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IT 運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 2015年に創立90周年を迎える野村ホールディングスを持ち株会社とする野村グループ の中核会社、野村證券は、世界30以上の国と地域でビジネスを展開する日本最大の 証券会社です。野村ホールディングスは2008年にリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋 (韓国を除く)および、欧州・中東部門を買収し、グローバル戦略を大きく進展させました。 野村證券 グローバル・インフォメーション・テクノロジー部 インフラストラクチャー課で エグゼクティブ・ディレクターを務め、 IT サービスマネジメントのグローバル化プロジェ クトをリードした亀倉龍氏は、次のように語ります。 「当時、野村證券の IT は全世界の各地域で独立した運用がなされており、各地域で異 なるツール、異なるプロセスで運用体制の確立が進んでしまいました。ビジネスが 順調に稼働し始めると次は当然 IT の安定稼働に目が向きます。しかし、全世界で運用 標準化が徹底できていない状況では、どうがんばっても効率化が追求できない。なんと しても標準化は進めなければならない。その検討を進めているほぼ同じ頃に、全世界 でクラウドビジネスが立ち上がりつつあり、自前でシステムを持ちつづけるのか、クラ ウドに預けるのかという選択肢も検討しながら製品の選定を行っていきました。」 「世界約28,000人の社員のうち、法人ビジネスに関わる社員が12,000人。法人事業 IT 部門スタッフは全世界で約3,000名。グローバルでは必ずどこかのマーケットが 開いており、 24時間365日で安定的な IT サービス提供が必要不可欠です。ビジネス のグローバル化、 IT 環境のグローバル化とともに、 IT サービスマネジメントのグロー バル化が求められたのです。」 IT サービスマネジメントのグローバル統合プロジェクトの目標は、次のように策定され ました。 ●  12,000人の法人事業社員が24時間365日利用するIT 環境のサービス品質を向上 させること ●  そのためにIT サービスマネジメントプロセスとツールの標準化を進め、グローバル での全体最適化を実現すること ハイライト グローバル企業統合に伴うIT サービスマネジ メントのグローバル最適化 組織 野村證券株式会社 業種 金融 本社 東京、日本 対象地域 世界30以上の国と地域 ITSMソフトウェア ServiceNow リクエスト管理 ServiceNow インシデント管理 ServiceNow 問題管理 ServiceNow 変更管理 ServiceNow リリース管理 ServiceNowのこのケーススタディは、野村證券株式会社 グローバル・インフォメーション・テクノロジー部 インフラストラクチャー課 エグゼクティブ・ディレクターの亀倉龍氏へのインタビューによります。 ケーススタディ 「グローバルで最適化された『IT サービスマネジメント 標準プロセス』の策定と実行に、 ServiceNow のクラウド が威力を発揮しました」 www.servicenow.com/jp/

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Page 1: IT ServiceNow · IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ 「ServiceNowのクラウド を採用したことで、オンプレ ミスのツールを使っていた

IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合

2015年に創立90周年を迎える野村ホールディングスを持ち株会社とする野村グループ

の中核会社、野村證券は、世界30以上の国と地域でビジネスを展開する日本最大の

証券会社です。野村ホールディングスは2008年にリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋

(韓国を除く)および、欧州・中東部門を買収し、グローバル戦略を大きく進展させました。

野村證券 グローバル・インフォメーション・テクノロジー部 インフラストラクチャー課で

エグゼクティブ・ディレクターを務め、ITサービスマネジメントのグローバル化プロジェ

クトをリードした亀倉龍氏は、次のように語ります。

「当時、野村證券の ITは全世界の各地域で独立した運用がなされており、各地域で異

なるツール、異なるプロセスで運用体制の確立が進んでしまいました。ビジネスが

順調に稼働し始めると次は当然 ITの安定稼働に目が向きます。しかし、全世界で運用

標準化が徹底できていない状況では、どうがんばっても効率化が追求できない。なんと

しても標準化は進めなければならない。その検討を進めているほぼ同じ頃に、全世界

でクラウドビジネスが立ち上がりつつあり、自前でシステムを持ちつづけるのか、クラ

ウドに預けるのかという選択肢も検討しながら製品の選定を行っていきました。」

「世界約28,000人の社員のうち、法人ビジネスに関わる社員が12,000人。法人事業

の IT部門スタッフは全世界で約3,000名。グローバルでは必ずどこかのマーケットが

開いており、24時間365日で安定的な ITサービス提供が必要不可欠です。ビジネス

のグローバル化、IT環境のグローバル化とともに、ITサービスマネジメントのグロー

バル化が求められたのです。」

ITサービスマネジメントのグローバル統合プロジェクトの目標は、次のように策定され

ました。

● 12,000人の法人事業社員が24時間365日利用する IT環境のサービス品質を向上

させること

● そのために ITサービスマネジメントプロセスとツールの標準化を進め、グローバル

での全体最適化を実現すること

ハイライト

グローバル企業統合に伴うITサービスマネジメントのグローバル最適化

組織

野村證券株式会社

業種

金融

本社

東京、日本

対象地域

世界30以上の国と地域

ITSMソフトウェア

ServiceNow リクエスト管理ServiceNow インシデント管理ServiceNow 問題管理ServiceNow 変更管理ServiceNow リリース管理

ServiceNowのこのケーススタディは、野村證券株式会社 グローバル・インフォメーション・テクノロジー部

インフラストラクチャー課 エグゼクティブ・ディレクターの亀倉龍氏へのインタビューによります。

ケーススタディ

「グローバルで最適化された『ITサービスマネジメント標準プロセス』の策定と実行に、ServiceNowのクラウドが威力を発揮しました」

www.servicenow.com/jp/

Page 2: IT ServiceNow · IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ 「ServiceNowのクラウド を採用したことで、オンプレ ミスのツールを使っていた

IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合

ITILをグローバル共通言語に

野村證券もリーマン・ブラザーズも、「ITIL

(Information Technology Infrastruc-

ture Library)」に基づくITサービスマネジ

メントに取り組んでいましたが、その適用

範囲や成熟度は各地域でバラバラでした。

ただ、今回のプロジェクトを推進する上で

は、ITILがグローバルに通用する「共通言

語」として改めて大きな役割を果たしたと

いいます。

「日本流とか野村流といった方法はグロー

バルでは通用しません。ITILというグロー

バルスタンダードに立脚し、世界中の全員

が納得できるプロセスを確立することが、

グローバルでの全体最適化に不可欠と考

えました。」と亀倉氏は話します。

「ITサービスマネジメントのグローバル化

を進めるにあたっては、ヒト、プロセス、

ツールの順で進めていきました。まず自分

たちの ITサービスマネジメントにおける

成熟度を評価するところから着手しまし

た。外部のコンサルタントに依頼し、全 IT

拠点に対して、ITプロセスごとに成熟度の

アセスメントを実施し、拠点別にどこを改善

すべきか把握しました。その後 IT部門の

約3,000人を対象に、それぞれにあった

トレーニングを行いました。」(亀倉氏)

「また、ITサービスマネジメントの標準プロ

セス策定においては、すべての関係者が

参加して合意に至るまで徹底的に議論を

尽くしました。これには相当な時間と労力

を要しました。そして、ツール選定におい

ては、過去の反省から、標準化されたプロ

セスを忠実に実行でき、拠点ごとのカスタ

マイズや変更が抑制できることを必須の

要件としました。」と亀倉氏は話します。

プロジェクトが取り組んだ課題は次の通り

です。

● 世界3,000人の IT部門スタッフ(ヒト)に

対し ITサービスマネジメントへの共通

認識を持たせること

● 拠点独自に加えられた解釈や工夫を解

消し、全世界で標準化された「プロセ

ス」を確立すること

● 標準プロセスを変更されることなく実行

できる「ツール」を選定すること

標準プロセスから変更させないために

クラウドツールを採用

「人は自分の成功体験からなかなか脱却

できないものです。ITサービスマネジメン

トの教育が正しく行われても、日常的な

デリバリやサポートに正しく反映できるか

というと実際のところなかなか難しい。

過去の経験から、オンプレミスツールでは

拠点ごとのカスタマイズがなされる恐れ

がありました。機能要件を全て満たしつ

つ、拠点ごとに好き勝手にカスタマイズは

できない、という点では、クラウドに優位

性がありました。そこで私たちは、クラウド

上の ITサービスマネジメント製品として

圧倒的な実績をもっており、社内で評価

しても十分使用に耐えうると判断した

『ServiceNow』を採用しました。」(亀倉

氏)

ITサービスマネジメントが適用される対象

は、サーバー約20,000台/クライアントPC

約24,000台、1,500種類のアプリケー

ションからなるグローバルに展開された

大規模システムです。

「IT部門は要求があるとアプリケーション

野村證券株式会社グローバル・インフォメーション・テクノロジー部インフラストラクチャー課エグゼクティブ・ディレクター亀倉龍 氏

ケーススタディ

「ITILというグローバルスタンダードに立脚し、世界中の全員が納得できるプロセスを確立することが、グローバルでの全体最適化に不可欠と考えました。」

Page 3: IT ServiceNow · IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ 「ServiceNowのクラウド を採用したことで、オンプレ ミスのツールを使っていた

IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ

「ServiceNowのクラウドを採用したことで、オンプレミスのツールを使っていた時に比べ、年間およそ20%のコストを削減できると試算しています。今後4~5年で投資が回収できる見込みです。」

や機能をつくりがちです。しかし結局の

ところ、世間の標準を使いこなすことが

効率化につながると思います。Service-

Nowは『標準 ITサービスマネジメントの

養成ギブスになる』と考えたわけです。」

(亀倉氏)

ITサービスマネジメント改善プロジェクト

は2012年初頭に立ち上げられ、プロジェ

クトの前半はアセスメントと教育に費やさ

れました。

「PoC(Proof of Concept)を行う上でも、

クラウドの特性は非常に有利に働きまし

た。自前で環境を構築することなく、短

期間のうちにPoCを行えた点、世界中の

IT部門スタッフがPoCに参加できた点、

クラウドサービスに対する全拠点からの

アクセス品質を事前に確認できた点は非

常に有益でした。」と亀倉氏は振り返る。

クラウド上の単一データソースが

もたらす利点

野村證券は、2014年4月にServiceNow

の利用をグローバルに開始しました。

「まず始めに、リクエスト管理、問題管理、

インシデント管理、イベント管理の利用を

開始しました。2014年度中には、これらに

加え、変更管理、リリース管理、サービス

管理が利用可能になっています。」

亀倉氏は現時点での成果を次のように語

ります。

「目に見える効果として、クラウド上に単一

データソースを持つことによって、レポー

ティングのスピードと精度が大きく向上し

た点があります。障害のトレンドと稼働率

への影響、システム変更の件数や範囲な

どが一目でわかるようになりました。サー

ビス品質を維持・向上させるために、どの

ポイントを押さえておくべきか、どのよう

な手を打つべきか、意思決定の迅速化に

結びついています。その結果として、シス

テムの安定稼働に貢献できていると言え

るでしょう。」

従来は、拠点ごとに異なるツールが使われ

ていたためレポート項目にバラつきがあり、

「欲しい情報が思うように手に入らなかっ

た」(亀倉氏)といいます。こうした課題は

ServiceNowによって簡単に解決されま

した。

こうして、これまでオンプレミスで利用し

てきた ITサービスマネジメントツールは、

ServiceNowのクラウドに集約されまし

た。これによる投資対効果について亀倉

氏は次のように話します。

「ServiceNowのクラウドを採用したこと

で、オンプレミスのツールを使っていた時

に比べ、年間およそ20%のコストを削減

できると試算しています。今後4~5年で

投資が回収できる見込みです。ツール自

体の維持・管理に時間を使わなくて済むの

は非常に楽です。また クラウドですから、

ビジネス環境の変化とともに、規模を拡張

することも縮小することも柔軟かつ迅速

に行うことができ、コスト最適化が図りや

すい点も利点として挙げられます。」

● クラウド上に単一データソースをもつ

ことによりレポーティングのスピードと

精度が大きく向上

● ITサービスマネジメントツールの維持

にかかるコストを年間20%削減

● ビジネス環境に変化にあわせて、柔軟

かつ迅速にコスト最適化が図れる実行

基盤の実現

Page 4: IT ServiceNow · IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ 「ServiceNowのクラウド を採用したことで、オンプレ ミスのツールを使っていた

IT運用のグローバル化のきっかけとなった事業統合 ケーススタディ

「現在ServiceNow上に全てのデータが蓄積されているため、これらデータを活用できるような新機能、例えばガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)機能などにも期待しています。」

ビジネスマネジメントガバナンス ベンダー リソース コスト デマンド プロジェクト アナリティクス

リリース

サービスプロバイダ

事業会社

ディスカバリ コンフィグ オーケストレーション マッピング クラウド管理 イベント SDLC アプリ

クリエイターサービスクリエイター

パス リセット 問題 インシデント CMDB カタログ変更 フィールドアセット 人事 設備サービスマネジメント

オペレーションマネジメント アプリケーション開発プロフェッショナル開発者

一般開発者

サービスオートメーションプラットフォーム単一アーキテクチャー 共有リソース 単一データモデル カスタムアプリ開発

ディスカバ 一般開発者

2014年度導入済

今後導入予定

今後の計画とServiceNowへの期待

プロジェクトは継続中です。亀倉氏は、

今後の計画とServiceNowへの期待を

次のように語りました。

● 単一データソースの更なる活用-「グローバル共通の ITサービスマネジメント

実行基盤として、自分たちで利用するた

めの環境の強化を継続的に行っていき

ます。プロセスの標準化はかなり進んで

きましたので、そろそろ構成管理データ

ベース(Configuration Management

Database)の整備に着手しなければな

りません。これからやりたいのは、データ

モデルをシンプル化する、つまり、ITに

必要な機能と必要でない機能を明確化

して、必要でないものは分散化、疎結合

にすることです。現在ServiceNow上

に全てのデータが蓄積されているため、

これらデータを活用できるような新機能、

例えばガバナンス・リスク・コンプライ

アンス(GRC)機能などにも期待してい

ます。」

● サービスマネジメント機能をビジネス部門に開放-「これまでは IT部門のス

タッフが使うことを前提に整備を進めて

きましたが、ServiceNowの一部の機能・

ツールを、将来要望があればビジネス

側にも開放することも考えています。

具体的には、ユーザーがメールや電話

で行っている問い合わせやリクエストを、

クラウド上にワークフローを構築して

収容するものです。この部分について

もServiceNowが提供している機能を

活かせると考えています。」

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SNJ-CS-062015