コットンcsrサミット2012 インドのコットン生産地における...
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-あたりまえをすべての子どもに-
子どもの権利が守られ、世界中のすべて
の子どもが安心して希望を持って暮らせる社会をめざして、市民と共に、児童労
働の撤廃と予防の活動を行うNPO法人。
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危険な児童労働を行う子どもを救い、教育を支援する活動
→ インド、ガーナ
児童労働を生み出す社会の在り方を見直し、変化にむけて、働きかけ行動を促す活動 → 企業、市民、政府へ
国際協力
アドボカシー
ACE(エース)のミッション
-あたりまえをすべての子どもに-
コットン製品が手にとどくまで
生地にする(編み・織り)
糸にする(紡績)
加工(染色など)
製品化(デザイン・縫製)
販売
消費
1年
日本
ワタの栽培
インド、中国など
種の栽培
中国など
1年 1年
輸入
(インドは、世界のコットン栽培面積 1位、 生産量2位、日本の綿糸輸入元1位)
(インド産コットンの半分以上が
中国へ輸出)
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インド アンドラ・プラデシュ州のコットン種子畑で働く少女たち (C)ACE
現状
インドのコットン種子生産地域の約90%を占める4州(アンドラ・プラデシュ州、グジャラート州、カルナタカ州、タミルナド州)で
約40万人の児童労働者、うち54%が14歳未満、約70~80%が女子
児童労働の需要要因 インドのコットン栽培の特殊性
遺伝子組換え種・人工交配種
(ハイブリッド種)の急増
→人工授粉による栽培が必要
→安い労働力の需要増
子どもを使うメリット
子どものほうが賃金が安い
子ども・女の子のほうが言うことを聞く
児童労働の供給要因 子どもが教育を受けられない
教育への関心が低い
教育のアクセス・質の問題
女子への差別・伝統的慣習
おとなが働けない・生計を立てられない
親の教育・技術の不足
親の不健康(病気・ケガ)
→親が働けない・仕事がない・低収入
⇒貧困の悪循環
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コットンと農薬 農薬使用量の多いコットン
世界:全耕地面積の2.5%、農薬使用は10%(Organic Exchange)
インド:全耕地面積の5%、農薬使用は54% (Pesticide Action Network)
コットン栽培に必要な農薬
種の消毒、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、落葉剤、化学肥料
農薬がもたらす問題
生産者の健康被害、農薬使用量の増加、
土壌と飲料水の汚染・劣化
農薬による健康被害(WHOによるインドでの調査、2008年)
吐き気、皮膚炎、頭痛、震え、筋肉の痙攣、呼吸障害、
精神障害、視覚障害、認識力・集中力の低下、死亡
⇒防具の着用など予防対策なし
⇒子どもの場合、おとなよりも白血病にかかるリスクが7倍 (Organic Exchange)
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5歳から働き始めた。賃金は1日70ルピー(約140円)
コットン畑で働いた時、農薬の影響で皮膚病にかかったり、具合が悪くなり、病院へ通っていた。
両親と兄二人(うち1人は結婚)の家族。母親が結核のため働けず、治療費などお金がかかっていた。
学校に通ったことはなく、読み書きできない。
「学校には行きたかったけど今は興味ない。働いて家族を助けなければならない」(2010年のインタビュー時)
2011年末に原因不明のガンで、16歳で永眠
農薬などの影響か?
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ベイビーちゃん(16歳)
ベイビーちゃん(15歳、左)と、
お母さん(中央)、お父さん(右) (2009年、インタビュー時)の写真)
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ピース・インド プロジェクト
対象地
インド、アンドラ・プラデシュ州
マハブブナガル県 ナガルドーディ村
主な受益者
6~14歳の就学年齢の子ども約540人、
17歳以下の女の子、
人口約2,000人(450世帯)
実施方法
現地パートナー団体SPEEDと実施
主な活動
子どもの教育の徹底と、女の子の自立、
おとなの仕事の機会の提供と収入向上
目的: インドのコットン生産地域で危険な労働から子どもを守り、 すべての子どもが教育を受けられるようにする
インド南部 アンドラ・プラデシュ州
綿の授粉作業をする少女
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・ブリッジスクールを開校、 公立学校へ橋渡し ・公立学校の環境改善、就学促進
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「ピース・インド」プロジェクト
・職業・技術訓練 の支援
⇒子どもの教育の徹底
⇒おとな(母親)の 収入向上
プロジェクト名 児童労働を教育へ変える、インドのコットン生産地のコミュニティ参加促進プロジェクト
英語名 Promoting community Engagement for Assisting Change from child labour to Education in cottonseed production area in India (PEACE-India Project)
・組織化、基礎 教育・職業訓練 の支援
⇒女の子の エンパワーメント
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取りくみ1:働いていた子どもの就学を支援
copyright Ⓒ ACE [Action against Child Exploitation] 2009 9
2年間で、145人(約9割)が村の公立学校に就学 50人がブリッジスクールで勉強中 新学期に公立学校へ編入をめざす
プロジェクト開始時調査:
村の子ども約540人のうち、 160人(約3割)が児童労働
ブリッジスクールで勉強する子どもたち。給食、制服、教材、文具を無償支給し、貧しい家庭の子どもも通えるように。
公立学校の新しくできた教室で勉強する生徒と教員。机と椅子は集めた寄付で購入。生徒数は40人増加。
ブリッジスクール=プロジェクトが運営する学校。基礎学力を身につけた後、公立学校に編入する。
住民グループが作られ、畑での児童労働がないかや、子どもの就学状況をチェック
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取りくみ2:女の子の問題解決、自立支援が本格化
copyright Ⓒ ACE [Action against Child Exploitation] 2009 10
女の子のグループができ、定期的に女子特有の 問題や改善策を話し合うように 2011年9月から職業訓練センターで、14~17歳の女子20人が基礎教育と縫製・仕立ての職業訓練を受けるように
女子への差別、児童婚や持参金制度の習慣により、 十分教育を受けられず、働く女の子が多い
女の子のグループのミーティング
小グループで話し合った後、全体発表 縫製・仕立ての職業訓練クラス 朝の基礎教育クラス
⇒教育を十分受けられなかった女子が、基礎学力や技術を身につけて将来自立して生活できるよう支援
⇒女の子たちが、抱える問題を話合い、意思決定し、解決に向けて行動できるようにグループを訓練
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取りくみ3:母親の収入向上支援をスタート
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⇒親が安定した収入を得て得ることで自立を促し、子どもの教育を支えられるよう支援 ⇒家計管理を改善し、子どもの教育への投資を増やしていけるよう訓練
女性の自助グループとの
ミーティングの様子
収入向上支援で羊を支給された母親(右、左は息子)
収入向上支援で羊を支給された夫婦
息子がブリッジスクールに通っている
2012年2月から、就学が困難な家庭の母親を対象に、羊を支給して養羊ビジネスの訓練を開始 女性自助グループを対象に、貯金と、医療費の補助や小規模ビジネスのための融資を行えるよう、互助制度に関する訓練を実施
親に安定した収入がなく、子どもが就学できず働かなければならない家庭も
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課題:就学の徹底、親の生計手段
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まだ残る児童労働、多くが女の子
家計を助けるために労働に戻ってしまうため、公立学校やブリッジスクー
ルでの中途退学、再入学を繰り返す子どもが多くいる。
思春期(13~17歳)の女子が抱える問題: 女子への差別、児童婚や結婚持参金の習慣、家事労働、家計を助けるプレッシャー、債務労働
親が十分仕事を得られない
乾期には農業ができないため家族でレンガ作りや建設業の出稼ぎへ
子どもも一緒に他の村へ。その間学校へ行けず、村へ戻っても中途退学
し、児童労働者になる可能性が高い
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⇒貧しい家庭が行政支援を受けたり、
収入向上に取りくめるよう支援のあり方を模索中 ⇒ 子どもが村を離れず学校へ通えるよう、村に寄宿舎を設置することを行政に要請中