東灘図書館移転開館記念号 - 神戸市ホームページ平成25年11月 no.309...

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東灘図書館の移転開館によせて 教育長 雪村 新之助 平成 25 年 9 月 23 日、まばゆい秋晴れの日に新しい 東灘図書館が開館した。当日はオープンセレモニー の終了後、正午からの開館であったが、1 万人を超え る利用者が来館したと聞いて、区民のこの図書館へ の期待を改めて感じた。 移転前の東灘図書館は、神戸市の「生活環境基準 中期計画」で示された“1 区 1 図書館構想”のスター トとして昭和 49年に開館し、区民に親しまれてきた が、施設の老朽化やバリアフリーに対応していない 等により移転整備の検討に着手した。移転場所が確 定した平成 20年には、地域図書館整備では初めて区 民代表、学識経験者からなる「(仮称)新東灘図書館 整備検討委員会」が設置され、東灘区の現状を踏ま えた新しい図書館に求められる機能とサービス、必 要な施設と設備が報告書にまとめられた。 新たな地域図書館の整備は、平成 8 年の兵庫図書館 開館以来だが、その間には図書館を結ぶコンピュー タネットワークや物流体制が整い、また、文部科学 省の報告書『これからの図書館像』等に見られる ように、課題解決支援の充実や電子メディアへの対 応など、図書館を取り巻く環境には大きな変化があ った。地域図書館も例外ではなく、そこにある本を 借りるだけの場では、その役割を果たせなくなって いた。 報告書を基に整備された新しい図書館は、地域図 書館で一番広い面積と豊富な蔵書冊数だけではなく、 要望の高かった調べものをする席や、持込みパソコ ンの利用できる席の充実を図り、子供が多い東灘区 の特徴に応えて、おはなしの部屋や親子読書コー ナーが用意された。また、図書館主催行事や学校か らの見学のほか、ボランティアや地域住民の方が多 様な用途で利用できる多目的室や、ユニバーサルデ ザインに対応して授乳室や対面朗読室を設置し誰も が利用しやすい施設となっている。情報化にも対応 し、神戸市の図書館では初めて IC タグを貸出・返却 業務に導入し、自動貸出機を設置して運営の効率化 を図った。 開館後の状況は、平日でも中央図書館を凌ぐ来館 者があり、これまで図書館を利用されていなかった 方の登録も多いように聞いている。神戸市では、平 成20年度から地域図書館に指定管理者制度を導入し、 直営で運営する中央図書館と地域図書館がそれぞれ の役割を担い、協力しながら図書館サービスの向上 に努めているところである。今年度から指定管理者 制度を導入した東灘図書館でも、施設・設備という ハードの充実に併せて、ソフトである管理・運営も しっかり行わなければならないと考えている。 最後に、この新しい図書館が“まちの書斎”とし て区民の皆様に親しまれ、御利用いただくことを願 うとともに、移転整備に関わられた全ての皆様に心 から感謝を申し上げたい。 平成 25 年 11 月 No.309 (右)新・東灘図書館外観 (左)旧・東灘図書館外観 東灘図書館移転開館記念号 神戸市立図書館報

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Page 1: 東灘図書館移転開館記念号 - 神戸市ホームページ平成25年11月 No.309 (右)新・東灘図書館外観 (左)旧・東灘図書館外観 神戸市立図書館報

東灘図書館の移転開館によせて

教育長 雪村 新之助

平成25年9月23日、まばゆい秋晴れの日に新しい

東灘図書館が開館した。当日はオープンセレモニー

の終了後、正午からの開館であったが、1万人を超え

る利用者が来館したと聞いて、区民のこの図書館へ

の期待を改めて感じた。

移転前の東灘図書館は、神戸市の「生活環境基準

中期計画」で示された“1区1図書館構想”のスター

トとして昭和 49 年に開館し、区民に親しまれてきた

が、施設の老朽化やバリアフリーに対応していない

等により移転整備の検討に着手した。移転場所が確

定した平成 20 年には、地域図書館整備では初めて区

民代表、学識経験者からなる「(仮称)新東灘図書館

整備検討委員会」が設置され、東灘区の現状を踏ま

えた新しい図書館に求められる機能とサービス、必

要な施設と設備が報告書にまとめられた。

新たな地域図書館の整備は、平成8年の兵庫図書館

開館以来だが、その間には図書館を結ぶコンピュー

タネットワークや物流体制が整い、また、文部科学

省の報告書『これからの図書館像』等に見られる

ように、課題解決支援の充実や電子メディアへの対

応など、図書館を取り巻く環境には大きな変化があ

った。地域図書館も例外ではなく、そこにある本を

借りるだけの場では、その役割を果たせなくなって

いた。

報告書を基に整備された新しい図書館は、地域図

書館で一番広い面積と豊富な蔵書冊数だけではなく、

要望の高かった調べものをする席や、持込みパソコ

ンの利用できる席の充実を図り、子供が多い東灘区

の特徴に応えて、おはなしの部屋や親子読書コー

ナーが用意された。また、図書館主催行事や学校か

らの見学のほか、ボランティアや地域住民の方が多

様な用途で利用できる多目的室や、ユニバーサルデ

ザインに対応して授乳室や対面朗読室を設置し誰も

が利用しやすい施設となっている。情報化にも対応

し、神戸市の図書館では初めて IC タグを貸出・返却

業務に導入し、自動貸出機を設置して運営の効率化

を図った。

開館後の状況は、平日でも中央図書館を凌ぐ来館

者があり、これまで図書館を利用されていなかった

方の登録も多いように聞いている。神戸市では、平

成20年度から地域図書館に指定管理者制度を導入し、

直営で運営する中央図書館と地域図書館がそれぞれ

の役割を担い、協力しながら図書館サービスの向上

に努めているところである。今年度から指定管理者

制度を導入した東灘図書館でも、施設・設備という

ハードの充実に併せて、ソフトである管理・運営も

しっかり行わなければならないと考えている。

最後に、この新しい図書館が“まちの書斎”とし

て区民の皆様に親しまれ、御利用いただくことを願

うとともに、移転整備に関わられた全ての皆様に心

から感謝を申し上げたい。

平成 25 年 11 月 No.309

(右)新・東灘図書館外観

(左)旧・東灘図書館外観

東灘図書館移転開館記念号 神戸市立図書館報

Page 2: 東灘図書館移転開館記念号 - 神戸市ホームページ平成25年11月 No.309 (右)新・東灘図書館外観 (左)旧・東灘図書館外観 神戸市立図書館報

東灘図書館の移転・開館の経緯について

村井 博之

東灘図書館のあゆみ

東灘図書館は昭和49年2月に“1区1図書館構想”

のさきがけとして、旧本山村役場跡に開館した。

開館当初の延べ床面積は2階=256㎡、3階=369㎡、

鉄筋コンクリート造りであった。

その後、蔵書冊数の増加に伴い書架の増設、床板

の改修工事を随時行った。さらに、返却ポストの設

置、電算化に伴うカウンターの改修工事などを行い、

利用者のニーズに応えてきた。

また、開館以来「おはなし会」を継続して実施し、

神戸の図書館としては唯一「おはなしの部屋」を備

えている館であった。

〈表 1〉旧東灘図書館年表

年 月 日 できごと

昭和49年2月9日 開館

昭和49年4月 こどもお話週間を実施

現在のおはなし会へと引き継ぐ

昭和60年10月~12月 床板改修工事

平成元年9月18日 階段に身障者用手すり施工

平成 4年5月 3階設備改修工事

平成 5年5月 3階書架全面更新

平成 7年1月17日

~4月27日

阪神淡路大震災による休館

平成13年1月5日 電算化

平成25年4月1日 指定管理者による管理開始

平成25年9月2日 移転のため閉館

(旧・東灘図書館での最後のおはなし会 9 月 1日)

整備検討委員会の設置

開館以来、長きに渡り御利用をいただいていたが、

建物の 2 階・3 階にありながら、エレベーター等が

なくバリアフリーに対応していないことや、施設の

老朽化に伴い利用者に不便をおかけすることも多く、

要望なども多数上がってきていた。

平成 17 年度に「移転整備調査費」の予算が計上さ

れ、調査・検討が進められた。平成 20 年度には「移

転整備計画策定費」が計上されるに至った。

平成 20 年 7月には「(仮称)新東灘図書館整備検

討委員会」を設置し、委員には学識経験者、市職員

(技術職)に、自治会、婦人会、読み聞かせボラン

ティアからの区民代表を加えて委嘱した。

〈表 2〉

(仮称)新東灘図書館整備検討委員会委員名簿(順不同)

氏名 役職名

小西 広子 おはなしかご代表(ボランティア)

志位 保治 東灘区自治会連絡協議会会長

◎芝 勝徳 神戸市外国語大学教授

目黒 強 神戸大学大学院准教授

○安原 一樹 兵庫教育大学准教授

山本 孝子 東灘区連合婦人会会長

石井 修 都市計画総局建築技術部参事

◎委員長 ○副委員長

同年 12 月に「(仮称)新東灘図書館整備検討委員

会報告書」が提出された。要点としては、①市立図

書館がコンピュータで結ばれるなどサービスが拡充、

機能も変化する中、貸出サービスだけでなく、市民

の課題解決支援や子育て支援等が求められる。②東

灘区は「多子高齢化」「4 割の区民が震災後の転入

者」「ボランティア活動が活発」という特色がある

ため、バリアフリーの施設とし、調べものへの対応、

子供の読書活動の推進、居心地の良い空間整備等が

望まれる。③地域の情報拠点として ICT の活用を含

めた調べものを充実、子供の読書活動を推進するた

めのおはなし会等の行事や児童図書を充実、調べ学

習の支援など学校との連携を強化する。対面朗読

サービスにも配慮し、ボランティアとの協働による

図書館運営を求める。④調べものに対応した席の確

保、マルチメディアに対応した施設整備、ボランテ

ィア活動の場や児童受入れ等の様々な用途に対応し

た多目的室等の設置の必要性などが挙げられた。

これらのポイントを踏まえて、新しい図書館は整

備されていくことになった。

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整備計画の経緯

平成 20 年 12 月に住吉学園と、「元東灘区総合庁

舎跡地譲渡等に関する合意書」を締結する。これは、

図書館整備を条件に 23 億円で跡地を譲渡するとい

う内容である。翌年 2 月土地売買契約を締結。5 月

には整備等に関する協定を締結する。平成 23 年度中

に完成し、平成 24 年度に開館する予定であった。

この協定書の中で、①専有面積を約 1,500 ㎡とす

る ②譲渡対価は議会の議決を得た債務負担行為で

定める額(事業費)4 億 9,500 万円の範囲内とする

等が定めら

れた。これに基づき基本設計、実施設計を開始した。

設計は大阪の株式会社昭和設計が担当した。

建設経緯

建物全体は「住吉川リバーサイドフォーラム」と

いう名称で、マンション棟(ザ・レジデンス)と図書

館、住吉だんじり資料館(住吉学園所有)等の入る

文化施設棟から成る。文化施設棟は平成 24 年 6月に

着工された(マンション棟は平成 23 年 4月から)。

着工までには、旧区役所解体時のアスベスト対策

や、折からの不動産不況などの要因により計画に遅

れが生じたが、着工後は、地下 1階書庫の位置変更、

吹き抜け部分の天井耐震補強等の軽微な変更はあっ

たものの、順調に建設は進み、平成 25 年 6 月に完成

した。

平成 25 年 6 月 18 日に完成検査を行い、8 月末日

には住吉学園から鍵の引渡しを受けた。

開館に向け、書架の設置等の工事を 8 月中旬から

行った。書架の一部は、「置塩こども育成基金」を使

って調達した。旧館閉館後の 9月 2日から資料の移

転作業を開始した。

最終的に東灘図書館の建設にあたって住吉学園よ

り多大なる御寄付をいただくこととなった。

(住吉学園寄贈プレート) 指定管理者制度の導入

平成25年4月から東灘図書館にも指定管理者制度

が導入された。指定管理者には「共同事業体:長谷

工・神戸新聞・T R Cグループ」が選定され指定管理

業務をスタートした。

本山の旧図書館の運営から、移転の作業を経て、新

図書館の運営までを引き続いて管理する形となった。

(おきしお文庫コーナー)

東灘図書館移転開館おめでとうございます

神戸市外国語大学教授 芝 勝徳

平成 20 年に「(仮称)新東灘図書館整備検討委

員会」の委員長を務めさせていただきました。新

しく生まれ変わる図書館について地域の要望を取

り込むことや社会教育全体をめぐって変化する環

境にどのようなハードウェアで対応していくのか

等を熱心に関係の方々に御議論いただきました。

同委員会報告書の内容を汲み取っていただき、建

築から開館まで各方面との調整や各種の現実的な

諸条件をクリアしていただいた皆様の努力に敬意

を表し感謝を申し上げます。

新しくなった東灘図書館はこれからたくさんの

利用者の皆さんに使っていただく大切な市民の財

産になると思います。図書館をめぐる環境は今世

紀に入ってから大きく変化しています。資料の大

半を占める図書や雑誌の出版状況を例に見てもこ

れまでの図書館運営から見た都合や理想から離れ

ていくかもしれません。それでも何時迄も基本的

に変わらない図書館への期待を寄せる市民がある

限り地域の中心的な施設で在り続けることができ

ると思います。

これからの同館の運営に関して不断の経営努力

がなされますよう祈念いたします。たくさんの

人々に愛される図書館でありますように。

とりなおし予定

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新東灘図書館の施設概要

文化施設棟は地上2階、地下1階の鉄筋コンクリー

ト造りとなっている。地下 1 階は文化施設棟全体で

共用する駐車場と、図書館の書庫を持つ。

開架書架は 1階に集中させ、児童図書コーナーと

一般図書コーナー、さらには授乳室兼救護室、対面

朗読室を設けている。児童図書コーナーの一角には

「おはなしの部屋」も設け、旧図書館から継続する

おはなし会をこの部屋で開催する。

また、児童コーナーには「おきしお文庫コーナー」

を新設し、国際理解をテーマとした本を揃えている。

児童書の購入に際しては「置塩こども育成基金」を

用いて発注を行った。

神戸の図書館としては初めて自動貸出機を設置し

運営の効率化と利用者の利便性の向上を図った。

2 階には各種行事や見学等に対応する多目的室と

無線 LAN が利用できる閲覧コーナーがある。閲覧

コーナーにはデータベース(現在はポプラディアネ

ット)が利用できる席を 2席設け、指定管理者から

の提案により、音と香りで心地よい空間を演出する

機器も試行的に備えている。

また、地下1階の書庫は集密タイプの書庫となっ

ており、約 2万冊の所蔵が可能となっている。

東灘の新しい文化の拠点に

東灘区長 井川 博

神戸を代表する清流・住吉川の西岸に位置し、ゆ

ったりとした芝生の前庭の奥に、オシャレな街・東

灘のイメージにぴったりの、緩いカーブを描いた白

亜の建物。それが新東灘図書館です。

エントランスをくぐると、右手に東灘の伝統文

化の象徴である「だんじり」の資料館があり、精

巧な模型 6 基と、本物の飾り幕や彫刻が迎えてく

れます。数年後には、本物のだんじりを展示する

計画がある様で、その時には、豪華絢爛さに圧倒

されることと思いますが、新しい東灘の名所にも

なってくれるものと思います。

さて、図書館に入ると、白色を基調とした落ち

ついた雰囲気で、書架スペースは天井が高く開放

感がある、モダンで明るい空間が広がっています。

この新図書館は、その面積や蔵書数の多さも市

内の地域図書館随一ですが、それ以上に、市民の

皆様等の様々な御意見を取り入れた、機能面での

工夫を随所に凝らした、素晴らしい施設になった

と思います。

新しい東灘図書館が、区民の皆様に末長く愛さ

れ、教育と文化の街・東灘の礎となっていただく

ことを心から願っています。

(1F 親子読書コーナー) (1F おはなしの部屋)

(1F 自動貸出機)

(地下 書庫)

(1F 授乳室兼救護室)

(2F 閲覧コーナー) (2F 多目的室)

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施設概要 名 称/神戸市立東灘図書館 所 在 地/神戸市東灘区住吉東町 2 丁目 3 番 40 号 規 模/延床面積 1,485 ㎡ 構 造/鉄筋コンクリート造地上 2 階地下 1 階 事 業 費/495,000 千円 工 期/平成 24 年 6 月~平成 25 年 6 月 開 館/平成 25 年 9 月 23 日(月・祝)

施 設/一般図書コーナー、児童図書コーナー YA コーナー、おきしお文庫コーナー

東灘コーナー、参考図書コーナー 新聞・雑誌コーナー、郷土資料展示コーナー おはなしの部屋、親子読書コーナー 多目的室、閲覧コーナー 授乳室兼救護室、対面朗読室、書庫 冊 数/約 12 万冊(内書庫 約 2 万冊)

2 階

1 階

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開館記念式典と一般開館 平成 25 年 9 月 23 日(月・祝)午前 10 時から開館

記念式典が開催された。式典には主催者として市長、

住吉学園の中島理事長、教育委員長、来賓として市

会から副議長、文教こども委員会委員、地元選出議

員、この他、整備検討委員会委員、地元自治会の代

表者など 100 名以上の御出席を賜った。

式典の後、内覧会を行い出席者全員で館内を内覧

した。市長と中島理事長が揃って図書館カードを申

込まれる光景も見られた。

内覧会終了後、予定では正午からの開館とするは

ずであったが、入館待ちの列が長くなり、開館を 15

分早め 11 時 45 分からの一般供用開始となった。

その後も盛況が続き、開館後 20 分で入場制限を行

うこととなった。

天候もよく、少し暑いくらいの陽気の中、入館ま

での待ち時間は最長で 20 分ほどとなった。午後 4

時過ぎには入場制限を解除したが、カード登録者の

列は閉館まで途切れることがなかった。

初日の入館者数は 10,557 人となり、カードの登録

者は 439 人となった。

翌 24 日(火)は本来なら休館日にあたるが、東灘

図書館のみ臨時に開館した。

(開館初日のにぎわい)

(テープカット:左から山本連合婦人会会長、安井市会議員、

森本教育委員長、矢田市長、中島理事長、崎元市会副議長、

広瀬自治会連絡協議会会長)

(内覧会風景)

開館記念行事の開催

東灘図書館の移転開館を記念して、市内全館で

“「私のイチオシ本!」POP コンクール”行事を

開催した。利用者が選んだお勧めの本の POP 広告

を作っていただき、そのアピール度等を審査する

というもので、27 点の応募があった。優秀な作品

には賞状と記念品をお贈りした。

おはなし会と共に

おはなしかご代表 小西 広子

9 月 29 日新しくなった東灘図書館でおはなし会

が開かれました。

東灘図書館のおはなし会は昭和49年の開館と共

に、児童担当の図書館員が子供を本に 誘いざな

うために

始めました。ボランティア一同はその心を引き継ぎ

語ってきましたが、新図書館でもおはなし会を続け

させていただくことになりました。おはなし会のプ

ログラムはメンバーが集い、よい本を子供の理解力

を配慮した上で準備し、毎日曜日語ってきました。

幸せなことにおはなしを聞いた子供達は楽しそ

うに帰っていきました。物語の世界を体験できた子

供達は、きっと再び本を手に取り楽しむことでし

ょう。幼い頃に物語の世界に出会い深い喜びを自

分の中に豊かに持つ事が、生きる力となってくれ

るのではと思います。

私は長い間語り続けてきましたが、安心感、満

足感のあるよいおはなしや絵本を選び、語ること

で、子供達の生き生きと輝く瞳に出会い、励まさ

れ、語り続ける力を得てきたと感じています。東

灘図書館のおはなし会には、かつておはなし(ス

トーリーテリング)を楽しんだ親が、我が子を連

れてくることもあります。

これからもよいおはなしや絵本を選び、子供達

と共に喜びを分ち合いながらおはなし会が続い

ていくことを願っています。

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(ポップコンクール展示) (一般の部 金賞作品)

開館後の利用状況

開館初日から予想を上回る盛況で、新規の登録者は

開館から約1か月で5,000人を超えた。記念式典や内

覧会の模様が新聞、テレビ、ラジオで取り上げられた

こともあるが、それ以上に旧東灘図書館と灘図書館の

丁度中間に位置するという地理的な要因で、図書館利

用の空白地帯となっていたことも考えられる。 〈表 3〉開館後 1ヶ月間の利用状況

入館者数 新規登録者数 貸出冊数

9月23日(月) 10,557 439 6,479

24日(火) 3,022 360 3,333

25日(水) 3,045 346 3,630

26日(木) 2,595 294 2,675

27日(金) 2,708 247 2,755

28日(土) 4,365 338 5,390

29日(日) 4,881 391 5,837

10月 1日(火) 2,747 215 2,954

2日(水) 2,552 203 2,952

3日(木) 2,362 136 2,346

4日(金) 2,192 137 2,762

5日(土) 3,400 237 4,389

6日(日) 4,464 264 6,154

8日(火) 2,717 120 4,140

9日(水) 2,301 115 3,806

10日(木) 2,212 118 4,016

11日(金) 2,107 109 3,232

12日(土) 3,710 181 7,468

13日(日) 3,565 185 6,534

14日(月) 3,737 183 4,738

16日(水) 2,427 87 3,283

17日(木) 2,251 83 2,022

18日(金) 2,042 82 2,677

19日(土) 3,079 101 4,431

20日(日) 3,469 135 4,121

合計 82,507 5,106 102,124

一日平均 3,300 204 4,085

(総務課担当係長)

(新・東灘図書館でのおはなし会 10 月 31 日)

- 7 -

オープンいたしました

東灘図書館長 吉田 靖子

3 週間の休館の後、平成 25 年 9月 23 日(秋分の

日)に新館オープンいたしました。12 時開館予定

を 15 分繰り上げ、12 時過ぎからは事故防止のため

に入場制限をするほど大勢の市民のみなさまがお

越しくださり、午後 6 時閉館時には入館者数は1

万人を超えました。

新館では、これまで物理的な制限で実現できな

かった様々なサービスを実施しています。図書館

機能はすべて 1 階に配置いたしました。書架も増

えて、これから蔵書を増やすことができるように

なりました。若い世代に向けて「ヤングアダルト

コーナー」を、小学生には「置塩こども育成基金」

活用による「おきしお文庫コーナー」(テーマは

『国際理解』)を新たに設置し、利用者からの御

希望の多かった「大活字本」もまとまって御提供

できるようになりました。

歩きやすいように段差をなくし、車いすで御利

用いただける書架の通路幅を確保しております。

広く新しいトイレには、イクメンパパと子供たち

のために男性用トイレにもおむつかえシートや子

供用トイレを装備いたしました。「こうべ・だれ

でもトイレ」にはオストメイトの設備を備えてい

ます。

育児中のお母さんには授乳室もよく御利用いた

だいています。閲覧席も 1階・2階と可能な限り御

用意いたしました。2階席では無線 LAN 優先席、閲

覧専用席、持込み資料も御利用いただける席など

幅広く御活用いただけます。また、エレベーター

を御利用いただいて2階へ上がることもできます。

まだまだ落ち着いた雰囲気ではありませんが、こ

れまで様々な理由で図書館に縁遠かった方々にと

って、少しでも利用しやすい図書館となるために、

これからも取り組みを続けてまいります。

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-次期指定管理者候補者の決定-

三宮・須磨図書館の 2館は、平成 26 年 3 月に指定

管理期間の満了を迎える。第 2期となる平成 26 年度

から29年度の指定管理者となる事業者の公募を7月

に行ったが、1 団体 2 件の応募のみであった。応募者

ヒアリングを経て、10 月の指定管理者選定評価委員

会で、「共同事業体:神戸新聞・TRC グループ」が引

き続き指定管理者候補者に選定された。今後市会の

審議・議決を経て、指定管理者に指定される予定で

ある。 (総務係長・安達)

-新サービスの実施- ◇北須磨文化センター予約図書受取サービス 7月 23 日より、北須磨文化センター図書室におい

て予約図書受取サービスを開始した。初日から問合

わせがあり、開始 2 日後には予約された図書を借り

に来られる利用者もあった。月を重ねるごとに貸出

冊数が伸びており、今後の利用が期待される。北須

磨文化センター図書室の御尽力に感謝したい。

◇市民図書室「予約図書受取コーナー」 K-lib ネット等で予約した本を、市民図書室で受

取ることができる「予約図書受取コーナー」を、10

月 22 日より西区の小寺小学校市民図書室に開設し

た。今年度から 3 年間で市内 14 ヵ所の市民図書室に

コーナーを設置予定。小寺小は市内初の設置であり、

今後のモデルケースとして注目していきたい。

◇市民図書室への団体貸出

希望する市民図書室に 250 冊の本を 3か月間貸出

しする団体貸出事業は、7月に 1 回目、10 月中旬に

2 回目の発送を終えた。市民図書室からは「書棚が

マンネリ化していたので、利用者に喜ばれている」

など好評を得ている。今後は貸出作業の省力化と、

図書の内容充実を図りたい。

◇物流拠点整備 今年度後半より、従来中央図書館内で行っていた

図書の仕分け業務を、運搬も含めて業者倉庫で行う

よう物流システムを変更。10 月1日から未仕分けの

予約図書と他館返却本が倉庫に運ばれ、仕分け後に

各館へ配送されるようになった。開始直後は戸惑い

もあったが、現在は落ち着いている。今後もさらに

無駄のない物流システムを構築していきたい。

◇学校への総合学習用図書運搬 これまで学校の先生自身で行っていた総合学習用

図書の運搬を、図書館の費用で業者が運搬する事業

が、2 学期よりスタートした。先生・運搬業者・図

書館とのやりとりとなり細かな調整が必要だが、マ

ニュアルの浸透に伴って軌道に乗っていくものと期

待している。 (総務課担当係長・桝井)

-平成 25 年度 戦災関連資料展-

8 月 13 日~18 日、行財政局主催の戦災関連資料展

が開催された。展示会場には鉄かぶとや防毒マスク

などの実物、戦時下の神戸の街を撮影した写真パネ

ルの他、映画『少年 H』の撮影衣装も並べられ、例

年より展示スペースを拡張した大規模な展示となっ

た。図書館でも、この資料展に合わせて、児童書展

示「戦争・平和を考える本」、一般資料展示「神戸

大空襲の本」「『少年 H』の著者、妹尾河童の本」

を開催し、貸出も行った。8 月 15 日は大倉山公園内

で神戸空襲に関するモニュメントの除幕式が行われ、

式後には市長をはじめ、多くの遺族や関係者の方々

が来館、資料展を見学された。『神戸空襲戦災地図』

の前では、指を差しながら当時の思い出を語り合う

高齢者の方々、写真パネルの前では親子連れの姿が

多く見られた。

この資料展は、平成 19 年度より中央図書館1階ロ

ビーで行われている。昨年の閲覧者は約 4,900 人、

今年は 6,200 人を超え、大盛況の 6 日間であった。

(調査相談係長・大黒)

-親子本づくり教室の開催-

例年、秋の読書週間に大人向けに行っていた「製

本教室」を、今年度は子供向けに形を変え、「家族

が熱い一週間」の参加事業として夏休み(7月26日)

に行った。募集人数を超える申し込みがあり、子供

と保護者、9組 12 人の参加となった。製本室職員に

教わりながら、半紙を折るところから、針と糸を使

って「四つ目綴じ」まで行い、和綴じ本を作成した。

熱心な参加者が多く、大人でも難しい工程もあった

が、親子で協力して力作を完成させ満足の表情がみ

られた。

応募状況からも、本づくりへの興味の高さと夏休

みに家族で参加できる行事へのニーズを感じ、今後

も継続していきたい。 (資料係・宮本)

-中央図書館耐震化工事-

中央図書館 1 号館は、耐震診断の結果、震度 6 の

地震では倒壊の恐れがあるため、耐震化工事が必要

と判定された。そのため平成 25 年 12 月から 26 年 3

月中旬までの期間をかけ、耐震化工事を行う。工事

期間中もできるだけ図書館サービスを提供できるよ

う、現在調整中である。 (総務係長・安達)

―手帳―

会議 7. 5 図書館協議会

7.18~19 政令指定都市館長会(相模原市)

8. 6 教育委員会会議(指定管理者公募報告)

10.22 教育委員会会議(指定管理者候補者選定)

研修 10.17 中央図書館館内研修

その他 7.17~26 指定管理者応募要領の配布

7.29 指定管理者応募説明会・現地説明会

8.29~9.3 指定管理者応募申請書類受付

9.24 指定管理者候補者選定委員会

(応募団体ヒアリング)

10.11 指定管理者候補者選定委員会(選定)

書燈 309 号 平成 25 年 11 月 非売品 編集発行 神戸市立中央図書館