営業とサービスの連携 顧客を中心に考える · 2020-07-20 ·...

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営業とサービスの連携 顧客を中心に考える

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営業とサービスの連携 顧客を中心に考える

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はじめにテクノロジーは、もはや IT技術者だけの関心事ではありません。とりわけ、ビジネスユーザーが手軽に利用できるクラウドソフトウェアには、大きな関心が寄せられています。現在では多くの成長企業が、新しい価値を生み、事業を拡大することによって、さらなる飛躍を遂げようとしていますが、こうした企業の経営幹部である CEO、COO、CFO、営業部門やサービス /サポート部門の管理者・マネージャーなども、目標達成の手段としてクラウドテクノロジーの導入を考え始めています。

また、カスタマーエクスペリエンスを変革することによって自社ビジネスの差別化を図りたいと考えるリーダーは、ますます増えています。もし、顧客一人ひとりに合ったサービスを即座に、いつでも提供できるようになれば、企業はカスタマージャーニーのどの段階においても、新たな形で顧客と関われるようになるでしょう。

従来、コストセンターとして見られていたサービス部門が戦略的な成長のエンジンとなりつつある現在、カスタマーサービスは重要な過渡期を迎えています。今日のサービス部門の役割は、問題の解決にとどまらず、顧客と 1対 1で対話して顧客ロイヤリティを向上させることにまで及びます。カスタマーサービスと包括的なCRMを連携させれば、すべての部門の境界を越えてあらゆる顧客インサイトにアクセスできるようになります。

今の時代、どのような規模の企業であっても、成功をつかむにはカスタマーエクスペリエンスの向上に向けたリーダー陣の集中的な取り組みが欠かせません。本書では、営業・サービス活動を支援するソフトウェアに投資する際のヒントとして、さまざまなアプローチの長所や短所をご紹介いたします。比較検討の上、カスタマージャーニーの向上にお役立ていただければ幸いです。

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進化の歴史: 営業とサービスソフトウェア、 CRM の登場1990年代半ば以降、営業担当者の活動を自動化して効率化し、さらに成果と収益の拡大を促す新しいタイプのソフトウェアが登場しました。この種のツールは営業支援システム(SFA)と呼ばれていました。その後のインターネットの発達によって費用と手間のかからない営業自動化プラットフォームが実現し、新世代のクラウドプロバイダーが登場しました。こうして営業活動を支援するソフトウェアは、モバイルを利用しつつもテクノロジーには精通していない営業担当者にとって取り掛かりやすい画期的なツールとなりました。

クラウドテクノロジーにより、それまで大企業しか利用できなかったツールを中小企業も利用できるようになりました。サーバーを設置したり、ソフトウェアをインストールしたりしなくても、シンプルなWebブラウザーやモバイルデバイスからアクセスできるようになったからです。これに伴って SFAも進化を続けました。SFAは、クラウドの力を借りることによって、営業活動の一部しか効率化できない、単なる顧客データの保存場所のようなツールから、営業プロセスのあらゆる段階を支援するツールへと進化を遂げました。

クラウドテクノロジーの発達により、SFAの機能はさらに向上しました。営業プロセスの改善だけでなく、顧客一人ひとりに合ったサポートとサービスをいかに提供して成功を後押しするかという、カスタマーサービス部門の課題にまで対応できるようになったのです。カスタマーサービスも、無料電話サービスからインタラクティブな自動音声応答テクノロジー、コールセンターのアウトソーシング、インターネットサービスへと変化を遂げ、やがてメールやチャットによる問い合わせが主流になっていきました。1990年代後半から 2000年代前半にかけては、ソフトウェアとコーディングを用いた手法が次々と登場しました。企業のカスタマーサポートにヘルプデスクソリューションが導入されるようになり、顧客が問い合わせに利用するさまざまなチャネルの橋渡しをするようになりました。こうして適切なツールを手に入れた企業は、カスタマーサポートの枠を越え、顧客の成功に注力できるようになったのです。

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やがてカスタマーサービスソフトウェアが営業支援システムに統合され、顧客管理(CRM)システムが誕生しました。

現在、営業やサービス向けのアプリケーションやプラットフォームを検討する際、企業には膨大な選択肢があります。ソフトウェアベンダーによる市販製品もあれば、自社で構築したアプリケーションもあります。多くの企業が、クラウドソフトウェアで営業プロセスの最適化を試したり、カスタマーサポート部門には別のツールを採用したりしています。その結果、 ワークフローとテクノロジーが連携しなくなり、顧客に一貫したエクスペリエンスを提供するのが困難になりました。顧客を包括的に把握できないが故に、顧客の期待に応えられなくなっているのです。

顧客にとって最も不愉快なのは、問題や製品に関するサポートを得るために企業のフリーダイヤルに電話して、延々と待たされたのちに、ようやくつながったサポート担当者からさらに別の担当者へと転送され、そこで再び待たされるといった状況でしょう。やっと適切な担当者につながったと思ったら、また同じ質問をされるという事態も考えられます。これは、カスタマーサービスの一貫性が損なわれている場合に起こり得る最悪のシナリオですが、 最近の顧客は、サポート側の情報共有や連携がスムーズに行われなければ、すぐに不満を抱き、特にこうした不手際が何度も続くことには我慢ができません。そのため、サポート担当者は営業部門から提供されたツールと情報を活用して、常にどの顧客にも対応できるよう備える必要があるのです。

営業とサポート、この 2つの異なるシステムを連携させれば、カスタマーエクスペリエンスをより高い水準に引き上げ、顧客ロイヤリティの向上と収益の拡大につなげることができます。

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カスタマージャーニーの重要性現在の顧客は、企業の規模にかかわらず、営業やサポートその他すべてのやり取りに関して、パーソナライズされた統一感のある対応を期待しています。モバイルが普及し、かつてなく大量の情報が溢れ、さまざまなシステムやモノがつながる現在、顧客が持つ影響力は計り知れません。そこでは、顧客の問い合わせに対する迅速な応答と、セルフサービスで問題解決ができる選択肢が重要になります。顧客は、企業のサポート担当者が自分に関する背景情報を十分に持っていることを期待しています。たとえば、顧客からの見積り依頼にはすぐに対応しないと、競合他社に取られてしまうでしょう。スピードが流れを左右する今、企業には、優れた営業やサービスを、すばやく、スマートに提供することが求められているのです。

企業には、顧客のこうした期待を満たし、さらにそれを上回らなければならないというプレッシャーがのしかかっています。顧客インサイトが十分でないと、革新的なカスタマージャーニーを提供する競合他社に先手を許してしまうだけでなく、クロスセルやアップセルの貴重な機会も逃してしまいます。営業チームとサービスチームに隔たりがある状況では、本来ならば売上を伸ばし、サービスをスマートに提供して、良好な顧客関係を築けていたはずの機会を失うことになります。

これは難題ですが、チャンスでもあります。企業はこれまで以上に CRMの力を活用し、あらゆるタッチポイントで顧客とつながりを持つことができます。ただし、そのためには社内に散在した情報やシステムを統合し、顧客ライフサイクル全体にわたってエンゲージメントを実現するための適切なテクノロジーが必要です。簡単に言えば、 連携していないソフトウェアシステムは、企業にとって目に見えない「コスト」になり得るのです。

企業がどのようなインフラストラクチャを構築していようと、営業チームとサービスチームが異なるシステムを使用していようと、顧客にとってはどうでもよいことです。顧客が重視するのは、単一でまとまりがあり、ニーズに合ったストレスのないカスタマーエクスペリエンスです。しかし、従来型のシステムや自社運用型のシステムでは情報がサイロ化されて保存されるので、企業全体で顧客をリアルタイムかつ包括的に把握することができません。

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営業システムとサービスシステム 連携・統合する際の検討事項クラウドプラットフォームの導入を検討する場合、ビジネスと ITの双方の要件に対応するプラットフォームを選択する必要があります。どちらも顧客満足度には欠かせない要素です。

最適なプラットフォームを見つけるには、さまざまな要素を考慮する必要があります。

信頼性

クラウドプロバイダーを選択する際は、テクノロジーを選ぶときと同様に、セキュリティ、可用性、パフォーマンスが重要な要素となります。堅牢で柔軟なセキュリティアーキテクチャを備えたクラウドソリューションを選択しましょう。どのようにデータを保護し、システムのパフォーマンスとセキュリティを可視化するのかを、プロバイダーに確認することをお勧めします。

顧客の成功

クラウドプラットフォームは、顧客の成功を何よりも重視しているプロバイダーから購入しましょう。こうしたプロバイダーは、顧客が投資を最大限に活用できるように、適切なトレーニングや成功のためのサービス、コミュニティリソースを提供しているはずです。

イノベーション

クラウドコンピューティングの市場シェアが拡大したことから、クラウドプラットフォームソリューションは以前よりも入手しやすくなりました。だからといって、どれを購入してもよいわけではありません。市場での実績があり、画期的なアイデアや技術を数多く世に送り出していて、テクノロジーだけでなく製品を購入した顧客の将来も保障できるクラウドプロバイダーを選択する必要があります。

マルチテナント機能

マルチテナント機能とは、ITリソースをコスト効率よく安全に共有するためのテクノロジーであり、クラウドプラットフォームの基盤となるものです。どのユーザーのアプリケーションもすべて同じコードベースで構築すれば、大幅なコストダウンにつながるだけでなく、カスタマイズやアプリの作成を迅速に行えるようになります。

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スピーディに拡張できる

すべてのクラウドプラットフォームが、ビジネスのニーズに合わせてカスタマイズ、拡大、拡張できるわけではありません。必要なのは、御社独自の仕様や統合を維持したまま進化していけるクラウドプラットフォームです。Salesforceは、すべてのお客様に対して新機能のメジャーリリースを年に 3回行っている唯一の企業ですが、お客様固有の仕様や統合を犠牲にしたことは一度もありません。

独自のアプリのカスタマイズと拡張が可能

クラウドプラットフォームそのものよりも、そこで何ができるかが重要です。アプリの開発作業を効率化できるクラウドプラットフォームを選択すれば、イノベーションが加速し、IT部門は付加価値を提供できるようになります。

オープンなエコシステム

クラウドに移行すると、他のクラウドユーザーの存在に気付くことでしょう。クラウドソリューションを利用する企業は何十万社にものぼり、専門家やパートナー企業がコミュニティを築いています。クラウドプラットフォームを選ぶ際には、こうしたコミュニティを紹介してくれるプロバイダーを選んでください。そして、コミュニティのメンバーから、プラットフォームの活用方法や、イノベーションを加速させる方法を学びましょう。

包括的な CRM

顧客管理の点でもっとも優れたクラウドソリューションとは、営業、サービス、マーケティングからコミュニティ、IT、アナリティクスにいたるまで、企業全体の顧客プロセスをつなぐものです。こうした目標を実現できる、包括的な視点を持ったクラウドプロバイダーを選択しましょう。

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営業とサービスをシステム統合する際の移行ガイドこれまでに、顧客はサイロ化されたシステムでは実現できないエクスペリエンスを求めていることをご理解いただけたことでしょう。また、営業とサポートの連携イメージや、プラットフォームを選ぶ際に考慮すべき点もご紹介してきました。では、実際に単一のシステムに移行するにはどうすればよいのでしょうか。

まずはリーダーを探しましょう

営業とサービスの連携には、自社と顧客を深く理解していると同時に、社内調整をスムーズに行うためのソフトスキルを備えたリーダーが必要です。またこうしたリーダーには、パートナーやベンダーにサポートやアドバイスを求めたり、緊急時に短期解決策と長期改善策のどちらを優先するかといった難しい判断を下したりする能力が求められます。統合を成功させる鍵。それは、的確に優先順位をつけつつ、全体像を踏まえて判断することです。

顧客をすべての中心にしましょう

営業とサービスを 1つのプラットフォームに移行すること。それはカスタマージャーニーを改善することにほかなりません。何よりも重要なのは、顧客のニーズに耳を傾け、理解することです。まずは、目標や問題点をはじめ、カスタマージャーニーに関して満足している点を顧客から聞き出し、文書化しましょう。社内でも、営業、マーケティング、サービス、製造、財務の各部門のスタッフや管理者、さらには上層部から話を聞きましょう。次に、カスタマージャーニー全体を完成させて周知し、社内の合意を得ます。また、現時点での経済的なメリットとデメリットを洗い出しましょう。

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まとめ顧客からの期待が高まる今の時代に成功をつかむには、ビジネスの中心に顧客を据えることが鍵となります。この時代、営業とサービスでそれぞれ異なるシステムを使っていては、企業もその顧客も成功にはたどり着けません。Salesforceの Customer Success Platformがあれば、Webベースの各種 CRMソフトウェアを使用して、顧客の行動の記録、管理、分析を 1か所で行うことができます。Customer Success Platformは、あらゆる情報をクラウドベースで完全につなぐモバイルツールとソーシャルツールの総称です。この単一のプラットフォームで Sales CloudとService Cloudを連携させると、現代に求められるスピードやイノベーション、接続性にもすぐに対応し、カスタマーエクスペリエンスと顧客ロイヤリティを向上させることができます。あらゆるデータをつなげることで、顧客一人ひとりを包括的に把握し、チャネルや部門の枠を越えた、シームレスなインタラクションを提供できるようになるのです。

長期的な視点で関係者と検討しましょう

暫定的なカスタマージャーニーが完成したら、部門の枠を越えてブレインストーミングを行い、理想像について話し合いましょう。広い視野を持ち、有意義な長期的ビジョンを描くには、財務、運用、設計部門の意見も取り入れる必要があります。その後、ビジョンの達成に必要な人事、財務、技術部門の担当者を見極めた上で、 カスタマージャーニーの改善点に優先順位を付け、改善後の経済的効果を計算しましょう。最後に、この移行プロジェクトの価値を他のプロジェクトと比較し、移行プロジェクトを遂行するための資金と時期の目途を立てましょう。適切なビジョンとそれを実現する適切なツールがあれば、営業とサポートを単一のプラットフォームに統合し、優れたカスタマージャーニーにつなげることができます。