特集 医療最前線 topics 病院や地域の「連携」で変わる、...

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免疫チェックポイント 阻害薬のオプジーボ® 食生活や生活習慣の欧米化により、 日本人の大腸がんが急増しています。 これまで2cmを超える大腸がんは、 現在広く普及している内視鏡的粘膜 切除術(EMR)という手技での治療が 困難と言われていました。しかし最近 では、内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)という新しい技術により治療 できるようになっています(図1~4)。 ESDとは、内視鏡の先端から特殊 なメスを出してがんの周囲の粘膜を 切開し、がんをはがし取る治療法のこ とで、対象は病変が粘膜層にとどまっ ている早期がんです。 大腸は腸管の壁が薄く、内視鏡の 操作自体が胃よりも難しいために、穿 孔などの合併症のリスクが高くなって これこそが現在、外科外来で多忙な毎日を送る恒川さ んの別の姿です。10 年前、仕事浸けの毎日に「このま まじゃいけない」と一年発起し、始めたバレエ。専門 用語が連発されるレッスンに苦労しながらも、仕 事関係以外のさまざまな人と出会うことに楽新鮮 さを感じ、今に至ります。2年に1度の公演を昨 秋終えたばかり。「毎回、これで終わりにしようと 思いながら続けています」と恒川さん。来年の秋 には、また舞台で光り輝く星となることでしょう。 しまいますが、当院では治療前に病変 を詳細に観察し、実際の操作性を確 認することにより、合併症を減らす工 夫を行っています ※1 大腸がんは早期に発見できれば、体 への負担の少ない内視鏡治療で完治 させることができます。定期的に内視 鏡による大腸がん検診を受けることを おすすめします。なお、当院では専門 医による大腸がん検診を木曜と土曜 に行っています。詳しくは当院ホーム ページをご覧いただくか、医療連携推 進室までお問い合わせください。 ※1 大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層 剥離術(ESD):当院の現況と工夫  2016.12 第14回世田谷区医学会総会 この情報 ウソ ホント? or Q ①石鹸で手をよく洗います。 ②下まぶたを下方に引き、1回に つき1滴点眼します。 ③点眼後、約1分間まぶたを閉 じ、清潔なティッシュで軽く目頭 をおさえます。あふれた点眼液は ティッシュでふきとります。 2種類以上の点眼薬をさす場合 は、3~5分間の間隔をあけて次 の点眼薬をさしてください。 もともと自然界には、自 然放射線が存在するため、私た ちは毎日何もしていなくても被 ばくしている状態にあります。人 が自然に受ける放射線量は、世 界平均で年間約2.4Sv(シーベ ルト)。当院で胸部X線撮影(1回 の放射線量が0.09mSv)を27 回受けたことになります。特に、 宇宙には「宇宙線」という放射線 があり、東京~ニューヨーク間 を飛行機で往復するだけで、 0.12~0.16mSvも被ばくする と言われています。 早期大腸がんの内視鏡治療 ─2cmを超える大腸がんも内視鏡で治療可能に─ 内視鏡部診療部長 池田 圭一 先生 百薬 くすりの耳寄り情報 A 毎日誰でも「被ばく」してる!? 第3の 今回は 外来看護師主任の さん 恒川時子 TOPICS 皆様からの関心の高いトピックに ついて、専門医がていねいにお話 しいたします。ご参加希望の方は、 当日、直接会場へお越しください。 (先着200名・事前申込不要・受 講無料) 【講師からのメッセージ】 関節の痛みに悩まされている方は、た くさんいらっしゃることでしょう。外来 でも、痛み止めを飲んで、湿布も貼っ て…という方をよくお見かけします。 しかし、関節の痛みは痛み止めだけで は治りません。今回は、今話題の「ロコ モティブシンドローム」をからめて、関 節の痛みの治療や予防について、皆さ んといっしょに考えていきたいと思い ます。 点眼薬の正しい使い方 関節の痛みについて ~膝・股関節を中心に~ 講師: 角田篤人 先生 (整形外科) 日時:平成29年3月11日(土) 午後2時~午後3時 会場:第三看護専門学校6階 大教室 【講師からのメッセージ】 乳がんの治療を取り巻く環境は、この 20年で大きく変化してきました。慈恵 医大第三病院では、乳がんに対するド ラマチックな医療の変革に対応すべ く、チーム医療を形成し、カンファレン スを開き、1人ひとりの患者さんに とって最適な治療方針を検討してい ます。セミナーでは、最近の乳がん診 療の在り方について、専門スタッフが お話しすると同時に、実際の受診方法 についても取り上げていきます。 乳がん診療の進め方 ~診断から治療まで~ 講師: 田部井 功 先生 (外科診療医長) 日時:平成29年6月24日(土) 午後2時~午後3時 会場:看護学科1階 大講堂 下の写真の、舞台センターで踊る女性に注目! 公開健康セミナー 図1 図1 図2 図3 図4 図2 図3 図4 ESDによって治療が可能な早期 がん(最大径33mm) ESDを行っているときの内視鏡 写真 ESD後の切除面 ESDにより切除したがんの検体 医療最前線 がん相談支援センターでは、がん相談に関 する研修を受けた“がん相談員”が、信頼でき る情報に基づいて、がんの治療や療養生活全 般のご質問やご相談に対応しています。患者 さんとそのご家族が対象ですが、当院通院中 でない方でも無料でご利用いただけます。 治療に対する不安はもちろん、医師には聞 病気への不安や治療の情報、 就労支援まで、多様な相談に対応 がん相談支援センターがん相談員 伊藤 志保さん きにくい事、家族になんと声をかけていいか分 からないなど、相談内容は多岐に渡り、患者さ んからだけでなく、ご家族の方のご相談も多く 寄せられています。この4月からは、がん患者 さんの就労支援や、介護をされるご家族のお 仕事に関する相談に応えるため、社会保険労 務士による就労支援窓口も設置しました。  今後は、患者さんの会(患者サロン)の開催 回数を増やすなど、より利用される方のニー ズに応える取組みを行っていきたいと考えて おります。 がん診療センターの主な取組みとしては、 キャンサーボード(がん疾患検討会議)の充 実、がん支援相談センターの設置、緩和ケア 講習会の開催などがあげられます。 なかでも主眼となるのが、キャンサーボード です。これは内科、外科、放射線科、内視鏡部、 診 療の主 眼は、各 科のスタッフが 集まるキャンサーボード 看護部や薬剤部など、がんに関わるあらゆる 科のスタッフが集まる会議で、これにより1人 の患者さんを多角的に捉えて、一番いい治療 法やサポートを話し合うことができます。 また、患者さんに最善のケアを提供すると いう意味では、地域での連携も欠かせません。 そこで、北多摩南部医療圏の他のがん診療連 携拠点病院と定期的に会合をもち、情報の共 有化、課題の克服に向けた共同の取り組み、 病院相互の理解と交流を行っています。 相談時間 月曜日~土曜日 9時~16時 日・祝日・年末年始・当院休診日(5/1・10/15)を除く 相談方法 面談・電話(原則予約制となっております。)  相談料  無料 連 絡 先 03-3480-1151(代) がん支援センターの利用案内 数多いがん治療薬の中でも、最近特に注目されているのがオプジーボです。 通常、免疫細胞はがんを攻撃します。一方がん細胞は攻撃されないように、免 疫細胞を抑制するように働きかけます。オプジーボはこの抑制を破綻させ、人が 本来持っている免疫力を発揮させるという、今までにない新しいタイプの薬です。 非常に高額ということで話題になりましたが、今年の2月より半額となりました。 がん治療薬情報 がん相談支援センターの取組み 緩和ケアチームは、がん患者さんの「つらさ」 を和らげ、生活の質を高めるための支援を行う 専門チームです。「つらさ」とは、痛みなどの身体 の症状だけでなく、病気に対する不安やイライ ラ、不眠といった精神的なつらさも含まれます。 メンバーは問題を多面的に検討し、それぞ れの患者さんに適した症状緩和方法を見出す ため、多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士・ リハビリ訓練士・医療ソーシャルワーカーな 他職種で構成されたチームの メンバーが診察から治療、 相 談にあたります 総合診療部 村瀬 樹太郎先生 ど)で構 成されています。週に 1回の会議や毎日の回診を通 し、主治医や病棟スタッフと連 携しながら、患者さんとそのご 家族の治療・ケアや相談にあ たります。 緩和ケアというと、がんが進 行した方のためのものというイ メージがあるかもしれませんが、 本来はがんと診断されたときか ら開始されるもので、化学療法 などの治療と併行しながらサ ポートを受けることも可能です。 緩和ケアチームの取組み がん治療といえば、以前は入院治療が主流 でしたが、時代背景と内服抗がん剤の増加な どにより、通院しながらの外来治療へと移行し つつあります。しかし、外来がん治療を実践す るにあたって、患者や家族の協力・理解が不足 している場合、服薬管理の不備のもとになり、 患者さんへの面談を行い、 薬剤師の視点でがん診療をサポート 治療効果が弱まったり、副作用が重くなる事態 を招くことがあります。 こうした問題を解決するために、2014年9月 より薬剤師サポート外来を開設しました。外来 診察前の待ち時間を活用し、薬剤師による「診 察前患者面談」を実践しています。患者さんに 問診をして、知り得た情報は、医師・看護師と共 有し、薬剤師の視点で治療を効果的かつ安全に 実施できるよう診療をサポートしています。 薬剤部の取組み がん診療センター長 岡本 友好先生 がん診療センターの取組み 病院や地域の「連携」で変わる、 がん治 病院や地域の「連携」で変わる、 がん治 特集 薬剤部 茂典さん

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Page 1: 特集 医療最前線 TOPICS 病院や地域の「連携」で変わる、 緩和ケアチームの取組み 早期大腸がんの内視鏡治療 ... · 大腸がんは早期に発見できれば、体

免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ®

 食生活や生活習慣の欧米化により、日本人の大腸がんが急増しています。 これまで2cmを超える大腸がんは、現在広く普及している内視鏡的粘膜切除術(EMR)という手技での治療が困難と言われていました。しかし最近では、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という新しい技術により治療できるようになっています(図1~4)。 ESDとは、内視鏡の先端から特殊なメスを出してがんの周囲の粘膜を切開し、がんをはがし取る治療法のことで、対象は病変が粘膜層にとどまっている早期がんです。 大腸は腸管の壁が薄く、内視鏡の操作自体が胃よりも難しいために、穿孔などの合併症のリスクが高くなって

これこそが現在、外科外来で多忙な毎日を送る恒川さんの別の姿です。10 年前、仕事浸けの毎日に「このままじゃいけない」と一年発起し、始めたバレエ。専門

用語が連発されるレッスンに苦労しながらも、仕事関係以外のさまざまな人と出会うことに楽新鮮さを感じ、今に至ります。2年に1度の公演を昨秋終えたばかり。「毎回、これで終わりにしようと思いながら続けています」と恒川さん。来年の秋には、また舞台で光り輝く星となることでしょう。

しまいますが、当院では治療前に病変を詳細に観察し、実際の操作性を確認することにより、合併症を減らす工夫を行っています※1。 大腸がんは早期に発見できれば、体への負担の少ない内視鏡治療で完治させることができます。定期的に内視鏡による大腸がん検診を受けることをおすすめします。なお、当院では専門医による大腸がん検診を木曜と土曜に行っています。詳しくは当院ホームページをご覧いただくか、医療連携推進室までお問い合わせください。

※1 大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD):当院の現況と工夫 2016.12 第14回世田谷区医学会総会

この情報 ウソ ホント?or

Q

①石鹸で手をよく洗います。②下まぶたを下方に引き、1回につき1滴点眼します。③点眼後、約1分間まぶたを閉じ、清潔なティッシュで軽く目頭

をおさえます。あふれた点眼液はティッシュでふきとります。2種類以上の点眼薬をさす場合は、3~5分間の間隔をあけて次の点眼薬をさしてください。

   もともと自然界には、自然放射線が存在するため、私たちは毎日何もしていなくても被ばくしている状態にあります。人が自然に受ける放射線量は、世界平均で年間約2.4Sv(シーベルト)。当院で胸部X線撮影(1回

の放射線量が0.09mSv)を27回受けたことになります。特に、宇宙には「宇宙線」という放射線があり、東京~ニューヨーク間を飛行機で往復するだけで、0.12~0.16mSvも被ばくすると言われています。

早期大腸がんの内視鏡治療─2cmを超える大腸がんも内視鏡で治療可能に─

内視鏡部診療部長

池田 圭一 先生

百薬の聴

くすりの耳寄り情報

A

毎日誰でも「被ばく」してる!?

第3の今回は外来看護師主任の さん恒川 時子

T O P I C S

皆様からの関心の高いトピックについて、専門医がていねいにお話しいたします。ご参加希望の方は、当日、直接会場へお越しください。(先着200名・事前申込不要・受講無料)

【講師からのメッセージ】関節の痛みに悩まされている方は、たくさんいらっしゃることでしょう。外来でも、痛み止めを飲んで、湿布も貼って…という方をよくお見かけします。しかし、関節の痛みは痛み止めだけでは治りません。今回は、今話題の「ロコモティブシンドローム」をからめて、関節の痛みの治療や予防について、皆さんといっしょに考えていきたいと思います。

点眼薬の正しい使い方

関節の痛みについて~膝・股関節を中心に~

講師:角田篤人 先生(整形外科)

日時:平成29年3月11日(土)午後2時~午後3時会場:第三看護専門学校6階 大教室

【講師からのメッセージ】乳がんの治療を取り巻く環境は、この20年で大きく変化してきました。慈恵医大第三病院では、乳がんに対するドラマチックな医療の変革に対応すべく、チーム医療を形成し、カンファレンスを開き、1人ひとりの患者さんにとって最適な治療方針を検討しています。セミナーでは、最近の乳がん診療の在り方について、専門スタッフがお話しすると同時に、実際の受診方法についても取り上げていきます。

乳がん診療の進め方~診断から治療まで~

講師:田部井 功 先生(外科診療医長)

日時:平成29年6月24日(土)午後2時~午後3時会場:看護学科1階 大講堂

下の写真の、舞台センターで踊る女性に注目!

公開健康セミナー

図1

図1

図2

図3

図4

図2

図3 図4

ESDによって治療が可能な早期がん(最大径33mm)

ESDを行っているときの内視鏡写真

ESD後の切除面

ESDにより切除したがんの検体

医療最前線

 がん相談支援センターでは、がん相談に関する研修を受けた“がん相談員”が、信頼できる情報に基づいて、がんの治療や療養生活全般のご質問やご相談に対応しています。患者さんとそのご家族が対象ですが、当院通院中でない方でも無料でご利用いただけます。 治療に対する不安はもちろん、医師には聞

病気への不安や治療の情報、就労支援まで、多様な相談に対応

がん相談支援センターがん相談員 伊藤 志保さん

きにくい事、家族になんと声をかけていいか分からないなど、相談内容は多岐に渡り、患者さんからだけでなく、ご家族の方のご相談も多く寄せられています。この4月からは、がん患者さんの就労支援や、介護をされるご家族のお仕事に関する相談に応えるため、社会保険労務士による就労支援窓口も設置しました。  今後は、患者さんの会(患者サロン)の開催回数を増やすなど、より利用される方のニーズに応える取組みを行っていきたいと考えております。

 がん診療センターの主な取組みとしては、キャンサーボード(がん疾患検討会議)の充実、がん支援相談センターの設置、緩和ケア講習会の開催などがあげられます。 なかでも主眼となるのが、キャンサーボードです。これは内科、外科、放射線科、内視鏡部、

診療の主眼は、各科のスタッフが集まるキャンサーボード

看護部や薬剤部など、がんに関わるあらゆる科のスタッフが集まる会議で、これにより1人の患者さんを多角的に捉えて、一番いい治療法やサポートを話し合うことができます。 また、患者さんに最善のケアを提供するという意味では、地域での連携も欠かせません。そこで、北多摩南部医療圏の他のがん診療連携拠点病院と定期的に会合をもち、情報の共有化、課題の克服に向けた共同の取り組み、病院相互の理解と交流を行っています。

●相談時間 月曜日~土曜日 9時~16時 日・祝日・年末年始・当院休診日(5/1・10/15)を除く●相談方法 面談・電話(原則予約制となっております。)  ●相談料  無料●連 絡 先 03 -3480 -1151(代)

がん支援センターの利用案内

 数多いがん治療薬の中でも、最近特に注目されているのがオプジーボです。 通常、免疫細胞はがんを攻撃します。一方がん細胞は攻撃されないように、免疫細胞を抑制するように働きかけます。オプジーボはこの抑制を破綻させ、人が本来持っている免疫力を発揮させるという、今までにない新しいタイプの薬です。非常に高額ということで話題になりましたが、今年の2月より半額となりました。

がん治療薬情報

がん相談支援センターの取組み

 緩和ケアチームは、がん患者さんの「つらさ」を和らげ、生活の質を高めるための支援を行う専門チームです。「つらさ」とは、痛みなどの身体の症状だけでなく、病気に対する不安やイライラ、不眠といった精神的なつらさも含まれます。 メンバーは問題を多面的に検討し、それぞれの患者さんに適した症状緩和方法を見出すため、多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士・リハビリ訓練士・医療ソーシャルワーカーな

他職種で構成されたチームのメンバーが診察から治療、相談にあたります

総合診療部 村瀬 樹太郎先生

ど)で構成されています。週に1回の会議や毎日の回診を通し、主治医や病棟スタッフと連携しながら、患者さんとそのご家族の治療・ケアや相談にあたります。 緩和ケアというと、がんが進行した方のためのものというイメージがあるかもしれませんが、本来はがんと診断されたときから開始されるもので、化学療法などの治療と併行しながらサポートを受けることも可能です。

緩和ケアチームの取組み

 がん治療といえば、以前は入院治療が主流でしたが、時代背景と内服抗がん剤の増加などにより、通院しながらの外来治療へと移行しつつあります。しかし、外来がん治療を実践するにあたって、患者や家族の協力・理解が不足している場合、服薬管理の不備のもとになり、

患者さんへの面談を行い、薬剤師の視点でがん診療をサポート

治療効果が弱まったり、副作用が重くなる事態を招くことがあります。 こうした問題を解決するために、2014年9月より薬剤師サポート外来を開設しました。外来診察前の待ち時間を活用し、薬剤師による「診察前患者面談」を実践しています。患者さんに問診をして、知り得た情報は、医師・看護師と共有し、薬剤師の視点で治療を効果的かつ安全に実施できるよう診療をサポートしています。

薬剤部の取組み

がん診療センター長 岡本 友好先生がん診療センターの取組み

病院や地域の「連携」で変わる、

が ん 治 療病院や地域の「連携」で変わる、

が ん 治 療特 集

薬剤部 桝 茂典さん

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東京慈恵会医科大学附属 第三病院〒201-8601 東京都狛江市 和泉本町4丁目11-1

〈受付時間〉 8:00-11:30 〈診療時間 〉8:45~〈休診日〉日曜・祝日、大学記念日(5/1、10/15)、年末年始(12/30~1/4)〈お問い合わせ〉03-3480-1151(大代表)、http://www.jikei.ac.jp/hospital/daisan/index.html

発行:東京慈恵会医科大学附属第三病院広報委員会

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病院や地域の「連携」で変わる、がん治療

TOPICS医療最前線

特集

旬のひと皿今回は春を感じさせる「菜の花」を使った料理をご紹介します。菜の花に代表されるアブラナ科の辛味成分には、肝臓の細胞に含まれ、発がん性物質などを無毒化する解毒酵素の力を高める作用があります。アブラナ科の野菜には、ほかにブロッコリーやニンニク、大根など豊富にありますので、さまざまなメニューに活用してください。ただし、このような成分を大量に摂取した場合、かえって健康状態により、好ましくない作用が促進されてしまう場合もあります。一部の食品の過剰な摂取を避け、バランスのよい食事をすることが何よりのがん予防になるといえるでしょう。

①新玉ねぎは薄くスライスしておく。菜の花は沸騰したお湯で20~30秒ほどゆで、3cmくらいに切っておく ②パスタをゆでる ③フライパンにオリーブオイルを引き、ニンニクを入れて色がつくまで炒めて取り出す。ツナとゆでた菜の花、新玉ねぎを入れて軽く炒める ④ゆでたパスタとゆで汁(おたま1杯分くらい)を入れ、鷹の爪、ポン酢、塩、こしょうで味をととのえ、水分を飛ばしたら完成。

e m p a t h y b a s e d m e d i c i n e

T h e J i k e i U n i v e r s i t y

がん患者さんを病院全体でサポートするために「がん診療センター」を立ち上げました

がん診療センター長 岡本 友好

 現在、わが国では男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんに罹患するといわれており、がん治療は高

度化、複雑化しつつあります。それに伴い、患者さんをとりまく環境も従来のような医師と患者、家族間での調

整だけでは不十分となっており、精神的、経済的、倫理面を含めて、社会や病院全体で取り組む必要性が高

まっています。こうした状況を受け、当院では平成27年9月、がん患者さんを全病院的にサポートする組織とし

て「がん診療センター」を立ち上げました。

 当院は約500床と、各部署がお互いの顔が見え、かつ高度な専門スタッフが

そろった適度なサイズの病院です。このスケールメリットを生かし、チームとして

専門的、全人的治療、サポートを行い、がん患者さんとその家族のみなさまの期

待に応えてまいります。

がん患者さんとご家族の不安や心配事をともに考えます

看護師長 渡部 雅代

 平成28年4月に、当院が「東京都がん診療連携拠点病院」に指定されたのに伴い、がんの相談窓口として

「がん相談支援センター」を設置いたしました。

 がんと宣告されたとき、ご本人はもちろん、ご家族の方も大きな不安を抱えることになります。また就労や介

護といった、生活を左右する問題にも対応していかなければなりません。当センターは、そのようながん患者さ

んとご家族の支援を積極的に行っていくことを目的としております。

 不安を抱えたままでの治療や通院は、生活の質の維持にも支障をきたし、

病気の回復にも影響を与えます。患者さんとご家族の気持ちに寄り添い、とも

に考えるという姿勢で対応させていただきますので、まずはお気軽にご相談く

ださい。

2017 SPRINHG今回の

食材

狛江通り

甲州街道

甲州街道

つつじヶ丘

柴崎

国領

布田調布

多摩川

慈恵医大第三病院

東京慈恵会医科大学

緑野小和泉狛江消防署

第四中

野川

京王線

小田急線

喜多見

狛江

和泉多摩川

イトヨーカドー

…バス停

調和小

桐朋学園大

染地小

狛江市役所

狛江第三中

狛江高

調布市立図書館染地分館

デニーズ

第二小イエローハット

調布市立市民福祉会館

布田小

調布郵便局

第七中電気通信大学

松原

烏田理化工業

田中稲荷

糟嶺神社

世田谷通り

小田急バス狛江営業所

至三軒茶屋→

←至川崎

至三軒茶屋→

←至八王子複数の項目にあてはまる場合は、医療機関の受診をおすすめします。

春の芽吹きのパワーで病を防ぐ

みぞおちのあたりに違和感や痛みを感じる

真っ黒な便が出る

食べ物が食道の奥でつっかえるように感じる

かぜではないのに乾いたせきやたんが1カ月以上続く

たんに血が混じる

長期間たばこを吸っていた

しこりがある えくぼのようなへこみやひきつれがある

出血や分泌物が見られる

R e c i p e

パスタ(乾麺)......................

菜の花..................................

新玉ねぎ..............................

ツナ.......................................

ニンニク...............................

鷹の爪..................................

オリーブオイル...................

ポン酢 ..................................

塩・こしょう .........................

80g3株1/4個30g1片の半分程度適宜大さじ1小さじ1少々

菜の花とツナのパスタ(1人分)

あらゆる生命が活気づく春。

この時期に旬を迎える食材には、

芽吹きと成長のパワーが満ちあふれています。

食べ物の力をほどよく取り込んで、

病に負けない、

かからない体をつくりましょう。

あなたの健康度チェック ~胃がん、食道がん・肺がん・乳がんチェック~こんな症状はありませんか?

第三病院栄養部監修 管理栄養士 友野 義晴

作:第三病院栄養部

東京慈恵医科大学附属第三病院と患者さんをつなぐ情報誌

と も に

30日

胃がん・食道がん

Check !

肺がんCheck !

乳がんCheck !

S P R I N G

2菜の花

新玉ねぎ

※お詫びと訂正TOMONI第1号掲載の「さつま芋と大麦のリゾット」の作り方で、さつま芋の調理法が抜けておりました。正しくは、最初に「さつま芋をサイコロ状に切っておき、コンソメの素をお湯に入れて作ったスープの中に入れておく」という文が入ります。訂正してお詫びいたします。