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質量と荷電の比率からエアロゾ ル粒子を質量分級するベンチト ップ型測定器 機器のキャリブレーションに使 えるエアロゾル粒子の質量標 準器 粒子の密度や形状の測定用 として ユニークなデザインによる高分 解能で高通過効率を達成 CPMA Centrifugal Particle Mass Analyzer 概要 Cambustionが提供する遠心式粒子質量分級器(CPMA)は,粒 子の質量と荷電の比率にしたがい,粒子の選別を行うエアロゾ ル分級器です.本機は質量法をベースに,単分散のエアロゾ ルを生成して電気移動度法を用いたDMAと比較します. 本CPMAはエアロゾル粒子を分級するのに,静電気力と遠心力 の反力を利用しています.発想の原点は独立行政法人・産総 研の榎原氏等(J. Aerosol Sci. 1996)により開発された測定器 です. 本器のユニークなデザインは,分級部全体に亘って安定な分 級を確実なものにし,高分解能でありながら,選定目標とする 質量と荷電の比率における粒子の通過率を高めています. 本CPMAは,2004年に初めてCambustionで考案された製品で す.それ以降,ケンブリッジ大学やアルバータ大学との共同研 究を行い,いくつかの研究分野(リスト参照)でプロトタイプが使 われてきました. 顧客からの強い要望により,本CPMAをエアロゾル測定器の一 製品として加えることとしました. 動作原理 CPMAの分級器は,可変電圧機構を備えた同心円の2つの回 転円柱から構成されています.粒子を大別すると,外側の円柱 に沈着する粒子より高い質量と荷電の比率を有する粒子.内 側の円柱へ沈着する粒子より低い質量と荷電の比率を有する 粒子.分級器を通る軌跡に従う質量と荷電の比率を有する粒 子に分類されます. 決定的,且つユニークな原理を備えたCPMAは,2つの円柱が 僅かに異なる速度で回転するところです.これらの円柱が同じ 回転数で回った場合,目標とする質量を有する粒子が,中空 中心の軌道に入ったものだけが円柱間を通過することになりま す. ω 1 2 (遠心式粒子質量分級器)

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Page 1: Centrifugal Particle Mass AnalyzerDMAと併用すれば,エアロゾル(フラクタルディメンジョン)の 粒径と質量の関係を把握するのに使えるため,粒子の形態

質量と荷電の比率からエアロゾル粒子を質量分級するベンチトップ型測定器

機器のキャリブレーションに使えるエアロゾル粒子の質量標準器

粒子の密度や形状の測定用 として

ユニークなデザインによる高分解能で高通過効率を達成

CPMACentrifugal Particle Mass Analyzer

概要

Cambustionが提供する遠心式粒子質量分級器(CPMA)は,粒

子の質量と荷電の比率にしたがい,粒子の選別を行うエアロゾ

ル分級器です.本機は質量法をベースに,単分散のエアロゾ

ルを生成して電気移動度法を用いたDMAと比較します.

本CPMAはエアロゾル粒子を分級するのに,静電気力と遠心力

の反力を利用しています.発想の原点は独立行政法人・産総

研の榎原氏等(J. Aerosol Sci. 1996)により開発された測定器

です.

本器のユニークなデザインは,分級部全体に亘って安定な分

級を確実なものにし,高分解能でありながら,選定目標とする

質量と荷電の比率における粒子の通過率を高めています.

本CPMAは,2004年に初めてCambustionで考案された製品で

す.それ以降,ケンブリッジ大学やアルバータ大学との共同研

究を行い,いくつかの研究分野(リスト参照)でプロトタイプが使

われてきました.

顧客からの強い要望により,本CPMAをエアロゾル測定器の一

製品として加えることとしました.

動作原理

CPMAの分級器は,可変電圧機構を備えた同心円の2つの回

転円柱から構成されています.粒子を大別すると,外側の円柱

に沈着する粒子より高い質量と荷電の比率を有する粒子.内

側の円柱へ沈着する粒子より低い質量と荷電の比率を有する

粒子.分級器を通る軌跡に従う質量と荷電の比率を有する粒

子に分類されます.

決定的,且つユニークな原理を備えたCPMAは,2つの円柱が

僅かに異なる速度で回転するところです.これらの円柱が同じ

回転数で回った場合,目標とする質量を有する粒子が,中空

中心の軌道に入ったものだけが円柱間を通過することになりま

す.

ω1 < ω2

(遠心式粒子質量分級器)

Page 2: Centrifugal Particle Mass AnalyzerDMAと併用すれば,エアロゾル(フラクタルディメンジョン)の 粒径と質量の関係を把握するのに使えるため,粒子の形態

回転数の違いは,分級部全体に亘って安定な遠心力/電場を

引き起こします.したがって目標とする質量と荷電の比率を有

する粒子は,中空半径のどこに入ったとしても分級器を通り抜

けることになります.これがCPMA特有の,高分解能でありなが

ら,粒子損失を抑える理由となっています.

本CPMAは,粒子を質量分級する基本的な標準器です-供給

された粒子は単一荷電され,質量の設定値は回転数や電圧,

および分級器の寸法に依存することになります.DMAとは異な

り,その設定値はガスの物性(粘性や平均自由行程のような),

または雰囲気条件(温度や圧力),ひいては粒子の形状に影

響されることはありません.

アプリケーション

単分散エアロゾルの精選に

CPMAに中和器(荷電器)を接続すると,高分解能な単分散の

エアロゾル選別を行うDMAの代替器として利用できます.

質量粒度分布密度のスキャン

粒子数カウンタ(例:CPCまたはエレクトロメータ)を接続すれ

ば,粒子の質量粒度分布密度がステップスキャンできます

(ただし,オフラインの多荷電補正が必要).

密度と形状の確定に

DMAと併用すれば,エアロゾル(フラクタルディメンジョン)の

粒径と質量の関係を把握するのに使えるため,粒子の形態

学に関する情報を得ることができます(例:Olfert, Symonds &

Collings, 2006);

キャリブレーション用の標準器として

本CPMAは,エアロゾル用の他の質量粒度分布計やブラ

ックカーボン検出器のような,他のエアロゾル機器類のキャ

リブレーションを行う標準器として使用することができます

(例:Cross等,2010).チャージャやエレクトロメータと併せて使

えば,浮遊粒子の質量標準器として使用することができます

(Symonds等,2011):

このような併用を行う際は,非荷電粒子の補正のみが必要とな

りますが,これらは単極型のチャージャを使うことで低減できま

す.エレクトロメータと併用すると,本器のユーザーインターフェ

ースはダイレクトに fg/ccのアウトプットを出力します.

ソフトウェア

本CPMAは,タッチスクリーンのインターフェースを内蔵したベ

Centrifugal Particle Mass AnalyzerCPMA

0.05

0.0525

0.055

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1

ω α 1/radius

0%

100%

0%

100%

0.05

0.0525

0.055

0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1

39 nm 40 nm 41 nm

ω inner = ωouter

0%

100%

39 nm 40 nm 41 nm

100%

100%

0%

0%

39 nm 40 nm 41 nm

radi

al

loca

tion

(m)

radi

al

loca

tion

(m)

(CPMA)

Mp = 2.44 x 10-6 Dmo2.6

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

0 50 100 150 200 250

Mp (

fg)

Dmo (nm)

0.0E+00

5.0E+03

1.0E+04

1.5E+04

2.0E+04

2.5E+04

3.0E+04

3.5E+04

1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00

Mp* (f g)

dN/d

logM

p*/c

c

Source Charger CPMA

Electrometer

Mass conc. instrument to be calibrated

M = masssetpoint (fg)

mtotal =

Page 3: Centrifugal Particle Mass AnalyzerDMAと併用すれば,エアロゾル(フラクタルディメンジョン)の 粒径と質量の関係を把握するのに使えるため,粒子の形態

ンチトップ型測定器です:

市販のDMAと同様,ユーザは必要な設定値(質量,または粒

子の粒径)と分解能をダイレクトに入力でき,本器はそれらの設

定値となるよう自動的にコントロールします.密度が分かる場合

には,単に質量と粒径を切り替えるだけです.

USBフラッシュメモリにデータを保存しながら,ダイレクトにステッ

プスキャニングすることができます:

本CPMAは電圧のみのスキャン,またはそのスキャン全体に亘

って一定の分解能となる電圧と速度の両方を同時にスキャンで

きます.

本器は,リモートコントロールが可能なソフトウェア付きで納

入されます.この中には,データのプロットを行うExcelツール

や,ユーザ自身のプログラムからCPMAのコントロールができ

るアプリケーション・プログラミングインターフェース・ライブラリ

が含まれます.一例としてのExcel/VBAプロジェクトは,Excel

のワークブックへ自動的にデータをスキャンしながら,CPMAと

DMA(CPMAのアナログ出力を介して)をコントロールすること

で,自動でマスモビリティ指数を決められるようにしています.

正面パネルに備えたユーザーインターフェースは,同じネットワ

ークに接続されたデバイスのwebブラウザを介し,閲覧やコント

ロールもできます.リモートファイルアクセス機能は,webブラウ

ザを介してデータファイルにアクセスできます.

優位点

• 独自の円柱回転数差による粒子損失の低減

• タッチスクリーンを搭載し,スキャン機能を内蔵した自立型ベ

ンチトップ測定器

• スキャン領域全体(スキャン速度を上げるための一定速度の

スキャン)で分解能を一定に保つ,回転数と電圧の同時スキ

ャニング.アクティブブレーキで加減速を行う4クワドラント・モ

ータコントローラの採用

• 質量と分解能のダイレクト入力;必要な回転数と電圧を自動

で計算

• Excelとユーザプログラムを統合したソフトを含む,洗練された

リモートコントロールオプション;強力なアプリケーション・プロ

グラミングのインターフェース

• 高度な計算がプログラムできるアナログ入出力

• 粒子検出器を備えたダイレクトインターフェース(シリアルおよ

びアナログインターフェース)

• 低電圧,および高電圧での精度を高めるデュアルレンジ電圧

源の自動切り替え

仕様

実用範囲の絶対的限界値は,サンプル流量に依存する以下に

示したダイアモンド枠に囲まれた範囲となります:

ここに : Rm = 質量分解能 = ΔMp,FWHM / Mp*

Rs = 粒径分解能 = ΔDp,FWHM / Dp*

Centrifugal Particle Mass AnalyzerCPMA

0.001

0.01

0.1

1

10

100

1000

0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

1.5 lpm flow

flow

Rm

0.3 lpm

Mp (f g)

0.1

1

10

100

1000

1 10 100 1000 10000

1.5 lpm flow

0.3 lpm flow

Rs

Dp (nm) at 1g/cc

Mp = 2.44 x 10-6 Dmo2.6

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

0 50 100 150 200 250

Mp (

fg)

Dmo (nm)

Page 4: Centrifugal Particle Mass AnalyzerDMAと併用すれば,エアロゾル(フラクタルディメンジョン)の 粒径と質量の関係を把握するのに使えるため,粒子の形態

質量レンジ 0.2 ag* – 1,050 fg (サンプル流量と必要な

分解能による)

単位密度での等価直

径レンジ

7 nm* – 1.3 μm (サンプル流量と必要な分

解能による)

円柱の回転数 500 – 12,000 rpm

電圧レンジ 0.1 – 1,000 V (自動切り替えのデュアルレンジ:

0.1 – ~ 10 V~10 – 1,000 V)

分級部寸法 200 mm × 120 mm (ギャップ1 mm)

通常のサンプル流量 0.3 – 1.5 lpm (分解能を下げれば,サンプ

ル流量を増やせる)

ディテクタ入力 (例,

CPC — ディテクタは付

属せず)

RS232† (×1) またはアナログ (×2)

リモート・外部PCインタ

ーフェース

イーサーネット,または RS232† ,USB (付

属のアダプタで接続)

Java webインターフェース,テキストコマン

ド(ターミナル),またはPCのリモートアプ

リケーション(またはAPIを介したユーザソ

フトウェア)を介してコントロール.リモート

ファイルアクセス

アナログ入力 × 3; ±10 V, 20 kΩ, シングルエンド,如何

なるパラメータ,ディテクタ入力またはデ

ータ収録等のコントロールにも対応

アナログ出力 × 3; ±10 V, 50 Ω, シングルエンド, 如何

なるパラメータの出力,DMA電圧のコン

トロール

質量測定精度 5 % 以内

雰囲気測定センサ 温度と圧力

付属ソフトウェア タッチスクリーン式総合インターフェース

リモートコントロール・アプリケーション

ユーザープログラム用のAPI dllファイル

Excel と VBA API

データの保存 USB フラッシュメモリ (付属)

モータコントロール・

システム

アクティブブレーキを備えた4クアドタイプ

外形寸法と重量 520 mm w × 460 d × 380 h (ゴム足,ハン

ドル含む).50 kg所要電力 90 – 240 VAC, 50/60 Hz, Max. 1,000 W予備電源出力 24 VDC at 0.6 A安全装置 ガード,フル・インターロック, 過電流/短

絡検出と 不安定検出, BS EN 61010-

020:2006へ

* どのような粒子測定器でも,微小粒子の僅かな拡散損失は避けられません.

† RS232のポートは,ディテクタの接続やリモートコントロールに使用できます.

他のエアロゾル機器と統合(別売)

チャージャまたは中和器

両極または単極 (アプリケーションに依存); 放射性,X線またはコロナ型

粒子検出器(一例:CPCまたはエレクトロメータ)

本CPMAは,アナログ出力を介して如何なる粒子検出器や,ま

たは殆どの検出器が備えているRS232Cからでもインターフェ

ースがとれます.テキストコマンド(例:RD)に応じて,テキスト形

式(ASCII)で濃度が出力されます.

DMA(密度測定用)

アナログ制御を介し,CPMAを各種のDMA電圧(DMAがサポ

ートしているなら)に設定することができます.

参考文献リスト

CPMAのプロトタイプを使用した技術資料は,以下のサイトでご

覧になれます:

www.cambustion.com/publications/cpma

Some of these are given below:

• New Method for Particle Mass Classification - the Couette Centrifugal Particle Mass Analyzer. J.S. Olfert & N. Collings, J. Aerosol Sci. 36 (11) pp 1338–1352 (2005)

• The Effective Density and Fractal Dimension of Particles Emitted from a Light-duty Diesel Vehicle with a Diesel Oxidation Catalyst J.S. Olfert, J.P.R. Symonds & N. Collings, J. Aerosol Sci. 38 (1) pp 69–82 (2007)

• Density of Particles Emitted from a Gasoline Direct Injection Engine. J.P.R. Symonds et al., European Aerosol Conference, Thessaloniki, T08A017P (2008)

• Soot Particle Studies - Instrument Inter-Comparison-Project Overview. E.S. Cross et al., Aerosol Science and Technology 44 pp 592–611 (2010)

• The Detection Efficiency of the Single Particle Soot Photometer. J.P. Schwarz et al., Aerosol Science and Technology 44 pp 612–628 (2010)

• Mass Measurements with a High-Resolution Particle Mass Classifier. J.S. Olfert et al., American Association for Aerosol Research Conference, Portland (2010)

• Behaviour of Non- and Multiply-Charged Aerosols in the Centrifugal Particle Mass Analyzer, J.P.R. Symonds et al., American Association for Aerosol Research Conference, Orlando (2011) 技術的詳細,お見積もり等については,以下の製造元,また

は代理店までお問い合わせください:

www.cambustion.com/cpma fax: +44 1223 210190

Centrifugal Particle Mass AnalyzerCPMA

株式会社 司測研 158-0087 東京都世田谷区玉堤1-19-4

Tel: 03-3703-4391, e-mail: [email protected] http://www.sokken.co.jp

森村商事株式会社 105-8451 東京都港区虎ノ門1-3-1 

  Tel: 03-3502-6446, e-mail: [email protected]://www.morimura.co.jp