23

7.69

42.31

7.69

57.69

57.69

76.92

80.77

19.23

33.33

13.33

0.OO

20.00

6.67

40.00

40.00

53.33

60.00

40.00

6.98

2.33

2.33

24.42

39.53

9.30

11.63

33,72

69.77

30.23

8.00

0.00

0.00

16.00

64.00

8.00

8.00

20.00

80.00

20.00

付録5.2 文系理系別ライティング問題の種類(2007年度)

国公立大学(43) 私立大学(107)

問題の種類文系(27) 理系(16) 文系(85) 理系(22)

    出題割合             出題割合出題数         出題数     (%)              (%)

    出題割合             出題割合出題数         出題数     (%)              (%)

①自由作文

②条件作文

③要約

④和文英訳

⑤並べ替え

⑥英作文①or②or省略⑦要約まで⑥or③⑧和文英訳まで⑦or④

⑨並べ替えまで⑧or⑤

⑩出題されていない

51.85

14.81

3.70

37.04

3.70

66.67

66.67

81.48

85.19

14.81

25.00

18.75

0.00

31.25

12.50

43.75

43.75

68.75

75.00

25.00

1 11.76

2.35

2.35

20.00

38.82

14.12

16.47

34.12

65.88

34.12

1

4.55

0.00

0.00

13.64

68.18

4.55

4.55

13.64

77.27

22.73

付録6.1英作文の文体の種類(2006年度)

       国公立大学(54)   私立大学(13)     合計(67)問題の種類      出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%)

語り

描写

説明

論証・意見

その他

   3

11.11

7.41

11.11

66.67

3.70

7.69

0.00

7.69

76.92

7.69

747CU3   4

10,45

5.97

10.45

68.66

4.48

付録6.2 英作文の文体の種類(2007年度)

       国公立大学(63)   私立大学(17)     合計(80)問題の種類      出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%) 出題数 出題割合(%)

語り

描写

説明

論証・意見

その他

74554   4

10.77

6.15

7.69

69.23

6.15

5.56

0.00

11.11

77.78

5.56

   5

9.64

4.82

8.43

71.08

6.02