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1 2008 年度東京学芸大学教育学部 久保知一研究室第 2 期卒業論文 最寄品における期間限定製品への消費者の反応 堀 大輔 <要旨> 本論の目的は、消費者が最寄品における期間限定製品を購買しようと思うまでの消費者行動モ デルの構築とその実証である。今日、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで様々な最寄 品が販売されている。そのような場所で販売されている最寄品は大量生産されているため希少価 値を見出す人は少ない。しかし、最寄品の中には一定の期間限定で生産される消費者に希少価値 を見出させようとする期間限定製品が存在する。その最寄品における期間限定製品に消費者はど れだけ希少価値を見出しているのかということは明らかになっていない。この問題を解明するた めに、Howard のニューモデルを検討し、時間制限的リスク、機能的リスク、あいまいな確信、 態度、意図を変数に持つ独自の理論モデルを構築した。モデル構築後、仮説を提唱した。その後、 東京都内の大学に通う 132 名の大学生から集めたデータを用いて共分散構造分析を行いモデル の経験的妥当性をテストした。その結果、消費者は製品に記載される期間限定という言葉により、 品質が不安だと感じたり、製品を買うか買わないかという判断があいまいになるよりも、その製 品自体を好ましいと感じるということが確認された。 <キーワード> 最寄品、期間限定製品、希少性の原理、TEASE 理論、Howard のニューモデル、知覚リスク、 時間制限的リスク、機能的リスク、あいまいな確信、共分散構造分析 1.イントロダクション 本論の研究テーマは、最寄品 (Convenience Goods) 1 における期間限定製品をめぐる消費者行動である。 「旅行先の土産」、「旅行先の名物料理」などその時を逃せば二度と手に入らない、味わうことができない 1 最寄品を最初に定義したのは Copeland (1923) である。本論の最寄品の意味として、 Holton (1958) が新た に定義した「ある消費者にとって、価格と品質を代替的な売り手間で比較することによって得られそう な利益が、時間、金銭、努力といった探索費用と比較して相対的に小さいと想定される製品」という定 義を採用する。

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1

2008 年度東京学芸大学教育学部

久保知一研究室第 2 期卒業論文

最寄品における期間限定製品への消費者の反応

堀 大輔

<要旨>

本論の目的は、消費者が 寄品における期間限定製品を購買しようと思うまでの消費者行動モ

デルの構築とその実証である。今日、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで様々な 寄

品が販売されている。そのような場所で販売されている 寄品は大量生産されているため希少価

値を見出す人は少ない。しかし、 寄品の中には一定の期間限定で生産される消費者に希少価値

を見出させようとする期間限定製品が存在する。その 寄品における期間限定製品に消費者はど

れだけ希少価値を見出しているのかということは明らかになっていない。この問題を解明するた

めに、Howard のニューモデルを検討し、時間制限的リスク、機能的リスク、あいまいな確信、

態度、意図を変数に持つ独自の理論モデルを構築した。モデル構築後、仮説を提唱した。その後、

東京都内の大学に通う 132 名の大学生から集めたデータを用いて共分散構造分析を行いモデル

の経験的妥当性をテストした。その結果、消費者は製品に記載される期間限定という言葉により、

品質が不安だと感じたり、製品を買うか買わないかという判断があいまいになるよりも、その製

品自体を好ましいと感じるということが確認された。

<キーワード>

寄品、期間限定製品、希少性の原理、TEASE 理論、Howard のニューモデル、知覚リスク、

時間制限的リスク、機能的リスク、あいまいな確信、共分散構造分析

1.イントロダクション

本論の研究テーマは、 寄品 (Convenience Goods)1 における期間限定製品をめぐる消費者行動である。

「旅行先の土産」、「旅行先の名物料理」などその時を逃せば二度と手に入らない、味わうことができない

1 寄品を 初に定義したのは Copeland (1923) である。本論の 寄品の意味として、Holton (1958) が新た

に定義した「ある消費者にとって、価格と品質を代替的な売り手間で比較することによって得られそう

な利益が、時間、金銭、努力といった探索費用と比較して相対的に小さいと想定される製品」という定

義を採用する。

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限定生産品に人々は希少価値を見いだす2。一方、大量生産されている 寄品に希少価値を見いだす人は少

ないであろう。しかし、大量生産される 寄品においても「期間限定」で生産される製品 (以下、期間限

定製品) が存在する。そこで、消費者は、限定生産の 寄品にどれだけ反応しているのだろうかという疑

問が生じる。希少価値が大いにある「旅先の土産」などに消費者はなぜ惹かれるのかという研究はなされ

ている3が、希少価値が薄れるであろう 寄品における期間限定製品に関する研究は今のところほとんど行

われていない。よって、本論ではすでに通常製品が販売されている製品の期間限定製品に対して消費者が

反応し、購買しようと思うまでのモデル構築とその実証を目的とする。

本論は以下のように構成される。第 2 節では期間限定製品の特徴。第 3 節ではモデル構築の理論的背景と

なる既存研究の吟味とその評価を行う。第 4 節ではオリジナルの理論モデルを構築し、仮説を提唱する。

理論的分析に続いて行われるのは実証分析である。第 5 節では調査方法に言及し、第 6 節では分析結果の

検討を行う。 終節では本研究の限界、および今後の研究課題について言及する。

2.期間限定製品

「限定」という希少性の価値を訴求する製品は、期間限定製品、地域限定製品、数量限定製品、地域限

定製品、チャネル限定製品、顧客限定製品など様々な製品があるが、本節は消費者行動モデルの構築に先

立って、本論で扱う期間限定製品の特徴を概観する。

期間限定製品とは、販売元のメーカーが決めたある一定期間に販売される製品である。その期限は「春

季限定」、「冬季限定」などまちまちであるが、消費者にはその販売期限がいつまでなのかはっきりと分か

らないことが多い。よって、期間限定製品は買い逃しのリスクがある製品だといえる。また、期間限定製

品は販売期限があるために、消費者は期間限定製品に触れる機会が限られてしまい、初めて見るというと

きが多い。一度買った経験があればどのような製品かということはわかるが、初めて見ることが多いとい

うことは製品の内容がよくわからないまま購買しなければならない。期間限定製品はこのような不確実性

のリスクがある製品ともいえる。他の特徴としては、期間限定製品は、販売期限が設けられていない通常

製品の特別仕様として販売されることが多く、通常製品の名前の横などに「○○味」、「○○%増量」、「○○仕様」

などと加えて標記される。また、通常製品と区別するためにパッケージが違う仕様になっている。本論で

扱う期間限定製品は以上にあげた、 寄品の中にあり、かつ通常製品が存在する製品の期間限定製品であ

る。そして、消費者は一度もその製品を購買したことがないと仮定する。

また、本論では期間限定製品が販売されている状況を特定する。消費者がよく 寄品を購買する場とし

てスーパーマーケットやコンビニエンスストアが挙げられるだろう。そこに通常製品とともに陳列されて

いるという状況である。本論は、 寄品における期間限定製品を扱うのでこのような状況を想定する。

2 重田 (2004) は「その時、その場でしか手に入らない」といった入手が困難な商品ほど消費者はその 商品を価値あるものと見出すと言っている。これを希少性の原理という。

3 Brown (2005) は消費者をじらし、購買意欲をかきたてる理論として、トリック (Trickery)、限定

(Exclusivity)、増幅 (Amplification)、秘密 (Secrecy)、エンターテイメント (Entertainment) の頭文字をとっ

た TEASE 理論を提唱している。そこで、消費者に欠乏感をあたえる「限定」という戦略が売れる要因に

なると言っている。

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3.既存研究のレビュー

期間限定製品はリスクがある製品だと第 2 節で述べたが、本来リスクがある製品に対し消費者は購買を

ためらうだろう。しかし、実際には消費者は期間限定製品を購買している。リスクのある製品を購買する

ということは、リスクがあったとしてもそれを見極められるという自信があるということである。このこ

とから期間限定製品を購買する際に消費者は自分の判断にある程度自信をもって購買しているということ

がわかる。

消費者が製品を購買しようとする際、その判断にどれだけ自信を持っているのかということをモデルに

含んだ消費者行動モデルとして Howard のニューモデルがある。消費者が期間限定製品を購買しようと思う

までを説明するモデルを構築するために、このモデルを検討する。

Howard のニューモデルは、Howard & Sheth モデルに代表される刺激-反応型モデルに、情報処理研究で

の成果を加えて、刺激-反応型モデルの再評価を試みたモデルである (Howard, Shay, & Green 1988)。消費

者は情報4を受け、その後ブランドの認識5、態度6形成、確信7を行う。このモデルはブランドの認識を行っ

た後に態度形成、確信に至るルートのほかに、情報を得て、そこから直接態度や確信に至るルートも考慮

されている。態度、確信が形成された後、その 2 つが合わさり購買意図8が形成される (図 1)。Howard のニ

ューモデルは、Howard & Sheth モデルの考え方を踏襲するモデルとなっており、意図が形成されるまでの

フローが、対象とする製品の製品ライフサイクルにより異なるとしている。踏襲している以外に問題が起

こった際の解決方法に新しいルールが存在している。Howard & Sheth モデルでは製品ライフサイクルが成

熟期である場合、意思決定は日常反応的問題解決 (Routine Problem Solving)9 のみを行うというルールだっ

4 刺激それ自体というよりもある外部からの刺激 (広告、口コミなど) によって引き起こされた知覚。 5 買い手が同一カテゴリー内の他のブランドと区別するためにもつ当該ブランドの知識の程度。 6 消費者がその製品に対しどれくらい好感を示すかという程度。 7 あるブランドないしカテゴリーに対する評価上の判断が正しいと消費者が感じる確からしさの程度。 8 ある特定時点に一定数の特定ブランドを購買するという消費者の計画を反映した心理状態。 9 消費者は製品カテゴリーやブランドをよく理解している場合、ほとんど情報を必要としない。そして、

知っているものやいつも買っているものを選ぶということ。

出典:Howard, Shay, & Green (1988).

情報

確信

ブランド認識

態度

意図

図 1: Howard のニューモデル

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た。

Howard のニューモデルは新たに、日常的に購入しているブランドに飽きたときに、限定的問題解決

(Limited Problem Solving)10 と同じように問題解決を行う倦怠的問題解決を加えた。これにより、成熟期に

ある製品カテゴリーにおいて、初めて見るブランドに対しても対応することができるとした。また、Howard

は、刺激を受け直接意図に向かうバイパスパターンと、深く悩んだ結果、ブランド認識、態度形成、確信

のすべてを経て意図まで向かうサイクルパターンの 2 通りを仮定している。では、このモデルが期間限定

製品に援用できるかということを検討する。このモデルには製品を購買しようとする際の確信を行う過程

が含まれているため、この部分は援用できると考えられる。期間限定製品はリスクのある製品だと述べて

きた。しかし、Howard のニューモデルでは製品に含まれるリスクを想定していない。それゆえ期間限定製

品にそのままこのモデルを援用することは問題があると考える。

4.モデル構築および仮説の提唱

本節では、第 3 節でレビューした Howard のニューモデルに基づいて、本研究の因果モデルを構築する。

そして、いくつかの概念を削除または追加する。

まず、Howard のニューモデルの概念を変換する。本論が研究対象とする期間限定製品は、消費者にとっ

て関与が低い製品である。つまり、事前に情報を得て (インターネットで調べたり、広告を見たりし情報

を集めて) から購買するのではなく、直接店に出向いた際にその製品の情報を得ることが常だろう11。よっ

て、「情報」は本研究で構築するモデルから外す。

また、どんな製品であってもブランドというものはあるが、本研究では 寄品というどの消費者にとっ

ても関与が低い製品を扱うため、どこまでそのブランドを認知、理解しているかという概念は重要でない。

よって、「ブランド認識」は本研究で構築するモデルから外す。

そして、 寄品の購買において消費者は自分の購買行動に絶対の自信を持つことは少ないだろう。むし

ろ、ちょっと目についた製品やその時の気分によって購買の判断が左右されると言える。「買う」、「買わな

い」という判断は下されるが、その根拠は現場の雰囲気や付属品の有無などあいまいな理由が多いという

ことである。よって、本研究では確信を「あいまいな確信」に変更する。あいまいな確信を本論では「自

分の行動に絶対の自信を持つことがない状況下での自分の行動に自信が持てる程度」と定義する。 寄品

の特徴上、購買における消費者の買うか買わないかという判断は、それがたとえその消費者にとってマイ

ナスとなる結果だったとしても損失は少ないと考えられる。よって、 寄品の購買はあいまいな判断のも

と行われ、消費者は損失をあまり気にせずに購買しようと考えやすいと言える。よって、あいまいな確信

は意図に正の影響を与えると考えられる。調査に用いた質問において、あいまいな確信の「あいまいさ」

を表現する方法として、質問文の語尾に「確信を持たない、判断があいまい」という意味をもつ「~な気

10 消費者が意思決定する製品の製品カテゴリーの特徴が既にわかっている場合、その情報は必要とせず、

個別のブランドについての情報を限定的に用いること。 11 平久保 (2005) はスーパーマーケットで販売される製品の 60%は計画外の購買、30%ははっきりと計画

された購買、10%はおおまかに候補を絞った購買だと言っている。

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がする」という言葉を用いることにより表現した12。

Howard のニューモデルでは態度が意図に正の影響を与えると考えている。これを本論のモデルの仮説と

して援用する。ここまでに変換された概念と Howard のニューモデルに基づいた概念を用いて、以下の仮説

を提唱する。

次に、概念の追加を行う。期間限定製品は通常製品に比べ初めて購入することが多いので購入の際に消

費者は不安やリスクを感じるであろう。モノやサービスの購入の際に消費者が抱く不安やリスクである「知

覚リスク」を本研究の構築するモデルに加える。しかし、知覚リスクという概念は期間限定という言葉が

生じさせるリスクを説明するには幅が広い。Shiffman & Kanuk (1991) は、知覚リスクを、機能的リスク、

物理的リスク、家計的リスク、社会的リスク、心理的リスク、時間的リスク、機会損失リスク、帰結リス

クの 8 つに分類している。その中の「品質は大丈夫だろうか」という機能的リスク13を本論が構築するモデ

ルに採用する。このような不安は期間限定製品に対する態度に重要な役割を果たす。試したことのない製

品は、どのような製品かということをパッケージに記載してある情報から読み取らなくてはならない。そ

して、その情報ははたして本当だろうか、その情報をきちんと守っている製品なのだろうかと消費者は疑

問を抱くだろう。その疑問は期間限定製品を好ましく感じなくさせる要因になっているといえる。つまり、

機能的リスクは態度に負の影響を与えると考えられる。よって、以下の仮説を提唱する。

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本論では消費者は期間限定製品に対し、「もしかしたらこの製品をまた目にすることはないかもしれな

い」と感じると考える。つまり、期間限定製品は「購買に時間的制約がある製品」だと言える。時間的制

約は消費者を不安に感じさせるのでリスクだと言える。このようなリスクを「時間制限的リスク」とし、

本論が構築するモデルに追加する。製品に対し販売期限が設定されると、消費者は焦り、購買を急ごうと

するだろう14。心理的に焦ってしまうことにより買うか買わないかという判断をより簡単に下すようになり

購買が促進されると考えられる。つまり、時間制限的リスクは、あいまいな確信に正の影響を与え、さら

に意図にも正の影響を与えると考えられる。また、期間限定という言葉により心理的に焦らせられる消費

者は、別な影響も与えられていると考える。期間限定という言葉がついている製品に対し希少価値を見出

しているということである。それは期間限定製品が好きな消費者と言い換えることができる。つまり、時

12 芳賀・佐々木・門倉 (1996) の著書である「あいまい語辞典」を参考にした。 13 平久保 (2005) は機能的リスクとは製品が本来の性能を果たさない可能性があると感じるリスクだと言

っている。技術的に複雑であったり、イノベーティブな製品であれば、機能的リスクは増大する。また、

結果がはっきりわからないサプリメントなども機能的リスクは大きい。 14 販売期限を設けられたということは、入手が困難になったということである。それにより、上で述べた

希少性の理論を用いると、その製品には希少価値が生まれ消費者は購買意欲を掻き立てられるというこ

とになる。

仮説 1:あいまいな確信は意図に正の影響を与える。

仮説 2:態度は意図に正の影響を与える。

仮説 3:機能的リスクは態度に負の影響を与える。

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間制限的リスクは態度に対し正の影響を与えると考えられる。本来リスクがある場合は消費を控えようと

すると考えられるが時間制限的リスクは他の概念に対し正の影響を与える。リスクが購買を促進する働き

として仮説を提唱しているというところは期間限定という言葉の特徴といえるだろう。以上の時間制限的

リスクという概念が他の概念に与える影響をまとめ、以下の仮説を提唱する。

期間限定という言葉が生み出す焦りは消費者の購買意欲を掻き立てる以外に、他の不安を軽減させる作

用もあると考えられる。製品に販売期限が設けられるとそれによる焦りで、品質に関する不安などは多少

なりとも軽減され後回しになるだろう。なぜなら、品質に関する不安が他の要因によって軽減されていな

ければ、期間限定製品を購買しようと思わないと考えられるからである。つまり、時間制限的リスクは機

能的リスクに負の影響を与えると考えられる。よって、以下の仮説を提唱する。

また、時間制限的リスクが機能的リスクを軽減したからといって、その影響が少なければ結局のところ

期間限定製品は購買されないだろう。つまり、期間限定という言葉は、その製品に対し品質は大丈夫だろ

うかという不安を掻き立て期間限定製品を好ましいと思わなくさせるよりも、希少価値のほうに消費者の

関心を向けさせ期間限定製品を好ましいと思わせていなければいけないということである。それは、時間

制限的リスクと機能的リスクの両方からパスの伸びている態度に対して、時間制限的リスクのほうが機能

的リスクよりも強い影響を与えていなければ期間限定製品は消費者に魅力的な製品だと感じてもらえない

ということである。よって、以下の仮説を提唱する。

これまでに提唱された仮説は、図 2 に示す構造方程式モデルとして表現される。

仮説 4:時間制限的リスクはあいまいな確信に正の影響を与える。

仮設 5:時間制限的リスクは意図に正の影響を与える。

仮説 6:時間制限的リスクは態度に正の影響を与える。

仮設 7:時間制限的リスクは機能的リスクに負の影響を与える。

仮設 8:時間制限的リスクが態度に与える影響は機能的リスクが態度に与える影響より大きい。

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5.調査方法

構築されたモデルの経験的妥当性をテストするために、質問紙調査を行った。質問票の作成は、態度と

意図については高橋 (1996) を参考にしつつ、期間限定製品にも援用可能な項目を改良して進められた。他

の質問項目は本論で独自に開発された。質問票配布対象として選定したのは、東京都内の大学に通う大学

生であった。東京都の中央大学15と東京学芸大学16でプリテスト (n=45) を行った後更なる検討を行い、測

定尺度を開発した。プリテストに用いた期間限定製品は 寄品の中からすでに通常製品が複数存在するも

のを条件とし選出した。そして、実際に販売されている製品名ではなく本論で独自に製品名を設定した。

なぜなら、本論での期間限定製品は消費者がまだ一度も購買したことのない製品と仮定しているため、す

でに存在する期間限定製品であったとしても調査対象者の中にその製品を購買した経験がある者がいれば、

その製品の品質に対する不安は購買経験のない調査対象者と異なると考えられるからである。

プリテストに用いた製品は、チョコレート菓子である「チョコボール17」を選出した。選出理由としては、

チョコボールには通常製品が複数種類あり期間限定製品も存在するため、消費者にも期間限定製品の調査

製品として認識されやすいと考えたからである。実際のプリテストに用いた製品名は架空の「チョコボー

ル 冬味」とした。しかし、プリテストの結果、女性に比べ男性はあまりチョコレート菓子を購買しない

ので男性は調査の内容をイメージしにくいという意見が多数きかれた。よって、本テストで用いる製品を

飲料に変更した。その飲料として選出したのが「午後の紅茶18」である。選出理由としてはチョコボール同

様通常製品が複数種類あり期間限定製品も存在、かつ紅茶は複数の茶葉をブレンドすることにより様々な

種類の紅茶となるため、本調査で架空の製品名を調査に用いてもイメージがしやすいと考えたからである。

15 2008 年 12 月 8 日実施。 16 2008 年 12 月 10 日実施。 17 チョコボールは、森永製菓が発売しているチョコレート菓子。1 センチ大のチョコレートの中にピーナ

ッツやキャラメルや各種チョコレートをチョコレートでコーティングしたもので、複数種類が発売され

ている。 18 キリンビバレッジが販売している紅茶飲料。

図 2:構築されたモデル

時間制限的リスク あいまいな確信 H1:+

H2 +

機能的リスク

H4:+

H5:+

H6:+

H3:-

H7:- 意図

態度

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実際の本テストで用いた製品名は「午後の紅茶 ウィンターブレンド」とした。

本テストはプリテスト同様、東京都の中央大学19と東京学芸大学20で計 3 回実施し、132 名 (内男性 75 名、

女性 45 名) を対象にして、質問紙調査を実施した。回収された質問票から、欠損値のあるものや著しく回

答に隔たりのあるもの21を除くと、有効回答は 120 通 (90.9%) であった。

6.分析

図 2 に示された因果モデルを、統計ソフト SPSSⓇStudent version 11.0 for WindowsⓇと Amos7.0Ⓡを用いて

共分散構造分析によって経験的にテストした。まず、潜在変数の信頼性分析を行ったところ、クロンバッ

クの係数は全て.70 を上回った (村上 2006)。それゆえ、本論が設定した測定尺度は信頼されるものであ

ると考えられる 。分析結果は表 1 に示されている。

次に、モデルの全体的評価を行う。このモデルに対する χ2値は 42.504 で、自由度は 28、有意確率は.039

であった。適合度指標 GFI および自由度調整適合度指標 AGFI は各々.933 および.869 であった。平均二乗

誤差平方根 RMSEA は.066 であった。GFI は.90 以上という推奨水準 (Bagozzi & Yi 1988) を満たし、AGFI

も.85以上という推奨水準 (Bagozzi & Yi 1988) を満たしている。平均二乗誤差平方根RMSEAについても.08

以下という推奨水準 (Steiger 1980) を満たしている。以上の結果、推奨水準をすべて満たしていることから

このデータがモデルに適合していることを示唆している。

続いて、モデルの部分的評価を行う。まず、Howard のニューモデルに準拠した仮設 1 及び 2 に関して

の評価を行う。あいまいな確信は意図に対して有意かつ正の影響を与えていた (=.311, t=1.970, p<0.05)。

これは、 寄品はあいまいな判断のもと購買が行われるため、購買しようと考えやすいという仮説 1 を支

持する結果である。次に、態度は意図に対して有意かつ正の影響を与えていた (=.783, t=6.581, p<0.01)。

これは、期間限定製品に好感を抱いているほど期間限定製品を購買しようと考える傾向にあるだろうとい

う仮説 2 を支持する結果である。

続いて、モデルに新しい概念を組み込んだ仮説 3 から 7 までの評価を行う。機能的リスクは態度に対し

て有意かつ負の影響を与えていた (=-.143, t=-2.172, p<0.05)。これは、期間限定製品が消費者に期間限定

19 2008 年 12 月 18 日実施。 20 2008 年 12 月 19 日、2009 年 1 月 10 日に実施。 21 たとえばすべて 1 などの回答である。

潜在変数 観測変数の数 クロンバックの係数

時間制限的リスク 4 .8145 機能的リスク 4 .8754 あいまいな確信 5 .8186

態度 2 .9105 意図 3 .9376

表 1: 信頼性係数 (n=120)

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製品の品質は大丈夫なのだろうかという不安を抱かせ、消費者に期間限定製品を好ましく感じさせなくす

るという仮説 3 を支持する結果である。時間制限的リスクはあいまいな確信、意図及び態度に対して有意

かつ正の影響を与えていた (=.302, t=2.741, p<0.01 、=.565, t=3.459, p<0.01 及び=.700, t=.4.446,

p<0.01)。これは、期間限定という言葉によって心理的に焦ってしまい買うか買わないかという判断がより

簡単に行われ、結果購買意図が促進されるという仮説 4、5 と期間限定という言葉があるとその製品が好ま

しく感じられるという仮説 6 を支持する結果である。係数を比較すると、時間制限的リスクはあいまいな

確信及び意図よりも態度に強い影響を与えていることがわかった。消費者は期間限定という言葉によって

心理的に焦らせられるよりも、 寄品であっても「限定」という言葉に希少価値を見出し、期間限定製品

への態度を高めていると考えられる。また、時間制限的リスクは機能的リスクに対し有意な影響を与えて

いなかった (=-.046, t=-.378, p>0.10)。これは、時間制限的リスクと機能的リスクの間には有意な関係性

はなく、期間限定という言葉が消費者を製品の購買に急がせることにより、製品の品質に対する不安を軽

減するという仮説 7 を支持しない結果であり、仮説 7 は棄却された。

時間制限的リスクと機能的リスクの態度に対する係数を比較してみると、時間制限的リスクのほうが機

能的リスクより態度に対し強い影響を与えていることがわかった。これは、期間限定という言葉が消費者

に品質に対する不安を抱かせるよりも、期間限定製品を好ましく感じるほうが強いという仮説 8 を支持す

る結果である。分析結果は表 2 及び図 3 に示されている。

注記:***:1%水準で有意、* *:5%水準で有意。

²=42.504 (d.f.=28), p<0.05GFI=.933; AGFI=.866; RMSEA=.066

H1 あいまいな確信 → 意図 (+) .305 (t= 1.933) ** H2 態度 → 意図 (+) .767 (t= 6.407) *** H3 機能的リスク → 態度 (-) -.143 (t=-2.172) ** H4 時間制限的リスク → あいまいな確信 (+) .172 (t= 2.756) *** H5 時間制限的リスク → 意図 (+) .329 (t= 3.005) *** H6 時間制限的リスク → 態度 (+) .413 (t= 4.603) *** H7 時間制限的リスク → 機能的リスク (-) -.046 (t=-.378)

表 2:構造方程式モデルの推定結果

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7.本論の知見と今後の課題

今日、スーパーマーケットやコンビニエンスストアには数多く 寄品の期間限定製品が通常製品ととも

に陳列されている。消費社会といわれている今日において、多量に期間限定製品はあるにもかかわらず、

その「限定」という言葉にどれほど消費者が影響されているかという研究は盛んに行われているとはいえ

ない。本論は Howard のニューモデルをもとに、製品の品質は大丈夫だろうかという不安の「機能的リスク」、

販売期限を限られたことによって生じる不安の「時間制限的リスク」、自分の行動に絶対の自信を持つこと

がない状況下での自分の行動に自信が持てる程度である「あいまいな確信」、その製品に対しどれだけ好感

を抱くかの程度である「態度」、購買しようと思う程度である「意図」を変数に持つ独自の因果モデルを提

唱し、消費者がどれほど「期間限定」という言葉に影響され期間限定製品を購買しようと思うのかという

ことを説明しよう試みてきた。

構築された因果モデルは、大学生に対して行った質問紙調査のデータを用い、共分散構造分析によって

経験的テストに付された。分析結果が示唆することには、期間限定製品の「期間限定」という言葉は 寄

品という希少価値が薄れやすい製品においても希少価値を見出させ、消費者にその製品に対し好印象を与

えていることがわかった。また、期間限定製品の品質が不安だと感じさせる機能的リスクを軽減させる要

因が時間制限的リスクだとしていたがその関係は認められなかった。しかし、係数の数値的にはマイナス

になっており時間制限的リスクが機能的リスクを軽減しているということは認められた。他に、時間制限

的リスクは機能的リスクよりも態度に対し強い影響を与えていることがわかった。これは、消費者は期間

限定製品に対し、品質が不安だと感じていても、期間限定製品は販売期限が限られている希少価値のある

製品だと強く感じ、好ましく感じるということである。

「期間限定」という言葉が発生させる時間制限的リスクが他の変数に与えた係数を比較してみたところ、

あいまいな確信及び意図よりも態度に一番強い影響を与えていることもわかった。つまり、「期間限定」と

いう言葉は消費者を心理的に焦らせ判断をより簡単にさせるよりも、期間限定製品を好ましいと感じさせ

***:1%水準で有意、**:5%水準で有意。

実線:有意。破線:非有意。

図 3:分析結果

時間制限的リスク あいまいな確信

機能的リスク

意図

態度

.302***

-.046

-.143**

.700***

.565***

.311**

.783***

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ているということである。

以上の結果から、期間限定製品に対し消費者からより好感をもたせるためには、その製品をまず消費

者に「期間限定の製品」だと強く感じさせる必要性があるということである。それには、製品に「期間限

定」という言葉を目立たせる位置に記載することがなによりの方法であろう。直接分析にはかかわってい

ないが本テストの予備テストとして「期間限定」という言葉を製品のどの位置に記載したらいいかという

調査も行った。記載の例として挙げたのが図 4 の 4 つである。

(a)上に表示 (b)中央に表示

(c)下に表示 (d)側面に表示

この結果は (a):57 名、(b):37 名、(c):27 名、(d):11 名、無回答:4 名だった。このことから、「期間

限定」と表記する際は、「製品名の上」に記載するのが も消費者から期間限定製品だと認識されやすいと

いうことがわかった。そして、より期間限定製品に対し好感を持ってもらうためには、できるだけ製品の

品質を詳細にわかりやすく記載するべきである。それにより、消費者からの期間限定品の品質に対する不

安を軽減することができるだろう。また、「期間限定」という言葉は消費者から好感もってもらえる言葉で

あることがこの調査から判明したので、通常製品がある製品の新製品を出す場合はただ単に「新製品」と

して売り出すよりも、一度期間限定製品として販売し消費者の反応を見て、消費者からの認知度を高めて

から本格的に新製品として販売するというのも有効的な戦略であると考えられる。

図 4:記載例

製品名

期間限定

製品名

期間限定

製品名 期間限定

期間限定

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本論で構築されたモデルについて、幾つかの限界が存在する。第 1 に、調査の期間限定製品の参考とな

る製品を飲料の中の紅茶に限定したことである。紅茶以外にも飲料は存在しているので本来なら複数の飲

料を参考製品として調査する必要があるように思われるが本論では時間、労力の関係から困難であった。

第 2 に、本論は調査対象を大学生にしたことである。年代によって結果は違うであろう。 後に、期間限

定製品の存在する 寄品は様々な種類の製品があり、それを本論では飲料に限定した点である。飲料にお

ける「期間限定」は、一般的に「味」が通常製品とは違うという点だが、例えば洗剤などにおいては期間

限定の増量というようにそれ自体の品質は通常製品と変わらないが、「量」という点で違いを出す期間限定

の使い方もある。飲料以外の製品における「期間限定」という言葉の影響力を調査及び分析することは、

今後の研究における興味深い課題であろう。

本論で扱った期間限定製品は、希少価値が少ないと知覚される 寄り品の中に存在する製品である。し

かし、本論により、 寄品における期間限定製品に対しても消費者は希少価値を見出し、「期間限定」とい

う言葉に好感を持っているということが確認された。その点に本論の意義を主張することができるであろ

う。

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期間限定製品に関するアンケート調査

久保知一研究室第二期生 堀大輔

現在私は期間限定製品の研究を進めております。この度、期間限定製品について皆様が持つイメージを調査するために

アンケートを作成しました。アンケート結果に関するプライバシーは保護され、学術的な目的のみで利用されます。

アンケートが営利目的で利用されることはありません。ご協力よろしくお願い致します。

<アンケートに移る前に読んでください。>

○あなたはスーパーマーケットに立ち寄りました。のどが渇いていたあなたは飲み物を買おうと思いジュースコーナー

へ。そこで目にとまったのが午後の紅茶(キリンビバレッジ)。さらに売り場をよく見てみると、「期間限定」と書かれた

「午後の紅茶 (ウィンターブレンド)」を発見。

今は以上のような状況であることを頭においてアンケートにお答えください。

※午後の紅茶(ウィンターブレンド)は実在しておりません。

01:あなたは製品のどこに「期間限定」の文字があると気になりますか。以下から選び○をつけてください。

(a)上に表示 (b)中央に表示

(c)下に表示 (d)側面に表示

期間限定製品に関する質問

ウィンターブレンド

期間限定

ウィンターブレンド

期間限定

ウィンターブレンド

期間限定

期間限定

ウィンター

ブレンド

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02:午後の紅茶(ウィンターブレンド)は冬季限定と表示してあった。

この条件で以下の質問にお答えください。

0201:(次はないかもしれないから)とりあえず買ってしまおうとなる。 5-4-3-2-1

0202:今を逃せば二度と手に入らないかもと感じてしまう。 5-4-3-2-1

0203:なくなるかもと不安になってしまう。 5-4-3-2-1

0204:「冬季限定」と書かれると焦ってしまう。 5-4-3-2-1

0301:通常製品(この場合は午後の紅茶 ストレートティー)のほうが安心だ。 5-4-3-2-1

0302:通常製品のほうが好ましい。 5-4-3-2-1

0303:期間限定製品の味はあまりよくなさそう。 5-4-3-2-1

0304:期間限定製品は単発的であるため味はあまりよくなさそう。 5-4-3-2-1

0401:飲み物を買うとき、なんとなくで何を買うか決める気がする。 5-4-3-2-1

0402:飲み物を買うとき、何気なく目にとまったものを手に取る気がする。 5-4-3-2-1

0403:飲み物を買うとき、その時の気分で何を買うか決める気がする。 5-4-3-2-1

0404:飲み物を買うとき、「まぁこれでいいか」という判断で何を買うか決める気がする。 5-4-3-2-1

0405:飲み物を買うとき、はっきりとした判断をすることは少ない気がする。 5-4-3-2-1

0501:期間限定製品が好きである。 5-4-3-2-1

0502:期間限定製品に興味がある。 5-4-3-2-1

0601:期間限定製品があれば買いたい。 5-4-3-2-1

0602:期間限定製品を見つけたら買いたくなる。 5-4-3-2-1

0603:期間限定製品はとりあえず買いたい。 5-4-3-2-1

07: 性別: 男性 女性

アンケートは以上です。全ての質問に回答しているかご確認ください。貴重なご協力に心から感謝致します。ありがとうございました。

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