弘前市食育推進計画(案) - hirosaki- 2 - 3 弘前市食育行動プランについて...

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弘前市食育推進計画(案) 平成28年3月 前 市

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  • 弘前市食育推進計画(案)

    平成28年3月

    弘 前 市

  • はじめに

    近年、社会経済構造等が大きく変化していく中で、ライフスタイルや価値

    観・ニーズが多様化し、豊かで便利になった今日においては、食の大切さに対

    する意識の低下や心身の健康を育む健全な食生活が失われがちになっていま

    す。これに伴い、生活習慣病の増加などが社会問題として顕在化しています。

    当市の平均寿命は、男女ともに全国平均を下回っており、健康への意識を高

    めることが課題となっています。

    このため、平成26年5月に市の最上位計画である「弘前市経営計画」を策

    定し、健康分野である「くらしづくり」に関連する施策を展開しているところ

    です。

    また、これらの施策を総合的、効果的に推進するため、平成26年12月に

    「赤ちゃんから高齢者まで市民みんなが健康でいきいきとした生活が送れる

    まち」を目標に、第2次健康増進計画「健康ひろさき21(第2次)」を策定

    し、健康づくりに向けた取組みをしていますが、この中で、喫煙、肥満、多量

    飲酒、食塩摂取過多など生活習慣の改善が課題としてあげられています。

    『食』は生活習慣の主要部分を占めるものであり、適切な食習慣を広めるこ

    とが健康につながります。

    国では、食育基本法を施行し、『食』に関する知識と『食』を選択する力を

    取得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」を推進し

    ているところです。

    当市におきましても、関係団体などが、食育活動を実施し、浸透してきまし

    たが、さらに『食』に対する共通認識を持ち、適切な食習慣を広めることが、

    生活習慣病の予防や健康寿命の延伸などの健康増進に寄与します。

    そこで、関係団体の連携・協働のネットワークを構築し、食育活動の効果を

    高め、「食へのこだわり」、「健康づくり」に対する意識醸成を図り、健全で安

    全な食生活を実践し、健康増進を図ることを目的として「弘前市食育推進計画」

    を策定するものです。

    また、「健康ひろさき21(第2次)」と連動した施策を展開することにより、

    さらにその実効性を高めようとするものです。

    そして、家庭や教育、保育、生産・流通関係者やボランティア団体など様々

    な人や団体と連携・協働しながら、食を通じた健康づくり、食の安全・安心の

    確保などの食育を推進します。

  • ― 目 次 ―

    第 1章 食育推進計画について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

    1 食育とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

    2 弘前市食育推進計画について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

    3 弘前市食育行動プランについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

    4 ひろさき食育推進運動について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

    第2章 計画策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

    1 社会環境の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

    2 食環境の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

    3 食をめぐる現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

    4 食育基本法の制定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

    第3章 計画の基本方針と目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

    1 計画の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

    2 計画の重点推進事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

    3 計画の目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

    4 計画の進行管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

    第4章 食育の推進体制と役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

    1 食育の推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

    2 取組主体の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

    第5章 食育推進運動の展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

    1 食育推進運動の名称 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

    2 食育推進運動の主な内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

    3 重点期間などの設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

  • - 1 -

    ◇ 第1章 食育推進計画について

    1 食育とは

    食育について、食育基本法では、「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の

    基礎となるべきもの」であり、「様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択

    する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること」としていま

    す。

    2 弘前市食育推進計画について

    (1) 計画の策定

    弘前市食育推進計画は、食育基本法に基づき、市民が健全で安全な食生活

    を実現し、心身の健康と豊かな人間性を確保することができるようにするため、

    弘前市全体で推進する食育に関する基本事項を定めます。

    (2) 計画の位置づけ

    食育基本法第18条に基づき策定します。

    なお、市の健康増進計画「健康ひろさき21(第2次)」との整合性を図ります。

    (3)計画期間

    計画期間は、平成28年度から平成32年度までの5年間とします。

    なお、計画期間中であっても、法改正、市の関連計画の改訂のほか、様々な社会

    情勢の変化により新たに対応すべき課題が生じた場合は、適宜見直しを行います。

  • - 2 -

    3 弘前市食育行動プランについて

    弘前市食育行動プランは、食育に関わる団体や市民一人一人が、弘前市食育推進計

    画に沿って方向性や目標を共有し、積極的に食育活動を実践していくための具体的な

    行動プランのことです。

    この行動プランは、弘前市食育推進計画を基に、市が作成します。

    行動プランの内容や、取組主体ごとの主な推進事項については、弘前食育推進検討

    会での協議を踏まえ、随時見直しを行い、充実を図っていくこととします。

    4 ひろさき食育推進運動について

    (1)ひろさき食育推進運動の展開

    市では、食育行動プランの中で、地域や社会が一体となって食生活の改善と食文

    化の発展に取り組むとともに、市民一人一人が主役として積極的に食育活動に参加

    できるよう、「ひろさき食育推進運動」を展開し、市民の健全で安心な食生活の実現

    を目指します。

    (2)弘前市食育推進検討会の設置

    食育推進関係機関及び弘前市関係各課を構成員として弘前市食育推進検討会を

    設置し、食育に関する各主体の取組みに関する情報共有や意見交換を行うとともに、

    弘前市食育推進計画及び弘前市食育行動プランへの提言を行います。

  • - 3 -

    食育推進体制

  • - 4 -

    ◇ 第2章 計画策定の背景

    1 社会環境の変化

    わたしたちの生活には、戦後の高度経済成長により生活の豊かさと便利さがもたらさ

    れました。また、社会構造の変化に伴い、核家族化の進行や、単身赴任・共働き夫婦の

    増加など、ライフスタイルや価値観が多様化し、利便性や効率性を追求する流れが大き

    くなってきました。

    このように大人も子どもも忙しい生活を送る日常の中で、毎日の食事を手間なく簡単

    にすませることが求められ、健康への配慮や食を通しての人間関係の構築などといった

    「食」の大切さに対する意識が希薄になり、健全な食生活が失われつつあります。

    2 食環境の変化

    わたしたちの食環境は、社会環境の向上とともに豊かになりました。しかし一方で

    は、「食」は年々簡便化が求められ、各世代で手軽にすませることのできる外食や調理

    済み食品を購入して自宅で食べることが増え、家庭料理や伝統料理が食卓にあがる機会

    が減ってきています。

    また、国内外からの大量の食料供給により、世界中の様々な食べ物を身近で食べるこ

    とができるようになった反面、日本の食料自給率は先進国で最低水準となっているのも

    現状です。

    【食料自給率】

    現在の日本の食料自給率はカロリーベースで39%です。

    食料自給率の減少傾向が続いていますが、食料を安心して食べられる社会を守らなければなり

    ません。長い間、美しい自然と大勢の人の手によって育まれてきた“おいしいニッポンを”残し、

    創るために、食料自給率の向上は、達成しなくてはならない課題です。

  • - 5 -

    (資料:農林水産省 H27.8)

    3 食をめぐる現状と課題

    (1)食生活の乱れ

    わたしたちの食生活は、さまざまな課題を抱えています。朝食の重要性を認識し

    つつも、時間がない、食欲がないなどを理由に朝食を食べない人が各世代で増加し

    ています。子どもたちの中にも、普段から深夜に就寝し朝目覚めが悪い、と感じる

    子を中心に朝食欠食は広がっており、基礎的な食生活習慣の形成や、健康的な心身

    の育成に影響を与えることが危惧されます。

    また、食べ物がすぐ手に入ることがあたりまえの食環境の中で、手軽にインスタ

    ント食品や弁当などの調理済み食品(中食)が手に入り、食卓には調理に手間をか

    けずに食事が並ぶようになりました。

    このように、家庭内で調理すること(内食)が減る一方で、調理や後片付けの手

    間がいらないという理由から外食を利用する人も増え、食の外部化や簡素化が進行

    しています。好きなものだけに偏った食べ方は栄養バランスの乱れを招きます。

    当市では、野菜を積極的に食べる習慣は3割ほどしか定着しておらず、野菜摂取

    量も低い傾向にあります。

  • - 6 -

    (2)家族で食卓を囲む機会の減少

    核家族化や共働き夫婦の増加に加え、大人は残業や休日勤務、子どもは部活動や

    塾通いなどと、日々忙しい生活を送る中で食事時間もバラバラになり、家族そろっ

    て食卓を囲む機会が減ってきています。

    日々の家族の食卓は、家族の会話の中で絆を深める団らんの場です。しかし、ラ

    イフスタイルの多様化や社会状況の変化に伴い、一人で食事をする「孤食」が増え

    ています。

    さらに、単身世帯、ひとり親世帯、一人暮らしの高齢者世帯の増加により、ます

    ます「孤食」の傾向が強まっており、個人や家庭だけでは解決が難しい問題になっ

    ています。

    その他さまざまな「こ食」( 個食・小食・固食・粉食 )※1 が増え、好き嫌い

    や偏食などの要因となっており、毎日の「食」の大切さを忘れがちになっています。

    ※1 こ食(こしょく)

    さまざまな「こ食」が現代の食生活の問題点を表しています。

    「孤食」・・一人で食べる食事

    「個食」・・家族がそれぞれ自分の好きなものを食べる食事

    「小食」・・お菓子などはよく食べるが、食事は食べる量が少ない

    「固食」・・自分の好きなものだけを食べる偏った食事

    「粉食」・・小麦粉を使ったパンや麺類など、よく噛まずに食べやすい食事

    ほかにも、味の濃いものばかりを好む「濃食」や、子どもだけで食べる「子食」など

    があります。

  • - 7 -

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    成人

    中2

    小5

    26

    20

    29

    49

    38

    37

    14

    20

    15

    8

    11

    11

    2

    11

    8

    Q 1週間に何回家族とそろって食事をしますか

    1週間に14回以上 1週間に7~13回 1週間に3~6回 1週間に1~2回 ほとんど食べない

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    成人

    中2

    小5

    87

    89

    93

    7

    8

    5

    1

    1

    0

    4

    2

    2

    Q 朝食を食べない日はありますか

    毎日食べる 1週間に2~3日食べない 1週間に4~5日食べない ほとんど食べない

    【弘前市「食育に関するアンケート」】

    時期 : 平成22年4月~5月実施 (抽出 市内 小学校38校のうち17校

    中学校18校のうち 7校)

    調査対象者数:2,806人 回答者数:2,491人 回収率:88.7%

    対象 : 小学校 5年生 693名 回答 675名(回収率 97% )

    中学校 2年生 710名 回答 704名(回収率 99% )

    成人(上記の保護者) 1403名 回答 1112名(回収率 79%)

    朝食を食べない理由は(複数回答)

    ・食欲がない (小5・成人-1位、中2-2位)

    ・起きるのが遅い (中2-1位、小5・成人-2位)

    ・なんとなく (小5・中2・成人-3位)

    【弘前市「食育に関するアンケート」】

  • - 8 -

    0

    500

    1000

    1500

    成人 中2 小5

    1061

    656 608 731

    349 292

    491

    245 222

    601

    279 272 210 166 155 44

    20 12

    Q 今日の朝食は何を食べましたか(複数回答) 人

    ごはんやパンなどの主食

    肉・魚・卵・大豆

    牛乳・海草・小魚・チーズ・ヨーグルト

    野菜(みそ汁・ジュース含)

    果物(ジュース含)

    今日は食べていない

    【弘前市「食育に関するアンケート」】

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    成人

    中2

    小5

    3

    6

    6

    15

    15

    11

    66

    67

    64

    16

    12

    18

    Q インスタント・調理済み食品を食べますか

    ほとんど毎日食べる 1週間に4~5日食べる 1週間に2~3日食べる 食べない

    Q 野菜は食べますか

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    成人

    中2

    小5

    30

    31

    46

    64

    57

    43

    6

    10

    8

    0

    2

    2

    たくさん食べる まあまあ食べている あまり食べていない ほとんど食べない

  • - 9 -

    (3) 生活習慣病と健康問題

    昭和50年代には、米を主食として、水産物、畜産物、野菜等多様な副食が加わ

    った健康的で豊かな「日本型食生活」が実現しました。しかし、その後は米の消費

    量の減少や野菜不足、たんぱく質・油脂類・塩分の過剰摂取等により、栄養バラン

    スが崩れた食生活を送る人が増え、「日本型食生活」が失われつつあります。この

    ような食の欧米化により、肉類などの高カロリーの食品を食べることが多くなり、

    また、若い女性の間ではダイエットによる過度の痩身も見られます。

    不規則で偏った食事や運動不足などに起因するメタボリックシンドローム※2

    は広く知られるようになりましたが、メタボリックシンドローム以外にも、食事の

    改善が必要な疾病は年々増加し、大きな健康問題になっています。

    当市の主な死亡要因は、「悪性新生物」、「心疾患」、「脳血管疾患」と生活習慣病

    の三大疾病が全体の6割を占めており、65歳未満の男性の早世死亡率が、全国平

    均と比較して高く、また平均寿命も男女ともに全国平均を下回っています。

    さらに、低年齢での肥満や塩分の過剰摂取、食物繊維不足などの傾向もみられる

    ことから、生活習慣の改善が重要な課題になっています。

    「 日本型食生活のすすめ 」

    日本型食生活( 日本の気候風土に適した米を中心に水産物、畜産物、野菜等

    多様な副食から構成された、栄養バランスに優れた食生活 )のイメージ

    ※2 メタボリックシンドローム

    内臓脂肪が蓄積する内蔵脂肪型肥満によって、高血圧や高血糖、血中の脂質異常を

    まねき、心筋梗塞や脳卒中などの生活習慣病が発症しやすくなる状態をいう。

  • - 10 -

    0% 50% 100%

    成人

    中2

    小5

    8

    6

    13

    62

    52

    50

    28

    34

    28

    2

    8

    9

    Q 郷土料理を食べますか

    (作りますか)

    よく食べる(作る) たまに食べる(作る) ほとんど食べない(作らない) 何が郷土料理かわからない

    0% 50% 100%

    成人

    中2

    小5

    37

    23

    35

    60

    47

    53

    3

    30

    12

    Q 地産地消に関心がありますか

    関心があり地元産を使う(食べる)

    関心はあるが地元産にこだわらない

    関心がない

    0% 50% 100%

    成人

    中2

    小5

    58

    55

    68

    34

    30

    24

    6

    10

    5

    2

    5

    3

    いつも言っている たまに言っている

    ほとんど言わない まったく言わない

    (4)食を大切にする心の希薄化

    近年の食品の流通は、食事に至る過程(生産、流通、加工、調理等)が見えにくく、

    食に関わる人や物への感謝の念や理解の不足が見られます。食べ物を大切にする心や、

    食を提供する人に感謝する気持ちが薄れていることは、食べ残しにもつながっている

    と考えられます。

    かつて食育の中心は家庭での食卓でした。家庭での食事を通して、食事の躾だけで

    はなく、家族の心身の健康と安定が保たれ、子どもたちの食べ物に感謝する心や思い

    やりの心、地域の伝統の味や四季を感じる味覚などが養われてきました。

    しかし、そのような食卓に並んでいた伝統的な家庭の味なども衰退傾向にあり、調

    理済み食品に置き換わっているのが現状です。

    【弘前市「食育に関するアンケート」】

    0% 50% 100%

    成人

    中2

    小5

    19

    8

    14

    53

    48

    46

    28

    45

    40

    Q 「食事バランスガイド」を 知って

    いますか

    内容を知っている

    見たり聞いたりしたことはある

    知らない

    Q 「いただきます、ごちそうさま」の

    挨拶をしていますか

  • - 11 -

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    成人

    中2

    小5

    36

    68

    69

    57

    14

    17

    2

    1

    1

    5

    17

    13

    Q 普段食べている食品に安心していますか

    安心している 少し不安 とても不安 何も感じない

    0

    200

    400

    600

    成人 中2 小5

    518

    23 31

    438

    49 62

    232

    11 21 105

    38 64

    190

    59 53 67 12 10

    Q 不安の原因は何ですか(複数回答) 人

    食品添加物 農薬 遺伝子組換食品 ウイルス 異物混入 その他

    (5)関連産業の課題

    大量生産、大量消費の現代では、生産性が重視され、食品の生産地や製造方法な

    どがわかりにくい商品の流通、産地偽装や肥料表示偽装などにより食品の安全・安

    心に対する不安感が高まっています。

    また、メディアの発達によって、私たちの周りには様々な情報があふれ、消費者

    の混乱を招く場合もあります。

    そのような中、国内外から供給される様々な食料によって飽食ともいわれる食生

    活を送っている日本ですが、反面、食料自給率は先進国で最低水準となっているの

    が現状です。さらに、農業や漁業などの生産現場では高齢化や後継者不足などの問

    題を抱え、今後のさらなる自給率の低下が懸念されます。

    また、家庭や外食業界などで食品ロス・食品残渣の増大を招いています。見た目

    や形の重視や調理しにくい部分を避けるなど、まだ使える部分を捨ててしまうこと

    や宴会やパーティなどで提供される食品の大量の食べ残しがそのままゴミになって

    しまうことなどが主な原因と考えられます。

    当市のごみ排出量は、全国、県と比較し、多くなっています。「もったいない」精

    神を持ち、食材の使い切りや、料理の食べ切りなどで食品ロスを減らす取組みや、

    生ごみの堆肥化、生ごみを少なくする調理法の実践や水切りの徹底などが必要です。

    【弘前市「食育に関するアンケート」】

  • - 12 -

    4 食育基本法の制定

    国は、食育を国民運動として展開するため、平成17年7月に食育基本法を施行し、

    これに基づいて平成18年3月には食育推進基本計画を決定しました。

    食育白書の刊行や食育推進全国大会の開催、「食事バランスガイド※3」の普及・活

    用促進など、関係府省による様々な取組みが実施されています。

    青森県でも、平成18年11月に青森県食育推進計画を策定し、第1次計画に基づ

    く各種取組や推進指標の達成度及び青森県食育推進協議会からの提言等をもとに、県

    の特性を生かした食育を統合的かつ計画的に一層推進するため、平成23年3月には

    第二次食育推進計画を策定し、現在、第三次食育推進計画を策定中です。

    ※3 食事バランスガイド

    1日の食事で「何を」「どれだけ」食べたら良いかの目安をわかりやすくイラストで示したも

    のです。

  • - 13 -

    ◇ 第3章 計画の基本方針と目標

    1 計画の基本方針

    食育の推進にあたっては、「いきいき健やかなくらしの実現」を基本方針とし、さら

    に5つの重点推進事項を掲げて、食に関わる様々な立場の関係者との連携・協力のもと、

    国、県が掲げる重点課題にも意識を持ちながら、社会全体での食育への取組みを進めて

    いきます。

    また、市民一人一人が健全でいきいきとした毎日を送るために、自らが食に対する知

    識や選択力を高め、各世代に応じた食生活の改善ができるよう、広く食育活動が定着し

    ていくことを目指していきます。特に、食生活に関する知識や、意識、実践面で課題の

    多い若い世代へのアプローチを心がけます。

    さらには、弘前市の豊かな農業資源、環境を生かし、地産地消を意識した取組みを促

    進し、一人一人の食に感謝する心を育むとともに、食生活を支える関連産業の振興に努

    め、健康で活力のある地域社会を実現していきます。

    2 計画の重点推進事項

    (1)規則正しく健全な食習慣の育成

    以前は、食に関する知識やマナーなどは家庭や学校生活の中で自然に身に付いて

    いくものと考えられていましたが、最近では家庭内での時間にもゆとりがなくなっ

    ており、知識を得る場が極めて少なくなってきているといえます。

    食事の時間は、ただ食べるだけではなく、知識やマナーなどを吸収する場として

    も、とても大切だということが認識できる充実した食環境を目指します。

    また、食を選択できる力を習得し、可能な限り自ら調理し、規則正しく3食を摂

    ることや、うす味に配慮しながら主食・主菜・副菜をそろえた健全な食習慣を、幼

    児期から定着させていくよう取り組んでいきます。

    (2)バランスのとれた食生活で健康づくり

    「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。自然を尊重する日本人の心

    を表現したものであり、伝統的な社会習慣として世代を超えて受け継がれている

    との評価を受けました。

    「日本型食生活」は、日本の気候風土に適した米を中心に、水産物、畜産物、野

    菜等多様な副食から構成され、栄養バランスに優れているだけでなく、日本各地で

    生産される農林水産物を多彩に盛り込んでいることが特徴です。しかし、食の欧米

    化が進んでいることなどから、栄養バランスが崩れてきています。

    栄養バランスの良い食生活の実践による生活習慣病等の予防や、健康寿命を延ば

    していくことを目標として、「食生活指針」や「食事バランスガイド」の普及に努

    め、さらには日本型食生活を食卓に取り戻したり、食事に配慮するなどの、日頃の

    食事に対する工夫の習慣づけを進めていきます。

  • - 14 -

    (3)家庭や学校などで食事を楽しむ習慣づくり

    家族や友人と共に食事をとりながらコミュニケーションを図る「共食」は、食の楽

    しさを実感させ、栄養や食材・料理に関する知識や食事のマナーを学ぶ場になります。

    共食を推進し、食への関心や興味をひきだし、家族や友人との絆を深めていくとと

    もに、心身の健康と豊かな人間性の育成を目指していきます。

    また、調理の手伝いや後片付けなど、食を通した家族や友人間等のふれあいを大切

    にする習慣をつくることも大切です。食事を作ってくれる人に感謝し、調理などに自

    らが関わることにより、「食」に対する意識の向上に向けた活動の応援をします。

    さらには、学校・保育所等での給食においては、少食な子や苦手な食材がある子、

    また食物アレルギーのある子へ配慮しながら、楽しい給食の時間を過ごせるようにし

    ていきます。

    また、一人で食事をとることが多い一人暮らしの若者や高齢者には、職場や、地域

    で共食の機会をつくることなどを働きかけていきます。

    (4)特産品を活用した食文化を継承するための活動

    農林業をはじめとした地域の特産物や旬の素材を生かし、住民の創意工夫のもとに

    育まれてきた郷土料理や伝統的な食文化は、古くから地産地消を支えてきているもの

    です。

    弘前ならではの素晴らしい食文化や伝統を後世に継承していくため、一人一人の意

    識の啓発に努めることとし、家庭の食卓に積極的に郷土料理を取り入れたり、地域で

    の世代間交流による文化の伝承などを進め、さらには関連企業などと連携して、地域

    の活性化に向けた特産品の一層の活用など、幅広い活動を促進していきます。

    特に、当市の特産品である「りんご」は「りんごが赤くなると医者が青くなる」と

    いうことわざがあるほど、健康果物として広く親しまれており、生活習慣病予防や美

    容効果もあるといわれています。

    しかし、「皮をむくのが面倒」などの理由で、若い世代を中心に果物離れも指摘され

    ていることから、幼児期からりんごを食べる習慣づくりを推進し、市民の健康意識の

    向上につなげていきます。

    (5)生産者と消費者の相互理解による地産地消の推進

    農林水産物の広域流通が進展し、加工食品や外食などが増加する一方、消費者は食

    料生産の現場に接する機会が少なくなり、食の大切さや安心を実感できない状況にあ

    ります。

    このため、生産者等は安全・安心な食品の提供や情報発信に努め、また、消費者は

    自分たちの消費行動が地域の農林業を支えているということを意識できるよう、見

    学・体験や交流の機会を通じて地産地消や食品の加工・流通などに対する関心を高め

    るなど、生産者等と消費者がお互いを理解・尊重し合えるような環境が作られるよう

    取組みを進めていきます。

  • - 15 -

    3 計画の目標

    食育を市民運動として推進するためには、食育に関わる多くの関係者の理解と協力の

    もと、共通の目標を掲げて、意識の向上に取り組むことが重要です。

    また、より効果的で実効性のある施策を展開するため、目標を客観的に把握できるも

    のにすることが必要となります。

    そのため、目標の達成状況を把握できるよう、それぞれに数値目標を設け、目標は、

    平成32年度での達成を目指します。

    目標項目 現状値(取得年度) 目標値(H32)

    ①自らを健康だと思う市民の割合 76.1%(H26) 81.0%

    ②朝食を毎日食べる子どもの割合 小学生97.2%(H27)

    中学生93.4%(H27)

    100%に

    近づける

    ③野菜等の学校給食における地元(県)産

    使用率 90.0%(H25) 90.0%

    ④適正体重を維持している市民の割合

    (数値:肥満者の割合)

    男性 31.2%(H25)

    女性 23.5%(H25)

    男性 28.8%

    女性 19.6%

    ⑤肥満傾向にある子どもの割合

    (小学校5年生の中等度・高度肥満

    傾向児の割合)

    男子 5.08%(H27)

    女子 3.56%(H27) 減少傾向

    (出典 ①地域経営アンケート ②全国学力・学習状況調査 ③業務取得 ④国保特定健診

    ⑤学校保健体育資料)

    4 計画の進行管理

    この計画は、取組内容や進捗状況、目標の達成度等を弘前市食育推進検討会におい

    て随時検討し、市民・有識者(関係機関・団体)の提言等を受け、必要に応じ見直しを

    することとします。

    基本方針 いきいき健やかなくらしの実現

    重点推進事項

    (1) 規則正しく健全な食習慣の育成

    (2) バランスのとれた食生活で健康づくり

    (3) 家庭や学校などで食事を楽しむ習慣づくり

    (4) 特産品を活用した食文化を継承するための活動

    (5) 生産者と消費者の相互理解による地産地消の推進

  • - 16 -

    ◇ 第4章 食育の推進体制と役割

    1 食育の推進体制

    食育の推進については、すでに国・県などの行政機関や関係機関が普及・啓発など

    の取組みをはじめていますが、今後も継続した食育の推進が求められています。

    食育は活動内容が多岐の分野にわたるため、行政機関だけではなく、食育推進検討

    会での意見交換や、家庭、学校・保育関係機関、保健・医療関係機関、コミュニティ、

    食産業関係団体・企業、消費者・消費団体などの多様な関係者の協力と連携のもと、

    協働で食育を推進し、また、それぞれが幅広い食育推進の活動に取り組んでいくこと

    が重要となります。

    ○食育の推進主体

    ・市 弘前市関係部局、関連機関など

    ・県 青森県関係部局、地域段階の関連機関など

    ・関係団体等 教育、健康福祉、農林業、食品産業等の団体など

    ○食育の取組主体

    ・家庭 家族全員

    ・学校・保育関係機関 小中学校、高校、専門学校、短期大学、大学、

    認定こども園・保育所・幼稚園、PTAなど

    ・コミュニティ 町内会等の地域住民、民生委員など

    ・市民一人一人 各個人

    ・関係団体・民間事業者 医療機関、医師会・歯科医師会・薬剤師会、

    福祉団体・施設、社会福祉協議会、栄養士会、

    消費者団体、食品関連企業、一般企業など

  • - 17 -

    2 取組主体の役割

    (1)家庭

    食生活やライフスタイルの変化など、わたしたちの食をめぐる環境は日々変化し

    ていますが、特に家庭は食生活や食習慣の形成などに重要な役割を担っています。

    早起きをしてしっかり朝食を食べて1日をスタートさせ、1日3食を決まった時

    間に食べることにより、体のリズムも整い、健やかな生活リズムで過ごすことがで

    きます。正しい食事のリズムは、健康的な生活の第一歩です。

    また、家庭において幼児期より「食」の基本的な知識やマナーを伝えていくこと

    も大切です。古くからの言伝えや行儀作法は、先人の経験や知見に基づいたもので

    あり、親から子へ、またその子へと引き継がれていくべき素晴らしいものです。

    さらに、家族全員で楽しみながら食事をすることは、豊かな人間性を育みます。

    なによりも、家庭で日頃から食育について学び、考え、そして実践していくこと

    が、食育を推進していく上でとても重要なことです。

    【家庭の主な推進事項】

    ○ 楽しい食事時間づくり

    ○ 正しい食事リズムから健やかな生活リズム

    ○ 食事の基本マナーの伝達

    (2)学校・保育関係機関

    子どもの心身の健全な育成に重要な役割を果たしている学校や幼稚園・保育所等

    には、給食や、家庭科の授業などの教育活動等を通した、積極的な食育の推進が求

    められます。

    学校等での給食の中に地元農産物や郷土料理などを取り入れることは、地産地消

    を促進するとともに、家庭の食卓にあがる機会の減ってきた郷土料理の味を、子ど

    もたちが味わうことができる、生きた教材となります。

    また、学校・保育関係機関では、それぞれの心身の発育や発達の過程に応じて、

    適切な指導が必要となります。

    授業はもとより、家庭や地域との連携による体験学習などをとおして、子どもた

    ちが食の大切さや楽しさを感じることによって、学校等で得たことを家庭で実践す

    ることが期待できます。

    【学校・保育関係機関の主な推進事項】

    ○ 安全・安心で、魅力ある給食の推進

    ○ 発育・発達の過程に応じた食に関する指導の充実

    ○ 地域の資源を活かした体験学習の推進

  • - 18 -

    (3)コミュニティ

    市民一人一人が各世代に応じた食育活動を実践する一方、地域の住民や、町会に

    おいて、それぞれの土地の風土や文化に根付いた食文化や郷土料理への市民の関心

    と理解が深まるよう、地域全体で取り組んでいくことが求められます。

    子どもからお年寄りまで、たくさんの人が地域の行事に参加するなどして、世代

    を超えた交流を深めるとともに、先人の知恵が育んだ郷土料理を食べ、その歴史を

    学び、豊かな生活を送ることが大切です。

    【コミュニティの主な推進事項】

    ○ 地域の行事を活用した、郷土の食文化の伝承

    ○ コミュニティによる世代交流を通した食育の促進

    (4)市民一人一人

    食育は一定期間だけ取り組めばよいものではなく、生涯をつうじて行うことが重

    要です。また、ライフステージごとに問題や課題が異なり、その解決方法は様々で

    すので、市民一人一人が、自分のライフステージに合った取組みを無理のない範囲

    で楽しく継続していくことが大切です。

    食事の望ましい組み合わせやおおよその量をコマ形のイラストで示した食事バラ

    ンスガイドを活用し、栄養バランスのとれた理想的な食生活、健康的な食生活に変

    えていくことが大切です。

    また、旬の食材を知り、調理して食べることによって、季節を肌で感じ、食材そ

    のもののおいしさ、食べることの楽しさを実感することができます。

    無意識に食事をするのではなく、今食べているものは多くの人が関わり、自分の

    口に入っているという意識を持ち、感謝する心を持つことも大切です。

    【市民一人一人の主な推進事項】

    ○ 主食・主菜・副菜をそろえたバランスのとれた食事で健康を増進

    ○ 家族や友人との共食の実践

    ○ 旬の食材と食べ方(調理法)の学習

    ○ 健康と食に関する知識の習得

    ○ 「いただきます」のこころづくり

    (5)関係団体・民間事業者

    わたしたちの食生活は、食に関わる様々な産業活動によって成り立っています。

    市民の安全・安心な食生活の確保のためにも、食を担っている各産業が健全な活動

    をしていくことが求められます。

    各関連産業では安全・安心な食の提供はもちろんのこと、生産から流通までの過

    程が見えるような環境の整備も重要な役割です。消費者にとっては、生産者の顔が

    見えることが商品への安心感や理解、さらには地産地消の促進へとつながります。

  • - 19 -

    また、環境に配慮した産業の発展を目指し、同時に市民の理解を求めていく必要

    があります。

    多彩な民間の力を持つ地域の団体や企業は、消費者との接点を数多く持っていま

    す。消費者に対する様々な体験活動、食を学ぶ機会の提供、情報の発信などを積極

    的に行い、相互理解を深めることが必要です。

    【関係団体・民間事業者の主な推進事項】

    ○ 安全・安心な食品の提供

    ○ 生産と食の大切さを学ぶ機会の提供

    ○ 食育の情報発信

    ○ 地産地消活動の展開

  • - 20 -

    ◇ 第5章 食育推進運動の展開

    市では、市民一人一人が自らの力で食育を実践していくため、情報共有し、重点期間を

    設けるなど、食に関わるすべての関係者のもとで協働の食育推進運動の展開を促進してい

    きます。

    1 食育推進運動の名称

    「ひろさき食育推進運動」とします。

    また、食育を推進運動として推進するために、共通の目標を掲げて

    意識向上に努めます。

    2 食育推進運動の主な内容

    (1)国・県と連動した推進運動の展開

    国民運動としての食育及び青森県の食育県民運動と連動し、各関係団体と協働で

    の推進運動を展開していきます。

    また、食生活の改善による生活習慣病を予防するため、野菜の摂取量の向上やだ

    しのうま味を活用した減塩等に取り組むとともに、食事バランスガイド等の普及に

    努めます。

    (2)住民同士の連携・協力による食育推進の啓発

    地域の住民同士が知恵と力を合わせて連携・協力し、食育活動が横へと広がるよ

    う、関係者に向けた推進運動を啓発していきます。

    (3)食育推進の情報の発信

    弘前市食育推進検討会で決定した内容や、関係団体などから得た情報を積極的に

    市民へ提供し、市民の自らの食育活動の参考となるように努めます。

    食を知り、食へのこだわり どんどん たかまる

    共に食べ、食べる楽しみ どんどん たかまる

    取り組もう、みんなの健康 どんどん たかまる

  • - 21 -

    3 重点期間などの設定

    (1)食育月間の設定・・・6月、11月

    青森県では、国の食育月間である6月と県産食材が豊富に出回る11月を食育月

    間として定めており、弘前市も同様に6月と11月を食育月間として定め、国や県

    と連動した食育活動の推進を図ります。

    また、併せて当市の主要農産物であるりんごや米など地元農産物を食べることで、

    自然の恵みへの感謝や、地元に対する愛着と誇りを醸成できるよう関係団体と連携

    して取り組みます。

    (2)食育の日の設定・・・19日

    国と青森県では、毎月19日を食育の日として定めており、弘前市も同様に

    19日を食育の日として定め、市民の食生活への関心を高め、各世代での食育に関す

    る啓発を行います。