発展途上国におけるhiv/aids対策の実証研究 :...
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愛知 淑 徳大 学論集一文化 創 造 学 部 ・
又 化 創造研 究科篇一 第 8 号 2009, 101
発展途上 国に お けるHIV/AIDS 対策の 実証研究
北部タイ にお け る政府 とNGO との 協働政策を 中心 に一
中 川 翔 平“ *
■ブイ チ トル ン
Study on the HIV!AmS in Developing Country
Focus on Thai Collaboration Policy among Governmental and
NGO Sectors in Northern Thailand
NAKAGAWA Shohei, BUI Chi Trung
1. は じめ に
本稿 は、北部 タイ で の HIV/AIDS 対策 に お い て 政府 とNGO ,
、 PLHIVL,
自助 グループ 間で ど の よ
うに協働が 実践 され て い るか に 関す る考察を行 っ た事 例研 究 で あ る 。
タ イ で は 、80年代 の 終わ りに北部 の 中心都 市チ ェ ン マ イ で CSWs3間にお け るHIV陽性率の 著
しい 上昇に反応 し、本格的に 1[エWAmS 対策 を実施す る こ と とな っ た.現在ま で に 、保 健省 中
心 に よ る 88年 の i短 期プ ロ グ ラ ム 」 、89−91年 で の 「中期プ ロ グ ラ ム 1 、マ ル チ セ ク トラ ル で
トッ プ ダ ウン 的な 「92−96年 次 予 防 と統 制 A工Ds計 画 」 及 び 全 体 的 ア プ ロ ーチ (holistic
appro ヨ ch )で の 「97−Ol年 次 HIV /AIDS 予 防 と緩和計画」 と 「02−06年次 HIV /AIDS 予 防 と緩 和計画」
が 実施 され て きた ,
特に チ ェ ン マ イを 中心 と し た 北部 タ イ は 、売買春 を介 した感染拡 大 と感染者 の 急激 な増加
か らタイ にお ける HIV流 行 の 中 心 地 と し て 、政府 機 関 、国 際機 関、 NGO 、研究者か らの 注 目を
集 め、他の 地域 とは異な ろ位置 づ けが行 われて きた とい え る (Fordham,2005),そ れは 、政策
面 に お い て も、94年 に 国家AIDS 委員会 (Nationa!AIDS Com皿ittee)内に北部上 部地 域で の 対策
を調整する N。rthern A工DS CQ。rdinazion Center (NACC)が設置 され 、よ り直接的 に 国家 レ
ベ ル で の 政策 の 影響 を受 けな が ら、展開 し て きた と い える。攻府 へ GO間 の 協働 で の 対策 に関
して は、90年代前 半で の 新規感染 の 抑制 とPLIII>の 増加 とい う新た な状況 に 対 応 す る 形 で 、90
年代半ば 以降か ら政府機 関、NGO 、仏僧、 PLHIV自助 グルー
プな どが ネ ッ トワ ーク を構築 し、
実施 し て きた。 さらに、現在で は 、 地 方分権化 の 促進 に よ っ て 、よ リローカ ル な レ ベ ル で こ
れ らの 活動主 体が参加 し、対 応 を行 っ て い る、
そ こ で 本稿 の 目的は、国家 レ ベ ル で の HIV /A工DS政策の 変化 とと もに 、上述 し た活動主体が 、
’ 本 稽 は.2007年 7 月に 提 出 したII多「
一論文
「
発展〕金 卜国にお け る HIV〆AIDS 吋策の 実 沚 研 究一
北 自llタイ にお け る政府
と NGO との 協働 岐策 を中
心 に一
の 部 を加筆 ・修正 した もの で あ る ,
** 愛知 淑 徳 大 学 大学 院文 化 創造研 究科国際交流専攻修士 課 程 2007 年 変舐 季II多了 土
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102 愛知 淑徳大学論集一文 化 創 造 学 部 ・文 化創 造研 究 科篇 一 第 8 号 2008
ど の よ うに 対 応 シ ス テ ム の 中に 関わ りネ ッ トワーク を構築 して きた か 、また ネ ッ トワ
ーク の
中で どの よ うな役割 を担 い 対 策を実施 して い るか に っ い て 明 らかにす る こ とで あ る、
2. タイ にお け る HIV /AIDS 動向と対策
2 − 1. タイ にお け る HIVIAIDS 動向
8・1−goqi代前半ま で の タイ の HIVfAIDS動向は、疫学データーに基づ き、陽性率が著 し く上昇
した特定の ハ イ ・リス ク グループ (MSM4、 IDUs5、 CSWsと男性客、男性客 の パ ー トナー とそ の
子供)を対象 とした5段階 の 波 (wave )に よ っ て説明 がな され て い る (Weniger et al , 1991)。
第1の 波は 、84年か らの MSM 間 の 流行で ある 。 84年 に ア メ リカか ら帰国 後、バ ン コ ク の 病院
で亡 くな っ た 同性愛男性 に初め て AIDSが発 見 され た 。 最初 の 報告か ら87年 ま で に HIV感染者
907人、AIDS発症者8人 の 報告があ り、ゲイ 、MSW6な どの MSMや 工DU、ま た は外 国人 と性 的関係
を も っ た者に感 染が集中 して い た こ とか ら、タイ社会特に 政策決定 者内で は 、HIV〆AIDSは一
般の タイ 国民には拡大 しない だろ うと楽観視 して い た。
第2の 波 は 、88年の 工DL『問 の 流行 で あ る。88年 の バ ン コ ク で の IDU を対 象 と し た サ
ーベ イ ラ ン
ス の 結果 、陽性 率 が 1月 の 約正%か ら8月には 32%に 上 昇 し、さ らに 89年の 全 国 13県を対象 と し た
サーベ イ ラ ン ス で は 、北部の 都市チ ェ ン マ イ とチ ェ ン ラ イ で IDU間の 陽性 率がそれ ぞれ 13%と
61%と急速に拡 大 して い る こ とが明 らか に な っ た 。
第3の 波は、89年 の CSWs 問で の 流行で あ る。 CSWsの HIV陽性率は 、タイ全国で 85年5月 か ら 89
年 3月 ま で 1%以 下で あ っ た.それ が 89年6月の サーベ イラ ン ス の 結果、他の 地域が 1−10%に 対 し、
北部 の 都 市チ rt ン マ イ で 44%と著 し く上昇 し て い る こ とが 明 らか に な り大 きな衝撃 を与 えた。
第4の 波は、90年 の STDTク リニ ッ クに通 院す る男性 間 で の 流行で あ り、都市部で の こ れ らの
男性 の HエV感 染が 89年 6月 の 約 1.2%か ら90年6月に は 4,3%に上 昇 した。こ れは 、89年 の 過去一
年
以内 に CSWsと性交経験が ある男性 の コ ン ドーム 使用 率は 30%以 下で あ っ た こ とか ら、無防備 な
性 行 為 を介 して H工V感 染が広 が っ て い くこ ととな る。
第5の 波は、91年の CSWsの 男性客 の パ ートナ ー(妻や恋 人)間 の 流行 で あ る。90年 の 妊産婦 ク
リニ ッ クに通 院す る女性の 陽性率が 0.21%か ら9ユ年 に はO. 7’/,に 上 昇 し て い る。90年代半ばま で
に 新生児 の 陽性 率は 15−23%と推定 され 、02年 ま で に合計30万 人 以上 が感 染、7,500 人 が AIDS
を発症 し て い る こ とが 確認 され て い る (Kanshana and Simonds,2002)。
以上 の 過程 を経て 、タイ で は短期間で 急速な感 染者 の 増加 を経験 した 。 年聞新規感染報告
数は 、87年か ら急激 に上昇 し91年 に は約 14万 人 に達 した ,こ れ を受 け 、タイ 政府 は80年代後
半か ら90年代前 半の 性産業施 設 で の 「100%コ ン ドー
ム プ ロ グラ ム 」sや 「メデ ィ ア プ ロ モ
ーシ
ョ ン 」9に よる感染 予防対 策を実施 して い く 。 そ の 結果 、90年代後半ま で に新規感 染者数 の 抑
制に成功 し、03年で の 新規感染報告数は 19,000人 (成人陽性率は L5 %)で ある 。
しか し、90年代 の タ イ は、急速な感染者 の 抑制 に成 功 した反 面、PLHIV 及び MDS 発症 者に対
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発展 途上国 にお け る HIWAIDS 対策の 実証研 究 一北部 タイ に お け る政府 と NGO との 協働政策 を 中心 に一 103
し て どの よ うにケ ア ・治療 を提供す るか が課題 と し て 明確に な っ た時期で もある 。こ れ は 、
80年代に感染 した PLH工Vに 92年頃か らA工DS発症が現れ るよ うに な っ た ため で ある 。03年時点 で
累積46万 人 が A工DSに よ っ て 亡 くな っ て お り、6 万人 が PLIIIVと し て 生活 して い る (UNDP,2004)。
くわえて 、AIDS孤児の 増加 も問題 にな っ て い る 。 また 、感染予 防の 対 象が 特定の ハ イ ・リス
ク グループか ら
一般 の 社会各層に変化 して お り介入 が 困難 にな っ て い る。90年代前半で の 新
規感染者 の 80%が CSWsとの 性的接触に よ っ て 発生 して い たが 、90年代後半以 降で は 、夫婦間、
カ ッ プル 問や カ ジ ュ ア ル な関係で の 性的接触が約 半数を占め て い る。軍新兵の コ ン ドーム 使
用率は、CSWsと の 64%に比 べ、 カ ジュ ア ル
・パ ー トナ ーは 24?6で あ り、カ ッ プル で は 12.3%と非
常に低い 状態 にあ る (World Bank,200D 。 さらに 、05年 の 新規感染報告 17,000入 の 内約 30V・1
を既婚女性が 占め て い た (Treetrukuarkut ,2006)。 こ れ ら の こ とか ら、男性 の 感染 リ ス ク の
認識が 非CSWsと の 性 交 に対 して 低 い ことが窺える10。現在で は、若者間の プ ライ ベ ー
トな 関
係か ら流行の 拡大 が懸念 され て い る。
2 − 2, タ イ に お ける HIV /AIDS 対策の 変遷
以上の よ うに社会全体に 広 が っ て い っ た HIV/AIDSに対 して、タイ 政府は、主に疫学データ
ーに基 づ きな が ら 、 積極的に flエV語 IDS政策を 実施、進展 させ て い っ た。そ こ で 、本節で は こ
れ ま で の 政策を 3ア プ ロ ーチ に 分 け、そ の 特 徴 を概 説す る (Thamarak and UNAmS ,2001 )。
保健 中心 ・トッ プ ダウ ン ア プ ロー
チ(85・91年)
最初 の ア プ ロー
チを実施 し た 85−91年 は、タイ 王 国保健省 の 責任 の 下、医療 ・保健 間題 と し
て 扱われた 。85年にAIDSを伝染病 と認 定 し、HINi/ATDSに関す る調査を開始 した 。 88年 か らWm
の サポ ートを受 け HIV〆AIDf.1対 策 ガ イ ドラ イ ン
11に 基づ き 「短 期 プ ロ グ ラ ム (Sh。rt Term
Progra皿 )」 、89−91年の 「LP 期プ ロ グラ ム (Medium Term Program)」 を実施 した。
短期プ ロ グ ラ ム の 内容 は 、主 に ハ イ ・リス クグループ の 調査 と予 防教育の 提供、輸血 用血
液 の ス ク リー
ニ ン グ、ヘ ル ス ワー
カー
の 訓練で あ っ た。しか し、89年 の サーベ イ ラ ン ス で CSWs
間 で の HIV陽性率の 著 し い 上昇が 明 らか にな り、本格的に対策を実施す る 必要性 が 出 て きた 。
そ こ で 、中期プ ロ グラ ム で は短 期 プ ロ グラ ム を強化 する形で 実施 された が 、国 内 で の HIV !A工DS
の 関心 を高め るた め医療 ・保健問題 か ら社会問題 とし て 位置づ けた。
マ ル チセ ク トラル ・トッ プ ダウ ン ア プ ローチ (92・96 年)
田 WAH )Sの 流行 が特定 の ハ イ ・リ ス クグループか ら
一般の 社会各層 へ と変化 し、それ に 対
応す るた め実施 され た 政策が 「92−96年次 H 工V,・’AIDS 予 防 と統制 計画 (1[IVIAτDS Prev臼ntiQn and
C。 ntrol Plan 1992−1996)ま で あ る。 こ の ア プ ロー
チ で は、中期 プ ロ グラム の 実施 期間 中に
H丁WAIDS の 位置 づ けが 変化 し た こ とを受 け、マ ル チ セ ク トラル な対応 を取 る こ とを強 調 した .
91年に政策立 案を保健省 中心 か ら国家経済社会開 発委員会 (National Eeonomic and S 。 cial
Devel 。pment Board, NESDB)に 変 更 し、第 7次国 家経済社会 開発 計 画 の 中に 開 発 閙題 と し て
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一 第 8 号 2008
H工WAIDS を位置 づ け実施 され た。 さ らに首相が 国家AIDS 委員会 の 委 員長 に就任 し、国家A工DS
委 員会 の メ ン バ ーと して タイ政府内 の 全 て の 省庁 及 びNGO、コ ミ ュ ニ テ ィ
ーリーダー
、仏僧か
らの 代表 者が 参加す る意思決 定シ ス テ ム を形成 した (W。ngkhomthong et al ,1995)。
こ の ア プ ロー
チは 、90年代中頃か らの 新規感染抑制 に大きく貢献を した 。 しか し、感染予
防 に偏向 して お り、また 政策 の 決定 ・実施が依然 と して 保健省 中心 の トッ プ ダ ウン で あ っ た
こ と、市 民参加 とは い え.一部の NGOの 代表の みの 参加 で あっ た た め他の 省庁や他セ ク ターとの
連携 とい っ た 面で 課題 を残 し た (Thamarak and UNAIDS,2001)。
全体的(holistic)ア プ ロ ーチ (97・06)
97−06年ま で の HIV /AIDS 政策は 、こ れ まで の 計画か ら大 きなパ ラ ダイ ム 転換を行 っ た とい え
る 。 こ の 期間に実施 され た の が、「97−Ol年次HIV〆A工DS予 防 と緩和計画 (National Plan for the
Preventjon and Al⊥eviatien Qf HIV〆AIDS 1997−2001)」及び 「02−06年次HIV/AIDS予 防 と緩和
計画 (Nationa!Plan for the Prevention and Alleviation oHilWAIDS 2002−2006)」で ある。
92−96年次HIWAIDS 予防 と統制計画 同様 に 、国家経済社 会開発計 画 (第8次、第9次)の 中に 位
置づ け ら れた.全体的 ア ア ロ ーチ と は 個人一家族一 コ ミ ュ ニ テ ィ
ーが一
休 と な っ て ボ トム ア
ッ プ型 の 対策 を実施 し、HIV/AIDSの 影 響 を緩和す る こ とを指 し て い る。そ こ で 、コ ミ ュ ニ テ
ィーを 中心 に NGO、地 域社会、家族、 PLHIV 自身がHIV/AIDS対策に 参加 し、仏僧な ど地 域の 知
を積極的に活用す る形で の 実施 を 目標 と して い る (ibid, p. 68)。
こ の 政策は 、UNAIDSI2の HIV/AJDS対策の コ ン セ プ ト]3に 基づ い て い る ほ か 、こ の 時期 に経験
し た経済危機の 影響や地方分権化、民営化の推進 とい っ た政治経済的な構造の 変化、また グ
ロ ーバ ル 化に よる地城社会 へ の 影響 に対する反応 な ど様 々 な要因が影響 を与え て い る。さら
に 、HIV/AIDS対策予算 の 削減 も行われ、政府に よ るー導的な対策か ら各 レ ベ ル で 利用で きる
資源 を有 効に活 用 す る対策 へ と転換す る必要が あ っ た。
そ の た め 、 コ ミ ュ ニ テ ィー
、家族 、個人 レ ベ ル で の 能力向上 の た め の 制度の 構築 と経験 の
蓄積を 日標に H工V/AIDS政策に対応す るた め の 戦略が打 ち出 されて い る。特 に コ ミ ュ ニ テ ィー
に 対 し て は 、 「伝統的な コ ミ ュ ニ テ ィーサポ ー トネ ソ トワ ーク の 再評価 と強化 」 、 「公 的、
コ ミ ュ ニ テ ィー保健施設 で の PLHrvへ の ケア と治療 の 拡大」 が 戦略 と し て 挙 げ られて い る
(National AIDS Prever〕tion and Alleviati 。 n C 。 ittee,
2001 )。
こ の よ うに 、タイに お けるHlv/AIDS対策は 、国 内で の Hlv/AIDS 流行 の 変化 に対応す る形で
変遷 し て きて い る,で は 、こ れ まで の HIV /AIDS 対策が ど の よ うに実施 され て きた か に関 して
チ ェ ン マ イ県14を具体的事例 に明 らか にす る。
3。 チ ェ ン マ イ県 にお け る HIV /AIDS 対 策
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発展 途上 国 に お け る HIVIAIDS 刻策の 実 証 研 究一
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3 − 1, HIVIAIDS 対策実施シ ス テ ム の 構築
チ ェ ン マ イ 県で の HIV/AIDS対策は 、94 年に 国家AIDS 委員会 内 で の NACC設 置 か ら始 ま る。そ
れ 以前 の H工WAIDS対策 は 、主 に保 健省 の 出 先機 関 で あ る第 10地域感染症対策事 務 所 〔the
Office 。 f Disease Prevention and C。ntrol Region lO/DPC10 )、チ ェ ン マ イ県保健 事 務所 、
郡 とタ ン ポ ン (Tambon: sub−district)保健セ ン タ
ー及び NGOが個別 に行 っ て い た、 NACCは 委員
長 に 保健 省畠「」大臣 、事務局長 にDPCIO 所長が就任 し、関連す る省 庁関係一k NGOな ど様 々 なセ
ク ターが参加 した 。 国家 レ ベ ル で の 対策 を北部地域で 効率的 に 実施 す るた め 、県 、郡 、タ ン
ポ ン の 各 レ ベ ル にそれ ぞれ AIDS 委員会 の 設置 を行 っ た,,国家AIDS委員会の 下 、 NACCは 直接行
攻機関や NGO、ロ ーカル コ ミ ュ ニ テ !一 へ H工V感染予 防に 関す る予算 の 分配 を行 う こ と が 可 能
で あ っ た (Thangphet,2001)。そ こ で 、 NACCは94−01年に コ ミ ュ ニ テ ィーベ ー
ス で の 予防 とケ
ア を強調 し、T・ 一カ ル レ ベ ル で活動する NGO へ の 教育活 動、HIV〆A工DSボ ラ ン テ ィ ア の 養成 訓練、
社会的補助ネ ッ トフ ーク の 強化 と して NGO、 PLH工V 自助 グル
ープ の ネ ッ トワーク化の 推進 、ヘ
ル ス ケ アネ ッ トワーク の 確 立 と強化 、情報シ ス テ ム の 強化 と管理 を実施 して い っ た
15。
特にNGO、 PLH工V 自助グループの ネ ッ トワ ーク構築に 関しては 、小 規模なNGO や PLHIV自助 グ
ル ープ の 育成 ・支援 を通 し て 実施 され て い っ た。91年 の 中期プ ロ グラ ム か ら田 V/AIDS 政策 に
おい て 、主 に教育や 情報 の 普及 、ケア の 提供者 と し て NGOが位置づ け られ た 。 NGOの 育成 に関
し て は 、95年に HIV /A工DS 活動 を 行 う組 織 を 対 象 に ?,500 万 バ ーツ (]バ ー
ツ =約3 円)がNACCを通
して分配 され た。こ れ は、97年か らの 分権化の 促進 を 中心 に置 く第8次国家経 済社会開発計画
実施 の 準備 の た め コ ミュ ニ テ ィーの 能力強化 の
一環 と してHIWAIDS 対策予算以外か らもNGO
に対 して 重 点的 に行われ た e
さ らに、DPCIOが NGO と共 同 で 予 防啓発活動 の 実施 や NG〔}八[DS ProjectL6に よる支援 を行 っ た,、
これに よ り90年代前 半以降多 くの NGOが HIV,,’AIDS活動を開始 し 、 また新設 団体 も増え て い っ た 。
93年には ネ ッ トワ ーク調整型の Northern NGO C。aliti 。 n on HIV〆AIDS (NNCA)L7
が設 立 され 、
NGO 間で の ネ ッ トワー ク 化 が 促 進 し て い っ た 。
Mahid 。 1大学 ASEAN ⊥nstitutc for Health
Developmentの 調査で は 、当時タイ 全 国で 189の NGOが HIV,
・’AIDS 関連 の 活動を行 っ て お り、そ の
内北部地域 で は 47団体で あ っ た (W・ngkh 。mth 。ng 巳t ul,
1995 )。
一方 、北 部 タイ の PLHIV 自助 グル ープ
]sは、80年代後 半 か ら90年代前半 の HIV感染者 が急速
に 増加 し 始 め た時期 に チ ェ ン マ イや 周辺 の 町 で 自然 発生 的に形 成 を ス ター トさせ て い た 。
PLHIVの グ ルー
プ形成 の き っ か けは、差別や ス テ ィ グ マ 、排除 を受 け た こ と で あ る。こ れ は 、
初期 の HIV/ATDS予 防キ ャ ン ペ ーン が特定 の リス ク グル
ープ い わ ゆる同性愛者 、 csws、 IDUsな
どを強調 し、AIDSを 「根治不 可能な病気」とい うメ ッ セージ で
、 危機 意識 を喚起 する 手 法 を採
っ て い たか ら で あ る 。HIV!A工DSに関する正 し い 認識 が不 足 して い た状況 で 、こ の よ うな情報
を うけた人 々 が、 偏見を強化 し、うわ さや誤解を浸透 ・拡散 させ て い っ た (Lyttlon,1996 )。
特 に農村部 の 医療施設 で は診療拒否 も起 こ っ て お り、へ正DSに対す る恐怖が可視化 し、さ らに
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増幅 させ る効果 を持 っ て しま っ た 。 そ して 、村 の よ うな コ ミ ュ ニ テ ィー
で は、感染 した事実
が 明 らか にな る とHIV!AIDSの 負の イ メージが付与 され 仕会的排 除の 対象 とな っ た の で あ る。
彼 〆彼女 らの 多 くは 、チ ェ ン マ イ市で の 治療 を求め るた め、また地域社会で の 社会的暴力か ら
逃れ るた めに 、都市に流 入 し集合 した PLHIVで あ り、HIV/AIDSに関す る知識や 健康維持 に つ い
て の 情 報の 共有 と相互 扶助 を行 う都市 コ ミ ニ ・ ニ テ ィーグ ル ープ を形成 し て い っ た (田辺 、
1999)。都市部以外 で も、例 えば、89年 に夫 か らHIVに感染 した AIDS寡婦 に よ っ て ドー
イサ ケ
ッ ト寺院境内に形成 され た 「Doi Sakθt WidoWs」 は 、地域祉会の 厳 し い 差別 と排 除の 中で ど
の よ うに 自分達 と子供の 健康維持や教育 を提供 して い くか を相談 し て い た (Beyrer,1998)。
こ の 時期 に形成 され た グ ルー
プ の 多 くが NAPAC (現AIDS −Net )19
、 CCT ,IAM20 な どの NGO か ら支援を
受 け活動 を展 開して い っ た。96年 に保健 省か らPLH工V自助グ ルー
プ の 支援が 開始 され、 DPC10
や NGOは 資金 、技術支援を通 じ て グル ープ化を促 し て い っ た (F・reman and Laphim・n ,2006)。
当時PLHIVの 自助 グル ープ 育成に 関わ っ たNGOに よ る と、PLHIV達 と食事を し て い る際、仲間
の 葬儀の 時に献花す る花 を栽培 した い と い う意見 が lr頴台め 、そ の 後 も収入 の 獲得 な ど の ニー
ズ が聞か れ る よ うに な り、彼 ら に 自分 た ち の = Z・・一ズや で きる こ と に つ い て 考え る よ うに 促 し
て い っ た 。そ こ で 彼 ら の 話 し合 い を観 察 しなが ら、グルー
プ の リーダー
を特 定 し、他 の 地域
で の HIWAIDS 教育活動 へ の 参加 を勧め て い っ た の で あ 621。
当初、彼 ら の ニーズ は 内 向的なもの で あっ たが 、グ ル
ープ内 で の 活動を経験 し、NGOとの 関
係 を深 め る うちに、対外的な活動 を行 う動機が 生まれ て きた とい える。特に教育活動の 参加
は 、彼 らの 中に社会的 に 認 め て ほ し い とい う社 会的再受容 と90年代前半の マ ス・メ デ ィ ア キ
ャ ン ペ ー ン で の 負 の イ メ ージ を改善す る た め 、適 切 な 治療 へ の ア ク セ ス を 目 的 と し て 自身 で
活動す る 動機付けに な っ た。92年 に は 、輸血 を通 し て 感染 した 男性の ライ フ ス トー
り一
が 出
版 され 、HIV!AIDSとと も に 生 き る個人 の 生 々 し い 体験が 公 表 され た。同 様に 、 NGOの 支援 を受
け、夫か ら感染 した女性が テ レ ビ に登 場 し、肌 V〆A丁DSに 関 し て 生 じ た 問題 を語 り、生の 声を
発露 し て い っ た。PLHIV自身が メ ディ ア に 登場す る こ と に よ っ て 、HIV/AIDS に 関す る偏見や差
別 が顕在化 し、PLH工Vの 存在を社会的に認識 させ る こ とにな っ た (Henry,1996 ;Viddhanaphuti ,
1999)。 こ れに よ り、PLHIV が 自身 の 声を上 げる環境が 整 い 始 め た と い え る。
96年に は PLHIV 間 の ネ ッ トワーク調整 を行 うThai Net.sv・ rk 。 f Pe ・ple living with HIVIAIDS
(TNP+)が設 立 され、ネ ッ トワーク 化 が さらに進ん で い く。DCPIOや NGO、自ら運 営能力を持
ち様 々 な小 グ ループ へ の 活 動 支援が で き るPLHIV 自助 グ ル
ープ は 、 農村部で PL [IIVグループ化
支援 を行い 、また 隣村問 の 交流を橋渡 し して い っ た 。こ れ ら の 機関 の サ ポー
トを受けた PLH工V
自助グ ループ の 活 動は 、 対外 的には予 防啓 発 とア ドボ カ シ
ー活 動 を 、 対内的 には裁縫や 養豚 、
養魚な ど の 職 業訓練や 収入 向上プ ロ グラ ム を実施 して い る 。 また 、NGOが媒介とな っ て コ ミ ュ
ニ テ ィー内の メ ン バ ー
と ともに活動やお祭 りに参加す るな どの 活 動を行 っ て い る 。 現 在で は 、
PLHIV 自助 グルー
プが コ ミ ュ ニ テ ィー
組 織 と して HIV/AIDS以外 の 活 動 、 例えば 、 蚊 に よ る伝染
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発 展途上 国に お ける HIVtAIDS 対策 の 実証 研 究 一
北部 タイ にお ける政府 と NGO と の 協働政策を 中心 に一 107
病予防の 活動 として ぼ うふ らの 発 生源 で あ る水溜 りの 除去 活動や婦人会で の 委員 として コ ミ
ュ ニ テ ィー活動の 中心 的 な役 割 を し て い る グル
ープ ・メ ン バ ー も出て きて い る2Lt。初期 の
PLHIV 自助 グ ル ープの 活動が社会的に 多 くの 社会層 に意識 の 変革 を促 し、同時に被害 を受 けた
人 々 と い うイ メ ージ か ら積極的 な活動雫 体 と し て 社会 に 認 め られ る よ うにな っ て い く。特に
96年以 降の HIV/A工DS政策で は 、 PLH工Vが ケ ア ・治療な どサービ ス の 受け手 か ら彼 らを主体 と し
た対策立案 ・実施 へ の 参加 が強調 され るよ うにな っ た 。94年末時点 の 北部地域で の PLHIV 自助
グ fV 一 プ は 13 団 体 で あ っ た が 、 05年 末 で は 309団 体 に 増 加 し て い る (F・ reman and
Laphimorl,2006 ):t
こ の よ うに、DPCIOや NGO、 PLHIV自助 グ ルー
プ の 活 動 に よ っ て ロ ーカ ル レ ベ ル で の PLHIV 自
助グルー
プ の 育成 も進 ん で い っ た。彼 ら の グループ形成及 び活 動の 場 となっ た の が 地域 の 病
院、保健 セ ン ターや 寺院で あ っ た こ とか ら、彼 らをサ ポー
トす る NGO と コ ミ ュ ニ テ ィーリーダ
ー問で の 関係性が深 くな っ て い っ た とい え る。こ れ ら各グループ間 の ネ ッ トワーク 化が進 み
コ ミ ュ ニ テ ィー レ ベ ル で の HIV/AIDS活 動 へ の イ ン セ ン テ ィ ブ が 加 え ら れ て い っ た
(Viddaharユaphuti , 1999).
3− 2. 協働で の 対策 の 実践
97年 に は 新憲 法 が 公 布 し、地 方分権化 が 促 進 され 、H ]V,iAIDS 対策 の 立 案 ・実施 メ カ ニ ズ ム
もそ の 影響 を受けて い る。02年に NACCが解散 し、各県AIDS委員会 がHIV/AIDS 対策調整機関 と
な っ た23.その た め 、国家 AIDS委員会か ら縦 の 指示 系 統が なくな り、各 レ ベ ル で の 水 平な協
力関係 に よ っ て 行 うこ とが可能 とな っ た . 保 健 関係機 関 に 関 し て は 、現在 の HIWA 工DS対策は
地方 レ ベ ル で の DPC10か ら各県 保健 事務所 が 中心 とな っ て 行 っ て い る。さ らに、 HIV/A工DS対策
予算に 関 し て は 、全 体的な低下 とと もに 、 予 防と ケ ア の 両方を対象 と し て担 当 し て い る こ と
か ら保健省 に集中 し て い た予算が他 の 省 庁で も対策 が行え るよ うに分散 し て い る (Thamarnk
and UNAIDS , 2QO1; UNDP, 2004)=
こ の よ うな状況下で 、現在 の チ ェ ン マ イ県で の H工WAIDS対策は 、予防 の 面 で は 若年層、MSM、
移住 労働者 を対 象 と し、ケ ア ・治療 の 面 で は ケ ア へ の ア ク セ ス の 促進iとそ の 制度 の 確 立 、AIDS
発症者 へ の 治療 の 提供 と し て い る24
。 実 際の 活動 は 、 郡 、 タ ン ボ ン レ ベ ル の 保健 セ ン ター
職
員やNGOが 実施 し て い る。それ らの 活 動 に対 して、 DPCIOがケ ア の 分野に 、チ ェ ン マ イ県保健
事務所が予 防 の 分野に 、それぞれ 資金 や情報 の 提 供を行 っ て い る。そ の た め 、各NGOは、行政
機関、UNICEF2i,、 GFATM26な ど の 国際機関 ヘ プ ロ ジ ェ ク ト対 象や 内容に よ っ て 申請先 を別 け て
行 っ て い る。例えば 、チ ェ ン マ イ県感染者 ネ ッ トワー
ク委員会27で は 、県保健 事務所や UNICEF
か ら活動資金 を受 け、サン パ トー
ン 、ドイ ロー
、メー
テー
ン 、チ ェ ン ラオ の 4郡で 小 学生 を対
象に HTV/A工DSに 関する 教育活動 を実施 し て い るt’s
。
PLH工Vへ の ケ ア の 提供 ・サポー
トに 関 して は保健 セ ン ター、病院、 NGOが協力 して 行 っ て い
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108 愛知淑徳大学論 集一文 fヒ創 造 学 部 ・文化創 造研 究科 篇 一 第 8 号
.20e8
る。90年代後半か らタイ 国 内でHAART29の 利 用 が 可能 とな っ て お りlso、そ れ に関わ る 事業が多
くな っ て い る.HIVは亜種や 薬剤耐性 ウ ィ ル ス が発 生す る可能性 が あるた め、 ARV薬は服用 す
る 時間だ けで は な く睡眠 時間や 食事 に関 して も厳 密な用法 に沿 っ て 使用 しなければ な らない 。
その ため服用者の ア ドヒ ア ラ ン ス (服 用 の一
貫性 )をチ ェ ッ クす る必 要が あ る。さ らに 、ARV
薬には様 々 な副作用 が あ る こ とか ら、それ らの軽減や他の 薬剤 へ の 切 り替 え等 を行 う必要 が
あ る J こ れ らPLHIVへ の ア ドピ ア ラ ン ス チ ェ ッ ク や サポー トをNGO、 PLHIV 自助 グループが行 っ
て い る,サ ン パ トーン 郡 の 例で は 、郡感染者ネ ッ トワー
ク委員会3且が郡内 の PLHIV 360人 に 対
し て 、数チ ーム に別か れ て、ARV の 服 用 の 説 明や ア ドピ ア ラ ン ス チ ェ ソ ク の 家庭訪問を して い
る。こ の グループは 、仮事務所や 集会場 を保健 セ ン タ
ーや寺院内に 設置 し、各 コ ミ ュ ニ テ ィ
ーで の 活動を行 っ て い る。そ の 他に も、県 や郡か ら資金 を得て 、PLIIIVへ の 生活保護の 提供 ・
サ ボー ト32や新規感染者が発 見 され た場合 の 家庭訪問 を 保健 セ ン ターや 病 院 と連携 し て 実施
し て い る.
ロー
カ ル レ ベ ル で 活 動す る NGOが学校 な ど で 教育活 動や PLHIVへ の ケ ア の 提 供 を行 う理 由 と
し て 、郡 よ り下位 レ ベ ル で の 行 政機 関が 対策 の 実 施に 人 員 を動員 で きな い とい う点 と行 政機
関や国 際機関 か ら活 動資金 や 技術攴援、情報提供 を受 け て い るた め、そ れ らの 影響 を受け ざ
る を得 な い 点が 挙 げ られ る/Slirt
前者 は 、タ ン ボ ン レ ベ ル で は 対策 の 実施 に関す る専門知識 が
乏 し く、また関心 が 低 い と い っ た点 か ら、NGOが働 きか け て 対応 を し て い る状態に ある とい え
る。後者に関 し て は 、特 に ロー
カ ル レ ベ ル で の NGOは その活動 を実施する能力や必要な資金、
情報、技術を外 部 の 他 機 関 に依存せ ざ る を得な い た め で ある.
以下 で は、タ ン ボ ン レ ベ ル で 対 策が ど の よ うに 実施 され て い る か に つ い て サ ン カ ム ベ ーン
郡 タ ン ポ ン ・オ ン タイ:4を具体的事例に 述 べ て い く。
3 − 3. ロ ーカ ル レ ベ ル で の HIVfAIDS 対策に関す る
一事例
現 在、タ ン ポ ン ・オ ン タイ で の H工WA 工DS対策は、基礎保健ボ ラ ン テ ィ ア:ヨ5をべ 一
ス とした
ボ ラ ン テ ィ ア グ ルーブ を 中心 に行 われ て い る 。
90年代の H工V/AIDS 対 策は 、96年 ま で 各 村に立 て られ て い る電柱 の ス ピーカ ーで の 予 防メ ッ
セ ージ の 放送 の み で あ っ た 。 PLHIVに 対 して は 、健 康診 断 と診療、生活保護用 に毎月 500 バ ー
ツ の 提供 と治療 が必要 な者 にサ ン カ ム ペ ーン 郡立病院 まで の 送迎の 他 、保健省の 攻策 に従 っ
て 96年頃か ら保健セ ン ターが中心 とな っ て PLH工V自助 グループ の 形 成が 行われ て い た 。
HIWAIDs 対策が、住 民の 手 で 行 われ るよ うに なっ た き っ か け は 03年 に Raks Thai 財 団3C.が
基礎保健 ボ ラ ン テ ィ ア 育成 を 目的 と し て こ の 地 区 で 活 動 を開 始 し た こ と で ある ,こ の 育成 プ
ロ グラ ム に よ っ て 、06年 9月現在 140名が保 健省に登 録 し てお り、コ ミュ ニ テ ィー
で の HIV/A工DS
対策の 担 い 手 として 活 動 して い る.基礎保健ボ ラ ン テ ィ ア が グ ループを組織 し、 コ ミ ュ ニ テ
ィー
の 他 の 構成員にHIV /A工DS対策の 実旋を促す こ とに よ っ て 、タ ン ポ ン A工DS委 員会の 活 動が
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発 展 途上 国 にお け る HIVIAIDS 対 策の 実証研究 一北部 タイ にお ける政府 と NGO との 協働政策を 中心 に一 109
活 発化 して い っ た、 . ,
こ の グルー
プ の 運 営委員 は、行政関係者6名 、ボ ラ ン テ ィ ア 4名 で 構成 され て い る 。 活動資
金 は約 9万 バ ーツ で 、内訳 と し て は保健省が 各村に基礎保健 ボ ラ ン テ ィ ア 活動の た め に提供 し
て い る年間約 1万 バ ーツ とオ ン タイ で の 保健関連 予算約8万 バ ー
ツ に基づ い て い る。活 動 は 、
各村で 10軒あた り1名 ずつ ボ ラ ン テ ィ ア を輩出 し、保健 セ ン ター
を べ 一ス とし て コ ミ ュ ニ テ ィ
ーの 構成員 へ 基礎保健 に関す る・宥報や サ ボー トを提 供 して い る
3T。
現在 の H⊥V/AIDS に関す る活動は、主 にHAARTの 提 供、使用 の 説明 とチ ェ ッ ク 、 HIV/AIDS 予 防
啓発 活動 、CSWsへ の コ ン ドーム の 配布 を行 っ て い る 。
HIV/AIDS予 防啓発 活動で は、地域の 小 学校で 高学年 を対象に セ ミナーを開催 し、成長 に よ
る男女 の 身体 の 変化、性 、HIVの 感染経路、どの よ うな男女関係が理想的か に つ い て 、絵 を描
い た り発表 した り と参加型 教育活動や田 V感 染者 の 血 液を使用 した抗 体検査 法 を体験 し 、
PLHIV と ともに遊戯や 会話な どの 交流を通 した差別緩 和プ ロ グラ ム を実施 して い る 。
そ の 他 の 活 動 と して、PLHIVとそ の 家族 へ の 攴援 を 目的 に 05年 か ら基金を設立 、運営 して い
る、こ れ は 、コ ミ ュ ニ テ ィー
で の 寄付金、タ ン ポ ン 自治体 とRaks Thai財 団か らの 資金提供を
基に現在 18 h’バ ーツ が用意 され て お り、PLHIVを含 む仕会的弱者 へ の 救済、 A工DS孤 児 へ の 奨学
金 提供 を行 っ て い る:11。
タ ン ポ ン・オ ン タイ で の HIV/A工DS対策は 、ボ ラ ン テ ィ ア グ ル ープ を 中 心 に 行 政 と村民 が 協
力 して 活動 を実施 して い る とい える。ボ ラ ン テ ィ ア は 、保健 セ ン タ ーで 補助を行い なが ら、
日常的に住 民と接 して お り、コ ミ ュ ニ テ ィーで 必 要 な活 動 が汲 み .ヒげ られる よ うに な っ て い
る。
また 、タ ン ボ ン AIDS 委 員会は行政、住 民 、 PLHIVか ら構成 され て お り、2ヶ 月に 1度会合 を持
ち、意見交換や 必要 な活 動 の 提言が行われて い る。そ こ で の 決 定を受 け、ボ ラ ン テ ィ ア グル
ープ がプ ロ ジ ェ ク トの 予 算を メ ン バ ーの 行政職 員を通 して タ ン ポ ン の 保 健関連予算 か ら使用
の 調整 し、実施 して い る 。 そ の 他 、タ ン ポ ン役場や NGOか らも特 に予 防啓発 に 関す る プ ロ ジ ェ
ク トの 要請 があ り、そ れ らか ら資金 を受け て 活動 を行 っ て い る、
し か し、こ の ボ ラ ン テ ! ア グ ループの 06年度 の 予算 はタ ン ポ ン の 予 算約 1
,100万 バ
ーツ の 内
約 1%弱の 約8カ』バ ー
ツ と非常に 低 く、活動に制約が あ る e こ れ は 、タ ン ポ ン 自治体が イ ン フ ラ
整備な ど に集 中し て しま い 、そ の 他 の 社会問題 へ の 対応 が で きな い 状況 に あるた め で ある。
こ の よ うな状況 Fで 、ボラ ン テ ィ ア グループは上位 の 行政機 関で あ る郡役場や Raks Thai財 団
な どの NGO ヘ プ ロ ジ ェ ク ト申請 し対応 し て い る u
4. 考察
前節 で は 、チ ェ ン マ イ 県 で の 1∬W 膩 DS対 策 に お け る ネ ッ ト ワーク 構 築過 程 と実 際 の
HIWAIDS 活動 に つ い て 具体 的な事例 を挙げ説明を行 っ た、 こ こ で は、こ の ネ ッ トワー
クが ど
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110 愛 知 淑徳大学論集一文 化創 造学部 ・文 化創 造研 究 科篇
一 第 8 号 2008
の よ うな特徴 をもっ て い る か に関 して 考察を行 う。
まず 、チ ェ ン マ イ 県にお けるHIV/AIDS対策 で の ネ ッ トワー
ク化 は、明 確な政 策的意図を も
っ て 実施 され た こ とを指摘 しな けれ ばな らない。
80年代 後半か ら90年代前 半で は、疫 学動 向 の 変化に よ り、特定 の ハ イ ・リス ク グループ 間
で の HIV陽性率 の 変化に対応 し、明確に ターゲ ッ ト化す る こ とが 可能 で あ っ た。こ れ は、巾期
プ ロ グ ラ ム の 実施期 間中、チ ェ ン マ イ に お けるCSil’s 間で の HIV陽性 率の 上昇に よ りHIV/AIDS
の 位置づ けが 医療 ・保健問題 か ら社会 問題 へ 転換 し、また北 部地域で の 流行拡 大 の 抑 制か ら
も重点的に行われた とい える。そ の 効果は 、性産業施設 で の 100%コ ン ドーム プ ロ モ
ーシ ョ ン
や マ ス・メ デ ィ ア プ ロ モ
ーシ ョ ン に よ っ て 結果 と し て 現れ た 。
こ の よ うな対策 は 、HIV !AIDS
流行の 初期段階にお い て は有効 とい える 。
しか し、90年代前半か ら感 染が リス ク グル ープ問 か ら一
般 の 社会各 層に 広 が り、く わ え て 、
PLHIVへ の ケ ア ・治療の 提供の 問題や以前の 対策で の 負の 影響 が顕在化 し、対応 が 困難 にな っ
て い っ た。 そ こ で 、国家AIDS 委員会は よ り広範で 多面 的に 対策を実施するた め NACC を通 じて
NGO、 PLH工V 自助 グ ル ープ の 組織化 を実施 して きた 。 そ れ ら の 過 程で NGO間 、 PLHIV 自助 グ ルー
プ間で それ ぞれ の ネ ッ トワー
ク化 を図 り、そ の 結果 と して 中央一
地 方一
ロ ーカ ル コ ミ ュ ニ テ
ィー
(現在は 、中央一
県一
ロー
カル コ ミ ュ ニ テ ィー
)間 と行政一NGO間を繋 ぐネ ッ トワーク が
構 築で きた と い える。
NGOに とっ て は、こ の 政策 に よ りHIVf’AIDS対策の 意思決定過程 に参加する こ と が 可能 とな っ
た。ま た 、多 くの 小 規模 な NGOは 、ネ ッ トワー
ク を活か し、活勤を活発 化 させ た。 PLHIV自助
グル ープ は 、偏 見 、差別 の 撤廃 や 自身 の 健 康に 関す る 閙題 を表出 させ 、活 動す る機 会 を得 る
こ とが 可能 とな っ た。特 に 全体的ア ブ ロ ーチ は 、活動の 場 とし て コ ミュ ニ テ ィー
を強調 し、
ロー
カ ル レ ベ ル で の 予防啓発や ケ ア の 提 供が 重要視 され て い る こ と か ら 、NGO
、 PLHIV 自助 グ
ル ープ の プ レ ゼ ン ス が 高ま っ て い る とい え る.
他方 、全 体的 ア プ ロー
チ は、行政に と っ て 責任 を個人、家族、コ ミ ュ ニ テ ィー
に分散 させ 、
3 − 3節 で 指摘 し た よ うに 、NGOに 対 し て 資金、技術支援 と情報提供 を通 して影 響力 を行使す る
効率的 で 新た ら しい 「統治」 の 手法 と し て 実施 し て い る とい える (Del Casino Jr.,2003 )n
こ の 点 に関 して は、多 く の 負担 がNGO、コ ミュ ニ テ ィー、PLHIV 自助 グル
ープに掛 か っ て お り 、
また行政か らの 影響を受 けざるを得な い 面か ら、こ の 両者 の 関係 は 「主従」 関係 と して 成 り
立 っ て い る と考え られ る 。
し か し、3− 4節で の ケー
ス の よ うに ロー
カ ル レ ベ ル で は 、行政 と住民 に よっ て 組織 され た
基礎保 健 ボ ラ ン テ ィ ア グループ が 保 健 セ ン タ ー
を べ 一ス に地 域に 密着 し た形で HIV /AIDS活動
を展開 し て い る。こ の よ うな活動は 、外部NGOの 介入 か ら促 され た も の で は あ るが、全 体的ア
ブ n 一チ へ の 転換に よ り、田 ▽A工DS対策 の 意思決定が ロ
ーカ ル レ ベ ル で 可能に な っ た こ と に
よ っ て 起 こ っ た も の とい え る 。 そ して、 こ の グルー
プは 、 予算の 制 限が ある場合、上位 の 行
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発展途上 国 に お け る HIV !AIDS 対策の 実証研 究 一北 部 タイ に お け る政府 と NGO との 協働政策を中心 に一
111
政機関や NGOに プ ロ ジ ェ ク ト中請 し対策 を実施 して い る、問題解決 とい っ た点か ら、 n 一カ ル
レ ベ ル で 活動 す る グル ープ に と っ て は、活動資金や 情報を得 る た め の 手段 と して 、行 政機 関
や 国際機関を利用 して い る ともい える 。
さ ら に 、現 在で は 潜在的な リ ス ク グ ルー
プ で あ る一
般 の 社会層 を対象に 予防啓発 活勤を実
施 し感染 の 予 防、PLHIVへ の ケ ア ・治療 を提供す る こ とは 、行政 の み で は不 可能 で あ る 。 そ こ
で は、個別 の ケー ス に対 応可能なNGO が行 うア ウ トリ
ーチ な、様 々 な対象 へ の 、活 動を通 して
得た ロー
カル な情報 と経験が必 要にな っ て い る (Ferdham,2005)。
つ ま り、行 政機 関、NGO、 PLIIIIvEi助 グループは、す で に他セ ク ター閤、セ クタ
ー内 で ネ ッ
トワーク と し て 繋が っ て い る以 上 、そ の ネ ッ トワー
クを利用 して 、相互 に影響を行使 しなが
ら、そ の 都度対立 と協調 を行 い 、問題 の 解決 へ 向 けて 、政策 ・対策を協働で 実施 し て い る と
い える n
5. 結び に か えて
本稿 は、90年代半ばか らの 北部 タイ、特に チ ェ ン マ イ県にお い て IIIV/,XIDS対策が どの よ う
に協働で 実施 され て きた か に 関 し て 、疫 学動 向の 変化、HIVIAIDS政策 の 変遷 を基に 、保 健行
政機関 、NGO、 PLH工V自助 グル ープ、基礎保健ボ ラ ン テ ィア の 各主体内及 び全 体 の 間 で の ネ ソ
ト ワーク 化 を 中 心 に 明 ら か に し て き た 。特 に 92年 以 降 の ア プ ロ
ーチ は 、リス ク グループ の 多
様化 とAIDS発症者の 急増 に対応す る 必 要性か ら様 々 な 活動 雫 体が HIV/A工DS対策に 参加 す る環
境や機会 を獲得 し ロー
カル な場で 活動 を実践 して い る 。こ の よ うな対策 が、現在の 新規感染
者の 抑制 とPLHIVへ の ケア の 提供 を可能に し て い る と考え られ る 。
付記
本稿の イ ン タ ビ ュー部分に 関 し て は 、中川 の 修 一L一論 文 プ ロ ジ ・・ ク トと し て 06年 4月 20日か ら
9月 20日 ま で の 5ヶ 月 間、チ ェ ン マ イ県 を調査地 と した フ ィー
ル ドワーク に よ る もの で あ る。
イ ン タ ビ ュー
対象は、DPCIO、チ ェ ン マ イ県保 健」’b務 所 の 行攻機関2機関 とサン パ ト
ーン 郡感
染者ネ ッ トワー
タ 委 員会、タ ン ポ ン ・オ ン タ イ保健セ ン ターボ ラ ン テ ィ ア グル
ープ、チ ェ ン
マ イ感染者ネ ッ トワーク委員会 、 AIDS−Net、 CCT ,!AM、 NNCA、 Raks Thai 財団の NGO7団休 の 合
計 11名 に行 っ た。主た る質問項 目として 、 他 セ ク ター
との 協働で 行 っ て い る活動 に関 して 、
他の セ ク ター
との 関係 、 協働で 行 う対策に つ い て、 そ れぞ れ の セ ク ターが ど の よ うな役
割 を持 っ て い る か 、 他の セ ク ター
と協働で 行 う こ とを どの よ うに考え て い る か 、 協働で
行 うこ との 意味や 必要性 は どの よ うなもの か 、 現在の 活 動 に つ い て ど の よ うな問題 点 が あ
る か 、に 関する 資料が収集 され た.
最後に 、調 査期 問中様 々 な ご 配 慮を い ただ い た タイ E 国国立チ r ン マ イ大学社 会科 学部長
SeksinSrivatananukulkit 准 教授 、同副学 部長 KosumSaichan ;隹教授、そ し て フ ィー
ル ドワー
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112 愛知 淑 徳大 学論集一文 化創造学部
・文化創造研究科篇一 第 8 号 2008
ク で の ア ドバ イザーを担 当 し て い た だ い た Chiraluck Chongsatitmun准教授に 対 し て 深謝 を
申し 上 げる。
注
1本 稿 で は組 織 の 規模 、運 営 能 力 に 関 わ らず 、ま た 地 域 社 会 組 織 (Commmity −Based Organization1CBO)を含
め た 非 酬 組 脚 on −Gove enta10rg 恤 zation )を NGO と表 記一むる。
2 People Living with HIV の 略. HIV 感染者 を 指す。
3Commerciai Sex Worker(s)の 略.商業的 に性的サ
ービ ス を提供す る人 を指す n
4 Men who have Sex with Men の 略で 、男性 と sex す る男 性 を指す。特 定 の 性 的志 向に 関わ りな く、疫学 L の H 【V 感染経 路 別 で の 分 類 の た め に 使 用 され る グル ープ。5 injected Drug User(s)の 略。注射薬物使用者を指す。6 Male Sex Worker(s)の 略 。
7 Sexually Transmitted Diseaseの 略。s 80年 代 後 坐 か ら、タイ 政 府 が 直接 性 産 業 施 設 に介入 した 対 策 で あ る。これ は CSWs と男 性 客 を重 点 的 に
性産業施設 、娯楽施設 、保 健 セ ン ター
や 村の ヘ ル ス ポ.ス トで 無料の コ ン ドー
ム を配 布 し、使 用 を促 した、9 HIV 〆AIDS 予 防 に 閧す る パ ン フ レ ッ トや ポ ス ター配布 、掲示 とテ レ ビ 、ラ ジ オ 番組 の 間 に 1 分間の CM を
毎 時 間 放 送 す る こ とに よ っ て 実 範 され た正OCSWs
と非 CSWs で の コ ン ドーム 使用 の ギ ャ ッ プ は、80年代後半か ら 90年代前半に 実施され たマ ス・メ
デ ィ ア キ ャ ン ペ ーン や 100 % コ ン ドーム プ ロ モ ーシ u ン に よ る 負 の 影 響 と指 摘 で き る。例 え ば、道信 は、 100% コ ン ドーム フ
.ロ モ
ーシ ョ ン は CSWs とそ の 男性客 に 重点的 に 実施され た た め 、コ ン ド
ーム に 「快
楽 の 性 の た め の も の 」、「病 気 の 伝染 を 予防 す るだ け の もの 」 とい う否定 的な 表象 を付与 し、夫婦や 恋
人 な ど性 康 業 以 外 の 男 女 関係 に お け る コ ン ドーム の 普 及 を妨 げ る重 要 な 問 題 を残 した、と指摘 して い
る(道信、2001;90)。Il WHO 内 に AIDS 対策 部 門 と して 設立 され た WHO ・Global Progτam on AIDS (WHO −GPA )に よっ て f乍成 され
た サーベ イ ラ ン ス 、予 防、HIVIAIDS
’M 査 に 関す る ガ イ ドラ イ ン 。
.i三に、 H 【V 〆AIDS 流 行 傾 向 の 把握 と
感染予防、AIDS 発症 者への ケア ・治療 の 提供が 中心 で あっ た とい え る。ガイ ドライ ン で は、サーベ イ
ラ ン ス で の ハ イ ・リス ク グ ル ープ の 特定、性 的接触 に よ る感染予 防、輸血 用血 液及び血 液製剤 の ス ク
リー
ニ ン グ検査、医療 現 場 で の 注 射 器.具 の 殺 菌・消 毒、田 V 感染者の 管理 の 改 tt、AIDS に 関 す る調 査、 モ ニ タ ]Jン グの 実施な ど対 策内容を 明 確 に し て い っ た tコ12
The Joim United Nations Programme on HIVtAIDS (国連 エ イ ズ 合 同 計画 )の 略、,13Singhal
and Rogers に よ る と、UNAIDS で は 、1)政 府 の 政 策、2> 社会 経済 的 地 位、3>文 化、4) ジ : 一ン ダ
ー関係 、5> ス ピ リチ ュ ア リテ ィ 、を フ レ ーム ワ ーク に仕 会 文 化 的 な側 面 か ら HIVIA 皿)S 対 策 を提 唱
し て い る。90 年代 前 半 の WHO −GPA 主 導 の ア ブ 卩一
チ は 、合理 的選 択 モ デ ル と健 康 信 念 モ デ ル で の 、 世 界 共 通 の 、普 遍 的 な 、前提 を基 に 立 案 され て い た。それ は 、予 防啓 発 を行 う こ と に よ っ て リ ス ク を
認 識 し、行 動 変 容 に っ な が る こ とを 想 定 して い た 。 しか し、多 くの 途 上 国の 経験か ら リス ク を認識 し
た 場 合 で あ っ て も回 避 行 動 が 取 れ な い 社 会 層 の 存 在 が 明 らか に な っ た。特 に、HIV 感 染 が 社 会 的 弱 者
に 集中 し て い る の は 、社会経済的、文化的な面か ら構造的に 影響 を受けて い るた め 、リス ク 回 避 を取
る こ とが 困難 な状 況 に 置か れ て い る か らで あ る,そ の た め、コ ミュニ テ ィーベ ース 、人 間 主体 の ア ブ
ロー
チ に よ り、対 象とす る 人 々 が コ ミ ュ ニ テ ィーを 中 心 と し.て 、そ の 社 会で 受 容 され や す い 感 染 予 防 ・
啓発 活動、ケア や 治療の 提供を行 うとともに、コ ミ ュ ニ テ ノー
の 能力 を強 化 しな が ら、ロー
カ ル レベ
ル で の 意 瓜 決 定機 関を 設 置 し、村 民や 専門 家、宗 教関係 者、コ ミ ュニ テ .t 一リーダー
が 参加 し て 意思
決定 を行 うこ とを期待 して い る(S血ghal and Rogers,2003:206).14 チ ェ ン マ イ県は、首都バ ン コ ク か ら北方 75Gkm の 地点 に位置 し、22 郡 と 2 支 郡、204タ ン ポン 、1,881 村、1,630,769 人 (男性 803,319 人、女性 827,450 人 ) に よ っ て 構 成 され て い る。そ の 内、Ll「岳 民 族 は 1
3.9% を占め て い る 他、79,733人 が法蛇 マ イ ノ リテ ィー
として 生活 して い る 〔Chiang Mai Province O伍
cial Site,〔http:〃www .chiangmai .go.th/〕 よ り 04年度 の 統 計 データー
か ら構成)。 チ ェ ン マ .イ県 で の HIVIAIDS 動 向 に 関 して li、88−05年 の 累計 AIDS 発症 者 は 21,202 人で あ る,、その 58.5% を 労 働者が 占め て い る。北 部 地 域 で の HIV 感 染者及 び AIDS 発 症 者 は、タ イ 全 体 の 約 40 % を 占 めて お
り、チ ェ ン マ イ 県 は そ の 内 20% を [[fめ て い る、、感染経路は
・!生的接触 に よ る感 染 が 90% 以 上 で、母 子 感
染 が 5、9%、薬 物 使 用 で の 注射 器 共 有に よ る感 染 は 24 % で あ る。感染者 は主 に 20代 か ら 50代 ま で の 年
齢層 に 集中 して お り、最 も高 い の は 30−34歳 の 層 で あ る,男 性 が 全 感 染 者 の 約 6D% を 占 め て お り、こ の
年齢層 の 多くが 20 代前半 に CSWs を通 し て 感染 し た もの と考 え られ る、チ ェ ン マ イ 県 で の 目和 見感染
症 は、カ リ ニ 肺 炎 が 4,575 件、結 核 が 4,322 件、マ ル .ネ ッ フ ィ 型 ベ ニ シ リウム 症 が 2,007 件、カ ン ジ ダ
症が 772 件 とな っ て い る(チ ・匚 ン マ イ 県 保 健 セ ン ターで σ)紙 資料 よ り構 成 )。
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発 展 途上 国 に お け る HIV ?AIDS 対策の 実 証研 究 一北 部タイ にお け る政府とNGO との 協働政策 を中 心 に一 113
15DPCIOで の イ ン タ ビ ュ
ーよ り。
16NGOAIDS Prqlectは、年間予算 2,000 万 バ ー
ツ で NGO 対 象 に 資金援助を行 っ た。 NGO か らプ ロ ジ ェ ク ト
の 申請を受け、認可 した もの に 茂術的、理 論 的、財政 的.攴援 とモ ニ タ リン グ を 実施 す る もの で 、年 間
約 150の プ ロ ジ ェ ク トに 資 金 を提 供 して い た t:現在 もNGOAIDSPrqiect を継 続 して い るが 、予 算 が 500
万 バ ーツ に 低.Fし、資金提供を受けて い る団体 も 150 団 体 か ら 80 団 体 と縮 小 し てい るtt
l7 NNCA は 、90 年代前半 1に A皿)SNGO と呼 ば れ る NGO の 数が 増加 して い っ た こ とに 対 応 して 、そ れ らの
活 動 の 調 整 を 円 滑 に す る 目的 で 設 立 され た 団 体で あ る。現在 、加 盟 し て い る NGO は 80 団 体 で、そ れ
らの NGO への 情報提供や ミーテ ィ ン グ の 設置な どの 活 動 を行 っ てい る。運 営資金 は 、加 盟 NGO か ら
の 提 供 と政府 の 助成 金、国 際 機 関 の 支 援 に よ っ て 運 営 され て い る、加 盪 団 体 との 活 動 の 調 整 を行 い 、
NGO セ ク ター
と して 政府 や 地 方白治体への ロ ビー活動 や啓発活動な ど も行 っ て い る.
L8田辺 に よる と、PLHIV 皀助 グル
ープ は以下の 4 つ の カ テ ゴ リーに 別 け る こ とが で きる.(1 ) 自 らの 経営
能 力 を持 ち、様 々 な 小 グループ へ 活 勤 の 支 援 が で き る グ ル ー
ア 、(2〕郡 立 病 院 な ど地 域 の 病院や 各村 の
保健 セ ン ターな ど、政 府 の 医療 機 関 に支援 され る小 グループ、(3)個別 の NGO の 支 援 を受 け て 村や 地
域礼 会 に 発 生 した 小 グル ープ、(4)様 々 な村や地域社会 に 基 盤 を住 民紲 織 、が あ る(田辺 、1999:124)。19Thai −Australia Northem AIDS Prevention跏 d Care(NAPAC )は、93 年 に オ
ース トラ リア 政府 の 援助 の 下、実
施 され た プ ロ ジ ニ ク トか ら生 まれ た 団 体で あ る、97 生 の プ ロ ジ ュ : ク ト終 了 に伴 い AIDS Network
Development Foundation(AIDSNET)に名称を変更 し、北 部、北 東 部 で の HIVIAIDS に 関す る 活動 を行 っ
て い る、,予 算 に 関 して は、外 国 政 府 機 関、国際 機 関 か ら資金援助 を 受け て い る、詳 し く は Synelgos hlstitute
(2002)を参 照 こ と。20The
Church of Christ in 1[hail and All)S Ministry(CCTtAM )は、19 世 紀 か ら タ イ で 恬 動 を 行 っ て い る プ ロ テ ス
タ ン ト系 キ リ ス ト教 団体 を母 体 とす る 組 織で あ る。91 年 に AIDS Ministry を設 立、93年 か ら PLHIV や
AIDS .発症 者 に C・jす るホー
ム ケ ア の 提 供 を 開始 し て い る、、21 CCTIAM ス タ ッ フ との イ ン タ ビ ュ
ーよ り.22
同 上,23
チ ・匚ン マ イ 県 で の AIDS 委員会 は 、県知 事 が 委 員 長、県保 健事務所長 が 事務局長 に就任 し、5分 野 の 下 部
委員会(Publicati。n Community 、 Health Care Sen・ice Cemmmity、 Education Commiunity、 Research
Development Community 、 Community Devel 。pment Commmity )澱 置 し、そ れ ら に 関 わ る彳祓 関瀦 、
NGO が参 加 し て い る。各..ド部委.員会 で は、3−4 ヶ 月 に 1度 ミ
ーテ ィ ン グを 開 き、現状 や 必 要 な 対 策 に
関す る議論 を行 っ て い る 。 ま た、毎 年 10 月 に 全体会議 を 開催 し、そ の 年 の プ ロ グ ラ ム 評価 や 次 年 度の
対 策 に 関す る報告書を作成 し て い る.24
チ ェ ン マ イ 県保 健 事 務 所 で の 紙 資科 よ り.2s
[[he United Nations Children’s Fund(国連 児童 基 金 )の 略。26Global
f並 d to麺 ht AIDS ,Tuberculosis and Malaria(UF界 エ イ ズ ・結 核 ・マ ラ リア 対 策 基金 )の 略 。
27チ ェ ン マ イ 県 22 郡
・2 支 郡 で 活 動す る 76PLHrv 自助 グループ か ら構成 され て い る組 織 で あ る,、
28チ ェ ン マ イ 県感染者ネ ッ トワ
ーク 委員会職員 との イ ン タ ビ ュ
ーか ら。29Highly
Active Antiretroviral Therapy(高活 性 σ)抗 ウ ィ ル ス 薬剤治療)の 略。三 種 以上 の 抗 ウ ィ ル ス 薬(Antire
troviral drug〆ARV )を併 用 して 服 用 す る。俗 に 言 うカ ク テ ル 療 法 で あ る、、30
タ イ で は 、02 年 に ARV 薬 の 提 供 と国 民 皆保険が利用可 能 となり、05年 に は 30 バ ーツ 医療制度内に適用
きれ た。ARV 薬 に よっ て HIV の 進行 を抑 え、また AIDS 発症 後も回復 が 叮能 とな っ た こ とか ら、利 用
拡 大 は 医療 関係 者、NGO 、 PLHIV か ら大 きな 関心 を集 め て い る。現在 タ イ で は、 AZT 、 Didanosine(ddり、
Zalcitab−ine(ddC)、 Stavudjne(d4T)、 Lamivudine〔3TC )、 Nevirap血e(NVP )、 Efavirenz(EFV )を選 択 で き る。
これ らの 薬剤 を,1U、み 合わせ 、2 種、3 種 併用 (HAART )を 提 供 し て い る。主 に、2 種 の 場 合、 AZT +ddIか
AZT +ddC、3 種 で は、 d4T+3TC ÷NVP 、 AZT +3TC +NVP (AZT13TC 混 含斉1」+NVP )、AZT + 3TC +EFV (AZ
T〆3TC 混合剤+EFV )、AZT +Cld1−Ec+EFV 、 d4T+3TC−EFV 、 d4T+ 3TC + EFV 、 ddl−Ec +3TC+EFV が あ る。 d
dI・Ec とは、腸溶 性 の Did −anosine の こ と で あ る。3 種 合 剤 で は GPO −Vir (d4T+3TC +NVP )が あ る。 GP
o ・Vir に 関 して は、1 瓶 60 錠 入 り で 、朝晩 決 め られ た 時 間 に 1錠 ず つ 服 用 する。31
サン パ トーン 郡内 で 活 動 して い た 団 体 が 集 ま り 95年 に 設 立 され た組織 で あ る ,
32現 在 は PLHIV の み 対象で は な く、障 害 者 を含 め た社 会 的 弱 者全 般に 提 供 され て い る.、提 供 額 は、対 象者
の 事.陦 に 応 じ て 、毎 月 500−・1,000 バ ーツ が 支給されて い る、、33NNCA
ス タ ッ フ 、チ ェ ン マ イ感染者ネ ッ ト ワー
ク委 員 会 ス タ ッ フ との .イ ン タ ビ ュー
か ら。そ の 他 Chay−
Nemeth (199S:67)、 Safman(2001:212−224)を参 照,34
人 口 約 5。OOO 人、11 村 (最 も大 き な村 で 約 700 人 、最 も 小 さ な村 で約 200 人 〉で 構成 され て い る.オ ン
タ イ で の 06年 度予 算は約 1.100 万 バ ーツ で あ り、財源 は 約 800 万 パ ー
ツ が 税収、約 300 万 バ ーツ が 内
務省か らの 助成 金 で あ るt/HIVIAIDS の 状 況 は、初 め て 感染者 が 発 見 され た の は 94 年 で あ り、現在 は
16人 (累積 36 人)、男 女比 は 6 ;4 で あ る、,35
基礎保健 7ドラ ン テ ィ ア は 、村 ご と に選 ば れ 、1−2 週 間 の 訓練 を受 け た 後、村民 に 向 け て 必 須 医薬 品 の 処 方
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114 愛知 淑徳 大 学論集一文化創造学部
・文 化創造研 究科篇一 第 8 号 2008
や 出 産 ・死 亡屈 け、保 健 医療 関 係 の 基 礎 的 情報 の 提 供 を 行っ て い る。彼 らの 多 くが 、訓練期間中に
MVIAIDS に 関 す る教育を受 け て お り、村 民 に 感染 リス ク の 説 明、コ ン ドーム の 使 用 法 と分 配 な ど
HIWAIDS 感染予 防の 情報 を提 供す る 二 と がで き、また 村 内 の PLHIV へ の ケ ア や家 庭 訪 問 をお こ な っ
て い る。36Raks
Thai 財 団 は、97年 に タ イ で の 法人 格 を 取得 し、設 立 され た NGO で あ る。も とは 79 年 か ら CARE
Thailand と し て 様 .々な 開発に 関わ るプ ロ ジ ェ ク トを 実 施 して い た。 HrVIAIDS 活 動 を開 始 した の は 96年 か らで あ る。対 象 地 域 は、北部 、北.東 部、南部 、中部 沿 岸地 域で HIVIAIDS 活 動を 行 っ て い る’t37
オ ン タ イ 基礎 保 健 ボ ラ ン テ ィ ア グループ ス タ ソ フ との イ ン タ ビ ュ
ーか ら。
38こ の 基 金 は 、寄 付 金 3 万 バ ーツ 、Raks Thai財 団 か ら 1 カ
.バー
ツ 、タ ン ポ ン 白治体か ら 1 万 バ ーツ の 5 万
バ ーツ を元 金 に設 立 され た。こ の 元 金 を 銀 行 に貯蓄 し、現在基金は 18万 バ ー
ツ で ある tt 利子を支援活
動 に して お り、最 近 は 年 間 3 万 バ ーツ を 提 供 し て い る。同 時 に 、継 続 し て 基 礎 保 健 ボ ラ ン テ ィ ア が コ ミ
ュ ニ テ ィー
で 寄付金 を集 め て い る、
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