「2013年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~2013 年12月20日...

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調査の目的と実施要領 調査結果 開業者の属性とキャリア 開業の動機 企業の属性 開業費用と資金調達 開業後の状況 まとめ 2013 12 20 日本政策金融公庫 「2013年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~ <問い合わせ先> 日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第一グループ TEL 03-3270-1687 担当 金岡、藤井

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  • Ⅰ 調査の目的と実施要領Ⅱ 調査結果

    1 開業者の属性とキャリア2 開業の動機3 企業の属性4 開業費用と資金調達5 開業後の状況

    Ⅲ まとめ

    2013 年 12 月 20 日日本政策金融公庫総 合 研 究 所

    「2013年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~

    <問い合わせ先>

    日本政策金融公庫 総合研究所

    小企業研究第一グループ

    TEL 03-3270-1687

    担当 金岡、藤井

  • Ⅰ 調査の目的と実施要領

    1 調査目的

     日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業企業の実態を把握するため、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しており、開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータを蓄積してきた。 そこで、今年度実施した「2013年度新規開業実態調査」の結果の概要とともに、過去のデータも用いながら、新規開業の実態がどのように変化してきたのか、その特徴を分析した。

    2 実施要領

    (1)調査時点 2013年8月

    (2)調査対象 日本政策金融公庫国民生活事業が2012年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業6,854社

    (3)調査方法 調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名

    (4)回 収 数 1,618件(回収率23.6%)

    (5)経営形態 個人企業61.1% 法人企業38.9%(開業時)

    3 アンケート回答企業の概要

    資料:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」(以下同じ)

    (注)1 構成比は小数第2位を四捨五入して表記しているため、その合計が100%にならない場合がある(以下同じ)。

    2 以下、調査年度を示していない図は2013年度調査に基づく。

    2.4

    30.0

    51.9

    11.3

    4.4

    平均14.5カ月

    (n = 1,618)

    0~6カ月

    7~12カ月

    13~18カ月

    19~24カ月

    25カ月以上

    開業からの経過月数(調査時点)(単位:%)

    24.7

    25.9 14.3

    10.0

    19.5

    5.6 1人

    平均3.7人

    (n = 1,577)

    (単位:%)

    開業時の従業者数

    2人

    3人

    4人

    5~9人

    10人以上

    - 1 -

  • Ⅱ 調査結果1 開業者の属性とキャリア ~開業時の平均年齢は40歳前後で推移~

    ○ 開業時の年齢は、「30歳代」が40.2%と最も多い(図-1)。これに「40歳代」(29.8%)を合わせると70.0%となる。長期的にみる  と、「29歳以下」の割合が低下する一方で、「60歳以上」の割合が高まっている。 ○ 開業時の平均年齢は、41.7歳となった。平均年齢は1990年代から2000年代前半にかけて上昇傾向にあったが、近年はほぼ横ばいで 推移している。

    図-1 開業時の年齢

    14.5 14.1 14.7 13.4 13.2 13.0 15.0 15.2 12.1 12.1 11.0 13.4 11.8 10.3 9.9 8.3 11.3 9.5 9.1 8.7 8.2 9.8 8.1

    39.8 38.5 37.8 39.0 36.9 37.9 37.0 35.6 36.1 32.2 34.4 35.4 36.5

    33.4 31.9 34.2 39.5 38.9 38.5 35.6 39.2

    39.4 40.2

    34.1 36.7 34.3 34.3 36.0 34.9 32.6 31.7 30.4

    31.9 29.2 28.3 26.4

    27.3 27.7 29.1

    24.3 28.4 26.5 29.2 28.4 28.3 29.8

    9.3 9.0 11.8 11.1 11.5 12.3 12.8 14.6 18.8 21.1 21.5 19.1 21.1 23.2 24.1 23.1

    20.5 18.4 19.4 18.9 17.7 16.9 15.5

    2.2 1.7 1.4 2.1 2.3 1.7 2.6 2.9 2.6 2.7 3.9 3.8 4.2 5.8 6.4 5.3 4.3 4.8 6.5 7.7 6.6 5.6 6.5

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    60歳以上

    50歳代

    40歳代

    30歳代

    29歳以下

    (調査年度)

    (%)

    38.9 38.9 39.2 39.2

    39.7 39.6 39.6 40.2

    40.9 41.6 41.8

    40.9 41.4

    42.6 43.0 42.9

    41.4 41.5 42.1

    42.6 42.0

    41.4 41.7

    37

    38

    39

    40

    41

    42

    43

    44

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    0

    (歳) (平均年齢の推移)

    (調査年度)

    - 2 -

  • ~開業者に占める女性の割合は15%前後で推移~

    ○ 開業者に占める女性の割合は、15.1%となった(図-2)。1990年代は10%台前半だったが、2000年代に入り、15%前後で推移し ている。 ○ 最終学歴は、「大学・大学院」の割合が37.8%と最も高く、次いで「高校」が30.4%となっている(図-3)。

    図-2 性 別

    図-3 最終学歴

    87.6 87.1 87.1 85.3 86.7 86.8 85.1 86.4 87.5 85.6 84.7 86.0 86.2 83.9 83.5 83.5 84.5 84.5 85.5 84.5 85.0 84.3 84.9

    12.4 12.9 12.9 14.7 13.3 13.2 14.9 13.6 12.5 14.4 15.3 14.0 13.8 16.1 16.5 16.5 15.5 15.5 14.5 15.5 15.0 15.7 15.1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    (%)

    7.4 8.0 8.6 7.6 7.5 5.7 6.9 6.2 6.4 5.0 7.1 6.2 6.6 5.6 6.0 3.6 5.8 5.0 5.5 3.5 3.0

    40.7 40.8 39.4 40.9 41.5 42.2 39.5 40.0 38.0 35.9 36.5 37.9 37.0 36.4 34.5 35.0 35.0 33.2 32.0 31.3 30.4

    16.5 17.2 18.0 12.9 13.2 15.5 18.4 15.3 14.9 15.1

    15.1 16.4 17.6 17.4 17.5 21.5 20.1 21.3 19.1 24.3 23.9

    4.8 3.8 3.9 7.5 7.4 7.1 4.1 3.8 7.2 7.6 5.5

    4.2 3.8 4.6 5.4 5.2 4.6 4.5 5.3 4.3 4.8

    30.6 29.6 29.5 30.8 29.7 29.1 30.5 33.8 32.9 35.2 34.4 34.3 34.6 35.5 36.4 34.0 34.2 35.9 37.9 36.2 37.8

    0.0 0.6 0.6 0.3 0.7 0.3 0.7 1.0 0.6 1.2 1.3 0.9 0.3 0.5 0.2 0.6 0.2 0.1 0.2 0.4 0.1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    1992 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 12 13

    短大・高専

    その他

    大学・

    大学院

    専修・

    各種学校

    中学

    高校

    (調査年度)

    (%)

    (調査年度)

    男性

    女性

    (注) 1 1991年度の調査の選択肢には「短大」が含まれていないため、結果を掲載していない。また、2011年度調査では最終学歴を尋ねていない。

    2 1992年度の調査の選択肢には「その他」がない。また、1999~2002年度調査の「その他」には「海外の学校」が含まれる。

    - 3 -

  • ~開業直前の職業は正社員(管理職) の割合が最も高い~

    ○ 開業直前の職業は、「正社員(管理職)」の割合が44.7%と最も高く、次いで「正社員(管理職以外)」が28.8%となっている(図-  4)。長期的にみると、「正社員(管理職)」の割合が高くなってきている。 ○ 開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」が79.8%と、およそ8割を占めている(図-5)。

    図-4 開業直前の職業

    図-5 開業直前の勤務先からの離職理由

    14.8 14.5 14.8 13.9 12.0 14.2 12.2 11.3 12.2 14.6 14.5 13.3 12.0 12.2 12.4 13.1 10.9 13.1 13.7 13.0 13.0 10.7 10.7

    35.0 36.3 36.5 35.2 35.2 37.6

    31.5 37.1 36.1

    36.8 36.6 34.6

    42.1 37.4 36.1 37.2 39.8 38.2

    38.4 45.2

    38.0 41.2 44.7

    39.5 36.7 39.5 41.9 36.4

    36.2 47.1

    42.2 40.9 38.5 36.5 40.1 30.4 34.7 33.5 32.6 33.6 33.9 32.9

    26.3 31.3 31.0

    28.8

    1.5 2.9 3.3 3.0

    3.2 2.6

    3.6 3.2 4.2 5.3 6.9 4.9 7.4 5.6 8.0 7.6

    8.7 7.8 8.0 8.5 8.7 9.4 8.8

    9.1 9.5 5.8 5.9

    13.2 9.4 5.5 6.2 6.7 4.8 5.5 7.2 8.0 10.2 9.8 9.5 7.0 7.0 6.9 7.1 9.1 7.7 7.1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    会社や団体の

    常勤役員

    正社員

    (管理職)

    正社員

    (管理職以外)

    非正社員

    その他

    (調査年度)

    (%)

    勤務先の

    倒産・廃業 事業部門の

    縮小・撤退

    解雇

    その他自らの意思による退職

    (単位:%)

    (調査年度)

    (注) 「非正社員」は「パートタイマー・アルバイト」と「派遣社員・契約社員」の合計である。ただし、1991~1994年度および2004年度調査では選択肢のなかに「派遣社員・契約社員」がない。

    また、1995~1999年度調査の選択肢は「派遣社員・契約社員」ではなく「派遣社員」である。

    (注) 「その他」は「定年退職」「退職していない」を含む。「勤務先都合」とは「勤務先の倒産・廃業」「事業部門の縮小・撤退」「解雇」の合計である。

    79.8 4.3 6.9 1.9 7.1 2013

    勤務先都合 13.1

    (n = 1,468)

    - 4 -

  • 2 開業の動機 ~開業動機で最も多いのは「自由に仕事がしたかった」から~

    ○ 開業動機は、「自由に仕事がしたかった」(53.9%)、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(49.5%)、「収入を増やした  かった」(47.3%)の順に多くなっている(図-6)。

    図-6 開業動機(三つまでの複数回答)

    53.9

    49.5 47.3

    32.9 32.5

    26.6

    15.7 14.6

    7.8 7.1

    1.2

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    自由に仕事がしたかった

    仕事の経験・知識や資格を

    生かしたかった

    収入を増やしたかった

    事業経営という仕事に

    興味があった

    自分の技術やアイデアを

    事業化したかった

    社会の役に立つ仕事が

    したかった

    時間や気持ちにゆとりが

    欲しかった

    年齢や性別に関係なく

    仕事がしたかった

    適当な勤め先がなかった

    趣味や特技を生かしたかった

    その他

    (%)

    (n = 1,608)

    - 5 -

  • 3 企業の属性 ~開業業種はサービス業の割合が最も高い~

    ○ 開業業種は、「サービス業」(23.6%)、「医療、福祉」(19.6%)、「飲食店、宿泊業」(15.1%)の順に多くなっている(図-7)。  直近の推移をみると、とくに「医療、福祉」の割合が高くなってきている。 ○ フランチャイズ・チェーンに加盟している企業の割合は、5.8%となった(図-8)。

    図-7 開業業種 図-8 フランチャイズ・チェーン加盟企業割合

    (%)

    9.5 9.5 8.8 7.1 7.2 6.3

    4.0 6.2 4.7 2.7 3.2 4.5

    2.8 3.0

    2.4 2.9 2.7 2.6

    3.2 3.6

    2.5 4.0 2.2 2.5

    7.4 6.1

    8.4 7.9

    7.2 6.1

    14.0 10.4 14.0 12.9 14.6

    10.6

    4.2 4.2

    4.1

    3.6 4.2

    4.8

    14.5 13.9

    12.8

    13.6 12.9 15.1

    13.2 14.8 15.7 17.5 19.8 19.6

    2.5 1.3

    2.1 2.3 2.6

    3.4

    24.1 26.3 23.2 24.8 22.0 23.6

    0.6 0.9 1.2 0.8 1.5 0.9

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    2008 09 10 11 12 13

    6.0

    4.6

    6.1

    7.1

    5.7 5.8

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    2008 09 10 11 12 13

    (調査年度)

    (調査年度)

    (%)

    卸売業

    建設業

    製造業

    情報通信業

    運輸業

    小売業

    不動産業

    飲食店、宿泊業

    医療、福祉

    教育、学習支援業

    サービス業

    その他

    - 6 -

  • 4 開業費用と資金調達 ~開業費用は低下傾向にある~

    ○ 開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が34.8%と最も高く、次いで「500万~1,000万円未満」が30.9%となっている(図-  9)。長期的には、「500万円未満」の割合が上昇傾向にある一方で、「1,000万~2,000万円未満」「2,000万円以上」の割合は低下傾向に  ある。 ○ 開業費用の平均値は1,195万円となり、2011年度の1,162万円に次いで低い水準となった。長期的にみても、開業費用の平均値は低  下傾向にある。

     

    図-9 開業費用

    23.8 22.4 21.0 19.6 20.3 22.1 21.5 24.3 24.3 24.4 22.6 24.9 29.6 29.8 31.8 30.1 31.7

    35.4 34.3 38.1 39.8 35.4 34.8

    26.7 29.3 28.3 28.1 28.0 30.3 29.8 27.5

    30.8 29.2 32.2 28.8 30.2 28.9 29.0 27.1 28.6

    29.1 28.3 28.5 26.6 31.1 30.9

    28.7 26.8 27.8 27.0 27.5 25.2 28.6 28.8 23.6 25.2 24.5 25.2

    23.0 21.7 19.8 23.9 21.4 21.6 21.6 17.9 19.2 19.2

    21.1

    20.8 21.5 22.9 25.3 24.2 22.4 20.1 19.3 21.3 21.1 20.8 21.1 17.1 19.6 19.4 18.9 18.3

    13.9 15.8 15.5 14.5 14.3 13.1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    1,440

    1,682 1,7501,775 1,770

    1,530 1,5251,377

    1,6821,537 1,582 1,538

    1,352

    1,6181,536 1,486 1,492

    1,238 1,288 1,2891,162

    1,269 1,195

    970 9081,000 1,000 1,000

    919 920 900 850 895 850 900 800 780 705800

    724 660 700 620 620 682 690

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

    平均値

    中央値

    (平均値・中央値の推移)

    2,000万円以上

    1,000万~

    2,000万円未満

    500万~

    1,000万円未満

    500万円未満

    (調査年度)

    (調査年度)

    (%)

    (万円)

    - 7 -

  • ~資金調達額は調査開始以後、最も低い水準となった~

    ○ 開業時の資金調達額は平均で1,337万円となり、1991年の調査開始以後、最も低い水準となった(図-10)。

    ○ その内訳をみると、「金融機関等からの借入」(833万円)、「自己資金」(327万円)の順に多くなっている。

    図-10 資金調達額

    327

    369

    356

    364

    398

    374

    422

    443

    448

    439

    405

    413

    440

    428

    445

    435

    412

    424

    453

    445

    426

    441

    360

    95

    112

    97

    141

    124

    100

    137

    161

    165

    146

    152

    151

    159

    131

    177

    149

    150

    151

    136

    149

    154

    151

    124

    50

    47

    51

    70

    65

    72

    77

    91

    89

    110

    91

    113

    88

    110

    132

    68

    83

    53

    65

    81

    77

    129

    119

    833

    855

    840

    827

    798

    793

    935

    882

    932

    954

    748

    865

    939

    895

    969

    723

    881

    897

    1,067

    1,062

    972

    917

    748

    32

    95

    69

    46

    62

    66

    60

    70

    95

    102

    67

    86

    78

    82

    108

    67

    70

    73

    92

    91

    120

    111

    101

    13

    12

    11

    10

    09

    08

    07

    06

    05

    04

    03

    02

    01

    2000

    99

    98

    97

    96

    95

    94

    93

    92

    1991

    (調査年度)平均調達額 (単位:万円)

    1,452

    1,750

    1,749

    1,828

    1,813

    1,598

    1,596

    1,442

    1,832

    1,645

    1,704

    1,628

    1,461

    1,750

    1,729

    1,645

    1,631

    1,405

    1,448

    1,449

    1,413

    1,478

    1,337

    (注) 1 「配偶者・親・兄弟・親戚」と「友人・知人等」は借入、出資の両方を含む。

    2 「友人・知人等」には「取引先」(1992~1999年度調査)、「事業に賛同してくれた個人または会社」(1992~2013年度調査)、「自社の役員・従業員」(2004~2013年度調査)を含む。

    3 「金融機関等からの借入」には、日本政策金融公庫(1991~2013年度調査)、民間金融機関(1991~2013年度調査)、地方自治体(制度融資)(1992~2013年度調査)、公庫・地方

    自治体以外の公的、政府系金融機関(1999~2013年度調査)が含まれる。

    自己資金配偶者・親・

    兄弟・親戚 その他金融機関等からの借入友人・知人等

    - 8 -

  • ~中古の設備や備品の購入などにより開業費用を節約した企業が多い~

    ○ 開業費用の額に対する考え方を尋ねたところ、「できれば尐なく抑えたい」と回答した割合が86.4%と圧倒的に多く、「十分な金額を  かけたい」と回答した割合は6.6%にとどまった(図-11)。 ○ 開業費用を節約するために行ったことをみると、「中古の設備や備品を購入した」(56.2%)、「取引先と交渉して有利な取引条件に  した」(29.9%)、「レンタルやリースの設備や備品を利用した」(21.5%)の順に多くなっている(図-12)。

    図-11 開業費用の額に対する考え方 図-12 開業費用を節約するために行ったこと(複数回答)

    自治体以外の公的、政府系金融機関(1999~2013年度調査)が含まれる。

    6.6

    86.4

    7.1

    (単位:%)

    できれば尐なく抑えたい

    十分な金額をかけたいどちらともいえない

    (n = 1,613)

    56.2

    29.9

    21.5 20.7 20.617.6 16.3

    5.6 5.1

    1.6 2.04.3

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    中古の設備や備品を購入した

    取引先と交渉して有利な

    取引条件にした

    レンタルやリースの設備や

    備品を利用した

    店舗、事務所などの内装工事を

    自分で行った

    自宅の一部を店舗、事務所

    などにした

    従業員を雇用せず家族に

    働いてもらった

    扱う商品やサービスを

    絞り込んだ

    知人の店舗、事務所などの

    一部を間借りした

    外注やアウトソーシングを

    利用した

    インキュベーション施設に

    入居した

    その他

    開業費用を節約するために

    行ったことはない

    (%)

    (n = 1,323)

    (注) 図ー11で「できれば尐なく抑えたい」と回答した企業に尋ねている。

    - 9 -

  • 5 開業後の状況 ~開業時の平均従業者数は減少傾向にある~

    ○ 開業時および調査時点の平均従業者数はそれぞれ3.7人、5.0人となった(図-13)。ともに直近6年間において最も尐なくなってい  る。一方、開業時から調査時点にかけての増加数は平均1.2~1.6人で推移しており、おおむね大きな変化はみられない。

    図-13 従業者数

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    1.0

    0.4

    0.4

    0.4

    0.4

    0.4

    0.4

    0.5

    0.4

    0.5

    0.4

    0.5

    0.4

    1.4

    1.0

    1.5

    1.0

    1.5

    0.9

    1.6

    1.1

    1.7

    1.1

    1.7

    1.1

    1.8

    1.2

    2.1

    1.4

    1.9

    1.4

    2.1

    1.6

    1.8

    1.2

    2.1

    1.4

    0.4

    0.1

    0.2

    0.2

    0.4

    0.2

    0.5

    0.3

    0.2

    0.1

    0.4

    0.2

    調査時点

    開 業 時

    調査時点

    開 業 時

    調査時点

    開 業 時

    調査時点

    開 業 時

    調査時点

    開 業 時

    調査時点

    開 業 時

    (単位:人)

    【2008年度】

    (15.1カ月)

    【2009年度】

    (14.8カ月)

    【2011年度】

    (14.4カ月)

    【2010年度】

    (14.8カ月)

    経営者本人 家族従業員パートタイマー・

    アルバイト

    派遣社員・

    契約社員

    常勤役員・

    正社員

    <平均4.1人>

    <平均5.6人>

    <平均5.7人>

    <平均3.8人>

    <平均5.2人>

    <平均4.4人>

    <平均3.9人>

    <平均5.1人>

    増加数

    1.4人

    増加数

    1.3人

    増加数

    1.2人

    増加数

    1.6人

    (注)( )内は調査時点における開業からの平均経過月数である。

    【2012年度】

    (14.8カ月)

    【2013年度】

    (14.5カ月)

    増加数

    1.3人

    増加数

    1.3人

    <平均4.0人>

    <平均5.3人>

    <平均3.7人>

    <平均5.0人>

    - 10 -

  • ~平均月商は増加傾向にあるものの、予想月商達成率は悪化~

    ○ 現在の業況を尋ねたところ、平均月商は369.6万円となり、直近3年間において増加傾向にある(図-14)。売上状況についても、   「増加傾向」と回答した割合は59.2%と、その割合は徐々に高くなっている。 ○ 一方、予想月商達成率をみると、「125%以上」(24.6%)、「100~125%未満」(23.8%)の割合がわずかに減尐しており、開業前に  予想した売上を達成できていない企業が増えていることがわかる。現在の採算状況は、「黒字基調」と回答した割合が65.6%となって  おり、その割合はほぼ横ばいである。

    図-14 業 況

    ①現在の月商 ③予想月商達成率

    ②現在の売上状況 ④現在の採算状況

    65.6

    64.4

    68.0

    34.4

    35.6

    32.0

    2013

    2012

    2011

    赤字基調黒字基調

    10.3

    10.4

    8.0

    21.0

    18.5

    17.8

    20.2

    20.4

    21.5

    23.8

    24.9

    24.5

    24.6

    25.7

    28.2

    2013

    2012

    2011

    50%未満50~

    75%未満

    75~

    100%未満 125%以上100~

    125%未満

    (注)予想月商達成率=(調査時点の平均月商÷開業前に予想していた月商)×100

    (調査年度)

    (調査年度)

    33.5

    36.2

    34.4

    48.7

    43.5

    47.7

    8.7

    12.0

    10.6

    9.1

    8.2

    7.4

    2013

    2012

    2011

    100万円未満100万~

    500万円未満

    500万~

    1,000万円未満

    59.2

    55.0

    52.6

    34.0

    36.8

    39.8

    6.8

    8.1

    7.6

    2013

    2012

    2011

    減尐傾向横ばい増加傾向

    (単位:%)

    平均

    369.6万円

    平均

    351.9万円

    平均

    333.3万円

    (調査年度)

    (調査年度)

    1,000万円以上

    (単位:%) (単位:%)

    (単位:%)

    - 11 -

  • ~開業時は資金繰りや販路の開拓などの課題に直面している~

    ○ 開業時に苦労したことを尋ねたところ、「資金繰り、資金調達」(46.1%)、「顧客・販路の開拓」(44.7%)、「財務・税務・法務に  関する知識の不足」(29.3%)の順に多くなっている(図-15)。現在苦労していることでは「顧客・販路の開拓」が44.8%と最も多く、  開業時と同様に重要な課題となっていることがわかる。また、開業時との比較では「従業員の確保」「従業員教育、人材育成」といった  人的資源に関する課題を挙げる割合の増加が目立つ。

    図-15 開業時に苦労したことおよび現在苦労していること(三つまでの複数回答)

    46.144.7

    29.3

    18.7 17.414.9

    9.9 9.68.3

    6.6 5.2

    1.0

    5.3

    33.5

    44.8

    22.6 24.4 23.4

    7.6

    12.710.1

    4.12.9

    7.5

    1.1

    8.8

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    資金繰り、資金調達

    顧客・販路の開拓

    財務・税務・法務に関する知識の不足

    従業員の確保

    従業員教育、人材育成

    仕入先・外注先の確保

    製品・商品・サービスの企画・開発

    経営の相談ができる相手がいないこと

    業界に関する知識の不足

    製品・商品・サービスに関する知識の

    不足

    家事や育児、介護等との両立

    その他

    とくにない

    (%)

    開業時に苦労したこと

    (n=1,572)

    現在苦労していること

    (n=1,580)

    - 12 -

  • ~販路開拓で最も多いのは「個人的な友人・知人に紹介を依頼」~

    ○ 新規の販売先・顧客を開拓するために行った取り組みを尋ねたところ、「個人的な友人・知人に紹介を依頼」(44.2%)、「取引先に  紹介を依頼」(37.2%)、「自社のホームページの充実」(28.8%)などさまざまな取り組みがみられた(図-16)。

    図-16 新規の販売先・顧客を開拓するために行った取り組み(複数回答)

    44.2

    37.2

    28.8

    19.0 18.9 18.7

    14.9

    9.1

    2.5

    8.3

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    個人的な友人・知人に紹介を依頼

    取引先に紹介を依頼

    自社のホームページの充実

    ソーシャルメディア(フェイス

    ブックなど)の活用

    ダイレクトメールの送付

    業界紙や専門誌への記事掲載

    飛び込みによる戸別訪問

    展示会・学会などへの参加

    その他

    取り組みは行っていない

    (%)

    (n = 1,577)

    - 13 -

  • ~開業時に利用した支援策で最も多いのは「先輩起業家や専門家による助言・指導」~

    ○ 開業時に利用した支援策を尋ねたところ、「先輩起業家や専門家による助言・指導」(21.2%)、「低金利融資制度や税制面の優遇措  置」(19.5%)、「同じような立場の経営者との交流の場」(18.6%)の順に多くなった(図-17)。ただし、「とくにない」も39.6%に  上っている。 ○ 一方、開業時にあったらよかったと思う支援策では、「低金利融資制度や税制面の優遇措置」(40.2%)、「同じような立場の経営者  との交流の場」(23.1%)のほかに「金融機関による経営指導、事業計画策定支援」(17.3%)が上位に挙げられている。

    図-17 開業時に利用した支援策および開業時にあったらよかったと思う支援策(三つまでの複数回答)

    21.219.5

    18.6 17.917.1

    7.65.0 4.1

    2.0 1.2 0.5

    39.6

    14.3

    40.2

    23.1

    17.1

    13.2

    17.3

    10.08.1

    3.9 4.3

    0.4

    24.3

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    先輩起業家や専門家による助言・指導

    低金利融資制度や税制面の優遇措置

    同じような立場の経営者との交流の場

    仕入先・販売先の紹介

    経営に関するセミナーや講演会

    金融機関による経営指導、事業計画

    策定支援

    経営コンサルタントの紹介

    ビジネスマッチング、

    展示会等の販路開拓支援

    インキュベーション施設等

    ハード面の支援

    保育施設や家事・介護支援等の

    サービス

    その他

    とくにない

    (%)

    開業時に利用した支援策

    (n = 1,298)

    開業時にあったらよかったと思う支援策

    (n = 1,339)

    - 14 -

  • Ⅲ まとめ

    1 開業時の平均年齢は41.7歳

     新規開業者の開業時の平均年齢は41.7歳であった。長期的にみると、年齢構成では60歳以上の割合が高まっているものの、平均年

    齢はおおむね40歳前後で推移している。

    2 開業時の資金調達額は過去最低の水準

     開業費用の平均額は1,195万円となり、2011年度に次いで低い水準となった。資金調達の平均額は1,337万円で、これは1991年度の

    調査開始以後、過去最低の水準である。開業費用を「できれば尐なく抑えたい」と回答した企業は86.4%を占めており、多くの企業

    が中古の設備や備品を購入するなどして開業費用を節約している。

    3 顧客・販路の開拓が大きな課題に

     開業前に予想していた売上を達成している企業の割合は、直近3年間において減尐傾向にある。現在苦労していることについても、

    「顧客・販路の開拓」と回答した企業が44.8%と最も多い。こうした課題を克服するため、「個人的な友人・知人に紹介を依頼」「取引

    先に紹介を依頼」「自社のホームページの充実」など、販路の開拓に向けたさまざまな取り組みを行っている。

    4 開業時に利用した支援策で最も多いのは、先輩起業家や専門家による助言・指導

     開業時に利用した支援策では、「先輩起業家や専門家による助言・指導」「低金利融資制度や税制面の優遇措置」「同じような立場の

    経営者との交流の場」などが上位に挙げられている。

    - 15 -