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Page 1: mkobaya/Kobayashi/Lectures_for... · Web view内分泌 1.ホルモンとは何か? 体には恒常性を維持しようとする機能が備わっている。例えば水分でいうと、体が水不足のときには

内分泌

1.ホルモンとは何か?

 体には恒常性を維持しようとする機能が備わっている。例えば水分でいうと、体が水不足のときに

血圧を維持させるホルモンがでる、腎臓に働いて尿を濃縮させて水分が逃げるのを防ぐホルモンが

る、頭にはたらいてのどの乾き、口渇感をたかめて水を飲ませるホルモンがでる。このようにはた

らく物質をホルモンと呼んでいる。

2.ホルモンの特徴

1)ホルモンの体液中の濃度は非常に微量であるのが特徴。例えば、典型的なペプチドホルモンの血

液中の濃度は、10-9mol/L(nmol/L=ナノモル)程度と、きわめて低濃度である。

( 50 メートルプールにスプーン一杯分のホルモンを入れて溶かしたくらいの濃度)

2)ホルモンが作用を発揮する器官を、ホルモンの標的器官( target organ)と呼ぶ。ホルモンの標

的器官の細胞には、ホルモン分子に特異的に結合する蛋白質であるホルモン受容体(ホルモン・レ

セプター)が存在する。

3.ホルモン分泌の調節機構

ホルモン分泌は、上記の図のように末端のホルモン濃度上昇によって上位の内分泌器官が negative feedback 機構によって調節している。甲状腺ホルモン濃度が高くなると、視床下部と下垂体で甲状腺

ホルモン濃度を感知して甲状腺を刺激するホルモン分泌が低下する。その結果甲状腺ホルモンの分泌

が低下して濃度が下がる。

第 92 回

フィードバック機構で正しいのはどれか。

1. ホメオスタシスには正のフィードバック機構が重要である。

2. 環境変化の影響をより強める方向に働く。

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3. 身体の各器官系が独立して働くように作用する。

4. 受容体が生体の変化を感知して調整中枢に情報伝達する。

第 95 回

正のフィードバック機構はどれか。

1. 血圧上昇時の心拍数減少

2. 体温上昇時の発汗

3. 分娩時の子宮収縮

4. 多飲時の尿量増加

4.内分泌器とホルモン

① 視床下部

  GRH (Growth Hormone Releasing Hormone):成長ホルモン放出ホルモン

  PRH (Prolactin Releasing Hormone):プロラクチン放出ホルモン

  TRH (Thyrotropin Releasing Hormone):甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン

  LH-RH (Luteinizing Hormone-Releasing Hormone):黄体ホルモン放出ホルモン

  CRH (Corticotropin Releasing Hormone):副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン

② 下垂体

  前葉

  GH (Growth Hormone):成長ホルモン

  PRL (Prolatin):プロラクチン

  TSH (Thyroid Stimulating Hormone):甲状腺刺激ホルモン

  FSH (Follicle Stimulating Hormone):卵胞刺激ホルモン

  LH (Luteinizing Hormone):黄体刺激ホルモン

  ACTH (Adreno Cortico Tropic Hormone):副腎皮質刺激ホルモン

        視床下部、下垂体は中枢神経の一部でもあり、神経系で得られた情報をホルモンで身体調節につ

げていく役割を果たしている。

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・高プロラクチン血症

    原因のほとんどは下垂体腺腫

  乳汁漏出(男性や妊娠不可能な女性にでも起こる)、無月経症候群

  薬剤による高プロラクチン血症

レセルピン(降圧剤)

クロールプロマジン(抗精神病薬)

ハロペリドール(抗精神病薬)

メトクロプラミド(吐気止め)

上記の薬剤を服用していて、生理がなくなったと言われたら、薬剤による高プロラクチン血

を考える。

  後葉(視床下部で産生されたものの貯蔵庫)

  ADH (Antidiuretic Hormone or Vasopressin):抗利尿ホルモン

   集合管での水分再吸収を亢進させて尿量を調節している。

  ・尿崩症

  抗利尿ホルモンの分泌低下が原因で,尿の濃縮ができず,尿量が 1日 10リッターにも達する。

   症状:多飲・多尿

第 101 回

抗利尿ホルモン〈ADH〉について正しいのはどれか。

1. 尿細管における水分の再吸収を抑制する。

2. 血漿浸透圧によって分泌が調整される。

3. 飲酒によって分泌が増加する。

4. 下垂体前葉から分泌される。

③ 甲状腺

  甲状腺ホルモン(T3, T4)

  カルシトニン

④ 副甲状腺

  PTH (Parathyroid Hormone)⑤膵臓

  インスリン

⑥ 副腎

  皮質

  Glucocorticoid  Mineralcorticoid  髄質

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  Adrenaline⑦ 性腺

  Androgen  Estrogen5.甲状腺の疾患

 甲状腺ホルモンは、T3 と T4 の2種類があり、T4 が圧倒的に多く分泌されている。

 ・甲状腺ホルモンの作用

甲状腺ホルモンの材料はヨード( I )で、海藻などから摂取している。

今回の福島原発の事故で 131I 放射性物質が放出されたが、甲状腺ホルモンの材料として甲状腺に取り

込まれる。

甲状腺シンチグラムをする際にも、ヨード摂取をやめてもらう必要がある。

第 92 回

甲状腺シンチグラフィの検査前に摂取してはいけないのはどれか。

1. ひじき

2. ごぼう

3. レタス

4. チーズ

①熱量産生作用

  脳、リンパ節などを除いてほとんどすべての組織の酸素消費が増加する。

② 蛋白代謝

  蛋白分解

③糖代謝  糖吸収増加、グリコーゲンのブドウ糖への転化促進などを介して血糖値を増加させる。

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④脂質代謝

  コレステロールの分解排泄を増加。

⑤カテコラミン作用の増強

  心拍数増加、心拍出量の増加

第 100 回

甲状腺機能亢進症の症状はどれか。

1. 眉弓部の膨隆

2. 眼瞼下垂

3. テタニー

4. 動 悸

5. 便 秘

甲状腺の病気には 3 つの病気がある。

甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫が多い疾患だが、バセドウ病、橋本病が合計すると

60%以上を占める甲状腺の自己免疫疾患である。甲状腺機能亢進症は若い女性にも認められること

が特徴で、橋本病はどちらかというと中年以上の女性に多い。

   

 1)甲状腺機能亢進症(バセドウ病、グレーブス病):甲状腺疾患の約 40%  ・発症機序

   自己免疫疾患で、抗 TSHR抗体が TSHR を刺激して、甲状腺ホルモン分泌が恒常的に起こる。

甲状腺疾患の約 40%。

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  ・症状

     

  ・甲状腺クリーゼ

意識障害+高体温+発汗・頻脈・下痢といった症状を呈するバセドウ病の重症化した

状態を指す。治療しなければ致死率 50-90%。

クリーゼでは誘因を伴うことが多い。甲状腺疾患に直接関連した誘因として、抗甲状腺剤の服

不規則や中断、甲状腺手術、甲状腺アイソトープ治療、過度の甲状腺触診や細胞診、甲状腺ホル

モン剤の大量服用などがある。また、甲状腺に直接関連しない誘因として、感染症、甲状腺以

の臓器手術、外傷、妊娠・分娩、副腎皮質機能不全、糖尿病ケトアシドーシス、ヨード造影剤投

与、脳血管障害、肺血栓、塞栓症、虚血性心疾患、抜歯、強い情動ストレスや激しい運動などが

ある。

  ・甲状腺機能亢進症の検査所見

コレステロール低下

血清カルシウム増加、アルカリフォスファターゼ上昇

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   T3と T4の増加、TSH の低下(ネガティブフィードバックで低下する)

  ・治療

   ①抗甲状腺薬

    メルカゾール      顆粒球減少をもたらすことがある。

    プロピリチオウラシル

   ②手術(亜全摘術)(術前に機能を正常化)

    手術の合併症に注意:嗄声(反回神経麻痺のため)、副甲状腺機能低下症、

甲状腺機能低下症となるため術後はチラージン(甲状腺ホルモン)を服用する必要がある。

   ③放射線ヨード療法(日本ではない)

   他に-ブロッカーを使用する。

第 90 回

バセドウ病で高値となるのはどれか。

1. 血清コレステロール

2. TSH3. 血清カルシウム

4. 抗 TSH 受容体抗体

第 100 回

甲状腺機能亢進症の患者への指導内容で適切なのはどれか。

1. 四肢の冷えへの対処方法

2. 食欲亢進に対する食事制限

3. 症状悪化の徴候である眼球陥凹の観察

4. 抗甲状腺薬内服中の感染徴候の早期発見

第 84 回

甲状腺全摘出術後の看護で適切でないのはどれか。

1. テタニー徴候に注意する。

2. 頸部の過伸展を避ける。

3. 嗄声の有無を観察する。

4. ベッドは水平位とする。

第 92 回

バセドウ病の術後合併症でないのはどれか。

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1. 呼吸困難

2. 甲状腺クリーゼ

3. 徐脈4. 嗄声

 2)甲状腺機能低下症

  甲状腺機能低下症のほとんどが橋本病であり、他の原因によるものは(手術後以外)非常に少な

い。

 3)橋本病 甲状腺疾患の約 20%  中年以降の女性に多い、自己免疫疾患。

 

第 96 回

慢性甲状腺炎(橋本病)で正しいのはどれか。

1. 壮年期男性に多い。

2. 甲状腺は萎縮する。

3. 自己免疫疾患である。

4. 甲状腺機能が慢性的に亢進する。

第 90 回

甲状腺機能低下による食欲不振の要因でないのはどれか。

1. 活動性の低下

2. 胃液分泌の低下

3. 代謝の低下

4. 腸蠕動の低下

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 4)甲状腺癌

  甲状腺癌

   甲状腺癌は 30歳代の女性に多く認められる。

   ①乳頭状腺癌:50-70%で最も多い。

          予後も最も良い

          砂粒状石灰化

   ②濾胞状腺癌:20%          次に予後が良い

          粗大な石灰化

   ③未分化癌:予後悪い

   ④髄様癌

    カルシトニン産生

  甲状腺疾患は、女性が男性の5-10倍多い。

第 88 回

甲状腺摘出術後の合併症とその症状との組合せで誤っているのはどれか。

1. 胸管損傷 ─ 乳ビ漏

2. 副甲状腺機能亢進症 ─ テタニー

3. 甲状腺クリーゼ ─ 頻脈

4. 後出血 ─ 声門浮腫

第 84 回

甲状腺全摘出術後の看護で適切でないのはどれか。

1. テタニー徴候に注意する。

2. 頸部の過伸展を避ける。

3. 嗄声の有無を観察する。

4. ベッドは水平位とする。

6.副腎の疾患

 1)副腎皮質ホルモン

  鉱質コルチコイド(アルドステロン)

  糖質コルチコイド(コルチゾール)

  男性ホルモン(精巣ほど大量ではない)

  上記の3種類のホルモンは、コレステロールを原料にして作られる。

 2)Cushing 症候群

  糖質コルチコイドである、コルチゾールが慢性的に過剰分泌された状態。現場で多く認められる

は医原性の Cushing 症候群 で、自己免疫疾患や白血病の治療にステロイドホルモンが長期間使

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れた場合に認められる。

 3)アジソン病(副腎皮質機能低下症)

  副腎皮質から分泌される 3種類のステロイドホルモン分泌が低下する疾患で、後天性のものとし

は、特発性(約 40%、原因不明)、結核性(30 数%)のものが多い。

急性副腎不全(クリーゼ):副腎機能低下症の患者さんに、けがや発熱、あるいは手術などの強い

トレスがかかった場合に生じる。急速に脱水症状、血圧低下、意識障害、呼吸困難など重い症状を

呈する。臨床の現場では、ステロイドホルモンを多量に服用していた患者がステロイドホルモン

用を中止した場合に認められる。

アジソン病での色素沈着(副腎皮質ホルモン低下は下垂体の ACTH 分泌を刺激、ACTH にはメラ

トニン

様作用があり、メラニン増加で色素沈着)

第 99 回

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中心性肥満を生じるのはどれか。

1. 褐色細胞腫

2. 1型糖尿病

3. 甲状腺機能亢進症

4. クッシング症候群

第 84 回

内分泌疾患と症状との組合せで正しいのはどれか。

a.原発性甲状腺機能低下症 ─ 便秘

b.アジソン病 ─ 色素沈着

c.副腎髄質腫瘍 ─ 低血圧発作

d.クッシング病 ─ 脱毛

1. a,b2. a,d3. b,c4. c,d

  4)内分泌疾患と体重の変化

 問題 体重増加をきたしやすいのはどれか。

1. 褐色細胞腫

2. アジソン病

3. バセドウ病

4. インスリノーマ

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代謝疾患

1.糖尿病

 日本の歴史に残る最古の糖尿病患者は誰か?     藤原道長

 紀元前 1500年ころのエジプトのパピルスに「尿があまりにもたくさん出る病気」として記載され

た。

 17世紀のイギリス国王の侍医であったウイルムスが糖尿病の患者の尿が甘いことに気づいた。

 日本では明治まで「蜜尿病」と呼ばれていた。

1)糖尿病の分類

 Ⅰ.1 型糖尿病(インスリン依存性)   A.自己免疫性

  B.特発性

 Ⅱ.2 型糖尿病(インスリン非依存性) 日本人の糖尿病の90%  Ⅲ.その他の特定機序、疾患によるもの

  A.遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの

  ①膵島 β 細胞機能にかかわる遺伝子異常

  ②インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常

  B.ほかの疾患、条件に伴うもの

   ①膵外分泌疾患

   ②内分泌疾患

   ③肝疾患

   ④薬剤や化学物質によるもの

   ⑤感染症

   ⑥免疫機序によるまれな病態

 Ⅳ.妊娠糖尿病

第 100 回

成人期で、加齢に伴い糖尿病を発症しやすくなる原因はどれか。

1. 腎機能の低下

2. 免疫機能の低下

3. 動脈硬化の悪化

4. インスリン感受性の低下

 2)糖尿病の診断基準(覚えるしかない!!)

   1)早朝空腹時血糖値 126mg/dl以上

   2)経口ブドウ糖負荷試験 2 時間値 200mg/dl以上

   3)随時血糖 200mg/dl以上

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   1~3 のいずれかの血糖値が確認された場合は「糖尿病型」と判定される。

   別の日にもう一度行った検査でやはり「糖尿病型」が再確認できれば糖尿病と診断される。た

   し、高血糖の典型的な症状の口渇、多飲、多尿、体重減少などがあれば、1 回の検査でも「糖尿

   型」の場合は糖尿病と診断される。同様に過去 2カ月の平均血糖値を表わす HbA1C が 6.5%以上の

   場合や、確実な糖尿病網膜症が認められる場合、過去にも糖尿病型を示した資料がある場合など

   も 1 回の検査で糖尿病型を示せば糖尿病と診断される。

   

第 85 回

次の文を読み問題に答えよ。

48歳の男性。会社員。残業が多く外食がちであった。嗜好はタバコ 20本/日、ビール大びん1本/日、

コーヒー3杯/日。職場ではストレスがたまりがちであった。強度の全身倦怠感、口渇および多尿を訴

えて受診し入院した。身長 166cm、体重 71kg。血圧 180/98mmHg。眼底 KWⅡ 度、Scott 0、尿糖

(+++)、尿蛋白( )、空腹時血糖− 150mg/dL、Hb(ヘモグロビン)A 1c 8.5%、血清クレアチ

ニン 1.0mg/dL、BUN(尿素窒素)20mg/dL、総コレステロール 280mg/dL、中性脂肪 250mg/dL。

インスリン非依存型糖尿病と診断された。

入院時のアセスメントで正しいのはどれか。

1. 糖尿病性腎症が疑われる。

2. 糖尿病性網膜症が疑われる。

3. 空腹時血糖値は異常である。

4. Hb(ヘモグロビン)A 1c は正常範囲である。

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 3)HbA1c とは何か?

  4)糖尿病の合併症

  ①急性合併症

  ・低血糖性昏睡

   糖尿病の治療を受けている場合、まずこれを考える。

  ・糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡

   インスリン不足のために脂肪酸分解も起こり、ケトン体(アセト酢酸など)が産生される。

   高血糖の結果浸透圧利尿で脱水になり、昏睡。

   ケトアシドーシスでは酸性.代謝性アシドーシスの場合、必ず呼吸が盛んになり、過呼吸にな

る。

   H++HCO3 ー→H2O+CO2 という反応によって重炭酸イオンが減る。

  ・非ケトン性高浸透圧性糖尿病性昏睡

   2 型糖尿病の高齢者で起きやすい病態。

   著しい高血糖、激しい倦怠感、嘔吐、昏睡。

  ②慢性の合併症(非可逆的な変化)

  ・糖尿病性神経障害

   合併症の中では早期に認める。アキレス腱反射の低下が早期に認められる。

   異常感覚(足先や足底のピリピリ感、ジンジン感、しびれ感、冷感など)

   高度の自発痛、温痛覚の障害、触覚の障害

   各種自律神経症状(起立性低血圧、安静時頻脈、インポテンス、消化管の機能異常、膀胱障害)

   感染が誘因となることが多い。これは感染というストレスに反応して抗インシュリン作用を持

   コルチゾールやアド レナリンの分泌が亢進するからである。

・糖尿病性網膜症

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   微小血管の障害によって、網膜の血管に出血や血栓形成等が起きて、網膜剥離等が生じ、最終

 には失明する。

・糖尿病性腎症

        同様に糸球体の微小血管に障害が起きて、ネフローゼ症候群を呈したり、腎不全となって最終的

   には人工透析が必要になる。

     

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第 86 回

糖尿病について正しいのはどれか。

1. 糖尿病性昏睡では脱水がみられる。

2. インスリン非依存型糖尿病では胎児型ヘモグロビン(HbF)が上昇する。

3. 糖尿病治療薬を内服中の患者では食事療法は必要ない。

4. 糖尿病患者では糖負荷後のインスリン分泌反応は速やかである。

第 91 回

糖尿病の高浸透圧性非ケトン性昏睡の原因はどれか。

1. 1型でインスリンの中断

2. 2型で感染症を合併

3. 糖尿病性腎症を合併

4. インスリンの過剰投与

第 101 回

糖尿病神経障害について正しいのはどれか。

1. 神経細胞にアミロイドが沈着する。

2. 体幹部から始まることが多い。

3. 血流障害は原因とならない。

4. 自律神経に障害を認める。

第 98 回

糖尿病性ケトアシドーシスで血中濃度が低下するのはどれか。

1. 尿素窒素

2. ケトン体

3. 水素イオン

4. 重炭酸イオン

第 90 回

糖尿病患者が手術後に高浸透圧性非ケトン性昏睡を発症した。誘発因子で考えにくいのはどれか。

1. 感染症

2. 輸 血

3. 脱 水

4. 高カロリー輸液

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 5)糖尿病の治療

  ①食事指導

  ・一日に必要なエネルギーは

  「標準体重(身長 m×身長 m×22)×25~30kcal」   軽労作   デスクワークが主な人・主婦など:• 25〜30kcal   普通の労作 立ち仕事が多い職業:• 30〜35kcal   重い労作  力仕事の多い職業:• 35kcal〜 ②運動療法

 めやすとしては、歩行運動では 1日 2 回、できれば食後1時間くらいしてから1回 15〜30 分、週3 回以上が望ましい。

  ③経口糖尿病薬

  ④インスリン治療

   インスリン治療は低血糖にならないように少量からスタートする。

   インスリン治療の開始は、中間型もしくは混合型インスリンで始める。

   自己注射が基本で、低血糖(冷汗、動悸、意識障害等)の出現に注意する。

 2.痛風

  尿酸の排泄と生成のバランスが崩れると、尿酸が蓄積して痛風となる。

  高尿酸血症:7mg/dl以上

  男性に圧倒的に多く、アルコールが誘因となる。

  尿酸は、細胞核などにある核酸の分解産物であるプリン体から作られる。

   3.肥満症(メタボリック症候群)

①肥満症の定義

 日本の基準として BMI(Body Mass Index)=体格指数の値25以上

②肥満症のタイプ 

 内臓脂肪型

 皮下脂肪型

③ メタボリックシンドローム

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メタボリックシンドロームとは脂肪細胞の機能が悪化した内臓脂肪型肥満との関連で起こりやす

いと考えられている高血圧、高脂血症、耐糖能異常などの疾患の事をさす。

腹囲の定義に加えて以下のうち 2項目以上

1.空腹時血糖 ≧110mg/dL (糖尿病とは異なる)

2.高トリグリセライド血症≧150mg/dL かつ/または低 HDLコレステロール 男女とも<40mg/dL 3.収縮期血圧 ≧130mmHg かつ/または 拡張期血圧 ≧85mmHg(高血圧症とは異なる)

内臓脂肪型肥満

腹囲:男性で 85以上

   女性で 90以上

第 95 回

内臓脂肪型肥満の簡易指標はどれか。

1. BMI 2. 腹囲

3. 皮下脂肪厚

4. 体脂肪率

第 99 回

50 歳の 男 性 。事務職。 飲酒は缶ビー ル を 350mL/日。 特定健康診査で LDL コレ ステロ ー

ル 156mg/dL、HDLコレステロール 35mg/dL、中性脂肪 200mg/dL。他の検査項目に異常はない。

食事指導で適切なのはどれか。

1. 飲酒の禁止

2. 食物繊維摂取の推奨

3. 動物性脂肪摂取の推奨

4. 植物性蛋白質摂取の制限

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