ホルモンの合成と作用 - 熊本大学...ホルモン...
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ホルモンの合成と作用
2019年度病態生化学分野
吉澤 達也
学習の目標
・ ホルモンの分類について理解する
・ 細胞間情報伝達物質としてのホルモンを理解する
①ペプチドホルモン②ステロイドホルモン③アミノホルモン
①親水性ホルモン②疎水性ホルモン
・ ホルモンの合成について理解する
・ ホルモンの制御機構について理解する
・ ホルモンの作用機構について理解する
ホルモンによる調節
ヒトが生きるためには常に変化する内外の環境に対応・適応する必要がある
生体の恒常性を維持するシステム
神経系による調節
ホルモン
動物の体内において、ある決まった器官で合成・分泌され、体液(血液)を通して体内を循環し、別の器官でその効果を発揮する。
いわゆる腺組織以外で産生されるホルモン・消化管:セクレチン、ガストリン、グレリン、インクレチン など・心臓:心房性Na利尿ペプチド(ANP)、脳性Na利尿ペプチド(BNP)・血管:C型Na利尿ペプチド(CNP)・脂肪組織:アディポネクチン、レプチン など
標的組織において機能タンパク質を新たに合成させたり、あるいは活性化させることで生理作用を発揮する。
ひとつのホルモンが異なった細胞、組織では別の作用を示す。細胞内情報伝達の多様性
微量(低濃度)で作用を発揮する物質である。
典型的なペプチドホルモンの血液中の濃度は、10-9 mol/L(nmol/L)程度
内分泌型
神経型
パラクライン型
接触型
シグナル伝達の種類
ホルモン
神経伝達物質
局所仲介物質
膜結合シグナル物質
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン)
視床下部 GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
脳下垂体後葉 バソプレッシン - OXT
脳下垂体中葉 インテルメジン
脳下垂体前葉
α サブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン)
副腎髄質 副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
副腎皮質 副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
甲状腺 甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
副甲状腺 PTH
精巣 テストステロン - AMH - インヒビン
卵巣 エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
膵臓 グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
松果体 メラトニン
内分泌器でない器官
誘導タンパク質
その他の内分泌器
NGF - BDNF - NT-3
視床下部 - 脳下垂体
副腎
甲状腺
生殖腺
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
・ペプチド類カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)
ガストリンバソプレシン、オキシトシン副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、エンドルフィン、リポトロピンセレクチン、モチリン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)
ソマトスタチン
・モノアミン類アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンセロトニン
ホルモンとしても働く神経伝達物質の例
ホルモンの分類-I構造からの分類
①ペプチドホルモン
②ステロイドホルモン
③アミノホルモン(低分子ホルモン)
インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、抗利尿ホルモン副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)など
副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲンなど)
アドレナリン、甲状腺ホルモンなど
①ペプチドホルモン
インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、抗利尿ホルモンなど
DNA mRNA プロホルモン
ホルモン
転写 翻訳
タンパク質の切断
CAAT
ボックスTATA
ボックス
cap site [ATG]
TAATAG
TGA [AATAAA]
5’ 3’
イントロンDNA
NTP
RNA
ポリメラーゼII
mRNA前駆体(hnRNA)
スプライシングMe7G付加ポリA付加
シグナルペプチダーゼ
mRNA
ペプチド(プレプロホルモン)
プロホルモンプロセッシング
成熟ホルモン
分泌顆粒内
分泌
転写transcription
転写後修飾posttranscriptional
modification
翻訳transration
翻訳後修飾posttransrational
modification
核
細胞質
細胞外
ゴルジ装置
粗面小胞体
Me7G ポリA
Met
シグナルペプチド
プロホルモン
糖鎖
SS
SS
ペプチドホルモンの合成
<プロホルモン>POMC:ACTH前駆体複数のホルモンを有するバゾプレッシン、オキシトシン前駆体細胞内輸送に必要なニューロフィジンをもつインスリン前駆体
α鎖とβ鎖の形態を保つのに必要なconnecting peptideを有するグレリン脂肪酸付加:機能発現に重要
①プレプロインスリン
RNA
ポリメラーゼII
mRNA前駆体(hnRNA)
スプライシングMe7G付加ポリA付加
シグナルペプチダーゼ
mRNA
プロホルモンプロセッシング
成熟ホルモン
分泌顆粒内
分泌
転写transcription
転写後修飾posttranscriptional
modification
翻訳transration
翻訳後修飾posttransrational
modification
核
細胞質
細胞外
ゴルジ装置
粗面小胞体
DNA
①プレプロインスリン
②プロインスリン
③インスリン
④インスリン六量体
ペプチドホルモンの合成 (インスリンの例)
インスリン遺伝子
プレプロインスリンmRNA
インスリン
ペプチドホルモンの合成 (POMCの例)
POMC(プロオピオメラノコル
チン)の組織特異的な翻訳後プロセッシングで2つの異なる組み合わせのポリペプチドホルモンを生じる。
脳下垂体前葉でも中葉でも、POMCは分解されN末端断片、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、βリポトロピン(β-LPH)を生じる。
これらのポリペプチドホルモンは中葉だけでさらに分解され、γ
メラニン細胞刺激ホルモン(γ-
MSH)、α-MSH、副腎皮質刺激ホルモン様中葉ペプチド(CLIP)、γ-LPH、β-エンドルフィンを生じる。
②ステロイドホルモン副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド)性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲンなど)
HO
コレステロール
A B
C D
ステロイド核(炭素原子19個)
O
HOOH
C=O
CH2OH
コルチゾール(グルココルチコイドの一つ)
1. 副腎皮質ホルモン
グルココルチコイド(コルチゾール):糖質代謝、抗炎症作用など
ミネラルコルチコイド(アルドステロン):Naイオン再吸収促進、細胞外液量維持
2. 性ホルモン
アンドロゲン(テストステロン、ジヒドロテストステロン):男性生殖器官発育・維持、第二次性徴
エストロゲン(17b-エストラジオール):女性生殖器官発育・維持、第二次性徴、月経周期
プロゲステロン:妊娠の維持、乳腺発達
ステロイドホルモン産生組織
独立行政法人情報処理推進機構 教育用画像素材集より抜粋
[副腎皮質]コルチゾール、アルドステロン性ホルモン
[卵巣]
プロゲステロン、エストロゲン
[精巣]
アンドロゲン
ステロイドホルモン生合成経路1
HO
コレステロール(炭素原子27個)
HO
CO
CH3
プレグネノロン(炭素原子21個)
P-450scc
17
1
5
89
10
1113
14
17
18
19
ステロイドホルモンの重要な合成中間体
2
3
4 6
7
12
15
16 21
20
ステロイドホルモン生合成経路2
HO
CO
CH3
プレグネノロン
17
3
O
CO
CH3
17プロゲステロン
21
アルドステロン合成経路
HO
CO
CH3
3
OH
CO
CH3
OH
O
21
コルチゾール合成経路
17
17
17-水酸化プロゲステロン
17-水酸化プレグネノロン
アンドロゲンエストロゲン合成経路
17-hydroxylase
3b-hydroxysteroid
dehydrogenase
21-hydroxylase
17,20-lyase
ステロイドホルモン生合成経路3
O
CO
CH3
17プロゲステロン
21
CO
CH3
OH
O
21
17
17-水酸化プロゲステロン
21-hydroxylase
11-デオキシコルチゾール11b-hydroxylase
CO
CH2OH
OH
O
OH
コルチゾール
21-hydroxylase
11-デオキシコルチコステロン
11b-hydroxylase
コルチコステロン
18-水酸化コルチコステロン
18-hydroxylase
O
CO
18-oxidase
OH CHO
アルドステロン
CH2OH
炭素原子21個炭素原子21個
ステロイドホルモン生合成経路4
CO
CH3
3
OH
CO
CH3
OH
O
17
17
17-水酸化プレグネノロン
17-水酸化プロゲステロン
17,20-lyase
3b-hydroxysteroid
dehydrogenase
HO
デヒドロエピアンドロステロン
アンドロステンジオン
17b-hydroxysteroid
dehydrogenase
O
OH
テストステロン(アンドロゲン)
aromatase
HO
OH
17b-エストラジオール(エストロゲン)
O
O
HO
O
炭素原子19個
炭素原子18個
③アミノホルモン(低分子ホルモン)
アドレナリン、甲状腺ホルモンなど
HO CH2 COOHCH
NH2
チロシン(アミノ酸)
HO CH2CH NH
HO OH
CH3
アドレナリン
HO O CH2 COOHCH
NH2
I I
I I
甲状腺ホルモン(チロキシン)
アミノ酸誘導体ホルモン
アドレナリン(エピネフリン)
副腎髄質血圧上昇,平滑筋収縮/弛緩,肝・筋での解糖促進脂肪組織での脂肪分解促進
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
副腎髄質小動脈の収縮促進,抹消循環抑制,脂肪分解促進
トリヨードチロニン(T3)
チロキシン(T4)甲状腺 代謝促進
インドール,セロトニン,メラトニン
松果腺 神経伝達
カテコールアミン-カテコールを共通の構造として持つアドレナリン(エピネフリン)ノルアドレナリンドーパミン
組織によって合成の段階が異なる脳細胞(一部):ドーパミンが最終カテコラミン交感神経末端:ノルアドレナリンが最終カテコラミン副腎髄質、中脳、心臓:アドレナリンまで合成
アドレナリン
ノルアドレナリン
ドーパミン
アミノホルモン(低分子ホルモン)の合成(カテコールアミンの例)
飲食物からヨウ化物として摂取されるヨードは甲状腺で濃縮されて,濾胞細胞内で有機ヨードに変換される。
濾胞細胞はコロイドで満たされた空間を取り巻いており,このコロイドは,基質内にチロシンを含む糖蛋白サイログロブリンからなる。
チロシンは,1カ所(モノヨードチロシン)または2カ所(ジヨードチロシン)でヨード化されて,互いに結合して2種の甲状腺ホルモンを形成する(ジヨードチロシン+ジヨードチロシン→T4;ジヨードチロシン+モノヨードチロシン→T3)。
濾胞細胞がサイログロブリンを取り込むまでは,T3およびT4は濾胞内のサイログロブリンに組み込まれたままである。
甲状腺濾胞細胞内に入ると,T3およびT4はサイログロブリンから切断され、分泌される。
サイログロブリン
チロシンモノヨード
チロシン(MIT)
ジヨードチロシン(DIT)
ヨード化
結合
T3
T4
アミノホルモン(低分子ホルモン)の合成(甲状腺ホルモンの例)
created by Takuma-san in Wiki.
参考
クッシング症候群(Cushing‘s syndrome):糖質コルチコイドが慢性的に過剰分泌され、全身にさまざまな症状が生じる病気の一群。
満月様顔貌、中心性肥満、筋萎縮および筋力低下、高血圧、腎結石、骨粗鬆症、耐糖能障害、感染に対する抵抗力の低下、精神障害が一般的である。
東京大学 医科学研究所附属病院 アレルギー免疫科 HPより
参考
骨格筋特異的GRKOでは、アラニンが低下!
参考
東京大学 医科学研究所附属病院 アレルギー免疫科 HPより
参考
ホルモンの分類-II 作用機構(受容体)からの分類
①細胞膜受容体に作用するホルモン
②細胞内受容体に作用するホルモン
親水性分子:ペプチドホルモン類アミノホルモン類(カテコラミン)
疎水性分子:ステロイドホルモン類アミノホルモン類(チロキシン)
①細胞膜受容体に作用するホルモン
A. 二次メッセンジャーがcAMP
C. 二次メッセンジャーがCa2+とフォスファチジルイノシチド
D. 細胞内メッセンジャーがキナーゼ
www.cellsignal.com/.../ Insulin_Receptor.jpgより抜粋
細胞膜受容体ホルモン
細胞内情報伝達系活性化
標的遺伝子発現調節
タンパク質機能変化
ペプチドホルモンの作用 (インスリンの例)
核内受容体を介した作用機構(参考)
細胞内受容体(核内受容体)
ホルモン
標的遺伝子発現調節
②細胞内受容体に作用するホルモン
ステロイドホルモン受容体=転写因子
ホルモン
Nuclear Receptor Signaling (2007) 5, e003.より抜粋
ステロイドホルモン受容体
Nature Reviews Drug Discovery 3, 950-964 (November 2004)
•甲状腺ホルモン(T3, T4)は脂溶性ホルモン•甲状腺ホルモンT4、T3は細胞膜に局在する分子を介して細胞質内に取り込まれる。
•細胞質内でT4はT3に変換され、核内に局在する甲状腺ホルモン受容体(TR)に結合する。
•TRは転写因子のひとつであり、標的遺伝子のプロモーター上に存在する甲状腺ホルモン応答領域に結合して遺伝子の転写活性を調節する。
甲状腺ホルモンの作用①熱産生作用:酸素消費増大による基礎代謝率↑
②脳機能の成熟↑:障害でクレチン病、うつ・記憶力↓
③骨成長↑:低下で低身長、増加で骨粗鬆症④心収縮力増強:心βアドレナリン受容体↑
⑤ミオシン重鎖α↑、Serca2↑
⑥脂質代謝促進:HMG-CoA R↓、肝リパーゼ活性↑
⑦血糖調節:低下でインスリン分泌・受容体↓
増加で消化管からの糖吸収(食後過血糖)↑⑧皮膚グルコサミノグリカン産生↓:低下で粘液水腫⑨肝臓タンパク質代謝:りんご酸酵素活性↑
⑩水・電解質代謝:ANP合成↑、Na、水の排泄↑
アミノホルモン(低分子ホルモン)の作用(甲状腺ホルモンの例)
ホルモンの調節機構(1)
ネガティブフィードバック(Negative-feedback)
生体の内部環境の恒常性を維持するためのコントロール機序ホルモンの標的細胞への効果が一定に達すると、その作用を抑制する方向に作用する機序 - 過度の反応の抑制
1) 単一の内分泌腺による調節血漿浸透圧上昇→ ADH(抗利尿ホルモン)分泌増加→ 血漿浸透圧低下
2) 複数の内分泌腺による直列的な調節視床下部ー下垂体ー標的内分泌腺(甲状腺、副腎、性腺)
3) 複数の内分泌腺による並列的な調節血糖低下 → インスリン分泌低下 → 血糖上昇
グルカゴン分泌増加アドレナリン分泌増加コルチゾール分泌増加成長ホルモン分泌増加
ホルモンの調節機構(2)
2) 複数の内分泌腺による直列的な調節
内分泌腺
標的臓器
視床下部
食物摂取↓エネルギー消費↑レプチン
脂肪細胞
内分泌腺
下垂体後葉
ADH血漿浸透圧標的臓器
腎集合尿細管
1) 単一の内分泌腺による調節
CRH: corticotropin releasing hormone
ACTH: adrenocorticotrophic hormone
GRH: growth hormone releasing hormone
SRIF: somatotropin release-inhibiting factor
(=somatostatin, SRIH, GIF
GH: growth hormone
GnRH: gonadotropin-releasing hormone
LH: luteinizing hormone
FSH: follicle stimulating hormone
E2: Estradiol
T: testosterone
TRH: thyrotrophin releasing hormone
TSH: thyroid stimulating hormone
T3: triiodothyronine
T4: thyroxineHypothalamo-
pituitary-
adrenal axis
Hypothalamo-
pituitary-
gonadal axis
Hypothalamo-
pituitary-
thyroid axis
バソプレッシン=抗利尿ホルモン
(antidiuretic
hormon)
レプチン欠損マウス(ob/ob)
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(ペプチドホルモン)
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH ペプチドホルモン)
コルチゾール
[視床下部]
[下垂体]
[副腎皮質]
独立行政法人情報処理推進機構 教育用画像素材集より抜粋[標的組織]
抑制
分泌促進
合成促進視床下部は間脳に位置する
生理作用
例:21水酸化酵素欠損症
プロゲステロン
アルドステロン コルチゾール
17-水酸化プロゲステロン
アンドロゲン
エストロゲン
21-hydroxylase
(21水酸化酵素)欠損
プレグネノロン17-水酸化プレグネノロン
コレステロール
副腎過形成
男性化
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
ホルモンの調節機構(3)
3) 複数の内分泌腺による並列的な調節(血糖調節の例)
食事
糖の吸収
食事
インスリン グルカゴン インスリン グルカゴン インスリン
グルコース→グリコーゲン
グルコース←グリコーゲン
グルコース→グリコーゲン
140
120
100
80
60
40
20
0
76543210
時間
血糖値(m
g/d
l)
糖の吸収
食事
糖の吸収
食事
インスリン グルカゴン インスリン グルカゴン インスリン
グルコース→グリコーゲン
グルコース←グリコーゲン
グルコース→グリコーゲン
140
120
100
80
60
40
20
0
76543210
時間
血糖値(m
g/d
l)
糖の吸収
インスリン グルカゴン
グリコーゲン分解糖新生
ケトン体産生脂肪酸分解
膵β 細胞 膵α 細胞
組織での糖取り込み糖利用
血糖↓ 血糖↑
インスリン グルカゴン
グリコーゲン分解糖新生
ケトン体産生脂肪酸分解
膵β 細胞 膵α 細胞
組織での糖取り込み糖利用
血糖↓ 血糖↑
ホルモンの調節機構(4) 血中濃度の変動ー分泌のリズムー
ホルモンは非常に低い(10-12~10-7 mol/l)濃度で作用し、その濃度は変動する。<概日周期(Circadian rhythm)>副腎皮質の糖質ホルモン(ヒトでは早朝にピーク、夜間は低値)
下垂体前葉の成長ホルモン(深夜睡眠時に高値)<長周期の変動>
性ホルモンの分泌で、ヒトの女性ホルモンの場合は視床下部・下垂体前葉・卵巣の順に階層的に約28日周期で分泌調節される。<間欠的・パルス様>多くのホルモンは断続的に、不規則に放出される。
このため血中濃度は間欠的ないしパルス様に変動する。黄体形成ホルモン(LH)など
インスリン分泌のパターン<基礎分泌>
24時間ほぼ一定量に保たれている分泌<追加分泌>食後の血糖値の上昇に対しタイミングよく大量に分泌される分泌(イベント応答)
セロトニン
約90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞に存在。
8%は血小板に取り込まれ、血液を通じて体内を循環。
2%が脳内の中枢神経に存在。
5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine、略称5-HT)は、モノアミン神経伝達物質の一種。
<局在>
脳関門を通過できない
参考
参考
セロトニンの合成
Tryptophan hydroxylase (TPH)
TPH1: 主に腸
TPH2: 主に中枢神経
律速酵素
Aromatic L-amino
acid decarboxylase (AADC)
参考
参考
脳内のセロトニン・・・覚醒作用(交感神経を介した体温調節、視床下部における体内時計の調節)。情動制御作用( ドーパミンやノルアドレナリンの作用を抑制)。学習・記憶への作用(海馬における記憶力に影響)。運動機能への作用(咀嚼や呼吸といった反復運動に作用)。
腸内のセロトニン・・・
蠕動運動に作用、消化を助ける。過敏性腸症候群の原因とも考え
られている。
血液中のセロトニン・・・
止血作用、血管収縮作用。偏頭痛の原因の一つと考えられている。
古典的なセロトニンの効果参考
新しく発見されたホルモンとしてのセロトニンの効果
① 骨への作用
参考
② 褐色脂肪細胞への作用参考