ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(m1)濃度...

58
44 3. ヒトにおける成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-27283463,ト-1~5,10,11 (1) 日本人における成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ト-1 1) 国内第Ⅰ相臨床試験-単回投与試験-(試験 No.300020) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ト-1 健康成人男子 18 例(2024 歳)にバルデナフィル 10 mg20 mg 及び 40 mg のエンカプセル 剤を空腹時単回経口投与した。血漿中未変化体濃度推移を図へ-13 ,また未変化体及び主代謝 M1 の薬物動態学的パラメータを表へ-20 に示した。なお,本試験方法の詳細は本概要ト 9~11 に記載した。 「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」 血漿中未変化体濃度 本薬経口投与後の吸収は速やかであり,血漿中未変化体濃度は投与後 0.75 時間(中央値)で Cmax に達した。以後,3.25.3 時間の t 1/2 で消失した。血漿中未変化体濃度には比較的大きい 個体間変動がみられたものの,その推移は投与量間でほぼ並行していた。 図へ-13 健康成人男子におけるバルデナフィル空腹時 単回経口投与後の血漿中未変化体濃度推移 0.01 0.1 1 10 100 1000 0 6 12 18 24 投与後時間 (h) 血漿中未変化体濃度 (μg/L) 10 mg (n=6) 20 mg (n=6) 40 mg (n=6) 幾何平均値; 幾何標準偏差

Upload: others

Post on 20-Apr-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�44

3. ヒトにおける成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-27,28,34~63,ト-1~5,10,11

(1) 日本人における成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-1

1) 国内第Ⅰ相臨床試験-単回投与試験-(試験 No.300020)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-1

健康成人男子 18 例(20~24 歳)にバルデナフィル 10 mg,20 mg 及び 40 mg のエンカプセル

剤を空腹時単回経口投与した。血漿中未変化体濃度推移を図へ-13 に,また未変化体及び主代謝

物 M1 の薬物動態学的パラメータを表へ-20 に示した。なお,本試験方法の詳細は本概要ト 9~11

頁に記載した。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

① 血漿中未変化体濃度

本薬経口投与後の吸収は速やかであり,血漿中未変化体濃度は投与後 0.75 時間(中央値)で

Cmaxに達した。以後,3.2~5.3 時間の t1/2で消失した。血漿中未変化体濃度には比較的大きい

個体間変動がみられたものの,その推移は投与量間でほぼ並行していた。

図へ-13 健康成人男子におけるバルデナフィル空腹時

単回経口投与後の血漿中未変化体濃度推移

0.01

0.1

1

10

100

1000

0 6 12 18 24

投与後時間 (h)

血漿

中未

変化

体濃

度 (μ

g/L)

10 mg (n=6)

20 mg (n=6)

40 mg (n=6)

幾何平均値; 幾何標準偏差

Page 2: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�45

表へ-20 健康成人男子にバルデナフィルを空腹時単回経口投与したときの

未変化体及び代謝物 M1 の薬物動態学的パラメータ

化合物 投与量AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

未変化体 10 mg 127.78(1.67) 61.30(1.84) 20.94(1.72) 10.05(1.86) 0.75(0.50-1.00) 3.19(1.08) 477.59(1.72) 36.05(1.76)

20 mg 136.67(1.43) 56.82(1.39) 44.14(1.39) 18.35(1.29) 0.75(0.50-1.00) 3.98(1.46) 453.16(1.39) 41.99(1.14)

40 mg 215.05(1.72) 80.74(1.80) 137.73(1.72) 51.71(1.86) 0.75(0.75-3.00) 5.33(1.20) 290.42(1.72) 35.78(1.87)

M1 40 mg 62.40(1.46) 26.69(1.99) 37.67(1.59) 16.12(2.16) 1.00(0.75-1.25) 2.65(1.72) 1000.88(1.59) 61.32(1.76)

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]),2) Cmax/(投与量 [mg]/体重 [kg]),3) 中央値 (範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=6

薬物動態学的パラメータ(AUC,Cmax)をパワーモデル解析(投与量と AUC あるいは Cmaxに関

する対数変換後の単回帰モデル)により検証し,用量相関性について考察した 1)。

本薬の Cmax及び AUC は 20 mg の用量までほぼ用量に比例して増加しており,また,Cmax,norm,

AUCnorm,CL/f 並びに t1/2は本薬 10 mg 及び 20 mg 投与後でほぼ同等な値を示していたことから,

臨床用量(5,10,20 mg)における本薬の薬物動態を線形として扱うことに問題はないと考え

られる。

 なお,パワーモデル解析により求めた10~40 mgの用量範囲における回帰係数(β)は,40 mg

投与後のみかけの全身クリアランス(CL/f)の低下に伴い,AUC で 1.36,Cmaxで 1.18となり(図

へ-14),AUC において非線形性が明らかではないとされるβの点推定値範囲(0.7~1.3)1)か

らの逸脱が認められた。β=1.3の場合,投与量を 2倍及び 4倍にしたとき変化率はそれぞれ123%

及び 152%となるが,本薬の AUCの場合,それぞれ128%及び 165%であった。

図へ-14 健康成人男子における血漿中未変化体の Cmax及び AUC の用量相関性 (n=18)

1)橋本敏夫ら,薬物動態,16(3),244-252(2001)

Ln (Cmax) = 1.18・Ln (投与量) - 0.49

1

2

3

4

5

2 3 4

Ln (投与量)

Ln (

Cm

ax)

Ln (AUC) = 1.36・Ln(投与量) - 0.15

2

3

4

5

6

2 3 4

Ln(投与量)

Ln (

AU

C)

Page 3: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�46

② 血漿中代謝物(M1)濃度

本概要ヘ 36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解する M1 の N-グル

クロン酸抱合体が存在する。したがって,血漿採取時に当該代謝物の分解を最小限に抑制するた

めの試料処理を施した 40 mg投与群注)での薬物動態学的パラメータを表へ-20に示した。

血漿中 M1 濃度は本薬投与後 1 時間(中央値)に tmaxを示した。以降,2.65 時間の t1/2で未変

化体に比較してやや速く消失した。また,血漿中 M1 の AUC は 37.67μg・h/L,Cmaxは 16.12μg/L

であり,それぞれ未変化体の 27.4%及び 31.2%に相当した。なお,これらパラメータの対未変

化体比は,本概要ヘ 55頁に示した外国人健康成人男子における当該比(AUC:約 26%,Cmax:約

33%)に近似していた。

③ 未変化体及び代謝物(M1)の尿中排泄率

本薬投与後 72時間までの尿中には,未変化体が投与量の 0.60~0.95%,また M1が投与量の1.02

~1.09%の割合で排泄された。これらの値は本概要ヘ 54 頁に示した外国人健康成人男子におけ

る排泄率(未変化体:0.73%,M1:0.76%)に近似していた。

(2) 外国人における成績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-27,28,34~62,ト-2~5,9,10

1) 絶対的バイオアベイラビリティ(試験 No.10297)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-38

 健康成人男子 12 例(25~36 歳)に,クロスオーバー法により,本薬申請製剤 10 mg 錠を空腹

時単回経口投与,もしくは本薬 2 mg(液量:20 mL)を単回持続静脈内投与した。血漿中未変化

体の濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-21 に示した。

表へ-21 バルデナフィル 10 mg を経口投与及び 2 mg を静脈内投与したときの

未変化体の薬物動態学的パラメータ

投与方法AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2

[h]

CL/f4)

[L/h]

Vz/f4)

[L/kg]

経口投与

(10 mg)217(1.49) 73.9(1.48) 25.7(1.48) 8.74(1.42)

0.75

(0.50-1.25)3.84(1.45) 390(1.48) 25.5(1.88)

静脈内投与

(2 mg)1499(1.15) 495(1.29) 35.4(1.23) 11.7(1.32)

1.00

(0.50-1.00)3.80(1.32) 56.4(1.23) 3.65(1.32)

fabs5)14.5

(8.08-25.2)-

14.5

(8.08-25.2)- - - - -

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]), 2) Cmax/(投与量 [mg]/体重 [kg]), 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=12

3) 中央値(範囲),4) f=1(静脈内投与時),5) 幾何平均値(範囲),AUCについては fabs=AUC(po)×Dose(iv)/AUC(iv)×Dose(po)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 申請製剤 10 mg 錠経口投与時における未変化体の AUC から算出した絶対的バイオアベイラビリ

ティは,14.5%(95%信頼区間: 11.8~17.8%,範囲: 8.08~25.2%)であった。経口投与後の

血漿中代謝物(M1,M4)濃度は静脈内投与後に比較して明らかに高く,また動物での経口投与後

における消化管吸収率が約 80%以上と高い値 (本概要ヘ 11,42 頁) であることを考慮すると,

初回通過効果による絶対的バイオアベイラビリティの低下が示唆された。

注) 10 mg及び 20 mg 単回投与試験実施時に M1 の N-グルクロン酸抱合体の存在が明らかでなかったため,当該代謝物の分解を最小

限に抑制するための試料処理を施すことが出来なかった。

Page 4: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�47

2) 相対的バイオアベイラビリティ(試験 No.10118)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-39,40

バルデナフィルのエンカプセル剤(国外後期第Ⅱ相試験及び国内第Ⅰ相試験用製剤)と申請製

剤(国外第Ⅲ相試験及び国内ブリッジング試験用製剤)のバイオアベイラビリティを比較する目

的で,各製剤(10,20 mg)をクロスオーバー法により健康成人男子に空腹時単回経口投与した。

血漿中未変化体濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-22 に示した。

表へ-22 申請製剤及びエンカプセル剤間の相対的バイオアベイラビリティ

試験製剤AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

エンカプセル剤 264 (1.49) 73.5 (1.62) 32.8 (1.57) 9.12 (1.71) 305 (1.57) 24.0 (1.82)10 mg製剤

申請製剤 232 (1.56) 56.6 (1.67) 28.8 (1.62) 7.03 (1.73) 347 (1.62) 29.6 (1.77)

申請製剤/エンカプセル剤比 0.88 0.77 0.88 0.77 - -

申請製剤/エンカプセル剤比

の 90%信頼区間0.80~0.97 0.66~0.90 0.80~0.97 0.66~0.90 - -

エンカプセル剤 289 (1.58) 79.5 (1.67) 71.9 (1.64) 19.7 (1.73) 287 (1.64) 22.8 (1.52)20 mg製剤

申請製剤 282 (1.48) 74.5 (1.47) 70.0 (1.53) 18.5 (1.52) 286 (1.53) 24.6 (1.50)

申請製剤/エンカプセル剤比 0.97 0.94 0.97 0.94 - -

申請製剤/エンカプセル剤比

の 90%信頼区間0.89~1.07 0.80~1.10 0.89~1.07 0.80~1.10 - -

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]), 2) Cmax/(投与量 [mg]/体重 [kg]), 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=24

 エンカプセル剤に対する申請製剤の Cmax比の 90%信頼区間は,10 mg では 0.66~0.90 と同等

とみなせる範囲(0.8~1.25)の下限をやや下回ったが,20 mg の同比(0.80~1.10)はその範

囲内にあった。一方,AUC 比の 90%信頼区間は,10 mg では 0.80~0.97,また 20 mg では 0.89

~1.07 であり,いずれも同等とみなせる範囲内にあった。なお,両製剤の生物学的同等性は溶

出試験により確認した(本概要ロ 92,93 頁)。

 また,国外第Ⅰ相試験及び前期第Ⅱ相試験で使用したエンカプセル剤及び旧錠剤の液剤に対す

る相対的バイオアベイラビリティは,いずれも 80%以上であった(試験 No.10045)。

3) 用量相関性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-39,41,ト-2

① 液剤による検討(試験 No.00094) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-2

 健康成人男子 29 例(22~43 歳)に,バルデナフィル 5 mg(6 例), 10 mg(6 例), 20 mg(6

例), 40 mg(6例)及び 80 mg(5例)を空腹時単回経口投与した。血漿中未変化体濃度推移を

図へ-15 に,その薬物動態学的パラメータを表へ-23 にそれぞれ示した。

Page 5: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�48

 血漿中未変化体濃度は投与後約 0.6~0.8 時間で Cmaxに達した後,約 3.3~5.0 時間の t1/2で

消失した。Cmax,normは投与量にかかわらずほぼ一定であったが,80 mg 投与後の AUCnormは他用

量に比較して約 2 倍高い値を示した。

図へ-15 液剤を空腹時単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移

表へ-23 液剤を空腹時単回経口投与したときの未変化体の薬物動態学的パラメータ

投与量AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

5 mg 204(1.58) 66.5(1.48) 13.7(1.68) 4.48(1.57) 0.75(0.5 -2.0 ) 3.64(1.49) 364(1.68) 25.8(1.40)

10 mg 263(1.65) 80.7(1.72) 33.5(1.66) 10.3(1.77) 0.63(0.5 -1.25) 3.74(1.49) 299(1.65) 20.6(2.04)

20 mg 268(1.50) 97.1(1.83) 64.3(1.42) 23.3(1.71) 0.63(0.33-0.75) 3.34(1.29) 311(1.42) 18.0(1.32)

40 mg 249(1.52) 72.2(1.70) 134 (1.54) 38.9(1.70) 0.63(0.33-1.5 ) 4.35(1.14) 299(1.54) 25.3(1.56)

80 mg4) 470(1.61) 94.8(1.46) 522 (1.54) 105 (1.39) 0.75(0.33-1.5 ) 4.97(1.35) 153(1.54) 15.3(1.56)

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]),2) Cmax /(投与量 [mg]/体重 [kg]), 3) 中央値 (範囲), 4) n=5 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=6

② 申請製剤による検討(試験 No.10271,10118) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-39,41

 バルデナフィル申請製剤(2.5注),5,10,20 mg 錠)を健康成人男子に空腹時単回経口投与

した際の血漿中未変化体濃度推移を図へ-16 に,未変化体の薬物動態学的パラメータを表へ-

24 に示した。なお,2.5~10 mg 錠については 3 期クロスオーバー法(23~43 歳)により,ま

た 10, 20 mg 錠については 2 期クロスオーバー法(26~44 歳)により実施した。

注) 2.5 mg錠は輸入承認申請しない。

幾何平均値; 幾何標準偏差

0.01

0.1

1

10

100

1000

0 6 12 18 24

投与後時間 (h)

血漿中未変化体濃度 (μg/L)

5 mg(n=6)

10 mg(n=6)

20 mg(n=6)

40 mg(n=6)

80 mg(n=5)

Page 6: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�49

図へ-16 申請製剤を空腹時単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移

表へ-24 申請製剤を空腹時単回投与したときの未変化体の薬物動態学的パラメータ

試験 No. 投与量AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

2.5 mg 194(1.44) 53.7(1.42) 6.08(1.43) 1.69(1.45) 1.00(0.48-2.02) 3.03(1.53) 411(1.43) 22.6(1.41)

10271 5 mg 207(1.47) 54.3(1.56) 13.0(1.52) 3.41(1.62) 1.00(0.52-2.00) 4.12(1.44) 385(1.52) 28.7(1.46)

10 mg 245(1.44) 65.6(1.48) 30.8(1.43) 8.24(1.45) 0.98(0.50-2.00) 4.76(1.54) 325(1.43) 28.0(1.65)

10 mg 232(1.56) 56.6(1.67) 28.8(1.62) 7.03(1.73) 0.88(0.50-1.52) 4.76(1.51) 347(1.62) 29.6(1.77)10118

20 mg 282(1.48) 74.5(1.47) 70.0(1.53) 18.5(1.52) 0.99(0.48-1.52) 4.80(1.36) 286(1.53) 24.6(1.50)

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]),2) Cmax /(投与量 [mg]/体重 [kg]), 3) 中央値 (範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=24

 血漿中未変化体濃度は投与後約 0.9~1.0 時間(中央値)で Cmaxに達した。t1/2は低用量,特

に 2.5 mg 投与群でやや短い値を示したが,測定感度との兼ね合いで消失相での定量可能な時点

数が他用量に比較して少なかったことによると考えられる。

用量相関性の検討を目的として,用量 1 mg あたりに補正した AUC 及び Cmax (AUC/D,Cmax/D)

の各用量間の比,並びに 90%信頼区間を求めた。

表へ-25 に示したように,AUC/D, Cmax/D の 90%信頼区間は,5 mg 以上の投与量で同等とみ

なせる範囲(0.8~1.25)の上限をわずかに超えていた。しかし,その逸脱の程度は軽度であり,

また前述のように消失過程への投与量の影響は否定し得ることから,申請製剤経口投与時の Cmax,

AUC は 2.5~20 mg の用量範囲でほぼ用量比例的に増加すると考えられる。

幾何平均値; 幾何標準偏差, n=24

0.01

0.1

1

10

100

0 6 12 18 24

投与後時間 (h)

血漿中未変化体濃度 (μg/L)

2.5 mg(試験番号10271)

5 mg(試験番号10271)

10 mg(試験番号10271)

10 mg(試験番号10181)

20 mg(試験番号10181)

Page 7: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�50

表へ-25 AUC/D 及び Cmax/D の各用量間比

試験 No. 投与量 AUC/D比 Cmax/D 比

5 mg/2.5 mg 1.07 (0.96~1.18) 1.01 (0.89~1.15)10271

10 mg/5 mg 1.19 (1.07~1.31) 1.21 (1.06~1.38)

10118 20 mg/10 mg 1.21 (1.10~1.33) 1.31 (1.12~1.54)

点推定値(90%信頼区間)

4) 反復投与試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ト-3~5

① 40 mg 1 日 1 回 14 日間反復投与試験(試験 No.10047)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-3,4

 健康成人男子 8 例(23~42 歳)にバルデナフィル 40 mg のエンカプセル剤を 1 日 1 回 14 日

間経口反復投与した。なお,3 例が本薬初回投与後に背部痛及び筋肉痛により脱落したため,5

例が本薬の薬物動態解析対象になった。血漿中未変化体濃度推移から算出した薬物動態学的パ

ラメータを表へ-26 に示した。

表へ-26 バルデナフィル 40 mg1日 1 回 14 日間投与したときの

未変化体の薬物動態学的パラメータ

投与日AUC

[μg・h/L]

AUCτ

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

1 日目 180 (1.52) 179 (1.52) 57.1 (1.58) 0.75 (0.50-4.00) 3.81 (1.13) 222 (1.52)

14 日目 - 220 (1.17) 69.8 (1.15) 0.75 (0.75-1.00) 4.92 (1.10) 182 (1.17)

1) 中央値 (範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=5

 初回投与時の投与後 2 時間までに血漿中濃度の上昇の遅延が1例で認められ,被験者間に比

較的大きなばらつきが観察されたものの,それ以降の血漿中未変化体濃度推移には初回投与時

と反復投与時で大きな差異は認められず,薬物動態学的パラメータにも大きな変動は認められ

なかった。

 なお,バルデナフィル 40 mg 液剤を用いた 1 日 1 回 14 日間反復投与試験(試験 No.10006)

においても,反復投与後の薬物動態に変動はなく,蓄積性は認められなかった。

② 20 mg 及び 40 mg 1 日 1 回並びに 40 mg 隔日 1 回 31 日間反復投与試験(試験 No.100196)

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-5

 中高年健康男子 50例 (45~70歳,実薬:38例,プラセボ:12例)を対象に,バルデナフィル 20 mg

液剤を 1 日 1 回 (n=12),40 mg 液剤を 1 日 1 回 (n=13) あるいは 40 mg 液剤を隔日に 1 回 (n=13)

それぞれ 31 日間反復投与した。試験方法は本概要ト 23~24 頁に記述する。初回及び反復投与

時の血漿中未変化体濃度推移を図へ-17 に,薬物動態学的パラメータを表へ-27 に示した。

 反復投与時の血漿中未変化体濃度推移には,初回投与時と比べていずれの投与量,投与方法

においても大きな差異はみられなかった。また,薬物動態学的パラメータにも大きな変動は認

められず,反復投与による影響は認められなかった。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Page 8: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�51

図へ-17 バルデナフィル 20 mg 及び 40 mg を 1 日1回,40 mg を隔日 1 回 31 日間

反復投与したときの血漿中未変化体濃度推移

表へ-27 バルデナフィル 20 mg 及び 40 mg を 1 日1回,40 mg を隔日 1 回 31 日間

反復投与したときの未変化体の薬物動態学的パラメータ

投与方法 投与日AUC

[μg・h/L]

AUC0-24

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax

[h]

t1/2

[h]

20 mg 1 日 1 回 1 日目 71.5 (1.5) 70.1 (1.5) 17.0 (1.5) 0.9 (1.4) 4.2 (1.4)

(n=12) 31 日目 - 75.7 (1.6) 16.6 (1.6) 0.9 (1.5) 5.1 (1.4)

40 mg 1 日 1 回 1 日目 138.7 (1.7) 136.6 (1.7) 30.9 (1.7) 1.3 (1.6) 4.2 (1.4)

(n=13) 31 日目 - 139.0 (1.7) 31.0 (1.6) 1.1 (1.4) 4.8 (1.5)

40 mg 隔日 1 回 1 日目 132.5 (1.6) 130.3 (1.6) 29.5 (1.6) 0.9 (1.6) 4.2 (1.5)

(n=13) 31 日目 - 127.2 (1.8) 30.2 (1.6) 1.0 (1.6) 4.6 (1.4)

幾何平均値(幾何標準偏差)

幾何平均値; 幾何標準偏差

0.1

1

10

100

0 6 12 18 24

投与後時間 (h)

血漿中未変化体濃度 (μg/L)

20 mg 1日1回投与(n=12)

40 mg 1日1回投与(n=13)

40 mg 隔日1回投与(n=13)

幾何平均値; 幾何標準偏差

0.1

1

10

100

0 6 12 18 24

投与後時間 (h)

血漿中未変化体濃度 (μg/L)

20 mg 1日1回投与(n=12)

40 mg 1日1回投与(n=13)

40 mg 隔日1回投与(n=13)

投与 1 日目 投与 31 日目

Page 9: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�52

5) 食事の影響(試験 No.100335)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-42,43

健康成人男子 25 例(20~43 歳)を対象に,バルデナフィルの薬物動態に及ぼす食事及び食事

内容の影響をクロスオーバー法により検討した。本薬申請製剤 20 mg 錠を朝食(910 kcal,脂肪

分 57%)後,夕食(700 kcal,脂肪分 30%)後,もしくは同時刻の空腹時に単回経口投与した。

血漿中未変化体濃度推移を図へ-18 に,薬物動態学的パラメータを表へ-28 に示した。なお,

プロトコール逸脱により朝投与群 22 例,夕投与群 24 例を解析対象とした。

表へ-28 バルデナフィル 20 mg を空腹時及び食後に単回経口投与したときの

未変化体の薬物動態パラメータ

投与時期 条件AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2[h]

朝投与 1) 空腹時 66.78 (1.95) 17.14 (1.92) 1.00 (0.5-2.5) 3.32 (1.64)

n=22 食後 67.09 (1.81) 14.00 (1.96) 2.01 (0.5-4.0) 3.30 (1.51)

夕投与 2) 空腹時 51.97 (2.06) 14.22 (2.02) 1.00 (0.5-3.0) 3.90 (1.93)

n=24 食後 59.12 (1.74) 13.04 (1.92) 1.00 (0.5-4.0) 3.79 (1.48)

1) 午前 8 時,2) 午後 6時,3) 中央値(範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差)

空腹時投与時(朝)に対する朝食後投与時の AUC 比は約 1.01(90%信頼区間:0.74~1.36)であ

り,食事による AUC の低下はみられなかったが,Cmaxが 20%低下し,また tmaxが 1 時間遅延し

た。一方,夕食後投与時の本薬の薬物動態は,空腹時投与時(夕)と比較して変動しなかった。

食事による最大の影響を評価するために推奨されている高脂肪食1)とともに本薬を投与した際,

AUC に変動は見られなかったが,吸収遅延による tmaxの延長と Cmaxの低下が認められた。同様の

結果はエンカプセル剤(試験 No.10036)を用いた食事の影響試験でも認められている。この試

験では健康成人男子 12 例(18~45 歳)を対象に,クロスオーバー法により,高脂肪食(脂肪分

65%)摂取後あるいは空腹時に本薬 40 mg エンカプセル剤を単回経口投与した。その結果,空腹

時投与時に対する食後投与時の AUC 比は 0.91(90%信頼区間:0.83~1.01)であり,食事によ

る AUC の低下はみられなかった。一方,Cmax 及び tmax には食事の影響がみられ,それぞれ空腹

時投与の約 63%に低下及び約 3 倍に延長した。しかしながら,標準的な脂肪含量(約 30%)の

食事内容の場合,本薬の Cmax及び tmaxに食事の影響みられず,本薬の服用に際し,食事の有無

を考慮する必要はないと考えられた。

1)Guidance for Industry:Food-Effect Bioavailability and Bioequivalence Studies (draft), FDA, 1997

Page 10: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�53

図へ-18 バルデナフィル 20 mg を空腹時及び食後に単回経口投与したときの

血漿中未変化体濃度推移 (朝及び夕)

幾何平均値; 幾何標準偏差,n=22

0.1

1

10

100

0 6 12

投与後時間 (h)

血漿

中未

変化

体濃

度 (μ

g/L)

空腹時(朝)

食後(朝)

幾何平均値; 幾何標準偏差,n=24

0.1

1

10

100

0 6 12

投与後時間 (h)

血漿

中未

変化

体濃

度 (μ

g/L)

空腹時(夕)

食後(夕)

朝投与 夕投与

Page 11: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�54

6) 代謝及び排泄(試験 No.10079)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-27,28,44

[14C]バルデナフィル 33 mg を外国人健康成人男子 4 例(年齢:43~51 歳)に空腹時単回経口

投与し,本薬の代謝(血漿,糞,尿)及び排泄(糞,尿)を検討した。

経口投与後 168 時間までの糞中には投与量の 92.5%(範囲:90.7~94.7%)が排泄され,動

物と同様,主排泄経路は糞中であることが示された。尿中排泄率 (平均:4.89%,範囲:2.89~

6.21%) を加えた総排泄率は投与量の 97.4%(範囲:96.5~98.3%)であり,投与量のほぼ全量

が回収された。

尿中には 20 種類以上の代謝物が微量に検出されたが,代謝物標品とのコクロマトグラフィー

から 14 種類の代謝物について構造推定が可能であった。主代謝物は M1(N-脱エチル体)であり,

試料中放射能の 22.6%(投与量の 0.76%)を占めていた。また,未変化体は試料中放射能の 21.9%

(投与量の 0.73%)の割合で認められ,M1 とほぼ等量に排泄されていた(表へ-29)。

糞中にも尿中と同様,多数の代謝物が検出された。主代謝物として M1 及び M4(ピペラジン環

N,N’-脱エチレン体)が同定され,それぞれ試料中放射能の 28.1%(投与量の 25.7%)並びに 15.6%

(投与量の 14.3%)の割合で認められた。また,未変化体排泄率は試料中放射能の 0.76%(投

与量の 0.7%)とわずかであった(表へ-29)。

経口投与後 45 分及び 1.5 時間の血漿中代謝物を検討したところ,未変化体がそれぞれ試料中

放射能の 35.7%,並びに 33.0%の割合で認められた。主代謝物として M1 が同定され,試料中放

射能に対する割合は,それぞれ 32%(投与後 45 分)及び 24.5%(投与後 1.5 時間)と未変化体

とほぼ等量に存在した。その他,M4 及び M5 が少量,認められた(表へ-29)。

表へ-29 健康成人男子に [14C]バルデナフィルを単回経口投与したときの尿,

糞及び血漿中代謝物組成(試料中放射能%)

試 料 未変化体 M1 M4 M5

尿 1)

糞 2)

血 漿 3)

21.9

0.76

35.7

22.6

28.1

32.0

9.61

15.6

4.56

2.77

6.69

1.17

1) 投与後 0~8時間,2) 投与後 0~72時間,3) 投与後 45分             算術平均値(n=4)

以上,排泄物及び血漿中代謝物に関する検討から,試料中放射能の 72~83%が未変化体を含

めた構造既知の代謝物として帰属可能であった。

図へ-19 に,バルデナフィルの代謝様式の概略を示した。

Page 12: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�55

図へ-19 バルデナフィルの代謝様式

ヒト血漿中に同定された代謝物 3 種(M1,M4,M5)は,未変化体に比較して弱いながら PDE5

活性阻害作用を示すことから(本概要ホ 21 頁),これら代謝物の血漿中薬物濃度推移を検討した。

なお,ヒト血漿中には M1 の N-グルクロン酸抱合体が存在することから,当該代謝物についても

同様に調べた。未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータを表へ-30 に示した。

表へ-30 健康成人男子に[14C]バルデナフィル 33 mg を単回経口投与したときの

未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

化合物AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

未変化体 111 (1.81) 41.7 (1.58) 0.75 (0.50-1.00) 3.88 (1.29) 297 (1.81) 23.2 (1.61)

M1 28.7 (1.78) 13.8 (1.47) 0.75 (0.50-1.00) 3.96 (1.39) 1088 (1.78) 86.6 (2.41)

M1 N-グルクロン酸抱合体 38.1 (1.88) 22.2 (1.45) 0.75 (0.50-1.00) 3.54 (1.51) 819 (1.89) 58.4 (1.91)

M4 13.9 (1.63) 5.68 (1.26) 0.88 (0.50-1.00) 3.82 (1.36) 2253 (1.63) 173 (1.28)

M5 1.21 (1.95) 0.684 (1.31) 0.88 (0.75-1.00) 0.872 (1.84) 24205 (1.95) 426 (1.37)

1) 中央値 (範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=4

M1 及び M1 の N-グルクロン酸抱合体はほぼ等量の割合で認められ,それらの AUC は未変化体の

それぞれ 25.9%,34.3%に相当した。一方,M4 及び M5 は少なく,AUC として未変化体の 12.5%,

並びに 1.09%であった。なお,これら代謝物の AUC 及び PDE5 活性阻害作用(IC50)から,M1 の

みが本薬の薬効に 7.2%とわずかながら寄与する可能性が推察された(添付資料ホ-5)。

CN

NHN

NO

S

O

ONN

O 水酸化

水酸化

ピペラジン開裂

N-脱エチル化

酸化

Page 13: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�56

7) 勃起障害患者における薬物動態(試験 No.10010,10011)・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ト-9,10

 勃起障害患者(糖尿病を伴わない)を対象とした国外前期第Ⅱ相臨床試験おいて,バルデナフ

ィルの薬物動態を検討した。

 陰茎体積変動試験Ⅰでは勃起障害患者 22 例(22~52 歳)に本薬 10 mg 及び 20 mg を,また陰

茎体積変動試験Ⅱでは勃起障害患者 24 例(25~59 歳)に本薬 20 mg 及び 40 mg を,それぞれ空

腹時単回経口投与した。各試験方法を本概要ト 62~64,69 頁に要約した。

勃起障害患者及び健康成人男子における血漿中未変化体の薬物動態学的パラメータを表へ-31

に示した。なお,健康成人男子における成績は,液剤の経口投与試験において得られたものであ

る(本概要ヘ 47,48 頁)。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 

表へ-31 勃起障害患者及び健康成人にバルデナフィル 10,20 又は 40 mg を

単回投与経口投与したときの未変化体の薬物動態学的パラメータ

投与量 被験者AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

健康成人男子

(n=6)

263

(1.65)

80.7

(1.72)

33.5

(1.66)

10.3

(1.77)

0.63

(0.50-1.25)

3.74

(1.49)

299

(1.65)

20.6

(2.04)10 mg

勃起障害患者

(n=19)

249

(1.59)

69.1

(1.64)

32.6

(1.59)

9.05

(1.63)

0.92

(0.25-2.50)

4.18

(1.27)

307

(1.59)

24.3

(1.64)

健康成人男子

(n=6)

268

(1.50)

97.1

(1.83)

64.3

(1.42)

23.3

(1.71)

0.63

(0.33-0.75)

3.34

(1.29)

311

(1.42)

18.0

(1.32)

勃起障害患者

(n=20)

282

(1.82)

79.0

(1.84)

74.5

(1.82)

20.9

(1.83)

0.66

(0.25-3.00)

3.94

(1.31)

268

(1.82)

20.1

(1.60)20 mg

勃起障害患者

(n=21)

288

(1.86)

79.7

(1.80)

69.8

(1.75)

19.3

(1.71)

0.66

(0.25-2.58)

4.44

(1.29)

286

(1.75)

22.3

(1.78)

健康成人男子

(n=6)

249

(1.52)

72.2

(1.70)

134

(1.54)

38.9

(1.70)

0.63

(0.33-1.50)

4.35

(1.14)

299

(1.54)

25.3

(1.56)40 mg

勃起障害患者

(n=20)

335

(1.53)

105 4)

(1.75)

164

(1.49)

50.8 4)

(1.68)

0.68 4)

(0.25-3.03)

4.79

(1.24)

243

(1.49)

20.6

(1.55)

1) AUC/(投与量 [mg]/体重 [kg]),2) Cmax /(投与量 [mg]/体重 [kg]), 3) 中央値 (範囲), 幾何平均値 (幾何標準偏差)

4) n=21

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

糖尿病を伴わない勃起障害患者における血漿中未変化体の薬物動態学的パラメータは,健康

成人男子とほぼ同等の値であり,本薬の薬物動態に差異は認められなかった。

Page 14: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�57

8) 特殊な集団における検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-45~47

① 高齢者における薬物動態(試験 No.100195) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-45

 高齢男性 12 例(66~78 歳)及び非高齢男性 12 例(18~45 歳)を対象にして,本薬の薬物動

態に及ぼす年齢の影響を検討した。各群 12 例のうち,3 例にはプラセボを,また 9 例には本薬

40 mg を,それぞれ空腹時単回経口投与した。なお,非高齢男性 1 例において本薬投与後約 1

時間後に嘔吐が認められたため,薬物動態解析対象から当該被験者を除外した。血漿中未変化

体濃度推移を図へ-20 に,また薬物動態学的パラメータを表へ-32 に示した。

図へ-20 高齢者及び非高齢者にバルデナフィル 40 mg を空腹時単回経口投与後の

血漿中未変化体濃度推移

表へ-32 高齢者及び非高齢者にバルデナフィル 40 mg を空腹時単回経口投与したときの

未変化体の薬物動態学的パラメータ

被験者AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax

[h]

t1/2

[h]

高齢者(n=9) 407.1 (1.4) 103.8 (1.6) 191.0 (1.4) 48.7 (1.5) 0.5 (1.3) 6.0 (1.2)

非高齢者(n=8) 256.6 (1.9) 74.1 (2.2) 125.8 (1.8) 36.3 (2.1) 0.6 (1.9) 4.8 (1.3)

1) AUC/(投与量[mg]/体重[kg]),2) Cmax/(投与量[mg]/体重[kg]) 幾何平均値 (幾何標準偏差)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 高齢者における血漿中未変化体濃度は非高齢者よりやや高い濃度で推移し,AUC及び Cmaxの平

均値は,それぞれ非高齢者よりも 52%ならびに 34%高い値を示した。本薬の血漿中濃度には比

較的大きな個体間変動がみられることから,薬物動態学的パラメータの個別値範囲(最小値~最

大値)を比較してみると,高齢者での Cmax(27.8~108μg/L)は非高齢者での値(11.3~91.8μ

g/L)とほぼ同じであった。t1/2及び tmaxについても同様な傾向がみられ,高齢者ならびに非高齢

者における個別値範囲に大きな差はみられなかった(t1/2:高齢者;4.8~7.9 h,非高齢者;3.1

0.01

0.1

1

10

100

1000

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間 (h)

血漿中未変化体濃度

(�g/

L)

高齢男性

非高齢男性

幾何平均値:幾何標準偏差

Page 15: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�58

~6.8 h,tmax:高齢者;0.5~1 h,非高齢者;0.3~2 h)。一方,AUC の個別値範囲には高齢

者と非高齢者との間で違いが認められ,最大値の比較では約 55%高い値が高齢者にみられた(高

齢者:143~408μg・h/L,非高齢者:42.7~262μg・h/L)。

 本薬は主として肝により代謝されるが,一般的に高齢者では,肝機能が低下していることが

多く,症例によっては本薬の血漿中濃度が著明に上昇することがあるので,添付文書の「用法・

用量」に 5 mg を開始用量とすることを記載すると共に「使用上の注意,1.慎重投与」の項に,

以下のように記載することとした。

使用上の注意,1.慎重投与

高齢者(65 歳以上)[「高齢者への投与」の項参照]

② 肝障害患者における薬物動態(試験 No.100305) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-46

 健康成人男子 6例及び外国人肝障害患者12例(Child-Pugh class A:6例,Child-Pugh class B:

6例)に,バルデナフィル10 mgを空腹時単回経口投与し,本薬の薬物動態に対する肝障害の影

響を検討した。未変化体及び代謝物(M1,M4)の血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パラ

メータを表へ-33 に示した。

表へ-33 肝障害患者及び健康成人にバルデナフィル 10 mg を空腹時単回経口投与したときの

未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

化合物 被験者AUC1)

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax2)

[h]

t1/2

[h]

未変化体 健康成人 54.4 (1.73) 13.5(1.60) 1.5(1.0-1.5) 3.2(1.26)

肝障害患者(Child-Pugh A) 63.5 (2.06) 16.4(1.93) 0.5(0.5-1.0) 4.29(1.61)

対健康成人比 1.17 1.22 - -

対健康成人比の 90%

信頼区間0.66~2.07 0.76~1.97 - -

肝障害患者(Child-Pugh B) 141.4 (1.46) 31.4(1.16) 1.0(0.5-1.5) 4.86(1.75)

対健康成人比 2.60 2.33 - -

対健康成人比の 90%

信頼区間 1.47~4.61 1.45~3.77 - -

M1 健康成人 8.76 (1.83) 4.31 (1.24) 0.75(0.5-1.5) 1.89 (1.87)

肝障害患者(Child-Pugh A) 26.5 (2.45) 9.78 (1.76) 0.5 (0.5-1.5) 4.25 (2.77)

肝障害患者(Child-Pugh B) 35.1 (2.31) 11.6 (1.65) 0.5 (0.5-1.0) 5.67 (2.64)

M4 健康成人 2.28 (1.70) 1.43 (1.28) 1.0 (0.5-1.5) 1.17 (1.65)

肝障害患者(Child-Pugh A) 2.34 (1.91) 1.80 (1.31) 0.5 (0.5-1.5) 1.05 (1.22)

肝障害患者(Child-Pugh B) 2.08 (1.89) 1.46 (1.46) 0.5 (0.5-0.5) 1.22 (1.70)

1) 未変化体: AUC, M1 及び M4: AUC0-tn, 2) 中央値 (範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=6

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Child-Pugh A(CP-A)患者及び Child-Pugh B(CP-B)患者における血漿中未変化体濃度は健康

成人よりも高く,また t1/2も延長する傾向を示した。AUC及び Cmaxの平均値は,健康成人に比較

して,CP-A 患者ではともに約 1.2 倍(90%信頼区間:AUC;0.66~2.07,Cmax;0.76~1.97)に,

Page 16: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�59

CP-B 患者では AUC が約 2.6 倍(90%信頼区間:1.47~4.61)に,また Cmaxが約 2.3 倍(90%信

頼区間:1.45~3.77)に増加していた。CP-B患者での AUC及び Cmaxは,CP-A患者に比較して有

意に高く,約 2 倍の値であった。

 M1 の AUC及び Cmaxは,CP-A患者において健康成人よりも 2~3倍高い値であり,未変化体より

大きな影響を受けた。CP-B患者での M1 の血漿中濃度は CP-A患者に比べ高くなる傾向にあったも

のの,類似した薬物動態を示した。未変化体に対する M1 の AUC0-tn比は,健康成人で 0.17,CP-

A 患者で 0.44 及び CP-B 患者で 0.26 であった。また,M4 の薬物動態は肝障害の影響をほとんど

受けなかった。

 本薬は主として代謝により体内から消失するため,中等度の肝障害者(CP-B)における AUC

及び Cmaxの有意な上昇は,肝クリアランス能の低下によると考えられる。

 以上のことから,添付文書の「用法・用量」に 5 mg を開始用量とすることを記載すると共に

「使用上の注意,1.慎重投与」の項に,以下のように記載することとした。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

使用上の注意,1.慎重投与

中等度の肝障害のある患者[本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので,低

用量(5 mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。]

③ 腎障害患者における薬物動態(試験 No.10230) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-47

健康成人男子 8 例及び腎障害患者 24 例を対象に,バルデナフィル 20 mg を空腹時単回経口投

与し,本薬の薬物動態に対する腎障害の影響を検討した。腎障害の程度は,クレアチニン・クリ

アランス(Clcr)より,軽度(50~80 mL/min),中等度(30~50 mL/min)及び重度(≦30 mL/min)

に層別した。各投与群における未変化体及び代謝物(M1,M4)の血漿中濃度推移から算出した薬

物動態学的パラメータを表へ-34 に示した。

中等度及び重度腎障害患者における未変化体の AUC は,健康成人に比べ,それぞれ 31%及び

21%高い値を示した。中等度腎障害患者での Cmaxは健康成人に比べ 39%高かったが,重度腎障

害患者では 23%低かった。t1/2はいずれの腎障害患者群でも健康成人に比べてわずかに長かっ

た。

各腎障害患者群における M1 の AUC は健康成人と比べて 21~73%高い値であった。中等度腎

障害患者での Cmaxは健康成人と比べ 36%高かったが,軽度及び重度腎障害患者での Cmaxは同

等であった。各腎障害患者群での t1/2は 8~9 時間の範囲にあり,健康成人と比べ 2~3 時間の

延長が見られた。一方,M4 の薬物動態は腎障害の影響をほとんど受けなかった。

 腎障害患者における未変化体の AUC は健康成人に比べてわずかに高かったが(21~31%),腎

機能を示す Clcr と AUC あるいは Cmaxとの間に有意な相関は認められなかった。また,本薬は

投与量の 90%以上が胆汁を介して糞中に排泄され,尿中排泄率は投与量の 5%以下(本概要へ

54 頁)と明らかに少なく,いずれの腎障害患者群でも本薬の忍容性は良好であったことから,

腎障害患者での本薬の使用に際し,用量調整の必要性はないと考えられた。

Page 17: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�60

表へ-34 腎障害患者及び健康成人にバルデナフィル 20 mg を空腹時単回経口投与したときの

未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

化合物 被験者AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

Aeur(0-48)2)

[%]

fu

[%]

CL/f

[L/h]

CLr

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

未変化体健康成人

78.2

(2.08)

22.4

(2.67)

0.75

(0.25-2.00)

4.60

(1.27)1.01 ±0.68

7.82

(1.91)

256

(2.08)

2.15

(1.44)

22.0

(1.95)

軽度腎障害患者77.9

(1.68)

22.7

(1.46)

0.75

(0.75-1.50)

5.00

(1.44)0.537±0.30

6.22

(1.36)

257

(1.68)

1.18

(1.60)

24.3

(1.44)

対健康成人比 1.00 1.02 - - - - - - -

対健康成人比の

90%信頼区間0.64~1.55 0.59~1.74 - - - - - - -

中等度腎障害患者102

(1.37)

31.0

(1.79)

0.63

(0.50-3.00)

5.61

(1.32)0.533±0.23

6.83

(1.38)

196

(1.37)

1.00

(1.19)

18.9

(1.44)

対健康成人比 1.31 1.39 - - - - - - -

対健康成人比の

90%信頼区間0.84~2.02 0.81~2.38 - - - - - - -

重度腎障害患者94.3

(1.50)

17.2

(1.51)

1.38

(0.50-5.00)

5.81

(1.44)0.415±0.33

9.03

(1.36)

212

(1.50)

0.684

(1.72)

22.4

(1.46)

対健康成人比 1.21 0.77 - - - - - - -

対健康成人比の

90%信頼区間0.78~1.87 0.45~1.32 - - - - - - -

M1健康成人

36.3

(1.77)

14.1

(1.97)

0.75

(0.50~1.50)

6.18

(1.53)0.881±0.28 -

519

(1.77)

4.40

(1.46)

59.9

(2.10)

軽度腎障害患者44.1

(2.27)

15.6

(1.83)

1.00

(0.50-1.50)

8.25

(2.34)0.582±0.29 -

427

(2.27)

2.30

(1.69)

66.8

(1.89)

中等度腎障害患者60.7

(1.66)

19.3

(1.96)

0.75

(0.50-3.00)

9.31

(1.49)0.461±0.24 -

310

(1.66)

1.34

(1.33)

49.7

(2.10)

重度腎障害患者62.9

(1.97)

14.1

(1.77)

0.88

(0.50-3.00)

9.14

(2.08)0.174±0.12 -

300

(1.97)

0.459

(2.10)

49.8

(1.57)

M4健康成人

12.7

(1.61)

3.24

(1.78)

0.88

(0.50-2.00)

9.45

(1.67)- -

1491

(1.61)-

263

(1.67)

軽度腎障害患者12.4

(1.37)

3.48

(1.16)

1.00

(0.75-1.50)

7.75

(1.73)- -

1523

(1.37)-

223

(1.44)

中等度腎障害患者14.8

(1.40)

3.93

(1.72)

0.75

(0.50-3.00)

9.44

(1.68)- -

1277

(1.40)-

207

(1.32)

重度腎障害患者12.8

(1.49)

2.29

(1.45)

1.25

(0.50-5.00)

6.54

(1.45)- -

1475

(1.49)-

176

(1.27)

1) 中央値(範囲),2) 算術平均値±算術標準偏差 幾何平均値 (幾何標準偏差), n=8

Page 18: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�61

9) 母集団薬物動態解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-48,49

個体間変動及び個体内変動を仮定し基本モデルを構築した後,各変動要因について検討した。

各変動要因の組み込みは,適合度検定(Goodness of fit plots)と一般化加法モデル(GAM:Generalized

Additive Model)1)2)に従い NONMEM(version Ⅴ level 1.0)3)及び S-PLUS4)を用い,p<0.05 尤

度比検定で検討を行った。ただし,性差,人種及び試験実施場所の 3 つの変動要因については,

他の変動要因(体重,身長等)と相関する可能性があるため,3 つ以外の変動要因を用いてもモ

デルが改善しないことを確認した後に検討した。組み込むべき変動要因が無くなったことを確認

した後,組み込んだ変動要因を一つずつ検討し,統計的に有意な(p<0.01)変動要因を組み込

んだモデルを最終モデルとした。

① 国内外第Ⅰ相及び国外前期第Ⅱ相臨床試験における検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-48

 国内外第Ⅰ相及び国外前期第Ⅱ相臨床試験(合計 13試験注),247例)で得られた本薬の AUC,Cmax,

t1/2及び tmaxについて,コンパートメントを想定しないモデルを用いて母集団薬物動態解析を

行った。各最終モデルに組み込まれた連続変動要因の上限 10%と下限 10%,及び非連続要因に

関し,本薬 40 mg 経口投与を仮定したパラメータを全被験者について推定し,その平均値を求

めた。その結果,いずれのパラメータにも用量調整を必要とする変動要因は検出されず,また,

明らかな人種差も認められなかった。

② 国外第Ⅲ相臨床試験における検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-49

ヨーロッパ第Ⅲ相臨床試験(試験 No.10128),北アメリカ第Ⅲ相臨床試験(試験 No.100249)

及び糖尿病を有する勃起障害患者での検討試験(試験 No.100250)より得られた 1028 例 2822

ポイントのデータを用い母集団薬物動態解析を行った。

母集団薬物動態解析の結果,糖尿病は最終モデルに変動要因として組み込まれなかった。ま

た,併用薬のうち最終モデルに組み込まれた薬剤(アセチルサリチル酸,アテノロール,レボ

チロキシン,利尿剤,カルシウムチャンネルブロッカー,アムロジピン,CYP3A4 誘導剤及び阻

害剤)を併用した患者について本薬の AUC/Dose 及び Cmax/Dose の分布を全患者と比較した。そ

の結果,カルシウムチャンネルブロッカー併用患者群で全患者群と異なる AUC/Dose の分布がみ

られたが,他の薬剤併用群では,全患者群と大差なかった。併用されたカルシウムチャンネル

ブロッカーはいずれも CYP3A4 の基質であるが,他の CYP3A4 基質薬物併用群では AUC/Dose の分

布に影響はみられなかった。また,カルシウムチャンネルブロッカーのほぼ半数は CYP3A4 阻害

薬であるものの CYP3A4 阻害薬併用については最終モデルに残らなかった。これらのことから,

AUC/Dose の変動がカルシウムチャンネルブロッカーの併用,あるいは心血管系疾患の病態によ

るものかは明らかではないと考えられた。

 以上より,本薬の薬物動態は,アセチルサリチル酸,ACE 阻害薬,ベータブロッカー,弱い CYP3A4

阻害剤薬,利尿剤及び抗糖尿病薬と併用しても変動せず,また,糖尿病の影響を受けないこと

が示された。

 さらに,白人,黒人,アジア人(日本人を含まず)及びヒスパニックにおける AUC/Dose 及び

注)健康成人男子を対象とした本薬 10 mg の舌下投与試験(試験 No.10021)を含む。1) Mandema JW et al., J. Pharmacokin. Biopharm.,20(5), 511(1992)2) Jonsson EN et al., Comput. Methods Program in Biomed., 58, 51(1999)3) Beal SL et al., NONMEM Project Group, UCSF, 19984) MathSoft, Inc.

Page 19: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�62

Cmax/Dose の事後推定値を算出したところ,人種間でほぼ同等の値が得られた。(表ヘ-35)。

 本母集団薬物動態解析の対象となった白人以外の人種は 19~77 例と白人の 779 例に比較して

明らかに少数例であった。最終モデルに組み込まれた変動要因のうち併用薬の一部については

同様な少数例による解析から得られていること,また,国内外第Ⅰ相臨床試験及び国外前期第

Ⅱ相臨床試験を対象とした母集団薬物動態解析の結果,最終モデルに人種は組み込まれず,同

様な解析結果が得られていることから,解析結果は安定していると推察され,日本人を含まな

いデータの解析ではあるものの,本薬の薬物動態は人種の影響を受けにくいと考えられた。

表へ-35 母集団解析の結果に基づく薬物動態パラメータ(事後推定値)

対 象 人 種 例数AUC/Dose

(μg・h/L per 1 mg)

Cmax/Dose

(μg/L per 1 mg)

勃起障害患者 白人 779 3.54 (1.57) 0.871 (1.56)

黒人 77 3.39 (1.92) 0.784 (1.66)

アジア人* 19 3.20 (1.48) 0.785 (1.50)

ヒスパニック 40 3.72 (1.60) 0.920 (1.58)

*日本人を含まず。 幾何平均値(幾何標準偏差)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 さらに,患者における薬物動態は,国外前期第Ⅱ相臨床試験においても検討されているが(本

概要ヘ 56 頁),母集団薬物動態解析の結果得られた推定値と比較したところ,いずれもほぼ同

様な値であった(表ヘ-36)。

表へ-36 STS 法及び母集団薬物動態解析法による AUC/Dose 及び Cmax/Dose

被験者 解析方法 nAUC/Dose

(μg・h/L per 1 mg)

Cmax/Dose

(μg/L per 1 mg)

勃起障害患者 STS*  46 3.73/1.69 1.04/1.72

勃起障害患者 母集団薬物動態解析 1028 3.54/1.59 0.868/1.59

*Standard two-stage method 幾何平均値/幾何標準偏差

Page 20: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�63

10) 薬物相互作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-34~37,50~62,65~68,70,ト-5

① 代謝に関与するヒトチトクローム P450(CYP)の同定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-34,35

 バルデナフィルは主に CYP3A4 により M1 及び M4 に代謝された。また,主代謝物 M1 への代謝

には,一部,CYP2C8, 2C9, 2C19 及び 3A5 の関与が認められたため,CYP 発現系細胞ミクロソー

ムを用い,CYP3A4 を含む各分子種の代謝固有クリアランスを検討したが,M1 への代謝の約 80%

は CYP3A4 によるもので,他の分子種の寄与率は 2.1~10.7%と低いことが示された。

② ヒトチトクローム P450(CYP)活性阻害作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-35,36

未変化体,代謝物 M1 及び M4 の CYP 活性阻害作用を検討した。

未変化体は CYP1A2,2C8 及び 2C19 活性を阻害したが,Ki 値(68~126μM)はいずれも 40 mg

単回経口投与時のヒト血漿中未変化体 Cmax(0.1μM)に比較して明らかに高く,薬物間相互作

用の可能性は低いと考えられた。

M1 は CYP3A4活性を強く阻害したが,Ki値(1.4μM)は 80 mg単回経口投与時の Cmax(0.06μM)

に比べ約 20 倍高い値であり,更に CYP3A4 に代謝されるグリベンクラミド及びニフェジピンの

薬物動態に影響しないことを薬物間相互作用試験において確認した(本概要ヘ 77,78 頁)。

その他,M1 は CYP2C8,2C9 及び 2D6 活性を,また M4 は CYP2C9,2C19,2D6 及び 3A4 活性を

阻害したが,Ki 値(M1:34.7~136μM,M4:9.8~45.3μM)はいずれも各代謝物のヒト血漿中

Cmax(M1:0.06μM,M4:0.03μM,80 mg 単回経口投与)よりも明らかに高く,薬物間相互作用

の可能性は低いと考えられた。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

③ 尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比(試験 No.100196)・・・・・・添付資料ト-5

 バルデナフィル 31 日間反復投与試験(本概要ヘ 50,51 頁)において,投与前及び投与 30 日

目の尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール及びコルチゾールを測定し,CYP3A4 に対する影響を検

討した。表へ-37 に尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比を示した。

表へ-37 尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比

6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比の対数変換値

プラセボ

n=11

20 mg 1 日 1 回

n=11

40 mg 1 日 1 回

n=12

40 mg 隔日

n=13

0.02±0.13 -0.04±0.13 -0.04±0.13 0.18±0.13

平均値±標準誤差

 投与前と投与 30 日目の尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比に有意な変動は

なく,本薬の反復投与による CYP3A4 への影響を示唆する所見はみられなかった。

④ 他剤との血漿蛋白結合競合性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-37

[14C]バルデナフィルのヒト血漿蛋白結合に及ぼす他剤(ワルファリン,クロフィブレート,

ニフェジピン,サリチル酸,フロセミド,ジギトキシン,グリベンクラミド,トルブタミド)

の影響を in vitro にて限外濾過法により検討した。

未変化体の非結合型分率(3.9~4.7%,濃度:1μg/mL)は,臨床血漿中濃度近傍(200μg/mL)

のサリチル酸及びトルブタミドの共存下で約 7%に上昇した。グリベンクラミド共存下では,

Page 21: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�64

臨床血漿中濃度の約 5 倍の濃度(1000μg/mL)で未変化体の非結合型分率は約 12%に増加した。

その他の薬剤では未変化体の非結合型分率に変動はみられなかった。

⑤ 臨床薬物間相互作用試験

(i) マーロックス(試験 No.10050) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-50

健康成人男子 12 例(23~44 歳)に対し,クロスオーバー法により,マーロックス 10 mL と

併用して,あるいは併用せずに本薬 20 mg を空腹時単回経口投与し,本薬の薬物動態に及ぼす

マーロックスの影響を検討した。血漿中未変化体濃度推移から算出した薬物動態学的パラメー

タを表へ-38 に示した。

表へ-38 バルデナフィル 20 mg 単回投与後における未変化体の薬物動態学的パラメータ

(単独及びマーロックス併用投与時)

投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

単独投与 56.5(1.52) 19.1(1.55) 0.75(0.50-2.0) 5.84(1.18) 354(1.52) 36.7(1.74)

併用投与 54.8(1.51) 15.7(1.57) 0.77(0.50-1.50) 5.47(1.27) 365(1.51) 35.4(1.77)

併用/単独比 0.97 0.82 - - - -

併用/単独比の 90%

信頼区間0.84~1.12 0.65~1.04 - - - -

1) 中央値(範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=12

本薬の Cmaxは併用によりやや低下し,その併用/単独比は 0.82(90%信頼区間:0.65~1.04)

であった。AUC の併用/単独比の 90%信頼区間(0.84~1.12)は同等とみなせる範囲(0.8~1.25)

にあり,また t1/2及び tmaxに変動は認められなかった。併用により本薬の Cmaxはやや低下する

ものの,忍容性は良好であり,臨床使用上,特に考慮すべき差ではないと考えられた。

(ii) シメチジン及びラニチジン(試験 No.10052) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-51

健康成人男子 12 例(24~44 歳)に,クロスオーバー法により,シメチジンあるいはラニチ

ジンと併用して,もしくは併用せずに本薬 20 mg を空腹時単回経口投与し,本薬の薬物動態に

及ぼす影響を検討した。投薬に関連しない有害事象により 2 例が脱落したため,10 例を薬物動

態の解析対象とした。なお,シメチジン及びラニチジンは本薬投与の 3 日前より併用時まで,1

回 400 mg を 1 日 2 回(シメチジン),あるいは 1 回 150 mg を 1 日 2 回(ラニチジン),計 8 回

反復経口投与した。本薬の血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-39 に

示した。

Page 22: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�65

表へ-39 バルデナフィル 20 mg 単回投与後における未変化体の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びシメチジンあるいはラニチジン併用投与時)

投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

単独投与 56.8(1.64) 18.7(1.70) 0.88(0.50-1.50) 3.87(1.33) 352(1.63) 23.6(1.70)

シメチジン併用投与 64.9(1.56) 19.1(1.55) 0.75(0.75-2.00) 4.17(1.29) 308(1.56) 22.3(1.47)

併用/単独比 1.12 1.00 - - - -

併用/単独の 90%信頼区間 0.94~1.33 0.76~1.31 - - - -

ラニチジン併用投与 58.9(1.89) 20.7(1.90) 0.75(0.50-2.00) 4.04(1.27) 340(1.89) 23.8(1.67)

併用/単独比 1.00 1.06 - - - -

併用/単独比の 90%信頼区間 0.84~1.19 0.81~1.39 - - - -

1) 中央値(範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=10

<シメチジン>

本薬 AUC 及び Cmaxの併用/単独比は,それぞれ 1.12(90%信頼区間:0.94~1.33),並びに 1.00

(90%信頼区間:0.76~1.32)であり,併用により AUC は軽度に上昇した。t1/2及び tmaxには併

用による大きな変動はなく,また AUC の上昇も同等とみなせる範囲の上限値(0.8~1.25)をわ

ずかに超える程度で,忍容性も良好であったことから,臨床上,特に考慮すべき影響ではない

と考えられた。

<ラニチジン>

本薬 AUC 及び Cmaxの併用/単独比は,それぞれ 1.00(90%信頼区間:0.84~1.19),並びに 1.06

(90%信頼区間:0.81~1.39)であり,併用により Cmaxは軽度に上昇した。t1/2及び tmaxには併

用による大きな変動はなく,また Cmaxの上昇も同等とみなせる範囲の上限値(0.8~1.25)を

わずかに超える程度であり,忍容性も良好であったことから,臨床上,特に考慮すべき影響で

はないと考えられた。

Page 23: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�66

(iii) CYP3A4 阻害剤(エリスロマイシン,ケトコナゾール,インジナビル,リトナビル)

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ヘ-52~54,65

(a) エリスロマイシンとの相互作用(試験 No.10104) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-52

 健康成人男子 12 例(27~48 歳)に対し,クロスオーバー法により,エリスロマイシンと併

用して,あるいは併用せずに本薬(単独:20 mg,併用:5 mg)を空腹時単回経口投与し,本薬

及び代謝物(M1,M4,M5)の薬物動態に及ぼす影響を検討した。なお,エリスロマイシンは本

薬投与の 3 日前より併用時まで,1 回 500 mg を 1 日 3 回,計 12 回反復経口投与した。本薬単

独投与時及びエリスロマイシンとの併用投与時の血漿中未変化体濃度推移を図へ-21 に,本薬

及び代謝物(M1,M4,M5)の血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-40

に示した。

0.1

1

10

100

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間 (h)

血漿中濃度

(�g/

L)

バルデナフィル 5mg + EM

バルデナフィル 20mg

幾何平均値/幾何標準偏差

図へ-21 エリスロマイシン併用試験における血漿中未変化体濃度推移

エリスロマイシン

Page 24: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�67

表へ-40 バルデナフィル単回投与後における未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びエリスロマイシン併用投与時)

化合物 投与方法AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2

[h]

CL/f

[L/h/kg]

Vz/f

[L/kg]

単独投与 204(1.74) 63.9(1.70) 53.0(1.65) 16.6(1.62) 1.0(0.50-2.0) 3.83(1.36) 4.90(1.73) 27.1(1.52)

併用投与 821(1.63) 199(1.63) 53.3(1.57) 12.9(1.58) 1.0(0.50-3.0) 4.62(1.29) 1.22(1.63) 8.12(1.46)

併用/単独比 4.03 3.12 1.01 0.78 - 1.21 0.25 0.30未変化体

併用/単独比の

90%信頼区間3.33~4.87 2.41~4.04 0.83~1.22 0.60~1.01 - 1.09~1.34 - -

単独投与 124(1.58)4) 66.8(1.50) 30.3(1.52)4) 16.3(1.47) 0.75(0.50-2.0) 3.11(1.50) 7.72(1.57) 34.6(1.41)

併用投与 628(1.60)4) 292(1.97) 38.4(1.64)4) 17.9(2.05) 1.0(0.75-3.0) n.d.5) - -

併用/単独比 5.07 4.37 1.27 1.09 - - - -M1

併用/単独比の

90%信頼区間3.78~6.81 2.95~6.46 0.94~1.70 0.74~1.62 - - -

単独投与 26.7(1.41) 10.7(1.30) 6.58(1.36) 2.62(1.25) 1.0(0.75-2.0) 3.07(1.47) 37.4(1.41) 166(1.26)

併用投与 73.0(1.31) 23.5(1.47) 4.49(1.36) 1.44(1.53) 1.0(0.75-3.0) 3.29(1.70) 13.7(1.31) 64.9(1.48)

併用/単独比 2.73 2.20 0.68 0.55 - 1.07 0.37 0.39M4

併用/単独比の

90%信頼区間2.24~3.34 1.66~2.92 0.56~0.83 0.42~0.73 - 0.89~1.29 - -

単独投与 5.73(1.45)6) 2.37(1.37) 1.28(1.43)6) 0.546(1.36) 1.0(0.75-2.0) 1.32(1.76)6) 174(1.44)6) 332(1.45)6)

併用投与 13.8(1.22)7) 6.33(1.40)8) 0.873(1.19)7) 0.368(1.45)8) 1.0(1.0-1.5)8) 0.978(1.58)7) 72.8(1.22)7) 103(1.32)7)

併用/単独比 - 2.77 - 0.69 - 2.16 - -M5

併用/単独比の

90%信頼区間- 2.04~3.77 - 0.51~0.94 - - - -

1) AUC/(投与量[mg]/体重[kg]),2) Cmax/(投与量[mg]/体重[kg]) 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=12

3) 中央値(範囲),4) AUC0-tn,5) 算出不可,6) n=8,7) n=3,8) n=10

血漿中未変化体濃度の AUC 及び Cmaxの併用/単独比は,1.01(90%信頼区間:0.83~1.22)

及び 0.78(0.60~1.01)であり,投与量が併用,単独投与時で異なることを加味すると,本薬

の曝露量はエリスロマイシン併用により約 3~4 倍に上昇すると考えられた。体重あたりの投与

量で補正した AUC 及び Cmax(AUCnorm及び Cmax,norm)の併用/単独比は,4.03(90%信頼区間:

3.33~4.87),並びに 3.12(90%信頼区間:2.41~4.04)であった。t1/2は併用により約 21%

延長したが,他の臨床試験でみられた変動範囲内にあった。一方,tmaxには併用による大きな

変動は認められなかった。

血漿中代謝物 3 種類のうち,M1 は併用により 2 峰性,あるいは 3 峰性の濃度推移を示し,AUC

及び t1/2の算出が困難であったため,AUC0-tnを評価パラメータとして用いた。また,M5 では併

用時の AUC0-tnを算出できた被験者数が少なかったことから比較評価は行わなかった。いずれ

の代謝物濃度も併用により上昇した。M1,M4 及び M5 の Cmaxの併用/単独比は,それぞれ 1.09,

0.55 及び 0.69,また AUC0-tnの併用/単独比は M1 では 1.27,M4 では 0.68 の値を示し,投与

量が併用,単独投与時で異なることを加味すると,エリスロマイシン併用により代謝物の曝露

Page 25: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�68

量は単独投与に比較して約 2~5 倍上昇すると考えられた。

なお,本薬とエリスロマイシン併用投与時の安全性成績に関しては本概要ト 41,42 頁参照。

(b) ケトコナゾール(試験 No.10229) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-53

 健康成人男子 12 例(23~37 歳)に対し,クロスオーバー法によりケトコナゾールと併用して,

あるいは併用せずに本薬(単独:20 mg,併用:5 mg)を空腹時単回経口投与し,本薬及び代謝

物(M1,M4,M5)の薬物動態に及ぼす影響を検討した。なお,ケトコナゾールは本薬投与の 3

日前より併用時まで,1 回 200 mg を 1 日 1 回,計 4 回反復経口投与した。本薬単独投与時及び

ケトコナゾールとの併用投与時の血漿中未変化体濃度推移を図へ-22 に,本薬及び代謝物(M1,

M4,M5)の血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-41 に示した。

0.1

1

10

100

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間 (h)

血漿中濃度

(�g/

L)

バルデナフィル 5mg + KTZ

バルデナフィル 20mg

幾何平均値/幾何標準偏差

図へ-22 ケトコナゾール併用試験における血漿中未変化体濃度推移

ケトコナゾール

Page 26: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�69

表へ-41 バルデナフィル単回投与後における未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びケトコナゾール併用投与時)

化合物 投与方法AUCnorm1)

[g・h/L]

Cmax,norm2)

[g/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax3)

[h]

t1/2[h]

CL/f

[L/h]

Vz/f

[L/kg]

単独投与 319(1.74) 103(1.77) 76.3(1.71) 24.6(1.76) 0.75(0.5-4.0) 3.89(1.20) 262(1.71) 17.6(1.56)

併用投与 3171(1.44) 418(1.26) 190(1.46) 25.0(1.32) 1.75(0.75-5.0) 4.82(1.22) 26.4(1.46) 2.2(1.33)

併用/単独比 9.95 4.06 2.49 1.02 - 1.23 0.10 0.12未変化体

併用/単独比の

90%信頼区間8.22~12.04 3.02~5.47 2.05~3.01 0.75~1.37 - - - -

単独投与 213(1.77) 100(1.97) 48.1(1.72) 22.6(1.93) 0.75(0.5-2.0) 4.27(1.46) 392(1.72) 28.9(1.82)

併用投与 359(1.72) 35.0(1.88) 20.2(1.73) 1.97(1.84) 1.5(1.0-3.0) 7.48(2.11) 233(1.73) 30.1(2.34)

併用/単独比 1.68 0.35 0.42 0.09 - 1.75 0.59 1.04M1

併用/単独比の

90%信頼区間1.47~1.93 0.28~0.44 0.37~0.48 0.07~0.11 - - - -

単独投与 31.7(1.53) 12.7(1.61) 7.19(1.49) 2.89(1.57) 0.875(0.5-2.0) 3.07(2.03) 2634(1.49) 140(1.55)M4

併用投与 n.d. 5.96(1.39)4) n.d. 0.333(1.34)4) 2.0(1.0-6.0)4) n.d. n.d. n.d.

単独投与 n.d. 3.26(1.45)5) n.d. 0.687(1.43)5) 0.75(0.5-2.0)5) n.d. n.d. n.d.M5

併用投与 n.d. 17.26) n.d. 0.8066) 4.06) n.d. n.d. n.d.

n.d.:算出不可, 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=12

1) AUC/(投与量[mg]/体重[kg]),2) Cmax/(投与量[mg]/体重[kg]),3)中央値(範囲),4) n=8,5) n=11,6) n=1

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

血漿中未変化体の AUC 及び Cmaxの併用/単独比は,2.49(90%信頼区間:2.05~3.01)及び

1.02(0.75~1.37)であり,投与量が併用,単独投与時で異なることを加味すると,本薬の曝

露量はケトコナゾール併用により約 4~10 倍に上昇すると考えられた。AUCnorm及び Cmax,normの

併用/単独比は,9.95(90%信頼区間:8.22~12.04),並びに 4.06(90%信頼区間:3.02~5.47)

であった。t1/2は併用により約 1 時間延長したが,他の臨床試験で見られている変動範囲内に

あった。

 血漿中代謝物濃度は併用により減少し,M1 及び M4 の Cmaxはそれぞれ単独投与の 9%及び 12%

であった。M1 及び M4 の Cmax,normは,それぞれ単独投与の 35%並びに 47 %であった。一方,M1

の消失には遅延がみられ,AUC は単独投与の 42%で,AUCnormは単独投与よりも 68%増加した。

なお,M4 及び M5 については,併用投与時の定量可能な測定時点数が少なく,AUC を算出できな

かった。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

なお,本薬とケトコナゾール併用投与時の安全性成績に関しては本概要ト 42,43 頁参照。

(c) インジナビルとの相互作用試験(試験 No.100336) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-54

外国人健康成人男子 18 例(22~43 歳)に対し,クロスオーバー法によりインジナビルと併

用して,あるいは併用せずに本薬 10 mg を空腹時単回経口投与し,本薬及び代謝物 M1 の薬物動

態に及ぼす影響を検討した。なお,インジナビルは本薬投与の 7 日前より併用時まで,1 回 800 mg

を 1 日 3 回,計 19 回反復経口投与した。インジナビル投与期間中に 1 例の脱落例(発疹)があ

Page 27: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�70

ったため,17 例を薬物動態の解析対象とした。本薬単独投与時及びインジナビルとの併用投与

時の血漿中未変化体濃度推移を図へ-23 に,本薬及び代謝物 M1 の血漿中濃度推移から算出し

た薬物動態学的パラメータを表へ-42 に示した。

0.1

1

10

100

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間 (h)

血漿中濃度

g/L)

バルデナフィル 10mg + インジナビル

バルデナフィル 10mg

幾何平均値/幾何標準偏差

図へ-23 インジナビル併用試験における血漿中未変化体濃度推移

表へ-42 バルデナフィル 10 mg 単回投与後における未変化体及び代謝物 M1 の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びインジナビル併用投与時)

化合物 投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

単独投与 23.2(1.70) 10.2(1.85) 1.0(0.5-2.5) 3.03(1.25)

併用投与 376.8(1.46) 70.8(1.37) 1.0(0.5-2.5) 5.96(1.53)

併用/単独比 16.3 6.92 - 2.0未変化体

併用/単独比の

90%信頼区間12.4~21.2 5.21~9.20 - 1.60~2.42

単独投与 8.45 (1.92)2) 4.56(1.81) 1.0(0.5-2.5) 1.30(2.17)2)

併用投与 17.9 (1.92)3) 1.41(1.92)2) 1.0(1.0-12.0)2) 4.73(2.71)3)

併用/単独比 - 0.31 - -M1

併用/単独比の

90%信頼区間- 0.21~0.45 - -

1) 中央値(範囲),2) n=15,3) n=4 幾何平均値(幾何標準偏差),n=17

Page 28: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�71

併用により血漿中未変化体濃度は明らかに上昇した。AUC 及び Cmaxの併用/単独比は,それ

ぞれ 16.3(90%信頼区間:12.4~21.2)及び 6.92(90%信頼区間:5.21~9.20)であり,併用

の影響を認めた。t1/2も併用により 2 倍に延長した。

代謝物 M1 の血漿中濃度は併用により著しく減少し,大部分の被験者において AUC 及び t1/2の

算出ができなかった。併用時の Cmaxは単独投与の約 31%(90%信頼区間:21~45%)に低下し

たが,tmaxに変動はみられなかった。

インジナビルの薬物動態を本薬投与日と前日で比較したところ,インジナビルの AUC 及び Cmax

は単独投与時に比べて本薬併用により低下した(表へ-43)。しかしながら,本薬はインジナビ

ルの代謝酵素活性に影響を与えないと考えられ(本概要ヘ 63 頁),またインジナビルの血漿中

濃度には大きな変動を認めるとされていることから,偶発的な可能性も考えられた。

表へ-43 インジナビル反復投与時における未変化体の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びバルデナフィル併用投与時)

投与方法AUC0-8

[mg・h/L]

Cmax

[mg/L]

tmax1)

[h]

単独投与 16.4 (1.61) 8.8 (1.5) 1.0 (0.5-1.0)

併用投与 10.9 (2.34) 5.1 (2.34) 1.0 (0.5-2.0)

併用/単独比 0.66 0.58 -

併用/単独比の

90%信頼区間0.45~0.99 0.39~0.85 -

-:算出せず,1) 中央値(範囲)       幾何平均値(幾何標準偏差),n=17

 なお,本薬とインジナビル併用投与時の安全性成績に関しては本概要ト 44,45 頁参照。

(d) リトナビルとの相互作用試験(試験 No.100512) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料へ-65

外国人健康成人男子 20 例(29~52 歳)に対し,リトナビルと併用して,あるいは併用せず

に本薬 5 mg を空腹時単回経口投与した時の,本薬及び代謝物 M1 の薬物動態に及ぼす影響を検

討した。本薬単独投与時の薬物動態を求めるため,本薬 5 mg を 1 日目に,本薬 80 mg を 2 日目

にそれぞれ単回投与した。また,リトナビル併用投与時の本薬の薬物動態を求めるため,リト

ナビルを 4 日目に 1 回 300 mg,5 日目に 1 回 400 mg,6 日目~11 日目に 1 回 600 mg 1 日 2 回

投与し,本薬 5 mg を 10 日目に単回投与した。なお,服薬不遵守及び同意の撤回のために各 1

例が中止例となったため,18 例を解析対象とした。本薬 5 mg 単独投与時及びリトナビルとの

併用投与時の血漿中未変化体濃度推移を図へ-24 に,本薬及び代謝物 M1 の血漿中濃度推移か

ら算出した薬物動態学的パラメータを表へ-44 に示した。

Page 29: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�72

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48投与後時間 (h)

血漿中濃度 (μg/L)

バルデナフィル5 mg+リトナビル

バルデナフィル5 mg

幾何平均値/幾何標準偏差

図へ-24 リトナビル併用試験における血漿中未変化体濃度推移

表へ-44 バルデナフィル単回投与後における未変化体及び代謝物の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びリトナビル併用投与時)

化合物 投与方法AUC0-24

[μg・h/L]

AUC

[μg・h/L]

Cmax[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2[h]

単独投与 7.11 (2.01) 7.19 (2.02) 2.37 (2.14) 1.0 (0.5-2.0) 2.64 (1.72)

併用投与 349.1 (1.24) 778.9 (1.42) 30.05 (1.41) 2.0 (0.5-24) 25.66 (1.72)

併用/単独比 49.07 108.3 12.69 - 9.70未変化体

併用/単独比の

90%信頼区間37.60~64.04 86.4~135.8 9.55~16.85 - 7.68~12.26

単独投与 6.73 (1.81) 6.73 (1.82) 3.76 (1.72) 1.0 (0.5-1.5) 1.54 (1.76)

併用投与 6.25 (2.66)a 7.81 (4.03)b 0.77 (1.69) 2.5 (1.0-24) 6.71 (3.84)b

併用/単独比 0.86 1.09 0.20 - 3.77M1

併用/単独比の

90%信頼区間0.63~1.17 0.65~1.83 0.16~0.25 - 2.05~6.92

幾何平均値(幾何標準偏差),n=18,ただし a;n=16,b;n=13

1) 中央値(範囲)

併用により血漿中未変化体濃度は明らかに上昇し,Cmaxの併用/単独比は 12.69(90%信頼区

間:9.55~16.85)であった。t1/2も 9.7 倍に延長し,AUC0-24及び AUC の併用/単独比はそれぞ

れ 49.07(90%信頼区間:37.60~64.04)及び 108.3(90%信頼区間:86.4~135.8)であった。

併用投与時の代謝物 M1 の Cmaxは単独投与時の 20%(90%信頼区間:0.16~0.25)に低下し,

t1/2は 3.77 倍に延長した。代謝物 M1 の AUC0-24及び AUC には併用投与時と単独投与時で著しい

差はなかった。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Page 30: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�73

リトナビルの薬物動態を本薬併用時(10 日目)とリトナビル単独投与時(9 日目)で比較し

たところ,併用時のリトナビルの AUC0-12及び Cmaxはいずれも単独投与時と比較して約 20%低

下していた(表へ-45)。

表へ-45 リトナビル反復投与時における未変化体の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びバルデナフィル併用投与時)

投与方法AUC0-12

[mg・h/L]

Cmax[mg/L]

tmax1)

[h]

単独投与 102.63 (1.54) 18.54 (1.66) 2.5 (1.5~3.0)

併用投与 82.6 (1.74) 14.37 (1.78) 2.5 (1.0~12.0)

併用/単独比 0.80 0.78 -

併用/単独比の 90%信頼区間 0.70~0.93 0.65~0.93 -

幾何平均値(幾何標準偏差),n=18

1) 中央値(範囲)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

なお,本薬とリトナビル併用投与時の安全性成績に関しては本概要ト 46,47 頁参照。

(e) CYP3A4 阻害剤との相互作用のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-55

 バルデナフィルの責任代謝酵素である CYP3A4 は,エリスロマイシン,ケトコナゾール,イン

ジナビル及びリトナビルにより阻害されることから,CYP3A4 活性阻害による本薬の代謝クリア

ランスの減少によると考えられるバルデナフィルの AUC 及び Cmax の有意な上昇が上記 4 試験の

CYP3A4 阻害剤との併用投与時において認められたため,上昇の程度を考慮して,添付文書中,

「禁忌」及び「使用上の注意,1.慎重投与」の項に,以下のように記載することとした。

禁忌

リトナビル,インジナビル,ケトコナゾール,イトラコナゾール(チトクローム P450 3A4

を強く阻害する薬剤)を投与中の患者[本剤の血漿中濃度が著明に上昇する(「相互作用」

(1)の項参照)。]

使用上の注意,1.慎重投与

チトクローム P450 3A4 を阻害する薬剤(エリスロマイシン)を投与中の患者[本剤の血

漿中濃度が上昇することが認められているので,投与量は 5 mg を超えないこと(「相互

作用」(2)の項参照)。]

Page 31: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�74

(iv) ジゴキシン(試験 No.10105) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-56

 外国人健康成人男子 20 例(23~43 歳)に対し,クロスオーバー法によりジゴキシンをバルデ

ナフィルと併用して,あるいは併用せずに本薬 20 mg を朝食後単回経口投与し,ジゴキシンの

薬物動態に及ぼす本薬の影響を検討した。ジゴキシンは 0.375 mg を 1 日 1 回 14 日間,またバ

ルデナフィルは 20 mg を隔日 1 回 7 日間,それぞれ反復経口投与した。ジゴキシンの血漿中濃

度推移から算出した薬物動態学的パラメータ及び尿中排泄率を表へ-46 に示した。なお,計 2

例の脱落例(いずれも投薬とは関係なし)があったため,18 例を薬物動態の解析対象とした。

表へ-46 ジゴキシン 0.375 mg 1 日 1 回反復投与時の薬物動態学的パラメータ

(単独時及びバルデナフィル 20 mg 併用投与時)

投与方法AUCτ,ss

[μg・h/L]

Ctrough,ss1)

[μg/L]

Cmax,τ,ss

[μg/L]

tmax,ss2)

[h]

CLR[L/h]

Aeur�τ,ss3)

[%]

単独投与 16.5(1.31) 0.613(1.32) 1.45(1.37) 3.0(1.0-4.0) 12.0(1.40) 54.3±11.4

併用投与 17.9(1.28) 0.635(1.33) 1.72(1.47) 2.0(0.5-4.0) 10.9(1.54) 54.3±14.3

併用/単独比 1.08 1.04 - - - -

併用/単独比の 90%

信頼区間1.03~1.13 1.00~1.08 - - - -

-:算出せず 幾何平均値(幾何標準偏差),n=18

1) 12,13及び 14日目,2) 中央値(範囲),3) 算術平均 ± 標準偏差

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 定常状態におけるジゴキシンの AUCτ,ss 及び Ctrough,ss に関する併用/単独比の 90%信頼

区間は,それぞれ 1.03~1.13 及び 1.00~1.08 であり,同等とみなせる範囲内(0.8~1.25)に

あった。また,ジゴキシンの尿中排泄率にも併用による変動は認められなかったことから,本

薬はジゴキシンの薬物動態に影響を与えないと考えられた。

Page 32: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�75

(v) ワルファリン(試験 No.10233) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-57

 外国健康成人男子 24 例(18~45 歳)を対象に,バルデナフィルとワルファリンとの薬物間相

互作用をクロスオーバー法により検討した。本薬又はプラセボ投与開始の 21 日前にワルファリ

ン 25 mg を単回投与した後,本薬 20 mg あるいはプラセボを 1 日 1 回,5 日間反復投与した。

また,本薬あるいはプラセボの反復投与期間中の投与 2 日目に,再度,ワルファリン 25 mg を

単回投与した。なお,第 2 期の本薬投与開始前に 1 例が気管支炎により脱落した。また,他 1

例が第 1 期の本薬初回投与後に頭痛,嘔吐(投与後 22 時間)により脱落したが,すべての薬物

濃度測定用血漿のサンプリングが可能であったため,23 例が本薬の薬物動態解析対象に,また

22 例がワルファリンの薬物動態及び血液凝固系に対する作用の解析対象になった。本薬,代謝

物 M1,(S)-ワルファリン及び(R)-ワルファリンの血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パ

ラメータ,並びに血液凝固系に対する作用(プロトロンビン時間,第Ⅱ,Ⅶ,Ⅹ凝固因子活性)

を表へ-47~49 に示した。なお,プロトロンビン時間,凝固因子活性についてはワルファリン

投与後 96 時間まで AUC を評価パラメータとした。

 ワルファリン単独投与時に対するバルデナフィル併用投与時のプロトロンビン時間及び凝固

因子Ⅱ,Ⅶ,Ⅹの比の 90%信頼区間は,いずれも予め定めていた同等の範囲内注)にあり,本薬

はワルファリンの血液凝固系への作用に対して影響を与えないことが示された。また,(S)-及

び(R)-ワルファリンの AUC,Cmaxに関する併用/単独比は,いずれも同等とみなせる範囲内(0.8

~1.25)にあった。また,t1/2及び tmaxにも併用による影響はみられず,本薬の併用によりワ

ルファリンの薬物動態は変動しないことが示された。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

表へ-47 ワルファリンの血液凝固系に対する作用(単独投与時及びバルデナフィル併用投与時)

パラメータ(AUC0-96) バルデナフィル併用 単独併用/単独比

(90%信頼区間)

プロトロンビン時間

(sec・h)

1588 (1.12)

[1249 – 1941]1598 (1.13)

[1200 – 1897]99.6

(97.8 ~ 101.5)

第Ⅱ凝固因子活性

(%・h)

5896 (1.15)

[4375 – 7527]5956 (1.14)

[4624 – 7659]99.0

(97.0 ~ 101.0)

第Ⅶ凝固因子活性

(%・h)

4494 (1.29)

(2602 – 7164)4471 (1.32)

[3089 – 7986]99.7

(96.8 ~ 102.7)

第Ⅹ凝固因子活性

(%・h)

5794 (1.18)

[4219 – 8824]5867 (1.19)

[4576 – 10071]98.8

(96.7 ~ 101.0)

[ ]:範囲 幾何平均値(幾何標準偏差),n=22

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

注) プロトロンビン時間の AUC0-96:0.95~1.05,第Ⅱ,Ⅶ,Ⅹ凝固因子活性の AUC0-96:0.90~1.11

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Page 33: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�76

表へ-48 ワルファリン 25 mg 単回投与後における(R)-及び(S)-ワルファリンの薬物動態学的

パラメータ(単独投与時及びバルデナフィル 20 mg 併用投与時)

化合物 投与方法AUC

[μg・h/mL]

Cmax

[μg/mL]

tmax1)

[h]

t1/2

[h]

単独投与 71.5 (1.23) 1.46 (1.13) 1.5 (0.45-5.0) 40.1 (1.22)

併用投与 71.7 (1.25) 1.42 (1.16) 1.75 (0.5-5.0) 40.9 (1.22)

併用/単独比 1.01 0.97 - -(R)-ワルファリン

併用/単独比の

90%信頼区間0.97~1.05 0.93~1.02 - -

単独投与 44.1 (1.21) 1.49 (1.15) 1.5 (0.5-3.03) 28.1 (1.17)

併用投与 44.2 (1.21) 1.44 (1.18) 1.75 (0.5-5.0) 28.8 (1.16)

併用/単独比 1.00 0.97 - -(S)-ワルファリン

併用/単独比の

90%信頼区間0.97~1.04 0.91~1.02 - -

-:算出せず,1) 中央値(範囲) 幾何平均値(幾何標準偏差), n=22

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 バルデナフィルの AUC 及び Cmaxはワルファリン併用により,それぞれ単独投与時の 85%(90%

信頼区間:78~93%),並びに 82%(90%信頼区間:70~96%)に低下したが,t1/2及び tmaxに

併用による影響は認められなかった。一方,代謝物 M1 の Cmax,AUC に関する併用/単独比の 90%

信頼区間は,いずれも同等とみなせる範囲内(0.80~1.25)にあった。併用により本薬の薬物

動態に変動がみられたもののわずかであり,臨床上,特に考慮すべき差ではないと考えられた。

表へ-49 バルデナフィル 20 mg 単回投与後における未変化体及び代謝物 M1 の

薬物動態学的パラメータ(単独投与時及びワルファリン併用投与時)

化合物 投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2[h]

単独投与 73.8 (1.65) 32.7 (1.81) 0.5 (0.5-1.0) 4.09 (1.39)

併用投与 62.7 (1.59) 26.8 (1.59) 0.75 (0.5-1.0) 4.17 (1.37)

併用/単独比 0.85 0.82 - 1.02未変化体

併用/単独比の

90%信頼区間0.78~0.93 0.70~0.96 - 0.93~1.12

単独投与 67.0 (1.53) 38.3 (1.68) 0.5 (0.5-1.0) 3.19 (1.56)

併用投与 63.2 (1.50) 35.2 (1.58) 0.75 (0.5-1.0) 2.91 (1.43)

併用/単独比 0.94 0.92 - 0.91M1

併用/単独比の

90%信頼区間0.89~1.00 0.83~1.01 - 0.78~1.07

-:算出せず,1) 中央値(範囲) 幾何平均値(幾何標準偏差),n=23

Page 34: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�77

(vi) グリベンクラミド(試験 No.10112) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-58

 外国人健康成人男子 11 例(24~50 歳)を対象に,クロスオーバー法により,バルデナフィル

20 mg を併用して,あるいは併用せずにグリベンクラミド 3.5 mg を空腹時単回経口投与し,グ

リベンクラミドの薬物動態に及ぼす本薬の影響を検討した。グリベンクラミドの血漿中濃度推

移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-50 に示した。なお,第 1 期試験において,本

薬及びプラセボ投与群で各 3 例ずつの被験者において低血糖症状がみられグルコース投与の処

置を必要としたため,第 2 期試験では本薬あるいはプラセボ投与後 45 分と 90 分に全被験者に

グルコースを与えた。

表へ-50 グリベンクラミド 3.5 mg 単回経口投与後におけるグリベンクラミドの

薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びバルデナフィル 20 mg 併用投与時)

投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2[h]

単独投与 592 (1.50) 178 (1.45) 1.0 (0.5-5.0) 3.34 (1.79)

併用投与 599 (1.45) 176 (1.37) 1.0 (1.0-5.0) 2.30 (1.52)

併用/単独比 1.00 0.98 - -

併用/単独比の 90%

信頼区間0.94~1.05 0.87~1.11 - -

1) 中央値(範囲) 幾何平均値 (幾何標準偏差),n=11

 グリベンクラミドの AUC 及び Cmaxに関する併用/単独比は,それぞれ 1.00(90%信頼区間:

0.94~1.05),並びに 0.98(90%信頼区間:0.87~1.11)であり,いずれも同等とみなせる範

囲内(80~125%)にあった。一方,t1/2は本薬の併用により約 69%に短縮したが,文献報告値

の変動範囲内であった。

(vii) ニフェジピンとの相互作用(試験 No.10298) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-59

外国人本態性高血圧男性患者 22 例(27~65 歳)を対象に,バルデナフィルとニフェジピンと

の薬物間相互作用をクロスオーバー法により検討した。ニフェジピン徐放性製剤注)で血圧コン

トロールされている患者に本薬 10 mg 又はプラセボを単回投与し,血圧並びにニフェジピンの

薬物動態に対する影響を調べた。なお,ニフェジピン徐放性製剤は患者の降圧度に応じて 30 mg

又は 60 mg を 1 日 1 回を服薬させた。ニフェジピンの血漿中濃度推移から算出した薬物動態学

的パラメータを表へ-51 に,血圧及び心拍数の変動を表へ-52 に示した。

注) ニフェジピン SR(日本では発売されていない)

Page 35: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�78

表へ-51 本態性高血圧患者にニフェジピン単独及びバルデナフィルを

併用投与した時のニフェジピンの薬物動態学的パラメータ

投与方法AUC0-24

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

単独投与 522(1.66) 29.8(1.59)

併用投与 489(1.78) 27.9(1.77)

併用/単独比 0.94 0.94

併用/単独比の

90%信頼区間0.78~1.12 0.78~1.12

幾何平均値(幾何標準偏差),n=22

表へ-52 本態性高血圧患者におけるニフェジピン単独及びバルデナフィルを併用投与

したときの血圧及び心拍数の最大変化量の差(投与後 0~4 時間)

ベースライン(算術平均値±標準偏差) 最大変化量の差(併用-単独)

バイタルサイン ニフェジピン+

バルデナフィルニフェジピン

化 平均値 90%信頼区間

収縮期血圧(mmHg)

臥位

立位

132±14.2

130±14.5

131±15.1

129±20.7

少-5.87

-5.10

-8.79~-2.96

-8.01~-2.20

拡張期血圧(mmHg)

臥位

立位

80.5±9.16

84.6±9.73

79.1±8.95

84.0±10.0

少-5.18

-2.68

-7.67~-2.69

-5.43~0.07

心拍数(bpm)

臥位

立位

69.1±8.96

79.9±7.75

67.3±9.32

79.6±10.0

加3.66

3.67

0.04~7.28

0.64~6.69

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

 ニフェジピンの AUC 及び Cmaxに関する併用/単独の比は,それぞれ 0.94(90%信頼区間:0.78

~1.12),並びに 0.94(90%信頼区間:0.78~1.12)であり,いずれのパラメータにもわずか

な低下がみられた。また,本薬との併用によりニフェジピンの降圧作用は軽度に増強され,収

縮期及び拡張期血圧にはプラセボと比較して約-6~-3 mmHg の差が認められた。同時に心拍数

もわずかに(4 bpm)増加し,本薬の作用機序に基づく相加的な効果がみられたが,臨床上,考

慮すべき影響ではないと考えられた。

 以上のことから,本薬とニフェジピンとの併用時において,いずれの薬剤についても用量調

整の必要はないと考えられた。

(viii) ニトログリセリン(試験 No.100304 及び 10720) ・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料へ-60 及び 66

(a) ニトログリセリンとの相互作用(試験 No.100304) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料へ-60

外国人健康成人男子 18 例(40~65 歳)を対象として,プラセボを対照とした 2 期クロスオ

ーバー法により,本薬 10 mg とニトログリセリン 0.4 mg 舌下投与による薬力学的相互作用(血

圧及び心拍数に及ぼす影響)を,併用時の投与間隔を 24 時間,8 時間,4 時間及び 1 時間に設

定して検討した。

本薬もしくはプラセボは 1 日目及び 3~5 日目の早朝に投与した。ニトログリセリンは 2 日目

(本薬投与 24 時間後),3 日目(本薬投与 8 時間後),4 日目(本薬投与 4 時間後)及び 5 日目

(本薬投与 1 時間後)にそれぞれ単回投与することにより,被験者の安全に配慮し,忍容性を

Page 36: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�79

確認しながら,本薬との投与間隔を段階的に短縮した。

本薬 10 mg 単回投与 1 時間後にニトログリセリン 0.4 mg 舌下錠を投与した際の血圧及び心拍

数の変化量を表へ-53 に示す。

表へ-53 バルデナフィル 10 mg もしくはプラセボ投与 1 時間後にニトログリセリンを

投与したときの収縮期血圧,拡張期血圧及び心拍数の変化量

(ニトログリセリン投与後 0~60分)

バイタルサイン 単独 併用 差(併用-単独) 差の 90%信頼区間

投与前からの最大

変化量の平均値-20.9 -19.2 1.7 -1.5~4.8収縮期

血圧

(mmHg) 投与前からの平均

変化量の平均値-8.2 -8.9 -0.6 -3.1~1.8

投与前からの最大

変化量の平均値-17.9 -20.1 -2.1 -5.2~0.9拡張期

血圧

(mmHg) 投与前からの平均

変化量の平均値-7.1 -8.0 -0.9 -2.7~0.9

投与前からの最大

変化量の平均値15.6 13.9 -1.7 -4.3~0.9

心拍数

(bpm) 投与前からの平均

変化量の平均値2.6 -0.2 -2.8 -4.7~-0.9

本薬の血漿中濃度が最高に達する投与 1 時間後にニトログリセリンを投与した場合であって

も,坐位血圧及び心拍数の変動はニトログリセリン単独投与時と類似したものであり,本薬 10 mg

の併用による影響をほとんど受けなかった。

(b) ニトログリセリンとの相互作用(試験 No.10720) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料へ-66

外国人健康成人男子 18 例(40~70 歳)を対象として,プラセボを対照とした 2 期クロスオ

ーバー法により,本薬 20 mg 及びニトログリセリン 0.4 mg を試験 No.100304 と同様に 24 時間,

8 時間,4 時間及び 1 時間の投与間隔をあけて併用投与した時の薬力学的相互作用(血圧及び心

拍数に及ぼす影響)を検討した。

本薬投与前後での収縮期血圧,拡張期血圧及び心拍数の変化量と,プラセボ投与時における

変化量との差を,各投与間隔毎に図へ-25 に示す。また,本薬 20 mg 単回投与 1 時間後にニト

ログリセリン 0.4 mg 舌下錠を投与した際の血圧及び心拍数の変化量を表へ-54 に示す。

Page 37: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�80

*:p 値<0.05

図へ-25 本薬投与前後での血圧及び心拍数の変化量とプラセボ投与前後での変化量の差

(点推定値及び 90%信頼区間)

表へ-54 バルデナフィル 20 mg もしくはプラセボ投与 1 時間後にニトログリセリンを

投与したときの収縮期血圧,拡張期血圧及び心拍数の変化量(投与後 0~120分)

バイタルサイン 単独 併用 差(併用-単独) 差の 90%信頼区間

投与前からの最大変

化量の平均値-16.78 -25.65 -8.87 -14.95~-2.79

収縮期

血圧

(mmHg) 投与前からの平均

変化量の平均値-2.03 -6.6 -4.57 -7.46~-1.69

投与前からの最大変

化量の平均値-18.91 -24.34 -5.43 -10.32~-0.54

拡張期

血圧

(mmHg) 投与前からの平均

変化量の平均値-3.13 -6.52 -3.4 -5.98~-0.81

投与前からの最大変

化量の平均値12.67 19.3 6.63 1.46~11.79

心拍数

(bpm) 投与前からの平均

変化量の平均値-0.85 0.75 1.6 -0.5~3.71

本薬投与 24 時間後にニトログリセリンを投与した場合の坐位血圧及び心拍数の変動は,ニト

ログリセリン単独投与時と類似したものであった。本薬投与 8 時間後にニトログリセリンを投

与した場合には心拍数の有意な増加が認められたが,血圧の変化はわずかであり,有意差は認

められなかった。ニトログリセリンの投与 4 時間前または 1 時間前に本薬を投与した場合には,

プラセボを投与した場合に比して,ニトログリセリン投与後の血圧が収縮期で最大約 9 mmHg,

拡張期で最大約 6 mmHg 低下し,また,心拍数も最大約 5~9 bpm 増加しており,いずれも有意

**

収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg) 心拍数(bpm)

*

*

*

Page 38: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�81

差が認められた。

有害事象は本薬投与時には17例中 8例でプラセボ投与時には18例中 4例が認められており,

その内訳はめまい(本薬投与時 17 例中 5 例,プラセボ投与時 18 例中 2 例),低血圧(本薬投与

時 17 例中 3 例,プラセボ投与時 18 例中 1 例)が主たるものであった。これらの有害事象は両

剤の投与間隔が 4 時間または 1 時間のときに多い傾向がみられた。なお,重篤な有害事象とし

て取り扱った 85 mmHg 未満への立位収縮期血圧の低下が 3 例(本薬投与後:2 例,プラセボ投

与後:1 例)に認められたのを除き,重篤な有害事象は認められなかった。

 以上の 2 試験の成績を踏まえ,添付文書中,「警告」及び「禁忌」の項に以下のように記載す

ることとした。

警告

本剤と硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン,亜硝酸アミル,硝酸イソ

ソルビド等)との併用により降圧作用が増強し,過度に血圧を下降させるおそれがあるので,

本剤投与の前に,硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認

し,本剤投与中及び投与後においても硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されない

よう十分注意すること[「禁忌」(2)の項参照]。

禁忌

硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン,亜硝酸アミル,硝酸イソソルビ

ド等)を投与中の患者[「相互作用」(1)の項参照]

(ix) α遮断薬(試験 No.100480,100481 及び 100535) ・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料へ-67,68,70

(a) テラゾシン(試験 No.100480) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料へ-67

外国人中高年健康男子 30 例(45~75 歳)を対象として,テラゾシンを 1 日 1 回 10 mg(国内

承認用量は 1 日最高 8 mg まで)反復投与時の定常状態下において,テラゾシン投与 6 時間後(パ

ートⅠ),次いでテラゾシンと同時(パートⅡ)に,プラセボ,本薬 10 mg 及び本薬 20 mg を無

作為化二重盲検 3 期クロスオーバー法により単回経口投与し,本薬の併用投与による血圧への

影響を検討した。各期の休薬期間は 48 時間とし,テラゾシンは試験期間中を通して投与した。

パートⅠの開始前(テラゾシン単独投与期間中)に,30 例中 1 例に起立性低血圧が発現し,

当該被験者を中止例とした。パートⅠでは,プラセボ投与後に起立性低血圧が認められた 1 例,

10 mg 投与後に起立性低血圧及びめまいが認められた 1 例,20 mg 投与後に胃食道逆流が,次い

で実施した 10 mg 投与後に食道潰瘍が認められた 1 例の計 3 例を中止例とした。また,パート

Ⅱでは,第 1 期において 26 例中 13 例に低血圧もしくは起立性低血圧が発現したため,この時

点で試験全体を中止した。これら 13 例の立位血圧及び脈拍数を表へ-55 に示す。

Page 39: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�82

表へ-55 パートⅡⅡⅡⅡの第1期において低血圧もしくは起立性低血圧が認められた被験者の立位血圧及び脈拍数

被験者 立位収縮期血圧(mmHg) 立位拡張期血圧(mmHg) 立位脈拍数(/bpm)

No.有害事象名 投与法*

ベースライン 最小値 変化量 ベースライン 最小値 変化量 ベースライン 最大値 変化量

6 低血圧 F 99 84 -15 72 52 -20 76 110 34

8 低血圧 E 110 80 -30 70 43 -27 70 90 20

14 低血圧 E 101 73 -28 67 48 -19 85 111 26

15 低血圧 F 117 86 -31 78 55 -23 76 117 41

18 低血圧 E 130 88 -42 69 50 -19 79 103 24

19 低血圧 F 107 92 -15 67 58 -9 73 88 15

21 低血圧 F 117 90 -27 72 56 -16 58 80 22

22 低血圧 E 105 75 -30 67 53 -14 64 100 36

23 低血圧 E 123 69 -54 65 42 -23 67 86 19

25 低血圧 D 113 96 -17 67 56 -11 80 97 17

26 低血圧 F 143 94 -49 73 53 -20 83 100 17

27 起立性低血圧 F 126 82 -44 71 43 -28 53 100 47

30 低血圧 E 112 82 -30 68 45 -23 60 75 15

*:D:テラゾシンとプラセボの同時投与,E:テラゾシンと本薬10 mgの同時投与,F:テラゾシンと本薬 20 mgの同時投与

 パートⅠでの本薬 10 mg 及び 20 mg 投与後 6 時間におけるベースラインからの最大血圧低下

量はプラセボ投与時と比べて立位収縮期血圧でそれぞれ 7 mmHg 及び 11 mmHg,立位拡張期血圧

でそれぞれ 4 mmHg 及び 7 mmHg 低く,本薬の投与量が増加するにつれて最大血圧低下量も大き

くなった(表へ-56)。パートⅡでは,本薬 10 mg 及び 20 mg 投与時の最大血圧低下量はプラセ

ボ投与時と比べて立位収縮期血圧でそれぞれ 23 mmHg 及び 14 mmHg,立位拡張期血圧で両投与

時とも 9 mmHg 低く,本薬をテラゾシンと同時に投与した場合の最大血圧低下量はテラゾシン投

与 6 時間後に投与した場合と比較して大きかった(表へ-57)。

表へ-56 本薬投与後 6 時間における血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(パートⅠ)

投与群* 平均値 1 (SE) 比較 点推定値 2 95%CI

立位収縮期血圧 A -10(1.40)

(mmHg)3 B -17(1.40) B-A -7 (-10,-3)

C -21(1.40) C-A -11 (-14,-7)

立位拡張期血圧 A -5(0.96)

(mmHg)3 B -9(0.95) B-A -4 (-6,-1)

C -12(0.96) C-A -7 (-9,-4)

立位脈拍数 A 4(1.61)

(bpm)4 B 11(1.60) B-A 7 (3,10)

C 11(1.60) C-A 7 (3,10)

*:A:プラセボ(n=28),B:本薬 10 mg(n=29),C:本薬 20 mg(n=28)

1:ANCOVAモデルからの算術平均値,

2:算術平均値の差,

3:ベースラインからの最大変化量(最小値-最大値)

4:ベースラインからの最大変化量(最大値-最小値)

Page 40: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�83

表へ-57 本薬投与後 6 時間における血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(パートⅡ)

プラセボ

n=9

本薬 10 mg

n=8

本薬 20 mg

n=9

立位収縮期血圧 (mmHg)

ベースライン 122 (13.7) 118 (13.9) 118 (13.8)

最小値 108 (6.5) 82 (10.0) 90 (6.6)

ベースラインからの最大変化量 -14 (13.1) -37 (9.0) -28 (14.5)

立位拡張期血圧 (mmHg)

ベースライン 77 (6.8) 71 (7.0) 75 (4.8)

最小値 66 (6.5) 50 (7.5) 54 (4.7)

ベースラインからの最大変化量 -11 (6.9) -20 (5.8) -20 (5.6)

立位脈拍数 (bpm)

ベースライン 75 (6.5) 76 (12.1) 72 (11.5)

最大値 95 (8.8) 100 (18.7) 100 (12.8)

ベースラインからの最大変化量 19 (5.2) 24 (10.3) 28 (11.7)

算術平均値(算術標準偏差)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

試験期間中,計 69 件の有害事象が認められた。最も多かったのはパートⅡの第 1 期にのみ認

められた低血圧だった(表へ-58)。

表へ-58 治験中に認められた有害事象発現例数

投与群*

導入期** A B C D E F

投与例数 30 28 29 28 9 8 9

有害事象発現例数 10 3 10 14 1 6 6

有害事象発現件数 10 3 15 19 1 9 12

最多発現有害事象:低血圧 0 0 0 0 1 6 6

*:A:テラゾシン投与 6時間後にプラセボ投与,B:テラゾシン投与 6 時間後に本薬 10 mg 投与,

  C:テラゾシン投与 6時間後に本薬 20 mg 投与,D:テラゾシンとプラセボの同時投与,

  E:テラゾシンと本薬 10 mgの同時投与,F:テラゾシンと本薬 20 mg の同時投与

**:テラゾシン単独投与期間

 なお,パートⅠにおける本薬投与時とプラセボ投与時のテラゾシンの薬物動態はほぼ等しく,

本薬投与の影響は認められなかった。また,本薬の薬物動態学的パラメータ(AUC0-t及び Cmax)

は他の試験成績と同様であり,ほぼ用量に比例した増加が認められた。パートⅡでは,第 1 期

終了後に試験が中止されたため十分な検討はできないが,テラゾシンの薬物動態学的パラメー

タは本薬の投与量にかかわらず類似したものであり,本薬の薬物動態学的パラメータもパート

Ⅰの結果と比べて大きな違いはなかった。

Page 41: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�84

(b) タムスロシン(試験 No.100481) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料へ-68

外国人中高年健康男子 30 例(45~75 歳)を対象として,タムスロシンを 1 日 1 回 0.4 mg(国

内通常用量は 0.2 mg 1 日 1 回投与)反復投与時の定常状態下において,タムスロシン投与 10

時間後(パートⅠ),次いでタムスロシン投与 4 時間後(パートⅡ)に,プラセボ,本薬 10 mg

及び 20 mg を無作為化二重盲検 3 期クロスオーバー法により単回経口投与し,本薬の併用投与

による血圧への影響を検討した。各期の休薬期間は 48 時間とし,タムスロシンは試験期間中を

通じて投与した。

パートⅠでの本薬 10 mg 及び 20 mg 投与後 6 時間におけるベースラインからの最大血圧低下

量は,プラセボを投与した時に比べて立位収縮期血圧でそれぞれ 4 mmHg 及び 8 mmHg,立位拡

張期血圧で 3 mmHg 及び 4 mmHg 低かった(表ヘ-59)。また,パートⅡでは本薬の投与量にかか

わらず最大血圧低下量はプラセボ投与時に比して立位収縮期血圧で 8 mmHg,立位拡張期血圧で

7 mmHg 低下した(表ヘ-60)。以上のように本薬とタムスロシンとの薬力学的相互作用(血圧

低下)には,両薬剤の投与間隔の違いによる明らかな差は認められなかった。

表へ-59 本薬投与後 6 時間における血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(パートⅠ)

投与群* 平均値 1 (SE) 比較 点推定値 2 95%CI

薬理作用の主要評価パラメータ

立位収縮期血圧 A -9(2.1)

(mmHg)3 B -13(2.1) B-A -4 (-8,-1)

C -17(2.1) C-A -8 (-11,-4)

立位拡張期血圧 A -8(1.4)

(mmHg)3 B -11(1.4) B-A -3 (-6,0)

C -12(1.4) C-A -4 (-7,0)

立位脈拍数 A 7(2.1)

(bpm)4 B 11(2.2) B-A 4 (-2,10)

C 13(2.2) C-A 6 (0,12)

*:A:プラセボ(n=21),B:本薬 10 mg(n=21),C:本薬 20 mg(n=24)1:ANCOVAモデルからの算術平均値

2:算術平均値の差3:ベースラインからの最大変化量(最小値-最大値)4:ベースラインからの最大変化量(最大値-最小値)

Page 42: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�85

表へ-60 本薬投与後 6 時間における血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(パートⅡ)

投与群* 平均値 1 (SE) 比較 点推定値 2 95%CI

薬理作用の主要評価パラメータ

立位収縮期血圧 D -11(2.6)

(mmHg)3 E -19(2.5) E-D -8 (-14,-2)

F -19(2.7) F-D -8 (-14,-1)

薬理作用の二次評価パラメータ

立位拡張期血圧 D -7(2.5)

(mmHg)3 E -14(2.4) E-D -7 (-12,-2)

F -13(2.5) F-D -7 (-12,-1)

立位脈拍数 D 12(3.0)

(bpm)4 E 9(3.0) E-D -3 (-8,2)

F 9(3.1) F-D -2 (-8,3)

*:D:プラセボ(n=15),E:本薬 10 mg(n=16),F:本薬 20 mg(n=13)1:ANCOVAモデルからの算術平均値

2:算術平均値の差3:ベースラインからの最大変化量(最小値-最大値)4:ベースラインからの最大変化量(最大値-最小値)

試験期間中,頭痛等の有害事象が 175 件認められた(表ヘ-61)。なお,重篤な有害事象とし

て取り扱った 85 mmHg 未満への立位収縮期血圧の低下が,パートⅠで本薬 20 mg が投与された

1 例(1 件:80 mmHg)及びパートⅡで本薬 10 mg が投与された 2 例(3 件:すべて 80 mmHg)に

認められた。

表へ-61 治験中に認められた有害事象発現例数

投与群*

導入期** A B C D E F

投与例数 30 21 21 24 15 16 13

有害事象発現例数 11 12 12 12 3 13 9

有害事象発現件数 29 23 26 35 4 30 28

最多発現有害事象:血管拡張 4 4 5 7 1 5 3

*:A:タムスロシン投与 10時間後にプラセボ投与,B:タムスロシン投与 10 時間後に本薬 10 mg 投与,

  C:タムスロシン投与 10時間後に本薬 20 mg 投与,D:タムスロシン投与 4 時間後にプラセボ投与,

  E:タムスロシン投与 4 時間後に本薬 10 mg 投与,F:タムスロシン投与 4 時間後に本薬 20 mg 投与

**:タムスロシン単独投与期間

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

なお,パートⅠ及びパートⅡのいずれにおいても薬物動態学的パラメータに併用投与による

影響は認められなかった。

Page 43: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�86

(c) 前立腺肥大患者を対象としたα遮断薬との薬物相互作用試験(試験 No.100535)

………………………………………………………添付資料へ-70

 α遮断薬を服用している外国人良性前立腺肥大患者 42 例(49~79 歳:タムスロシン服用患

者及びテラゾシン服用患者各 21 例)を対象として,α遮断薬投与と同時もしくは投与 6 時間後

にプラセボもしくは本薬 5 mgを無作為化二重盲検 4期クロスオーバー法により単回経口投与し,

本薬 5 mg 併用投与による血圧への影響を検討した。いずれのα遮断薬についても用量は本試験

開始 4 週間前から各被験者が服用している用量とし,試験期間中を通して 1 日 1 回(早朝空腹時)

反復投与した。また,薬力学に関する主要評価パラメータは,本薬 5 mg もしくはプラセボ投与

後 6 時間における臥位収縮期血圧のベースラインからの最大低下量とした。

本薬 5 mg 投与時とプラセボ投与時で臥位収縮期血圧の最大低下量の差が最大になったのは,

タムスロシン投与 6 時間後の場合で,その結果は-5 mmHg であった(表へ-62)。同様に,本

薬 5 mg 投与時とプラセボ投与時で立位収縮期血圧の最大低下量の差が最大になったのはタムス

ロシンとの同時投与時で,その差は-6 mmHg であった(表へ-64)。

表へ-62 本薬投与後 6 時間における臥位血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(タムスロシン服用患者)

本薬投与時期 項目 併用薬 平均値1 比較 点推定値2 95%信頼区間

6時間後投与 臥位収縮期血圧 A -9

(n=20) (mmHg) B -14 B-A -5 (-8,-2)

臥位拡張期血圧 A -8

(mmHg) B -10 B-A -3 (-5,0)

臥位脈拍数 A 5

(bpm) B 7 B-A 2 (-1,4)

同時投与 臥位収縮期血圧 A -8

(n=21) (mmHg) B -12 B-A -4 (-7,-1)

臥位拡張期血圧 A -7

(mmHg) B -8 B-A -1 (-3,1)

臥位脈拍数 A 5

(bpm) B 8 B-A 2 (0,5)

A:プラセボ,B:本薬5 mg,1:ANCOVAによる調整済み平均値,2:B-A

Page 44: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�87

表へ-63 本薬投与後 6 時間における臥位血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(テラゾシン服用患者)

本薬投与時期 項目 併用薬 平均値1 比較 点推定値2 95%信頼区間

6時間後投与 臥位収縮期血圧 A -7

(n=19) (mmHg) B -11 B-A -4 (-7,-1)

臥位拡張期血圧 A -5

(mmHg) B -9 B-A -5 (-8,-1)

臥位脈拍数 A 5

(bpm) B 7 B-A 1 (-2,4)

同時投与 臥位収縮期血圧 A -10

(n=20) (mmHg) B -14 B-A -4 (-7,0)

臥位拡張期血圧 A -8

(mmHg) B -10 B-A -2 (-5,2)

臥位脈拍数 A 7

(bpm) B 8 B-A 1 (-1,4)

A:プラセボ,B:本薬5 mg,1:ANCOVAによる調整済み平均値,2:B-A

表へ-64 本薬投与後 6 時間における立位血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(タムスロシン服用患者)

本薬投与時期 項目 併用薬 平均値1 比較 点推定値2 95%信頼区間

6時間後投与 立位収縮期血圧 A -11

(n=20) (mmHg) B -16 B-A -4 (-8,-1)

立位拡張期血圧 A -7

(mmHg) B -9 B-A -2 (-4,-1)

立位脈拍数 A 5

(bpm) B 6 B-A 2 (-1,5)

同時投与 立位収縮期血圧 A -9

(n=20) (mmHg) B -15 B-A -6 (-10,-2)

立位拡張期血圧 A -7

(mmHg) B -9 B-A -2 (-4,0)

立位脈拍数 A 8

(bpm) B 9 B-A 1 (-2,4)

A:プラセボ,B:本薬5 mg,1:ANCOVAによる調整済み平均値,2:B-A

表へ-65 本薬投与後 6 時間における立位血圧及び脈拍数のベースラインからの最大変化量

(テラゾシン服用患者)

本薬投与時期 項目 併用薬 平均値1 比較 点推定値2 95%信頼区間

6時間後投与 立位収縮期血圧 A -9

(n=19) (mmHg) B -13 B-A -4 (-7,0)

立位拡張期血圧 A -5

(mmHg) B -9 B-A -3 (-6,-1)

立位脈拍数 A 5

(bpm) B 6 B-A 1 (-3,4)

同時投与 立位収縮期血圧 A -13

(n=20) (mmHg) B -16 B-A -3 (-7,0)

立位拡張期血圧 A -9

(mmHg) B -11 B-A -2 (-4,-1)

立位脈拍数 A 8

(bpm) B 10 B-A 3 (-1,6)

A:プラセボ,B:本薬5 mg,1:ANCOVAによる調整済み平均値,2:B-A

Page 45: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�88

また,あらかじめ外れ値として取り扱うよう規定していた 20 mmHg 以上の拡張期血圧低下,30

mmHg 以上の収縮期血圧低下,45 mmHg 以下の拡張期血圧及び 85 mmHg 以下の収縮期血圧につい

て,試験終了後に検討した。その結果,臥位収縮期血圧の 85 mmHg 以下への低下は,テラゾシ

ンとプラセボを同時投与した際,1 例に認められたのみであった。立位収縮期血圧が 85 mmHg

以下に低下した被験者は,タムスロシン服用患者の 3 例及びテラゾシン服用患者の 1 例であっ

たが,タムスロシン服用患者の 3 例に自覚症状の発現はなかった。テラゾシン服用患者の 1 例

には血圧低下に伴うめまいが認められたが,これはプラセボを同時投与した際に認められたも

のであった。これら 4 例の立位収縮期血圧はプラセボ投与時においても 99 mmHg 以下と低いも

のであった(各被験者の立位収縮期/拡張期血圧はそれぞれ 85/59,90/60,99/65,91/69 mmHg)。

また,20 mmHg 以上の拡張期血圧低下もしくは 30 mmHg 以上の収縮期血圧低下が認められた被

験者数は,タムスロシン服用患者では測定時の体位に関わらず本薬投与時とプラセボ投与時で

ほぼ等しかった。テラゾシン服用患者で 30 mmHg 以上の収縮期血圧低下が認められた被験者数

は,臥位では本薬及びプラセボ投与後でほぼ等しかったが,立位では本薬投与後が 5 例(25%,

ただし,いずれの被験者でもテラゾシンの 1 日用量は 10 mg であった),プラセボ投与後が 2 例

(10%)と本薬投与後で高かった。

本試験で認められた有害事象のほとんどは一過性の頭痛,鼻炎もしくは血管拡張であり,上

述のめまい(1 件)が中等度と判定された以外はいずれも軽度であった。

以上の 3 試験の成績を踏まえ,添付文書中,「禁忌」の項に以下のように記載することとした。

禁忌

α遮断薬を投与中の患者[「相互作用」(1)の項参照)。]

(x) アスピリン(試験 No.100396) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-61

 外国人健康成人男子 19 例(18~36 歳)を対象に,出血時間をパラメータとしてバルデナフィ

ルとアスピリンとの薬物間相互作用をクロスオーバー法により検討した。アスピリン 162 mg(81

mg 錠×2)を 4 日間あるいは 7 日間反復投与した後,本薬 10 mg あるいはプラセボを単回投与

した。本薬又はプラセボ投与前,投与後 1 時間及び 4 時間の出血時間を表へ-66 に示した。

Page 46: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�89

表へ-66 アスピリン 162 mg 単回投与後における出血時間

(単独投与時及びバルデナフィル 10 mg 併用投与時)

出血時間(min)アスピリン +

バルデナフィル

アスピリン

単独

併用/単独比

(95%信頼区間)

投与前

投与後 1 時間

投与後 4 時間

7.61

9.17

9.20

(28%)

(27%)

(29%)

7.96

8.93

8.50

(24%)

(35%)

(20%)

1.04 (0.91~1.17)

1.09 (0.95~1.25)

幾何平均値(変動係数)

 アスピリンの出血時間に関する併用/単独比は,本薬投与後 1 時間では 1.04(95%信頼区間:

0.91~1.17),投与後 4 時間では 1.09(95%信頼区間:0.95~1.25)であり,有意ではなかっ

た。なお,本試験の初日において,バルデナフィル単独投与時の出血時間を測定したところ,

投与後 1 時間及び投与後 4 時間の値はそれぞれ 5.63 及び 5.12 分であり,本薬投与前の値(5.43

分)と比較して差がなく,本薬は出血時間に影響を与えないことが示された。

 以上の結果から,低用量アスピリン投与後の出血時間に本薬併用による有意な変動はみられ

ず,併用に際して本薬の用量調節の必要はないと考えられた。

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

(xi) アルコール(試験 No.10348) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ヘ-62

 外国人健康成人男子 12 例(26~43 歳)を対象として,バルデナフィル 20 mg をエタノール

(0.5 g/kg 体重)とともに服用した際の血圧,心拍数及び薬物動態の変化をクロスオーバー法

により検討した。収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数,出血時間,並びに本薬及びエタノールの

血漿中濃度推移から算出した薬物動態学的パラメータを表へ-67~70 に示した。

 収縮期血圧及び拡張期血圧の最大降圧に各群間で有意差は認められなかった。また,最大心

拍数は投与後 4 時間以内にベースラインから 12~23 bpmの増加を示し,エタノール併用群と本

薬単独群,並びにエタノール単独群と本薬単独群の間で有意であった。一方,本薬併用群とエ

タノール単独群での最大心拍数に有意差は認められず,エタノールによる心拍数の増加が示唆

された。

 本薬投与後 1 時間の出血時間には,単独群とエタノール併用群との間でわずかな変動が認め

られたが,測定法のバラツキの範囲内であった。また,投与後 4 時間ではいずれの投与群間で

も出血時間に変動はみられなかった。

Page 47: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�90

表へ-67 バルデナフィル 20 mg 単回投与後 4 時間までにおける収縮期血圧,拡張期及び

心拍数の最大変化(単独投与時及びエタノール併用投与時)

バイタルサインバルデナフィル+

エタノールエタノール バルデナフィル

ベースライン

(mmHg)

112±6.1

(112)

114±9.4

(111)

115±9.8

(115)

ベースラインに対す

る最大変化量

(mmHg)

-9.4±6.2

(-10.5)

[-22~2]

-12.1±7.5

(-13)

[-24~3]

-10.4±6.3

(-8.5)

[-20~0]

ベースライン

(mmHg)

61±6.1

(60)

60±6.4

(59)

60.0±9.9

(59)

ベースラインに対す

る最大変化量

(mmHg)

-15.3±5.0

(-15)

[-25~-9]

-11.5±5.6

(-11)

[-26~-5]

-11.3±10.2

(-10)

[-38~-1]

ベースライン

(bpm)

55±9

(53)

56±9

(54)

58±12

(54)心

ベースラインに対す

る最大変化量

(bpm)

23±9

(26)

[10~40]

20±9

(22)

[6~33]

12±8

(13)

[-3~23]

算術平均値±標準偏差,( ):中央値,[ ]:範囲

表へ-68 バルデナフィル 20 mg 単回投与後 1 時間及び 4 時間における出血時間

出血時間

(sec.)

バルデナフィル+

エタノールエタノール バルデナフィル

ベースライン

73±26

(66)

[42~128]

93±54

(78)

[55~240]

74±20

(71)

[45~120]

ベースラインに対す

る変化量

投与後 1 時間

15±28

(10)

[-17~68]

0±36

(12)

[-70~49]

9±22

(6)

[-41~40]

ベースラインに対す

る変化量

投与後 4 時間

7±25

(4)

[-47~35]

-24±52

(-8)

[-160~23]

-4±24

(-4)

[-58~33]

算術平均値±標準偏差,( ):中央値,[ ]:範囲

 本薬の AUC 及び Cmaxに関するエタノール併用/単独比は,それぞれ 1.00(90%信頼区間:0.85

~1.17),及び 1.08(90%信頼区間:0.8~1.45)であった。Cmaxでは 90%信頼区間の上限が同

等とみなせる範囲(0.8~1.25)を超えていたが,約 8%のわずかな増加であり,また t1/2及び

tmaxに併用による変動は認められなかったことから,臨床上,考慮すべき差ではないと考えら

れた。また,エタノールの AUC 及び Cmaxに関する本薬併用/単独比の 90%信頼区間はいずれも

同等とみなせる範囲内にあり,0 次消失速度定数にも両群間で差を認めなかった。

 なお,本試験における忍容性は良好であり,臨床上,問題となる相互作用はみとめられなか

った。

Page 48: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�91

表へ-69 バルデナフィル 20 mg 単回投与後における未変化体の薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びエタノール併用投与時)

投与方法AUC

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

t1/2[h]

単独 45.5(2.03) 11.7(2.30) 1.25(0.5-4.0) 3.76(1.19)

エタノール併用 45.3(1.89) 12.6(2.21) 1.5(0.5-2.0) 4.0(1.25)

1) 中央値(範囲) 幾何平均値(幾何標準偏差),n=12

表へ-70 エタノール単回投与後におけるエタノールの薬物動態学的パラメータ

(単独投与時及びバルデナフィル 20 mg 併用投与時)

投与方法AUC0-tn

[μg・h/L]

Cmax

[μg/L]

tmax1)

[h]

0 次消失速度

定数 [h]

エタノール 1948(1.18) 734(1.20) 0.5(0.5-1.0) 117(1.22)

エタノール+バルデナフィル 1965(1.19) 728(1.17) 1.0(0.5-1.5) 115(1.27)

1) 中央値(範囲) 幾何平均値(幾何標準偏差),n=12

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Page 49: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�92

(3) バルデナフィルの薬物動態に関する日本人及び外国人健康成人との比較

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ト-1,ヘ-40,43,63

1) 民族的要因による影響の受けやすさ

 バルデナフィルに関する外国臨床データの日本人への外挿の可能性を検討するために,医薬審

672 号通知の補遺 D「医薬品の民族的要因による影響の受けやすさ」を参考にして,本薬の薬物

動態特性について考察した。

① 用量相関性(線形性)

 日本人における本薬の薬物動態の用量相関性は,エンカプセル剤(10 mg,20 mg,40 mg)に

より検討されているが,AUC には用量比をやや上回る増加がみられ,40 mg 投与後の見かけの全

身クリアランス(CL/f)は他の用量(10 mg,20 mg)に比して低い値を示した(本概要へ 44,45

頁)。一方,外国人では 5~80 mgの用量範囲について薬物動態の用量相関性が調べられているが,

CL/fは 40 mgの用量までほとんど変わらず(本概要へ 47,48頁),用量比例性が成立する最大用

量に人種間で差を認める可能性が示唆された。

本薬の初回通過効果や代謝に関わる責任分子種である CYP3A4は,代謝物 M1 を生成することが

明らかになっている(本概要へ 63頁)。当該酵素による代謝が飽和した場合,metablic switching

が生じ,代謝物 M1 と未変化体との量比は代謝非飽和時と比較して何らかの変動を示すと予想さ

れるが,曝露量比(Cmax,AUC)は日本人と外国人との間で近似し,本薬の代謝は人種間で大きく

異なるものではなかった(本概要へ 46頁)。また,日本人における本薬の消失半減期には 40 mg

でやや延長する傾向がみられたが(本概要へ 45頁),いずれの用量においても測定可能であった

投与後12時間までの消失半減期に用量による違いはみられず注),血漿中濃度推移(本概要へ 44

頁)から類推されるように,定量法上,有意な濃度が測定可能な投与後時間が異なるためと考え

られた。さらに,CYP3A4の臓器発現量及び活性には顕著な個体差が認められるものの 1),遺伝的

多型との関連は証明されていない 2-4)ことから類推すると,日本人が外国人よりも低用量から代

謝飽和を示す可能性は低いと考えられた。そこで,20 mg,40 mg投与後の CL/fの個別値を日本

人と外国人との間で比較した。3)4)

 外国人での用量相関性検討(本概要へ 47,48 頁)における 20 mg,40 mg は液剤として投与

されており,エンカプセル剤による日本人での成績と直接的な比較が困難なため,同一製剤に

より実施された別の薬物動態試験成績と比較した(試験 No.10045,10036)。なお,試験方法や

被験者背景に比較の上で問題となる違いはみられなかった(本概要へ 95,96 頁)。外国人にエ

ンカプセル剤 20, 40 mg を投与した際の薬物動態学的パラメータを表へ-74(本概要へ 96 頁)

に示した。外国人におけるエンカプセル剤 40 mg 投与後(試験 No.10036)の CL/f の個別値は 197

~541 L/h の範囲(最小値~最大値)にあったが,日本人での個別値もほぼ同じ範囲(169~614 L/h)

に認められた(図へ-26)。同様に,エンカプセル剤 20 mg 投与後(試験 No.10045)の CL/f に

ついても比較したところ,日本人における CL/f の個別値は外国人での個別値とほぼ類似した範

囲内にあった(図へ-26)。

 以上のとおり,日本人における CL/f の個別値の分布は,本薬 40 mg までの用量にほぼ用量比

例性が認められた外国人と類似しており,また,上述のように,日本人が外国人よりも低用量

注) 10 mg:3.00 h (1.11), 20 mg:2.90 h (1.12), 40 mg:2.76 h (1.08)/幾何平均値(幾何標準偏差)1) Wacher, V. J. et al., J Pharm. Sci., 87, 1322 (1998)2) Eaton, D. L., Neuro Toxicology, 21 (1-2), 101 (2000)3) Goshman, L. et al., J. Pharmacy Society of Wisconsin, May/June, 23 (1999)4) de Wilt, S. N. et al., Clin. Pharmacokinet., 37 (6), 485 (1999)

「下線部;新薬承認情報提供時に誤記のため修正」

Page 50: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�93

から代謝飽和を示すとは考えにくく,さらに,本薬の主代謝酵素である CYP3A4 活性には顕著な

個体差がみられ,外国人試験においても平均値や個別値の分布が試験間で異なっていることを

考慮すると,日本人における本薬 40 mg 投与後の CL/f の低下が薬物動態の非線形性による可能

性は低く,用量比例性が成立する用量範囲に人種間で違いはないものと考えた。

 なお,最大臨床用量である 20 mg までの Cmax,AUC はともに用量比例的に増加し,また CL/f

及び t1/2も用量によらずほぼ一定の値を示していることから,臨床用量範囲における本薬の薬物

動態を線形として扱うことには問題がないと考えられる(本概要へ 44,45 頁)。

図へ-26 日本人被験者及び外国人被験者における CL/f の比較(個別値,幾何平均値及び幾何標準偏差)

② 代謝

 本薬は主に CYP3A4 により N-脱エチル化体(M1)に変換された後,種々の代謝を受ける。CYP3A4

発現量には個体差があるものの,現在までに遺伝多型は証明されておらず 1),本薬の代謝に人

種差を生じる可能性は低いと考えられる。なお,CYP2C8, 2C9, 2C19 及び 3A5も N-脱エチル化に

関与するが,それらの寄与率は 2.1~10.7%と低いことが示されている(本概要へ 63 頁)。

③ 生物学的利用率

 白人健康成人男子における本薬空腹時経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは,約

15%(範囲:8.08~25.2%)と比較的低い値であった(本概要ヘ 46 頁)。本薬は広範な代謝を

受けて体内から消失するが,静脈内投与後の血漿中に代謝物はほとんど検出されず,また動物

での消化管吸収率は約 80%以上と高いことから,バイオアベイラビリティの低下は初回通過効

果の影響によると考えられる。なお,本薬のバイオアベイラビリティは,食事及び胃内 pH の影

響を受けにくいことが確認された(本概要へ 52,53,64,65 頁)。

④ 血漿蛋白結合率

 本薬のヒト血漿中蛋白結合率は 93~95%と高いが,主結合蛋白であるアルブミン濃度に人種差

1) Eaton, D.L. et al., Nero Toxicology, 21(1-2), 101-112 (2000)

10

100

1000

10000

CL/f (L

/h)

日本人

外国人

20 mg

日本人:試験No. 300020 (n = 6)外国人:試験No. 10045 (n = 12)

40 mg

日本人:試験No. 300020 (n = 6)外国人:試験No. 10036 (n = 12)

幾何平均値(幾何標準偏差)

Page 51: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�94

は知られておらず 1),2),血漿中非結合型薬物濃度に人種差を生じる可能性は低いと考えられる

(本概要へ 35 頁)。

⑤ 薬物間相互作用

 本薬の薬物動態は CYP3A4 の阻害剤の影響を受け,エリスロマイシン,ケトコナゾール,イン

ジナビルあるいはリトナビルの併用により,未変化体の AUCもしくは AUC0-24は単独投与時のそれ

ぞれ約 4倍,10倍,16倍及び 49 倍に上昇した。一方,本薬とシメチジン,ラニチジン,マーロ

ックス,グリベンクラミド,アスピリン,ジゴキシン,ニフェジピン,ワルファリン又はアルコ

ールとの併用で,臨床上,考慮を必要とする薬物動態学的相互作用はみられなかった(本概要

へ 64~91 頁)。

⑥ 薬物-疾病間相互作用

高齢男性において本薬の血漿中未変化体濃度はやや上昇した。中等度及び重度腎障害患者で

は,本薬の AUC がわずかに増加したが,クレアチニン・クリアランスと本薬の AUC あるいは Cmax

との間に明らかな相関はみられなかった。中等度の肝障害患者において本薬の AUC 及び Cmaxは,

それぞれ約 5 倍,並びに約 4 倍に上昇し,肝障害による本薬のクリアランスの低下が示唆され

た。また,勃起障害患者での本薬の薬物動態は健康成人と変わらず,糖尿病の影響も受けなか

った(本概要へ 56~62 頁)。

まとめ

最大臨床用量 20 mg までの本薬の薬物動態を線形として扱うことは日本人及び外国人ともに可能

であると考えられ,更に本薬の薬物動態に及ぼす食事,胃内 pH の変動,加齢,腎障害,糖尿病ある

いは勃起障害の影響はほとんどないか,もしくは軽度であるなど,いくつかの内因性要因の影響を

受け難い特性がみられた。一方,本薬の薬物動態には初回通過効果によるバイオアベイラビリティ

の低下と比較的大きな個体間変動が認められたが,このことは本薬が広範な代謝を受け体内から消

失することに加え,主代謝酵素である CYP3A4 の臓器発現量に個体差があるためと推察された。本薬

の薬物動態は,エリスロマイシン,ケトコナゾール,インジナビル及びリトナビルに代表される CYP3A4

阻害剤や中等度の肝障害の影響を受けたが,これらは代謝酵素活性の低下によって生ずるクリアラ

ンスの低下が原因であると考えられた。これら内因性要因の影響を受けやすい特性は,いずれも本

薬の代謝に関わるものであるが,主代謝酵素である CYP3A4 の遺伝多型は現在までに証明されていな

いことから, CYP3A4 阻害剤との薬物間相互作用や肝障害により生ずる薬物動態の変動,並びに初

回通過効果の大きさが人種間で異なる可能性は低いと考えられる。また,本薬は高い血漿蛋白結合

率を示すが,主結合蛋白であるアルブミンの濃度に人種差は知られておらず,このことも内因性要

因を受けやすい特性とは考えにくい。

 以上のことを総合的に判断し,本薬は内因性要因の影響を比較的受け難い薬物であると結論した。

1) Johnson, J.A. et al., Intl. J. Clin. Pharmacol. Ther., 38, 53-60 (2000)2) Zhou, H.-H. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 48, 10-17 (1990)

Page 52: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�95

2) 日本人と外国人との薬物動態の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料ト-1,へ-40,43,63

① 比較に用いたデータ

 薬物動態の比較には,同一剤型(エンカプセル剤)で行なわれた日本人での単回投与試験(試

験 No.300020),外国人での相対的バイオアベイラビリティ試験(試験 No.10045)並びに食事の

影響試験(試験 No.10036)の空腹時投与群において得られた成績を用いた。

② 試験方法および被験者背景

 各試験における試験方法を表へ-71,72 に,また被験者背景を表へ-73 に示した。

 これらの試験方法において,日本人および外国人における試験間に大きな差異は認められなか

った。各試験間での採血時間に若干の相違がみられたが,(1) tmax付近(0.5~4時間)の採血時

間は同一で,Cmaxの評価に影響しないこと,(2) 最も低い血漿中濃度を示した被験者において

も Cmaxの 4 半減期分の 1 にあたる濃度まで測定されており,AUC の無限大時間への外挿誤差は

ほぼ無視しできうること,(3) 最終消失相に該当する投与後 6 時間以降に少なくとも 5 点以上

の採血ポイントがあり,半減期評価にあたって十分なポイント数が確保されていることから,

この違いが薬物動態の評価に及ぼす影響は少ないと考えられる。なお,定量法に関しては,施

設間,方法間における同等性が確認されている(本概要へ 10 頁)。

 被験者背景では,日本人よりも外国人で年齢がやや高い傾向にあったが大きな差ではなかった。

平均体重には外国人と日本人との間で 20 kg程度の差があったが,体表面積(日本人:1.6~1.9 m2,

外国人:1.7~2.2 m2)に大きな差はみられなかった。

 以上のことから,本薬の薬物動態に関する人種差を前項の 3 試験を基に評価することは妥当

であると判断した。

表へ-71 試験方法(1):投与量,製剤,被験者例数及び採血時間の比較

試験 No. 用量 製剤 例数 採血時間 (h)

日本人におけ

る試験300020

10 mg

20 mg

40 mg

エンカプセル剤

エンカプセル剤

エンカプセル剤

6

6

6

0, 0.17, 0.33, 0.5, 0.75, 1, 1.25, 1.5, 2,

2.5, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 16, 24, 30, 36,

48, 72

10045 20 mg エンカプセル剤 120, 0.17, 0.33, 0.5, 0.75, 1, 1.25, 1.5, 2,

2.5, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 16, 24,外国人におけ

る試験10036 40 mg エンカプセル剤 12

0, 0.17, 0.33, 0.5, 0.75, 1, 1.25, 1.5, 2,

2.5, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 16, 24

表へ-72 試験方法(2):食事,投与方法,定量法及び薬物動態解析法の比較

試験 No. 食 事 投与方法 定量法 薬物動態解析法

日本人におけ

る試験300020

前日夕食(PM7:00)

後から投与後 4 時

間まで絶食

AM9:00に坐位にて150

mL の水とともに投与HPLC/MS/MS

ノン・コンパートメント

モデル(KINCALC)1)

外国人におけ

る試験

10036

10045

前日 PM10:00 から

投与後 4 時間まで

絶食

AM8:00に坐位にて100

mL の水とともに投与

HPLC/MS/MS

HPLC-FL

ノン・コンパートメント

モデル(KINCALC)

1) バイエル社共通ソフトウェア

Page 53: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�96

表へ-73 被験者背景の比較

年齢 体重 身長 体表面積投与量 被験者 試験No.

[ y ] [ kg ] [ cm ] [ m2 ]

算術平均 22.0 62.5 171.7 1.7中央値 23.0 61.1 171.2 1.7最小値 20.0 56.3 168.5 1.6

日本人300020(n=6)

最大値 24.0 72.3 176.5 1.8

算術平均 34.9 78.5 179.8 2.0中央値 34.5 80.0 182.0 2.0最小値 28.0 60.0 168.0 1.7

20 mg

外国人10045(n=12)

最大値 42.0 92.0 192.0 2.2

算術平均 21.0 62.7 175.6 1.8中央値 21.0 65.2 174.7 1.8最小値 20.0 54.0 169.3 1.6

日本人300020(n=6)

最大値 24.0 68.0 182.1 1.9

算術平均 30.8 81.6 181.3 2.0中央値 31.5 82.5 181.0 2.0

40 mg

最小値 20.0 69.0 174.0 1.9外国人

10036(n=12)

最大値 40.0 95.0 191.0 2.2

③ 薬物動態の比較

 本薬エンカプセル剤(20 mg,40 mg)を日本人及び外国人健康成人男子に空腹時単回経口投

与した際の血漿中未変化体濃度推移を図へ-27,へ-28 に,また薬物動態学的パラメータを表

へ-74 に示した。

 血漿中未変化体濃度には日本人及び外国人被験者ともに比較的大きな個体間変動がみられた

ものの,その推移は人種間で類似していた。また,図へ-29,へ-30 に示したように,用量別

にみた AUC 及び Cmaxにおいて,日本人,外国人被験者ともにやや大きな個体間変動が認められ

たが,AUC 及び Cmaxの幾何平均値はいずれの用量でも近似していた。

表へ-74 日本人及び外国人被験者におけるエンカプセル剤単回投与後の未変化体の

薬物動態学的パラメータ

AUC Cmax tmax t1/2 CL/f Vz/f投与量 被験者 試験No.

[μg・h/L] [μg/L] [h] [h] [L/h] [L/kg]

幾何平均値 44.14 18.35 0.74 3.98 453.16 41.99幾何標準偏差 1.39 1.29 1.25 1.46 1.39 1.14

中央値 39.77 18.21 0.75 3.48 502.98 41.79最小値 30.43 12.68 0.50 2.88 274.62 35.72

日本人300020(n=6)

最大値 72.83 25.96 1.00 7.51 657.36 49.49

幾何平均値 53.57 15.85 1.39 4.24 373.41 29.33幾何標準偏差 1.69 1.79 1.89 1.13 1.69 1.72

中央値 58.50 17.65 1.25 4.29 350.50 26.60最小値 19.40 6.39 0.75 3.45 180.00 14.40

20 mg

外国人10045(n=12)

最大値 111.0 41.90 5.00 5.02 1030.00 77.70

幾何平均値 137.73 51.71 1.03 5.33 290.42 35.78幾何標準偏差 1.72 1.86 1.76 1.20 1.72 1.87

中央値 153.76 57.09 0.75 5.27 294.98 35.71最小値 65.18 23.74 0.75 4.34 169.43 15.66

日本人300020(n=6)

最大値 236.09 111.42 3.00 6.53 613.70 75.62

幾何平均値 112.60 39.15 1.03 3.72 355.23 23.49幾何標準偏差 1.40 1.30 1.45 1.23 1.40 1.30

中央値 104.50 38.70 1.00 3.74 382.50 23.25最小値 74.00 27.20 0.75 2.75 197.00 15.30

40 mg

外国人10036(n=12)

最大値 203.00 55.40 2.50 5.33 541.00 33.70

Page 54: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�97

図へ-27 日本人被験者及び外国人被験者におけるエンカプセル剤 20 mg 単回投与後の

血漿中未変化体濃度推移

図へ-28 日本人被験者及び外国人被験者におけるエンカプセル剤 40 mg 単回投与後の

血漿中未変化体濃度推移

0.1

1

10

100

1000

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間(h)

血漿中未変化体濃度(�g/

L)

日本人 (試験No. 300020)

外国人(試験No. 10045)

0.1

1

10

100

1000

0 4 8 12 16 20 24

投与後時間(h)

血漿中未変化体濃度(�g/

L)

日本人(試験No. 300020)

外国人(試験No. 10036)

Page 55: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�98

 用量 1 mg あたりに補正した Cmax及び AUC(以下,Cmax/Dose 及び AUC/Dose とする)を求め,

tmax及び t1/2とともに日本人並びに外国人各全例での幾何平均値と幾何標準偏差(tmaxは中央

値と範囲)を表へ-75 に示した。AUC/Dose 及び Cmax/Dose については,図へ-31,へ-32 に個

別値も含めて示した。

 投与例全体でみても,AUC/Dose,Cmax/Dose,tmax及び t1/2に大きな違いはなく,その個体間

変動も類似したものであった。

なお,日本人において本薬 40 mg の CL/f が他の用量に比べ低下している点に配慮し,

AUC/Dose,Cmax/Dose について日本人では 40 mg を含む群と含まない群とに分けた比較も行った

(図へ-31,へ-32)。

日本人での 40 mg の値を除いた AUC/Dose の日本人と外国人との比は 0.78 であり,日本人で

の 40 mg を含む群に比較し約 15%低い値であった(表へ-75)。同様の傾向は Cmax/Dose につい

ても認められたが,いずれも被験者間での変動に比較して小さいと考えられた。また,AUC/Dose

及び Cmax/Dose の個別値分布も外国人と日本人とで類似しており,tmax及び t1/2に関しても,日

本人での 40 mg を除くことによる変動は小さいものであった。

図へ-29 日本人被験者と外国人被験者における AUC の比較 (個別値及び幾何平均値と幾何標準偏差)

1

10

100

1000

AUC[ �

g・h/L]

10mg 20mg 40mg

●:日本人被験者

○:外国人被験者:幾何平均値(幾何標準偏差)

Page 56: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�99

図へ-30 日本人被験者と外国人被験者における Cmax の比較 (個別値及び幾何平均値と幾何標準偏差)

表へ-75 外国人被験者と日本人被験者における薬物動態学的パラメータの比較

(空腹時単回経口投与,エンカプセル剤)

AUC/Dose

[h/L]×10-3

Cmax/Dose

[/L]×10-3

tmax

[h]

t1/2

[h]

外国人被験者

-20, 40 mg(n=24) 2.75 (1.54) 0.88 (1.57) 1.00 (0.75-5.00) 3.97 (1.20)

日本人被験者

-10, 20,40 mg(n=18)

-10, 20 mg(n=12)

2.52 (1.66)

2.15 (1.54)

1.06 (1.68)

0.96 (1.58)

0.75 (0.50-3.00)

0.75 (0.50-1.00)

4.08 (1.37)

3.56 (1.33)

日本人/外国人の比0.92a)

0.78b)

1.20a)

1.09b)-

1.03a)

0.90b)

幾何平均値(幾何標準偏差),tmaxは中央値(範囲)

a)日本人(10~40 mg)/外国人(20,40 mg)の比,b)日本人(10,20 mg)/外国人(20,40 mg)の比

1

10

100

1000

Cmax[ �

g/L]

●:日本人被験者

○:外国人被験者

10mg 20mg 40mg

:幾何平均値(幾何標準偏差)

Page 57: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�100

0.1

1

10

AU

C/D

ose

[h/L]x

10-3

10 mg

20 mg

40 mg

10,20,40 mg

10,20 mg

20,40 mg

日本人被験者 外国人被験者

幾何平均値(幾何標準偏差)

図へ-31 日本人被験者と外国人被験者における AUC/Dose の比較

(個別値及び幾何平均値と幾何標準偏差)

0.1

1

10

Cm

ax/D

ose

[/L]

x 10

-3

10 mg

20 mg

40 mg

10,20 mg

10,20,40 mg

20,40 mg

日本人被験者 外国人被験者

幾何平均値(幾何標準偏差)

図へ-32 日本人被験者と外国人被験者における Cmax/Dose の比較

(個別値及び幾何平均値と幾何標準偏差)

Page 58: ヒトにおける成績 ......ヘ 46 ② 血漿中代謝物(M1)濃度 本概要ヘ36頁で述べたように血漿中には試料の凍結・融解により容易に分解するM1のN-グル

ヘ�101

 また,母集団薬物動態解析より,本薬の薬物動態に日本人と外国人との間で明らかな差は認

められなかった(本概要へ 61,62 頁)。

まとめ

日本人及び外国人における本薬の薬物動態の類似性について,試験条件並びに被験者背景から比

較可能と判断された試験での成績に基づき検討した。

血漿中未変化体濃度は,日本人と外国人との間で類似した濃度で推移した。血漿中未変化体の

Cmax,AUC は日本人及び外国人ともに個体間でやや大きく変動したものの,平均値は近似していた。

また,投与例全体でみても,AUC/Dose,Cmax/Dose,tmax 及び t1/2に大きな違いはなく,その個体間

変動も類似したものであったことから,本薬の薬物動態は日本人と外国人との間で類似していると

考えられた。同様な結論は,母集団薬物動態解析からも得られた。