起業1年目...第1章 起業を思いついたら...

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起業1年目の教科書  目 次

はじめに

………

2

    第1章

起業を思いついたら 

起業1年目から成功する人は、 

ありきたりのアイデアでスタートする

………

30

起業1年目から成功する人は、  なんでもいいから「最初の1歩」を踏み出す

………

34

起業1年目から成功する人は、  夢はなくてもいい

………

38

起業1年目から成功する人は、 

リスクを取らずに

4

4

4

4

スタートする

………

42

起業1年目から成功する人は、 

最初は目移りしていい

………

46

起業1年目から成功する人は、 

世の中に求められているか気にしない

………

50

起業1年目から成功する人は、 

ビジネスモデルは後から考える

………

54

起業1年目から成功する人は、 

身近な人は応援してくれないものと考える

……… 58

   

第2章

起業までの準備

起業1年目から成功する人は、 

まず時間を確保する

………

62

起業1年目から成功する人は、 

今の仕事を8割の時間で終わらせる

………

66

起業1年目から成功する人は、 

お金の不安を最小化する

………

70

起業1年目から成功する人は、 

テスト用の予算を用意する

………

74

起業1年目から成功する人は、 

今の会社でテストする

………

78

起業1年目から成功する人は、 

いつでも復活できる条件を作る

………

82

起業1年目から成功する人は、 

退職するまでに伝説を作る

………

85

    第3章

ビジネスプランを立てるには

起業1年目から成功する人は、  5分で目標を仮決めする

………

90

起業1年目から成功する人は、  わがままな目標を立てる

………

94

起業1年目から成功する人は、 

愛のある売上目標を立てる

………

98

起業1年目から成功する人は、 

おおらかにお金の流れを見る

………

102

起業1年目から成功する人は、 

数字に弱くていい ………

105

起業1年目から成功する人は、 

お金以外で安心を手に入れる

………

108

起業1年目から成功する人は、 

失敗の回数を決めてスタートする

………

112

起業1年目から成功する人は、 

考えが堂々巡りしてもいい

………

116

   

第4章

商品をつくるには

起業1年目から成功する人は、 

お金をかけずに

4

4

4

4

試作してみる

………

122

起業1年目から成功する人は、 

オリジナル商品にこだわらない

………

126

起業1年目から成功する人は、 

絞り込めなくてもよい

………

130

起業1年目から成功する人は、 

商品開発に他人を巻き込む

………

134

起業1年目から成功する人は、 

最初は「将来の自分」を売る

………

138

起業1年目から成功する人は、 

スキル不足を回数で補う

………

142

起業1年目から成功する人は、 

ウリがなくても始める

………

145

   

第5章

価格を設定するには

起業1年目から成功する人は、  自分の都合で価格を決める

………

150

起業1年目から成功する人は、 

商品を提供するのではなく、価値を感じてもらう

………

154

起業1年目から成功する人は、 

価格を上げる理由をコツコツ作る

………

158

起業1年目から成功する人は、 

値引きはいつでもできると知っている

………

162

起業1年目から成功する人は、 

安い値段でも最高の仕事をする

………

166

   

第6章

マーケティングとセールスを行うには

起業1年目から成功する人は、 

まず仲間を増やす

………

172

起業1年目から成功する人は、 

最初の1件を大事にする

………

176

起業1年目から成功する人は、 

接近戦に持っていく

………

179

起業1年目から成功する人は、 

商品がなくても情報発信する

………

183

起業1年目から成功する人は、 

最初は効率を度外視して集客する

………

186

起業1年目から成功する人は、 

ITに弱くてもいい

………

190

起業1年目から成功する人は、 

反応を正しく把握する

………

194

起業1年目から成功する人は、 

健全な下心を持つ

………

197

起業1年目から成功する人は、 

100点が無理なら部分点を稼ぐ

………

201

起業1年目から成功する人は、 

売れている人をバカにしない

………

204

   

第7章 成功する起業家の時間術

起業1年目から成功する人は、 

最初はあえて限界まで忙しくしてみる

………

203

起業1年目から成功する人は、 

1日を記録する ………

212

起業1年目から成功する人は、 

やる気のない

4

4

前提で1日の計画を立てる

………

216

起業1年目から成功する人は、 

今日1日の仕事に集中する

………

220

起業1年目から成功する人は、 

地味な作業から価値を生み出す

………

224

起業1年目から成功する人は、 

準備の時間を減らしていく

………

228

起業1年目から成功する人は、 

情報をスピード処理する「箱」を持つ

………

232

起業1年目から成功する人は、 

エネルギッシュに働ける時間を増やす

………

236

   

第8章

チャンスを最大限に活かす

起業1年目から成功する人は、 

チャンスにはまず乗ってみる

………

242

起業1年目から成功する人は、 

お金を使う基準を持つ

………

246

起業1年目から成功する人は、 

1割の成功を活かす

………

250

起業1年目から成功する人は、 

「必ず元を取る」と決める

………

254

    第9章

起業家のチームづくり

起業1年目から成功する人は、  「助けてくれる人リスト」を作る

………

260

起業1年目から成功する人は、  応援をしっかり受け取る

………

264

起業1年目から成功する人は、 

有力者にかわいがってもらう

………

268

起業1年目から成功する人は、 

売れてないときから人に任せる

………

272

起業1年目から成功する人は、 

こだわらずにチームを作る

………

276

起業1年目から成功する人は、 

人に頭を下げる

………

280

あとがき

………

283

カバーデザイン    

井上新八

本文デザイン・DTP 

佐藤千恵

第1章 起業を思いついたら

起業を思いついたら、その情熱を保ち続けるために、この章をお読みください。

あなたは間違っていません!

あなたはチャレンジしても大丈夫です!

あなたにはその価値があります!

いろんな困難が降り掛かってきたときには、いつでも戻ってきてください。

ここには、成功している人が、起業当初の逆境を乗り越えた考え方があります。

「どのように起業したか」は無限にパターンがありますが、

「どのように起業を考えていたのか」は共通しています。

さぁ、さっそく始めましょう。

3 0

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

3 1

ビジネスには画期的なアイデアは必要ありません。

とは言うものの、私は起業する前、﹁画期的なアイデアで世界をあっと言わせるビジネ

スをしたい!﹂と思っていました。

私が起業を意識し出したのは、20代の頃、ITベンチャーがどんどん出てきた

2000年前後のことです。﹁自分も新しいビジネスモデルを生み出してやるぜ!﹂とい

う感じのノリでした。

しかし、現実は、﹁ビジネスのアイデアが思いつかない﹂﹁なにを商品にすれば良いか

わからない﹂﹁一生懸命考えても、コンセプトが出てこない﹂﹁かといって、他人の﹃パ

クリ﹄をするのも嫌だ﹂と、モヤモヤの続く日々でした。

次々と新しいビジネスが生まれるたびに、何も生み出せない自分に焦りを感じました。

﹁成功している人は頭が良くて、どんどんアイデアが出るのだろう﹂と思っていました。

でも、実際は違っていました!

経営者の方々にお会いしたり、一緒にビジネスをしたりしてわかったことですが、誰

もがアイデアが出なくて悩んでいます。悩み続けています。

ビジネスの段階は違っても﹁次の商品はどうしよう﹂﹁キャッチコピーが浮かばない﹂

と、誰もが悩んで格闘しています。すぐに画期的なアイデアが思いつく人に会ったこと

がありません。

ですので、もしあなたが﹁アイデアが出ない!﹂と悩んでいるのであれば、それは起

業家として正しい姿勢です。それが普通です。まだまだどんどん悩んでください。

「考える」ことは多くの人が嫌がる仕事です。それを続けられるのであれば、あなたは

起業家として必ず成功できるでしょう。

最高のアイデアは、あきらめずに考えている人に降ってくるものです。

実際はアイデアが出ない人というのはいません。実は、アイデアが出ないと思ってい

るだけで、本当は出ていることが多いのです。

私がビジネスアイデアが思いつかなくて相談に乗ってもらったとき、﹁こういうことも

考えた﹂﹁ああいうことも考えた﹂﹁でも、ダメですよね﹂﹁ありきたりですよね﹂とペラ

起業1年目から成功する人は、

ありきたりのアイデアでスタートする

3 2

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

3 3

ペラと喋ったのですが、聞いていた相手は一言、

﹁いっぱい思いついてるじゃん﹂

と言いました。ビックリしました! 

でも、確かに思いついてはいるな、と納得しま

した。

アイデアが出ないと言っている人の多くはこれです。自分のアイデアを無意識で却下

して、否定しているのです。無意識なので、自分ではそれに気づきません。でも、人に

話してみるとわかります。本当はたくさんアイデアが出ているのです。

﹁画期的なビジネスしか成功しない﹂という思い込みが、こうやって数多くのアイデア

を消し去っているわけです。

最初の結論に戻りますが、ビジネスに画期的なアイデアは必要ありません。

ビジネスで成功するにはアイデアも大事なのですが、もっと大事なのは﹁行動し始め

ること﹂です。多くの場合、ありきたりのアイデアでビジネスは十分成功します。

私もスタートは他のコンサルタントのマネです。セミナーを始めたのですが、今考え

ると、かなり適当な内容でした。参加者1名というときもありました。でも試行錯誤の末、

オリジナルのセミナーや教材が売れるようになりました。

友人で﹁天然酵母パンのつくり方﹂の本を出版されている方がいますが、彼女も、最

初は普通のパン屋さんでした。

マナー研修の講師からスタートした友人は、今では人気講師です。年収1千万円です。

企業の人事担当者から﹁あの人でないと﹂と指名されるそうです。

いずれもスタートはありきたりなビジネスです。誰でも思いつきます。

しかし、一生懸命やっていれば、あなた独自のやり方に変わっていき、他の人とはまっ

たく違うものになります。

逆に言えば、スタートしなければ、本当の意味での試行錯誤はできません。頭の中で

考えているだけでは、本当に画期的なビジネスにはならないのです。

ビジネスを思いついたら、まずは小さくやってみましょう。最初はパクリでも必ずオ

リジナルになります。心配しないで、とにかく始めてみることをお勧めします。

動き出せばアイデアがビジネスに育っていく。

3 4

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

3 5

いきなり質問です。

「全国に何百店舗もあるチェーン店をゼロから築き上げるには、あなたは今日、何から

始めればよいでしょうか?」

実際に、あなたが今日から準備を始める前提でイメージしてみてください。

お店を始めるにしても、商品はどこから仕入れればよいのでしょうか? 

また、どう

やってお客さんを見つければよいのでしょうか?

他のビジネスでも同じ質問ができます。

﹁年間1億円を稼ぐコンサルタントになるには、何から始めればよいでしょうか?﹂

﹁世界中に製品を輸出するメーカーになるには、何から始めればよいでしょうか?﹂

新しいビジネスを始めようというときは、﹁いったい何から始めればよいのだろう?﹂

と途方に暮れることもあります。

私も漠然と起業したいと思っていて、﹁最初の一歩﹂が見えずに、なんとなくサラリー

マン生活を送っていた1人でした。気持ちがよくわかります。

夢が大きければ大きいほど、どこから手を付けてよいのかわからなくなります。そして、

何から始めればいいかわからないと、何も行動できなくなります。﹁起業したい﹂と思っ

ていつの間にか3年、5年経ってしまった、という人も多いのではないでしょうか。

しかし、これが新しいことにチャレンジするときの順路です。あなたは正しい道を進

んでいます。

最初からやり方を知っていて、何かを成し遂げた人はいません。

私の友人で、﹁WEB制作をビジネスにしよう﹂と起業した人がいます。しかし、クラ

イアントの獲得方法などはまったく考えていませんでした。

とりあえず彼は、ビジネスとはまったく関係のない﹁速読﹂のセミナーに行きました。

これからビジネス書をたくさん読むだろうから、というのが理由です。

するとなんと! 

そのセミナーで最初のクライアントを獲得してしまいました。

彼は、今ではWEB制作だけではなく、多くの会社の事務の代行サービスなども展開

しています。

起業1年目から成功する人は、

なんでもいいから「最初の1歩」を踏み出す

3 6

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

3 7

また、別の友人は、フェアトレード事業を始めようと思いつきました。海外の仕入れ

先も探さなければなりませんし、簡単に始められる事業ではありません。

とりあえずやったのは、事業計画書をたくさんの人に見てもらうことでした。

いろんな人に事業計画書を見てもらううちに方向性が変わってきて、結局はコーチの

派遣事業や研修事業という当初の計画とはまったく違うビジネスをするようになりまし

た。今はそのビジネスで大成功しています。

でも、﹁セミナーに参加する﹂とか﹁事業計画書を見てもらう﹂ということで、全員が

うまくいくわけではありません。彼らはたまたまそれが功を奏しただけです。

要は、何がきっかけになるかわからない、ということです。

﹁必ず成功する一歩﹂を探し始めたら踏み出せなくなるので、結果を期待せずにいろい

ろやりましょう。

成功している人も、最初からやり方がわかっていた人はほとんどいません。1人もい

ないといってもいいくらいです。計画通りに進んでいるのではなく、たまたまの積み重

ねで今があるのです。

成功者に共通して言えることは、「とにかく何か一歩踏み出してみた」、ということだ

けです。

最初の一歩は、どの方向に向かっても大丈夫です。まったく関係ないように思えても、

何か1つ行動を起こせば、着実に夢に一歩近づきます。

そして最後には自分のやりたい仕事に到達しますので安心してください。

私の場合も、何から始めても、今のように﹁人の成長に関わる仕事﹂に到達しただろ

うと思います。

何をしていいかわからないときは、出会ったことのない人に会いに行くこと、ビジネ

スのセミナーに参加してみること、本や雑誌を読むこと、ビジネスの教材を買ってみる

こと、などなど、このあたりはすぐにできるのでお勧めです。

情報と情報が結びついたとき、今まで見えなかった道が見えてきます。

また、余裕がある人は、ソーシャルメディアなどで発信を始めてみることもお勧めです。

ビジネスに﹁正解﹂はありませんが、とにかく何か一歩を踏み出すというのが﹁正解﹂です。

あなたが踏み出そうとしている道も、ちゃんと成功という場所につながっている。

3 8

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

3 9

﹁夢なんていらない﹂

というと、クサい台詞ですが、本当です。

成功している起業家は、はっきりした夢を持っているように見えますが、そんなこと

はありません。

でも、起業すると﹁夢はなんですか?﹂と聞かれる場面も増えてくるので、答えられ

ないと恥ずかしい思いをすることがあります。だから、﹁何か夢を持たなければ﹂と思う

人が多いわけです。実際は必要ないので、気にしないでください。

交流会などで高尚なビジョンや過去の苦労話を語ったりする人を見ると、﹁カッコいい

なぁ、羨ましいなぁ﹂と思うかもしれません。しかし、マネする必要はありません。

ビジョンを語って社員を鼓舞し、お客様を惹きつけるスタイルもありますが、ほとん

どの起業家は、独立当初に﹁夢﹂はなくても支障ないと思います。

それに、そもそも「夢」や「目標」を聞かれて答える義務はありません。

また、﹁夢を持たなければならない﹂という義務もありません。ただ、持っていたほう

がやる気が出る、というだけのものです。

﹁夢がない﹂という人も、胸を張って生きてください。それで成功している人はたくさ

んいます。

そもそも大事なのは﹁起業したい﹂﹁何かを成し遂げたい﹂という情熱です。

言葉にできないパッションが一番パワーがあります。

最初からうまく説明できる気持ちなんて、たかが知れています。

﹁なんかわからないけど起業したい!﹂

﹁何がやりたいのかわからないけど、このままじゃ終わらない!﹂

という気持ちは、﹁何をするか?﹂より100倍も重要です。

スタートはこのエネルギーです。言葉にできなくて構いません。

ただ、実際は誰でも「夢」を持っています。

以前、セミナーで、﹁私には夢がないんです﹂と言う人がいました。

﹁夢﹂を書き出してもらうワークをやろうと思っていたので、ちょっと困ったなぁと思っ

起業1年目から成功する人は、

夢はなくてもいい

4 0

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

4 1

ていたのですが、とりあえず言い方を変えることにしました。﹁夢﹂とは言わず、﹁やり

たいことをできるだけ書き出してください﹂と伝えたのです。

すると、﹁夢がない﹂と言っていた人は、﹁やりたいことはいっぱいあるんですよね﹂と、

目を輝かせながらどんどん書き始めたのです。

その方は5分で30個ほど、やりたいことを書き出して、それを発表した後、

﹁自分が起業できたら、今度は私が起業家を100人育てたいんです﹂

と言いました。

﹁それって﹃夢﹄と言っていいんじゃないですか?﹂

と、私が言ったら、彼は﹁確かに!﹂と驚いていました。

自分が「やりたい!」とワクワクするものはなんでも「夢」と言っていいと思います。

どんなことでも夢と言っていいのです。どんなに小さくても、カッコ悪いと思っても、

自分が、これが﹁夢かも﹂と思えたものが﹁夢﹂でいいのです。

多くの人は、初詣に行ったらお祈りをするし、七夕の短冊には願い事を書きます。﹁私

には願い事がない……﹂と、毎年7月7日に落ち込んでいる人は、そう多くはないと思

います。﹁夢﹂なんて、最初はその程度で十分です。

﹁豪邸に住みたい﹂とか﹁高級車が欲しい﹂﹁旅行に行きたい﹂﹁異性にモテたい﹂とい

うものでもよいわけです。﹁自分は今で満足なので﹂という人も、﹁現状維持﹂という﹁夢﹂

で最初はOKです。他人が聞いて素晴らしい必要はありません。

私の友人の経営者は﹁夢なんかない﹂と断言していますが、夢を聞かれたら、

﹁目の前のことをやるだけです﹂

と、謙虚に答えています。なんかカッコいいですよ。

﹁あなたの夢は何ですか?﹂と聞く人も、それほど深い意味で聞いているわけではない

でしょうから、気楽に答えてあげればいいと思います。

﹁夢﹂はモチベーションを上げるツール。パッションがあれば使わなくてもいい。

4 2

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

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﹁起業するからにはリスクを取らなければ!﹂

と考える方も多いのですが、でも、それで怖くて動けないなら意味がありません。

起業することや、新しい事業にチャレンジすることが、楽しくてワクワクしかしない

人もいれば、考えただけで恐怖で動けない人もいます。

夢や目標があれば、ワクワクして興奮する人もいれば、それを重荷に感じる人もいます。

﹁最悪のケース﹂と聞いて、覚悟できる人もいれば、考えたくない人もいます。

人によって感じ方は違います。

なので、何かを始めるときに恐怖を感じる人は、それはそれでいいのです。大きなリ

スクを取る必要はありません。

あなたに合った「安心感のある」やり方を探せばいいのです。

学生時代にバンジージャンプをしに行ったときのことです。

下から見たら楽勝だと思ったのですが、いざ、台に上るとこれが恐ろしい! 

地上を

見下ろすと足がガクガクしてきます。

友達はすぐに飛び込んだのですが、私はなんと30分もかかりました︵笑︶。

理屈では﹁安全﹂だとわかっています。命綱も付いているしマットも敷いてあります。

でも、数十メートル下を見ると恐怖で動けなくなるわけです。

﹁飛べばいいだけだよ。大丈夫だよ﹂と言われても、本人は実際に恐怖を感じているの

で、どうしようもありません。

同じように、ジェットコースターが楽しい人もいれば、恐ろしい人もいます。受け取

り方は、人それぞれです。

ビジネスも怖いものは怖いのです。仕方ありません。

スパルタ系の起業コンサルの方は、﹁ごちゃごちゃ言わずに行動しろ!﹂と言うかもし

れませんが、できない人はゆっくりで構いません。

真面目な人は、

﹁なんで、自分は自信がないのか? 

躊躇してしまうのか? 

他の人はチャレンジして

成果を出しているのに……﹂

起業1年目から成功する人は、

リスクを取らずにスタートする

4 4

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

4 5

と、自分の勇気のなさに嫌になるときもあるかもしれません。起業を目指す人は﹁もっ

と勇気や自信が欲しい﹂と言う人がほとんどです。

しかし、勇気や自信を他人と比べても仕方ありません。そういうものなのです。

実際、リスクを最小にして、安心して始める方法もたくさんあります。時間がかかっ

ても、確実に進めるやり方もあります。

﹁リスクを取る﹂ということは﹁大きな損害﹂を引き受けることではありません。

どちらかと言えば、﹁失敗してもギリギリ受け入れられる範囲での最大の挑戦﹂のこと

です。リスクを明確に把握して、損失を被っても金銭的・精神的に大丈夫な準備をする

ことです。

不安を感じやすいのであれば、少しずつ少しずつ、リスクを取っていけばいいだけです。

こういう場合には、焦って大きく投資するよりも、起業家や経営者をサポートしてい

る会員制のコミュニティに入るなど、比較的安価で毎月少しずつ成長することができる

サービスを使うのが合っているかもしれません。

先輩起業家に毎月のように会うことで、徐々に起業家マインドを育成できればしめた

ものです。

ちょっとずつマインドを鍛え、ちょっとずつ商品を完成させ、ちょっとずつ人脈を築き、

ちょっとずつビジネスが形になっていきます。

まだ起業されてない方は、いきなり今の会社を辞める必要もありません。インターネッ

トで、時間をかけずに副業からスタートする方法もあります。

慌てずに自分のペースで行きましょう。時間がかかっているように見えて、心の成長

のプロセスにおいては、それが最短距離です。

じっくり行きましょう。

自信がなければゆっくりでいい。自分のペースで着実に進もう。

4 6

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

4 7

﹁儲かるビジネスの情報﹂というのは、ウジャウジャあります。

いくらでも新しいネタが出てきて、﹁あの人が1カ月で何千万円稼いだ﹂とか﹁あの人

は、毎日100万円が自動的に振り込まれる﹂とか、気になる話がいっぱいです。

﹁自分はこのビジネスで行こう﹂と決めても目移りするものです。

起業家仲間と話していると、﹁あの人はこうやってるらしい﹂という話に花が咲きます。

けっこう、みんな他人のビジネスが気になっています。私も他の経営者が羨ましいと思

うことも多いです。

﹁自分はこのままでいいのだろうか?﹂と、深く考えることもあります。

でも、起業家は目移りするぐらいでちょうどいいと思います。

目移りしないというのは、情報収集を怠っているとか、視野が狭まっているのかもし

れません。

目移りしてもいいので、常に最先端の情報に触れましょう。そして、時代に合わせて

ビジネスを変化させましょう。

私も起業した当初は、あれこれ目移りしました。いくつものビジネスに手をつけました。

ほとんどうまくいかずにやめました。

あるときは、友達がオーダーメイドネクタイのビジネスを始めるので手伝ったことが

ありました。しかし、ほとんど売れず、事業として成り立ちませんでした。

またあるときは、知人の先生を招いて男性向けにファッションのセミナーを主催した

こともあります。しかし、集客に苦労した割には実りが少なく、2回目の開催はありま

せんでした。

やってみて初めて「これはやりたいことじゃなかったな」と気づきました。

やりたいことではないから、成功するまでのモチベーションが続かないわけです。やっ

ていると苦しくなるのでだんだん気づきます。

いろいろ手を出してみて、私の場合、﹁人の成長﹂が伴っていないと、やる気が出ない

ということがわかりました。

今は、﹁人の成長﹂に関わる仕事しかやっていません。つまり、目移りしてあれこれやっ

起業1年目から成功する人は、

最初は目移りしていい

4 8

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

4 9

てみた結果、﹁これ以外はやめておこう﹂という判断基準ができたわけです。

それからは、﹁儲け話﹂がインターネット上であれこれ噂されても、それほど反応しな

くなりました。もちろん、こっそりリサーチはしますが。

だから、目移りしてやってみるのも悪くありません。最後には、必ずあなただけの「確

固たる判断基準」に気づくはずです。

もし、あなたが目移りしながらも今のビジネスに踏みとどまっているなら、何かしら﹁確

固たる判断基準﹂を持っているのではないでしょうか? 

他の人に左右されない自分自

身の理念です。

成功している人は、愚直に自分のビジネスに踏みとどまっています。また、目移りし

たとしても、最終的には自分のビジネスに戻っています。

まわりの起業家たちも、理念に沿ったビジネスに留まっているほうが、結果として成

功しているようです。

もし、そんな﹁確固たる判断基準﹂が欲しいと思ったら、価値観を整理するワークショッ

プに出たり、タイプを発見するテストもオススメです。

こういったテストには、さまざまありますが、私が受けたものだけでも、MBTI

DiSC、ハーマンモデル、エニアグラム、エゴグラム、キャリアアンカー、ウェルス

ダイナミクスなどがあります。

また日常ですぐできることはノートを1冊用意することです。そして、そのノートに﹁や

りたいこと﹂﹁好きなこと﹂と﹁やりたくないこと﹂﹁嫌いなこと﹂をリストアップして

いきます。書き方は自由です。

このノートを常に持ち歩き、﹁こういうことがやりたい﹂あるいは﹁こういうことは絶

対にやめておこう﹂と思う瞬間に出くわしたら、すぐにメモっていきます。

これを2週間も続けたら、なんとなくやりたいことに気づくはずです。

目移りすれば自分がわかる。やりたいことが見えてくる。

5 0

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

5 1

新しいビジネスは、﹁それは売れない﹂という意見をもらうのが普通です。

でも、今までいくつかやってみた結論ですが、売れるかどうかは売ってみないとわか

りません。

あるとき、マーケティングのマインドセット︵心構え︶だけに特化した教材を作ろう

と思いました。

マーケティングの﹁手法﹂を教える教材はたくさん世の中にありましたが、﹁マインド

セット﹂を教える教材はありませんでした。なので自分で作ろうと思ったわけです。

とはいうものの、本当に売れるのかどうか不安です。それで、身近な人に感触を聞い

てみました。

マーケティングの専門家の人たちにも聞いてみたのですが、評判はいまいちです。

﹁マインドセットだけでは売れないでしょう﹂

という意見をもらいました。

自分では良い内容だし役に立つと思ったのですが、反応は良くありません。

あきらめかけたのですが、ある方が、﹁面白いですよ。売ってみましょうよ﹂というこ

とで、どれだけ売れるか気にせず販売することにしました。

半信半疑で始めたのですが、なんと1回の販売で600本も売れてしまって、ビック

リしました。それから主力商品の1つになっています。

周りの反応によって販売をやめていたら、非常にもったいないことになっていました。

反応を気にせず売ってみて正解でした。

でも、自分では、﹁こういうものがあったら便利で役立つに違いない﹂と考えて始めて

みたけれど、なかなか受け入れてもらえない、説明しても理解してもらえないというこ

とが、ほとんどではないでしょうか?

こんなとき、自分がやろうとしているビジネスは世の中に求められているのか、不安

になると思います。

先日も、﹁男性向けの料理教室﹂をやりたいという人から﹁ニーズはあるでしょうか?﹂

と相談を受けました。

起業1年目から成功する人は、

世の中に求められているか気にしない

5 2

第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

5 3

この質問の答えを、そのまま答えたらNOになります。市場があるかどうかだけで判

断すれば、﹁やめよう﹂という結論が常に正しくなります。

しかし、一方で市場があるところには大企業が参入するので、そこで中小企業が勝つ

のは困難です。市場があるからやるのであれば、常に競争し続けなければなりません。

では、起業家がビジネスを始めるには、どんな市場を狙えばよいのでしょうか?

これは質問が間違っています。市場はあまり関係ありません。

起業家の成功要因の一番は、「市場」ではなく「自分の熱意」です。

男性向けの料理教室を始めるのであれば、市場を気にするよりも、例えば﹁ホワイトデー

は男性が料理を作る日﹂という文化を作り上げる、ぐらいの勢いでやることです。

世の中に求められているかどうか不安になったときに一番大切なのは、﹁自分がニーズ

をつくりだす!﹂くらいの意気込みです。自分こそが新しい市場や新しい文化をつくる

んだというつもりでチャレンジしてください。

起業家は新しいことをやる人です。起業家というのはそういうものです。起業家がい

なければ世の中に新しいビジネスは生まれません。

社会の発展のためには、誰かが新しいことを試す必要があります。

今世界で行われている研究も、どれがうまくいくかはわかりません。それを世界中の

研究者が手分けして探しています。みんなで手分けして探しているから答えが早く見つ

かるわけです。

起業家が新しいビジネスを立ち上げるのも同じです。みんなで手分けして宝探しをし

ているようなものなのです。だから、新しいビジネスにチャレンジしていることそのも

のが、とても価値のあることなのです。

たとえ、自分の探した場所に宝物がなくても、あなたはあなたの分担をやり遂げたわ

けです。あなたがやらなければ、別の誰かがその場所を探さなければなりませんからね。

起業家が新しいことを試したから、人類は発展してきた。

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第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

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﹁やりたいことをお金に変える方法がわからない﹂

﹁世の中に必要だけど、ボランティアで終わりそう﹂

というお悩みも多いです。

いわゆる﹁ビジネスモデルが作れない﹂という問題です。

でも、心配はいりません。一見すると難しそうですが、コツさえつかめば簡単です。

実は、喜んでくれる人がいる限り、なんでもビジネスになります。

例えば﹁野球﹂を考えてください。

極論を言えば、野球というのは丸い球を棒で打って走っているだけです。なんであれ

がビジネスになるのでしょうか?

最初に野球を始めた人は、これがビジネスになるなんて考えてもいなかったに違いあ

りません。楽しんでいただけでしょう。

それが今では何万人ものスタジアムに人がたくさん集まります。何千円も払って多く

の人が来るわけです。そして、ファンクラブの会費を払い、グッズを買い、スタジアム

ではフランクフルトややきそばを食べ、ビールを飲みます。人気があれば、テレビ局に

放映権を販売することもできます。スタジアムにはたくさんの看板があり、広告収入も

得ています。

今ではこれは当たり前ですが、昔は思いもつかなかった収入源も多いことでしょう。

そして、これ以外にも「野球をお金にする方法」はまだまだ現れるに違いありません。

野球に限らず、多くのスポーツに同じことが言えます。

このように、お金にする方法は後から思いつくものです。あなたに思いつかなくても、

誰かが考えてくれるかもしれません。

今では有名なインターネットのサイトやツールも、最初は収益源がないまま見切り発

車したものが多くあります。そして、その後、広告収入を得られるようになったわけです。

順番としては、お金は後なのです。

小さなビジネスを始めるときに、最も大事なのはビジネスモデルではありません。「価

値があるか」どうかです。

起業1年目から成功する人は、

ビジネスモデルは後から考える

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どんなに秀逸なビジネスモデルを思いついたとしても、価値がなければ誰もお金を払っ

てはくれません。

﹁WEBサイトを構築してアクセスを集める﹂とか、﹁○○協会を作って、会費で儲ける﹂

とか、お金にするしくみはいろいろあります。でも、魅力がなければWEBサイトに人

は訪れませんし、協会の会員になることはありません。

最初に﹁ビジネスモデル﹂から始めると、失敗することも多くあります。価値や魅力

がないまま、お金を費やしてしまうからです。

﹁ビジネスモデル﹂に興味が行く理由は、儲かりそうだからでしょう。

でも、本書をお読みの方に、儲けたいだけの人はいないと思います。世の中のために

事業を起こしたいのだと思います。

だとしたら、最初はお金になるかどうかは気にせず、価値を磨くことに集中してみて

ください。

あなたが役に立ちたい人に、役に立てることを徹底的にしていくのです。

商品の感想をヒアリングしてもいいし、改良のアイデアを募ってもいいし、テストテ

ストの繰り返しです。

そして、喜んでもらえるサービス、商品を徹底して作っていきましょう。

リスクを最小限に抑えて、ということが前提ですが、価値を磨くことを優先して、お

金にする方法は走りながら考えていくわけです。

価値を提供していくと、お客様も集まりますし、手伝ってくれる共感者も現れます。

たくさんの人が集まると、その中に、ビジネスモデルを考えるのが得意な人も出てく

ることでしょう。

ああでもない、こうでもないと、議論が生まれるようになります。

価値があって人さえ集まれば、そのうちお金にする方法は見つかるものです。

ビジネスに価値があれば、お金にする方法はいくらでも見つかる。

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第 1 章   起 業 を 思 い つ い たら

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﹁妻が応援してくれない﹂﹁夫が応援してくれない﹂﹁身内が理解してくれない﹂

という相談はものすごくたくさんあります。

身内が応援してくれるケースはめったにないので安心してください。あなただけでは

ありません。

ビジネスの立ち上げは試行錯誤の連続だし、苦労の連続です。

うまくいかずに凹んでいるときに、心の支えになってくれるのが身内のはずなのです

が、なんと! 

追い打ちをかけるように﹁いつになったら売上が上がるの?﹂と詰めら

れる人はかなり多いです。それはキツいと思います。

﹁あんたが応援してくれないから、余計に売上が上がらないんでしょ!﹂と言いたくな

るかもしれません。

快く応援してくれたら頑張れるし、落ち込まずに行動できるのにと、多くの起業家が

思っているに違いありません。

でも、相手は悪気があって言っているわけではありません。

では、なぜ応援してくれないのか?

それは、相手は不安だし、心配だからです。

一番大事なのは、相手が怒ったりイライラしているように見えても、その正体は﹁不安﹂

だということです。その気持ちをわかってあげてください。

起業する人は、精神的な強さがあります。起業を決意したあなたは、不安定さを覚悟

していますし、耐えることができます。

しかし、相手はまだ、その不安定さに耐えられるほどの心の準備ができていないのです。

不安をそのまま口にしたり、﹁あなたには無理だ﹂と言ってみたり怒ったりするのは、不

安で耐えられない気持ちになるからです。

あなたほど、不安に強い人はいないのです。ですので、相手の心配で不安な気持ちを

汲んであげてください。

相手があなたに対して文句や不平を言ったときは、それに反論する必要はありません。

起業1年目から成功する人は、

身近な人は応援してくれないものと考える

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相手は、あなたを否定したいわけではないからです。

心の中では、ちゃんとあなたを応援しています。ただ﹁安心させてほしい﹂と思って

いるのです。でも、その気持ちを自分でも理解していないし、うまく言葉にできないので、

不平・不満として言ってしまうのです。

あなたがやるべきことは、相手を安心させてあげることです。

﹁心配ないよ﹂と言ってあげることであり、あなたが描いている未来を見せてあげるこ

とです。

﹁3年後にはこんなに素晴らしい状況になっているよ﹂

﹁最悪でも、こうなっているよ﹂

と、未来を共有してあげてください。そして、着実に行動しているところを毎日見せ

てあげてください。

少しずつでも安心感が取り戻せたら、だんだんとあなたを応援してくれるようになり

ます。み

んな心の中で応援してくれている。

第2章 起業までの準備

「さぁ、起業しよう」というとき、

まず最初にやることは「会社に辞表を出すこと」ではありません!

それはまだ先の話です。

今の状況で、あなたがやれること、やっておくことはたくさんあります。

その1つひとつが自由な人生への準備です。

いつの間にか、会社を辞めることが少しも怖くなくなる、それが準備の力です。

準備を1つずつ行うたびに、リスクも1つずつ減っていきます。

今の環境でできることを、ぜひ、見つけてください。