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体育科・保健体育科教育法赤松喜久(大阪教育大学)

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Page 1: 体育科・保健体育科教育法Ⅰakamatu/akama/hotai2013_1.pdf平成20年: 「体つくり運動」の一層の重視と運動の系統性の重視。 <「体つくり運動」領域を低学年から実施、「基本の運動」領域の内容と

体育科・保健体育科教育法Ⅰ

赤松喜久(大阪教育大学)

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近畿地区における小学校教員採用予定者数の推移

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度

大阪府

大阪市

堺市

兵庫県

神戸市

京都府

京都市

奈良県

和歌山県

平成18年がピーク

約1300人採用が

7年後に

約700人採用

と、ほぼ半減

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改訂 学習指導要領 にみる 目標・内容等

幼稚園 教育要領 解説

小学校 体育科 学習指導要領 解説

中学校 保健体育科 学習指導要領 解説

高等学校 保健体育科 学習指導要領 解説

総則; 小学校 中学校 高等学校

小学校 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/houkoku/index_e.htm

評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料(小学校)

-評価規準,評価方法等の研究開発(報告)-

中学校 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/houkoku/index_jh.htm

小学校 中学校 小・中 高等学校

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教育基本法関連三法の改正

教育基本法

学校教育法 改正教育基本法概要 教育基本法新旧対照表

教育職員免許法及び教育公務員特例法

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

学習指導要領は、法的な背景を有する基準です。平成18年12月 「教育基本法」が改正され、同12月22日に公布・施行されました。関連する教育三法も改正され、新しい学習指導要領(平成20年改訂)は、これら一連の法律の改定の基本的な精神に基づいています。

同上 施行規則

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おまけ; 法令の検索

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi 法令データ提供システム(総務省)

法令名の索引で「教育」とし、検索を

クリックすると、93件の法令が閲覧

可能となります。

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授業のねらい・目標と授業の内容

○授業のねらい

体育科・保健体育科の方向目標について理解を深め、

学習指導要領上の内容の配列と関連付けて、教科特性

を理解する。その上で、授業を展開していく際の方法論

についての基本的な枠組みを理解する。

○授業の内容

Ⅰ 体育科・保健体育科の目標について

Ⅱ 体育科・保健体育科の内容および方法について

Ⅲ 体育科・保健体育科の授業の進め方について

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保健体育科教育法Ⅰ

1 新しい体育の目標は

2 体育の目標の変遷過程について

3 体育の目標の変遷過程と教育原理

4 「運動を楽しむ」ということの意味

5 学習指導要領改訂のポイント

6 体育の学習内容

7 体育の内容を踏まえた単元の学習目標

注)以下、体育科、保健体育科を合わせて、「体育」と表現します。

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体育科・保健体育科の方向目標

○ 方向目標;学習指導要領に示された目標を基に、文字通り、どのような方向性

を有するものかという抽象度の高い目標という意味で用いました。

①体育科の方向目標は?

②いつから、どのような理由で、方向転換されたか?

③これからの方向性を少し掘り下げてみると?

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体育科の目標 (学習指導要領小学校体育編 平成20年改訂告示)

心と体を一体としてとらえ, 適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して, 生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育て

るとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,

楽しく明るい生活を営む態度を育てる。

運動に親しむ(運動を楽しむ) とともに

健康の保持増進と体力を向上する

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保健体育科の目標 (学習指導要領中学校保健体育科編 平成20年改訂告示)

心と体を一体としてとらえ, 運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を通して, 生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り, 明るく豊かな生活を営む態度を育てる。

運動に親しむ(運動を楽しむ) とともに

健康の保持増進と体力を向上する

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これからの体育の目標

運動に親しむ(楽しむ)資質や能力を育む(運動が目的)。

とともに、

健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図る。

運動の実践を通して(運動は手段・材料)、

社会的に望ましい態度(協調性等)を育成したり、

健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図る。

以前は;

All work and no play makes Jack a dull boy.

Although, all play and no work makes Jack

an underdeveloped human being .

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運動による教育(運動能力、社会的態度、体力の育成)

運動の教育(各種運動の特性の実現)

学校体育の変遷過程

明治5年: 学制公布 現在の学校教育の基礎が確立

昭和24年: 初の学習指導要領(試案)が示される。

昭和33年: 学習指導要領(基準)が告示される。

昭和52年: 体育科、保健体育科の画期的な目標が示される。

平成元年: 体育科、保健体育科の画期的目標の明確化が図られる。

平成10年: 「体ほぐしの運動」が加わり、「体つくり運動」領域が生まれる。

<各種の運動を楽しくできるようにするとともに、

その特性に応じた技能を身に付け、体力を養う>

<「体操」領域にかわり、「体つくり運動」領域が創設される>

平成20年: 「体つくり運動」の一層の重視と運動の系統性の重視。

<「体つくり運動」領域を低学年から実施、「基本の運動」領域の内容と

して示されていたものを、領域に改め、学習の系統性を明確にした>

「格技」から「武道」

へ名称(性格)変更

「体操」から「体つくり運動」へ(内容の追加に伴う)名称変更

実在論

行動主義

『「楽しい体育」は自然主義の発想に基づく放任』 とい

う批判

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ルソーの性善説(自然主義的思考)

造物主の手を出るときは、すべてのものが善である。人間の手に移ると悪くなる。人間はある土地に、他の土地の産物をつくらせたり、ある木に、他の木の実をならせたりする。

・・・何一つとして、自然がつくったままにしておかない。人間そのものさえそうだ。

ルソー、今野一雄訳「エミール」岩波文庫 1762

自然主義 に基づく体育観

「子ども(人)の思う通り、なすがまま遊ばせておけばよい」という

単純な発想を導くことにもなる。

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人の教育 をめぐって

-心身二元論の立場から-

知的・精神

(心)的

側面

肉体(身体)的

側面

観念論

実在論

知的・精神

(心)的

側面

知的・精神

(心)的

側面

肉体(身体)的

側面

知的・精神

(心)的

側面

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アリストテレスの教育哲学

教育の要素に、素質と習慣と教示をあげ、発達の順序を重んじて、次のように述べている。「それゆえ第一に、身体に対する配慮が、魂に対する配慮よりも先でなければならない。第二に、欲情の配慮が理知のそれより先で、しかも、欲情の配慮は理知のためのものであり、身体の配慮は魂のためでなければならない。」(アリストテレス 「政治学」)

現代教育学の基礎 筑波大学教育学研究会編 1982

実在論 を代表する教育哲学

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プラトンの教育哲学

個人の素質はそれぞれに異なり、教育もこれを変更する力をもたない。教育の課題は、人によって異なるこの素質を厳正に識別し、各素質にあった訓練を施して、その潜在力を最大限に育成することのみであり、各個人を素質に応じた職域に専念させ、全体が調和と統一性をたもつところに、国家の正義をみようとした。(プラトン 「国家」 参照)

現代教育学の基礎 筑波大学教育学研究会編 1982

観念論 を代表する教育哲学

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人の教育 をめぐって

-心身一元論の立場から-

知的・精神(心)的

側面

肉体(身体)的

側面

「心と体を一体とする」

身体論

哲学の分野で論議される

は、心身一元論の立場が支配的

ホモ・ルーデンス(ホイジンガ)の提唱する、

A Whole man(全人)は、心身一元の存在としての

人間観の立場に立つ。

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デューイの発達理論の総合性

「全教育の究極的課題は、心理的および社会的な諸要因を統合することにある。心理学的要因は、個人が、自分のもてる諸力をすべて自由に行使していくことを要求するものであって、彼固有の構造上の諸法則が尊重されるように、個別的に研究されなければならない。社会的要因は、個人が、彼の生活する社会的環境をその重要なすべての諸関係において熟知し、これらの諸関係を、彼自身の諸活動のなかで尊重していくように訓練されることを求める。したがって、この統合は、子どもが社会的な諸目的を実現しながら、自己自身を表現できるようにすることが必要となる。」(デューイ 「大学附属小学校の組織案」1895)

現代教育学の基礎 筑波大学教育学研究会編 1982

行動(プラグマ)主義 の起点となる教育哲学

現代の教育では、「発見学習」(ブルーナー,1962)の考え方等を基にし、いわゆる、

課題解決学習として、学習指導の理論が進化・発展している。

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遊びとしてのスポーツを学習の内容とする

体育の授業

遊びとは?

学習者にとって、スポーツが遊びとして行われるためには?

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学校体育の目標転換過程

たいいくがく 体育学

体育が苦

変換

個人の欲求と離れ、強制的に“やらされる”ことは、

子どもにとって苦行でしかない。

「運動に子どもを合わせる」のではなく、

「子どもに運動をあわせる」体育の推進!!

「時々の子どもに合わせる」だけではなく、

「意図的、計画的に子どもの力の伸長を図る体育」の推進!!

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「運動による教育」から「運動の教育」へ

「運動」と「スポーツ」の異同

スポーツ = 運動 + プレイ性 + 人間性

(出典: 島崎 仁 人間とスポーツ 学術図書出版)

スポーツ(sport)の語源:

ラテン語のdeportare(生活から離れる)が

フランスに渡りDesporter(仕事・生活から離れる)とになり、

その後(16世紀)イギリスで 、sport(楽しみの活動)と表記されるようになった。

Sportとは: 楽しみの活動が有する価値である。

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遊び(play)と その教育的意味

①自発意思に基づく自由な活動

②ルールのある活動

③非日常的な活動

④それ自体が目的的である活動

⑤非生産的な活動

⑥結果が未確定な活動

既定のルールを守らせる

ルールを創造する

コミュニケーション

の誘発

好意的、積極的な

態度の育成

技能の向上

運動に子どもを合わせる 子どもに運動を合わせる のではなく

という基本的考え方を持つことが大切となる。

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子どもに運動をあわせる

-短距離走の例-

スタート ゴール

競争の結果の未確定性が保たれていない場合、活動は遊びになりません。

すべての子どもに、活動が遊びとなるような支援が不可欠となります。

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子どもに運動をあわせる

-ハードル走の例-

「子どもに運動をあわせる」という場合、

教師は子どもの学習レディネス(準備状況)に応じて、

運動の機能的特性と構造的特性について配慮することになる。

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フローのモデルに基づく教師の支援

学習レディネス

挑戦課題

不安

退屈

願望を引き下げる

成功を引き上げる

挑戦課題をめぐる課題

◇他者との比較によらない自分自身の価値基準としても、他者との関係性が子どもの

自尊感情に影響を及ぼすことはないか?

◇評価規準の各評価観点(とりわけ「技能」)は、絶対評価とはいえ、子どもの個人内

評価を認めるものではない。評価の客観性、信頼性を高めるために導入される外的

基準が、子どもの成功感を抑制する可能性はないか?

学習の準備状態

技能レベル、興味関心の程度、先行

経験の程度等

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「自尊心」と「自己概念」をめぐって

自尊心とは?

自尊心とは、「自己に対しての肯定的または否定的な自己評価の感情で、自尊心が高いということは、他者と比較して優越感や完全性を感じることではなく、自分自身の価値基準に照らして自分を価値のある人間だと尊重すること」(ローゼンバーグ)

また、梶田は、自己概念の構成要素として、①自己の現状の認識と規定、②自己への感情と評価、③他者からみられている自己、④過去の自己についてのイメージ、⑤自己の可能性と未来についてのイメージ、⑥自己に関する当為と理想をあげる。そのうち、②自己への感情と評価が自尊心に相当するとも考えられる。

自尊心をどのように高める?

経験的に自尊心を捉えようとする場合、自尊心は、願望と成功の関数としてとらえられる(ジェームズ)。この考え方に従うと、「願望に対して成功を大きくすること」、または「願望を小さくすること」で自尊心は高められる」ことになる。

願望 成功

学習者(子ども)の体育学習に対する「関心・意欲・態度」は、自分なりに上手にできるようになるためにどうすればよいかの「思考・判断」や、考えたことができるようになる状態「技能」と密接不可分か関係にあります。

そこで、学習内容に対する態度を好意的なものにすることがまず重要となります。

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学習指導要領改訂のポイント

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1 教育基本法等の改正を踏まえ、

各教科・学校教育活動全体で取り組む視点

○ 「生きる力」の育成を引き続き重視 教えて考えさせる指導

○ 言語活動の充実 体育学習は、コミュニケーション能力や論理的思考力の育成にも資すること

○ 道徳教育の充実 発達の段階に応じて指導内容を重点化

〔きまりを守る(小)、社会の形成への参画(中) など〕

○ 伝統や文化に関する教育の充実 ことわざなど古典に関する学習を充実(国語)、武道の必修化(中学保健体育)

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運動の学び方の重視

(何を学ばせるのかについて)方向性の見定まった学習者主体の学習

方法

内容

問題解決学習 系統学習

課題解決学習

ブルーナー1960

「教育の過程」

広岡亮蔵 1974

「教育内容の現代化」

デューイ 1916

「民主主義と教育」

Sputnik crisis

1957

コメニウス 大教授学

マカレンコ (集団主義教育)

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2 体育科・保健体育科の改善の要点

1 指導内容の体系化 様々な動きを身に付ける時期、多くの領域を体験する時期、卒業後少なくとも

一つの運動やスポーツを継続することができるようにする時期を考慮し、領域

を再構成。

2 指導内容の明確化

身に付けさせたい具体的内容を示す。

(1)(運動)技能 (2)態度 (3)思考・判断

3 体つくり運動の充実 小学校では第一学年から示すとともに家庭で生かすことを重視し改善。小中高

を通じて、体つくり運動以外の領域においては、学習した結果としての一層の

体力の向上が図れるよう指導のあり方を改善。

4 運動の取り上げ方の弾力化 小学校では、「体つくり運動」以外のすべての内容について、2学年(1・2年生、

3・4年生、5・6年生)のいずれかの学年で指導可能。

5 内容の重点化

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(1) 指導内容の体系化

生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する基礎を培うことを重視し、運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに、発達の段階のまとまりを考慮し、小学校、中学校及び高等学校を見通した指導内容の体系化を図る。

小学校 中学校 高等学校

多くの領域の学習を経験する時期

卒業後に少なくとも一つの運動やスポーツを継続することができるようにする時期

5・6 年 1・2 年 3 年 1年~3 年

○発達の段階のまとまりを考慮する

1 年~4 年

各種の運動の基礎を培う時期

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参考: 生涯にわたって運動やスポーツに親しむ資質や能力を育む

20 40 60 80

就 労 期

学 習 期 就学期

ガリガリ バリバリ ○○

生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する基礎を培うことを重視し, 運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに, 発達の段階のまとまりを考慮し, 小学校, 中学校及び高等学校を見通した指導内容の体系化を図ること。

保健体育科改訂の要点

「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力」とは, それぞれの運動が有する特性や魅力に応じて, その楽しさや喜びを味わおうとするとともに, 公正に取り組む, 互いに協力する, 自己の責任を果たす, 参画するなどの意欲や健康・安全への態度, 運動を合理的に実践するための運動の技能や知識, それらを運動実践に活用するなどの思考力, 判断力などを指している。

生涯スポーツ

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(2) 指導内容の明確化

指導内容の確実な定着を図る観点から、指導内容を明確に示すとともに、

学校段階の接続を踏まえ、第1学年及び第2学年においては、領域の取上げ方の弾

力化を図る。また、第3学年においては、特性や魅力に応じた選択のまとまりから選択して履修できるようにする。

<例>中学校1、2年陸上競技

(1)技能 ・ハードル走では、リズミカルな走りから滑らかにハードルを越すこと。

(2)態度 ・陸上競技に積極的に取り組むとともに、 勝敗などを認め、 ルールやマナーを守ろうとすること、 分担した役割を果たそうとすることなどや、健康・安全に気を配ることができるようにする。

(3)思考・判断、知識(知識は、中学校以降) ・陸上競技の特性や成り立ち, 技術の名称や行い方, 関連して高まる体力などを理解し, 課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。

○指導内容の明確化 ⇒ 身に付けさせたい内容を具体的に示す

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新学習指導要領の趣旨

1 改訂の趣旨

健やかな体の基礎となる身体能力と知識を定着させ、身に付けた段階に応じ運動を豊かに実践していくための資質や能力を育てるとともに、主として個人生活における健康・安全に関する内容を科学的に理解できるようにすることを重視した。

○「身体能力」:体力及び運動の技能から構成されるもの

※生徒一人一人に発達の違いがあることに対し、十分な配慮が必要であることから、学習指導要領の内容においては、「技能」として示すこととした。

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(3) 体つくり運動の一層の充実

(3) 体力の向上を重視し、「体つくり運動」の一層の充実を図るとともに、学校の教育活動全体や実生活で生かすことができるようにする。

○小学校1年生からの内容として編成

○授業時数を各学年で7 単位時間以上(中学校)配当すること。

(4) 基礎的な知識の確実な定着を図るため、発達の段階を踏まえて知識に関する

領域の構成を見直し、各領域に共通する内容に精選するとともに、各領域との関連で指導することが効果的な内容については、各領域で取り上げるよう整理する。

「体育に関する知識」を「体育理論」に改めた(中学校)。

(5) 保健分野においては、個人生活における健康・安全に関する内容を重視し、指導内容を改善する。

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「体操」から「体つくり運動」へ

体操

体力(筋力、持久力、調整力)を高めるためにつくられ行なわれる運動

平成10年改定

体ほぐしの運動

・気づき

・交流

・調整

体力を高める運動(多様な)

体つくり運動

柔軟性

巧緻性

子どもの体力低下という問題への対応の必要性

運動との関わりの二極化が益々進んでいるという問題への対応の必要性

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参考:子どもたちの体力の現状(立ち幅とびを例に)

図1 立ち幅とびの年次推移

「平成18年度体力・運動能力調査」の概要 文部科学省

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参考:大阪のS小学校の子どもたちの体力状況

学年 性別 標本 握力 上体起こし 反復横とび シャトルラン 50m走 立ち幅跳びソフトボール投げ

晴明丘南 11.6 118.0 9.1全国 11.6 113.5 9.4

晴明丘南 11.8 113.3 6.3全国 11.9 104.5 5.9

晴明丘南 10.6 131.1 13.0全国 10.8 125.8 12.9

晴明丘南 10.9 125.6 7.5全国 10.0 116.4 7.8

晴明丘南 14.1 16.0 27.8 27.2 10.0 136.8 14.2全国 13.1 15.1 34.4 33.3 10.2 138.6 17.4

晴明丘南 13.7 15.0 29.6 19.4 10.3 135.2 10.2全国 12.3 14.2 32.3 26.5 10.4 128.1 9.9

晴明丘南 16.5 16.8 35.4 38.6 9.7 150.3 24.1全国 15.0 17.1 38.0 42.1 9.7 146.2 21.7

晴明丘南 15.5 16.7 33.8 28.5 9.7 148.6 12.9全国 14.1 15.7 35.8 33.4 9.9 137.6 12.4

晴明丘南 17.3 20.3 45.8 49.3 9.6 157.7 27.9全国 17.5 19.4 41.7 49.4 9.3 155.5 25.6

晴明丘南 16.2 17.6 42.0 33.9 9.9 149.5 15.2全国 17.0 17.5 39.4 39.2 9.5 146.3 15.0

晴明丘南 19.9 24.1 48.9 63.0 8.8 181.5 32.5全国 20.3 21.0 44.9 59.3 8.9 167.2 30.2

晴明丘南 18.7 19.2 45.1 43.1 9.0 170.7 18.4全国 19.6 18.3 41.2 45.2 9.2 154.8 17.2

男子

女子

男子

女子

男子

女子

男子

女子

男子

女子

男子

女子

1年

2年

3年

4年

5年

6年

全国平均以上

S小学校は、

全国平均と

比較して

55点

大阪府は、

全国平均と

比較して

約7点

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

S小学校

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(4) 運動の取り上げ方の弾力化

○運動の取り上げ方の弾力化

「体つくり運動」「体育理論」以外のすべての指導内容について、2学年のいずれかの学年で取り上げ指導することもできる。

→ 学校の創意工夫を生かした指導計画

○特性や魅力に応じた選択のまとまり(中・高校)

B・C・D・G:技を高めたり、記録に挑戦したり、表現したりする

楽しさや喜びを味わう。

E・F:集団や個人で、相手との攻防を展開する楽しさや喜びを

味わう。

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内容の取り扱いの弾力化

小学校 中学校 高校

□学習の連続性・発展性への配慮が不可欠

幅跳び 遊び

高跳び 走り

幅跳び

走り

幅跳び

□学習者の入学から卒業、さらには、各学校段階間の接続 を考慮したカリキュラム編成が重要

□学校全体の組織的取り組みが不可欠

走り

高跳び

1・2年 3・4年 5・6年

走り

高跳び

走り

幅跳び 幅跳び

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(5) 内容の重点化

A 体つくり運動

ア 体ほぐしの運動

(ア) 自己の体に気付き,体の調子を整えたり,仲

間と交流したりするためのいろいろな手軽な運

動や律動的な運動

イ 体力を高める運動

(ア) 体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための

運動

(イ) 力強い動きを高めるための運動

(ウ) 動きを持続する能力を高めるための運動

内容の取り扱い

「A体つくり運動」の(1)のイの運動については,これらのうちから(ウ)に重点を置いて指導することができるが,調和のとれた体力を高めることに留意すること。

A 体つくり運動

ア 体ほぐしの運動

(ア) 自己の体に気付き,体の調子を整えたり,

仲間と交流したりするためのいろいろな手軽

な運動や律動的な運動をすること。

イ 体力を高める運動

(ア) 体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるため

の運動をすること。

(イ) 力強い動き及び動きを持続する能力を高

めるための運動をすること。

内容の取り扱い

(1) 内容の「A 体つくり運動」については, 2

学年にわたって指導するものとする。また,

(1 )のイについては, 体の柔らかさ及び巧み

な動きを高めることに重点を置いて指導するものとする。

( 2 ) 内容の「D 水泳」の( 1 ) については, 水

中からのスタートを指導するものとする。また, 学校の実態に応じて背泳ぎを加えて指導することができる。

小学校 中学校

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運動能力の基礎となる能力の発達

スポーツに必要な能力の発達

(宮下充正 小児医学19 1986)

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「S小学校の子どもたちの全身持久力を高めるぞ!」となるのか?

「学校体育」で向上をめざす体力は

調整力

持久力

筋力

内容の重点化

小学校体育の陸上運動に長距離走がない

のは、小学生の心肺機能が発達の途上にあるからです。小学生の時期は、巧緻性や柔軟性といった調整力を高めることに力点が置か

れます。

なぜ ?

Yes とは言い難い !

柔軟性

巧緻性

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内容論

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全体像の一部 これからの体育科・保健体育科の内容

1 ・ 2 3 ・ 4 5 ・ 6 1 ・ 2 3

A 体つくり運動

B 器械運動

C 陸上競技

D 水泳

E 球技

F 武道

G ダンス

H 体育理論

保健

体つくり運動

器械・器具を使っての運動遊び

器械運動

走・跳の運動遊び 走・跳の運動 陸上運動

水遊び 浮く・泳ぐ運動 水泳

ゲーム ボール運動

表現リズム

遊び 表現運動

保健

学年

学校種別

体育・保健体育

小学校 中学校 領域(分野)

領域名は中学

○ ○

○ ○

○ ○ ○

B,C,D,G

から

1以上選択

E,Fから

1以上選択

高等学校

1 2 ・ 3

○ ○ ○

B,C,D,E,F,G

から2以上

選択

○ ○ ○

○ ○

体育の内容は、小学校2年生までは遊び!

それ以降は遊びではない! ってこと??

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体育科・保健体育科の内容

体つくり運動

スポーツ

ダンス

武道

体育理論

保健

スコープ

シークエンス

中学校以降

武道は中学校3年生以降は選択

体育理論は全ての学年で必修

学習内容の基本的な価値をどのように整理することができるという軸

学習者の発達段階を考慮し、内容をどのように配列するのかの軸 競争の遊び

表現の遊び

体育科・保健体育科の内容の大半は「遊び」です。

小学校3年生~高校2年生

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体育科の内容(改定前と改訂)

1 ・ 2 3 ・ 4 5 ・ 6

体つくり運動

器械・器具を使っての運動遊び

器械運動

走・跳の運動遊び

走・跳の運動

陸上運動

水遊び 浮く・泳ぐ

運動 水泳

ゲーム ボール運動

表現リズム

遊び 表現運動

保健

学年

現行/改訂

体育の内容

改訂 改訂前

1 ・ 2 3 ・ 4 5 ・ 6

体つくり運動

基本の運動

ゲーム

器械運動

陸上運動

水泳

表現運動

保健

ボール運動

個人的な運動遊び

集団的な

運動遊び

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運動の特性(機能的特性)の論拠

プレイ

競争の遊び

表現の遊び

ホイジンガ カイヨワ

アゴーン(競争)

アレア(運)

イリンクス(眩暈)

ミミクリー(変身)

ロイ

人対人、集団対集団の競争

<競争型>

観念的基準との競争

<達成型>

自然環境、物理的環境との競争

<克服型>

運動の特性は、ロイの整理した何を競争の相手とするかという考え方を論拠としています。 非プレイ 体つくり運動

体力を高める運動

体ほぐしの運動

武道 平成元年(1989)文部省は学習指導要領の改定にあたり、 「格技」から「武道」への名称変更を行い「格技」に変わって登場した「武道」の 態度に関する内容に「伝統的な行動の仕方に留意して」という事項が明記され、 このことが「道」を求める態度として新しく取り上げられている。 この目指す内容として「礼法」と「勝敗に際する行動の仕方」を取り上げ技能でなく 態度の内容として取り扱うこととしている。

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人間とスポーツの関係の観点

「運動の特性」という観点からみると:

「運動の機能的特性」

「運動の構造的特性」

「運動の効果的特性」

人はその運動・スポーツに何を求めるのか

そのスポーツはどのような要素で成り立つのか

その運動・スポーツによって身体能力がどのように高まるか

学習者中心

指導者中心

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運動の特性をめぐって

効果的特性

機能的特性

構造的特性

各種の運動が、どのような身体的効果(主に体力面)をもたらすのかという観点に基づく特性論。

持久力・・・球技#(野球型は・・・)

調整力・・・器械運動

筋 力・・・陸上競技

各種の運動が、人間にとってどのような(楽しみ)価値を持つのかという観点に基づく特性論。

『競争型、達成型、克服型』

各種の運動が、どのようなつくり(ルールや技術構造)から成るのかという観点に基づく特性論。 ネット型、ゴール型、ベースボール型の類型は、大きな意味で構造的特性分類といえる。

授業を仕組んでいくうえで、教師には、以下の3つの特性理解が不可欠となる。

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運動の機能的特性をめぐって

「運動の機能的特性」

「運動の構造的特性」

「運動の効果的特性」

その運動に固有の価値

競争型

達成型

克服型

人対人、集団対集団の

競争に価値があるもの

観念的基準(技、記録等)

との競争に価値があるもの

物理的障害や自然環境

との競争に価値があるもの

重要①

それぞれの運動に伴う固有の価値は、「運動の構造的特性」に依拠する。

重要②

各運動に固有の価値を追求していく過程で「身体能力」の向上が必要となる。あるいは、価値実現の結果として「身体能力」が高まる。

重要③

「運動の機能的特性」は学習指導によって変容する。

単元の構造へ

幅跳例

球技例

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ビデオで考えてもらいたい点

• 「心と体を一体としてとらえ・・・」とはどういうこと?

• ラグビーフットボールの一般的な構造的特性を、子どもにあわせてどのように変えていく?

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これまでのまとめ

1 体育科・保健体育科の方向目標は、「運動による教育」

から「運動の教育」へと変化している。

2 上記の方向目標に例外的となるのが、「体つくり運動」と

「武道」の2つの領域である。

3 「運動の教育」を指向する体育では、生涯にわたって運

動・スポーツに親しむことができる(行動できる)力を育む

ことが目指されることになる。

4 体育科・保健体育科は、生涯スポーツの観点から目標お

よび内容が編成される。

内容論へ

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体育の単元とは

• 領域

• 種目

• 技

• 技術・戦術

体育分野 単元とは;

学習の内容として

まとまりのある範囲

技術とは;

運動の合理的、経済的な

おこない方(一般的な知識)

基本的には、種目相当の内容が単元となります。

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具体的な学習目標

単元の学習目標

○関心・意欲・態度

○技能

○思考・判断

○知識・理解

ねらい; 単元全体をいくつかのまとまりに

分けたときの、まとまりごとの目標

めあて; 一時間をいくつかのまとまりに分けた

ときの、まとまりごとの目標

教科の目標 単元の目標 本時の目標

学習者が主部になります。(・・・させる。・・・してもらう。)

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単元計画をめぐって:学習指導過程

めあて① 今できる跳び方でいろいろな

跳び箱を跳び越す。

めあて② 少し努力すればできそうな跳

び方に挑戦する。

ねらい①

簡単なルールやマ

ナーを理解し、ゲー

ムをする。

ねらい②

対戦チームを選ん

だり、ルールや作戦

を工夫したりしてゲ

ームをする。

1時間の流れ

1時間の流れ

単元の流れ 単元の流れ

(跳び箱運動の例) (サッカーの例)

(保健)体育科の単元計画の基本的タイプ ○関心・意欲・態度

○知識・理解

○思考・判断

○技能

○関心・意欲・態度

○知識・理解

○思考・判断

○技能

単元の学習目標は4つですが、毎時間4つの観点で評価することはできません。

したがって、本時の目標は一つだけという場合も考えられます。

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学習の指導と評価の在り方

学習評価の意味・機能

学習への

フィードバック

指導への

フィードバック

指導要録

への記載

成績通知票

への記載

その他

子どもに身に付けさせたい内容

「(運動)*1 技能」

「態度」

「思考・判断」(知識、思考・判断)*2

の定着度の確認

評価規準に基づく学習評価

「関心・意欲・態度」

「技能」

「思考・判断」

「知識・理解」

の逐次的な評価

*2は中学校 *1は体つくり運動

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内容と評価の観点の関係

内容の(1)技能は、評価の観点としての「運動の技能」に、

内容の(2)態度は、評価の観点としての「関心・意欲・態度」に、

内容の(3)知識(中学校以降)、思考・判断は、

評価の観点としての「知識・理解(中学校以降)」及び「思考・判断」

に対応している。

(一部省略)

評価情報の収集は、動きの様相や学習意欲を捉える授業者の観察力の向上、効率的に情報を収集する学習ノートの使用などによって、妥当性、信頼性を高める工夫が一層重要となるといえるのではなかろうか。 注)下記から一部抜粋。内容と評価の観点の対応関係について、わかりやすくするため、改行、加筆した。

佐藤豊 体育科教育 2010.05

重要となってくると指摘される点をめぐって

●●●妥当性、信頼性を高める工夫●●●

○動きの様相や学習意欲を捉える授業者の観察力の向上

◇何を

◇どのタイミングで 観察するのか

○効率的に情報を収集する学習ノートの使用

◇学習ノートは授業者の観察と併用するのか、補完的に利用するのか

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体育科・保健体育科の学習指導計画

保健体育科の指導案(単元計画)の構造

1 単元名

2 クラス

3 授業者名

4 教材観/単元設定の理由 (運動の一般的特性 および その意義)

5 児童・生徒観

6 指導観(子どもからみた運動の特性)

7 単元の学習目標

8 学習指導の道筋

9 本時案

・ (日時) ○/○

・本時の目標

・本時の学習指導

の道筋

①○○の基本的な技術を身につける。

<運動の技能>

②仲間と協力し安全に留意しながら公正にゲームを楽しむこと

ができるようにする。

<関心・意欲・態度>

③練習の仕方を工夫し、チームの課題や自分の能力に

応じた課題の解決ができるようにする。

<思考・判断>

④○○の運動の特性を正しく理解することができるよう

にする。

<知識・理解>

その時間の授業で、学習者が何を目指すのかを記述する。

その授業の全体をとおして、(学習者が)何を目指すのかを記述する。

特性へ

実践には

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課題

• 学習者に「身につけさせたい内容」と

「評価規準に示される評価の観点」の

関係は?

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小学校体育科の領域構成と内容 1年 2年 3年 4年 5年 6年

体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動多様な動きをつくる運動遊び多様な動きをつくる運動遊び多様な動きをつくる運動多様な動きをつくる運動体力を高める運動 体力を高める運動

毎日の生活と健康 育ちゆく体とわたし 心の健康 病気の予防けがの防止

表現

フォークダンス

ボールゲーム鬼遊び

表現遊びリズム遊び

表現リズムダンス

ゴール型ゲームネット型ゲーム

ベースボール型ゲーム

ゴール型ネット型

ベースボール型

かけっこ・リレー小型ハードル走

幅跳び高跳び

短距離走・リレーハードル走走り幅跳び走り高跳び

【表現リズム遊び】 【表現運動】

【保健】

マット運動鉄棒運動

跳び箱運動

マット運動鉄棒運動

跳び箱運動

固定施設を使った運動遊びマットを使った運動遊び鉄棒を使った運動遊び

跳び箱を使った運動遊び

走の運動遊び

跳の運動遊び

【水遊び】 【浮く・泳ぐ運動】 【水泳】

【ゲーム】 【ボール運動】

水に慣れる遊び浮く・もぐる遊び

浮く運動泳ぐ運動

クロール平泳ぎ

【体つくり運動】

【器械・器具を使っての運動遊び】 【器械運動】

【走・跳の運動遊び】 【走・跳の運動】 【陸上運動】

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中学校保健体育科体育分野の領域および内容 [第1学年及び第2学年] [第3学年]

【A 体つくり運動】 【A 体つくり運動】ア体ほぐしの運動 ア体ほぐしの運動イ体力を高める運動 イ体力を高める運動【B 器械運動】 【B 器械運動】アマット運動 イ鉄棒運動 アマット運動 イ鉄棒運動ウ平均台運動 エ跳び箱運動 ウ平均台運動 エ跳び箱運動【C 陸上競技】 【C 陸上競技】ア短距離走・リレー,長距離走 又はハードル走 ア短距離走・リレー,長距離走 又はハードル走イ走り幅跳び又は走り高跳び イ走り幅跳び又は走り高跳び【D 水泳】 【D 水泳】アクロール イ平泳ぎ ウ背泳ぎ アクロール イ平泳ぎ ウ背泳ぎエバタフライ エバタフライ オ複数の泳法で泳ぐ又はリレー【E 球技】 【E 球技】アゴール型 イネット型 ウベースボール型 アゴール型 イネット型 ウベースボール型【F 武道】 【F 武道】ア柔道 イ剣道 ウ相撲 ア柔道 イ剣道 ウ相撲【G ダンス】 【G ダンス】ア創作ダンス イフォークダンス ア創作ダンス イフォークダンスウ現代的なリズムのダンス ウ現代的なリズムのダンス【H 体育理論】 【H 体育理論】(1) 運動やスポーツの多様性 (1) 文化としてのスポーツの意義(2) 運動やスポーツが心身の発達に与える 効果と安全

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高等学校保健体育科科目体育の領域構成 領域

ア体ほぐしの運動 ( 1 ) 運動 ( 2 ) 態度イ体力を高める運動 ( 1 ) 運動 ( 3 )知識, 思考・判断アマット運動 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ鉄棒運動 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ平均台運動 ( 1 ) 技能エ跳び箱運動 ( 1 ) 技能ア競走 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ跳躍 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ投てき ( 1 ) 技能アクロール ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ平泳ぎ ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ背泳ぎ ( 1 ) 技能エバタフライ ( 1 ) 技能オ複数の泳法で長く泳ぐ又はリレー ( 1 ) 技能アゴール型 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イネット型 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウベースボール型 ( 1 ) 技能ア柔道 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ剣道 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ア創作ダンス ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イフォークダンス ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ現代的なリズムのダンス ( 1 ) 技能( 1 )スポーツの歴史, 文化的特性や現代のスポーツの特徴( 2 )運動やスポーツの効果的な学習の仕方( 3 )豊かなスポーツライフの設計の仕方

【A体つくり運動】

【B 器械運動】

【C 陸上競技】

【D 水泳】

【E 球技】

【F 武道】

【G ダンス】

【H 体育理論】

領域の内容

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保健学習の内容のまとまり・系統性

3・4年 5・6年 1年 2年 次の年次 3年 入学年次

小学校 中学校 高等学校

身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内容

個人生活における健康・安全に関する内容

個人及び社会生活における健康・安全に関する内容

毎日の生活と健康

育ちゆく体とわたし

心の健康

けがの防止

病気の予防

心身の機能の発達と心

の健康

傷害の防止

健康と環境

健康な生活と疾病の予

防 現代社会と健康

生涯を通じる健康

社会生活と健康

8時間 16時間 48時間 2単位

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指導計画の作成と内容の取扱い(小学校)

(1) 地域や学校の実態を考慮するとともに, 個々の児童の運動経験や技能の程度な

どに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること。

指導計画作成上の配慮事項

(2) 一部の領域の指導に偏ることのないよう授業時数を配当すること。

(3) 第2 の第3 学年及び第4 学年の内容の「G 保健」に配当する授業時数は, 2 学年間で8 単位時間程度, また, 第2 の第5 学年及び第6 学年の内容の「G 保健」に配当する授業時数は, 2 学年間で16単位時間程度とする。

(4) 第2 の第3 学年及び第4 学年の内容の「G 保健」並びに第5 学年及び第6 学年の内容の「G 保健」( 以下「保健」という。) については, 効果的な学習が行われるよう適切な時期に, ある程度まとまった時間を配当すること。

(5) 第1 章総則の第1 の2 及び第3 章道徳の第1 に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら, 第3 章道徳の第2 に示す内容について,

体育科の特質に応じて適切な指導をすること。

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新学習指導要領における授業時数(小学校) 各教科等の年間授業時数(小学校<平成20年6月>)

第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年国語 306 315 245 245 175 175社会 70 90 100 105算数 136 175 175 175 175 175理科 90 105 105 105生活 102 105音楽 68 70 60 60 50 50

図画工作 68 70 60 60 50 50家庭 60 55体育 102 105 105 105 90 90

34 35 35 35 35 3535 35

70 70 70 70

34 35 35 35 35 35850 910 945 980 980 980

備考1 この表の授業時数の1 単位時間は, 45分とする。2 特別活動の授業時数は,小学校学習指導要領で定める学級活動 (学校給食に係るものを除く。) に充てるものとする。3 第5 0条第2 項の場合において,道徳のほかに宗教を加えるときは,宗教の授業時数をもつてこの表の 道徳の授業時数の一部に代えることができる。( 別表第2 及び別表第4 の場合においても同様とする。)

総授業時数

区分

各教科の授業時数

道徳の授業時数外国語活動の授業

時数総合的な学習の時

間の授業時数特別活動の授業時

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指導計画の作成と内容の取扱い(中学校)

1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。

(1) 授業時数の配当については, 次のとおり取り扱うこと。

ア保健分野の授業時数は, 3 学年間で, 48単位時間程度を配当すること。

イ体育分野の授業時数は, 各学年にわたって適切に配当すること。

その際, 体育分野の内容の「A 体つくり運動」については, 各学年で7 単位時間以上を,「H 体育理論」については, 各学年で3 単位時間以上を配当すること。

ウ体育分野の内容の「B 器械運動」から「G ダンス」までの領域の授業時数は, その内容の習熟を図ることができるよう考慮して配当すること。

エ保健分野の授業時数は, 3 学年間を通して適切に配当し, 各学年において効果的な学習が行われるよう適切な時期にある程度まとまった時間を配当すること。

指導計画の作成(各学年 年間105時間)

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新学習指導要領における授業時数(中学校)

各教科等の年間授業時数(中学校<平成20年7月>)

第1学年 第2学年 第3学年国語 140 140 105社会 105 105 140数学 140 105 140理科 105 140 140音楽 45 35 35美術 45 35 35保健体育 105 105 105技術・家庭

70 70 35

外国語 140 140 14035 35 3550 70 70

35 35 35

1015 1015 1015

備考1 この表の授業時数の1 単位時間は, 50分とする。2 特別活動の授業時数は, 中学校学習指導要領で定める学級活動(学校給食に係るものを除く。) に充てるものとする。

総授業時数

区分

各教科の授業時数

道徳の授業時数総合的な学習の時間の授業時数特別活動の授業時数

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新学習指導要領における授業時数(高等学校)

各学科に共通する教科・科目の年間標準単位数(高等学校<平成21年7月>)

教科 科目体育保健

備考単位については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。卒業までに履修させる単位数の計は74単位以上

標準単位数7~8

2保健体育

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体育・保健体育科の学習内容

1・2 3・4 5・6

体つくり運動

器械運動

陸上運動

水 泳

ボール運動

表現運動

体つくり運動

器械運動

陸上競技

水 泳

球 技

ダ ン ス

体育理論

保健

中学校 小学校

1 2 3

高等学校

武 道

保健

選択履修

1 2 3

器械・器具を使

っての運動遊び

走跳の運動遊び

水遊び

ゲーム

表現リズム遊び

8/2 16/2 48/3

7 7 7

3 3 3

7~10 7~10 7~10

6 6 6

2 2 2

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新学習指導要領の改善事項 2

A 体つくり運動

B 器械運動

C 陸上競技

D 水泳

E 球技

F 武道

G ダンス

H 体育理論

○指導内容の体系化

第3学年

必修

BCDGか

ら①以上選

C 陸上競技

D 水泳

EFから①以上選択

G ダンス

必修

A 体つくり運動

B 器械運動

E 球技

F 武道

H 体育理論

第1学年及び第2学年 高校1~3学年

B~Gから

②以上選択

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小学校体育科の領域構成と内容 1年 2年 3年 4年 5年 6年

体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動多様な動きをつくる運動遊び多様な動きをつくる運動遊び多様な動きをつくる運動多様な動きをつくる運動体力を高める運動 体力を高める運動

毎日の生活と健康 育ちゆく体とわたし 心の健康 病気の予防けがの防止

表現

フォークダンス

ボールゲーム鬼遊び

表現遊びリズム遊び

表現リズムダンス

ゴール型ゲームネット型ゲーム

ベースボール型ゲーム

ゴール型ネット型

ベースボール型

かけっこ・リレー小型ハードル走

幅跳び高跳び

短距離走・リレーハードル走走り幅跳び走り高跳び

【表現リズム遊び】 【表現運動】

【保健】

マット運動鉄棒運動

跳び箱運動

マット運動鉄棒運動

跳び箱運動

固定施設を使った運動遊びマットを使った運動遊び鉄棒を使った運動遊び

跳び箱を使った運動遊び

走の運動遊び

跳の運動遊び

【水遊び】 【浮く・泳ぐ運動】 【水泳】

【ゲーム】 【ボール運動】

水に慣れる遊び浮く・もぐる遊び

浮く運動泳ぐ運動

クロール平泳ぎ

【体つくり運動】

【器械・器具を使っての運動遊び】 【器械運動】

【走・跳の運動遊び】 【走・跳の運動】 【陸上運動】

8 16

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中学校保健体育科体育分野の領域および内容 [第1学年及び第2学年] [第3学年]

【A 体つくり運動】 【A 体つくり運動】ア体ほぐしの運動 ア体ほぐしの運動イ体力を高める運動 イ体力を高める運動【B 器械運動】 【B 器械運動】アマット運動 イ鉄棒運動 アマット運動 イ鉄棒運動ウ平均台運動 エ跳び箱運動 ウ平均台運動 エ跳び箱運動【C 陸上競技】 【C 陸上競技】ア短距離走・リレー,長距離走 又はハードル走 ア短距離走・リレー,長距離走 又はハードル走イ走り幅跳び又は走り高跳び イ走り幅跳び又は走り高跳び【D 水泳】 【D 水泳】アクロール イ平泳ぎ ウ背泳ぎ アクロール イ平泳ぎ ウ背泳ぎエバタフライ エバタフライ オ複数の泳法で泳ぐ又はリレー【E 球技】 【E 球技】アゴール型 イネット型 ウベースボール型 アゴール型 イネット型 ウベースボール型【F 武道】 【F 武道】ア柔道 イ剣道 ウ相撲 ア柔道 イ剣道 ウ相撲【G ダンス】 【G ダンス】ア創作ダンス イフォークダンス ア創作ダンス イフォークダンスウ現代的なリズムのダンス ウ現代的なリズムのダンス【H 体育理論】 【H 体育理論】(1) 運動やスポーツの多様性 (1) 文化としてのスポーツの意義(2) 運動やスポーツが心身の発達に与える 効果と安全

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高等学校保健体育科科目体育の領域構成 領域

ア体ほぐしの運動 ( 1 ) 運動 ( 2 ) 態度イ体力を高める運動 ( 1 ) 運動 ( 3 )知識, 思考・判断アマット運動 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ鉄棒運動 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ平均台運動 ( 1 ) 技能エ跳び箱運動 ( 1 ) 技能ア競走 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ跳躍 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ投てき ( 1 ) 技能アクロール ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ平泳ぎ ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ背泳ぎ ( 1 ) 技能エバタフライ ( 1 ) 技能オ複数の泳法で長く泳ぐ又はリレー ( 1 ) 技能アゴール型 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イネット型 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウベースボール型 ( 1 ) 技能ア柔道 ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イ剣道 ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ア創作ダンス ( 1 ) 技能 ( 2 ) 態度イフォークダンス ( 1 ) 技能 ( 3 )知識, 思考・判断ウ現代的なリズムのダンス ( 1 ) 技能( 1 )スポーツの歴史, 文化的特性や現代のスポーツの特徴( 2 )運動やスポーツの効果的な学習の仕方( 3 )豊かなスポーツライフの設計の仕方

【A体つくり運動】

【B 器械運動】

【C 陸上競技】

【D 水泳】

【E 球技】

【F 武道】

【G ダンス】

【H 体育理論】

領域の内容

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「体つくり運動」領域について

体操

平成10年改定

体ほぐしの運動

・気づき

・交流

・調整

体力を高める運動

(多様な動きをつくる運動(遊び))

体力

(筋力、持久力、調整力)

を高めるために

つくられ

行なわれる運動

体つくり運動

『「体を動かすことの心地よさ(楽しさ)」に気づき、仲間と共にその楽しさを味わう(交流する)ことができるとともに、自分の心身の状態を整える(調整する)ことができる』ことを意図して(手段的に)用意される運動群。

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多様な動きをつくる運動(遊び)-体力を高める運動(指導要領例示)

(ア) 体のバランスをとる運動遊 び (イ) 体を移動する運動遊び (ウ) 用具を操作する運動遊び (エ) 力試しの運動遊び

(ア) 体のバランスをとる運動

(イ) 体を移動する運動

(ウ) 用具を操作する運動

(エ) 力試しの運動

(オ) 基本的な動きを組み合わせる運動

(ア) 体の柔らかさ及び巧みな動きを高める

ための運動

(イ) 力強い動き及び動きを持続する能力

を高めるための運動特に, 高学年児

童の発達の段階を考慮し, 体の柔ら

かさや巧みな動きを高めるための運動

に重点を置いて指導する。

○ のびのびとした動作で用具な

どを用いた運動を行うこと。

○ リズムに乗って, 心が弾むよ

うな動作で運動を行うこと。

○ リラックスしながらペアでのス

トレッチングを行うこと。

○ 動作や人数などの条件を変

えて, 歩いたり走ったりする

運動を行うこと。

○ 伝承遊びや集団による運動

遊びを行うこと。

○ のびのびとした動作で用具

などを用いた運動を行うこと。

○ リズムに乗って, 心が弾む

ような動作で運動を行うこと。

○ リラックスしながらペアでの

ストレッチングを行うこと。

○ 動作や人数などの条件を変

えて, 歩いたり走ったりする

運動を行うこと。

○ 伝承遊びや集団による運動

を行うこと。

○ のびのびとした動作で用具などを用い

た運動を行うこと。

○ リズムに乗って, 心が弾むような動作

での運動を行うこと。

○ 互いの体に気付き合いながらペアでの

ストレッチングを行うこと。

○ 動作や人数などの条件を変えて, 歩い

たり走ったりする運動を行うこと。

○ 伝承遊びや集団による運動を行うこと。

1・2学年 3・4学年 5・6学年

体ほぐしの運動

多様な動きをつくる運動遊び 多様な動きをつくる運動 体力を高める運動

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体ほぐしの運動、および体力を高める運動<中学校>(指導要領例示)

○体の柔らかさ, 巧みな動き, 力強い動き, 動きを持続する能力を高めるための運動の中から, 一つのねらいを取り上げ, 運動例を組み合わせて行うこと。

○体の柔らかさ, 巧みな動き,力強い動き, 動きを持続する能力を高めるための運動の中から, ねらいが異なる運動例を組み合わせて行うこと。

○健康に生活するための体力を高める運動の計画と実践

・食事や睡眠などの生活習慣の改善も含め, 休憩時間, 運動部の活動及び家庭などで日常的に行うことができる運動例を用いて計画を立て取り組むこと。

○ 運動を行うための体力を高める運動の計画と実践

・新体力テストの測定結果などを参考にして自己の体力の状況を把握し, その結果を踏まえた調和のとれた体力の向上を図るための運動の計画を立て取り組むこと。

○のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行うこと。

○リズムに乗って心が弾むような運動を行うこと。

○ペアでストレッチングをしたり, 緊張を解いて脱力したりする運動を行うこと。

○いろいろな条件で, 歩いたり走ったり跳びはねたりする運動を行うこと。

○仲間と動きを合わせたり, 対応したりする運動を行うこと。

○のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行うこと。

○リズムに乗って心が弾むような運動を行うこと。

○ペアでストレッチングをしたり, 緊張を解いて脱力したりする運動を行うこと。

○いろいろな条件で, 歩いたり走ったり跳びはねたりする運動を行うこと。

○仲間と動きを合わせたり, 対応したりする運動を行うこと。

1・2学年 3学年

体ほぐしの運動

体力を高める運動

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体力とは・・・

体力

精神的要素

身体的要素

行動体力

防衛体力

形態

機能

構造

機能

防衛体力

行動体力

体格

姿勢

筋力

敏捷性・スピード

平衡性・協応性

持久性

柔軟性

器官・組織の構造

温度調節

免疫

適応

意志

判断

意欲 精神的ストレスに対する

抵抗力 「新体力テスト 有意義な活用のために」 文部省 2000 まとめへ

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子どもの体力育成は主体の意識の問題

どんな運動でも:

「正確に」と心がけて行えば、 調整力が高まる。

「繰り返し」行えば、 持久力が高まる。

「力強く」行えば、 筋力が高まる。

(加賀谷 1977)

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いやいや “やらされる運動”では体力向上は困難

「正確にしよう」

「繰り返し(また、まだ)しよう」

「(おもいきり)力強くしよう」

子どもが

と思うことが重要です。

運動(遊び)は、子どもにとって楽しいものです。

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問題 1

• 改訂された学習指導要領体育科編の改訂の

ポイントとして挙げられる「指導内容の体系化」と「指導内容の明確化」のそれぞれについて、簡単に説明しなさい。

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方法論

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体育科・保健体育科の学習指導計画

保健体育科の指導案(単元計画)の構造

1 単元名

2 クラス

3 授業者名

4 教材観/単元設定の理由 (運動の一般的特性 および その意義)

5 児童・生徒観

6 指導観(子どもからみた運動の特性)

7 単元の学習目標

8 学習指導の道筋

9 本時案

・ (日時) ○/○

・本時の目標

・本時の学習指導

の道筋

①○○の基本的な技術を身につける。

<運動の技能>

②仲間と協力し安全に留意しながら、公平(正)にゲーム

を楽しむこと ができるようにする。

<関心・意欲・態度>

③練習の仕方を工夫し、チームの課題や自分の能力に

応じた課題の解決ができるようにする。

<思考・判断>

④○○の運動の特性を正しく理解することができるよう

にする。

<知識・理解>

運動の技術とは「運動の合理的・経済的な行ない方(知識)」

技能とは技術が身に付いた状態(能力)

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器械運動、陸上競技、水泳 の各領域から一つ選び教材観~指導観を

○求めていた事柄を理解し、簡潔に整理できている例

単元名; 水泳

教材観; 水泳は競争型、達成型の特性をもつ運動である。

生徒観; 皆、クロールで泳ぐことはできるが、速い生徒と遅い生徒の差が激しい。

指導観; 各自の苦手意識を克服し、より多くの生徒が目標記録を突破できるよう、

達成型の特性に焦点を当て、(個々の生徒の主体性を引き出すことができ

るよう)指導していきたい。

▽ 単元の設定にかかわって、努力を要する例

×機械体操 ×持久走(陸上競技) ×倒立前転

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器械運動、陸上競技、水泳 の各領域から一つ選び教材観~指導観を

▽ 教材観が適切に記述されていない例

(水泳)

水泳で、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライを25m泳げるようにする。

(ハードル走)

達成型に重点をおき、基本的なフォームを指導し、一つも倒さずにゴールする。

▽ 指導観の表現に問題がある例

(ハードル走)

ハードル走をやることにより、最初は運動が嫌いだった子も、運動に関心をもってくれる。

学習ないし指導上の目標が記述されており、運動の特性に関する記述がない。

すべての生徒がハードル走への関心を高め、主体的に取り組むことができるよう、各自の目標記録に挑戦させる。そのなかで、それぞれにとっての課題を明確にし、課題解決に取り組むことができるよう個に応じた指導を心掛けていくこととする。

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(保健)体育科の学習指導計画の類型 運動学習にかかわる体育科・保健体育科の学習指導計画は、次の4類型に整理できます。

該当する領域; 器械運動、陸上(運動)競技、水泳

該当する領域; 球技(ボール運動)

該当する領域; 体つくり運動

該当する領域; 武道、ダンス(表現運動)

1 教材観に記述される「運動の(一般的)機能的特性」に、達成型と競争型の二つの特性を列記することができることから、児童・生徒観を踏まえ、指導観では機能的特性をどのように焦点化、あるいは、その変容過程をどのように導いていくかが重要となるもの

2 教材観に記述される「運動の(一般的)機能的特性」は、競争型の特性しかないことから「運動の構造的特性」を記述したうえで、児童・生徒観を踏まえ、指導観では構造的特性をどのように子どもに合わせていくのかの指導の手立てが重要となるもの。

3 教材観に「運動の効果的特性」の記述が不可欠となるもの。

4 学習指導過程上、基礎的・基本的な動きの学習・指導の積み重ねが

必要ともの。

Point; 運動の一般的特性として、“楽しさ” が中核とはならない。

Point; 特に、武道については、。

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体育・保健体育科(体育分野)の内容分類 運動の 位置づけ

手段的

目的的

体力を高める、そのために何が必要となるかを経験的に知る。

個人で、あるいは、他者と一緒に体を動かすことの心地よさに気づき、心や体の調子を整える。

自他を尊重する気持ち(礼の精神)、昨日の己に勝つ気持ち(克己の精神)を身に付ける。

体ほぐしの運動(体力を高める運動の系列の運動)

体ほぐしの運動(体ほぐしの運動)

武道

目的、特性 該当する領域

何かとの競争を楽しむ。

機能的特性が一般的には、競争型、達成型の2つ併存する内容

器械運動系、陸上運動系、

水泳系

機能的特性が一般的には、競争型しか考えられない内容

ボール運動系

何かになりきる、あるいは、リズムに乗って体で表現して楽しむ。 表現運動系

○体育科、保健体育科の学習指導計画は、取り上げる運動の意味が6つ分類整理できることから、

この点を踏まえた指導計画の立案が大切となる。

○体ほぐしの運動については、運動の技能の観点は評価しにくいことから、関心・意欲・態度、思考・

判断の2つの観点で評価することになる。単元の学習目標もこの2観点から設定されることになる。

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考えてみよう

• 単元全体をいくつかのまとまりに分けることをしない場合の、単元の学習目標とねらい①の

関係は?

・1時間をいくつかのまとまりに分けることをしない場合の、本時の目標とめあて①の関係は?

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単元計画をめぐって:学習指導過程

めあて① 今できる跳び方でいろいろな

跳び箱を跳び越す。

めあて② 少し努力すればできそうな跳

び方に挑戦する。

ねらい①

簡単なルールやマ

ナーを理解し、ゲー

ムをする。

ねらい②

対戦チームを選ん

だり、ルールや作戦

を工夫したりしてゲ

ームをする。

1時間の流れ

1時間の流れ

単元の流れ 単元の流れ

(跳び箱運動の例) (サッカーの例)

(保健)体育科の単元計画の基本的タイプ ○関心・意欲・態度

○知識・理解

○思考・判断

○技能

○関心・意欲・態度

○知識・理解

○思考・判断

○技能

単元の学習目標は4つ(小学校では3つ)ですが、毎時間そのすべての観点で評価することはで実際上困難です。

単元の学習指導の設定の仕方によって、本時の目標は一つだけという場合も考えられます。

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単元構成の基本的パターン

1 独立単元として取り扱い、他

の領域の学習指導との接続を

図る。

2 各運動領域の前に(基本的に

毎時)、○○体操のように帯状

単元して設定する。

3 関連付けを図りやすい特定

の領域(例えば、陸上競技、

ダンスなど)の、学習指導と

の組み合わせ単元で内容

を編成する。

単元の流れ 1時間の流れ

各単元の流れ 1時間の流れ

1学期 2学期 3学期

各単元の流れ 1時間の流れ

短距離走・リレー

ねらい① ねらい② めあて①

めあて②

鉄棒

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学習指導過程と学習評価

学習・指導

学習評価

診断的評価 形成的評価 総括的評価

学習者のレディ

ネスを確かめ、

学習課題を策定

する

学習の進み具合を

確認し、学習課題と

学習者のレディネス

との適合を図る

単元を振り返り、

学習の成果や問

題点を把握する

学習・指導 学習評価 前後の関係

表裏の関係

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⑦_3 絶対評価 と 相対評価

相対評価: A君 と B君 を比べれば、A君が○。

[集団に準拠した評価]

絶対評価: ある基準にもとづくと、A君は○だけど、B君は△。

[目標に準拠した評価]

絶対的な基準に照らしてみたとき、“個人の伸び”は教師も無視しがたい!!

しかし、「個人内評価」と「絶対評価」は異なる。

A君

B君

授業開始時

510cm

340cm

授業終了時

515cm

390cm

伸び

5cm

50cm

3 1

500cm 400cm

1 2 3

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問題 A中学校では、「体つくり運動領域」については、すべての学年で独立単元、あるいは、組み合わせ単元で、集中的に取り扱わないで、年間を通して、すべての運動学習の前に5分間時間をとり、帯状単元として実施している。

A中学校の取り組みは、学習指導要領の内容の取扱いに示されている点を考慮しても問題ないと言えるか?

中学校の年間授業時間数は各学年105時間。保健分野には、各学年均等に時間配分し、体育理論も学習指導要領の内容の取扱いに示されたとおり実施するという前提で考えてみましょう。

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学習指導の道筋(学習指導過程) 例1

(バスケットボールの例) 8 学習指導の道筋(全 n 時間)

1 2 3 4 5(本時) 6 7 8 9

オリエンテーション

学習の見通しをもつ

・準備運動をする。

・めあてを確認する。

・共通課題の練習をする。

・ゲームをする。

・振り返りをする。

・準備運動をする。

・グループごとに作戦を考え、

練習する。

・ゲーム1をする。

・振り返りをする。

・ゲーム2をする。

・まとめをする。

知識・理解

【一斉指導】

関心・意欲・態度

知識・理解

【判別指導】 【グループ学習】

思考・判断

運動の技能

評価の観点、学習指導形態など

教師の支援

学習内容・活動

ねらい① ねらい②

学習の振り返りをする

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学習指導の道筋(学習指導過程)の作表例1

(跳び箱運動の例) 8 学習指導の道筋(全 n 時間)

1 2 3 4 5(本時) 6 7

学習内容・活動

オリエンテーション

学習の見通しをもつ

・準備運動をする。

・めあてを確認する。

・提示された技から、自分のできる技を選び、

よりダイナミックにできるようにする。

・提示された技から、少し努力すればできそうな技を選び、挑戦する。

・授業の振り返りをする

・整理運動をする。

・準備運動をする。

・各自の挑戦したい技に挑戦する。

・授業の振り返りをする

・整理運動をする。

めあて① 今できる跳び方でいろいろな 跳び箱を跳び越す。

めあて② 少し努力すればできそうな跳び方に挑戦する。

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単元の流れ

一時間の流れ

めあて①

できそうな技(単技)に挑戦する。

めあて②

自分のできる技をなめらかに、あるいは、ダイナミックにできるようにしたり、技を組み合わせてできるようにする。

はじめの段階 進んだ段階

めあて①

できそうな技(単技)に挑戦する。

めあて②

自分のできる技をグループの仲間とタイミングを合わせてできるようにする。

めあて①

できそうな技(単技)に挑戦する。

めあて②

自分のできる技をなめらかに、あるいは、ダイナミックにできるようにしたり、技を組み合わせてできるようにする。

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単元の流れ

一時間の流れ

ねらい① ねらい②

より高く跳べる場をつくり、練習を工夫して自分の記録に挑戦する。

自分の記録のめやすを決め、グループで得点を競い合う。

・短助走での練習で、自分の課題をみつける。

・自分にあった練習の場で運 動の課題解決に向けた練習をする。

・自分の記録に挑戦する。

・自分の記録のめやすを決める。

・グループを決め、グループでの競争の仕方を決める。

・競争の仕方や相手をかえてグループで競争する。

はじめの段階 進んだ段階

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課題 実践的課題:

体力の向上を重視し、「体つくり運動」の一層の充実を図るために、各学年で「体つくり運動」に最低でも7時間充当する必要があるが、それをどのように組み込むか?

どのような内容を、どのように取り扱うのか?

課題への対応例:

1 独立する単元として取り扱い、他の領域の学習指導との接続を図る。

2 各運動領域の前に(基本的に毎時)、○○体操として設定する。

3 関連付けを図りやすい特定の領域(例えば、陸上競技、ダンスなど)の、学習指導との組み合わせで内容を編成する。

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体つくり運動領域の学習指導過程 (1時間の流れ)

「はじめ」~「なか」の段階にかけて、

教師が多種多様な運動を目的的に用意していく必要がある。

どんな運動を、どのような手順で取り上げればよいか?

はじめ

やや活動的な運動

静的な運動

活動的な運動

まとめ

1時間の流れ

教師は、学習者に何を説明するのか。

教師は、学習者に何を確認させるのか。

○それぞれ、どのような運動を具体的に用意していくのか。

○運動の配列の仕方に、他のパターンはないか。

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体つくり運動領域の学習指導過程 (単元の流れ)

単元を通して、教師が具体的な運動を最初から最後まで用意し、

学習者に行なわさせる授業展開は困難。

単元全体の学習過程をどのように編成していくか?

ほぐしⅠ ほぐしⅡ

単元の流れ

○学習者は、提示された運動を行ない、運動のねらいを実現する。

□教師は、学習者の実態を踏まえ、学習の内容としての運動を用意し提示する。

○学習者は、学習の経験を踏まえ、運動の仕方に工夫を加えたり、多様な運動を組み合わせてねらいを実現する。

□教師は、学習者が運動の幅を広げたり深めたりすることができるよう支援する。

ねらい② ねらい①

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⑦学習の指導と評価の在り方

学習評価の意味・機能

学習への

フィードバック

指導への

フィードバック

指導要録

への記載

成績通知票

への記載

その他

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学習指導形態

(保健)体育科の学習指導形態は、学習集団の編成の仕方のことをいう。

学習指導形態は、以下の4つに分類できる。

一斉指導

班別指導

グループ学習

個別学習

T

P P P P P P P P P P P P

T

P P P

P

P P P

P

P P P

P

T

P P P

P

P P P

P

P P P

P

T

P P P P P P P P P P P P

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グループ学習をめぐって

どのチーム(グループ)にも、同等に勝つチャンスを与えようとすると;

グループ内は学習レディネス(技能等)の異なる学習者で構成され、

グループ間等質・グループ内異質のグループ編成となる。

学習者の学習レディネス(技能等)の違いに応じていこうとすると;

グループ内は学習レディネス(技能等)の似通った学習者で構成され、

グループ間異質・グループ内等質のグループ編成となる。

利点; グループで協力して勝敗を楽しむことができる。

課題; 皆が同等に勝つことに貢献できるかの問題が残る。

利点; 皆が同等に勝つことに貢献できる可能性が広がる。

課題; 結果的に「能力別」に分けられることで、意欲が低下する可能性がある。

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学習者と教師の共同による授業づくり

体育授業

目標・内容・方法

人的条件

学習指導

形態等の

工夫

物的条件

施設、用具

等の工夫

時間・内容条件

学習指導過程

やルール等の

工夫

関連的条件

ことばかけ、 情報機器の活用 等

教師 学習者

体育授業をつくるのも、その過程や結果を味わうのも学習者と教師の共同。

その過程や結果がどうであったかの味見(値踏み)が授業評価。

実際の授業場面によって、授業づくりに必要などの要素にどの程度の力を注ぐかは異なります。

学習指導形態 学習指導過程

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5~

保健体育(体育分野)の学習指導計画(単元計画)の実際

1時間の流れ

単元の流れ

ラグビー

フットボール

型の運動の

特性を理解

する

ラグビー

フットボール

型の運動の

ルールや作戦

の立て方等に

ついて理解する

【形式知】

ラグビー

フットボール

型の運動の

安全面について

理解する

ラグビー

フットボール

型の運動を

作戦を工夫し

ながら、トー

ナメント方式

でゲームを楽

しむ

【経験知】 【オリエンテーション・はじめ】

一斉指導で、運動の特性を理解させるとともに、これからの学習の見通しをもたせる。

学習指導過程や学習指導形態をどのように編成するかが重要。もちろん、単元の規模

の設定の仕方も重要。 「関心・意欲・態度」を高め

「思考・判断」、「運動の技能」を高める。そのためにも「関心・意

欲・態度」は大切。

「運動に学習者を合わせる」のではなく、「学習者に運動を合わせる」

パスリレー

(体ほぐし)

【なかの段階】

チーム間等質、チーム内異質になるようグループを編成し、各グループで作戦や練習の仕方を工夫し、ゲームを楽しむことができるようにする。

小学生にラグビー

フットボール型の

運動あり?

ゲーム中心で

展開する場合、

最初からトーナ

メント?

授業のまとめを

どうする?

もう少し時間を

かけたいが、

年間計画の

工夫は?

○運動の「機能的特性」

○運動の「構造的特性」

○運動の「効果的特性」

学習の内容・活動

教師の支援

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運動の特性をめぐって

体育科・保健体育科の中心的方向目標(各種の運動を楽しむ、体力を培う)のうち、

運動を楽しむことに関わって重要となる「運動の特性」は、「機能的特性」である。

しかしながら、特に、ボール運動・球技の領域については、「機能的特性」は、「集団と集団が得点を競い合うことが楽しい」という「競争型」の特性となり、他の領域のように、特性の変容等を問題にしていくことはできないこととなる。

そこで、特に、ボール運動・球技の領域については、「集団と集団が、どのように得点を競い合うのか(ルールやシュートの仕方を含めたボール運びの方法等)に関わる構造的特性が重要となる。

注;

「機能的特性」を論じることができるのは、プレイの中でも「競争の遊び」であり、「表現の遊び」、および、プレイではない「体つくり運動」領域、(武道も基本的にはプレイではない)においては、「競争型」、「達成型」、「克服型」の機能的特性の分類を当てはめて考えることは適当ではない。

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(保健)体育科の学習指導案の類型 運動学習にかかわる体育科・保健体育科の学習指導案は、次の4つの類型で整理することができます。

該当する領域; 器械運動、陸上(運動)競技、水泳

該当する領域; 球技(ボール運動)

該当する領域; 体つくり運動

該当する領域; 武道、ダンス(表現運動)

1 教材観に「運動の機能的特性」の記述しかなかったとしても、

児童・生徒観-指導観の流れを導くことができるもの。

2 教材観に「運動の構造的特性」を記述しなければ、

児童・生徒観-指導観の流れを導くことができないもの。

3 教材観に「運動の効果的特性」の記述が不可欠となるもの。

4 学習指導過程上、基礎的・基本的な動きの学習・指導の積み重ねが

必要ともの。

Point; 運動の一般的特性として、競争型、達成型の二つの価値を有する。

Point; 運動の一般的特性として、競争型の価値以外はない。

Point; 運動の一般的特性として、“楽しさ” が中核とはならない。

Point; 特に、武道については、自他を敬う、また、克己の精神を。

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「運動の一般的特性」と

「子どもからみた運動の特性」をめぐって

教材観 運動の一般的特性

学習するクラスの

学習者の学習レディネス

指導観 子どもからみた運動の特性

学習の内容の一般的な意味や価値を記述します。

学習するクラスの子どもたちの学習の準備状況を記述します。

学習内容の一般的な意味や価値のどこに焦点化するかを記述します。

例えば、走り幅跳びは、一般的には、競争型、達成型の特性を有する運動ですが、

当該のクラスの学習者の学習者の学習レディネスから、そのどちらかに焦点化する、

あるいは、前半をどちらかで、後半を他の特性でという流も考えられる。

生徒観

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「運動の一般的特性」「子どもからみた特性」

運動の一般的特性

クラスの子どもたちの

学習レディネス

子どもからみた特性

ハードル走は、競争型、達成型

の特性をもつ運動である。

ハードル走の技術は多くの学習者

がほぼ身につけているが、他者と

の競走を嫌う子どもが多い。

各自の目標記録への挑戦という、

達成型の特性に焦点を当てる。

教材観

児童観

指導観

特性論へ

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考えてみよう バスケットボールを例に

教材観(運動の一般的特性)

児童・生徒観(学習レディネス)

指導観(子どもからみた運動の特性)

バスケットボールは、チームとチームが、○○○○○、得点を競い合って楽しむ競争型の特性を有する運動である。

○○○○○。

クラスの子どもは、バスケットボール型の運動の未経験者はいないが、子どもにとって、頭上の高いところにある小さなリングにボールをシュートすることは難しい状況にある。また、本校にあるミニ・バスケットボールのクラブに所属している子どもが数名おり、クラス内の技能差の幅が大きいという実態がある。さらに、本クラスでは、男女が協力的に一つのことに取り組むことが上手くできない子どもが少なくない。

クラスの子どもの状況に鑑み、子どもたちが安全に楽しむことができるように、 ○○

○○ ○のように運動を子どもに合わせ、ゲームを楽しむことができるようにする。

また、チーム編成については、皆が協力しながら練習やゲームができるように、

○○ ○○ ○としていくこととする。 特性論へ

運動の構造的特性

運動の機能的特性 運動の効果的特性

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学習指導計画にどのように反映されるのか タグ・ラグビーを例に

教材観(運動の一般的特性)

児童・生徒観(学習レディネス)

指導観(子どもからみた運動の特性)

ラグビー・フットボールは、チームとチームが、ボールを後ろにパスしながら、パスを受けた者はボールを保持して歩数制限なく移動し、自陣にトライして、得点を競い合って楽しむ競争型の特性を有する運動である。

防御者は、ボール保持者にタックルして、ボールを奪うことができる運動でもある。

クラスの子どもは、ラグビー・フットボール型の運動の経験者はおらず、興味を示す一方で、体と体のぶつかり合いに対する不安を持つ者が少なくない。また、発育・発達段階の途上にあり、スクラムやタックル等のプレイは適切とは言い難い状況にある。

クラスの子どもの状況に鑑み、子どもたちが安全に楽しむことができるよう、タックル、スクラム等の危険なプレイを省き、タグ・ラブビーのルールに基づいてゲームを行なうこととする。

また、チーム編成については・・・

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評価の経験可能性

6年生 ハンドボール

0分

5分

10分

15分

20分

25分

30分

35分

40分

45分

準備・本時の目標確認

試合1

他者評価、相互評価

試合2

自己評価、相互評価

1年生 シュートボール

0分

5分

10分

15分

20分

25分

30分

35分

40分

45分

準備・本時の目標確認

試合1

相互評価、他者評価

試合2

他者評価

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

VTR

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絶対評価をめぐる課題

1 「評価するための営みとしての授業」となり、学習者のより主体的な活動を抑制

してしまう場合が少なくない。

2 1人の教師でクラスの全ての学習者の評価を客観的に行うことはかなり難しい。

3 実際の授業場面では、4つの観点が互いに独立するという前提には立ちにくい。

「自分にあった練習方法を工夫している」

という学習者の姿は、

思考・判断 関心・意欲・態度

研究の出発点

これまでの体育の評価研究

に問題はないか

研究の目的

体育の評価観点は互いに独立か?

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体育の授業評価研究の動向

知識・理解

□ 高田、小林他の態度尺度

学習者に求められる姿について経験的に蓄積された項目を整理。

□ 高橋他の形成的評価法

統計的手法に基づく科学的な手順を踏んだ評価観点の整理。

因子分析(主因子法、バリマックス回転)

関心・意欲・態度 思考・判断

運動の技能 知識・理解

【直交解モデル】

思考・判断

運動の技能

【斜交解モデル】

関心・意欲・態度

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ボール運動(球技)の授業を対象とする

斜交解モデルによる分析結果

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 熱中 1.000 0.603 0.574 0.525 0.302 0.263 0.016 0.130 0.211 -0.058

2 協力 1.000 0.497 0.550 0.182 0.380 -0.050 0.211 0.293 -0.160

3 活躍 1.000 0.519 0.058 0.422 -0.041 0.140 0.245 -0.101

4 緊張 1.000 0.101 0.377 0.029 0.162 0.161 -0.061

5 安心 1.000 0.121 0.273 0.018 0.041 0.168

6 勝利 1.000 0.102 0.165 0.308 -0.008

7 雰囲気 1.000 0.030 0.170 0.251

8 場の設定 1.000 0.242 -0.079

9 励まし 1.000 0.120

10 個人的活動 1.000

因子

N=437人 68項目を因子分析(主因子法、プロマックス回転)

熱中 緊張 勝利

活躍

主だった結果を図示すると

協力

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絶対評価をめぐるジレンマ

◆個人内評価(個人の伸びを認めてしまう傾向がある)に関する問題

◆「できていない」が「意識がみられる」という状況に関する問題

◆ゲーム「全体的」にみてか「部分的」にみてか(みるポイントの違い)の問題

7人の評価者に結果を示し、一致率が低くなった原因について協議した結果

●どのような状態をみるのかの共通理解の確保

●「技能」は、意識と行動がかみ合った状態で(積極的な行動)意欲ではない

ことの共通理解の確保。技能と意欲が実践場面で明確に分けられるかに

ついてはなお検証が必要。

●授業場面ですべての学習者の全行動を把握することには限界がある。技

能についても、教師が観察できなかった部分について、何でどのように補う

のかについて明確にしておく必要がある。

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問題2

• プレイとしてのスポーツの、結果の未確定性を確保するためにどのような工夫が考えられるか、短距離走を例に簡単に説明しなさい。

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教授、陶冶、学ぶこと、教えることをめぐって

教授〔広義の教授〕ということには、生徒の活動、つまり、学ぶことと、教師の活動、つまり教えることが含まれている。学ぶこと〔学習〕-それは、知識・能力および習熟の体系を自分のものにする労働である。教えること〔狭義の教授〕-それは、生徒たちに知識を伝達することであり、作業の様式と仕方とについて生徒たちに指示することであり、学習という仕事の過程を指導すること、また、生徒たちの知識・能力および習熟の習得を点検することである。したがって、教授ということは、生徒たちに知識を授けるだけのことではなくて、陶冶を身につけることを目的としているかれらの活動を教師が指導することでもある。

陶冶は、人格の特徴を形成する過程としての教育と、別個に存在するものでは決してない。・・・(教授=教育 ?)

注)・・・デ・エヌ・ウシャコフ教授が編集している露語大辞典にみられる「教授学」という語の説明は正しくない。この辞典の執筆者たちは教授学の任務をば、教授の一般的方法を説明するだけのものと、かぎっているからである。・・・「ソビエト大百科事典」の第二版(第四巻)では、この欠陥は克服されている。(矢川)

ダニロフ、イシェシポフ 教授学 (矢川徳光訳) pp.11-12 1974

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教育学の成立と教育理論の系譜

コメニウス

「大教授学」 (1632) 汎知主義;すべての子どもにあらゆる知識を。現代の学校制度につながる、母親学校、国語学校、古典学校、大学を提案。

「世界図鑑」;世界最初の絵入り言語の言語教科書

ベーコン

「学問の進歩」

(1605) 科学研究の方法としての帰納法を提唱。

ペスタロッチ

「ゲルトルートはいかにその子を教えたか」(1801)) 汎愛主義;自ら学校を経営し、子どものしつけ、宗教的、道徳的情操の涵養に努める。また、読・書く・算に限られていた初等教育のカリキュラムに地理、理科、図画、音楽などの教科を導入

ルソー「エミール」

(1762) 自然主義思想家、哲学家。

フレーベル

「人の教育」(1826)「幼稚園教育学」 汎愛主義;自ら学校を経営し、子どものしつけ、宗教的、道徳的情操の涵養に努める。また、読・書く・算に限られていた初等教育のカリキュラムに地理、理科、図画、音楽などの教科を導入

ロック「教育論」(1693) 経験主義哲学家。

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⑦_2 評価規準

関心・意欲・態度

思考・判断

技能

運動の楽しさ体験

運動の学び方

技能・ルールの習得

◇学習カードの記載内容と教師の判断にズレがあるとき

「できる」、「できない」を判断する具体的基準を子どもとすり合わせ

る必要がある。

◇学習者の練習の方法や内容が合理的でないとき

直接的な指導や、学習者が合理的な練習方法や内容を導く教材・

資料が必要である。

◇学習カードの記載と、実際の学習行動にズレがあるとき

「楽しさ」の中身を具体的に聞き出せるような項目を検討していく必

要がある。

専門家としての教師の目による観察は、重要な評価の方法となるが、

学習者が主体的に学習・評価をしていくことも重要となる。

知識・理解

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学習指導過程と学習評価

学習・指導

学習評価

診断的評価 形成的評価 総括的評価

学習者のレディ

ネスを確かめ、

学習課題を策定

する

学習の進み具合を

確認し、学習課題と

学習者のレディネス

との適合を図る

単元を振り返り、

学習の成果や問

題点を把握する

学習・指導 学習評価 前後の関係

表裏の関係

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絶対評価の特質

相対評価 絶対評価

点数化

客観性

目標に

準拠した

評価の

妥当性

○楽しめているか

○工夫しているか

○技能は高まったか

○理解を深めたか

△楽しめているか

△工夫しているか

△技能は高まったか

△理解を深めたか

△ ○

○ △ ○基本的な考え方は理解できるが

△方法が確立されていない

評価結果

信頼性 △

得点

X -sd sd

68.3%

3 2 1

【正規分布を仮定すると】

15.8% 15.8%

A校の3とB校の3は同質であるか?

(学校間格差、クラス間格差の問題) △ 評価方法が確立されていないので課題

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運動能力は正規分布するか?

記録

正規分布の前提に立てないとき

1 平均、標準偏差に基づくのではなく、分布に基づく。

2 Percentail Rank(順位に得点をつける)を用いる。

各学校による評価結果の違いを増幅する危険性がある。

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大教の体育・スポーツという集団にとっての走り幅跳びの目標記録設定の試み

男子

女子

走り幅跳び

の目標記録 =

50m走

の記録 ×

走り高跳び

の目標記録 = 垂直とび ×

走り幅跳び

の目標記録 = × +

走り高跳び

の目標記録 =

50m走

の記録 × - + ×

注)集団が変れば、関係する要因の重みや関わり方が変ります。

-118.127 + 1251.201

0.712 + 100.941

20.989 身長 1.342 258.485

垂直とび 4.621 141.893

*有意に関係する変数はなかった。

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no 性 身長 体重 50m 幅跳 高跳 垂直跳 幅跳目標 差 高跳目標 差46 1 171.0 60.2 6.0 580 165 62 542 38 145 2047 1 177.0 69.0 6.5 530 160 60 483 47 144 1648 1 174.0 71.0 6.5 500 61 483 1749 1 170.0 66.0 6.3 500 130 70 507 -7 151 -21 50 1 179.0 73.0 6.5 500 160 70 483 17 151 951 1 163.0 56.0 7.0 250 140 60 424 -174 144 -4 58 1 178.0 83.5 6.6 400 472 -72 59 1 169.0 55.0 6.7 510 130 460 50 101 2960 1 168.0 61.0 6.3 400 140 507 -107 101 3961 1 179.0 70.0 6.0 550 150 542 8 101 4966 1 171.0 52.0 7.2 500 150 100 401 99 172 -22 67 1 174.0 68.0 7.0 430 120 424 6 101 1968 1 167.0 63.0 5.9 500 140 554 -54 101 3969 1 162.0 49.0 6.6 503 155 472 31 101 5453 2 163.5 57.0 7.6 400 56 401 -1 54 2 163.0 60.0 7.3 340 130 45 350 -10 113 1755 2 162.0 53.0 8.0 350 130 45 350 0 127 356 2 156.0 50.0 8.7 340 125 40 327 13 133 -8 57 2 169.0 62.0 7.2 350 130 65 442 -92 119 1162 2 160.0 54.0 8.1 370 40 327 4363 2 164.0 80.0 10.0 200 150 30 281 -81 171 -21 64 2 165.0 68.0 7.9 410 40 327 8365 2 175.0 63.0 7.8 407 155 50 373 34 140 15

大教の体育・スポーツという集団にとっての走り幅跳びの目標記録設定の試み

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評価の客観性確保

防御技能      項目 S C Y Ki Od Oi K 一致率1 ディフェンスの正しい構えと位置取りができる 3 3 3 2 3 3 3 85.62 巧みな足運びができる 3 3 3 2 3 3 3 85.63 相手との駆け引きができる 3 3 2 2 3 2 42.94 ハンドアップ(少なくとも片手は必ず挙げる)ができる 2 3 1 3 2 2 42.95 ボールに対して、手を出して叩き落とすことができる 2 3 1 3 2 2 42.96 ドリブルのボールカットを狙うことができる 2 1 3 3 28.67 パスする相手に自由なパスをさせないことができる 2 2 3 1 3 2 2 57.18 パスカットをねらうことができる 2 3 3 3 2 3 57.19 シュートチェックがはやい 2 3 2 3 3 42.9

10 楽なシュットをさせない 3 3 3 2 3 3 71.411 ディフェンスリバウンドに適した位置取りができる 1 2 3 2 28.612 リバウンドへのフォームを作ることができる 3 2 2 3 2 42.913 1対1の防御ができる 3 3 3 3 3 3 3 100.014 速攻につながる速いパスなどをださせない 2 3 1 3 3 42.915 ボールラインよりさがって守っている 2 2 28.616 オフェンスからディフェンスへの移り変わりを素早く行うことができる2 2 1 2 2 57.117 つねにボールと相手との関係を把握している 2 2 3 2 3 3 3 57.118 ヘルプに行くことができている 3 3 2 3 3 57.119 ボックスアウトができる 2 1 1 1 42.920 つねに動いて防御することができる 1 2 2 28.621 ディフェンスのローテーションをうまく行える 1 2 3 14.322 いつもコミュニケーションをとって協力して守ることができる 1 3 2 14.323 ディナイができている 2 3 3 2 28.624 スクリーンをうまくかわすことができる

25 ディフェンスリバウンドによく参加している 1 14.3

12月13日

バスケットボールの技能の観点に注目して、評価者7人の一致率を7時間に亘って追跡した。左表は最終日における結果である。

授業は大学の一般体育実技、抽出学生1名を7名の評価者で評価した結果である。

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評価の観点をめぐる課題

体育の目標

心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,運動に親しむ資質や能力を育てるとともに,健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。

「評価」とは、目標がどの程度実現できたかを測定し、学習や指導に活かしていく営み。

体育の目標との関係で、

次の4つの観点について

評価していく。

【評価規準】

◇関心・意欲・態度

◇思考・判断

◇運動の技能

◇知識・理解

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補足資料

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指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い1

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1) 地域や学校の実態を考慮するとともに,個々の児童の運動経験や技能の程度な

どに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること。

(2) 一部の領域の指導に偏ることのないよう授業時数を配当すること。

(3) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「F保健」に配当する授業時数は,2学年間

で8単位時間程度,また,第2の第5学年及び第6学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は,2学年間で16単位時間程度とすること。

(4) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「F保健」並びに第5学年及び第6学年の内

容の「G保健」(以下「保健」という。)については,効果的な学習が行われるよう適切な時期に,ある程度まとまった時間を配当すること。

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体育理論

H 体育理論 体育理論の内容は, 中学校期における運動やスポーツの合理的な実践や生涯 にわたる豊かなスポーツライフを送る上で必要となる運動やスポーツに関する 科学的知識等を中心に; 1運動やスポーツの多様性 2運動やスポーツが心身の発達に与える効果と安全 3文化としてのスポーツの意義 で構成されている。 なお,運動に関する領域との関連で指導することが効果的な内容については, 各運動に関する領域の「(3)知識, 思考・判断」で扱うこととしている。

中学校

1 「H 体育理論」は,各学年において,すべての生徒に履修させるとともに,「指導計画の作成と内容の取扱い」に, 授業時数を各学年で3 単位時間以上を配当することとしているので, この点を十分考慮して指導計画を作成する必要がある。

2 第1 学年においては, ( 1 )運動やスポーツの多様性を, 第2 学年においては, (2 )運動やスポーツが心身に発達に与える効果と安全を, 第3 学年おいては, ( 1 ) 文化としてのスポーツの意義をそれぞれ取り上げることとする。

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1 運動やスポーツの多様性

運動やスポーツの多様性

ア運動やスポーツの必要性と楽しさ

イ運動やスポーツへの多様なかかわり方

ウ運動やスポーツの学び方

(1) 運動やスポーツが多様であることについて理解できるようにする。

ア運動やスポーツは, 体を動かしたり, 健康を維持したりするなどの必要性や, 競技に

応じた力を試すなどの楽しさから生みだされ発展してきたこと。

イ運動やスポーツには, 行うこと, 見ること, 支えることなどの多様なかかわり方がある

こと。

ウ運動やスポーツには, 特有の技術や戦術があり, その学び方には一定の方法があ

ること。

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2 運動やスポーツが心身の発達に与える効果と安全

(2) 運動やスポーツの意義や効果などについて理解できるようにする。

ア運動やスポーツは, 身体の発達やその機能の維持, 体力の向上などの効果や

自信の獲得, ストレスの解消などの心理的効果が期待できること。

イ運動やスポーツは, ルールやマナーについて合意したり, 適切な人間関係を築

いたりするなどの社会性を高める効果が期待できること。

ウ運動やスポーツを行う際は, その特性や目的, 発達の段階や体調などを踏まえ

て運動を選ぶなど,健康・安全に留意する必要があること。

運動やスポーツが心身の

発達に与える効果と安全

ア運動やスポーツが心身に及ぼす効果

イ運動やスポーツが社会性の発達に及ぼす効果

ウ安全な運動やスポーツの行い方

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3 文化としてのスポーツの意義

(1) 文化としてのスポーツの意義について理解できるようにする。

アスポーツは文化的な生活を営み, よりよく生きていくために重要であること。

イオリンピックや国際的なスポーツ大会などは, 国際親善や世界平和に大きな役

割を果たしていること。

ウスポーツは, 民族や国, 人種や性, 障害の違いなどを超えて人々を結び付けて

いること。

文化としての

スポーツの意義

ア現代生活におけるスポーツの文化的意義

イ国際的なスポーツ大会などが果たす文化的な意義や役割

ウ人々を結び付けるスポーツの文化的な働き

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体育理論 高等学校

H 体育理論

体育理論の内容は,高等学校期における運動やスポーツの合理的,計画的な実践や生涯にわたる豊かなスポーツライフを送る上で必要となるスポーツに関する科学的知識等を中心に;

1スポー ツの歴史、文化的特性や現代のスポーツの特徴

2運動やスポーツの効果的な学習の仕方

3豊かなスポーツライフの設計の仕方

で構成されている。

なお,運動に関する領域との関連で指導することが効果的な内容については,各運動に関する領域の「(3)知識,思考・判断」で扱うこととしている。

内容の取扱い

ク「H体育理論」については,(1)は入学年次,(2)はその次の年次,(3)はそれ以降の年次

で取り上げること。各年次において,すべての生徒に履修させるとともに,「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」に,授業時数を各年次で6単位時間以上を配当することとしている。

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1 スポーツの歴史,文化的特性や現代のスポーツの特徴

(1) スポーツの歴史,文化的特性や現代のスポーツの特徴について理解できるようにする。

アスポーツは,人類の歴史とともに始まり,その理念が時代に応じて変容してきていること。

また,我が国から世界に普及し,発展しているスポーツがあること。

イスポーツの技術や戦術,ルールは,用具の改良やメディアの発達に伴い変わり続けてい

ること。

ウ現代のスポーツは,国際親善や世界平和に大きな役割を果たしており,その代表的なも

のにオリンピックムーブメントがあること。また,ドーピングは,フェアプレイの精神に反する

など,能力の限界に挑戦するスポーツの文化的価値を失わせること。

エ現代のスポーツは,経済的な波及効果があり,スポーツ産業が経済の中で大きな影響を

及ぼしていること。

1 スポーツの歴史,文化的特性

や現代のスポーツの特徴

アスポーツの歴史的発展と変容

イスポーツの技術,戦術,ルールの変化

ウオリンピックムーブメントとドーピング

エスポーツの経済的効果とスポーツ産業

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2 運動やスポーツの効果的な学習の仕方

(2) 運動やスポーツの効果的な学習の仕方について理解できるようにする。

ア運動やスポーツの技術は,学習を通して技能として発揮されるようになること。

また,技術の種類に応じた学習の仕方があること。

イ運動やスポーツの技能の上達過程にはいくつかの段階があり,その学習の段階に応じた

練習方法や運動観察の方法,課題の設定方法などがあること。

ウ運動やスポーツの技能と体力は,相互に関連していること。また,期待する成果に応じ

た技能や体力の高め方があること。

エ運動やスポーツを行う際は,気象条件の変化など様々な危険を予見し,回避することが

求められること。

2 運動やスポーツの

効果的な学習の仕方

ア運動やスポーツの技術と技能

イ運動やスポーツの技能の上達過程

ウ運動やスポーツの技能と体力の関係

エ運動やスポーツの活動時の健康・安全の確保の仕方

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3 豊かなスポーツライフの設計の仕方

(3) 豊かなスポーツライフの設計の仕方について理解できるようにする。

アスポーツは,各ライフステージにおける身体的,心理的,社会的特徴に応じた楽しみ方

があること。また,その楽しみ方は,個人のスポーツに対する欲求などによっても変化す

ること。

イ生涯にわたってスポーツを継続するためには,自己に適した運動機会をもつこと,施設

などを活用して活動の場をもつこと,ライフスタイルに応じたスポーツとのかかわり方を

見付けることなどが必要であること。

ウスポーツの振興は,様々な施策や組織,人々の支援や参画によって支えられていること。

エスポーツを行う際は,スポーツが環境にもたらす影響を考慮し,持続可能な社会の実現

に寄与する責任ある行動が求められること。

3 豊かなスポーツライフ

の設計の仕方

ア各ライフステージにおけるスポーツの楽しみ方

イライフスタイルに応じたスポーツとのかかわり方

ウスポーツ振興のための施策と諸条件

エスポーツと環境

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% 単位時間A 体つくり運動 2+2+2 (2~6) 12~18 15 14B 器械運動 0+1+1 (6~8) 12~16 15 14C 陸上運動 1+2+0 (4~6) 12~18 16 14D 水 泳 1+1+0 (7時間+3時間) 10 10 9E ボール運動 1+1+1 (7~10) 21~25 22 20F 表現運動 1+0+1 (5~6) 10~12 11 10G  保  健 2+2+1 (1~2) 8~10 9 8その他(新体力テスト) 1+0+0 (2) 2 2 1

計 100 90

領域 内容(運動種目)編成の方針 時間配分の方針決定

年間計画立案に向けた基本方針の策定

【小学校を例に】

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年間計画立案に向けた基本方針の策定

【中学校(2・3年生)を例に】

% 単位時間体つくり運動 必修 2+2+2 (2~6) 12~18 15 14器械運動 0+1+1 (6~8) 12~16 15 14陸上競技 1+2+0 (4~6) 12~18 16 14水 泳 1+1+0 (7時間+3時間) 10 10 9球技 1+1+1 (7~10) 21~25 22 20武道ダンス 1+0+1 (5~6) 10~12体育に関する知識 必修保  健 必修 2+2+1 (1~2) 8~10 9 8その他(新体力テスト) 1+0+0 (2) 2 2 1

計 100 90

10

1~2選択

2選択

必修・選択

11

領域 内容(運動種目)編成の方針 時間配分の方針決定

基本方針における考え方

①保健分野は、2年間で均一の時間配分とするか?

保健分野の授業時数は,3学年間で,48単位時間程度を配当すること。

②体育に関する知識は、実技と完全に切り離して教室で行なうか?

③「体つくり運動」は独立する単元としてのみ設定するか?

*表中の数値は、便宜的なものです。

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学期月週 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35

領域           行事 水泳大会 運動会 マラソン大会

A  体つくり運動 14 ア  体ほぐしの運動 ━ ━ ━ イ  体力を高める運動 ━━ ━ ━B  器械運動 14 ア  マット運動及び鉄棒運動 ━━━ イ  跳び箱運動 ━━━C  陸上運動 14 ア  短距離走・リレー及びハードル走 ━━ イ  走り幅跳び及び走り高跳び ━━ ━━D  水  泳 9 クロール及び平泳ぎ ━━━━E  ボール運動 20 ア  バスケットボール ━━━ イ  サッカー ━━‐ ウ  ソフトボール又はソフトバレーボール ━━━━F  表現運動 10 表現及びフォークダンス ━━━ ━━━G  保  健 8 けがの防止 ━ ━心の発達及び不安,悩みへの対処の仕方 ━ ━ ━病気の予防その他 1

スポーツテスト

90

1学期 2学期 3学期領域別授業時間数

9 10 11 124 5 6 7 1 2 3

総時間数

年間計画の例

「組み合わせ単元」を適宜設定していくことによって、年間計画にゆとりを持たせる等の工夫が必要。

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指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い

2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

(1) 第5学年及び第6学年の「A体つくり運動」の(1)のアの「体ほぐしの運動」について

は,各学年の各領域においてもその趣旨を生かした指導ができること。

(2) 「水遊び」,「浮く・泳ぐ運動」及び「水泳」の指導については,適切な水泳場の確

保が困難な場合にはこれらを取り扱わないことができるが,これらの心得について

は,必ず取り上げること。

(3) 「クロール」及び「平泳ぎ」の指導については,スタートも取り上げること。その際,

安全に十分留意すること。

(4) 集合,整とん,列の増減などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団とし

ての行動ができるようにするための指導については,第1学年及び第2学年,第3

学年及び第4学年の「A基本の運動」や第5学年及び第6学年の「A体つくり運動」

をはじめとして,各学年の各領域(保健を除く。)において適切に行うこと。

(5) 自然とのかかわりの深い雪遊び,氷上遊び,スキー,スケート,水辺活動などの

指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意すること。

(6) 保健の内容のうち食事,運動,休養及び睡眠については,保健を除く第3学年以

上の各領域及び学校給食に関する指導においても関連した指導を行うよう配慮す

ること。

(7) 保健の指導に当たっては,積極的に実習などを取り入れたり,課題を解決したり

していくような学習を行うなど指導方法の工夫を行うこと。

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授業のねらい

目標設定 計画

実行 評価

目標設定

学習指導要領に示された

目標、内容や各学校の教

育目標等

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体育科・保健体育科の目標をめぐって

目標;教育の営みにより、到達(達成)がめざされる内容。

*教育とは、人間の発達のために行なわれる意図的、計画的な営。

したがって、どのような営みとして展開するのかという計画性が伴う。

「学習・指導の道筋」として別に示す。

教育の営みには、学習の主体としての児童・生徒と、(狭義の)教授の主体の二つが存在する。

学習目標; 児童・生徒にとっての目標

(狭義の)教授目標; 教師にとっての目標

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学習目標の記述をめぐって

十分満足 努力を要す基本的方向性の理解の上

に、記述に工夫がみられる

基本的方向性について形式

的な理解ができている

形式的な理解はできている

が、記述の仕方に問題がある

基本的な方向性が

理解できていない合計

9 29 36 18 929.8 31.5 39.1 19.6 100.0

概ね満足

80.4%の受講者が求めた水準以上

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「基本的な方向性が理解できていない」者の例

「(バスケットボール)体力づくりとチームワークを高める。」 バスケットボールを通しての教育としか読み取れない。

「(バスケットボール)運動を通しての教育、体力の育成や集団行動やコミュニケーションなどを図るような目標。」

運動を通しての教育ではなく、運動の教育の方向性での目標を問題とした。

「(バスケットボール)体力をつけるために、毎日トレーニングをする。」

・・・

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「形式的な理解はできているが、記述の仕方に問題がある」者の例

「バレーボールを楽しむためには、チームワークを良くし、一人一人の意欲を高めていくことが大切。」

授業づくりのポイント(大切となる点)となっており、目標の記述に改める必要がある。

「まずボールに慣らしてシュートを決めれるようにさせる。その後、ゲームを取り入れ、シュートを決めることによりバスケットボールの楽しさを味わわさせる。」

学習指導の計画(道筋)は別のところで記述する。

学習目標なので、生徒を主部とする述部の表現にする。

ることができるようにし、

う。

目標論まとめへ

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「基本的方向性について形式的な理解ができている」者の例

「ソフトボールを楽しくできるようにするとともに、その特性に応じた技能を身に付け、体力を養う(そのためには、ルールを知らなければならない)。」

○○の運動を楽しくできるようにするとともに

○○の力を身につける(高める、養う)

授業中示したシートを理解できている

○○の運動を楽しくできるようにし、

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「基本的方向性の理解の上に、記述に工夫がみられる」者の例

「スマッシュの成功率を高めることで、スマッシュが決まる喜びを覚え、バドミントンを楽しむことができるようにする。」

「バスケットボールの得意・不得意にかかわらず、バスケットボールを楽しむことができるようにするために、みんなで協力しながら、体力やバスケットボールの基本的な技能を身につける。」

○○の運動を楽しむ

そのために

○○の力を身につける(高める)

上記二例は、右記の構造が明確に示されている