ブランド買収による上方伸張への 態度形成メカニズム - 中央...

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1 2008 年度東京学芸大学教育学部 久保知一研究室第 2 期卒業論文 ブランド買収による上方伸張への 態度形成メカニズム 秋本 祐子 <要旨> 近年、多くの企業で M&A が行われるようになったが、M&A が消費者のブランドへの知覚に対 してどのような影響を与えるのかは明らかになっていない。本論の目的は、プレミアムブランドが 低価格帯の製品を扱うブランドに買収される事例に対象を限定し、消費者がプレミアムブランドに 持つブランドイメージにとっての、被買収の好ましさのメカニズムを実証研究により解明すること である。この問題を解明するため、ブランド拡張とライン拡張、およびブランド・エクイティを検 討し、これらの統合モデルに希薄化、相乗効果を組み込み独自の理論モデルを構築した。その後、 大学生への質問紙調査から得られたデータを用い、共分散構造分析を行った。分析の結果、知覚適 合は被買収への態度に最も強い影響を与えるとともに、希薄化、相乗効果を経て間接的にも被買収 への態度に影響を与えていることがわかった。 <キーワード> M&A、上方伸張、ブランド拡張、ライン拡張、ブランド・エクイティ、知覚適合、希薄化、相 乗効果、共分散構造分析 1.イントロダクション 近年、M&A (Merger and Acquisition) 1 は日本企業において経営戦略のひとつとして定着している。以前 M&A の多くが行政・銀行主導 2 のものであったが、規制緩和やメインバンク制の崩壊、M&A 法制の整 備などにより M&A が多様化し件数が急増している 3 (1)1 M&A とは、合併や買収などによる企業の組織再編を意味し、広義には資本参加や業務提携など、経営 権の移転が生じないものも含まれる (八木 2008)2 行政主導の例として、 1965 年の日産・プリンスの合併、 1969 年の八幡・富士製鉄の合併があげられる。 また、銀行主導の例としては、興銀主導による 1960 年代の海運業界の再編があげられる (小川 2005)3 規制緩和により外資による日本企業の買収が増加した。また、メインバンクの影響力低下によりメイン バンク以外に M&A を仲介する機関が登場し、融資系列を超えた企業結合が見られるようになっている。 さらに、M&A の法整備により株式交換や持株会社などを使った新しいタイプの M&A が増加した (小川

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    2008 年度東京学芸大学教育学部

    久保知一研究室第 2 期卒業論文

    ブランド買収による上方伸張への

    態度形成メカニズム

    秋本 祐子

    <要旨>

    近年、多くの企業で M&A が行われるようになったが、M&A が消費者のブランドへの知覚に対

    してどのような影響を与えるのかは明らかになっていない。本論の目的は、プレミアムブランドが

    低価格帯の製品を扱うブランドに買収される事例に対象を限定し、消費者がプレミアムブランドに

    持つブランドイメージにとっての、被買収の好ましさのメカニズムを実証研究により解明すること

    である。この問題を解明するため、ブランド拡張とライン拡張、およびブランド・エクイティを検

    討し、これらの統合モデルに希薄化、相乗効果を組み込み独自の理論モデルを構築した。その後、

    大学生への質問紙調査から得られたデータを用い、共分散構造分析を行った。分析の結果、知覚適

    合は被買収への態度に最も強い影響を与えるとともに、希薄化、相乗効果を経て間接的にも被買収

    への態度に影響を与えていることがわかった。

    <キーワード>

    M&A、上方伸張、ブランド拡張、ライン拡張、ブランド・エクイティ、知覚適合、希薄化、相

    乗効果、共分散構造分析

    1.イントロダクション

    近年、M&A (Merger and Acquisition)1 は日本企業において経営戦略のひとつとして定着している。以前

    は M&A の多くが行政・銀行主導2のものであったが、規制緩和やメインバンク制の崩壊、M&A 法制の整

    備などにより M&A が多様化し件数が急増している3 (図 1)。

    1 M&A とは、合併や買収などによる企業の組織再編を意味し、広義には資本参加や業務提携など、経営権の移転が生じないものも含まれる (八木 2008)。 2 行政主導の例として、1965 年の日産・プリンスの合併、1969 年の八幡・富士製鉄の合併があげられる。また、銀行主導の例としては、興銀主導による 1960 年代の海運業界の再編があげられる (小川 2005)。 3 規制緩和により外資による日本企業の買収が増加した。また、メインバンクの影響力低下によりメインバンク以外に M&A を仲介する機関が登場し、融資系列を超えた企業結合が見られるようになっている。さらに、M&A の法整備により株式交換や持株会社などを使った新しいタイプの M&A が増加した (小川

  • 2

    図 1:日本企業の関係した M&A の件数

    小川 (2005) によると、M&A は同一業種のなかで同じ段階の企業を統合していく水平型、同一業種の

    なかで異なる企業を統合していく垂直型、他の業種の会社や事業を買収していく混合型の 3 種類に分類さ

    れる。本研究では、BtoC メーカーによる水平型 M&A を取り上げる。さらにそのなかでも、主に低価格

    帯のブランドを扱う企業がプレミアムブランドを買収する例を研究対象とする。例として、タタ・モータ

    ーズによるジャガーやランドローバーの買収、実現しなかったがユニクロを代表とするファーストリテイ

    リングのバーニーズ・ニューヨークの買収提案などがあげられる。

    BtoC メーカーによる水平型 M&A の場合、買収側の目的は主に次の 2 つが考えられる。第 1 に、規模

    拡大によるコスト削減である。スケールメリットを活かした原材料の購買コストや生産コスト、研究開発

    費の削減が期待できる。また、規模拡大による市場支配力の強化もコスト削減につながると考えられる。

    第 2 に、時間の削減である。既存ブランドの強化や新たな販売地域への進出、新ブランドを育成し確立す

    る際にかかる時間4を、既存の企業やブランドを買収することで商圏を拡大できるとともに技術力を獲得

    しスピード化できる。本研究の対象事例の目的は、後者によるものが大きいと考えられる。なぜなら、低

    価格帯のブランドを扱う企業が新たにプレミアムブランドを構築するには、新たなノウハウや技術を必要

    とし時間がかかると考えられるが、既にブランドを確立しているプレミアムブランドを買収することで時

    間の短縮が図れるからである。

    本研究の対象例は、ブランド買収によるブランドの上方伸長5 (Upward Stretch (Kirmani, Sanjay &

    Bridges 1999)) ともいえるだろう。これらの買収側は、先に述べたようなメリットを享受できると考えら

    2005)。 4 ライオンの藤重社長は、自前ブランドを育成するには、広告宣伝など 1 ブランド当たり年間 20 億 -30億円の投資を 5 年以上続ける必要があると述べている (『日本経済新聞』2004 年 8 月 12 日 9 面)。 5 ブランドの上方伸張とは、ライン拡張の一種であり、製品の水準を上げて上位の市場に進出することである。例として、トヨタ自動車によるレクサスがあげられる。

    出典:『MARR2008 年 2 月号』。

    0

    500

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    85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 年

  • 3

    れるが、製品の価格差が大きい買収は被買収側のブランド価値を下げる要因にならないのか。また、この

    ようなブランド買収によるブランドの上方伸長は、消費者の知覚に影響を与えうるのか。本研究の目的は、

    消費者がプレミアムブランドに持つブランドイメージにとって、低価格帯のブランドを扱う企業に買収さ

    れることへの好ましさのメカニズムを、実証研究により解明することである。今後も企業再編が行われ、

    このようなブランド買収によるブランド伸張例が増えると予想できる。このような状況下で、まだ実証研

    究が行われていない、消費者の被買収への態度形成メカニズムを解明しようとする本研究の意義は大きい

    と考えられる。

    本研究は以下のように構成される。まず、第 2 節では先行研究のレビューを行う。具体的には、モデル

    構築の理論的背景となるブランド拡張の消費者の態度形成モデル、ライン拡張、およびブランド・エクイ

    ティに関して検討する。第 3 節では、以上の理論に基づき構築されたモデルに、希薄化と相乗効果の 2

    つの変数を組み込み、消費者の被買収への態度形成メカニズムを描き出し、独自の理論モデルを構築する。

    理論的分析に続いて行われるのは実証分析である。第 4 節では調査方法に言及し、第 5 節で構造方程式モ

    デルの分析結果を検討する。最終節では、この分析結果ついて考察を重ね、本研究の限界、および今後の

    研究課題について言及する。

    2.先行研究のレビュー

    ここでは、ブランド拡張およびライン拡張についてのレビューを行う。消費者はどのような要因に基づ

    き、ブランド拡張への態度を形成するのか、これを説明した Aaker & Keller (1990) のモデル、および恩蔵

    (1993) のライン拡張の理論である。ブランド買収による上方へのブランド伸長に対する消費者の態度形成

    モデルを構築するため、まずこの 2 つの理論を検討する。

    ○ブランド拡張

    ブランド拡張とは、既存のブランド名を異なる製品カテゴリーに用いることである6 (Farquhar 1989)。

    Aaker & Keller (1990) はブランド拡張の消費者反応をモデル化し、オリジナルブランドと拡張製品間で「知

    覚適合 (Perceived Fit) 」があり、オリジナルブランドへの「知覚品質 (Perceived Quality) 」が高いとき、

    「ブランド拡張への態度 (Attitudes Toward the Extension) 」が高まると述べている。これは、オリジナル

    ブランドと拡張ブランドの製品カテゴリー間に知覚適合があると、知覚品質はブランド拡張への態度に正

    の影響を与えると解釈できる。知覚適合は、消費者がオリジナルブランドと拡張ブランドの製品間カテゴ

    リーを、補完関係とみなす度合いである「補完性 (Complement) 」、代替関係とみなす度合いである「代

    6 例として、DHC の化粧品からビタミン等のサプリメントや、胃腸薬等の医薬品への拡張があげられる。

  • 4

    替性 (Substitute) 」、経営資源(人、設備、能力)が反映されるとみなす度合いである「移転性 (Transfer) 」

    の 3 つの尺度によって測定されている。

    このモデルの知覚適合は、オリジナルブランドと拡張ブランドの製品カテゴリーが適合していると消費

    者が感じる度合いとして用いられている。同カテゴリーの買収である水平的 M&A を扱う本研究のモデル

    では、もともとカテゴリーに関して知覚は適合していると考えられ、このままの定義では本研究には援用

    しがたい。

    ○ライン拡張

    ライン拡張とは、既存のブランド名を既存カテゴリー内の別の製品に用いることである7 (Farquhar

    1989)。恩蔵 (1993) は、ラインを拡張するには、基礎となる製品のブランド資産が確立されていなければ

    ならないと述べるとともに、ライン拡張には基礎製品の中核となるベネフィットが発展可能性を有してい

    なければならないと主張している。

    この理論は、消費者のプレミアムブランドの被買収への態度を解明するうえで、有用だと考えられる。

    価格差の大きいブランド買収の場合、買収ブランドの中核となるベネフィットが低価格だとすると、プレ

    ミアムブランドのブランドイメージにとって、買収されることを好ましくないと消費者は判断する可能性

    がある。すなわち、価格は発展可能性を有していないために、被買収への態度を低下させると考えられる

    であろう。ただし、被買収への態度に影響を与える要因はベネフィットのみならず、ブランド連想もあげ

    られる。低価格をベネフィットだと知覚していなくても、買収ブランドに対する低価格というブランド連

    想は、低価格をベネフィットだと知覚している場合と同様に、プレミアムブランドが買収されることを消

    費者が好ましくないと考えられるためである。

    ○ブランド・エクイティ

    Keller (1998) は知覚適合に関して、拡張製品と当該ブランドカテゴリーが密接な関係にあり、類似して

    いると見なされる場合、消費者は親ブランドに対して持っている既存の態度をそのまま拡張製品に移行す

    ることが多いと述べている。水平的 M&A の場合、買収ブランドのブランド・エクイティが、プレミアム

    ブランドが買収されることへの態度に影響を与えることも考えられる。そのため、ブランド・エクイティ

    についてレビューを行う。

    ブランド・エクイティとは、ブランド、その名前やシンボルと結びついたブランドの資産と負債の集合

    である (Aaker 1991)。ブランド・エクイティの基礎として、ブランド・ロイヤルティ、ブランド認知、知

    7 例として、コカ・コーラのコカ・コーラゼロ、ノーカロリーコカ・コーラ、コカ・コーラプラスへの拡張があげられる。

  • 5

    覚品質、ブランド連想、他の所有権のあるブランド資産8の 5 つの資産カテゴリーがあげられている。図 2

    には、この 5 つの資産カテゴリーが、ブランド・エクイティの基礎となり、ブランド・エクイティが顧客

    や企業の価値を作り出すことが示されている。

    図 2:ブランド・エクイティ

    Aaker (1991) は、5 つの資産カテゴリーのなかで、知覚品質はブランド拡張を導入する場合に活用され、

    ブランド連想は拡張の基盤を提供しうると述べている。これらは、ブランド拡張、ライン拡張研究のレビ

    ューにおいても、それぞれの拡張への態度に対して影響を与える要因としてあげられた。他の 3 つの資産

    カテゴリーは、拡張に関連付けて述べられていないが、ブランド・ロイヤルティについて検討する。

    同書において、ブランド・ロイヤルティは顧客がブランドに対して持つ執着心の測度と定義され、ロイ

    ヤルティの水準に基づき 5 段階に階層化されている9。本論ではその階層水準の第 4 段階にあたる、ブラ

    ンドに対する好ましさに着目する。あるブランドの購買の動機が、価格やスイッチング・コスト、あるい

    は製品に不満足でないことなどに基づく場合、そのブランドが拡張しても消費者は積極的に拡張製品を購

    8 他の所有権のあるブランド資産とはパテント、トレードマーク、チャネル関係などである (Aaker 1991)。 9 Aaker (1991) はロイヤルティの水準をピラミッドに見立て、次のように分類している。まず、ロイヤルティの最低水準の「スイッチする買い手、価格に敏感でブランドに関心を持たない―ブランドにロイヤル

    でない」、次に低い第 2 水準の「満足しているか、習慣となっている買い手―変える理由がない」、中間である第 3 水準の「スイッチング・コストのある満足している買い手」、第 4 水準の「スイッチング・コストのある満足している買い手」、最も高い水準の「コミットしている買い手」の 5 段階である。

    ブランド エクイティ 名前

    シンボル

    以下のことを高めて、企業に価値を与える マーケティングプログラムの効率や有効性 ブランド・ロイヤルティ 価格/マージン ブランドの拡張 取引のテコ 競争優位

    ブランド認知

    知覚品質

    ブランド連想

    他の所有権のある ブランド資産

    ブランド ロイヤルティ

    以下のことを高めて、顧客に価値を与える 顧客の情報の解釈や処理 購買決定における確信 使用の際の満足

    出典:Aaker (1991), p.22 に基づき、筆者により修正。

  • 6

    買しないと考えられる。しかし、購買の動機が製品を好ましく感じブランド自体に好意を持っている場合、

    その好意は拡張製品を購買する動機にもなりうるだろう。このことから、ブランドに対する好意はブラン

    ド拡張、ライン拡張にプラスの影響を与えると考えられ、プレミアムブランドが買収されることへの態度

    にも影響を与えると考えられる。

    3.仮説の提唱および統合モデル

    本節では、ブランド買収による上方へのブランド伸長に対する消費者の態度形成メカニズムを分析する

    ため、オリジナルのモデルを構築する。そのために、第 1 に先述した 3 つの理論、ブランド拡張、ライン

    拡張、ブランド・エクイティから仮説を提唱する。それらの仮説に基づき統合モデルを構築し、第 2 にい

    くつかの概念を追加する。

    ○理論の統合

    まず、ブランド拡張への消費者反応モデルを本モデルに適合するように変換する。従属変数であるブラ

    ンド拡張への態度は、本研究のテーマであるプレミアムブランドが低価格製品を扱うブランドに買収され

    ることへの態度(以下、被買収への態度)に置き換える。被買収への態度は「消費者がプレミアムブラン

    ドに持つブランドイメージにとっての被買収への好ましさ」と定義する。続いて、知覚品質に関して検討

    する。本研究は水平的 M&A を研究対象としているため、製品カテゴリーに対して知覚は適合していると

    考えられる。そのため先行研究から、第 1 の仮説として買収ブランドの知覚品質は買収されることへの態

    度に正の影響を与えると考えられる。なお、知覚品質は「消費者が主観的に知覚する品質」と定義する。

    また、第 2 の仮説として、知覚適合は「消費者が買収ブランドと被買収ブランドのブランドイメージが適

    合していると感じる度合い」と定義し、被買収への態度に正の影響を与える要因としてモデルに組み込む。

    これは、両者のブランドイメージが適合しない場合、消費者が買収されることを好ましく思わないと考え

    られるためである。

    次に、ライン拡張から、本モデルの仮説を提唱する。レビューから、買収ブランドの知覚ベネフィット、

    およびブランド連想の発展可能性の有無により、被買収への態度に正負の異なる影響を与えると考えられ

    る。買収ブランドの知覚ベネフィットやブランド連想が製品属性に結びつく場合を発展可能性を有する場

    合とし、買収されることを好ましく思うと仮定する。一方、買収ブランドの知覚ベネフィットやブランド

    連想が価格に関する場合、発展可能性を有しておらず、買収されることを好ましく感じさせないと仮定す

    る。第 3、第 4 の仮説として、本論では製品属性を「製品の情緒的便益10」、価格イメージを「価格便益や

    10 知覚品質が機能的便益と類似しているため、製品属性を「情緒的便益」と定義する。

  • 7

    価格から派生する連想」と定義し、被買収への態度にそれぞれ正と負の影響を与える要因としてモデルに

    組み込む。

    最後に、ブランド・エクイティから仮説を構築する。レビューから、知覚品質、ブランド連想、ブラン

    ド・ロイヤルティの 3 つが被買収への態度に影響を与えることが仮定できる。知覚品質、ブランド連想に

    ついてはブランド拡張、ライン拡張のレビューで既出のため、ブランド・ロイヤルティについて言及する。

    レビューに基づき、ブランド・ロイヤルティを買収ブランドへの態度に変更して、「消費者の買収ブラン

    ドに対する好ましさ」と定義し、第 5 の仮説として被買収への態度に正の影響を与える要因としてモデル

    に組み込む。ここまでに提唱された仮説が次に示されている。

    H1:買収ブランドの知覚品質は被買収への態度に正の影響を与える

    H2:知覚適合は被買収への態度に正の影響を与える

    H3:買収ブランドの製品属性は被買収への態度に正の影響を与える

    H4:買収ブランドの価格イメージは被買収への態度に負の影響を与える

    H5:買収ブランドへの態度は被買収への態度に正の影響を与える

    この仮説に基づき、3 つの理論を統合しモデル化したパス図が図 3 に示されている。

    図 3:統合モデル

    ○新概念の追加

    構築したモデルに、さらに新概念を追加する。第 1 に「希薄化 (Dilution) 」について検討する。ブラン

    ドイメージが大きく異なるブランド同士の買収の場合、いままでに築いたブランドイメージが弱まる危険

    (+)

    知覚品質

    買収ブランドへの態度

    製品属性

    価格イメージ

    知覚適合

    被買収への態度 (+)

    (+)

    (+)

    (-)

  • 8

    性がある。特に価格帯に大きな差がある買収の場合、プレミアムブランドにとっては、価格から派生した

    ブランドイメージが傷つくおそれがある。本論では、希薄化を「製品の価格差の大きい買収により、消費

    者がプレミアムブランドの高級感を含めたブランドイメージが軽薄すると感じる度合い」と定義し、モデ

    ルに追加する。プレミアムブランドが、ブランドイメージが適合しないブランドに買収される場合希薄化

    が生じ、消費者は買収されることを好ましく思わないと考えられる。これに基づき、第 6、第 7 の仮説と

    して、希薄化は知覚適合から負の影響を受けるとともに、被買収への態度に負の影響を与える要因として

    モデルに追加する。

    H6:知覚適合は被買収ブランドの希薄化に負の影響を与える

    H7:被買収ブランドの希薄化は被買収への態度に負の影響を与える

    第 2 に「相乗効果」を検討する。相乗効果はシナジー効果11とも表され、どれほどシナジー効果がもた

    らされるかが M&A において重要となる12。本研究の対象事例の場合、先述したように買収側はコスト削

    減よりも時間削減を目的とした買収だと考えられる。世界的なブランド力や、それを獲得するにあたり必

    要なノウハウを被買収ブランドから得て、既存ブランドや企業全体の強化につなげるだろう。被買収ブラ

    ンドにとっても買収ブランドのノウハウが活かされる場合、ブランド力をより強固にでき両者にとってプ

    ラスとなる。本論では、相乗効果を「買収により被買収ブランドのブランド戦略にもたらされるプラスの

    効果」と定義し、モデルに追加する。消費者はブランドイメージが適合する買収の場合、相乗効果がもた

    らされると感じ、買収されることを好ましく感じると考えられる。これに基づき、第 8、第 9 の仮説とし

    て、相乗効果は知覚適合から正の影響を受けるとともに、被買収への態度に正の影響を与える要因として

    モデルに追加する。

    H8:知覚適合は被買収ブランドの相乗効果に正の影響を与える

    H9:被買収ブランドの相乗効果は被買収への態度に正の影響を与える

    これまでに提唱された仮説は、図 4 に示す構造方程式モデルとして表現される。

    11 シナジー効果とは、各自単独で活動することによって得られる効果の合算よりも、各自が連携・一体化して活動することによって得られる効果のほうが大きいことを意味する (八木 2008)。 12 八木 (2008) は、買収企業と M&A 対象企業間のシナジー効果の把握は重要であり、M&A の功拙はシナジー効果をどの程度獲得できるかに左右されると述べている。

  • 9

    図 4:本論のモデル

    4.調査方法

    提唱されたモデルの経験的妥当性をテストするため、質問紙調査を行った。調査には、買収側にファー

    ストリテイリングの代表ブランドであるユニクロ13、被買収ブランドにバーニーズ・ニューヨークを用い

    た。この2つのブランドは、ファーストリテイリングがバーニーズ・ニューヨークに対して買収提案を行

    った際に、『ユニクロ:バーニーズ買収提案 拡大路線を加速 「高級」「海外」 を強化』と報道された経

    緯がある14。実際には、この買収計画は破談したが、本論のテーマで用いるブランド買収の事例として適

    していると判断し、質問紙調査に使用した。質問項目は Aaker & Keller (1990)、Sweeney & Soutar (2001)、

    Loken & John (1993) を参考にしつつ、 ブランド買収にも援用可能な項目を改良してすすめられた。なお、

    製品属性、希薄化、相乗効果の質問項目については本論で独自に開発された。

    調査設計の妥当性の吟味のため、東京都内に通う大学生を対象にプリテスト (n=21) を行った。その結

    果、ユニクロは、被験者全員が購買または購買を検討した経験があるため、買収ブランドとしての設定に

    適していると判断できた。一方で、バーニーズ・ニューヨークは認知度が低く、知っている被験者は半数

    に満たなかった。バーニーズ・ニューヨークを知らない被験者の回答は、そのブランドに関する質問項目

    に関して未回答やどちらでもないという回答が多く見受けられた。そのため、被買収ブランドを認知度が

    高いブランドへの再検討を行った。プリテストの参加者を中心にして、再度質問を行い、男女間での認知

    度に偏りがないようにするため、男性用、女性用ともに扱っており、高級だと思うアパレルブランドを3

    13 ファーストリテイリングはユニクロの他にも複数のブランドを抱えているが、2008 年 8 月期(2007 年9月 1日~2008年 8月 31日)におけるファーストリテイリングの売上高の約 84%はユニクロ事業であり、ユニクロがファーストリテイリングの代表ブランドであることがわかる (ファーストリテイリング 2008年 8 月期決算資料説明 FACT BOOK)。 14 『毎日新聞』2007 年 7 月 7 日 11 面。

    知覚品質

    買収ブランド への態度

    製品属性

    価格イメージ

    希薄化

    知覚適合

    相乗効果

    被買収 への態度

    (+) (+)

    (+)

    (+)

    (+)

    (+)

    (-) (-)

    (-)

  • 10

    つ挙げてもらった。その結果、最も投票数を獲得したクリスチャン・ディオールに被買収ブランドを変更

    した15。ユニクロがバーニーズ・ニューヨークに買収提案する目的と報じられた、「高級」、「海外」という

    点においても、クリスチャン・ディオールは満たしており、被買収ブランドとしての設定に適していると

    言えるだろう。質問紙に用いた記事は、プリテストの際に用いたユニクロがバーニーズ・ニューヨークに

    買収提案をした際に報道された記事を参考に作成した(付録参照)。

    こうして、2008 年 12 月に東京都内に通う大学生 122 名を対象に質問紙調査を実施した。有効回答は、

    回収された質問紙から、欠損値のあるものや著しく回答に隔たりのあるもの16を除いた 114 枚(93.4%)であ

    った。

    5.分析結果

    図 4 に示された因果モデルを、統計ソフト SPSS® 15.0.1.1 J および AMOS 5.0 を用いて共分散構造分析

    によって経験的にテストした。まず、潜在変数の信頼性分析を行ったところ、クロンバックの係数は 2

    項目で推奨水準である.70 以上を下回った。しかし、探索的研究において望ましいとされている.60 以上

    (Bagozzi 1994) は上回っており、本論は探索的研究ではないものの許容できる範囲内であると考えられる。

    なお、クロンバックの係数およびモデルの適合度をあげるため、観測変数の一部を除いて分析を行った17。

    以下の分析結果には、修正後の数値が示されている。

    表 1:信頼性係数 (n=114)

    潜在変数 観測変数の数 クロンバックの係数

    知覚品質 2 .643

    製品属性 2 .821

    態度18 2 .866

    価格イメージ 2 .640

    知覚適合 3 .950

    希薄化 2 .836

    相乗効果 2 .768

    被態度 19 2 .907

    15 男女 20 人から回答を得、22 ブランドがあげられた。そのなかで、クリスチャン・ディオールは 8 票であり最も多い結果となった。 16 例えば、回答が全て 1 である質問紙のことである。 17 質問紙の 0102、0104、0203、0301、0304、0402、0404、0601、0703、0704、0802 を除いて分析を行った(付録参照)。 18 表 1、2 では「買収ブランドへの態度」は「態度」と表記される。 19 表 1、2 では「被買収への態度」は「被態度」と表記される。

  • 11

    次に、モデルの全体的評価を行う。このモデルに対する2値は 111.2 で、自由度は 96、有意確率は.136

    であった。適合度指標 GFI および自由度調整適合度指標 AGFI は各々.900 および.841 で、GFI は推奨水準

    である.90 以上に達している。一方、AGFI は推奨水準の.85 以上をわずかに下回ったものの、推奨水準が.05

    以下である平均二乗誤差平方根の RMSEA は.038 であり、データがこのモデルに適合していることを示唆

    している。

    続いてモデルの部分的評価を行う。まず、買収ブランドからの影響をもとに提唱された仮説 1、および

    仮説 3 から仮説 5 までの評価を行う。知覚品質および買収ブランドへの態度は被買収への態度に対して正

    の影響を与えていたが、影響力は小さく、t 検定の結果棄却された (=.031, t=.306, p>.10 および=.060,

    t=.624, p>.10)。これにより、買収ブランドの高い知覚品質は、プレミアムブランドが買収されることへの

    態度を高めるという仮説 1、および買収ブランドへの好ましさは、被買収への態度に正の影響を与えると

    いう仮説 5 は棄却された。また、製品属性は被買収への態度に対して非有意かつ影響を与えておらず

    (=.000, t=-.003, p>.10)、仮説 3 も棄却された。消費者にとって、買収ブランドの製品属性は、被買収へ

    の態度を形成する要因として捉えられていないと解釈できる。一方、価格イメージは被買収への態度に対

    して有意かつ負の影響を与えていた (=-.190, t=-2.052, p

  • 12

    被買収への態度に影響を与えており、消費者が被買収への態度を形成するにあたり核となる要因であるこ

    とがわかる。また、先行研究をもとに提唱した知覚品質、製品属性、買収ブランドへの態度は棄却された。

    このことから、ブランド買収による上方伸張はブランド拡張、ライン拡張と異なる態度形成メカニズムで

    あり、買収ブランドのブランド・エクイティは被買収への態度に影響を与えないことがわかる。この態度

    形成メカニズムの差異は、拡張ブランドがオリジナルブランドに基づいて開発・生産されるかにより生じ

    ると考えられる。

    表 2:構造方程式モデルの推定結果 (n=114)

    H1 知覚品質 → 被態度 (+) .031 (t= .306)

    H2 知覚適合 → 被態度 (+) .407 (t= 4.652)**

    H3 製品属性 → 被態度 (+) .000 (t= -.003)

    H4 価格イメージ → 被態度 (-) -.190 (t= -2.052)**

    H5 態度 → 被態度 (+) .060 (t= .624)

    H6 知覚適合 → 希薄化 (-) -.269 (t= -2.853)**

    H7 知覚適合 → 相乗効果 (+) .258 (t= 2.266)*

    H8 希薄化 → 被態度 (-) -.356 (t= -3.606)**

    H9 相乗効果 → 被態度 (+) .258 (t= 2.849)**

    図 5:構造方程式モデルの分析結果 (n=114)

    知覚品質

    買収ブランド への態度

    製品属性

    価格イメージ

    希薄化

    知覚適合

    相乗効果

    被買収 への態度

    -.269** -.356**

    -.190* .258** .258*

    .031

    .000

    .060

    .407**

    (注記) **:1%水準で有意、*:5%水準で有意。 実線:有意、破線:非有意。

    (注記) **:1%水準で有意、*:5%水準で有意。 2=112.2 (d.f.= 96), p=.136. GFI=.900, AGFI=.841; RMSEA=.038, RMR=.090; AIC=225.297.

  • 13

    6.本論の知見と今後の課題

    近年、M&A は多くの企業にとって経営戦略のひとつとして検討され、取り入れられている。技術革新

    や消費者の選好の変化に対応するために、被買収企業が長い時間を費やして築いてきた有形・無形の資産

    を短時間で手に入れることができる M&A は、買収企業にとって有効な手段だといえる。今後も企業再編

    が行われると予想できるなかで、企業側の M&A に関する研究は盛んに行われているものの、企業買収に

    対する消費者の態度形成メカニズムに着目した研究は行われていない。本論は、プレミアムブランドが低

    価格帯の製品を扱う企業に買収される、いわばブランド買収による上方伸張に焦点を当て、ブランド拡張、

    ライン拡張、ブランド・エクイティの理論をもとにブランド買収への消費者反応をモデル化し、消費者の

    被買収への態度形成メカニズムの解明を試みた。

    構築された因果モデルは、大学生を対象に行ったアンケート調査から得られたデータを用い、構造方程

    式モデルによって経験的にテストに付された。分析結果から、被買収への態度に最も強い影響を与えるの

    は知覚適合であり、その知覚適合は希薄化、相乗効果を経て間接的にも被買収への態度に影響を与えてい

    ることがわかった。これは、知覚適合を高めることで、被買収により起こりえたプレミアムブランドのイ

    メージ低下を防ぐとともに、相乗効果を感じさせ、消費者にプレミアムブランドの被買収を好ましく感じ

    させることを示唆している。

    また、買収側のブランド要素は価格イメージのみ被買収への態度に影響を与えていた。その価格イメー

    ジは、被買収への態度に影響を与えている 4 つの変数、知覚適合、価格イメージ、希薄化、相乗効果のな

    かで、最も影響力は小さかった。これに対し、双方のブランドへの評価に基づいて判断するであろう知覚

    適合、希薄化、相乗効果に関する 5 本のパスはすべて有意であった。これは、消費者が買収側のブランド

    への評価のみで被買収への態度を形成しているのではなく、双方のブランドへの評価を照らし合わせなが

    ら、態度を形成していることを示唆している。

    以上の結果から、被買収ブランドのブランドイメージの低下を防ぎ、消費者に被買収を好ましく感じさ

    せるには、次の 2 点に留意する必要がある。まず、買収に際して、買収ブランドに対する消費者のブラン

    ドイメージと類似するブランドを、被買収ブランドとして選定することである。これにより、ブランドイ

    メージの不適合によるブランドイメージの低下や、被買収への否定的な態度を阻止できると考えられる。

    次に、買収ブランドにとっての利点だけではなく、相乗効果からもたらされる被買収ブランドの利点も消

    費者に示すことである。一般に、買収ブランドの利点の取り上げられ方に比べ、被買収ブランドの利点は

    あまり取り上げられない。相乗効果からもたらされる被買収ブランドの利点を示唆することで、被買収へ

    の態度を高めることができるであろう。

    本論で構築されたモデルについて、幾つかの限界が存在する。第 1 に、本論の実証研究に用いたサンプ

  • 14

    ルが、学生を対象としたものであった点である。ブランドへの評価は使用経験により、変化すると考えら

    れる。主に 20 代により構成されていた学生サンプルと、30 代、40 代では使用経験に差がある可能性が高

    く、異なる結果が得られたかもしれない。第 2 に、質問紙調査にアパレル業界を用いた点である。本研究

    の対象事例は、アパレル業界の他に自動車業界や食品業界などでも見受けられた20。質問紙調査の対象で

    ある学生の使用経験や、製品特性などからアパレル業界を選定したが、本論のモデルが他の業界において

    有用だとは言い切れない。最後に、知覚適合に影響を与える要因が提唱されていない点である。被買収ブ

    ランドがブランドイメージの低下を防ぐには、知覚適合を高める必要があることがわかった。しかし、買

    収側、被買収側のブランドイメージが大きく異なる場合、長年にわたり築いたブランドイメージを消費者

    に適合していると知覚させることは難しい。このような場合に、どのような要因に基づき知覚適合を高め

    ることが有用であるか、具体的な戦略を示唆することができなかった。先述した 2 点に加え、知覚適合に

    影響を与える要因を見いだすことが、今後の研究における大きな課題である。

    参考文献

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    Line Stretches,” Journal of Marketing, Vol.63, No.1, pp.88-101, 柴田典子訳 (1999)、「ブランド・ライン

    20 冒頭で先述している例の他に、1987 年のフォード・モーターによるアストンマーチンの買収、2007 年のロッテによるギリアンの買収などがあげられる。なお、フォード・モーターは経営再建のため、2007年にアストンマーチンを売却している。

  • 15

    伸張に対する消費者の反応へのオーナーシップ効果」、『マーケティングジャーナル』、第 19 巻 第

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    北風和宏・須藤可那子 (2006)、「ライン拡張が親ブランドへの態度に与える影響」、『日経広告研究所報』、

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    Impact?,” Journal of Marketing, Vol.57, No.3, pp.71-84, 小畑彰子訳 (1997)、「ブランドの信念の希薄

    化:ブランド拡張がマイナスの影響を与えるのはいかなる時か」、『マーケティングジャーナル』、

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    小川好澄 (2005)、『M&A』、ナツメ社。

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    参考資料

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    『MARR』、2008 年 2 月号。

    『日本経済新聞』、2004 年 8 月 12 日。

  • 16

    久保知一研究室2期生 秋本祐子

    ○ごあいさつ

    ※記事を読んだ上で、次の設問にお答えください。 設問1)以下の質問に対して、上記の記事を念頭において、あてはまる番号に○印をお付けくだ

    さい。なお、上記のブランドをお持ちでない方はイメージで構いませんのでお答えください。

    0101 ユニクロは品質がよい 5-4-3-2-1

    0102 ユニクロの製品は均一につくられている 5-4-3-2-1

    0103 ユニクロの製品は耐久性がある 5-4-3-2-1

    0104 ユニクロの製品は安全である 5-4-3-2-1

    0201 ユニクロはデザインがよい 5-4-3-2-1

    0202 ユニクロはファッション性が高い 5-4-3-2-1

    0203 ユニクロはセンスがよい 5-4-3-2-1

    0301 ユニクロが好きだ 5-4-3-2-1

    0302 ユニクロに興味がある 5-4-3-2-1

    0303 ユニクロに魅力を感じる 5-4-3-2-1

    0304 ユニクロの製品は好ましい 5-4-3-2-1

    0401 ユニクロには安価なイメージがある 5-4-3-2-1

    0402 ユニクロといえば経済的である 5-4-3-2-1

    0403 ユニクロは大衆製品のイメージが強い 5-4-3-2-1

    0404 ユニクロは価格が安いことがよい 5-4-3-2-1

    このたび、ブランド買収への消費者の意識調査のために、以下のアンケートを作成致しました。回答結果はコンピ

    ュータで統計的に処理され、プライバシーは保護されます。大変お手数ではございますが、なにとぞご協力のほど、

    よろしくお願い致します。

    【 5 ――― 4 ――― 3 ――― 2 ――― 1 】 ややそう 思わない

    どちらでも ない

    ややそう 思う

    そう思う そう思わない

    ユニクロ:ディオール買収提案 拡大路線を加速 「高級」「海外」を強化

    カジュアル衣料店の「ユニクロ」を展開してきたファーストリテイリングが、仏高級ブランドであるクリスチ

    ャン・ディオールの買収を示唆し、海外での本格的な大型買収に乗り出した。世界的な知名度のあるディ

    オールの買収は、「高級ブランド」と「海外展開」の強化をいっぺんに実現する絶好の機会である。

    付録:ブランド買収に関するアンケート調査

  • 17

    0501 ユニクロとディオールのブランドイメージは類似している 5-4-3-2-1

    0502ユニクロとディオールのブランドイメージは共通している 5-4-3-2-1

    0503 ユニクロとディオールのブランドイメージは適合している 5-4-3-2-1

    0601 ユニクロに買収されると、ディオールのブランドイメージはあいまいになる 5-4-3-2-1

    0602 ユニクロに買収されると、ディオールのブランドイメージは低下する 5-4-3-2-1

    0603 ユニクロに買収されると、ディオールの高級感は希薄する 5-4-3-2-1

    0701 ディオールのブランドイメージにとって、ユニクロに買収されることは好ましい 5-4-3-2-1

    0702 ディオールのブランドイメージにとって、ユニクロに買収されることは望ましい 5-4-3-2-1

    0703 ディオールのブランド展開にとって、ユニクロに買収されることは好ましい 5-4-3-2-1

    0704 ディオールのブランド展開にとって、ユニクロに買収されることは望ましい 5-4-3-2-1

    0801 ユニクロに買収されると、ディオールには商品展開での相乗効果がある 5-4-3-2-1

    0802 ユニクロに買収されると、ディオールには販促活動での相乗効果がある 5-4-3-2-1

    0803 ユニクロに買収されると、ディオールには集客面での相乗効果がある 5-4-3-2-1 設問2)ユニクロとディオールについてのイメージを、自由にお答えください。 設問3)あなたご自身のことについておたずねします。

    0901 あなたの性別に○印をお付けください。

    1.男 2.女 0902 あなたの年代に○印をお付けください。

    1.10代以下 2.20代 3.30代 4.40代 5.50代以上 0903 あなたはユニクロおよびディオールを知っていましたか。あてはまる番号に○印をお

    付けください。 1.両方知っていた 2.ユニクロのみ知っていた 3.ディオールのみ知っていた 4.両方知らなかった

    0904 あなたはユニクロおよびディオールの商品を購入、あるいは購入を検討したことがあ

    りますか。あてはまる番号に○印をお付けください。 1.両方ある 2.ユニクロのみある 3.ディオールのみある 4.両方ない

    質問は以上です。貴重なご協力に、心から感謝致します。誠にありがとうございました。