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監 訳 小谷穣治 (兵庫医科大学 救急・災害医学講座 救命救急センター) 本書は、米国のガイドラインを和訳したものです。本邦では承認されていない医療用品、薬剤に関する記載が含まれている場合もありますので、ご留意ください。 A.S.P .E.N. Clinical Guidelines 成人の重症患者に対する 栄養サポート療法の実施と評価の ガイドライン:米国集中治療医学会および 米国静脈経腸栄養学会 Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support erapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.) Stephen A. McClave, MD; Beth E. Taylor, RD, DCN; Robert G. Martindale, MD, PhD; Malissa M. Warren, RD; Debbie R. Johnson, RN, MS; Carol Braunschweig, RD, PhD; Mary S. McCarthy, RN, PhD; Evangelia Davanos, PharmD; Todd W. Rice, MD, MSc; Gail A. Cresci, RD, PhD; Jane M. Gervasio, PharmD; Gordon S. Sacks, PharmD; Pamela R. Roberts, MD; Charlene Compher, RD, PhD; and the Society of Critical Care Medicine and the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition Journal of Parenteral and Enteral Nutrition Volume 40 Number 2 February 2016 159-211

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Page 1: A.S.P.E.N. Clinical Guidelines | 大塚製薬工場医薬関係 … Surgery, Oregon Health and Science University, Portland, Oregon; 4Critical Care Dietitian, Portland VA Medical Center,

監 訳

小谷穣治(兵庫医科大学 救急・災害医学講座 救命救急センター)

本書は、米国のガイドラインを和訳したものです。本邦では承認されていない医療用品、薬剤に関する記載が含まれている場合もありますので、ご留意ください。2016年9月作成ETD1116H01

提 供

A.S.P.E.N.Clinical Guidelines成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support �erapy inthe Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) andAmerican Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.)Stephen A. McClave, MD; Beth E. Taylor, RD, DCN; Robert G. Martindale, MD, PhD; Malissa M. Warren, RD; Debbie R. Johnson, RN, MS; Carol Braunschweig, RD, PhD; Mary S. McCarthy, RN, PhD; Evangelia Davanos, PharmD; Todd W. Rice, MD, MSc; Gail A. Cresci, RD, PhD; Jane M. Gervasio, PharmD; Gordon S. Sacks, PharmD; Pamela R. Roberts, MD; Charlene Compher, RD, PhD; and the Society of Critical Care Medicine and the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition

Journal of Parenteral and Enteral NutritionVolume 40 Number 2

February 2016 159-211

本書を無断で複写 ・ 複製 ・ 転載することは著作権法上認められませんので、固く禁止します。

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1予備的な見解(ガイドラインの趣旨)/ガイドラインの対象となる患者集団

◉予備的な見解(ガイドラインの趣旨)

 A.S.P.E.N.とSCCMは、いずれも様々な領域の医療専門家から

構成される非営利組織である。A.S.P.E.N.は、臨床的な栄養と代

謝の科学および実践の進歩を通じて、患者の治療を改善するこ

とを使命とする。SCCMは、重症患者や重傷患者すべてに最善

の医療を提供することを使命とする。

ガイドラインの限界 A.S.P.E.N.-SCCM臨床ガイドラインは、ガイドラインを開発す

る医療専門家が、特定の治療法から得られる潜在的な利益と、

それに付随する一定のリスクとを比較した総合的な結論に基

づいている。しかし、実施ガイドラインは、絶対的な要求事項を

意図したものではない。ガイドラインを用いても、アウトカムや

生存に関する何らかの特別な利益を提示できるものでもなけ

れば、それが保証されるわけでもない。

 常に、個々の患者の状況に基づき医療専門家が下す判断を、ガイドラインの推奨事項より優先すべきである。 ガイドラインは、現在利用できる文献情報のレビューと解析

によって、国内外の他のガイドラインによって、また、専門家の意

見と臨床での実用性を合わせた結果に基づき、支持される基本

的な推奨事項を提供するものである。「集中治療室」(ICU)の重

症病態患者集団は均一なものではない。ガイドラインのよりどこ

ろとなっている研究は、サンプルサイズ、被験者の不均一性、病

気の重症度のバラツキ、ベースラインの栄養状態に関する情報

の欠如および統計学的検出力の不足によって限定的なもので

ある場合が多い。

ガイドラインの定期的レビューおよびアップデート 本レポートは、A.S.P.E.N.とSCCMが2009年に発表したガイド

ラインを更新し、拡充したものである1)。A.S.P.E.N.とSCCM両者

キーワード栄養;重症病態の医療;集中治療室;経腸;経静脈;エビデンスに基づく医学;推奨事項のグレード付け、アセスメント、開発、評価基準;ガイドライン

成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会(SCCM)および米国静脈経腸栄養学会(A.S.P.E.N.)

を管轄する政府機関は、3~5年ごとのガイドラインの更新を義

務付けた。文献の分析に用いられた無作為化比較試験(RCT)

のデータベースは、カナダ臨床ガイドライングループとの共同

「調和プロセス」により統合された。統合が完了すると、各グ

ループは別々に試験を解釈し、ガイドラインの推奨事項を抽出

した2)。本論文に示されたA.S.P.E.N.とSCCMの現行ガイドライン

は、2013年12月31日までに著者らが文献検索を通じて収集し

たデータに基づく。委員会は、同日以降に発表されたランドマー

ク試験についても認識はしていたが、本版には含めなかった。

文献評価のプロセスは、検索レビューの終了日と同一にする必

要があった。最終段階でランドマーク試験を追加すると、全項目

を対象に公式な文献検索を再度実施しない限り、バイアスを生

じる可能性があった。

◉ガイドラインの対象となる患者集団

 本ガイドラインは、内科および外科のICU(MICUおよびSICU)

在室期間(LOS)が、2日または3日を超えることが予想される成

人(18歳以上)の重症病態患者を対象にしたものである。現行

ガイドラインでは、上記基準を満たすが2009年度の前版ガイ

ドラインでは対象とされていなかった多数の患者部分集団を

追加した。今回、拡充、更新されたガイドラインでは、臓器不全

(肺、腎臓、および肝臓)、急性膵炎、一部の外科患者(外傷、外

傷性脳損傷[TBI]、腹部開放創[OA]、および熱傷)、敗血症、大

手術の術後、慢性重症病態患者、並びに肥満の重症病態患者

などの特定患者集団を取り上げた。本ガイドラインは、患者集

団全般に向けたものであるが、ICUでの他の管理戦略と同様に、

栄養療法は患者ごとに検討しなければならない。

対象となる読者 本ガイドラインは、重症病態の栄養療法に関わるすべての医

Stephen A. McClave, MD1*; Beth E. Taylor, RD, DCN2*; Robert G. Martindale, MD, PhD3; Malissa M. Warren, RD4; Debbie R. Johnson, RN, MS5; Carol Braunschweig, RD, PhD6; Mary S. McCarthy, RN, PhD7; Evangelia Davanos, PharmD8; Todd W. Rice, MD, MSc9; Gail A. Cresci, RD, PhD10; Jane M. Gervasio, PharmD11; Gordon S. Sacks, PharmD12; Pamela R. Roberts, MD13; Charlene Compher, RD, PhD14; and the Society of Critical Care Medicine† and the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition†

Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine(SCCM)and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(A.S.P.E.N.)

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2 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

療従事者、主として医師、看護師、栄養士および薬剤師が使用

することを前提としている。

方法 著者は、栄養療法管理上の主要な課題を反映して、臨床上の

疑問点を編集した。医師、看護師、薬剤師、および栄養士など、

臨床栄養関連の多様な領域の専門家から構成される委員会

は、両学会から招集された。その後、キーワード(重症病態、重症病態の医療、集中治療、栄養、経腸、経静脈、チューブ栄養、並びに膵炎、敗血症など、指定されたトピックに関連する用語)

を用いて文献検索を行い、これらの疑問点に対する回答を裏

付けるエビデンスの質を評価し、そこから、引き続き、治療に関

する推奨事項を導き出した。文献検索は、MEDLINE、PubMed、

Cochrane Database of Systemic Reviews、National Guideline

Clearinghouse、並びに、学術論文のためのGoogle 検索エンジ

ンを用いたインターネット検索で行い、2013年12月31日を最

終日とした(ePub発表論文を含む)。

 RCTを優先したが、非無作為化コホート試験、前向き観察研

究、および後ろ向きケーススタディなど、その他の情報源も回答

の裏付けとして使用した。使用した論文は、全文が英語で入手

可能な成人を対象とした論文に限定した。対象としたすべての

RCTに関して、2名の査読者がデータを検証し、研究方法の質

を評価した上で、データ抽象化書式(DAF)に記入し、各試験に

関して合意に基づく共通の評価を実現した(DAFの例はオンラ

インの補完資料に提示)。DAFはRCTに関してのみ作成した。利

用可能な最強のエビデンスが公表済みのメタアナリシスであっ

た場合、メタアナリシスに用いた試験をエビデンスの質の判断

に使用し、エビデンスの評価担当者2名が評価した。対象とされ

た試験から得られたデータをReview Manager 5.2ソフトウェア

に入力し、各介入とアウトカムに関して効果の大きさを統合し、

フォレストプロットを作成した3)。推奨事項を裏付ける主要な

フォレストプロットは、本文全体とオンライン付録に示される。メ

タアナリシス評価の際には、新規にフォレストプロットを作成し

なかった。

 A.S.P.E.N.およびSCCMの2009年版臨床ガイドライン発

表以降、ワーキンググループGrading of Recommendations,

1Department of Medicine, University of Louisville, Louisville, Kentucky; 2Nutrition Support Specialist, Barnes Jewish Hospital, St Louis, Missouri; 3Chief Division of General Surgery, Oregon Health and Science University, Portland, Oregon; 4Critical Care Dietitian, Portland VA Medical Center, Portland, Oregon; 5Clinical Nurse Specialist: Wound, Skin, Ostomy, UW Health University of Wisconsin Hospital and Clinics, Madison, Wisconsin; 6Professor, Department of Kinesiology and Nutrition and Division of Epidemiology and Biostatistics, University of Illinois at Chicago, Chicago, Illinois; 7Senior Nurse Scientist, Center for Nursing Science and Clinical Inquiry, Madigan Healthcare System, Tacoma, Washington; 8Pharmacotherapy Specialist, Nutrition Support, The Brooklyn Hospital Center, Brooklyn, New York; 9Assistant Professor of Medicine, Division of Allergy, Pulmonary, and Critical Care Medicine, Vanderbilt University School of Medicine, Nashville, Tennessee; 10Project Research Staff, Digestive Disease Institute, Gastroenterology and Pathobiology, Cleveland, Ohio; 11Chair and Professor of Pharmacy Practice, Butler University College of Pharmacy and Health Science, Indianapolis, Indiana; 12Professor and Head, Department of Pharmacy Practice, Harrison School of Pharmacy, Auburn University, Auburn, Alabama; 13Professor and Vice Chair, Division Chief of Critical Care Medicine, Director of Research John A. Moffitt Endowed Chair, Department of Anesthesiology, Oklahoma City, Oklahoma; and 14Professor of Nutrition Science, University of Pennsylvania School of Nursing, Philadelphia, Pennsylvania.

利益相反の公表:Dr Taylorは、A.S.P.E.N.の委員会メンバーおよびDietitians in Nutrition Supportの元議長を務めたことを公表した。Dr McClaveは、他にもNestle(コンサルティング)、Abbott(演者)、Metagenics(コンサルティング)、Covidien(コンサルタント)、およびA.S.P.E.N.と関係があることを公表した。Dr Martindaleは、他にもDavol、LifeCell、およびMetagenics(コンサルタント)と関係があることを公表し、Metagenics(研究助成金受領者)から資金提供を受けた。Dr Warrenは、Veterans Health Administration Dietary Supplement Committeeの共同議長およびDietitians in Nutrition Support Webinar Planning Committeeの議長を務めたことを公表した。Dr Johnsonは、利益相反の可能性がないことを公表した。Dr Braunschweigは、A.S.P.E.N.の臨床ガイドラインの編者を務めたことを公表した。Dr McCarthyは、A.S.P.E.N.のResearch CommitteeおよびAbstract Review Committeeの委員会メンバー、A.S.P.E.N. Nursing Sectionのメンバー、及びSCCM Nursing Sectionのメンバーを務めたことを公表した。Dr Davanosは、他にもBaxter Healthcare(メディカルサイエンスリエゾン・従業員)およびNY/LISPEN chapter(次期議長)と関係があることを公表した。Dr Riceは、他にもAvisa, LLC(コンサルタント)、およびGSK(データ安全性モニタリング委員会)と関係があることを公表し、鑑定人を務めた。Dr Cresciは、他にもMetagenics、Advocare、およびCovidienと関係があることを公表し、Metagenics(研究助成金、演者)から資金提供を受け、A.S.P.E.N.のResearch CommitteeのメンバーおよびDietitians in Nutrition Support(Symposium Planning Committee議長)を務めた。Dr Gervasioは、A.S.P.E.N.の委員会メンバーを務めたことを公表した。Dr Sacksは、他にもFresenius Kabi USA、LLC(研究助成金受領者)およびA.S.P.E.N.(会長兼理事会メンバー、A.S.P.E.N. Rhoads Research Foundation-Board of Advisors)と関係があることを公表した。Dr Robertsは、他にもAmerican Society of Anesthesiologistsの委員会メンバー(重症病態の医療)およびA.S.P.E.N.の委員会メンバー(抄録のレビュー)を務めたことを公表した。Dr Compherは、March of Dimes Foundation(研究助成金受領者)から資金提供を受け、他にもA.S.P.E.N.(理事会および次期議長)と関係があることを公表した。

*Beth TaylorおよびSteven McClaveが本稿の第一共著者である。†最終共著者は、A.S.P.E.N.およびSCCMである。Journal of Parenteral and Enteral NutritionおよびCritical Care Medicineは、本稿を同時発表した。各誌の発表には形式上の軽微な差異はあっても、本質的に同一稿である。 本稿は、Journal of Parenteral and Enteral NutritionおよびCritical Care Medicineの2016年2月号にて発表された。2015年7月25日原稿受領、2015年11月5日原稿採用。

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連絡先著者:Charlene Compher, RD, PhD, Professor of Nutrition Science, University of Pennsylvania School of Nursing, Philadelphia, PA, [email protected]

Stephen A. McClave, MD, Department of Medicine, University of Louisville, Louisville, KY.Email: [email protected]

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3ガイドラインの対象となる患者集団利益相反/利益相反

Assessment, Development and Evaluation working group

(GRADE)の概念が導入された4-7)。手法に関する完全な説明

は、過去に発表されている4)。Review Manager解析から収集さ

れたデータは、GRADEProソフトウェアにアップロードされ8)、対

象とされる介入とアウトカムのエビデンスに関して全体的な質

が評価された。解析者1名が各GRADE表を作成し、その後、別の

解析者が確認した。GRADE表はオンライン付録に提示される。

評価されたRCTの数が膨大であったため、観察研究について

は、入念なレビューは実施したが、GRADE表には採用しなかっ

た。ただし、観察研究のみが、対象集団におけるエビデンスとし

て利用可能であるという数少ない事例では、そのエビデンスの

質はGRADEを用いてレビューした(表1)。疑問へ直接的な回答

をするにあたり、利用できるRCTや観察研究が無い場合、著者グ

ループの合意のもとに最も優れた臨床現場のアプローチを採用

し、その場合の推奨事項は「専門家の合意に基づくもの」とした。

 臨床実践に関する推奨事項は、利用できる最もよいエビデ

ンス、並びに患者にとってのリスクおよびベネフィットの両方

に基づいて作成された。少人数の著者チームが各推奨事項を

作成し、裏付けとなる根拠を提示し、その後、著者グループ全

体での全面的な議論が実施され、推奨事項に対する各委員会

メンバーの合意については匿名投票が行われた。個々の推奨

事項について、著者の70%が任意の形で合意した場合に合意

が達成されたとすることが決められた。推奨事項の1項目のみ

(H3a)、最終的に同意したのが64%であり、この合意レベルに

達しなかった。合意に基づく他のすべての推奨事項は、80%以

上の合意率を達成した。A.S.P.E.N.およびSCCMのすべての臨床

ガイドラインと同様に、本稿もガイドラインを使用する組織内外

のすべての診療領域の臨床専門家により、厳密にレビューされ

た。ガイドラインの要約をオンライン付録に示す。臨床医にとっ

て最も重要なガイドライン(委員会の投票による)に基づく栄養

バンドルを表2に提示する。

◉利益相反

 すべての著者が、著作権と資産公開に関して、A.S.P.E.N.と

SCCM両者の利益相反書式に記入した。業界からの情報提供も

資金提供もなく、委員会のいずれの会議にも業界代表者が出席

することはなかった。

定義栄養療法(Nutrition therapy)とは、具体的には経腸アクセス

器具を用いた経腸栄養(EN)および/または中心静脈アクセス

による静脈栄養(PN)のいずれかによる栄養投与を指す。

標準療法(Standard therapy:STD)とは、静脈内(IV)補液を投

与し、ENおよびPN投与をせず、耐性がつけば経口食へと進める

方法を指す。

表1 エビデンスの種類

エビデンスの種類 初期GRADE GRADEを下げる基準 GRADEを上げる基準 最終的なGRADEの質

(推定効果の信頼性)

無作為化対照試験 高い 研究の限界バイアスのリスク研究の質に関わる重大(–1)または極めて重大(–2)な限界(無作為化もしくは盲検化が不十分である、またはIntention-To-Treat 解析を使用しない)一貫性重大な不一致(試験間で不均一である、I 2 > 0.5、またはその是非が分かれるなど)(–1)直接性直接性が、一部(–1)または大部分(–2)不確実である

(アウトカムの変数がプロセスの直接的な測定値ではない。蛋白異化を示す窒素バランスなど)正確性データが不正確または不足している(–1)(統合したエフェクトサイズが有意ではなく、被験者数が少ない)出版バイアス報告バイアスの可能性が高い(–1)

高い

中等度

低い

極めて低い

観察研究(コホート、ケーススタディ、症例研究)

低い 強い関連性2試験以上の観察研究からの一貫したエビデンスに基づく>2(<0.5)の有意な相対危険度、考えられる交絡因子がない(+1)直接的なエビデンスに基づく>5(<0.2)の有意な相対危険度、妥当性に対する大きなおそれがない(+2)用量反応勾配のエビデンス(+1)測定されていない交絡因子考えられるすべての交絡因子は、効果を低減するものとされた(+1)

低い

極めて低い

グッドプラクティスの記述(Good Practice Statement)

グレード分類なし

GRADE、推奨事項、アセスメント、開発、評価基準のグレード分類。GRADE作業グループからの抜粋。エビデンスの質および推奨事項の強度のグレード分類。BMJ. 2004 ; 328(7454): 1490-1494. Guyatt et al.7)

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4 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

◉緒言

 病院(特にICU)における栄養の重要性は、どれだけ言っても

言いすぎということはない。重症病態は異化ストレス状態に関

連していることが特徴であり、患者は全身性炎症反応を示す。こ

の反応は感染性疾患罹病率の上昇、多臓器機能障害、入院期

間の延長および死亡の増加につながるものである。この30年

で、重症病態患者のホメオスタシスを維持することにおける、栄

養素の分子レベルでの影響または生物学的な影響の理解は飛

躍的に進歩した。これまで重症病態患者に対する栄養サポートは、ストレス応答の期間、除脂肪体重を維持し、患者をサポート

するために、外部からエネルギーを投与できるようにデザイン

された、補助的なものであるとみなされていた。最近になって、

この戦略は、代謝ストレス応答の抑制、酸化的細胞傷害および

免疫応答の望ましい形での調節を意図した栄養療法へと進化

した。重症病態の臨床経過は、早期EN、適切な主要栄養素、微

量栄養素の補給およびきめ細かい血糖コントロールにより改善

される。経腸ルートを優先する早期栄養サポート療法は、疾患

の重症度を軽減し、合併症を抑制し、ICUのLOSを短縮し、患者

アウトカムに望ましい影響を与えることができる、積極的な治療

戦略とみられている。

A. 栄養アセスメント

疑問:栄養リスク指標を用いて、栄養療法により利益を受ける

可能性が最も高い患者を特定できるか?

A1.専門家の合意に基づき、自分の意志での栄養摂取が不十分であると予測されるすべてのICU在室患者に対して、栄養リスクの判定(栄養リスクスクリーニング[NRS 2002]、NUTRICスコアなど)を実施するよう提案する。栄養リスクが高いと、早期EN療法により利益を受ける可能性が最も高い患者と特定される。

根拠:アウトカムの不良は、栄養状態の悪化や栄養障害につ

ながる重症病態による炎症と関連している9)。しかし、重症病

態患者における栄養障害の定義は常に困難であった。国際コ

ンセンサスグループは定義を修正し、炎症による影響を取り

入れた。栄養状態のベースラインの客観的な評価方法につ

いては、A.S.P.E.N.および米国栄養・食事療法学会(Academy

of Nutrition and Dietetics)が記載している10,11)。しかし、栄養

状態のベースラインの評価と疾患の重症度のアセスメントを

用いれば、栄養リスクは容易に定義でき、より簡単に判定する

ことができる。すべての入院患者は、入院後48時間以内に栄

養状態の初期スクリーニングを受ける必要がある。しかし、栄

養リスクが高いICU患者には、完全な栄養アセスメントが必

要である。栄養状態の評価には、簡易栄養状態評価表(Mini

Nutritional Assessment)、栄養障害包括的スクリーニングツー

ル(Malnutrition Universal Screening Tool)、簡易栄養評価質

問票(Short Nutritional Assessment Questionnaire)、栄養障

害スクリーニングツール(Malnutrition Screening Tool)、およ

び主観的包括的アセスメント(Subjective Global Assessment)

など、多くのスクリーニングツールやアセスメントツールが使用

される12)。しかし、栄養状態と疾患の重症度の両方を判定する

ものは、NRS 2002とNUTRICスコアのみである。いずれのスコ

アリングシステムも後ろ向き解析に基づくものであるが、重症病

態患者を対象としたRCTにおいて、栄養リスクの定義に使用さ

れてきた13-16)。「リスク」患者はNRS 2002のスコアが3超、「高リ

スク」患者は同スコアが5以上またはNUTRICスコアが5以上(イ

ンターロイキン6が含まれない場合。インターロイキン6を含む

場合は6超)と定義される13-18)。インターロイキン6がNUTRICス

コアの項目として利用可能な場合は稀なため、Heylandらは、

NUTRICスコアが5以上の場合も、高い栄養リスク状態を示して

いるとした19)。前向き非無作為化試験2試験により、栄養リスク

が高い患者は、栄養リスクが低い患者に比べて、早期ENにより

利益を受ける可能性が高く、アウトカムが改善される(院内感

染、全合併症の減少および死亡率の低下)ことが示されている13,18)。これまでに、広く使われている割にはこれを支持するエビ

デンスは幾分不足しているが、これらのスコアリングシステムが

改善され、ICUにおけるENとPNの役割に関するガイダンスを示

せれば、その将来の適用可能性を高めるかもしれない。

疑問:成人重症病態患者の栄養アセスメントにおいて、他にど

のようなツール、項目、またはサロゲートマーカーが有益な情報

を提供するか?

A2.専門家の合意に基づき、栄養アセスメントには合併症状、消化管(GI)機能、誤嚥のリスクの評価を含めるよう提案する。従来の栄養指標やサロゲートマーカーは、重症病態の治療において検証されていないため、これらを使用しないことを提案する。

表2 バンドル・ 集中治療室(ICU)入室時に患者の栄養リスクを評価し、栄養療法の目標を決定するために、エネルギーおよび蛋白両方の必要量を算出する。・ 重症病態となり、ICUに入室してから24~48時間以内に経腸栄養(EN)を開始し、ICU入室から最初の1週間で目標値まで増量する。・ 誤嚥のリスクを軽減し、または経胃投与耐性を高めるために、必要に応じて段階的に投与する(腸管運動促進剤の使用、持続投与、クロルヘキシジン口内洗浄剤、ベッ

ドの頭部を持ち上げる、消化管の多様な部位への栄養投与)。・ 病院ごとの戦略に従い経腸栄養投与プロトコールを実施し、EN投与を進める。・ EN投与を受けるICU患者の通常のモニタリングの一環として、胃内容物容量を用いない。・ リスクが高い、または栄養状態不良の患者で、ENが実施不可能、または不十分な場合、静脈栄養投与を早期に開始する。

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5

根拠:重症病態の医療において、従来の血清蛋白指標(アルブ

ミン、プレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白)は

急性相反応(血管透過性亢進および肝での蛋白合成の優先順

位の変化)を反映するものであり、ICUでの栄養状態を正確に示

すものではない20)。身体計測値は、栄養状態アセスメントまた

は栄養療法の適切性に関して信頼できるものではない21)。カル

シトニン、C-反応性蛋白(CRP)、インターロイキン1、腫瘍壊死

因子(TNF)、インターロイキン6、およびシトルリンの各濃度は

まだ試験段階であるため、サロゲートマーカーとして使用すべ

きではない。超音波は、それが使える状況にあり簡単に使用で

きるのであれば、ICUのベッドサイドで筋肉量を測定し、筋組織

の変化を判断する便宜的なツールとして新たに登場したもの

である22,23)。コンピュータ断層撮影(CT)スキャンにより、骨格筋

と脂肪組織の貯蔵量を正確に定量できるが、他の目的で行わ

れたスキャン画像を身体組成の測定に使用するのでなければ、

極めてコスト高となる24,25)。いずれも将来的に栄養アセスメント

に導入すべき貴重なツールではあるが、ICU患者において検証

し、信頼性を評価する試験を待たなければならない。筋機能の

アセスメントはまだ初期段階に過ぎない。重症病態患者で使用

するにあたり、その測定、再現性、および適用可能性を現在検証

中であるが、将来有用となる可能性はある。

疑問:成人重症病態患者のエネルギー必要量を測定する上で、

どの方法が最善であるか?

A3a.可能な場合、かつ測定の精度に影響を及ぼす変数がない場合には、間接熱量測定法(IC)を用いてエネルギー必要量を測定するよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

A3b.専門家の合意に基づき、ICが利用できない場合、公表されている推定式または体重を基にした簡略式(25~30 kcal/kg/d)を用いて、エネルギー必要量を測定するよう提案する

(肥満に関する推奨事項は、Q項を参照)。

根拠:医師は、栄養療法の目標を定めるために、エネルギー必

要量を決定しなければならない。エネルギー必要量は、簡略式

(25~30 kcal/kg/d)、公表されている推定式、またはICを用

いて計算する。ICは、その入手可能性と費用により、多くの病

院で使用が限定される。ICUでICを測定する際の時期と精度

に影響を及ぼす変数には、空気漏れや胸腔チューブ、酸素補給

(鼻カニューレ、両レベル設定陽圧呼吸など)、人工呼吸器の

使用(吸気中酸素濃度および呼気終末陽圧)、持続血液浄化

療法(CRRT)、麻酔、理学療法、並びに過剰な体動などがある26)。これまで200以上の推定式が文献上で公表され、ICと比べ

てその精度は40%~75%であり、ICUにおいていずれか1つの

式の精度が高いということはない27-32)。肥満や過少体重の患

者では、推定式の精度は低下する33-36)。病院の患者を対象とし

た試験から導かれた式(Penn State, Ireton-Jones, Swinamer)

の精度は、健康ボランティアを対象とした試験から導かれた式

(Harris-Benedict, Mifflin St Jeor)と同程度である37)。推定式

の精度の低さは、体重、薬物、治療、および体温など重症病態患

者のエネルギー消費量に影響を及ぼす多数の非静的変数に関

連している。他の推定式に比べて体重を基にした式を用いる唯

一の利点は、その簡便さにある。しかし、大量輸液による蘇生後

または浮腫もしくは重症全身浮腫のある重症病態患者の場合、

これらの式にドライウェイトまたは通常時体重を用いなければ

ならない。

 エネルギー目標値を達成するための栄養投与量を計算する

際には、ブドウ糖含有液およびプロポフォールなどの脂質ベー

スの投薬による追加エネルギーも考慮に入れるべきである。推

定式と比較し、IC測定に基づくエネルギーバランスの達成は、よ

り適切な栄養摂取につながるかもしれない。

 選択基準に適合したRCT 2試験38,39)(被験者161名から収集

されたデータ)では、ICに基づき栄養投与した被験者の方が、

推定式に基づき栄養投与した対照群被験者より、エネルギーと

蛋白の平均摂取量が高いことが示されたが、試験デザインの問

題により、ICの使用を強く推奨することはできない。熱傷患者を

対象とした試験で、ICに基づき栄養投与すると、最小有効摂取

量を投与することができ、またCurreriの式に基づき栄養投与し

た対照群の被験者に見られる過剰栄養投与が過多になること

を回避できた。群間で合併症(下痢および高血糖)の発現率に

差異は認められなかったが、従来のアウトカムに関する指標は

評価されなかった38)。一般ICU患者を対象とした2つ目の試験

では、IC測定または体重を基にした推定式から算出されたエネ

ルギー目標値(25 kcal/kg/d)を達成するために、ENとPN両方

を用いた39)。ICに基づくエネルギー目標値は、推定式から得ら

れた値と差異はなかったが(それぞれ1976 ± 468、1838 ±

468 kcal/d、P = 0.60)、試験群(IC利用)の被験者はICU担当栄

養士により慎重にモニタリングされ、対照群被験者(推定式利

用)は標準治療(ICU担当栄養士によるモニタリング回数が少

ない)により管理された結果、試験群の被験者は1日当たりのエ

ネルギーと蛋白摂取量が大幅に高くなった。試験群の被験者で

は、対照群の患者よりも死亡率が低い傾向が認められたが(相

対危険度[RR]= 0.63、95%信頼区間[95% CI]0.39~1.02、P =

0.06)、罹病率が上昇していることも踏まえると、ICU LOS(17.2

± 14.6日 vs 11.7 ± 8.4日、P = 0.04)および人工呼吸期間

(16.1 ± 14.7日vs 10.5 ± 8.3日、P = 0.03)の結果と調和さ

せることは難しい38,39)。

 IC測定値または推定式のいずれに基づく場合であっても、週

2回以上エネルギー消費量を再評価し、エネルギーと蛋白の摂

取量を最適化するための戦略を用いなければならない39,40)。

緒言/A. 栄養アセスメント

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6 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

疑問:成人重症病態患者において、エネルギー投与とは独立し

て蛋白投与をモニタリングしなければならないか?

A4.専門家の合意に基づき、蛋白投与の適切性に関して継続的に評価するよう提案する。

根拠:重症病態では、創傷治癒、免疫機能維持、除脂肪体重維

持のために、蛋白が最も重要な主要栄養素であると考えられて

いる。大半の重症病態患者にとって、蛋白必要量はエネルギー

必要量と比較して比例的により多くなるため、日常的な経腸栄

養製剤投与(非蛋白カロリー:窒素比[NPC/N比]が高い)では

容易に満たすことができない。頻繁な中断によりEN投与量が減

少する患者には、蛋白補給は有益である。そのため、蛋白投与

が適切かどうか継続して評価することによって、蛋白を補充す

るかどうかを決める必要がある。特に必要量の評価に窒素バラ

ンス試験が利用できない場合、体重を基にした式(1.2~2.0 g/

kg/dなど)を用いて、補給される蛋白量と処方される蛋白量を

比較し、蛋白投与の適切性をモニタリングする(C4項を参照)41,42)。血清蛋白指標(アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリ

ン、CRP)は、蛋白投与の適切性を示すものとして妥当性が示さ

れたものではなく、重症病態においてもそのような目的で使うべ

きではない20,43)。

B. EN開始

疑問:成人重症病態患者において、ENを控えたり、または遅延

させたりせずに早期に開始すると、どのような利益があるのか?

B1.自分の意志で栄養摂取を維持できない重症病態患者には、24~48時間以内に早期ENによる栄養サポート療法を開始するよう推奨する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:ENは、上皮内細胞間のタイトジャンクションの維持、血

流刺激および栄養関連内因性物質(コレシストキニン、ガストリ

ン、ボンベシン、胆汁塩など)分泌誘導といった作用を通して、腸

管機能を正常に維持することに役立つ。またENは、絨毛高の維

持および消化管関連リンパ組織(GALT)を構成し、肺、肝、腎な

ど遠隔臓器では粘膜関連リンパ組織(MALT)にはたらく分泌型

IgA産生免疫細胞(B細胞および形質細胞の量を維持することに

よって腸管構造を正常に維持することにも役立つ44-46)。

 腸管機能が損なわれると腸管透過性が亢進するが、この変

化は動的なものであり、時間依存性である(大きな損傷や傷害

のあと数時間以内で始まる)。透過性が変化すると、細菌感染

(GALTと腸内細菌との関わり)や全身感染のリスクの増加につ

ながり、また多臓器機能障害症候群(MODS)がより起こりやす

い状態になる45,46)。疾患の重症度が増すと腸管透過性が亢進

するが、経腸栄養投与ルートの方が感染、臓器不全および病院

LOSといったアウトカムに関する指標に対してより好ましい影響

を与える47)。

 ENを実施する理由は、腸管を正常に維持し、ストレスおよび

全身免疫応答を調節し、疾患の重症度を緩和することにある44,47,48)。EN療法のその他の理由としては、免疫調整剤投与ルー

トとして腸管を用いること、ストレス潰瘍予防の有効な手段とし

て経腸栄養剤を用いること等が挙げられる。

 過去3件のメタアナリシスでは、早期ENと遅延ENを比較した

RCTのデータが統合された。Heylandらによる8試験のメタア

ナリシスでは、ENを48時間以内に開始すると、同時点より遅れ

てENを開始した場合に比べて、死亡率が低下する傾向が示さ

れた(RR = 0.52、95% CI 0.25~1.08、P = 0.08)49)。2番目の

Marikらによる12試験のメタアナリシスでは、ICU入室後平均36

時間以内に早期ENを開始すると、感染症罹病率(RR = 0.45、

95% CI 0.30~0.66、P = 0.00006)および病院LOS(平均2.2

日、95% CI 0.81~3.63日、P = 0.001)が有意に低下または短

縮することが示されている50)。3番目のDoigらによる6試験のメ

タアナリシスでは、ICU入室後24時間以内に早期ENを開始する

と、同時点より遅れてENを開始した場合に比べて、肺炎の罹病

率(オッズ比[OR]= 0.31、95% CI 0.12~0.78、P = 0.01)およ

び死亡率(OR = 0.34、95% CI 0.14~0.85、P = 0.02)は有意に

低下することが示されたが、多臓器不全(MOF)については差異

が認められなかった51)。

 早期EN投与とEN投与が遅延した場合とを比較した、選択基

準に適合したRCT 21試験による新しいメタアナリシスでは、死

亡率については全試験で報告され(図1)、感染症については

13試験で報告された(図2)。早期ENを控えている患者(遅延

ENまたはSTD)に比べて、早期EN投与を行うと、死亡率(RR =

0.70、95% CI 0.49~1.00、P = 0.05)および感染症罹病率(RR

= 0.74、95% CI 0.58~0.93、P = 0.01)が有意に低下した。

疑問:成人重症患者において、ENまたはPNを行った場合アウト

カムに違いはあるか?

B2.栄養サポート療法を必要とする重症病態患者に対しては、PNよりもENを提案する。

[エビデンスの質:低い~極めて低い]

根拠:重症病態患者の大半においては、PNよりもENを用いる

方が現実的で安全である。外傷、熱傷、頭部傷害、大手術および

急性膵炎等の重症病態の様々な患者を対象とした多数のRCT

によって、PNと比較した場合のENの有効性が報告されている47,49,52-54)。死亡率に関する有効性の差を示す研究はほとんどな

いものの、ENの有効性に関して最も一致していることは、感染

性疾患の罹病率の低下(一般的には、ほとんどの患者集団にお

ける肺炎および中心静脈ライン感染、特殊なものとして外傷患

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7

者における腹部膿瘍)およびICU LOSの短縮である。

 ENとPNを比較した過去6つのメタアナリシスでは、ENを用い

ると感染症罹病率が有意に低下することが示された49,55-59)。ま

た、Peterらによるメタアナリシスのみで認められていることであ

るが、ENを用いた場合、PNの場合より、非感染性合併症が少な

く(リスク差 = 4.9、95% CI 0.3~9.5、P = 0.04)、病院LOSも短

かった(加重平均の差[WMD]= 1.20日、95% CI 0.38~2.03、P

= 0.004)57)。死亡率については、6つのメタアナリシス中5つで、

2種類の投与ルートによる栄養サポート療法の間に差は認めら

れていない49,55-59)。SimpsonとDoigによるメタアナリシスでは、

EN使用の場合と比較してPN使用の場合、感染性合併症発現率

は有意に高い(RR = 1.66、95% CI 1.09~2.51、P = 0.02)にも

関わらず、死亡率が有意に低かった(RR = 0.51、95% CI 0.27

~0.97、P = 0.04)59)。

 選択基準に適合する患者618名が対象となっている12試験

において53,58,60-69)、9試験で感染症が報告され(図3)、ENでは

PNに比べて有意に罹病率が低いことが示された(RR = 0.56、

95% CI 0.39~0.79、P < 0.00001)。また、ICU LOSも、ENで

はPNに比べてほぼ丸1日短かった(WMD = –0.82日、95% CI

–1.29~–0.34、P = 0.0007)。病院LOSと死亡率に有意差は認

められなかった。栄養投与ルートによるこれらのアウトカムの差

異は、過去の試験の所見を概ね反映しており、血糖管理状態の

改善、プロトコール化された治療管理、および新規脂肪乳剤に

より、将来的には減少するであろう。

197919861990199119931996199619961997199819992000200020012004200420042004200820092012

Not estimable0.48 [0.05, 5.07]

Not estimableNot estimable

1.00 [0.16, 6.38]0.50 [0.10, 2.53]0.33 [0.01, 7.55]0.27 [0.03, 2.37]

Not estimable1.05 [0.30, 3.66]0.33 [0.01, 7.55]0.31 [0.04, 2.44]0.33 [0.04, 2.45]0.14 [0.02, 1.09]

Not estimable0.31 [0.01, 7.26]0.74 [0.25, 2.18]0.75 [0.37, 1.50]1.00 [0.43, 2.35]1.03 [0.23, 4.71]1.10 [0.20, 6.12]

2.3%

3.7%4.9%1.3%2.7%

8.2%1.3%3.0%3.2%3.1%

1.3%11.0%26.5%17.5%

5.6%4.4%

1531101619301417142214151830102513

100143025

02002413041457015

16632

1532101619301421142114121130

72714

100142934

01002201040111004

12633

Sagar 1979Moore 1986Chiarelli 1990Schroeder 1991Eyer 1993Beier-Holgersen 1996Carr 1996Chuntrasakul 1996Watters 1997Singh 1998Kompan 1999Minard 2000Pupelis 2000Pupelis 2001Dvorak 2004Kompan 2004Peck 2004Malhotra 2004Nguyen 2008Moses 2009Chourdakis 2012

0.70 [0.49, 1.00]100.0%46766

46941

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=7.23, df=15(P=0.95); l2=0%統合効果の検定:Z=1.97(P=0.05)

0.1 0.2早期 EN が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み 年 M-H、ランダム、95% Cl早期 EN 投与遅延/なし 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

投与遅延/なしが優越0.5 1 2 5 10

図1 早期経腸栄養(EN)と遅延ENにおける死亡率の比較

1979198619911996199619982000200420042004200820092012

0.60 [0.17, 2.07]0.32 [0.10, 1.08]

3.00 [0.13, 68.57]0.14 [0.01, 2.53]0.14 [0.04, 0.57]0.61 [0.30, 1.25]1.07 [0.49, 2.34]0.81 [0.64, 1.01]0.52 [0.28, 0.96]1.01 [0.74, 1.39]0.50 [0.15, 1.61]0.93 [0.61, 1.39]0.80 [0.44, 1.44]

3.1%3.3%0.5%0.6%2.5%7.6%6.6%

20.9%9.4%

17.7%3.5%

14.5%9.8%

15311614302215

1002513143025

5903

1412

7671611

61912

15321614302112

1002714142934

3310276

549

123

1713

Sagar 1979Moore 1986Schroeder 1991Carr 1996Beier-Holgersen 1996Singh 1998Minard 2000Malhotra 2004Kompan 2004Peck 2004Nguyen 2008Moses 2009Chourdakis 2012

0.74 [0.58, 0.93]100.0%350181

358130

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.05; Chi2=19.58, df=12(P=0.08); l2=39%統合効果の検定:Z=2.54(P=0.01) 0.1 0.2

早期 EN が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み 年 M-H、ランダム、95% Cl早期 EN 投与遅延/なし 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

投与遅延/なしが優越0.5 1 2 5 10

図2 早期経腸栄養(EN)と遅延ENにおける感染性合併症の比較

A. 栄養アセスメント/B. EN開始

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8 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

疑問:成人重症病態患者にENを開始する前に、GI蠕動の臨床

エビデンス(腸音、ガス)は必要か?

B3.専門家の合意に基づきMICUおよびSICU患者の大部分に対し、ENを開始する際にはGI蠕動因子を評価するよう提案するが、EN開始前に明確な蠕動の徴候は必要ではない。

根拠:EN開始に腸音および腸管が働いているというエビデンス

(つまりガスや便の通過)が必要ではないということは、文献に

よって支持されている。ICU患者における消化管機能障害の発

現率は、診断内容、発病前の状態、人工呼吸の有無、薬物およ

び代謝状態によって様々であるが、30~70%の範囲である70)。

 ICUと術後の消化管機能障害について提唱されているメカ

ニズムは、粘膜バリアの破壊、腸管運動変化と粘膜萎縮および

GALT量の減少に関わるものである。GI不耐性の定義は様々で

あり(腸音欠如または異常腸音、嘔吐、腸拡張、下痢、GI出血、

胃内残留物[GRV]過多など)、人工呼吸下の患者の50%にも生

じる。腸音は、腸管蠕動の指標に過ぎず、必ずしも、粘膜の正常

性、バリア機能あるいは吸収能に関連しているわけではない。

 聞こえる腸音の程度に関わらず、ENを開始すべきであるとい

う主張は、ICU入室後36~48時間以内にENを開始することの

適切性と安全性を報告した試験に基づく(その大部分の対象に

は重症手術患者が含まれる)。

 それにも関わらず、腸音の減少または欠如は、疾患の重症度

が高く、予後が悪いことを反映している。腸音が正常な患者は、

腸音の活発度が低下した患者や欠如した患者に比べて、ICUで

の死亡率が低いことが示された(それぞれ11.3% vs 22.6% vs

36.0%)71)。またGI不耐性の症状が多いと、ICU LOSも長くなるこ

とが示された(無症候性の場合は2.9日であるのに対して、不耐

性症状が4つあると16.8日にまで達する)72)。当然ながら、GI不

耐性の症状が多くなると、EN投与の成功率が低下する。不耐性

の徴候が多くなると、EN開始時により慎重になる必要があり、さ

らに臨床評価を要するであろう。

疑問:重症病態患者において、ENの望ましい消化管内投与部

位はどこか?ENの投与部位は、患者のアウトカムにどのように

影響を及ぼすのか?

B4a.重症病態患者で、誤嚥のリスクが高い場合(D4項を参照)または経胃EN不耐性を示す場合は、投与部位を消化管下部に変えるよう推奨する。

[エビデンスの質:中等度~高い]

B4b.専門家の合意に基づき、大部分の重症病態患者では、経胃でのEN開始に耐えられるということを提案する。

根拠:経胃でEN療法を開始することは、技術的に容易であり、

EN開始までの時間を短縮するかもしれない。消化管内の投与

部位の選択(すなわち、胃、十二指腸の異なる部位[D1、D2、D3、

D4]、または空腸のいずれに栄養チューブ先端を留置するのか)

は、ICU担当医が所属する医療機関内の枠組み(小腸への経腸

アクセス器具留置の容易性および適切性、医療機関の方針、並

びにプロトコール)に従い患者ごとに決定されるであろう。

 Daviesらは、重症病態患者の経胃と経小腸のENを比較した

最大規模の多施設共同RCTにおいて、LOS、死亡率、栄養補給、

および肺炎の発現率を含め、臨床的アウトカムに群間で差異が

ないことを認めた73)。選択基準に適合するRCTのデータを統合

すると、6試験では経小腸栄養投与による栄養補給の改善が報

告され(WMD = 11.06%、95% CI 5.82~16.30%、P < 0.00001)

(図4)73-78)、12試験で経胃ENに比べて肺炎のリスクが低下

することが示されていた(RR = 0.75、95% CI 0.60~0.93、P =

0.01)(図5)73-84)。経小腸ENでは肺炎のリスクが低下するが、死

亡率またはLOSには経小腸と経胃のEN間で差異は認められな

かった。したがって、経小腸アクセス器具が適時入手できない場

合、経小腸アクセスを待って栄養投与開始を遅延させるより、経

胃で早期にENを開始したほうが有益である73)。

198619871988198919921997200120072011

0.88 [0.60, 1.30]1.03 [0.31, 3.39]0.30 [0.07, 1.25]0.47 [0.19, 1.19]0.39 [0.20, 0.78]0.56 [0.23, 1.32]0.72 [0.34, 1.52]0.33 [0.04, 2.73]0.28 [0.11, 0.69]

25.0%6.9%5.1%

10.2%15.0%11.2%13.5%

2.6%10.5%

232325304520211149

1748

11191011

318

232821295418161149

1552595615

Adams 1986Young 1987Peterson 1988Moore 1989Kudsk 1992Kalfarentzos 1997Woodcock 2001Casas 2007Chen 2011

0.56 [0.39, 0.79]100.0%247101

24953

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.09; Chi2=12.10, df=8(P=0.15); l2=34%統合効果の検定:Z=3.26(P=0.001) 0.1 0.2

EN が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み 年 M-H、ランダム、95% ClEN PN 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

PN が優越0.5 1 2 5 10

図3 経腸栄養(EN)と静脈栄養(PN)における感染性合併症の比較

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9

疑問:成人重症病態患者において、血行動態が不安定な時期

にENを実施しても安全か?

B5.専門家の合意に基づき、血行動態が悪化している状態、または不安定な状態では、患者が完全に蘇生する、および/または安定な状態になるまで、ENは控えるよう提案する。昇圧治療を中止する患者については、ENの開始/再開は慎重に考慮してもよい。

根拠:重症病態が最も重い時点においては、消化管運動障害、

敗血症および低血圧を生じやすい患者にENを投与すると、腸

の微小循環などでの潜在的な虚血/再灌流障害のリスクが高

まる。腸管虚血はENで極めて稀に起こる合併症である85)。安定

した低用量の昇圧剤投与を要する患者を対象とした後ろ向き

レビューにおいて、早期EN投与を受けた患者では、ENが遅延し

た患者に比べて、ICU死亡率(22.5% vs 28.3%、P = 0.03)およ

び院内死亡率(34% vs 44%、P < 0.001)がそれぞれ低かった。

早期ENによる有益な効果は、複数の昇圧剤投与を受ける患者

で顕著であった(OR 0.36、95% CI 0.15~0.85)。傾向スコアの

マッチングにより交絡因子を調整すると、早期ENは院内死亡率

の低下に関連していた86)。

 昇圧剤を、慢性的に、安定した低用量で使用する患者に対し

ても、慎重に行うならENを投与できるが76)、低血圧患者(平均

動脈血圧が50 mm Hg未満)には避けるべきで、特に、血行動態

を安定させるために、カテコラミン製剤(ノルアドレナリン、フェ

ニレフリン、アドレナリン、ドパミンなど)を使い始める場合や、そ

れらの用量を上げる必要がある場合には避けるべきである。

 昇圧剤投与中にEN投与を受ける患者では、どのような不耐

性の徴候(腹部膨満、経鼻胃[NG]チューブ排液や胃内残留物

の増加、便やガスの通過の減少、腸音の活発度低下、代謝性ア

シドーシスおよび/または塩基欠乏の増加)も、腸管虚血の早

期徴候の可能性として慎重に調べなければならず、症状と処置

が安定化するまでは、ENを控えなければならない。

C. ENの投与

疑問:どのようなICU患者が、入室後最初の1週間に栄養サポー

ト療法を必要としないか?

C1.専門家の合意に基づき、栄養リスクが低く、ベースライン栄養状態が正常であり、かつ疾患の重症度が低く(NRS 2002が3以下、またはNUTRICスコアが5以下など)、自分の意志で栄養摂取を維持できない患者は、ICU入室の最初の1週間に特別な栄養療法を必要としないということを提案する。

1992200020022009201020122012

[0.17, 28.03][17.86, 26.14]

[-6.31, 16.31][10.04, 13.96]

[3.55, 12.45] [-4.85, 6.85] [5.31, 23.09]

14.1022.00

5.0012.00

8.001.00

14.20

8.2%17.4%10.2%19.0%17.1%15.7%12.5%

19235162548951

46.94775838471

76.2

19215059509150

616980959272

90.4

Montecalvo, 1992Kearns, 2000Montejo, 2002Hsu, 2009Acosta-Escribano, 2010Davies, 2012Huang, 2012

-50 -25経胃が優越

平均値試験またはサブグループ 合計 平均値25.9

730

61519

24.9

177

2857

2120.5

[5.82, 16.30]11.06100.0%349340合計 (95% Cl)異質性:Tau2=36.70; Chi2=40.88, df=6(P<0.00001); l2=85%統合効果の検定:Z=4.14(P<0.0001)

SD SD 合計 重み 年 M-H、ランダム、95% Cl経小腸 経胃 相対危険度

lV、ランダム、95% Cl平均差

経小腸が優越0 25 50

図4 経小腸投与と経胃投与の栄養効率の比較

0.67 [0.22, 1.99]0.65 [0.34, 1.22]0.69 [0.46, 1.05]1.46 [0.37, 5.78]1.07 [0.49, 2.34]0.16 [0.01, 3.03]

2.26 [0.22, 23.71]0.82 [0.48, 1.39]0.35 [0.14, 0.90]1.97 [0.73, 5.28]0.56 [0.35, 0.89]0.93 [0.52, 1.65]

3.9%10.4%20.6%

2.5%7.2%0.6%0.9%

14.2%5.1%4.7%

17.5%12.4%

194341231511355162515489

61826

3721

2015

53119

193741211214315059575091

41018

4602

165

111618

Montecalvo, 1992Kortbeek, 1999Taylor, 1999Kearns, 2000Minard, 2000Day, 2001Davies, 2002Montejo, 2002Hsu, 2009White, 2010Acosta-Escribano, 2010Davies, 2012

0.75 [0.60, 0.93]100.0%494153

482110

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.02; Chi2=12.33, df=11(P=0.34); l2=11%統合効果の検定:Z=2.56(P=0.01) 0.1 0.2

経小腸が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、ランダム、95% Cl経小腸 経胃 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

経胃が優越0.5 1 2 5 10

図5 経胃と経小腸の栄養投与における肺炎の比較

B. EN開始/C. ENの投与

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10 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

根拠:ICU在室患者とは、栄養リスクや疾患の重症度が様々な

不均一な群である。時に栄養リスクが低く、ベースライン栄養状

態が正常であり、かつ疾患の重症度が低い(NRS 2002が3以

下、またはNUTRICスコアが5以下と定義)患者が、数日以上ICU

に在室することがある。このような患者の場合、可能であれば経

口摂取により栄養状態、適切な免疫応答、および最適な臓器機

能の維持を試みるべきである。重症病態患者の栄養療法に関

する臨床試験では、通常、外傷の重症度が高い患者が対象とさ

れるため、低リスクの被験者で、自分の意志で十分に栄養摂取

できない期間がどの程度続くと、栄養状態が悪化するのかにつ

いては判断されていない。自分の意志で栄養摂取を維持でき

ない患者に経腸アクセス器具を留置、維持すると、合併症を生

じる可能性がある。低リスクのICU患者に、ICU入室後最初の1

週間目の早期に積極的にEN投与を行った場合、たとえ利益が

あったとしてもわずかであろう。しかし、患者は衰弱する可能性

があり、栄養リスクや疾患の重症度も急速に変化する可能性が

ある。低リスクの患者については毎日再評価しなければならず、

代謝状態、疾患の重症度、または予期されるLOSが悪化した場

合は、リスク/ベネフィット比はEN療法開始のほうが有益とな

るかもしれない。

疑問:どのようなICU患者の場合、入室後最初の1週間に

trophic ENを行うことが適切か?

C2.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)/急性肺障害(ALI)の患者および人工呼吸期間が72時間以上となることが予測される患者には、trophicな栄養または目標量の栄養をENで入室後最初の1週間に実施した場合に患者のアウトカムは同様であるため、これら2つの栄養投与法のいずれも適切であることを推奨する。

[エビデンスの質:高い]

根拠:不均一な急性呼吸不全患者を対象とした単施設無作為

化試験1試験とARDS/ALIの患者および人工呼吸期間が72時

間以上となることが予測される患者を組み入れた大規模多施

設共同無作為化試験1試験では、ICU入室後最初の1週間に、

trophic EN(10~20 kcal/hまたは500 kcal/d以下と定義)を最

長6日間行うと、目標量のEN投与を実施した場合に比べて、GI

不耐性の発現率が低かった87,88)。trophicな栄養投与を行うと、

人工呼吸器非使用期間、ICU非在室日数、60日死亡率、および

院内感染発現率など、臨床アウトカムは、目標量のEN投与(エ

ネルギー必要量に基づき、エネルギー目標値を設定)を早期か

ら行った場合と同様であった。大規模多施設共同試験では、蛋

白の投与不足(0.6~0.8 g/kg/d)が批判されたが、被験者が中

等度の重症病態患者であり、ICUのLOSが短かった事実から、栄

養リスクが低い可能性が示されている。栄養リスクが高い患者

において、目標量の栄養の投与とtrophicな栄養投与による利

益を比較判断する上では、入手できるデータが不足している。こ

れらの患者は、レビューされたプロトコールから意図的に除外さ

れた。栄養リスクが高い患者については、C3項を参照。

疑問:ICU入室後最初の1週間に、目標量のEN投与(可能な限

り栄養目標値に近い量を投与)を開始する必要があるのは、ど

のような患者か?これらの患者では、いつまでに栄養目標値を

達成しなければならないか?

C3.専門家の合意に基づき、栄養リスクが高い患者(NRS 2002が5以上またはNUTRICスコアが5以上:インターロイキン6に関する指標を除く、など)または重度の栄養障害がある患者の場合、リフィーディング症候群をモニタリングしつつ、24~48時間かけて忍容可能な範囲でできるだけ迅速に、目標値を達成すべきであると提案する。入室後最初の1週間にEN投与を行う臨床的有益性を実現するには、推定または算出されたエネルギーおよび蛋白の目標値の80%超を48~72時間以内に投与するよう努めなければならない。

根拠:低リスク~中等度リスクの患者であれば、粘膜萎縮を防

止し、腸管を正常に維持するには、trophicな栄養投与(通常、

10~20 mL/hまたは10~20 kcal/hと定義)で十分であるかも

しれないが、リスクが高い患者の場合、EN療法で普通望まれる

エンドポイントに達するには不十分である。種々の研究から、熱

傷および骨髄移植患者における腸管透過性亢進および全身感

染防止、頭部傷害患者における認知機能のより早い回復、リス

クが高い入院患者の死亡率低下には、目標エネルギーの50~

65%超の量が必要であることが示唆されている13,46,80,89)。

 Jieらは、前向き非無作為化試験において、リスクが高い手術

患者(NRS 2002が5以上)が術前に十分な栄養療法(10 kcal/

kg/d超を7日間)を受けると、不十分な栄養療法を受けた患者

に比べて、院内感染および全合併症が有意に減少することを示

した18)。低リスクの患者では、ENの量が十分な場合と不十分な

場合とで差異は認められなかった18)。大規模な観察研究にお

いて、Heylandらは、NUTRICスコアが6以上のリスクが高いICU

患者に投与する量のエネルギー目標値に対する比率を増やす

と(目標値はエネルギー必要量の100%と定義)、死亡率が有意

に低下することを示した90)。エネルギー目標値の80%超を投与

したEN投与患者で死亡率が最も低下した。低リスクの患者に関

しては、投与する量のエネルギー目標値に対する比率と死亡率

との間に相関性は認められなかった90)。

疑問:成人重症病態患者において、投与する蛋白量により臨床

アウトカムに差異は生じるか?

C4.十分な量(高用量)の蛋白を投与するよう提案する。蛋白必要量は、1日量として実体重1 kgあたり1.2~2.0 gと推定さ

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11

れ、熱傷や多発外傷の患者では、さらに多くなる可能性が高い(M項およびP項を参照)。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:重症病態を対象とした最近の試験から、蛋白の投与量

は、総エネルギー投与量(特に脂肪や炭水化物など、他の主要

栄養素の投与量)より、アウトカムの改善と密接に関係している

ことが示唆される。また、重症病態患者が必要とする蛋白量は、

これまで考えられてきた量より多いと思われる。人工呼吸下の

患者を対象とした前向き観察研究により、蛋白(1.3 g/kgの蛋

白を投与)およびエネルギー目標値の両方を達成すると、28日

死亡率が50%低下するが、エネルギー目標値のみを満たした

場合(0.8 g/kgの蛋白を投与)、死亡率は低下しないことが示さ

れた91)。MICU/SICU混合患者を対象とした別の前向き観察研

究では、蛋白投与量を増やすと28日死亡率が段階的に低下した

(1群:0.79 g/kg、死亡率27%;2群:1.06 g/kg、死亡率24%;3

群:1.46 g/kg、死亡率16%)92)。しかし、小規模RCT 2試験では、

蛋白投与量が多くても、死亡率に差は認められなかった93,94)。た

だし、残念ながら重症病態では蛋白必要量を決めることは依然

として困難であり、臨床医の大部分は体重を基にした簡略式を

用いている(1.2~2.0 g/kg/d)。窒素バランスまたはNPC/N比

(70:1~100:1)のICUでの価値は限られている95)。

D. ENの耐性および適切性のモニタリング

疑問:成人重症病態患者*において、どのようにENの耐性をモ

ニタリングすべきか?

*訳者註:A.S.P.E.N.の承諾を得て、原文A.S.P.E.N.ガイドラインの誤記を修正しました。

D1.専門家の合意に基づき、患者のENに対する耐性を毎日モニタリングするよう提案する。不適切なENの中止は避けるよう提案する。診断検査や処置前後に患者を絶食状態(NPO)におく期間は、イレウスの遷延を抑え、不十分な栄養投与を避けるために最小限にとどめる。

根拠:耐性は、身体的検査、ガスや便の通過、X線評価、および

患者からの痛みや腹部膨満の訴えがないことにより判断され

る。GI不耐性は、通常、嘔吐、腹部膨満、患者からの不快感の訴

え、多量のNG排液、多量のGRV、下痢、ガスや便の通過の減少、

または腹部X線異常により定義される。Methenyらは、調査した

看護師の97%以上が、GRV測定のみにより不耐性を評価したと

報告した(最も多く報告されたENを中断する閾値は、200 mLお

よび250 mL)96)。

 ICU在室中にエネルギー摂取量の目標値に達した患者は、

半数未満であった。重症病態におけるEN投与は、多くの要因

によって妨げられる97-99)。ENを処方する医療従事者は、エネル

ギー量を低く処方すつ傾向があり、処方量はエネルギー必要量

の60%~80%にとどまる。通常、患者には指示量の約80%程度

しか投与されない。低用量処方と投与が不十分であることが組

み合わさると、患者は毎日平均してエネルギー目標値の50%し

か投与されないことになる。85%超の患者でEN中止が起こって

おり、その場合の平均投与時間は規定された時間の8%~20%

であった(処置予定例の23%、全例の65%は回避可能な理由に

よる)97,99)。中止例の3分の1が患者の不耐性によって説明され

ているが、真の不耐性によるものはその2分の1のみであった。

残る理由である診断検査や処置のための深夜以降のNPOは、

ICU患者の25%~33%に影響を及ぼし、中止理由の25%を占め

ている。開存性維持またはチューブの再留置/置換など、経腸

アクセス器具に関わる技術的な問題は、中止理由の25%以下で

ある。1つの試験において、頻回手術(全身麻酔下での熱傷の創

面切除)の間、継続的にEN投与を行う群に無作為割付けされた

患者では、手術のたびにENを停止した患者との比較で、感染症

発現が有意に少なかったことが示されている100)。イレウスは、

NPOの繰り返しや、長期化により遷延する101)。

疑問:EN投与を受けるICU患者のモニタリングに、誤嚥のマー

カーとしてGRVを用いるべきか?

D2a.EN投与を受けるICU患者の通常のモニタリングの一環として、GRVを用いないよう提案する。

D2b.現在もなおGRVが使用されているICUでは、他に不耐性の徴候(D1項を参照)がなければ、GRVを500 mL未満にする目的でEN投与を中断しないよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:GRVは、肺炎102,103)、逆流、または誤嚥104)の発現率と相関

しない。1試験において、24時間のGRVの累積量が250 mLを

超えると、シンチグラフィ検査および(13)C-オクタン酸呼気試

験による胃内容排出時間と相関することが示されているが105)、

パラセタモール(アセトアミノフェン)を用いた他の3試験では、

4時間ごとのGRV測定値と胃内容排出時間との相関性が低いこ

とが示された106-108)。感度と特異度が高い誤嚥マーカーを用い

た1試験では、GRV(150~400 mLの範囲)は誤嚥のモニタリン

グ指標としては不良であり、感度は1.5%~4.1%と極めて低く、

陽性予測値は18.2%~25%、陰性予測値は77.1%~77.4%で

あることが示された109)。RCT 4試験において、GRVのカットオフ

値(無条件にEN中止となるレベル)を50~150 mLから250~

500 mLまで上げても、逆流、誤嚥、肺炎、いずれの発現率も上

昇していない80,102,103,109)。逆にそのカットオフ値を下げても、そ

のような合併症を予防することにはつながらない。GRVを使用

すると、経腸アクセス器具の詰まり、ENの不適切な中止、看護時

間や医療資源の割当てが増加し、投与されるEN量が減少するこ

とにより、アウトカムへの有害な影響をもたらすこともある110)。

C. ENの投与/D. ENの耐性および適切性のモニタリング

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12 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

 3試験では、GRVを用いずに、患者の安全を損なうことなくEN

投与を改善することが示されている110-112)。3試験すべて(うち2

試験はRCT110,112)、1試験は実施前/後の前向き試験111))にお

いて、肺炎に関して群間で有意差は示されなかった。2試験で

は、EN投与量の増加を増やしたり111)エネルギー不足量を減ら

したりすることで、EN投与量が有意に多くなったことが示され

た。1試験では、GRVの使用を中止した結果、嘔吐は有意に増加

したが、全体的な消化管耐性は有意に改善した112)。一方、別の

試験では、群間に嘔吐に関する差異は認められなかった111)。

 GRVを使用しない場合でも、毎日の慎重な身体的検査、腹部

X線画像のレビュー、誤嚥の臨床リスク因子の評価など、EN投与

を受ける重症病態患者のモニタリングに用いられる戦略は多

数ある。ENプロトコールを開始し、誤嚥性肺炎のリスク軽減に積

極的に努めなければならない(D3項およびD4項を参照)。GRV

の使用を止めたくないICUでは、その解釈には慎重にならなけ

ればならない。200~500 mLというGRVの範囲には注意すべき

で、誤嚥リスクを低減するために測定すべきではあるが、不耐性

に関するほかの徴候が何もないのにGRVを500 mL未満とする

ために、無条件にEN投与を中断すべきではない80,102-104,109)。

疑問:成人ICU患者に対し、EN投与プロトコールを使用すべき

か?

D3a.経腸栄養投与プロトコールは、目標値に対する全投与エネルギーの比率を上げられるようにデザインし、実施するよう推奨する。

[エビデンスの質:中等度~高い]

D3b.専門家の合意に基づき、量に基づく栄養投与プロトコールまたはトップダウンの多角的戦略プロトコール(多角的な戦略を一気に同時並行して進める)について検討するよう提案する。

根拠:ICUまたは看護師の立場から作成されたENプロトコー

ルを用いることによって、目標値に対する全投与エネルギーの

比率を上げられることが示されてきた。そのプロトコールは、目

標投与速度が定義され、経腸栄養を早く開始する指示、GRV、

洗浄頻度、ENを調整したり中止したりすることを招きかねない

状況や問題を管理するための指示が記されているものである80,113-117)。さらに、投与栄養量を増加するために、1時間ではなく

24時間、すなわち1日の投与量を目標とする、量に基づく栄養

投与プロトコールが、示されている116)。これらのプロトコールで

は、EN中断中の損失量を補完するために、栄養投与速度を上

げる権限を看護師に付与している。トップダウンのプロトコール

では、EN開始時に複数の異なる戦略を同時に用いて耐性を高

め、EN投与量を増加し、投与初期数日間で耐性が高まるに従

い、戦略を1つずつ外していく。トップダウンの多角的戦略プロ

トコールでは通常、量に基づく栄養投与法を用いており、それ

とともに(他の戦略の中でも特に)腸管運動促進剤や幽門後の

チューブ留置を併用するが、患者に必要がなくなれば腸管運動

促進剤を中止する116)。

 選択基準に適合する2試験のデータを統合した結果(図6)、

看護師の立場から作成されたENプロトコールによりEN投与量

を増加すると、プロトコールを用いない対照群に比べて、院内

感染発現率が低減することにより、患者のアウトカムが改善され

ることが示された(RR = 0.59、95% CI 0.43~0.81、P = 0.001)80,116)。

疑問:EN投与を受ける成人重症病態患者の誤嚥のリスクをど

のように評価し、誤嚥性肺炎の可能性を軽減するためにどのよ

うな措置を講じることができるのか?

D4.専門家の合意に基づき、ENが投与されている患者の誤嚥リスクを評価し、誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクを軽減するための措置を積極的に講じるよう提案する。

根拠:誤嚥はENで最も問題になる合併症の1つである。誤嚥リ

スクが高まっている患者を見分けるための因子は多く、気道を

保護できないこと、経鼻経腸アクセス器具を使用していること、

人工呼吸を行っていること、70歳を超えていること、意識レベル

が低下していること、口腔ケアがよくないこと、看護師と患者の

比が不適切なこと、仰臥位、神経障害、胃食道逆流、ICU外への

移送、および間歇的なボーラスEN投与を受けていることなどが

0.39 [0.17, 0.89]0.71 [0.54, 0.94]

37.7%62.3%

36741

2635

25241

725

Heyland, 2013Taylor, 1999

0.59 [0.43, 0.81]100.0%40861

29332

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Chi2=2.73, df=1(P=0.10); l2=63%統合効果の検定:Z=3.26(P=0.001) 0.1 0.2

プロトコール群が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、固定、95% Clプロトコール群 対照群 相対危険度

M-H、固定、95% Cl相対危険度

対照群が優越0.5 1 2 5 10

図6 栄養投与プロトコール群と対照群における感染の比較

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13

挙げられる104)。肺炎および上気道感染は、逆流や汚染胃内容

物の誤嚥よりも、汚染口腔咽頭分泌物の誤嚥に、より密接に関

連している118-120)。

D4a.誤嚥のリスクが高いと判断される患者に対しては、幽門後に経腸アクセス器具を留置し、栄養投与位置を変更するよう推奨する(B5項も参照)

[エビデンスの質:中等度~高い]

根拠:ENの投与部位を胃から小腸に変更すると、逆流、誤嚥、

および肺炎の発現率が低下することが示されている121,122)。

RCT 13試験において73-84)、肺炎の発現率は、経胃ENを受ける

患者に比べて、経小腸ENを受ける患者の方が有意に低く(RR =

0.75、95% CI 0.6~0.93、P = 0.01)、人工呼吸関連肺炎(VAP)

のエビデンスを用いた試験にのみ限定してもなお低かった(RR

= 0.72、95% CI 0.55~0.93、P = 0.01)。死亡率、ICU LOS、病院

LOS、人工呼吸期間、または、目標EN投与量への到達時間に差

異は認められなかった。

D4b.専門家の合意に基づき、リスクが高い患者または経胃ENボーラス投与に不耐性を示す患者に対しては、EN投与を持続投与に切り替えるよう提案する。

根拠:ある1つの試験では、ENを積極的にボーラス投与すると、

誤嚥性肺炎のリスク増大に関連する有害な影響につながる可

能性があるとされている123)。また別のRCT 1試験では、EN持続

投与により死亡率が低下する傾向が示された(間歇投与13.9%

に対して持続投与7.4%、P = 0.18)124)。また、ボーラス投与と持

続投与を比較した小規模RCT 5試験によって、持続投与で中断

が少なく、多くの量のENを投与できることが示されている。ただ、

患者アウトカムについて有意な差は認められていない125-129)。

D4c.誤嚥のリスクが高い患者には、臨床上可能なら、腸管運動促進剤(メトクロプラミドまたはエリスロマイシン)など、腸管運動を促す薬剤を用いるよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:エリスロマイシンまたはメトクロプラミドなどの腸管運動

促進剤は、ICU患者の胃内容排出とEN耐性を改善することが

示されてきたが、患者の臨床アウトカムについてはほとんど変

化がなかった。選択基準に適合するRCTで、メトクロプラミドを

用いた合計8試験130-137)と、エリスロマイシンとメトクロプラミド

を併用した1試験をメタアナリシスでレビューした。死亡率また

は感染率に関して差異は認められなかった。しかし、選択基準

に適合するRCT 3試験において、対照群より腸管運動促進剤を

投与した群の方がGRVが低かった(RR = 1.87、95% CI 1.20~

2.91、P = 0.006)(図7)。経胃腸栄養投与不耐性の治療には、

エリスロマイシン3~7 mg/kg/dが投与された。同様に、1日4回

メトクロプラミド10 mgの投与が、胃内容物の増加に対して有

効であることが示されたが、腎機能が低下している患者では、メ

トクロプラミドの用量調整が必要となる。いずれの薬剤に関し

ても、経口またはIV投与のいずれも使用できる。エリスロマイシ

ンには、心毒性、タキフィラキシー、および菌耐性などの望ましく

ない作用を伴うため、モニタリングしつつ慎重に使用しなけれ

ばならない。また、メトクロプラミドも遅発性ジスキネジアなどの

有害な合併症を伴い、その発現率は高齢者で高くなる。いずれ

の薬剤もQT延長を伴い、不整脈が生じやすくなる138,139)。エリス

ロマイシンとメトクロプラミドの併用療法は、GRVを改善し、栄

養投与の奏功率を高めることが示された。しかし、病院LOSと死

亡率のいずれにも差異は認められなかった。さらに、水性下痢

の発現率は、併用療法を受ける患者で統計的に高かった(54%

vs 26.3%、P = 0.01)133)。このアプローチを推奨するには、併用

療法により、有害な作用のリスクが増加することなく臨床アウト

カムが改善されることを示す試験が複数必要である。1つの試

験で、経腸アクセス器具からナロキソンを投与すると(腸でオピ

オイド麻酔薬の効果を阻害して腸管運動を改善するために投

与)、EN投与量が有意に増加し、GRVは減少し、VAPも減少する

こと(プラセボ比較)が示されている132)。局所作用型μオピオイ

ド受容体拮抗薬、特にメチルナルトレキソンとアルビモパンは、

術後の消化管機能の回復を促進することが示されているが、こ

れまでに腸管運動促進剤としてのこれらの薬剤の使用について

検討した試験はない。

1.80 [0.94, 3.46]2.25 [0.57, 8.86]1.86 [0.94, 3.66]

46.4%10.5%43.0%

109

20

527

101020

95

13

Chapman, 2000Nursal, 2007Reignier, 2002

1.87 [1.20, 2.91]100.0%39401427

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=0.09, df=2(P=0.96); l2=0%統合効果の検定:Z=2.75(P=0.006) 0.01 0.1

対照群が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、ランダム、95% Cl腸管運動促進剤 対照群 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

腸管運動促進剤が優越1 10 100

図7 腸管運動促進剤とプラセボにおける下部胃内容物容量のアウトカムの比較

D. ENの耐性および適切性のモニタリング

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14 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

D4d.専門家の合意に基づき、看護責任者は、誤嚥とVAPのリスク軽減策を講じるよう提案する。EN投与を受ける挿管中のすべてのICU患者はベッドの頭部を、30°~45°に持ち上げ、1日2回のクロルヘキシジン口内洗浄剤の使用を検討すべきである。

根拠:1つの研究において、ベッドの頭部を30°~45°に持ち上

げることで、仰臥位から半横臥位の場合と比較して、肺炎の発

現率が23%から5%に低下することが示されている(P = 0.018)140,141)。2つの試験で、心臓手術を受ける患者にクロルヘキシジ

ン口内洗浄剤を1日2回用いて口腔内の健康状態を良好にす

ると、呼吸器感染及び院内感染肺炎が減少したと報告されて

いる142,143)。一般ICUにおいてクロルヘキシジンの利用を評価

した試験では、アウトカムへの影響はほとんどなかったが、クロ

ルヘキシジンによる口腔ケアを治療バンドルの中に含めた2つ

の試験では、院内呼吸器感染が有意に減少したことが示されて

いる144,145)。その他誤嚥リスクを低減する手順としては、可能な

場合は、鎮静/鎮痛のレベルを下げること、および診断検査や

処置のためのICUからの移送を最小限にすることが挙げられる104,146)。

疑問:重症病態では、誤嚥を判断する上でサロゲートマーカー

は有用か?

D5.専門家の合意に基づき、EN患者の誤嚥のマーカーとして食品青色染色(Blue food coloring)やその他の染色剤を用いないよう提案する。また、専門家の合意に基づき、重症病態では、誤嚥のサロゲートマーカーとしてグルコースオキシダーゼ法も用いないよう提案する。

根拠:誤嚥に関する従来からのモニタリングは有効ではない。

染色によるモニタリング(メチレンブルー、食品青色染色(Blue

food coloring)など)は、ヘモカルト、ガストロカルト、pH検査な

ど、他の比色試験に干渉する147,148)。高用量のメチレンブルー

には、食品青色染色(Blue food coloring)と同様のミトコンド

リア毒性があり、酸化的リン酸化に干渉する147)。食品青色染色

(Blue food coloring)は感度の低い誤嚥のマーカー、ミトコン

ドリア毒性と患者の死亡に関連があることが示された147,149)。

米国食品医薬品局(FDA)は、健康勧告公示(Health Advisory

Bulletin)を通して、ENを行っている患者に、誤嚥のモニタリング

のために青色食物染色(Blue food coloring)を用いることに反

対する指令を出した(2003年9月)150)。グルコースオキシダー

ゼ使用に関する根拠(気管分泌物中のグルコース含量は、グル

コースを含む製剤の誤嚥にのみ関連しているという論理)は正

しくないことが示されており、よって、その方法は、感度も特異性

も小さいという理由で使用されなくなっている151)。

疑問:成人重症病態患者において、EN関連の下痢をどのように

評価すべきか?

D6.専門家の合意に基づき、ICU患者に下痢が認められたら、ENを必然的に中止するのではなく、下痢の病因を調べる間投与を継続し、適切な治療法を判断するよう提案する。

根拠:EN投与を受けるICU患者では、下痢は一般的であるが、

重篤となる場合もあり、その発現率は2%~95%であり、しばしば

電解質異常、脱水、肛門周囲の皮膚の損傷、および創傷汚染が

生じる152)。下痢をコントロールできない場合、臨床医はしばし

ばEN投与を中止するが、その結果、栄養摂取量が不十分にな

る。定義や採便の方法、サンプル採取技術に違いがあるため、

臨床試験での発現率が広くばらつくことになる。最も一般的に

用いられる定義は、1日2~3回の液状便、または1日250 gを超

える液状便である153,154)。

 急性下痢の原因として、製剤中の食物繊維の種類と量、製剤

の浸透圧、投与法、ENの汚染、薬剤(中でも抗生物質、プロトン

ポンプ阻害薬、腸管運動促進剤、血糖降下薬、非ステロイド性

抗炎症薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、緩下薬、および

ソルビトール含有製剤)、並びにClostridium difficileなどの感

染性病因が挙げられる152)。試験により、短鎖炭水化物である発

酵オリゴ糖、二糖類、単糖類、およびポリオール(FODMAPS)は

浸透性が高く、腸内細菌により迅速に発酵されるため、下痢との

間に関連性が認められている。特に腸内微生物叢に有害な影

響を及ぼす抗生物質を併用投与されている患者の場合、高用

量のFODMAPSを含む製剤は下痢の原因となる155)。院内で起こ

る下痢の大半は軽度で自然治癒するものである156)。

 下痢の評価は、腹部所見、便量の測定、Clostridium difficileの便培養(及び/または毒素測定)、血清電解質パネル(serum

electrolyte panel)(過剰な電解質喪失や脱水を調べるため)、

および投与薬剤の見直しなどによって行う。感染性の下痢と浸

透圧性の下痢を区別するよう努めるべきである157)。

E. 適切な経腸栄養製剤の選択

疑問:重症病態患者にENを開始する際には、どの製剤を使用

すべきか?

E1.専門家の合意に基づき、ICUでENを開始する際には、標準的な半消化態(polymeric formula)製剤を使用するよう提案する。MICUの重症病態患者へのすべての特別な製剤の日常的な使用、およびSICUでの疾患別の製剤の日常的な使用は避けるよう提案する。

根拠:ICU患者の大部分には、半消化態(polymeric formula)

で等張またはほぼ等張の1~1.5 kcal/mLの標準的な製剤が

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15

適切であり、耐性も良好である。本推奨事項は、疾患別(糖尿

病)、器官別(肺、腎、肝)、消化態(semielemental)、成分栄養

(elemental)、または免疫調整を目的として設計された製剤を

含め、特別な製剤を一般ICU患者に日常的に使用した場合に、

患者のアウトカムに明確な利益を示す文献がないことによる。

例外としては、SICUの術後患者への免疫調整製剤の使用があ

る(O3項を参照)。MICU患者に免疫調整製剤を使用しても、標

準的なEN製剤に比べてアウトカムに利益はないことが示され

ている(E2項を参照)。肺用製剤を使用する根拠(呼吸商を低

下させるために炭水化物より脂肪の割合を多くした製剤)は、間

違っていることが示されており(過剰栄養投与の場合にのみ効

果が認められた)、高用量のω6系脂肪酸が含まれているため、

炎症プロセスが促進される可能性がある158)。疾患別の製剤や

水分量を厳しく制限した製剤は、電解質プロファイルや量の制限

(腎)など、むしろ生理学的利益を目的として、個別の判断に基

づき、少数の患者にまれに使用される。

疑問:ICUの違い(内科または外科)に関わらず、免疫調整経腸

栄養製剤は重症病態患者の臨床アウトカムに影響を及ぼすか?

E2.MICUの患者には、免疫調整経腸栄養製剤(アルギニンにエイコサペンタエン酸[EPA]、ドコサヘキサエン酸[DHA]、グルタミン、核酸など他の成分を加えたもの)を日常的に使用しないよう提案する。SICUのTBIおよび周術期の患者の場合にのみ、これらの製剤について検討すべきである(O項およびM項を参照)。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:重症病態患者に免疫調整経腸栄養製剤(アルギニン、

EPA、DHA、グルタミン、核酸を添加したもの)を選択する際、臨

床医はまず、患者が特別な免疫調整製剤に合う患者かどうかを

判断しなければならない159)。

 初期のメタアナリシスでは、一般ICU患者(内科および外科)

にこのような製剤を使用すると、感染症の減少、病院LOSおよ

び人工呼吸期間の短縮など、アウトカムに有益であることが示

唆されたが160,161)、Heylandらは、特にMICU患者で病院LOSの

みが短縮されることを示した(WMD = –0.47、95% CI –0.93~

–0.01、P = 0.047)162)。選択基準に適合するRCT 20試験のメ

タアナリシスでは、hyperdynamicな重症病態患者の経腸栄養

製剤に薬力学的作用を持つ栄養素(pharmaconutrients)を追

加すると、有益であることが示唆されているが、MICU患者を対

象としたデータにおいては、死亡率(17試験、2160名)52,160,163-

177)、感染性合併症(9試験、1522名)*、または病院LOS(11試

験、147名)**の結果から、使用に関する推奨事項はいずれも

支持されていない。

 残念なことに、薬力学的作用をもつ個々の栄養素を取り上げ

て、その特有の有効性や正確な投与量を示した研究はほとんど

ない。一連の文献は、対象が広範囲のICU患者であり、使用され

ているのは種々の試験段階にあるか市販の様々な製剤で、試

験内容が不均一であるということで、批判されている。免疫や代

謝調整製剤として市販されている経腸栄養製剤は色々あるが、

個々の成分組成や用量についてはかなりの違いがあり、値段

も高い。発表された研究データが、正式には評価されていない

類似組成の新規製剤の使用を推進する根拠となるかどうかは

はっきりしていない。対象患者が不均一であり、アウトカムに一

貫性がないことから、ガイドライン委員会は、MICUでの使用を

支持する推奨事項はないと判断した。

疑問:ALIまたはARDS患者に対し、魚油(FO)、ルリヂサオイル、

および抗酸化物質を含むEN製剤を使用すべきか?

E3.データが矛盾するため、現時点では、ARDSおよび重症ALIの患者に抗炎症性脂質(例えばω3系FO、ルリヂサオイル)および抗酸化物質を含む経腸栄養製剤の日常的な使用については推奨を決めることはできない。

[エビデンスの質:低い~極めて低い]

根拠:RCT 6試験で、ARDS、ALI、および敗血症の患者への患者

に対して、抗炎症脂質プロファイル(ω3系FO、ルリヂサオイル、

および抗酸化物質)を持つ製剤を使用したり抗酸化物質を添

加したりすることについて評価された。これらの試験では、投与

法(持続投与とボーラス投与)が極めて不均一であった。Riceら

による大規模多施設共同試験で使用されたプラセボ製剤には、

試験群より蛋白が1日あたり16 g多く含まれていた(蛋白量:4

gvs20 g)179)。2試験では、ω6脂肪酸を多く含む市販製剤との

比較において、陰性対照の効果に対するリスクが高くなること

が示されていた180,181)。報告されたアウトカムに基づき、全試験179-184)を統合した結果、標準的な経腸栄養製剤の投与に比べ

て、ω3脂肪酸、ルリヂサオイル、および抗酸化物質を経腸投与

しても、ICU LOS、人工呼吸期間、臓器不全、または院内死亡率

が有意に低下しないことが示唆された。現時点ではデータが矛

盾するため、さらにデータが収集されるまでは、ARDS/ALIの患

者に抗炎症脂質プロファイルをもつ経腸栄養製剤を日常的に使

用することは推奨できないと、ガイドライン委員会は判断した。

疑問:成人重症病態患者において、水溶性食物繊維または低

分子ペプチドを含む経腸栄養製剤の適応があるとすれば、どの

ようなものか?

E4a.成人重症病態患者において、市販の混合食物繊維製剤を腸機能の調整や下痢の予防を目的として、日常的に投与しないよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

D. ENの耐性および適切性のモニタリング/E. 適切な経腸栄養製剤の選択

*参照:52,165,167,168,171-173,175,178 **参照:52,65,163,167-171,174,177,178

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16 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

E4b.専門家の合意に基づき、持続性下痢のエビデンスがある場合には、市販の混合食物繊維含有製剤の使用を検討するよう提案する。水溶性および不溶性のいずれの食物繊維も、腸管虚血や重症腸管運動不全のリスクが高い患者には用いないよう提案する。さらに、持続性下痢の患者、吸収不良の疑いがある患者、または食物繊維に反応しない患者に対しては、低分子ペプチド製剤の使用を検討するよう提案する。

根拠:持続性下痢の患者(薬剤やC difficileなど、下痢の他の原

因が除外されている患者)の場合、混合食物繊維を含む製剤、

低分子ペプチドを含む消化態(semi elemental)栄養製剤、また

は水溶性食物繊維を追加した標準的な製剤の使用は有益かも

しれない(F1項を参照)。

 食物繊維を含む市販の製剤は、水溶性と不溶性の両方の食

物繊維を含む混合製剤である。ICU以外の患者に市販の混合食

物繊維製剤を日常的に使用すると、腸機能を調節する上で有益

であるかもしれない。しかし、手術患者や外傷患者に不溶性食

物繊維を含有する経腸栄養を投与した場合には、腸閉塞が起

こったという報告もあるため、腸管虚血や重症腸管運動不全の

リスクが高い重症病態の患者への混合食物繊維製剤の使用に

ついては懸念がある185,186)。

 混合食物繊維製剤は、広い抗菌スペクトルを有する抗生物

質を投与されている重症病態患者の下痢を低減することが示

されているが187)、結果には一貫性が認められなかった。敗血症

SICU患者を対象としたRCT 1試験において、混合食物繊維食を

与えられた群では、14日間の累積下痢スコアが有意に低かった187)。対照的に、ICU患者において混合食物繊維を含む経腸栄養

製剤と食物繊維を含まない標準的な製剤とを比較したオースト

ラリアのRCTでは、メチルセルロースとして大豆多糖類を投与し

ても、下痢が低減しないことが示された188)。

 低分子ペプチドを含む経腸栄養製剤は、臨床検査データ、理

論、そして専門家の意見からの支持は得られているが、現在の

大規模前向き試験からは、使用を強く推奨することはできない154)。水溶性食物繊維を標準的な経腸栄養製剤に追加する方法

は第3の選択肢になるだろう(F1項を参照)。

F. 補助療法

疑問:血行動態が安定しているすべてのICU患者において、標

準的な経腸栄養製剤に食物繊維を日常的に追加すべきか?下

痢を発症し、食物繊維を含有しない標準的な経腸栄養製剤の

投与を受けている重症病態患者の補助療法として、水溶性食物

繊維を追加すべきか?

F1.専門家の合意に基づき、血行動態が安定し、標準的な経腸栄養製剤を投与されているすべてのMICU/SICU患者において、発酵水溶性食物繊維添加物(フラクトオリゴ糖[FOS]、イ

ヌリンなど)の日常的な使用を検討するよう提案する。下痢のエビデンスがある場合、補助療法として、10~20 gの発酵水溶性食物繊維を24時間で用量を分けて投与するよう提案する。

根拠:水溶性食物繊維は、栄養素の吸収、ステロールの代謝、

炭水化物と脂肪の代謝、腸管の蠕動運動、および便の特性に影

響を及ぼす。プレバイオティクスである食物繊維はまた、腸内微

生物叢と腸のバリア機能に影響を及ぼす。FOSは難消化性炭水

化物であり、結腸で発酵されて短鎖脂肪酸(SCFA)になる。SCFA

(特に酪酸)は、結腸細胞に栄養を補給し、結腸の血流を増

加し、膵臓からの分泌を促す189-191)。プレバイオティクス(FOS、

イヌリンなど)は、「善玉菌」として知られるBifidobacteria や

Lactobacillusの増殖を促す。全身性炎症反応症候群(SIRS)の

ICU患者63名を対象とした観察研究の便検査において、栄養投

与に不耐性がある患者(14名)では、不耐性がない患者(49名)

に比べて、Bifidobacteriaを含む嫌気性菌の量が有意に少なく、

Staphylococusの量が多いことが示された(P ≦ 0.05)。栄養投

与に不耐性がある患者では、菌血症の発現率が高く(86% vs

18%、P < 0.05)、死亡率が高かった(64% vs 20%、P < 0.05)192)。したがって、すべてのICU患者において、共生微生物叢を維

持し、腸の健康を促す予防的手段として、水溶性食物繊維添加

物の日常的な使用を検討すべきである。適切な用量は10~20

g/dであり、24時間で用量を分けて投与する193)。

 下痢を発症した重症病態患者の場合、プレバイオティクスで

ある水溶性食物繊維を追加投与すると、市販の混合食物繊維

製剤を投与するより、一貫して下痢の低減効果が高かった。これ

らを追加することによる下痢止め効果の主要な機序は、水溶性

食物繊維の発酵(ペクチン、FOS、イヌリン、およびグアガムなど)

とSCFAの産生による。SCFAの栄養作用により、結腸細胞への水

分と電解質の取り込みを促す191)。理論的には、水溶性食物繊維

を追加すると、混合食物繊維製剤を投与するより腸閉塞のリス

クが低下する可能性がある。

 選択基準に適合する小規模なRCT 5試験において、標準的な

経腸栄養製剤への補助的な水溶性食物繊維の追加が評価され

ている153,194-197)。試験の評価項目に下痢を含めた4試験のうち

3試験では、重症病態患者の下痢が有意に減少した153,195,196)。

人工呼吸期間、ICU LOS、またはMOFに関しては、差異は報告さ

れていない188,195)。重症敗血症および敗血症性ショック患者を

対象とした古い前向き二重盲検RCTでは、水溶性食物繊維を補

助的に投与された患者では、標準的なENのみを投与された患

者に比べて、下痢が生じた日の平均回数が有意に少ないことが

示された195)。経腸栄養製剤の種類は、敗血症関連の死亡率や

ICU LOSに影響を及ぼさなかった195)。

疑問:重症病態患者にプロバイオティクスを投与すると効果が

あるか?プロバイオティクスを重症病態患者に投与した場合、何

らかの有害作用はあるか?

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17

F2.研究されたプロバイオティクスの種類や株を使用することは、一般ICU患者において安全であると思われるが、RCTにより安全性とアウトカムに対する効果が示された特定の内科および外科患者に対してのみ使用するよう提案する。現時点では、一般ICU患者に対してプロバイオティクスを日常的に使用することについて推奨を決めることはできない。

[エビデンスの質:低い]

根拠:プロバイオティクスとは、世界保健機関と国連食糧農業

機関により、「適切な量を投与すれば健康に有益な生きている

微生物」と定義されている。ICUの環境下では、代謝障害、腸管

虚血/再灌流、広い抗菌スペクトルをもつ抗生物質の投与、栄

養補給ストレス性胃疾患予防、血管作動性昇圧薬、腸蠕動運動

の変化、腸内への栄養素の不十分な供給などの様々な要因に

よって、共生微生物叢が急速かつ持続的に変化する198,199)。プ

ロバイオティクス製剤の作用機序には、病原菌の増殖や侵入す

る病原菌の上皮への付着に対する競合的阻害、病原性毒素の

除去、腸の粘膜バリアの強化、宿主の炎症応答の望ましい形で

の調節など、種によって特異的である200-202)。プロバイオティク

スの補給は理論上正しいように思われるが、一般的なICU患者

の場合は、アウトカムについて一定した有益性が示されていな

い。特定の種のプロバイオティクス(主としてLactobacillus GG)

には、感染性合併症全体やVAPの発現率を低下させる一定の

効果があると思われるが203)、対象とされた患者やプロバイオ

ティクスの菌株により異なる。

 Rayesらは、幽門温存ウィップル術を受けた患者を対象に、市

販製剤Synbiotic-Forte 2000(Medifarm, Sweden)(Pediococ-cus pentoseceus、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus paracasei subsp paracasei、およびLactobacillus plantarumを

それぞれ1010 CFU(コロニー形成単位)含み、さらにイヌリン2.5

g、オートブラン、ペクチン、レジスタントスターチを含む)を用い

て、術後1時間にルー肢によりプロバイオティクス製剤を吻合部

直下に投与した場合、プラセボを投与した対照群と比べて、感

染症の有意な減少が認められた(それぞれ40.0% vs 12.5%、P

< 0.05)204)。

 対象となっているICU患者が不均一で、バクテリア菌株には

違いがあり、また投与量にもばらつきがあったため、エフェクト

サイズを推定することは困難である。Cochraneレビューによる

と、研究されたいずれのプロバイオティクスにも、ICU死亡率ま

たは下痢の発現率に対する効果は認められなかった205)。今後、

分類学的分類が改善され、変更になった細菌門について対象

とするプロバイオティクス補給に焦点を当てた研究が進めば、

最終的には特定の重症病態患者への使用がより強く推奨され

ると考えられる。重症病態患者へのプロバイオティクス投与の

安全性の問題に関しては、Saccaromyces boulardiiを使用した

ICU患者に真菌血症の症例が発現し、重症膵炎患者の臨床アウ

トカムが悪化したことが報告されている206,207)。プロバイオティ

クス生物株による他の感染症や菌血症は報告されておらず、虚

血性腸疾患の発現率について報告した試験もないが、現時点

では日常的な使用を推奨することはできない208)。RCTにより安

全性とアウトカムに対する効果(VAP、偽膜性大腸炎、および抗

生物質関連下痢の予防)203,205,213-215)が示された特定の患者(肝

移植、外傷、膵切除など)209-212)においては、研究されたプロバイ

オティクスの使用を考慮してもよい。

疑問:成人重症病態患者において、抗酸化物質や微量元素を

投与すると、アウトカムに影響を及ぼすか?

F3.特別な栄養療法を要する患者に対して、重症病態患者で安全と報告された用量の抗酸化ビタミンと微量元素を併用投与するよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:抗酸化ビタミン(ビタミンEおよびC[アスコルビン酸]な

ど)および微量元素(セレン、亜鉛および銅など)は、特に熱傷、

外傷および重症病態で人工呼吸を必要とするような患者にお

いてアウトカムを改善する可能性がある216,217)。選択基準に適

合する15試験を統合した結果から(図8)、抗酸化物質と微量

元素を投与すると、総死亡率を有意に低下させることが示された

(RR = 0.8、95% CI 0.7~0.92、P = 0.001)218-232)。感染性合併

症、ICUまたは病院LOS、および人工呼吸期間に関して、抗酸化

マルチビタミン/微量元素の併用投与群とプラセボを投与した

対照群との間に有意差はなかった。用量、投与回数、期間、投与

ルートなど、投与に関する課題の大部分については、十分に標

準化されていない。ビタミンや微量元素を投与する際には、腎

機能に配慮しなければならない。

疑問:あらゆる成人ICU患者に対して、グルタミンを経腸投与す

べきか?

F4.重症病態患者に対しては、EN投与時に日常的にグルタミンを追加で経腸投与しないよう提案する。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:Garrelらの小規模ながら質の高い試験により、熱傷患者

において、EN(グルタミンが補充されていないもの)投与時にグ

ルタミンを追加で経腸投与すると、死亡率が低くなることが示さ

れた233)。熱傷、外傷、および内科外科混合ICU患者558名を対

象とした選択基準に適合するRCT 5試験のデータを統合した結

果(図9)、死亡率、感染症、病院LOSに対する有意な効果は示さ

れなかった233-238)。グルタミンを経腸投与すると、消化管機能の

統合性を維持する栄養効果を示すが、アウトカムにおいて有益

性が認められない理由は、全身性抗酸化作用が十分に発揮さ

れないことにより部分的に説明可能である239)。

E. 適切な経腸栄養製剤の選択/F. 補助療法

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18 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

199820002008

1.27 [0.30, 5.31]Not estimable

0.20 [0.01, 3.70]0.79 [0.24, 2.62]

5.5%

4.5%10.0%

39411049

302

5

41311051

400

4

1.1.1 外傷重症病態Houdijk 1998Brantley 2000MgGuiggan 2008小計 (95% Cl)イベント合計異質性:Chi2=1.27, df=1(P=0.26); l2=21%統合効果の検定:Z=0.39(P=0.70)

19992003

1.03 [0.50, 2.08]0.93 [0.57, 1.49]0.95 [0.64, 1.42]

16.8%53.1%69.9%

24184208

930

39

26179205

1027

37

1.1.2 混合 lCUJones 1999Hall 2003小計 (95% Cl)イベント合計異質性:Chi2=0.06, df=1(P=0.81); l2=0%統合効果の検定:Z=0.26(P=0.80)

20032003

0.19 [0.05, 076]Not estimable

0.19 [0.05, 0.76]

20.1%

20.1%

242024

120

12

212021

20

2

1.1.3 熱傷Garrel 2003Zhou 2003小計 (95% Cl)イベント合計異質性:Not applicable統合効果の検定:Z=2.36(P=0.02)

0.78 [0.55, 1.12]100.0%28156

27743

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Chi2=6.36, df=4(P=0.17); l2=37%統合効果の検定:Z=1.36(P=0.18)サブグループの差異の検定:Chi2=4.83; df=2(P=0.09); l2=58.6% 0.1 0.2

EN(GLN 追加)が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み 年 M-H、固定、95% ClEN + グルタミン EN のみ 相対危険度

M-H、固定、95% Cl相対危険度

EN のみが優越0.5 1 2 5 10

図9 経腸栄養(EN)にグルタミンを追加した場合とグルタミンを追加しない場合の死亡率のアウトカムの比較 ICU:集中治療室

1.00 [0.78, 1.28]0.07 [0.00, 0.98]0.90 [0.56, 1.43]0.64 [0.50, 0.82]0.64 [0.31, 1.32]0.79 [0.60, 1.06]1.01 [0.58, 1.76]0.38 [0.12, 1.21]1.13 [0.49, 2.62]0.79 [0.48, 1.32]0.64 [0.18, 2.22]0.47 [0.16, 1.38]

0.91 [0.07, 12.69]2.67 [0.28, 25.04]

0.36 [0.02, 8.04]1.00 [0.37, 2.74]

24.5%0.2%7.7%

24.7%3.2%

18.9%5.4%1.3%2.5%6.5%1.1%1.5%0.3%0.3%0.2%1.7%

2519

22112

21122

29201775163510121229

848

1576116113

86

24591116

2518

18112

21116

31202075153311

91129

840

1149

74614

38

19341206

Andrews, 2011Kuklinski, 1991Mishra, 2007Crimi, 2004Angstwurm, 1999Angstwurm, 2007Forceville, 2007Zimmerman, 1997Preiser, 2000Valenta, 2011Manzanares, 2011Young, 1996Berger, 2007Berger 2001aBerger 2001bSchneider, 2011

0.80 [0.70, 0.92]100.0%792329

780257

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=15.56, df=15(P=0.41); l2=4%統合効果の検定:Z=3.27(P=0.001) 0.1 0.2

抗酸化物質が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、ランダム、95% Cl抗酸化物質 標準 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

標準が優越0.5 1 2 5 10

図8 抗酸化物質と標準製剤におけるアウトカムの死亡率の比較

Page 21: A.S.P.E.N. Clinical Guidelines | 大塚製薬工場医薬関係 … Surgery, Oregon Health and Science University, Portland, Oregon; 4Critical Care Dietitian, Portland VA Medical Center,

19

G. PNを用いるべき場合

疑問:栄養リスクが低い成人重症病態患者に対し、いつPNを

開始すべきか?

G1.栄養リスクが低い患者(NRS 2002が3以下またはNUTRICスコアが5以下など)で、自分の意志で栄養摂取できず、早期ENが実施不可能な場合、ICU入室後最初の7日間は、PNのみの投与は控えるよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:ICUにおけるPN投与のリスク/ベネフィット比は、EN投

与に比べてはるかに狭い。これまで栄養状態が良好であった患

者の場合、ICU入室後最初の1週間にPN投与を行っても、ほと

んど利益はない240)。PNに依存せざるを得ない診断を受けた患

者(短腸症候群など)の場合、菌血症が疑われない限り、ICU入

室時からPNを継続しなければならない241)。2試験において、PN

のみの投与開始のタイミングが示された。Casaerらは、EPaNIC

試験の患者のうち、EN投与が絶対的な禁忌である患者(腸管壁

の断裂など)において、ICU入室後3日目にPNを開始した患者の

方が8日目にPNを開始した患者よりも、感染症罹病率が高く、生

存退室率が低い傾向を示した240)。ENへの禁忌が判明している

重症病態患者を対象とした大規模RCTにおいて、入室後24時

間以内にPNを投与した患者では、栄養療法を実施しなかった

STDに比べて、ベネフィットは極めて小さく(人工呼吸期間の短

縮、WMD = –0.47日、95% CI –0.82~–0.11、P = 0.01)、感染

症、臓器不全、全合併症、または死亡率に関して、群間に差異は

認められなかった242)。これらの患者では、栄養リスクが大きく異

なるため、臨床判断で、PNが有益ではない可能性が高い患者

を判別すべきである。

 Braunschweigらによる早期メタアナリシスでは、膵炎、外傷、お

よび炎症性腸疾患からMOFまで様々な患者を対象として、PN投

与とSTDとを比較した結果、栄養状態が良好な患者では、PN開

始を遅らせるべきであることが支持されている55)。7試験243-249)を

統合した結果、あらかじめ栄養障害が認められない入院患者(EN

が利用できない場合)において、STDを使用した場合、PNを使用

した患者に比べて、感染症罹病率が有意に低下し(RR = 0.77、

95% CI 0.65~0.91、P < 0.05)、全合併症が減少する傾向が認

められた(RR = 0.87、95% CI 0.74~1.03、P値報告なし)。同様

の条件(重症病態患者、ENが利用できない、栄養障害のエビデ

ンスがない)において、Heylandが主に外科患者を対象とした*

4試験246,247,250,251)を統合した結果、PNを投与する方がSTDを実

施した患者よりも死亡率が有意に増加し(RR = 1.78*、95% CI

1.11~2.85、P < 0.05)、合併症の発現率が高くなる傾向が認め

られた(RR = 2.40、95% CI 0.88~6.58、P値報告なし)252)。

 重症疾患が長引くと、栄養状態の悪化リスクが増し、STD療法

とPNとの優先順位が逆転する。ICUにおいてPNを開始するタイ

ミングの指針となるデータはほとんどない。Sandstromらは、入

院後14日が経過すると、栄養療法を何も施さない状況が続け

ば、PNを投与した患者よりも死亡率が有意に高く(21% vs 2%、

P < 0.05)、病院LOSが長くなることを初めて示した(36.3日 vs

23.4日、P < 0.05)246)。引用されている文献では、PNは10~14

日間差し控えるように推奨しているが、ガイドライン委員会は、

7日を超えてSTD療法を続けると、栄養状態の悪化や臨床アウト

カムへの有害な影響につながることを懸念し、このような推奨

事項とした。

*訳者註:A.S.P.E.N.の承諾を得て、原文A.S.P.E.N.ガイドラインの誤記を修正しました。

疑問:栄養リスクが高い成人重症病態患者に対し、いつPNを

開始すべきか?

G2.専門家の合意に基づき、栄養リスクが高い患者(NRS 2002が5以上またはNUTRICスコアが5以上など)または重度の栄養障害がある患者で、ENが実施不可能な場合、ICU入室後ただちにPNの単独投与を開始するよう提案する。

根拠:ENを用いることができず、栄養リスク(A項を参照)が高

い場合は、第一選択は逆転し、STD療法よりもPNを用いる方が

望ましい結果をもたらす。Heylandらによるメタアナリシスでは、

栄養障害のあるICU患者にPNを施すと、全合併症はSTD療法

よりも有意に少なかった(RR = 0.52、95% CI 0.30~0.91、P <

0.05)252)。Braunschweigらのメタアナリシスでは、栄養障害の

あるICU患者にSTD療法を施すと、死亡率のリスクはPNよりも有

意に高く(RR = 3.0、95% CI 1.09~8.56、P < 0.05)、感染症の

率も高い傾向があった(RR = 1.17、95% CI 0.88~1.56、P値報

告なし)55)。したがって、このような患者では、ENが利用できな

い場合、ICU入室後すぐにPNを開始すべきである。

疑問:栄養リスクが低い患者または高い患者において、ENでは

エネルギーまたは蛋白の目標値を満たすことができない場合、

補足的PNを開始する至適タイミングとはいつか?

G3.栄養リスクが低い患者または高い患者いずれにおいても、経腸投与のみでは7~10日後にエネルギーおよび蛋白必要量の60%超を達成できない場合は、補足的PN投与を検討するよう推奨する。ENを受ける重症病態患者に対して7~10日間という期間の前に補足的PNを開始しても、アウトカムの改善にはつながらず、患者に有害な影響をもたらすこともある。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:早期ENは、腸管を正常に保ち、酸化ストレスを軽減し、全

身性免疫を調節することが示されている。すでにENを受けてい

る患者では、最初の7~10日間で補足的PNを用いると、エネル

ギーと蛋白の摂取量を増やすことができる253)。しかし、ICU入室

F. 補助療法/G. PNを用いるべき場合

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20 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

早期に補足的PNを用いても、費用が高い割には極めてわずか

な利益しか得ることができない254)。大規模な多施設共同観察

研究において、早期(48時間より前)に補足的PNを用いても、ア

ウトカムがより改善されることはないことが示された255)。2施設

のRCTにおいて、ENによるエネルギーと蛋白の摂取量が目標値

の60%未満の患者に対し、入室後3日目に補足的PNを追加した

場合、低カロリーENのみの投与を継続した対照群に比べて、ア

ウトカムはほとんど改善されなかった(9日目以降の感染症の発

現率のみが、対照群よりも試験群で有意に低値)256)。Casaerら

による別の多施設共同RCTでは、低カロリーEN投与患者にICU

入室後8日目まで補足的PN開始を遅延させると、より早期であ

る入室後3日目に補足的PNを開始した患者に比べて、ICUから

の生存退室率は高くなった(HR = 1.06、95% CI 1.00~1.13、P

= 0.04)240)。補足的PNを遅く開始する群に無作為割付された患

者では、PNを早期に開始する群に無作為割付された患者に比

べて、ICUのLOSが短く(P = 0.02)、感染症が少なく(22.8% vs

26.2%、P = 0.008)、医療費が平均して約1600米ドル削減され

た(P = 0.04)240)。

 すでに低カロリーENを受けている患者において補足的PNを

開始する至適時期は明確にされていない。入院後1週間が経過

したあといずれかの時点で、EN投与では必要量を十分に満たせ

ない場合、補足的PNの追加を検討し、個別に判断すべきである。

H. PNの適応がある場合に、その有効性を最大限にすること

疑問:成人重症病態患者でPNが必要とされている場合、その有

用性を高めるためにどのような戦略を用いることができるか?

H1.専門家の合意に基づき、PNの有効性を最大限に高め、それに伴うリスクを低下させるため、具体的な戦略を支援するプロトコールや栄養サポートチームを利用するよう提案する。

根拠:ICU患者がPN適応の対象であると考えられれば、高血

糖、電解質異常、免疫抑制、酸化ストレス増加、感染症発現の可

能性といったPN特有のリスクを軽減するように注意を払う必

要がある256-259)。PNの管理には、栄養投与を進める速度、血糖

管理、電解質のモニタリングと栄養過多(リフィーディング症候

群のエビデンス)、PN投与期間、および可能であればENへの移

行などを含めなければならない。リフィーディング症候群のリス

ク因子(アルコール依存症、体重減少、ボディ・マス・インデック

ス[BMI]低値、NPO期間の延長)がある患者の場合は、リフィー

ディング症候群への注意が特に重要である。リフィーディング症

候群は、ENでも生じる可能性があるが、PN開始時のほうがリス

クは高い。そのような患者の場合、栄養投与を進める速度を遅

くし、3~4日間かけて目標を達成しなければならない。プロト

コールや栄養サポートチームを利用すると、PN関連の合併症

が減少することが示されている260-262)。また、許容範囲内での低

用量投与も、これらの合併症を回避する短期アプローチとして

考えられることが示されている(H2項を参照)263-266)。

疑問:PNの適応のある対象者(高リスクまたは重度の栄養障害

がある患者)において、ICU入室後1週間は用量を調節すべきか?

H2.PNを要する適応のある患者(高リスクまたは重度の栄養障害がある患者)において、ICU入室後1週間は、低カロリーPN

(20 kcal/kg/d以下または推定エネルギー必要量の80%)で、十分な蛋白(蛋白1.2 g/kg/d以上)を投与することを検討するよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:PNを要するICU患者では、低カロリー(20 kcal/kg/d以下

または推定エネルギー必要量の80%以内)ではあっても、十分

な蛋白(蛋白1.2 g/kg/d以上)を投与する栄養投与戦略が有益

であるかもしれない。この戦略は、高血糖やインスリン抵抗性の

可能性を低下させることにより、重症病態早期のPNの有効性を

至適化する可能性がある。ある患者グループでは、エネルギー

投与を過剰にしないことで、感染症の罹病率が低下し、人工呼

吸期間や病院LOSが短縮される266)。外傷、膵炎、または腹部/

胸部大手術を受けた患者を対象とした5試験の過去のメタアナ

リシスにおいて、この戦略(20 kcal/kg/d)で投与した患者の方

が、エネルギー目標値(25 kcal/kg/d)を投与した患者よりも、感

染症が有意に少なく、病院LOSも短縮されることが示された267)。

選択基準を満たす4試験のメタアナリシスでは、低カロリーPN投

与による死亡率(RR = 0.61、95% CI 0.20~1.85、P = 0.38)ま

たは感染性合併症(RR = 0.68、95% CI 0.30~1.57、P = 0.37)

の有意な減少は示されなかった266,268-270)。しかし、低カロリーPN

は高血糖の発現率低下につながっており、33.1%(95% CI 0%

~58.4%、P = 0.001)に対して0%(95% CI 0%~0.5%)であった270)。患者の状態が安定したら、推定エネルギー必要量の100%

を満たすようPN投与のエネルギーを増加してもよい。

疑問:ICU入室後最初の1週間に大豆ベースのIV用脂肪乳剤

(IVFE)を投与すべきか?成人重症病態患者において、従来の

大豆油(SO)ベースの脂肪乳剤に比べて、他のIVFE(すなわち

中鎖トリグリセリド[MCT]、オリーブ油[OO]、FO、混合油)を用

いる利点はあるか?

H3a.重症病態患者において、必須脂肪酸欠乏症の懸念がある場合、PN開始後1週間は、SOベースのIVFE投与を控えるか、最大100 g/週(しばしば週2回に分けて投与される)に制限するよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

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21

H3b.他のIVFEのほうが、大豆ベースのIVFEよりアウトカムに有益である可能性はあるが、米国ではこれらの製品が入手できないため、現時点では推奨を決めることはできない。専門家の見解に基づき、これら他のIVFE(SMOF[大豆油、MCT、オリーブ油、および魚油の乳剤]、MCT、OO、およびFO)が米国で入手できるようになり次第、PN適応の対象である重症病態患者において、それらの使用を検討するよう提案する。

根拠:現在米国では、PN用のIVFEの選択肢は、大豆ベースの

18炭素鎖ω6脂肪酸製剤に限定されている。複数のRCTにおい

て、入院後最初の1週間のPNにSOベースのIVFEを含めるべき

か否かについて検討された。しかしいまだに答えは得られてい

ない。特別委員会でも、SOベースのIVFEを単に「控える」より、

SOベースのIVFEを「控える」または100 g/週に「制限する」べき

とする見解に関し、64%しか合意に達していない(9名が賛成、5

名が反対)。外傷患者において、入院後10日間IVFEを含まない

PNを投与すると、SOベースのIVFEを含むPNを投与した患者に

比べて、感染症罹病率が有意に低く(肺炎、P = 0.05;カテーテ

ル関連敗血症、P = 0.04)(図10)266,268)、病院およびICUのLOS

が短く(P = 0.03およびP = 0.02)、人工呼吸期間も短かった(P

= 0.01)268)。しかし、IVFEを含まないPN製剤は、脂肪が含まれ

ないため低カロリーであった(21 kcal/kg/d vs 28 kcal/kg/d)268)。IVFEを含まない低カロリー製剤(合計1000 kcal/dおよび

蛋白70 g/d)とSOベースのIVFEの標準的な混合製剤(25 kcal/

kg/dおよび蛋白1.5 g/d)とを比較した同様の試験では、感染性

合併症、病院LOS、または死亡率に有意差は認められなかった266)。この所見は、多国籍のICUで5日以上PN投与を受けた患者

のアウトカムをレビューした大規模観察研究でも確認された。

IVFEを含まないPNとSOベースのIVFEを含むPNとの間で、臨床

アウトカムに統計的有意差は認められなかった271)。

 1週間は脂肪を投与しないという推奨事項は、主として

Battistellaの試験268)に基づくものであるが、この試験が厳しい

批判を受けている点に注意することが重要である。20年前に完

了した試験であり、以降結果は再現されていない266,271,272)。目

標カロリーは非蛋白カロリーに基づいていたため(総カロリー

ではない)、投与された総カロリーは、論文に示された量より多

かった。脂肪乳剤がより速い速度で12時間投与されると、網内

系が詰まり、クリアランスが低下し、高トリグリセリド血症が発現

する可能性がある(ただし、その値は測定されていない)。その

ため、過剰な栄養投与が、アウトカム不良が観察された一因と

なった可能性がある。

 SO以外をベースとした他のIVFEには、PNのリスク/ベネ

フィット比を改善する可能性のある成分がある。Manzanaresら

は、806名の患者を対象としたRCT 12試験の系統的レビューを

実施し、SOベースの脂肪乳剤のIVFEのみの場合と、MCT、OO、

FOと併用した場合の臨床アウトカムを評価した273)。アウトカム

に対する効果には、有意差は認められなかった273)。Palmerら

による391名の患者を対象としたRCT 8試験のメタアナリシス

では、ω3系FOベースのPNと、SOベースまたはSO+MCTベース

のIVFEとを比較した274)。その結果、他の脂肪ベースに比べて、

FOベースでは病院LOSがほぼ10日間(WMD =‐9.49、95% CI

–16.5~‐2.5、P = 0.008)*有意に減少したが、ICU LOS、感染

性合併症、および死亡率に関しては、群間で差異は認められな

かった274)。

 FOベースのIVFEの効果を示す最も頑健なシグナルは、観察

研究で認められた。国際栄養調査から収集されたデータにより、

FOベースの製剤では、SOベースのIVFEと比べて、ICU LOSが

有意に短く(HR = 1.84、95% CI 1.01~3.34、P = 0.05)、人工

呼吸期間が短い傾向が認められ(HR = 1.67、95% CI 1.00~

2.81、P = 0.051)、ICU生存退室の可能性が有意に高いことが

示された(HR = 2.40、95% CI 1.43~4.03、P = 0.001)275)。

 重症病態患者において、OOベースのIVFE(オレイン酸とし

てω9脂肪酸を含む)とSOベースのIVFEとを特に比較した試

験はほとんどない。Manzanaresらのメタアナリシスにおけるサ

ブグループ解析では、OOベースのIVFEでは、人工呼吸期間が

有意に短いことが示されたが(WMD = –6.47、95% CI –11.41

~–1.53、P = 0.01)、死亡率またはICU LOSに差異はなかった273)。国際栄養調査から収集した観察データによると、OOベー

スのIVFEを投与すると、SOベースの製剤に比べて、人工呼吸期

間が有意に短く(ハザード比[HR]= 1.43、95% CI 1.06~1.93、

P = 0.02)、ICUを生存退室する可能性が高くなることが示さ

れている(HR = 1.76、95% CI 1.30~2.39、P < 0.001)275)。

Umpierrezらの二重盲検RCTの結果は対照的であり、PNを要

する成人MICU/SICU患者にOOベースのIVFEを投与しても、

19972000

2.34 [0.96, 5.70]1.84 [0.83, 4.10]

44.6%55.4%

2721

56

3019

1310

Battistella 1997McCowan 2000

2.05 [1.13, 3.72]100.0%4811

4923

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=0.16, df=1(P=0.69); l2=0%統合効果の検定:Z=2.36(P=0.02) 0.1 0.2

脂肪含有が優越

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、ランダム、95% Cl脂肪含有 脂肪非含有 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

脂肪非含有が優越0.5 1 2 5 10

図10 大豆ベースの脂肪乳剤含有と非含有における感染性合併症の比較

G. PNを用いるべき場合/H. PNの適応がある場合に、その有効性を最大限にすること

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22 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

SOベースの製剤に比べて、アウトカムに対する効果は示されな

かった276)。他のIVFE、特にOOベースのPN製剤に変更すると、

標準的なSOベースの製剤よりもアウトカムが改善する可能性は

ある。しかし、これらの製剤は2013年10月にFDAの承認を受け

てはいるが、米国ではまだ市販されていないため、現時点では、

委員会はSO以外をベースとしたIVFEに変えて投与することに

ついて推奨を決めることはできない。

*訳者註:A.S.P.E.N.の承諾を得て、原文A.S.P.E.N.ガイドラインの誤記を修正しました。

疑問:混合調製したPN溶液に比べて、市販の標準化PN(プレ

ミックスPN製剤)を使うほうが有益な点はあるか?

H4.専門家の合意に基づき、市販の標準化PNには、混合調製したPN溶液に比べて、ICU患者の臨床アウトカムに関して有益性はない。

根拠:市販の標準化PNは、滅菌PNバッグ製剤で、中心静脈ラ

イン用と末梢静脈ライン用、電解質を含む製剤と含まない製剤

がある。市販の標準化PN製剤は、FDAの規制下にあり、GMPに

準拠し、米国薬局方の総則797条を遵守している。したがって、

混合調製したPN溶液より安全性が高いという利点があるが、市

販の標準化PN製剤の選択肢は限られているため、患者ごとの

主要栄養素や微量栄養素の必要量および臨床パラメータに基

づき、個別に調整することは困難である。中でも腎/肝機能障

害、水分制限、および電解質異常など、他に合併症がある重症

病態患者の場合は特に重要である。さらに、ブドウ糖の含有量

が多いため、高血糖や感染症を生じる可能性があるとして批判

されてきた。ICU患者に市販の標準化PN製剤を使用したデータ

は限られており、研究の大部分は後ろ向きまたは観察研究であ

る。完了した国際多施設共同RCT試験は1試験のみである277)。

MCT/長鎖トリグリセリドベースの脂肪乳剤とOOベースの脂

肪乳剤を配合した市販の標準化PNが使用されているが、同製

剤は現在米国では市販されていないため、得られた所見を外

挿していくことは困難である。著者は、ICU患者に市販の標準化

PN製剤を投与すると、混合調製したPN溶液を投与した場合に

比べて、血流感染症が有意に減少すると報告したが、28日死

亡率、ICU及び病院LOS、臓器不全、および低/高血糖の発現

率には差異は認められなかった277)。試験を実施した施設にお

ける混合調整した製剤の標準組成についての情報は示されな

かった。PNの指示、指示のレビュー、調合、表示、分注に関する

A.S.P.E.N.臨床ガイドラインは、調合(個別に調整または標準化)

されたPN製剤と同時に、市販の標準化PN製剤を選択肢として

検討し、各医療機関の患者のニーズに最適なものを選ぶよう推

奨している278)。ICU患者の代謝状態に適している場合には、市

販の標準化PNの使用を検討してもよい。

疑問:成人ICU患者における望ましい血糖値の目標範囲はどの

ようなものか?

H5.一般ICU患者の血糖値の目標範囲として140または150~180 mg/dLを推奨する。特殊な患者集団(心血管系の術後、頭部傷害)ではこの範囲は異なる可能性があり、本ガイドラインの適用範囲外である。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:高血糖は急性疾患および重症敗血症に対する一般的な

反応であり、アウトカム不良へとつながる可能性がある。この

範囲の下限値については依然として議論の余地があり、SCCM

は150~180 mg/dLを推奨し279)、一方A.S.P.E.N.では140~

180 mg/dLを推奨している。2001年のランドマーク試験では、

厳格な血糖管理(TGC)(80~110 mg/dL)と強化インスリン

療法(IIT)を併用すると、従来のインスリン療法(血糖値を200

mg/dL未満に維持)に比べて、敗血症が減少し、ICU LOSが短く

なり、院内死亡率も低下することが示された280)。効果は、MICU

患者よりSICU患者で顕著であった280,281)。しかし、単施設非盲

検試験であり、両群ともに死亡率が高く、患者は術後早期にブ

ドウ糖200~300 gのIV投与を受けたため、試験の結果につ

いては議論が分かれた280)。ドイツのICU 18施設では患者535

名を対象としたVISEP(Efficacy of Volume Substitution and

Insulin Therapy in Severe Sepsis:重症敗血症患者における

容量置換とインスリン療法の有効性)282)試験、フランスのICU

11施設では患者509名を対象としたCOIITSS(Corticosteroid

Treatment and Intensive Insulin Therapy for Septic Shock:

敗血症性ショックにおけるコルチコステロイド投与と強化イン

スリン療法)283)試験が実施され、2 × 2要因デザインに基づ

き、140~180 mg/dLの範囲の中等度の血糖管理(MGC)と比

較して、TGCと他の療法との併用の効果が研究された。VISEP

試験は、重度低血糖の発現率が増加して有害性が懸念された

こと、また死亡率に対する有益性が示されなかった事実に基

づき、早期中止された。COIITSS試験では、TGC群ではMGC群

に比べて、低血糖の罹病率が高く、死亡率が高い傾向が認め

られた。最大規模の試験であるNICE-SUGAR(Normoglycemia

in Intensive Care Evaluation and Survival Using Glucose

Algorithm Regulation:血糖管理アルゴリズム調整法を用いた

集中治療室における正常血糖値の評価と生存率)試験では、経

腸栄養投与を受けていた42施設の患者6104名を、血糖管理

目標を約80~100 mg/dLとする群(TGC)または180 mg/dL未

満とする群(MGC)のいずれかに無作為に割り付けた。TGC群の

患者では、90日目の死亡リスクが増加した(27.5% vs 24.9%、

P = 0.02)284)。本試験における重度低血糖により、損傷した脳の

障害が増悪することが懸念された。773名の患者が対象となる

RCT 3試験285-287)のレビューでは、TGC群では従来のMGC群に

比べて、低血糖の発現率が高かったが、感染率は低く、死亡率

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23

に対する影響は認められなかった。

 特殊な患者集団(心血管系の術後、頭部傷害など)については、

血糖管理に関して公表されているSCCMのガイドラインに従う279)。

疑問:成人ICU患者に経静脈グルタミン投与を実施すべきか?

H6.重症病態の患者に対して、経静脈でのグルタミンの日常的な補給は行わない推奨する。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:複数の最近の試験とメタアナリシスにより、重症病態患

者に対するグルタミンの静脈投与の安全性と有効性に関して

疑問が呈された。REDOX試験は、様々な国のICU 40施設の成

人重症病態患者1223名を対象とした2 × 2要因デザインに基

づく大規模RCTであり、患者は、プラセボ、グルタミン(経腸およ

び経静脈)、抗酸化物質(セレンのIV投与と、セレン、亜鉛、ベー

タカロチン、ビタミンE、およびアスコルビン酸の経口投与の併

用)、およびグルタミンと抗酸化物質の併用の4つの投与群のい

ずれかに無作為割付された288)。院内および6ヵ月後の死亡率

は、グルタミン投与群では、グルタミンが投与されていない患者

に比べて有意に高かった(それぞれ37.2% vs 31%、P = 0.02;

43.7% vs 37.2%、P = 0.02)288)。グルタミンの有害な作用に関

する最大の懸念は、MOFまたは昇圧剤の投与を要するショック

を有する重症病態患者において、早期に高用量(すなわち0.5

g/kg/d超)を投与した患者で認められた。ICU患者にグルタミ

ンを静脈投与したもう一つの大規模試験であるSIGNET試験で

は、感染性合併症と死亡率に関するアウトカムに対する効果は

示されなかった289)。

 グルタミンの補給による良好な短期生存率は、単施設臨床試

験や2003年以前に公表された試験でみられたものである290)。

対照的に、多施設共同試験や2003年以降に公表された試験で

は、死亡率に差異はないか、むしろ上昇している。患者2463名

が対象となる多施設共同試験5試験のメタアナリシスにより、グ

ルタミンを投与された患者では、プラセボ群に無作為割付され

た患者に比べて、死亡率が有意に高いことが示された(それぞ

れ35% vs 31%、P = 0.015)。しかし、患者1645名が対象とな

る単施設試験のメタアナリシスの結果は、これとは極めて対照

的であり、グルタミンを投与された患者では、対照群に比べて

死亡率が有意に低かった(それぞれ20% vs 23%、P = 0.019)291)。他に、グルタミン補給により生じたアミノ酸インバランス(外

部からの蛋白総摂取量の60%を補給)に、疾患が重症であるこ

と(MOF、ショックなど)が重なって、死亡率が上昇したと推論し

ている報告もある292)。また、ベースラインのグルタミン値を測定

した最近の試験では、補充療法開始時にグルタミン欠乏は示さ

れなかった293)。

疑問:PN投与を受ける患者において、EN耐性が改善して、EN

を増量し栄養投与法を移行する際には、どの時点でPNを中止

すべきか?

H7.専門家の合意に基づき、EN耐性が改善したらPNの投与エネルギーを減量し、エネルギー必要量目標値の60%超をENで投与できるようになったら、最終的に中止するよう提案する。

根拠:ENは、著明な利益をもたらすため、PNで安定している重

症患者に対して経腸栄養療法を開始できるよう繰り返し努力す

べきである。過剰栄養投与に関連する合併症を防ぐため、経腸

ルートから投与するエネルギー増加に応じて、静脈ルートから

投与するエネルギー量を減量しなければならない。EN投与量

が必要エネルギー目標値の60%を超え、さらに目標値に向けて

増量できるようになれば、PNを中止する253)。

I. 肺不全

疑問:肺不全の成人ICU患者にとって、最適な炭水化物/脂肪

比はどの程度か?

Ⅰ1.呼吸商に影響を与え、CO2産生抑制を目的とする高脂肪/低炭水化物製剤を、急性呼吸不全を伴うICU患者に使用しないことを提案する(推奨事項E3と混同しないこと)。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:早期の極めて小規模な試験(被験者20名)294)において

は、高脂肪/低炭水化物の経腸栄養製剤を呼吸不全患者に

投与すると、標準的な経腸栄養製剤よりも人工呼吸期間が短く

なった。しかし、その後の類似した大規模なRCT(被験者50名)

では、これらの所見は再現されなかった295)。非比較試験の結果

は、炭水化物に対する脂肪の主要栄養素比率を高めることで臨

床的に有意にCO2産生を減少できるのは、投与栄養過剰の状態

にあるICUの患者においてのみであると示唆している。栄養サ

ポートにおける投与エネルギーが必要量に近い場合は、主要

栄養素の比率がCO2産生に影響することはあまりないようであ

る296)。CO2産生は脂質生成(炭水化物や蛋白からの脂肪への転

化)で大きく増加し、またCO2を貯留しがちな患者ではCO2産生

に対する耐性が小さいと思われるため、エネルギーは、必要量

を超えない投与にするよう留意すべきである294,296,297)。重症肺

不全の患者では、IVFE(特にSOベースの脂肪乳剤)の急速投与

は、投与量にかかわらず避けるべきである。

疑問:急性呼吸不全の成人ICU患者において、水分量を制限し

た高濃度EN製剤の投与は有益であるか?

H. PNの適応がある場合に、その有効性を最大限にすること/I. 肺不全

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24 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

Ⅰ2.専門家の合意に基づき、急性呼吸不全患者(特に水分過負荷状態にある患者)では、水分量を制限した高エネルギーEN製剤を検討するよう提案する。

根拠:急性呼吸不全患者では、水分蓄積や肺浮腫、腎不全がよ

くみられ、望ましくない臨床アウトカムにつながる。したがって、

水分投与量を制限する必要がある急性呼吸不全患者では、そ

れを制限した高エネルギー栄養製剤(1.5~2 kcal/mL)の使用

を考慮することが勧められる297)。

疑問:呼吸不全のICU患者にENまたはPNを開始する際には、

血清リン濃度をモニタリングすべきか?

Ⅰ3.専門家の合意に基づき、血清リン濃度を注意深くモニタリングし、必要に応じて適切にリンを補給するよう提案する。

根拠:ICUでの中等度または重度の低リン酸血症(血清リン濃

度が2.2 mg/dL以下および1.5 mg*/dL未満と定義される)の

発現率は、ほぼ30%である298.300)。リンは、横隔膜の正常な収縮

と肺の適切な機能のために重要なATP(アデノシン三リン酸)お

よび2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)の合成に必須である。

低リン酸血症は、重症病態では多くみられる問題であり、呼吸筋

力低下やベンチレータ離脱不成功の潜在的な原因であると思

われる301)。MICU患者66名を対象としたコホート試験において、

ベンチレータ離脱の試みが193回行われ、血清リン濃度が1.18

± 0.27 mmol/Lの患者では、1.06 ± 0.31 mmol/Lの患者より

ベンチレータ離脱率が改善された(P = 0.008)。血清リン濃度

が0.80 mmol/L未満の患者では、正常範囲内の患者に比べて、

ベンチレータ離脱不成功のリスクが高かった(RR = 1.18、95%

CI 1.06~1.32、P = 0.01)302)。いくつかの非比較試験で示唆さ

れているように、(血清リン濃度が体内の総リン蓄積量を正確に

反映しているわけではないとしても)血清リン濃度を注意深くモ

ニタリングし、中等度から重度の低リン酸血症に対して、人工呼

吸患者の呼吸機能を最適に維持するために必要な場合は、病院

ごとのプロトコールに従って適切に補給すべきでである303-305)。

*訳者註:A.S.P.E.N.の承諾を得て、原文A.S.P.E.N.ガイドラインの誤記を修正しました。

J. 腎不全

疑問:急性腎傷害(AKI)の成人重症病態患者において、どのよ

うな場合に特別な経腸栄養製剤が適応とされるか?また、AKI

患者の状態を改善する上で、エネルギーと蛋白の適切な推奨

量はどの程度か?

J1.専門家の合意に基づき、急性腎不全(ARF)またはAKIのICU患者には、標準的な経腸栄養製剤を投与し、蛋白(1日量として実体重1 kgあたり1.2~2 g)およびエネルギー(25~

30 kcal/kg/d)に関する標準的なICU推奨事項に従うよう提案する。大きな電解質異常が発現した場合は、腎不全用に特別に処方された製剤(適切な電解質プロファイルを持つ製剤)を考慮してもよい。

根拠:重症病態患者においては、AKIが単独の臓器不全として

みられることは稀である。ICU患者にENを処方する場合は、基礎

疾患の経過、以前からの合併症および現在の合併症を考慮する

必要がある。ICが使用できない場合、AKIにおいていずれか1つ

の推定式が優れているということはない。専門家は、正常体重の

患者には通常時体重を、肥満患者や重症病態患者には理想体

重を用いて算出することに合意している。エネルギー必要量は、

IC、公表されている推定式、または体重を基にした簡略式(25~

30 kcal/kg/d)により判断可能である306-310)。AKIのICU患者に

は、一部の電解質(リン酸およびカリウムなど)の濃度を標準的

製剤より低くした特別な製剤が有益である場合もある306,308)。

疑問:血液透析またはCRRTを受けているAKIの成人重症病態

患者において、窒素損失量増加に対応するために適切な蛋白

摂取量の目標値はどの程度か?

J2.頻繁な血液透析またはCRRTを受けている患者では、蛋白投与量を最大2.5 g/kg/dまで増やすよう推奨する。透析療法を避ける、または開始を遅らせるための方法として、腎機能不全患者に蛋白制限を実施すべきではない。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:CRRT中は、大きなアミノ酸喪失(10~15g/d)がある310)。

CRRTを受けるAKI患者において、蛋白異化率から推定される

除脂肪体重における異化値は1.4~1.8 g/kg/dである306,310)。し

たがって、この療法を受ける患者には、少なくとも0.2 g/kg/dを

追加する必要があり311)、最大で合計2.5 g/kg/dを必要とする

可能性がある94,312)。窒素を過剰に摂取しても、尿素産生率が高

くなるだけであり、蛋白摂取量を極度に増やしても(2.5 g/kg/

d超)、大した効果は認められなかった94,313)。少なくとも1つの

RCTにおいて、このような患者の場合、窒素バランスを正にする

ためには2.5 g/kg/dの蛋白を摂取する必要があることが示唆さ

れている94)。

K. 肝不全

疑問:肝不全がある重症病態患者でも、肝不全のない重症病

態患者と同様にエネルギーおよび蛋白必要量を求めるべきか?

K1.専門家の合意に基づき、肝硬変および肝不全の患者では、腹水、血管内脱水、浮腫、門脈圧亢進、および低アルブミン血症などの合併症のため、エネルギーおよび蛋白量を求める推定式

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25

には、実体重ではなくドライウェイトまたは通常時体重を用いるよう提案する。他の重症病態患者と同様の推奨事項を使用し、肝不全患者の栄養投与では、蛋白制限を行わないよう提案する

(C4項を参照)。

根拠:栄養リスクの上昇と栄養状態の悪化は、慢性肝疾患患者

では広く認められるものであり、肝移植を待つ患者においても

一般的にみられる。栄養リスクの程度は、肝機能障害の重症度

と直接的に相関する。肝不全に伴う門脈圧亢進と蛋白合成障害

は、腹水と浮腫の原因となっているため、体重を基にした栄養ア

セスメントツールは不正確で信頼性も低くなる。疾患が慢性で

あるため、通常時体重やドライウェイトの判断は困難な場合が

多い。肝疾患における栄養障害の主要な原因は、味覚変化、早

期満腹、自律神経機能異常による胃不全麻痺、小腸運動の緩慢

化、口‐盲腸通過遅延など、複数の要素による経口摂取量の不

足である。肝硬変患者の場合、栄養障害があると罹病率や死亡

率が上昇する314)。また肝移植前の患者が重度の低栄養状態で

あれば、合併症が高率で発現し、移植後の全生存率が低下する315-318)。肝疾患の重症病態患者のエネルギー必要量は様々で、

簡略式で予測することは困難であるため、ICを用いて求めるの

が最も望ましい319)。従来、肝性脳症のリスク低減のために、蛋

白が制限されてきたが、栄養状態を悪化させ、除脂肪筋肉量を

減少させ、皮肉にもアンモニア除去量が減少する。したがって、

逆の結果を生じる可能性があるため、肝性脳症のリスク低減の

ためということで蛋白を制限すべきではない319,320)。肝不全患

者の蛋白必要量の算出にはドライウェイトを用いる必要がある

点に注意した上で、一般的ICU患者と同様の方法で求めるべき

である(推奨事項C4を参照)。

疑問:肝不全患者に適した栄養の投与ルートはなにか?

K2.専門家の合意に基づき、急性および/または慢性肝疾患のICU患者の栄養療法には、ENを優先するよう提案する。

根拠:長期PNを実施すると、すでに存在する肝硬変の悪化や敗

血症リスクを伴う肝不全などの肝合併症、血液凝固障害、およ

び死亡につながる可能性がある321)。PN関連の肝疾患は、通常

長期PN施行時に生じるが、急性期のICU患者においてもまた重

要な問題である。肝疾患患者では、ENによって栄養状態は改善

し、合併症は減少し、生存率が上昇するため、ENは最適な栄養

投与方法として推奨される。臨床試験では、PNまたはSTD(特別

な栄養療法なし)よりもENを用いる方が、肝疾患および肝移植

後の感染症発現率が低く、代謝性合併症も少なかった322-324)。

 肝機能障害の患者では、蛋白代謝産生物が関わる多くの要

素が絡み合った複雑なプロセスにより脳症が起こり、炎症、感

染、酸化ストレスにより悪化する。

疑問:肝疾患の重症病態患者には、疾患別の経腸栄養製剤が

必要か?

K3.専門家の合意に基づき、急性および慢性肝疾患のICU患者には、標準的な経腸栄養製剤を用いるよう提案する。消化管内活性抗生物質(luminal acting antibiotics)やラクツロースを用いた第一選択療法をすでに受けている脳症のICU患者において、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤により、昏睡のグレードがさらに改善することを示すエビデンスはない。

根拠:肝疾患で重症病態の患者において、全蛋白を含む標準的

な製剤よりもBCAA強化製剤の方が患者アウトカムを改善するこ

とを示唆するエビデンスはない。肝不全患者の肝性脳症治療に

BCAAを用いる根拠は、肝不全患者では、中枢神経系の結合部

位で芳香族アミノ酸と競合するBCAAの濃度が低下しているこ

とと、アンモニアからグルタミンへの無毒化を促すためである。

外来患者を対象とした無作為化試験において、長期(12ヵ月お

よび24ヵ月)にわたりBCAA顆粒を経口補給すると、肝疾患およ

び/または肝不全の進行を遅らせ、有害事象のない生存期間を

延長することが示唆されている325-327)。現在までに、第一選択療

法(抗生物質やラクツロース)をすでに受けている肝性脳症患者

において、BCAAを追加投与することにより、精神状態や昏睡のグ

レードがさらに改善されることを示すエビデンスはない325,326)。

L. 急性膵炎

疑問:急性膵炎における疾患の重症度は、特別な栄養療法実

施の決定に影響を及ぼすか?

L1a.専門家の合意に基づき、急性膵炎における初期栄養アセスメントでは、疾患の重症度を評価し、それを栄養療法の指針とするよう提案する。疾患の重症度は急速に変化するため、栄養投与に対する耐性と特別な栄養療法の必要性について、頻繁に再評価するよう提案する。

根拠:軽度膵炎は、臓器不全や局所合併症がない病態と定義

される。中等度急性膵炎は、一過性の臓器不全の持続時間が

48時間未満であり、局所合併症がある病態と定義される。臓器

不全は、ショック(収縮期血圧が90 mmHg未満)、肺機能不全

(Pao2/Fio2が300以下)、または腎不全(血清クレアチニンが

1.9 mg/dL以上)と定義される328-33)。CT上での局所合併症に

は、偽性嚢胞、膿瘍または壊死等がある。重症急性膵炎は、臓

器不全が入院から48時間を超えて持続する病態と定義される332)。以前のスコアリングシステムでは、中等度から重度の急性

膵炎患者の判定に、望ましくない予後徴候(APACHE IIスコア

が8以上[Acute Physiology and Chronic Health Assessment

II]、Ranson Criteriaが3超、およびCRPレベルが150 mg/L超)

I. 肺不全/J. 腎不全/K. 肝不全/L. 急性膵炎

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26 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

の有無も使用されていた328,330)。

 中等度から重症の急性膵炎患者を軽度患者と区別すること

は、ICU治療、適切な水分投与、早期臓器不全の治療、栄養療法

の必要な患者を特定する上で有用である332)。高スコアでSIRS

またはCT上での壊死がある患者が重度疾患である陽性予測値

は、50%未満である332)。特定の状況下では、入院時に軽度急性

膵炎と考えられた患者が、重度疾患へと急速に進行する可能性

がある。入院時に軽度疾患であったにも関わらず悪化し、ENに

対する大きな不耐性を示す患者もいれば、重度疾患であるにも

関わらず、数日で経口食へと進めることができる患者もいること

から、疾患活動性の経過の中で患者が最初にどの位置にあり、

どのように進むのかを判断することが困難であると考えられる。

疑問:軽度急性膵炎患者に特別な栄養療法は必要か?

L1b.軽度急性膵炎患者には、特別な栄養療法を実施せず、耐性を獲得できれば経口食へと進めるよう提案する。予期しない合併症を発現したり、7日以内に経口食へと進めない場合には、特別な栄養療法を検討すべきである。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:軽度急性膵炎患者は、重症の患者と比べ合併症発現率

が非常に低く(6%)、死亡率はゼロに近く、7日以内に経口食へ

進める率が81%である247,333,334)。そのような患者の場合は、栄

養サポート療法を行うことでアウトカムが変化するとは思えな

い。これらの患者の場合、患者が望めば通常食へと進めたほう

が、無残渣液状食のみの場合より、病院LOSが改善されること

が示されている(WMD = –2.62、95% CI –3.38~–1.86、P <

0.00001)(図11)335,336)。日常的な指標(疼痛、悪心、嘔吐がな

く、膵酵素が正常)を用いたプロトコールは不要であり、無残渣

液状食から始める必要もない335-337)。

疑問:急性膵炎での入院後、早期に特別な栄養療法を要する

のは、どのような患者か?

L1c.中等度から重度の急性膵炎患者には、輸液蘇生が完了し

たら(入院後24~48時間以内)経鼻/経口経腸チューブを留置し、trophicな速度でENを開始して、目標投与量まで増量するよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:中等度から重度の急性膵炎で早期ENによりアウトカムが

改善するという根拠は、主としてENとPNを比較した試験に基づ

くものであり、その場合、PNは陰性対照とされる。一部の試験に

より、早期ENがSTDより有益である(死亡率が低い傾向)ことが

示され338-340)、ENを遅延した場合に比べて、早期ENによりアウト

カムが改善すること(感染症、臓器不全、ICU LOS、およびSIRS

の減少)が示されている341,342)。中等度から重度の急性膵炎患

者のどの程度の割合が、入院後3~4日以内に(軽度疾患の患

者に関するデータと同様)経口食へと進めることができて、特別

な栄養療法を必要としないのかは明らかにされていない。中等

度から重度の急性膵炎患者において、入院後72~96時間を超

えてもEN療法を開始しないと、急速に栄養状態が悪化し、特有

の合併症を生じるリスクがある。

疑問:中等度から重度の急性膵炎患者に早期ENを開始する場

合、どのような製剤が最も適しているか?

L2.重症急性膵炎患者の場合、標準的な半消化態(polymeric formula)製剤を用いてENを開始するよう提案する。重症急性膵炎患者への免疫強化製剤投与は有望に思われるが、現時点ではデータが不十分なため推奨するには至らない。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:中等度から重度の急性膵炎患者に早期ENを開始する際

には、標準的な半消化態(polymeric formula)製剤が適切であ

る。免疫調整製剤と標準的な経腸栄養製剤を比較した小規模

RCT 3試験(2試験ではアルギニンとFO含有、1試験ではFOのみ

を含有)の結果から、将来的には、これらの免疫栄養製剤により

アウトカムに対するさらなる効果が期待されるが、現時点では

試験数が少ないため推奨するには至らない176,343,344)。

20082013

[-3.79, -1.35] [-3.62, -1.68][-3.38, -1.86]

-2.57-2.65-2.62

38.6%61.4%

100.0%

5260

112

6.756.91

493079

4.184.26

平均値 合計 平均値

3.372.43

2.862.08

[-3.38, -1.86]-2.62100.0%11279

SD SD 合計 重み 年lV、ランダム、95% Cl2.1.1 l.Sathiarai 2008Rajkumar 2013小計 (95% Cl)異質性:Tau2=0.00; Chi2=0.01, df=1(P=0.92); l2=0%統合効果の検定:Z=6.79(P<0.00001)

合計 (95% Cl)異質性:Tau2=0.00; Chi2=0.01, df=1(P=0.92); l2=0%統合効果の検定:Z=6.79(P<0.00001)サブグループの差異の検定:適用外 -10 -5

軟状/低脂肪

試験またはサブグループ lV、ランダム、95% Cl軟状または低脂肪 無残渣液状 平均差平均差

無残渣液状0 5 10

図11 軟状/低脂肪食と無残渣液状食における軽度急性膵炎患者の入院期間の比較

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27

疑問:重症急性膵炎患者には、ENとPNどちらを投与すべきか?

L3a.栄養療法を必要とする重症急性膵炎患者には、PNよりENを用いるよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:中等度から重度の急性膵炎の初期栄養療法として、PN

を用いるべきではない。ENはPNに比べてリスク/ベネフィット

比が優れているため、PNよりENを用いるほうが望ましい。無作

為化試験10試験47,53,61,345-350,353*)を対象とした過去の3つのメ

タアナリシスから、ENを用いれば、PNよりも感染症罹病率が低く

(RR = 0.46、95% CI 0.29~0.74、P = 0.001)338)、病院LOSが

短く(WMD = –3.94、95% CI –5.86~–2.02、P < 0.0001)338)、

手術の必要性は小さく(RR = 0.48、95%CI 0.23~0.99、P =

0.05)351)、MOFは少なく(OR = 0.306、95% CI 0.128~0.736、

P = 0.008)、死亡率も低くなる(OR = 0.251、95% CI 0.095~

0.666、P = 0.005)352)ことが示された。選択基準に適合した試

験のうち、9試験ではEN投与を受ける患者でのほうがPNより死

亡率が低く(RR = 2.17、95% CI 1.13~4.17、P = 0.02)†、7試

験では感染性合併症 が少ないこと(RR = 2.45、95% CI 1.61~

3.74、P < 0.0001)††が示された(図12および図13)。

疑問:重症急性膵炎患者に対しては、胃、小腸どちらに栄養投

与すべきか?

L3b.経胃と経空腸ルート間で耐性または臨床アウトカムに差異がないため、重症急性膵炎患者には、これら2つのいずれかの投与ルートでEN投与するよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:重症急性膵炎患者を対象に経胃投与と経空腸投与を比

較したRCT 3試験では、この消化管内の2つの投与部位間で、

耐性または臨床アウトカムに有意な差は認められなかった354-

356)。Changらによるメタアナリシスでも、疼痛感、下痢、またはエ

ネルギーバランス(エネルギーの補給)に関して、投与部位間で

差異は認められなかった357)。

疑問:重症急性膵炎患者にENに対する不耐性がある場合、耐

性を強化するために、どのような戦略を用いることができるか?

L4.専門家の合意に基づき、ENに対する不耐性がある中等度から重度の急性膵炎患者に対しては、耐性を改善するための措置を講じるよう提案する。

2.50 [1.04, 6.03] 0.16 [0.01, 2.96] 2.25 [1.12, 4.53] 2.00 [0.75, 5.33]3.04 [1.18, 7.82]

2.35 [1.11, 4.99]6.26 [0.35, 112.70]

23.0%0.0%

36.3%18.5%20.0%

0.0%2.1%

26261816483516

5364570

27232016413418

130

158

1316

3

Abou-Assi 2002Eckerwall 2006Kalfarentzos 1997McClave 1997Olah 2002Petrov 2006Windsor 1998

2.45 [1.61, 3.74]100.0%12420

12252

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=0.86, df=4(P=0.93); l2=0%統合効果の検定:Z=4.16(P<0.0001) 0.1 0.2

PN

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み M-H、ランダム、95% ClPN 経空腸 EN 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

幽門後0.5 1 2 5 10

図13 重症急性膵炎患者の静脈栄養(PN)と経腸栄養(EN)における感染症の比較

199719971998200220032005200620072007

[0.18, 18.21]Not estimable [0.23, 86.77]

[0.56, 3.44]Not estimable [0.23, 71.38] [1.49, 25.57]

[0.01, 6.94] [0.27, 93.55]

8.0%

4.9%51.5%

5.2%21.2%

4.3%5.0%

18161627

910352311

100600210

20161826

818342611

202803

1202

Kalfarentzos 1997McClave 1997Windsor 1998Abou-Assi 2002Gupta 2003Louie 2005Petrov 2006Eckerwall 2007Casas2007

[1.13, 4.17]

1.80

4.471.38

4.056.180.305.00

2.17100.0%16510

17729

合計 (95% Cl)イベント合計異質性:Tau2=0.00; Chi2=5.46, df=6(P=0.49); l2=0%統合効果の検定:Z=2.32(P=0.02) 0.1 0.2

PN

イベント試験またはサブグループ 合計 イベント 合計 重み 年 M-H、ランダム、95% ClPN 経空腸 EN 相対危険度

M-H、ランダム、95% Cl相対危険度

幽門後0.5 1 2 5 10

図12 重症急性膵炎患者の静脈栄養(PN)と経腸栄養(EN)における死亡率の比較

L. 急性膵炎

*訳者註:A.S.P.E.N.の承諾を得て、原文A.S.P.E.N.ガイドラインの誤記を修正しました。†参照:47, 53, 61, 345, 347-350, 353 ††参照:47, 53, 345, 346, 348, 350, 353

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28 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

根拠:中等度から重度の急性膵炎患者において、ENに対する

耐性を改善する方法には、できるだけ早く(ICU入室後48時間

以内)にENを開始して、イレウスの期間を短縮すること358)、EN

投与する部位を消化管の中でより遠位に変更すること359,353)、

標準的な半消化態(polymeric formula)製剤から低分子ペプチ

ドとMCTを含む製剤、またはほぼ無脂肪の成分栄養製剤へ変

更し360,361)、ボーラス投与から持続投与へ変更すること362,363)な

どがある。

疑問:重症急性膵炎患者には、プロバイオティクスを投与すべ

きか?

L5.早期EN投与を受ける重症急性膵炎患者では、プロバイオティクスを検討するよう提案する。

[エビデンスの質:低い]

根拠:Olahらによる欧州での小規模RCT 2試験での早期経験

から、重症急性膵炎患者にLactobacillus 1~4株を用いたプ

ロバイオティクス療法を実施すると有益であることが示された364,365)。しかし、被験者296名を対象としたBesselinkらによるオ

ランダでの大規模多施設共同試験206)では、空腸への直接投与

による積極的なプレバイオティクスおよびプロバイオティクス

療法(LactobacillusおよびBifidobacter 6株、1010 CFU/L超)に

無作為割付された患者では、プレバイオティクス療法のみを投

与された対照群に比べて、死亡率(16% vs 6%、P < 0.05)、MOF

(22% vs 10%、P < 0.05)、および手術の必要性(18% vs 10%、

P < 0.05)が高くなることが示された。欧州と米国いずれにおい

ても、プロバイオティクスは連邦食品・医薬品・化粧品法の201

(s)項および409項に基づき、GRAS(generally recognized as

safe)指定を受けている。膵炎または重症病態患者を対象とし

た他のいずれのRCTでも、本試験で示されたようなICU患者に

対するプロバイオティクスの有害な作用は認められなかった。

 Besselinkによる多施設共同試験と他の小規模RCT 4試験

の被験者507名を対象とした2010年のZhangらのメタアナリ

シスでは、プロバイオティクスを使用すると、プラセボのみを投

与した対照群に比べて、感染(30.7% vs 43.0%、P = 0.05)およ

び病院LOS(–3.87日、95% CI –6.20~–1.54、P < 0.001)が減

少することが示された366)。2013年には、Wangらにより被験者

183名と2種類のプロバイオティクス生物(Bacillus subtilusと

Enterococcus faecium)を対象としたさらに大規模なRCTが実

施され、プロバイオティクス生物を含有するEN投与を受ける

患者ではENのみの投与を受ける対照群に比べて、膵性敗血症

(12.9% vs 21.3%、P < 0.05)および多臓器機能障害(11.3%

vs 24.6%、P < 0.05)は有意に減少したが、死亡率に変化はな

かった344)。

 これらの試験では、様々なプロバイオティクス生物が使用さ

れた。市販製剤が存在しないため、現時点では特定の用量や生

物種に関する推奨はできない。

疑問:重症急性膵炎患者の場合、いつPNを使用することが適

切か?

L6.専門家の合意に基づき、重症急性膵炎患者でENが実施不可能な場合、膵炎発症の1週間後にPN投与を検討するよう提案する。

根拠:重症急性膵炎患者でENが実施不可能な場合、PN開始の

タイミング(およびPNとSTD療法のいずれかの選択)が重要な

問題となる。早期の無作為化試験において、Saxらは、軽度から

中等度の急性膵炎患者では、入院から24時間以内にPNを開始

すると、STD療法(栄養療法なし)に無作為割付けされた患者よ

りも、病院LOSが有意に長くなるという有害な影響につながった

と報告している247)。逆に、その後実施されたXian-Liらによる試

験においては、重症膵炎患者を対象に「完全な輸液蘇生」の24

~48時間後にPNを開始すると、STD療法を実施した場合より

も、合併症全体の発現が有意に少なく、病院LOSが有意に短く、

死亡率も有意に低かったと示されている367)。後者の試験ではそ

のデザインによって、PN開始に数日の遅延差が生じており、お

そらく炎症反応のピークのあとになっている338)。

M. 一部の外科患者

外傷

疑問:外傷患者の栄養療法は、他の重症病態患者とは異なる

のか?

M1a.他の重症病態患者と同様に、受傷直後(受傷後24~48時間以内)、患者の血行動態が安定し次第、高蛋白半消化態

(polymeric formula)製剤による早期経腸栄養投与を開始するよう推奨する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:蛋白/エネルギー必要量の算出や栄養療法の投与ルー

トおよびタイミングを含め、外傷患者における栄養アセスメント

は、他の重症病態ICU患者と同様である。(A項およびB項を参

照)。外傷に対する代謝反応は、代謝の劇的な変化を伴い、糖新

生のための基質として、また免疫機能や修復機能の維持のため

に除脂肪体組織を利用することに関連している368)。外傷後の

ホルモン環境は、除脂肪体重が保持される飢餓に対する通常

の反応を凌駕し、骨格筋が失われ続ける25)。不活発な状態、安

静臥床、および不動などにより、筋肉に物理的な負荷がかから

ないと、カルシウム依存性蛋白分解、ATP依存性蛋白分解、リソ

ソームによる蛋白分解、およびフリーラジカルによる酸化的活

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29

性化などの様々な機序により、筋肉の蛋白合成量が減少する369)。これらの生理的プロセスにより、外傷患者の除脂肪体重が

減少し、さらに栄養療法が困難になる。

 外傷における栄養補給のタイミングは、アウトカムに影響を

及ぼす可能性がある。過去20年間で実施された試験は極めて

少ないが、外傷患者が十分に蘇生したらすぐに(理想的には

24時間以内)、消化管への栄養投与開始をすることが過去の

データにより支持されている。RCT 3試験の被験者126名を対

象としたDoigらによる最近のメタアナリシスでは、このような早

期に栄養投与をすると、患者の死亡率が低下することが報告さ

れた370)。2008年度外傷・栄養ガイドライン(Trauma Nutrition

Guidelines)では、初期24~48時間以内に経胃ルートで栄養投

与を開始し、経胃投与に対する不耐性のエビデンスが示された

場合にのみ、幽門後アクセスへと進めるよう推奨している371)。

外傷患者の場合、その損傷を処置するために幾度も手術を受

けることが多く、結果として栄養療法が中断されることが多くな

る372)。このような患者の場合、量に基づく栄養投与アプローチ

が有益であろう(A項およびB項を参照)。

 これらの患者では、外傷の程度によりICU在室期間が長くな

るため、適切な時期に栄養状態を再評価しなければならない。

エネルギー必要量は、多くの因子により異なる。安静時エネル

ギー消費量(REE)は、4~5日間に渡り最も高値となり、9~12日

間は高い状態が続く(エネルギー消費量がある程度上昇した状

態が21日間続く)373)。体内の総蛋白の約16%は最初の21日間

で失われ、その67%は骨格筋のみによるものである373)。エネル

ギー目標値は、外傷の段階に応じて20~35 kcal/kg/dの範囲

内とすべきである。蘇生段階早期は低用量のエネルギー投与を

行い、患者がリハビリテーション段階に入れば、エネルギー投与

量を自由に増量するよう推奨する。蛋白必要量は他のICU患者

と同様ではあるが、1.2-2g/㎏/dよりも高めの投与設定となるか

もしなれない(C4項を参照)。

疑問:重度外傷患者のアウトカムを改善するためには、免疫調

整製剤を日常的に使用すべきか?

M1b.重度外傷患者では、アルギニンおよびFOを含む免疫調整製剤を検討するよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:EPA、DHA、グルタミン、アルギニン、および核酸などの栄

養素を含む代謝または免疫調整製剤の使用については、外科

患者を対象に広く研究されてきた。外傷患者に対する使用は、

複数の系統のエビデンスにより理論上支持されているが、アウ

トカムに対する効果の記録は不足している。免疫調整製剤を用

いたRCT 8試験のメタアナリシス(対象は外傷患者372名とな

る)では、標準的な経腸栄養製剤の投与を受ける対照群と比較

して、感染、病院LOS、または死亡率に関するアウトカムに差異

は示されなかった374)。これらの製剤の至適レベルや組み合わ

せについては判明していない。

外傷性脳損傷

疑問:TBI患者に対する栄養療法は、頭部傷害のない他の重症

病態患者や外傷患者と異なるか?

M2a.他の重症病態患者と同様に、血行動態が安定すれば、受傷直後(受傷後24~48時間以内)に早期経腸栄養投与を開始するよう推奨する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:TBIがある重症病態患者は、他の傷害や臓器障害を伴う

ことが多いため、不均一な患者集団となる。外傷に対する病態

生理学的な免疫反応や代謝反応は患者ごとに異なり一貫性

がなく、さらに管理方法も様々であることから、代謝要求量が

異なることになる。TBIを伴う患者の場合、栄養療法を開始する

タイミングが、アウトカムに重要な影響を及ぼす368)。Cochrane

による早期レビューでは、早期栄養療法(受傷後24~72時間

以内)を受けた患者の方が、栄養投与が遅延した患者(受傷

後3~5日以内)よりも、投与ルート(早期EN vs 遅延EN、早期

PN vs 遅延PN、早期PN vs 遅延EN、またはEN vs PN)に関わ

らず、アウトカムが良好になる傾向が示された375)。脳外傷財団

(Brain Trauma Foundation)が実施した前向き試験では、早

期栄養療法による投与量と死亡リスクとの間に有意な関係が示

された376)。TBI後のエネルギーと蛋白の至適摂取量は、2週間

後の死亡リスクに関わる予測因子であり、エネルギー摂取量が

10kcal/kg/d増加するごとに、死亡率は30%~40%低下し、約

25 kcal/kg/dで水平状態に達した。

 CochraneレビューとWangによるメタアナリシス344)では、これ

らの患者の栄養投与ルート(ENとPN)間でアウトカムに有意差

が示されなかったという事実にも関わらず、委員会では、ENが

TBIにおいて望ましい栄養投与ルートであると推奨し、他の重症

病態患者に認められた免疫応答と腸管の正常性維持に対する

ENの有益性を暗に示唆している(M1a項を参照)374,376)。最大の

利益を得るために臨床医は、蘇生後できるだけ早くENを開始す

るべきである(ただし、EN不耐性の徴候があれば、PNへ切り替

える閾値を低くする)。

 エネルギー必要量は、主としてTBIの管理方法により影響を

受ける。早期管理における麻痺薬および/または昏睡誘導剤

の使用などの変数により、実際に測定されたエネルギー消費量

は、ベースラインに予測されたREEの100%~200%と幅がある377)。蛋白必要量は、1.5.~2.5 g/kg/dの範囲内とされる42,378)。

疑問:免疫調整製剤は、TBI患者に使用すべきか?

M2b.専門家の合意に基づき、TBI患者に対しては、アルギニン

L. 急性膵炎/M. 一部の外科患者

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30 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

を含有する免疫調整製剤を使用するか、または標準的な経腸栄養製剤にEPA/DHAを補充するよう提案する。

根拠:成人TBI患者(被験者40名)を対象とした小規模試験1件

においてのみ、免疫調整製剤(アルギニン、グルタミン、プレバ

イオティクスファイバー、およびω3脂肪酸を含む)を標準的な

経腸栄養製剤と比較し、感染率が低下することが示された379)。

神経外傷患者へのEPAおよびDHAの利用について、TBI後の回

復の促進に対して近年特に関心が高まっており、今後の研究で

は、このような戦略をさらに支持する情報が提供される可能性

がある380)。

腹部開放創(Open Abdomen)

疑問:OA処置を受けた患者に対するEN投与は安全か?

M3a.専門家の合意に基づき、OA処置を受けた患者に腸損傷がなければ、早期EN(受傷後24~48時間)を開始するよう提案する。

根拠:OA処置は、損傷治療のための開腹後、主に過剰な腹腔

内圧を加えなければ腹腔を閉じることができない場合に腹腔

内容物を管理する際にしばしば行われる。この手技は、主として

腹部外傷に対する蘇生術後や、術後腹部コンパートメント症候

群の場合に行われる。また、OA処置術は、腹膜炎全般、三次性

腹膜炎、または感染性膵壊死に摘出開処置管理術の適応を検

討すべきリスク因子は、腹壁コンプライアンス低下、腸管内容物

の増加、腹腔内容物増加、毛細血管漏出を伴う高用量輸液蘇生

の4つに明確に分類される。OAの期間は、数日から状況によっ

ては数週間に及ぶ。適切な時期に根治的一次筋膜閉鎖を行うこ

とが理想的である。381,382)

 多くの医師は、OA患者への経腸栄養投与を躊躇する。しか

し、後ろ向きデータにより、腸管損傷がなければ、このような

患者に対しても安全に栄養投与できることが示唆されている。

Level1外傷センター11施設のOA患者597名を対象とした多

施設共同後ろ向きレビューでは、患者の39%には閉腹前にEN

投与を実施したことが報告されている383)。腸管損傷のない患

者307名を対象としたロジスティック回帰分析では、EN投与を

実施すると、STDを受ける患者よりも、腹筋膜閉鎖までの期間、

肺炎、腹腔内合併症、および死亡率が有意に減少することが

示された(すべての差についてP ≦ 0.02)383)。別の後ろ向きレ

ビューでは、EN投与のタイミングによって群分けを行い、検証

が行われた(早期[4日以内]と遅延[4日経過以降]の比較)。合

併症または死亡率に差異は認められなかった。しかし、早期投

与群では、腹筋膜閉鎖の時期が早くなり(P < 0.02)、瘻孔形成

例は少なくなった(P < 0.05)384)。消化管損傷がないOA患者

100名を対象とした多施設共同前向きコホート試験において、

早期ENを受けた患者(受傷後36時間以内)と栄養投与が遅れ

た患者(36時間経過以降投与)が比較され、早期ENは安全であ

り、肺炎低減に関与する独立因子であることが示された(OR =

0.32、95% CI 0.13~0.70、P = 0.008)385)。

疑問: OA患者では、蛋白またはエネルギーの必要量が増加す

るか?

M3b.専門家の合意に基づき、OA患者には、失われた滲出液1リットルあたり蛋白15~30 gを追加投与するよう提案する。エネルギー必要量は、他のICU患者と同様に判断するべきである

(A項を参照)。

根拠:OA患者には、基本的に全体表面積の約40%に相当する

大規模な腹部開放創がある。腹膜が曝露されていると高蛋白の

滲出液を生じるが、これは基本的に血清の限外濾過液である。

その結果、これらの患者では多量の蛋白が失われる。蛋白喪失

量は、ドレーンや腹部創を陰圧に維持する装置によって失われ

た液量に基づくものである。滲出液1リットルあたり蛋白15~

30 gと報告されている386-388)。エネルギー必要量は、他の外科

または外傷ICUの患者と同様である。

熱傷

疑問:熱傷患者には、どのような栄養サポート法を用いるべき

か?

M4a.専門家の合意に基づき、消化管が機能しているが自分の意志での栄養摂取量が推定エネルギー必要量を満たす上で不十分な熱傷患者には、EN投与を実施すべきである。ENが実施不可能、または耐性がない熱傷患者にのみPN投与を行うべきである。

根拠:ENとPNを比較すると、EN投与に無作為割り付けされた

患者に投与される量のエネルギー目標値に対する割合はPNの

場合より低いが、アウトカムはPNの場合より良好な傾向が認め

られる。データは、熱傷モデル、熱傷の体表面積、および投与の

タイミングなどについて混在したものではあるが、ENではPNに

比べて、感染症が少なく、死亡率が改善することが示された389)。

Herndonらによる熱傷患者を対象とした早期試験では、補足的

PNの効果について評価され、PNとEN両方の投与を受ける患者

では、ENのみの投与を受ける患者より感染症の発現率と死亡

率が高いことが示された。390) Lamらによる臨床試験では、熱傷

患者82名を対象に早期ENとPNが比較された。エネルギー必

要量はCurreriの式で推算されており、PN投与群患者へのエネ

ルギー投与量の方がEN投与を受ける患者より有意に多かった

が、PN群に無作為割り付けされた患者では、感染症罹病率(特

に肺炎)と死亡率が高いことが示された391)。PN投与を受ける熱

傷患者よりもEN投与を受ける熱傷患者の方が、有意に蠕動が

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31

多く、虚血/再灌流障害が少なく、消化管透過性が低いことか

らわかるように、早期経腸栄養投与は消化管の構造や機能の

改善につながる392)。

疑問:熱傷患者のエネルギー必要量は、どのように判断すべき

か?

M4b.専門家の合意に基づき、利用できる場合はICを用いて、週1回、繰り返し熱傷患者のエネルギー必要量を評価するよう提案する。

根拠:他の重症病態患者と同様に、エネルギー必要量の最も正

確な評価方法としてICを推奨する。ICが利用できない場合、公

表されている様々な推定式がこれまで使用されてきたが、熱傷

患者においてはその精度が高くない。Dickersonらは、1953~

2000年に公表された46の推定式を評価したが、全体表面積の

20%を超える熱傷がある患者24名において、ICで測定されたエ

ネルギー消費量を正確に推算した式はなかった393)。壊死組織

の早期切除および移植など、熱傷治療の変化により、過去20年

以上報告されてきたエネルギー消費における代謝亢進反応は

減少している394)。

疑問:ICUでの治療を要する大規模熱傷患者に投与する蛋白

の至適量はどの程度か?

M4c.専門家の合意に基づき、熱傷患者には1.5~2 g/kg/dの蛋白を投与するよう提案する。

根拠:Wolfeらは、全体表面積の平均70%に熱傷がある成人6

名を対象としたクロスオーバー試験において、全身の蛋白合

成率および異化率を評価し、蛋白1.4 g/kg/dを投与した場合

と2.2 g/kg/dを投与した場合とを比較した395)。試験の結果、2

用量間で蛋白代謝の変化に差異はなかったが、2.2g/kg/d投

与群で蛋白異化率の増加が示された395)。2001年度米国熱傷

学会(American Burn Association)ガイドラインと2013年度

ESPENガイドラインでは、いずれも熱傷患者に蛋白1.5~2 g/

kg/dを投与するよう推奨している389,396)。

疑問:いつ栄養サポートを開始すべきか?

M4d.専門家の合意に基づき、熱傷患者には、極めて早期(可能であれば受傷後4~6時間以内)にENを開始するよう提案する。

根拠:熱傷患者20名を対象とした非無作為化試験では、受傷

後5時間までのEN開始と熱傷後48時間経過以降のEN開始に

患者を順次割り付けた。早期EN群の患者は遅延EN群の患者に

比べて、正の窒素バランスを早期に達成し、入院後初期2週間

の尿中カテコラミン濃度および血漿グルカゴン濃度が低く、イ

ンスリン濃度が有意に高いこをが示された397)。菌血症の発現

率と病院LOSは、両群で同様であった397)。Pengらは、全体表面

積の50~80%に熱傷がある中国人患者22名を対象に、ENの

早期投与(入院後24時間以内)と投与遅延(48時間以降)にお

ける感染率、血清エンドトキシン、およびTNFを比較した398)。EN

投与が遅延した患者では、早期EN投与を受けた患者よりも、血

清TNF濃度と血清エンドトキシンの増加量が有意に大きかった398)。Vicicらは、全体表面積の20%超に熱傷がある患者102名

を対象に、受傷後4時間以内と極めて早期に経鼻空腸チューブ

でENを開始した場合と、通常経口食とを比較した。早期栄養投

与群の被験者では、通常経口食を投与された対照群によりも、

合併症(P = 0.04)、肺炎(P = 0.03)、および敗血症(P = 0.02)

の発現率が有意に低かった399)。経鼻経腸チューブを小腸に留

置すると、早期EN投与に有用であると思われる。

N. 敗血症

疑問:重症敗血症患者は、早期EN療法の対象となるか?

N1.専門家の合意に基づき、重症敗血症/敗血症性ショックの重症状態患者には、診断から24~48時間以内、蘇生が完了し、患者の血行動態が安定したらただちにEN療法を開始するよう提案する。

根拠:重症敗血症/敗血症性ショック患者を対象とした栄養療

法を特に取り上げた試験はない。この症状は、通常他の多くの重

症病態と併せて生じるため、これまでの試験にはこのような不均

一性が反映されている。重症敗血症および敗血症性ショックの

ICU患者の場合、消化管機能障害の発現率は60%にも上ると広

く考えられている70,101,400,401)。これらの重症病態患者では、消化

管機能障害と過度の急性期反応による代謝亢進が合わさって402)、栄養障害のリスクが高くなる可能性がある。したがって、栄

養療法により臨床アウトカムが改善されると期待される403)。

 蘇生後24~48時間以内、または患者の血行動態が安定した

ら(十分な灌流圧があり、血管作動薬の投与量が安定していて、

乳酸および代謝性アシドーシスの度合いが安定または低下し

ていて、かつ平均動脈圧が60 mm Hg以上と定義される状態)、

ただちにENを開始するとアウトカムが改善する404)。

 敗血症患者を対象に早期ENと遅延ENを比較した試験は認

められなかったが、一般ICU患者の一部に敗血症が認められる

ことから、その場合の知識に基づき、B3項のとおり推奨する。

 混合重症病態患者を対象とした試験のレビューに関しては、

SimpsonとDoigによるメタアナリシス59)では、PNに比べて早期

ENに有益性は示されなかったが、Peterらのメタアナリシス57)

では、PNに比べてENの方が合併症の発現率が有意に低かった

M. 一部の外科患者/N. 敗血症

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32 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

(しかし、死亡率には影響がなかった)。いずれのメタアナリシ

スでも混合重症病態患者が対象とされ、敗血症患者はその一

部に過ぎない。少数の敗血症患者を含めたGramlichらによるメ

タアナリシス56)では、ENはPNに比べて罹病率に有益な影響を

及ぼすことが報告された。

疑問:重症敗血症または敗血症性ショックの急性期に、PN単独

投与あるいはEN(目標値の60%未満)に加えての補足的PN投

与を行うべきか?

N2.重症敗血症または敗血症性ショックの急性期の早期には、患者の栄養リスクの程度に関わらず、PN単独投与またはENに加えての補足的PN投与は行わないよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:敗血症急性期における早期のPN単独または補足的PN

投与に関する試験はない。CasaerらによるEPaNIC試験では、患

者の5分の1が敗血症と診断されていたが、低カロリーENに早

期補足的PNを加えると、補足的PNの開始遅延患者よりも、入院

期間およびICU在室期間、臓器サポートを受ける期間が長くな

り、ICU内での感染の発症率が高くなると報告された240)。これら

の患者には過度のストレス応答があり、外部からの栄養の処理

能力が低いため、PNのリスク/ベネフィット比が大きいことは

問題である405)。

 2つの観察研究から、これらの患者に対しては、早期PNのリス

クが強調される。Elkeらによる前向き1単日の点有病率研究で

は、ドイツのICUの重症敗血症および敗血症性ショック患者415

名に対する栄養サポートに特に焦点が絞られた406)。その結果、

院内死亡率は、PNのみの投与を受ける患者(62.3%)またはEN

とPNの併用投与を受ける患者(57.1%)では、ENのみの投与を

受ける患者(38.9%)に比べて有意に高いことが示された(P =

0.005)406)。PN投与により死亡率が高くなるという本試験にお

ける所見は、重症敗血症および敗血症性ショック患者へのEN

投与をさらに支持するものである406)。VISEP試験の敗血症患者

537名を対象としたもう一つの前向き観察研究では、ENのみの

投与を受ける患者の方が、ENとPNの併用投与を受ける患者よ

りも死亡率が低かった407)。二次解析において、ENのみの投与

群の栄養投与最初の週のエネルギー摂取量と蛋白投与量は

EN群で最も少なかったにも関わらず、90日目における死亡率

は、ENのみの群の方がENとPNの併用投与群よりも低く(26.7%

vs 41.3%、P = 0.048)、二次感染の発現率、腎代替療法実施

率、および人工呼吸期間も同様に低かった407)。これら2つの観

察研究の統合データでは、EN投与が死亡率に有益な効果を及

ぼすことが示されている(RR = 0.66、95% CI 0.5~0.88)。しか

し、これらの研究ではEN投与とPN投与に無作為割付されてお

らず、腸管不全の程度も様々であることがバイアスとなり得る。

疑問:敗血症における微量栄養素の至適補給量とはどの程度

か?

N3.敗血症患者に対するセレン、亜鉛、および抗酸化物質の補給については、試験結果が矛盾するため、現時点では推奨を決めることはできない。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:敗血症患者では、抗酸化力のある複数の微量栄養素の

血漿中濃度が低下する408)。特に、敗血症患者では血漿中のセ

レン濃度が低下することが示されている。セレンは、臨床環境

における最も強力な抗酸化物質の一つであると考えられている

(亜鉛、アスコルビン酸、ビタミンE、およびベータカロチンも同

様)。特にセレンの経静脈投与を取り上げた、選択基準に適合す

る9試験のデータ(対象患者1888名)を統合した結果、死亡率

に差異は認められなかった(RR = 0.94、95% CI 0.84~1.06、

P = 0.32)‡。試験群と対照群との間で、ICU LOS、病院LOS、また

は人工呼吸期間に差異は認められなかった。対照的に、Huang

らによる9試験のメタアナリシスでは、重症病態の患者に高用量

のセレンを投与すると、死亡率が有意に低下することが示された

(RR = 0.83、95% CI 0.70~0.099、P = 0.04)411)。重症病態患

者に対する急性期のセレンの至適推奨用量は、疾患の重症度

に応じた1~3週間の投与期間での500~750 mcg/dの投与で

ある可能性がある412)。

 全身感染後の炎症反応の大きさは、血漿亜鉛濃度と逆相関

するため、亜鉛濃度が低いほど臓器の障害は大きく、死亡率は

高くなる可能性がある413,414)。濃度の低さは、単に急性期反応、

相対的欠乏を反映しているのか、または利用可能量と身体から

の遊離の減少を反映しているのかについては、議論が分かれる

ところである。現時点では至適用量は不明であるが、敗血症患

者に亜鉛を補給すると、敗血症特有の免疫抑制を防ぎ、二次感

染のリスクを低減する上で有用であるかもしれない413)。

疑問:敗血症患者の急性期管理における蛋白とエネルギーの

必要量はどの程度か?

N4.専門家の合意に基づき、敗血症初期にはtrophic feed-ing(10~20 kcal/hまたは500 kcal/d以下と定義される)を行い、24~48時間後に耐性が良好であれば、初めの1週間でエネルギー目標値の80%を上回るよう提案する。蛋白1.2~2 g /kg/dの投与を提案する

根拠:進行した敗血症性ショックでは、エネルギー消費量が

様々であることが示されている415)。そのため、利用できればIC

を使用して、ベースラインのエネルギー消費量を測定し、以降

も4日ごとに測定するよう推奨する。ICが利用できない場合、ま

たは患者の病状により利用できない場合(FiO2 が0.60を超え

‡参照:219,220,225,226,230,231,288,409,410

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33

ている場合など)は、エネルギー消費量の予測に体重を基にし

た簡略式(25 kcal/kg/d)または公表されている式を用いても

よい。SIRS、敗血症、および敗血症性ショック患者のコホートで

は、Harris-BenedictおよびSchofieldがそれぞれ公表した式によ

る推定値は、ICによるエネルギー消費量測定値と良好な相関性

を示した(すべての結果は互いの8%以内)416)。

 観察研究では、算出されたエネルギー必要量の25~66%の

範囲での投与が至適であることが示唆されている417)。敗血症

初期にはtrophic feeding(500 kcal/d以下と定義)を実施し、

24~48時間後に増量して初めの1週間で目標値の60~70%に

増量する方法が最も適切であり、至適であると考えられる403)。

 敗血症における蛋白必要量を決定することは極めて困難で

ある。敗血症における現在の推奨値である1.2~2 g/kg/dは、

他のICU患者のデータに基づくものである91,378)。

疑問:敗血症において、免疫または代謝調整経腸栄養製剤(ア

ルギニンにEPA、DHA、グルタミン、および核酸などの他の成分

を加えたもの)の投与は有益か?

N5.重症敗血症患者には、日常的に免疫調整製剤を投与しないよう提案する。

[エビデンスの質:中等度]

根拠:理論上、血行動態が不安定な重症敗血症患者へのアル

ギニンの投与は、誘導型一酸化窒素シンターゼ酵素の活性を

亢進し、一酸化窒素の産生量が増加し、血行動態がさらに不安

定になり、臓器機能障害が悪化するため、危険な可能性がある418)。しかし敗血症患者にアルギニンを補給した複数の臨床試

験では、そのような有害事象は報告されなかった419)。実際に

は、アルギニンは組織の灌流を促し、心拍出量を増加するため、

敗血症患者に有益であるかもしれない。

 敗血症患者176名にFO、アルギニン、および核酸を含む製剤

を投与した多施設共同RCTにおいて、試験群では対照群よりも

死亡率(89名中17名 vs 87名中28名、P < 0.5)、菌血症の発現

率(89名中7名vs 87名中19名、P = 0.01)、および院内感染の

発症率(89名中5名vs 87名中17名、P = 0.01)がすべて低かっ

た171)。しかし、アウトカムに対する効果は、中等度の重症病態患

者(APACHE IIスコアが10~15)でのみ認められたため、これら

の結果をすべての敗血症患者に広く適用することはできない。

敗血症患者55名を対象としたBealeらの小規模RCTにおいて、

SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアにより臓

器機能を評価した結果、グルタミン、抗酸化物質、微量元素、お

よび酪酸塩を含む経腸栄養製剤(ただしアルギニンを含まな

い)を用いると、標準的な経腸栄養製剤を投与した場合よりも

臓器機能が迅速に回復したと報告された160)。同様に、臓器機能

障害がない敗血症患者を対象としたRCTにおいて、重症敗血症

になる前の早期に、ω3脂肪酸、ガンマリノレン酸、および抗酸

化物質を含む免疫強化経腸栄養製剤を投与すると、死亡率ま

たはLOSは改善されなかったものの、臓器機能障害の発症率が

低下することが示された420)。しかし、免疫調整製剤と標準的な

ENとを比較したさらに最近のRCTでは、患者の大多数が敗血症

患者であったものの、MICU患者における明確な有益性は示さ

れなかった(E2項を参照)。

O. 大手術の術後(SICU入室予定)

疑問:術後栄養療法により利益を受ける可能性が最も高い患

者を特定する栄養リスク指標は、従来の栄養アセスメントの

マーカーより有用か?

O1.専門家の合意に基づき、ICUのすべての術後患者に栄養リスク評価(NRS 2002またはNUTRICスコアなど)を実施し、従来の内臓蛋白レベル(血清アルブミン、プレアルブミン、およびトランスフェリンの濃度)は栄養状態のマーカーとして使用すべきではないことを提案する。

根拠:低アルブミン血症は病院LOS、感染、および死亡率の増加

と相関する有効な術前予後因子ではあるが、術後の有用性は

低い。アルブミン、プレアルブミン、およびトランスフェリンなどの

従来の内臓蛋白は、負の急性期蛋白であり、術後では手術、スト

レス、外傷、感染、または臓器不全(腎、肝)に対する動的反応や

異化反応を反映する。患者の栄養状態を反映するものではな

い20,21)。低アルブミン血症があると、外科医はまず栄養療法を

開始しようと考えるであろうが、血清アルブミン濃度は、治療を

行っても、ストレス代謝が低下するまでは変化しないと考えられ

る。したがって、血清蛋白濃度は術後に栄養療法の適切性を評

価する上で有用ではない20,21)。

 NRS 2002は術後合併症の重要な予測因子であり、手術患者

への適用に関して検証されており、RCTのエビデンスにより支持

されている18)。しかし、術後の積極的な栄養療法が、スコアリン

グシステムで高リスクと判定された高リスク患者においても低リ

スクの患者と同様に有益であるか否かは現時点では明らかに

されていない。

疑問:術後早期のEN投与には、PNまたはSTDに比べて、どのよ

うな利益があるか?

O2.ENを実施すると、PNまたはSTDを用いるよりアウトカムが良好なため、手術後24時間以内に、可能であればEN投与を実施するよう提案する。

[エビデンスの質:極めて低い]

根拠:可能であれば、常に、PNまたはSTDではなく、ENを第一選

択肢とする。2009年、Lewisらは1173名の患者を対象とした13

N. 敗血症/O. 大手術の術後(SICU入室予定)

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34 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

試験のメタアナリシスを実施し、術後早期にENを実施すると、

STDに比べて、絶対死亡率が6.8%から2.4%に低下することを

示した(RR = 0.42、95% CI 0.18~0.96、P = 0.03)421)。データ

の質は極めて低いが、Oslandらの1238名の患者を対象とした

15試験のメタアナリシスでは、合併症(悪心と嘔吐を除く)は早

期EN投与群の方が少なかったが(RR = 0.53、95% CI 0.33~

0.86)、死亡率とLOSに有意差はないことが示された422)。

 持続的な消化管閉塞、消化管の非連続性、腸管虚血のリスク

の上昇、または持続的な腹膜炎のエビデンスがある場合、術後

ENが好ましくないのは明らかである。瘻孔からの排液量が多い

場合、また重度吸収不良、ショック、または重症敗血症がある場

合は、患者の病態が少なくとも24~36時間安定していれば、術

後ENが好ましい可能性がある。このように複雑な状況下では、

栄養管理について個別に判断し、その患者にとって最適な治療

を行わなければならない。

 適切な時期に経腸アクセスを確保する必要性については、可

能であれば手術室内で判断すべきである。術中にアクセス経路

について計画できない場合、または術後ENプロトコールを策

定、実施できない場合、過剰にPNを使用する結果につながるこ

とが多い。耐性を改善し、術後EN投与を促すための追加策に

は、適切な蘇生、電解質およびpHの補正、適切(中等度)な血糖

管理、および目標に基づく慎重な水分管理(水分過剰や腸壁浮

腫が起こる可能性を低減するため)などがある423)。

疑問:術後患者のアウトカムを改善するためには、免疫調整製

剤を日常的に使用すべきか?

O3.SICUのEN療法を要する術後患者に対しては、免疫調整製剤(アルギニンと魚油の両方を含む)の日常的な使用を提案する。

[エビデンスの質:中等度~低い]

根拠:損傷、外傷、または大手術後の特殊な免疫骨髄抑制細胞

により、アルギナーゼ1の濃度が急速に上昇し、アルギニンの相

対的な欠乏が生じる424,425)。アルギニンの補給量が不十分であ

ると、T細胞の機能に悪影響が及び、続いて免疫抑制が生じる。

アルギニン欠乏は一酸化窒素の産生に影響を及ぼすほど深刻

な場合もあり、微小循環に悪影響を及ぼす。アルギニンとω3脂

肪酸を含む製剤は、骨髄抑制細胞による調節作用を克服できる

と考えられる425)。ω3脂肪酸であるEPAとDHAは、免疫細胞の

細胞膜から生じるω6脂肪酸に動的に置き換わり、生物学的に

活性が低いプロスタグランジンおよびロイコトリエンの産生を

通じて、ダイナミックな方法で全身の炎症を軽減する。EPAおよ

びDHA(FO)はまた、核内因子kappa B、細胞間接着分子1、およ

びE-セレクチンの発現を抑制することが示されており、そのこと

で、全身性及び局所性の炎症応答を調節する好中球の付着や

上皮間移動が減少する。さらに、EPA及びDHAは、心筋を安定化

し、不整脈を軽減、ARDSの発現を抑え、敗血症病態の発症傾向

も低減することに役立つ180,181,183,426)。EPA基質から内生される

レゾルビンは、食細胞による細菌除去を増強し、炎症の重症度

を低減し、好中球アポトーシスを促し、好中球走化性を調節す

ることが示されている427)。

 アウトカムに対する効果を評価する製剤中には、FOとアルギ

ニンの両方が含まれているため、外科手術後の患者において、

標準的な製剤に比べて免疫調整製剤の有益性が示された原因

の一部は、FOとアルギニンの相乗効果によるものと思われる。

投与するタイミングも重要であると考えられ、患者の栄養状態

による影響を受ける。栄養状態が良好な待機的手術患者の場

合、術前または周術期の栄養投与は、製剤の栄養的な価値とい

うよりも代謝状態を調節する上で重要である(術後投与の効果

はより小さい)428)。一方栄養状態不良の患者では、周術期(術

前・術後の両方)および術後の免疫調整製剤投与は、アウトカム

に対して好影響を及ぼす。これらの患者においては、免疫栄養

を術前のみ投与した場合にはその効果は認められない可能性

がある422)。Droverらによる35試験のメタアナリシスにおいて、ア

ルギニン/FOを含む製剤を術後に投与すると、標準的な経腸

栄養製剤を投与した場合よりも、感染症が少なく(RR = 0.78、

95% CI 0.64~0.95、P = 0.01)、病院LOSが短くなるが(WMD

= –2.23、95% CI –3.80~–0.65、P = 0.006)、死亡率には影響

がないことが示された429)。同じ試験を対象としたDroverらの

メタアナリシスでは、患者2780名の周術期の全データを対象

に評価した結果、アルギニンを補給すると感染が減少し(RR =

0.59、95% CI 0.5~0.7)、平均LOSは2.38日短縮されたが(95%

CI –3.39~–1.36)、死亡率に差異はなかった429)。免疫調整製

剤を周術期(術前・術後の両方)に投与すると、同様の結果が示

された。Oslandらによる2005名を対象とした21試験のメタアナ

リシスでも同様に、FO/アルギニン含有免疫製剤を術後に投

与すると標準的な製剤に比べて、感染症(OR = 0.61、95% CI

0.47~0.79、P < 0.01)および病院LOS(WMD = –2.30、95%

CI –3.71~–0.89、P = 0.001)が減少した430)。免疫調整製剤を

術後に投与すると、総合併症は減少したが(OR = 0.70、95% CI

0.52~0.94、P = 0.02)、吻合部離開の減少は、免疫調整製剤

を周術期に投与した場合にのみ認められた。Marimuthuらに

よる中等度の質のメタアナリシスでは、RCT 26試験の消化管

開腹手術を受ける患者2496名を対象とし、術後に免疫栄養剤

を投与した結果、標準的な製剤よりも術後感染症が少なく(RR

= 0.64、95% CI 0.55~0.74)、非感染性合併症も少なく(RR =

0.82、95% CI 0.71~0.95)、病院LOSが1.88日短くなった(95%

CI –2.88~–0.84)431)。死亡率に関しては、統計的な有益性は認

められなかった431)。

疑問:OA、腸壁浮腫、腸管吻合後初期、昇圧療法、またはイレウ

スなど、困難な術後状況があるSICU患者に対して、EN投与は適

切か?

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35

O4.長期イレウス、腸管吻合、OAおよび血液動態維持のための昇圧剤の必要性など、困難な術後状況にある多くの患者において、経腸栄養投与を提案する。各症例で認識されている安全性および臨床判断に基づき、個別に判断すべきである。

[エビデンスの質:低い~極めて低い]

根拠:手術経験やRCTが増加するに従い、困難な手術条件に

おける経腸栄養投与の安全性および有効性が示されるように

なってきた。早期EN投与とSTDを比較したメタアナリシスにお

いて、早期ENにより、コラーゲンおよびフィブリン沈着、並びに

線維芽細胞浸潤が生じ、それにより吻合部が強化されることを

示すエビデンスが示され、吻合部離開が悪化しなかったことか

ら(RR = 0.75、95% CI 0.39~1.4、P = 0.39)、早期栄養投与が

優れている傾向が認められている422)。Lewisらによる2009年

のメタアナリシスでは、死亡率の低下が示された(RR = 0.41、

95% CI 0.18~0.93、P = 0.03)421)。この差異は、Oslandらによる

2011年のメタアナリシスでは認められなかったが(RR = 0.71、

95% CI 0.32~1.56、P = 0.39)、やはり早期栄養投与が優れて

いる傾向が認められている422)。術後EN投与によって誤嚥性肺

炎が増加するという懸念は、早期EN投与とSTDとで肺炎の発現

率に差異がないことが示されたことから、根拠がないものと確

認された(RR = 0.76、95% CI 0.36~1.58、P = 0.46)421)。術後

24時間以内に栄養投与を行うと、術後イレウスの低減、腸管運

動不全の軽減、および腸壁浮腫予防に有益である。人工呼吸下

で、血行動態を安定させるために昇圧剤を投与されている患者

を対象とした消化管灌流に関するEN投与の試験結果では、一

貫性はないものの非閉塞性腸壊死の症例が少数記録されてい

るだけである。そのため、一定で低用量の昇圧剤が投与されて

いるICU患者の大部分には、不耐性の徴候や症状を慎重にモ

ニタリングしつつ、胃への栄養補給を行ってもよい432)。昇圧剤

投与中に栄養投与を受けた患者に関して、大規模なICUデータ

ベースに問い合わせた結果、早期ENを受けた707名とENが遅

延した467名とを比較すると、早期EN群のほうが死亡率は低

かった(22.5% vs 28.3%、P = 0.03)86)。ウィップル術後の腸管

皮膚瘻を有する患者78名を対象としたRCTにおいて、早期EN

を実施すると、PNより瘻閉鎖率が高くなった(60% vs 37%、P =

0.043)433)。

疑問:術後ICU患者に対しては、いつPNを用いるべきか?

O5.専門家の合意に基づき、上部消化管の大手術を受け、ENが実施不可能な患者に対しては、PNを開始するよう提案する

(治療期間が7日以上に及ぶと予想される場合にのみ)。患者の栄養リスクが高くない限り、PNは手術直後に開始せず、5~7日遅らせる。

根拠:上部消化管の大手術(食道切除、胃切除、膵臓切除、また

はその他腹部再手術)を受ける患者であり、特に、すでに蛋白エ

ネルギー栄養障害が認められる、あるいは栄養リスクが高い場

合に、特別な条件下でPNを施行すると、PN(ENが好ましくない

場合)の方がSTDよりも一貫して有益性があることが示されてい

る55,252)。Heylandらによる早期メタアナリシスにおいて、SICU患

者にPNを行うと、STD療法群よりも総合併症が有意に少なかっ

たが(RR = 2.40、95% CI 0.88~6.58、P < 0.05)、MICU患者で

は効果は認められなかった252)。

 早期の報告によると、術前に最低でも7~10日間PNを実施

し、術後も継続した場合にPN投与の有益性が認められることが

示唆された434)。Kleinらによる別のメタアナリシスの統合データ

からは、この方法で投与すると、PNの方がSTD療法よりも、感染

症罹病率が10%有意に低いことが示された435)。

 PNは、術後のみに実施された場合は、有益な効果は得られ

ないと考えられ、手術直後に実施するとアウトカムの悪化と関

連する435)。ルーチンな術後PNを評価した9つの試験を統合し

た結果では‡‡、STD療法よりも術後PNの方が、合併症発現率が

10%有意に高いことが示された435)。術後すぐに開始するPNに

は有害な影響があるため、Kleinらは、ENが引き続き好ましくな

い場合は、術後5~10日たってからPNを開始することを推奨し

ている。術後PNの有益性を確実に得るためには、7日以上栄養

投与を実施する必要があると推奨した根拠は、術前/周術期

のPNに関する結果434,435)に基づくものである。1997年のKlein

らの調査結果は、高カロリー栄養投与や血糖管理不良(いずれ

も、現在の大部分のICUでは標準ではない)など、当時の診療パ

ターンの影響を受けていた可能性がある435)。別のメタアナリシ

スにおいて、早期ENが相対的禁忌とされる患者(その60%超は

外科入院)を早期PNとSTDに無作為割り付けした結果、60日死

亡率、ICUもしくは病院LOS、または新規感染について差異は認

められなかった242)。栄養リスクが高い患者における緊急手術

で、術前PNまたはENを実施できない場合、術後PN開始までの

期間を短縮することが妥当であろう。

疑問:術後ICU患者が自分の意志で最初に栄養摂取する場合、

無残渣液状食から開始する必要があるか?

O6.専門家の合意に基づき、術後に食事を進める際には、患者の耐性が良好であれば固形食を与え、最初の食事として無残渣液状食は必要ないということを提案する。

根拠:術後はまず無残渣液状食から開始し、その後固形食を与

えるべきであるとする主張には、生理学的な根拠はない。無残

渣液状食は嚥下しやすいかもしれないが、等張性である場合

には急速に胃から排出される可能性が有り誤嚥を起こしやす

い439)。腹部手術を受けた患者241名を対象とした早期RCTで

は、無残渣液状食投与群(n = 135)と通常食投与群(n = 106)

との間で、食事不耐性に有意差は認められなかった440)。Lassen

O. 大手術の術後(SICU入室予定)

‡‡参照:243,244,246,249-251,436-438

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36 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

らは、消化管の大手術を受ける患者400名超を対象としたRCT

において、術後初日に「通常食」を投与しても罹病率や死亡率が

増加しないことを示した441)。患者に無残渣液状食を投与した場

合と固形食を投与した場合とで、術後悪心の発現頻度は同じで

あり(約20%)、症状は一過性であり、術後合併症に差異は認め

られない439)。早期に経口食を開始すると、術後の腸管運動不

全が軽減され、消化管の機能回復(自分の意志で通常食を摂取

した際のガスや便の通過で判断)までの期間が短くなる441)。

P. 慢性重症病態患者

疑問:慢性重症病態患者は、どのように栄養療法を管理すべき

か?

P1.専門家の合意に基づき、慢性重症病態患者(21日間を超えるICU LOSを要する持続性臓器機能障害がある患者と定義)の場合、積極的な高蛋白EN療法を実施し、可能な場合にはレジスタンス運動プログラムを実施するよう提案する。

根拠:内科および外科の救急治療の進歩に伴い、救命される急

性期重症病態患者は増えている。長期の人工呼吸(6時間超)、

持続性臓器機能障害による長期間のICU在室(21日以上)によ

り特徴づけられる慢性的重症病態症候群が生じ、救命された

患者には過度の負担がかかる442)。待機的気管切開も、文献上

で慢性的な重症病態を見分ける一般的な記述である。慢性重

症病態患者は非常に多く、アウトカムに関する異なる指標や栄

養目標を別途定める必要がある。これらの病態は多いにも関わ

らず、現時点ではこれらの患者の栄養療法の指針となるような

RCTは極めて少ない。そのため、ガイドライン委員会では、本ト

ピックに関しては簡単に紹介するに留める。

 Mooreらにより、重度外傷患者における慢性的な重症病態

のプロセスの定義は「持続性炎症、免疫抑制、および異化症候

群」とすすんだ443)。一連の試験において、回復に長期(14日超)

を要する外傷患者およびSICU患者から収集されたゲノムデー

タおよび臨床データは、慢性炎症と免疫反応の低下により二次

的院内感染と重度蛋白異化が生じることを示している443,444)。

臨床像は慢性的な重症病態の結果を反映しており、長期的な

人工呼吸器依存、脳機能障害、神経筋脱力、神経内分泌と代謝

の変化、筋肉の消耗、栄養障害、皮膚の異常、および苦痛の症状

(たとえば疼痛、不安、およびうつ病)などがある445)。

 慢性重症病態患者に関する推奨事項は、経験がある医療機

関から浮上した見解や本ガイドライン全体を通じて示した重症

病態の医療に関する文献に基づく。主としてプロトコールに基

づく経腸栄養投与と血糖管理が推奨され、さらに最近では、運

動関連のプロトコールや内分泌療法(骨吸収やビタミンD欠乏

の治療など)に関する研究が進められている446-448)。

Q. 重症病態における肥満

疑問:肥満のICU患者には栄養の蓄積があるため、入院初週に

早期ENを実施しても、やせた患者より有益性が低くなるか?

Q1.専門家の合意に基づき、自分の意志で栄養摂取を持続できない肥満患者の場合、ICU入室後24~48時間以内に早期ENを開始するよう提案する。

根拠:重症病態患者の場合、肥満であっても、早期ENの重要性

はやせている患者と変わらない。肥満患者を含め、重症病態患

者では、栄養以外の早期ENの有益性が認められている(B1項

およびB3項を参照)449)。

 臨床医にとって、身体的診察の際にBMI値が低い(18.5未満)

と、高い栄養リスクにつながることは容易に判断できる。しか

し、栄養障害はBMI値が高い場合も低い場合も起こることが示

されており、ICU患者が肥満していると、判断がはるかに困難に

なる。BMI値が25を超える入院患者の57パーセントに栄養障

害がある。BMI値が30を超える患者では、栄養障害のORが1.5

となる。(P = 0.02)450)。肥満患者で栄養障害の発現率が驚くほ

ど高い理由の一部は、ICU入室後早期の予期せぬ体重減少や、

BMI高値は患者を障害から守る追加の栄養蓄えがあることであ

ると誤解した臨床医の注意不足である可能性がある。

 肥満のICU患者は、やせた患者よりエネルギーの利用効率が

悪い可能性が高いため、除脂肪体重の損失が大きくなる。肥満

患者では、インスリン抵抗性や脂肪代謝に関する無駄なエネル

ギーサイクル(脂肪分解と脂肪生成両方の増加)が生じるリス

クが高い。Jeevanandamらは、外傷患者を対象とした早期試験

において、やせたSICU患者はREEの61%を脂肪代謝により産生

できるが、肥満のSICU患者はでは39%にとどまることを示した451)。これらの患者は、蛋白代謝からより多くのエネルギーを産

生するため、除脂肪体重が失われる可能性が高いことが示唆さ

れる。

 肥満パラドックスは、肥満患者にはICU在室早期の栄養療法

が不要であると臨床医に錯覚させるかもしれない。BMI値に関

する死亡率曲線はU型をしており、死亡率は、BMI値が40を超え

るクラスIIIの重度肥満患者とBMI値が25未満の人で最も高い。

死亡率は、BMI値が30~40(クラスIおよびクラスIIの肥満)で最

も低い452,453)。中等度肥満におけるこのような防護効果は、肥満

パラドックスと呼ばれる。このような予想外の効果が認められる

ことから、この範囲(30~40)のBMI値が、リスクの指標として最

適ではないのだろうかという疑問が提起される(Q3項を参照)。

しかしながら、肥満パラドックスを根拠に臨床医は油断すべき

ではなく、また肥満のICU患者への栄養投与を控える根拠とし

てはならない。

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疑問:肥満患者の場合、重症病態における栄養アセスメントで

は他にどのような指標を用いるべきか?

Q2.専門家の合意に基づき、肥満のICU患者の栄養アセスメントでは、全ICU患者に用いられる指標に加えて、メタボリックシンドロームのバイオマーカー、合併症の評価、および炎症レベルの判定に焦点を当てるよう提案する。

根拠:肥満のICU患者の栄養アセスメントでは、重症病態にお

ける通常のアセスメント項目(A項を参照)に加えて、実体重、通

常時体重、理想体重の判定に焦点を当てるべきである。BMI値

を算出し、肥満クラスを特定し、さらに可能であればウエスト周

囲径を測定すべきである。調整体重については検証試験が行

われておらず、文献において有効な定義も見当たらないため、

使用は推奨しない454)。

 血糖、トリグリセリド、およびコレステロールの濃度を含メタボ

リックシンドロームのバイオマーカーを評価すべきである。これ

らのマーカーと同時に血圧にも注意を払い、患者にメタボリッ

クシンドロームの徴候が認められないかを確認しなければなら

ない。

 糖尿病、高脂血症、閉塞性睡眠時無呼吸、拘束性肺疾患、うっ

血性心不全を伴う心筋症、高血圧、血栓形成、脂肪肝疾患を示

唆する肝酵素異常など、すでにある合併症と同時に新たな合併

症の特定に焦点を当てて評価すべきである。炎症レベルのアセ

スメントでは、CRP、血沈、およびSIRSの兆候を評価するべきで

ある。

 これらの因子は、管理をさらに困難にする合併症について評

価するものであり、栄養療法により合併症が生じる可能性が高

くなる(容量過負荷、高血糖など)。臨床上、これらの合併症に留

意していれば、実際に生じた場合に適切な時期に治療を実施

し、栄養療法を調節することができるようになる。

疑問:アセスメントのどの因子により、肥満したICU患者を高リ

スクであると特定するか?

Q3.専門家の合意に基づき、肥満のICU患者の栄養アセスメントでは、中心性肥満、メタボリックシンドローム、サルコペニア、BMI値が40超、SIRS、または心臓血管疾患や死亡に関する肥満関連のリスクが高くなるその他の合併症がないかに焦点を当てるよう提案する。

根拠:肥満があると重症病態患者の管理が複雑化し、医療のほ

とんどの側面に影響を及ぼす。肥満により、合併症のパターン

が変化し、管理を行う上で技術的な困難さが増し(血管確保、

気管切開、X線画像の解釈など)、薬剤代謝も変化する。肥満の

ICU患者に対する日常の基本的な看護のために特別なチーム

と高度に専門的な設備が必要になる。肥満による生理学的影

響は、臓器機能に有害に作用し、うっ血性心不全(左室収縮の

減少、駆出率減少、左室拡張終期容積増加)、呼吸異常(閉塞性

睡眠時無呼吸、気道抵抗上昇、肺活量減少、総肺気量減少、胸

壁コンプライアンス低下)、および肝障害(非アルコール性脂肪

肝、脂肪肝、肝硬変)などの発現率が高くなる454)。

 肥満の重症病態患者の場合、BMI値が正常なやせた患者よ

り、多くの合併症が生じる455)。やせたICU患者と比べると、3ク

ラスすべての肥満患者で感染症発現率が高く、病院およびICU

のLOSが長く、臓器不全のリスクが高く、人工呼吸期間が長い

など、罹病率が高いことが示されている456-459)。BMI値が30~

40のICU患者のコホートでは、死亡率が低いことが示されたが452,459,460)、BMI値が40を超える患者のコホートでは、BMI値が

40以下のICU患者より明らかにアウトカムが悪く、死亡率が高

かった459)。

 肥満の重症病態患者でリスクが最も高くなるのは、メタボリッ

クシンドローム、サルコペニア、および腹部肥満の患者であっ

た。内臓、体幹、腹部の脂肪は、肥満関連の炎症と内臓脂肪沈

着の指標として優れている。したがって、可能であればウエスト

周囲径を測定することは、BMI値より臨床アウトカムとの関連

性が高い可能性がある461)。腹部脂肪が多いと、インスリン抵抗

性、高血糖、およびメタボリックシンドロームが生じやすくなるた

め、ICU合併症のリスク因子とされる462)。Paoliniらの試験におい

て、中心性肥満とメタボリックシンドロームがあると、ICU死亡率

はやせた患者(25%)に比べて高く(44%)なった463)。SICU患者

149名を対象とした外傷の研究では、47%が過体重または肥満

であったが、サルコペニアがあるとアウトカムが悪くなることが

示された。サルコペニアがあると、サルコペニアがないSICU患

者コホートに比べて、死亡率が14%から32%に増加し、ICU非在

室期間と人工呼吸器非使用期間が短くなった464)。

疑問:肥満の成人ICU患者では、高蛋白低カロリーの栄養投与

を実施すると、高蛋白通常カロリーの栄養投与より臨床アウト

カムが改善されるか?

Q4.専門家の合意に基づき、肥満のICU患者の場合、除脂肪体重を維持し、蓄積脂肪を動員し、過剰栄養投与による代謝合併症を最小限に抑えるために、高蛋白低カロリーの栄養投与を実施するよう提案する。

根拠:肥満の入院患者に高蛋白低カロリーの栄養投与を実施

すると、高蛋白通常カロリーの栄養投与を実施した場合と比べ

て、少なくとも同等の(場合によってはさらに良好な)アウトカム

が得られる455)。肥満の重症手術患者や外傷患者40名を対象と

した後ろ向き研究において、高蛋白低カロリーEN投与を実施す

ると、高蛋白通常カロリー食を投与した場合よりも、ICU在室期

間と抗生物質投与期間が短く、人工呼吸実施日数が少なかった465)。RCT 2試験のうち1試験において、経静脈による高蛋白低カ

O. 大手術の術後(SICU入室予定)/P. 慢性重症病態患者/Q. 重症病態における肥満

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38 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

ロリー食を投与すると、高蛋白通常カロリーPNを投与した場合

と同様のアウトカム(病院LOSおよび死亡率)が示された269)。複

数の観察研究により、(ENまたはPNのいずれかによる)2種類の

栄養投与では、栄養に関するアウトカムと窒素バランス試験の

結果が同等であることが示された455)。クラスII肥満(BMI値35

~39.9)の成人ICU患者を対象とした前向き観察コホート試験

で示されているように、蛋白摂取量が少ない上に低カロリー食

を投与すると、肥満患者の死亡率が悪化する可能性がある466)。

疑問:肥満の成人ICU患者において、窒素平衡を達成して代謝

要求も満たすには、エネルギーと蛋白の摂取量の適切な目標

値はどの程度か?

Q5.専門家の合意に基づき、すべてのクラスの肥満に関して、EN投与の目標値がIC測定に基づくエネルギー必要量目標値の65~70%を超えないよう提案する。ICが利用できない場合、体重を基にした式を用いて、BMI値が30~50の患者には1日量として実体重1 kgあたり11~14 kcal、BMI値が50を超える患者には1日量として理想体重1 kgあたり22~25 kcalを投与するよう提案する。蛋白は、BMI値が30~40の患者には1日量として理想体重1 kgあたり2.0 gから、BMI値が40以上の患者には1日量として理想体重1 kgあたり2.5 gまでを投与するよう提案する。

根拠:ある程度体重が減少すれば、インスリン感受性が高まり、

看護を容易にし、合併症発現リスクが低下する。投与カロリーを

必要量の60~70%にすれば持続的に体重を減らすことができ

る。Chobanらによる後ろ向き研究では、BMIが40超の場合、1日

量として理想体重1 kgあたり2.0 gの蛋白投与では窒素バラン

スを平衡状態にするには不十分であるとしている269)。一方で蛋

白を1日量として理想体重1 kgあたり2~2.5 g投与すれば、蛋

白必要量をほぼ満たし、窒素バランスを維持し、望ましい創傷

治癒が可能になる。摂取エネルギーが低カロリーまたは等カロ

リーのいずれであっても、これらのレベルにおける窒素バラン

ス状態は同様であった269,465,467)。これらの算出には、BMIおよび

理想体重を用い、調整体重を用いないよう推奨する。蛋白推奨

量は、窒素バランス試験を用いて、可能であれば窒素バランス

の平衡状態を目標として調整するべきである。

 公表されている、体重を基にした推定式は、過体重や肥満の

ICU患者では精度が低下する468)。推定式の精度が低い理由は、

体重、薬剤、治療、および体温など、重症病態患者のエネルギー

消費量に影響を及ぼす多数の非静的変数による。肥満の不均

一な成人ICU患者において、公表されている推定式を用いて算

出したところ、DeltatracまたはMedGemの間接熱量計を用いて

測定されたREEとの差が10%以内の推定式はなかったことか

ら、研究者らはこれらの患者ではICを用いることを推奨してい

る33,468,469)。ICが利用できない場合、体重を基にした簡略式を用

いれば十分な推定が可能で、エネルギー消費量実測値の65~

70%の値となる。この際、BMI値が30~50の患者には1日量とし

て実体重1 kgあたり11~14 kcal、BMI値が50を超える患者に

は1日量として理想体重1 kgあたり22~25 kcalとする(BMI値

が50を超えている場合、実体重を用いて算出すると予測値が高

くなりすぎる)470)。

疑問:肥満の成人ICU患者への特別な経腸栄養製剤投与の適

応があれば、それはどのようなものか?

Q6.専門家の合意に基づき、肥満の成人ICU患者には、可能であれば低カロリーかつNPC/N比が低い経腸栄養製剤を投与するよう提案する。肥満患者では過度の免疫反応が認められるため、免疫調整製剤により潜在的な利益を得る可能性は示唆されるが、アウトカムに関するデータが不足しているため、現時点では推奨するには至らない。

根拠:大部分の経腸栄養製剤はNPC/N比が高いため、ICU患

者の場合、日常的な蛋白補給が必要である。肥満の重症病態患

者の場合、高蛋白低カロリー食を投与する上で、これらの製剤

ではまったく不十分である。たとえば、1日量として理想体重1 kg

あたり22~25 kcalと共に1日量として理想体重1 kgあたり2.0

~2.5 gの蛋白を投与すると、NPC/N比は30~50:1となり、肥

満の重症病態患者にはNPC/N比が非常に低い製剤が必要で

あることが示唆される。肥満患者では水分必要量が多くなるた

め、低エネルギー製剤(1 kcal/mL)のほうがより適切である可

能性がある454)。

 肥満患者では、低グレードのSIRSに加えてインスリン抵抗性

とメタボリックシンドロームがもともと認められると、疾患または

外傷によりICU在室が必要になった際に、過度の免疫反応が生

じる可能性が高くなる471)。そのため、肥満のICU患者に対して、

薬力学的作用を持つ様々な免疫調整剤を含む製剤を投与する

か、または別に補給することは有益であると考えられる472)。しか

し、アウトカムに関するデータが不足しているため、現時点では

推奨を決めることはできない。

疑問:早期EN投与を受ける肥満の重症病態患者に関して、実

施すべき適切なモニタリングとはどのようなものか?

Q7.専門家の合意に基づき、EN投与を受ける肥満の重症病態患者の場合、高血糖、高脂血症、高炭酸ガス血症、水分過負荷、および肝脂肪の蓄積が悪化していないかを追加でモニタリングするよう提案する。

根拠:肥満のICU患者では、許容範囲内で意図的にカロリー投

与量を減らすため、栄養効率を評価し、摂取量と消費量に基づ

き調整し、処方された高蛋白低カロリー栄養を受けられている

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かを確認する必要がある。IC測定を繰り返し、および/または

累積エネルギー不足量を追跡して、REEの65~70%のエネル

ギー投与を持続することが重要である。

 栄養療法を受ける肥満のICU患者では、ICU入室時にすでに

発現している可能性がある高血糖、高脂血症、高炭酸ガス血

症、水分過負荷、および肝脂肪の蓄積が悪化しないようモニタ

リングすべきである。肥満患者では糖尿病の発現率が高いが、

受容体以降の原因によるインスリン抵抗性によりさらに悪化し、

重症病態による糖新生が加速する。過度に積極的な栄養サポー

トと、カテコラミン、外部からのグルココルチコイド、およびアド

レナリン作動薬などICUにおける投薬により、血糖管理の課題

はさらに複雑化する473)。栄養療法への耐性は、頻回の血清ブド

ウ糖濃度の測定(特に糖尿病またはストレス誘発性高血糖の

患者の場合)、血清トリグリセリド濃度の測定(特にIVFE投与を

受けている場合)、人工呼吸下の患者に対する動脈血ガス測定

(栄養関連の高炭酸ガス血症の検出または人工呼吸を離脱で

きるか否かの評価)、容量過負荷を検出するための体液状態の

測定、血清電解質の連続測定、および低カロリー高蛋白栄養サ

ポートを受ける患者に対する血中尿素窒素の測定(特に腎機能

が悪化している場合)によりモニタリングできる。

疑問:減量手術歴がある、または他の吸収不良症状がある肥満

のICU患者が栄養療法を開始する場合、微量栄養素を追加補

給する必要があるか?

Q8.専門家の合意に基づき、減量手術歴のある肥満のICU患者の場合、ブドウ糖含有IV液投与または栄養療法を開始する前に、チアミンを補給するよう提案する。さらに、鉄、セレン、亜鉛、および銅などの微量元素と共に、カルシウム、チアミン、ビタミンB12、脂溶性ビタミン類(A、D、E、K)、および葉酸などの微量栄養素欠乏の評価と治療について検討すべきである。

根拠:袖状胃切除、胃バイパス、または胆膵路転換手術(十二

指腸スイッチ手術の有無にかかわらない)などの処置を受けた

患者では、微量栄養素欠乏のリスクが高くなる。重症病態患者

の場合、これらの欠乏状態に対して評価を行い、補充すべきで

ある。胆膵路転換手術およびルー肢を長くとったRoux-en-Y法

による胃バイパス術など、吸収を抑制する処置を受けた患者で

は、栄養障害と代謝障害が一般に見られる。ブドウ糖含有IV液

投与を開始する前に、チアミン欠乏がないかを特定することが

重要である。さらに、カルシウムとビタミンDと共に、鉄とビタミン

B12を含むマルチビタミンを毎日補給するよう推奨される。現時

点では、微量栄養素補給に関する至適投与法についてはいか

なる合意にも至っていない474)。正常値に戻った後は、血清微量

栄養素レベルを年1回モニタリングすべきである。

R. 終末期における栄養療法

疑問:終末期における人工栄養と水分補給(ANH)はどのよう

な役割を担うのか?

R1.専門家の合意に基づき、治療効果が見込めない場合、または終末期においては、ANHは必須なものではないということを提案する。ANHを実施するかどうかは、エビデンス、ベストプラクティス、臨床経験、および判定に基づき、患者やその家族、および/または権限を与えられた代理意思決定者とよく話し合った上で、患者自身の自主性と尊厳を尊重して判断する。

根拠:ENおよびPNのいずれの定義にも、IVによる基本的な水

分補給は含まれないが、倫理関連の文献ではしばしば同種の

治療の一環とみなされ、ANHと呼ばれる475)。

 患者が自分の意志で栄養摂取する量が減ると、介護者や家

族の不安の原因となるが、終末期患者の多くは、脱水状態と経

口摂取不良状態には耐性があり、そのような状態になってもほ

とんど何も症状はあらわれない476,477)。誤解を解き、精神的苦

痛を減らせるよう、介護者は、このような不安が生じることを予

測し、適切に対応すべきである。文化、民族性、宗教、または患

者ごと個別の問題が科学的エビデンスより優先されることもあ

り、ANH投与が必要になる場合もある。このような状況になって

しまった場合に、終末期患者にANH投与を行う有益性と有害

性について、明確に定義したデータはほとんどない478)。終末期

患者にANH投与を行っても、アウトカムは改善されず、時には

患者の苦痛を増すこともある(Hospice and Palliative Nurses

Association Position Statement 2011(http://www.hpna.org:

2014年11月9日にアクセス確認)を参照。)476)。終末期患者を

対象に質の高い試験を実施することは困難であるが、Brueraら

はよくデザインされた多施設共同二重盲検RCTについて発表

し、1日1 Lの水分静脈投与を実施しても、QOL、症状、または生

存率がプラセボ群に比べて改善されなかったと結論づけた479)。

 科学的、倫理的、および法的側面からは、ANH投与を控える

ことと中止することを区別していない475)。多数の専門機関が、

ANH投与を開始するか、継続するか、または控えるのかの決定

に関わる倫理的配慮事項に関して、医療従事者のためのガイド

ラインや意見書を公表している475,480)。医療従事者と患者やそ

の家族または代理意思決定者が明確なコミュニケーションを図

ること、患者の尊厳と自主性を尊重すること、現実的な治療目標

を設定すること、問題を解決できない場合には様々な分野の専

門家による倫理委員会や諮問パネルを関与させること、ANH投

与に関する意見の食い違いが解決されるまでは治療を続ける

こと、意見の食い違いを解決できない場合には同等の資格を

持つ協力的な医師に治療を引き継ぐこと、いかなるときにも患

者やその家族が見捨てられたと感じないように配慮することな

ど、いくつかの項目は変わらない。

Q. 重症病態における肥満/R. 終末期における栄養療法

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40 成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会

謝辞 Sarah Krausの洞察とたゆまぬ協力に対して、委員会は謝意

を表する。本ガイドラインの話題を構成するにあたり、カナダ

臨床実施ガイドライン(CPGs)49)が不可欠な参考文献かつ貴

重な見本となった。表の多くがCPGsの表を改変したものであ

る。情報提供と原稿レビューを行ったSCCM Executive Council

とそのメンバー、そして最後に、最終承認を行ったA.S.P.E.N.

Board of Directors:Daniel Teitelbaum, MD; Ainsley Malone,

MS, RD, CNSC; Phil Ayers, PharmD, BCNSP, FASHP; Albert

Barrocas, MD, FACS, FASPEN; Bryan Collier, DO, CNSC, FACS;

M. Molly McMahon, MD; Nilesh M. Mehta, MD; Lawrence

A. Robinson, BS, MS, PharmD; Jennifer A. Wooley, MS, RD,

CNSC; and Charles W. Van Way III, MD, FASPENに対して、委

員会は謝意を表する。

補完資料 補完資料は、以下からオンラインで入手可能である:http://

pen.sagepub.com/supplemental.

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(非売品)

 本書は、米国静脈経腸栄養学会(A.S.P.E.N.)の許諾に基づき翻訳されたものです。A.S.P.E.N.は、学会として本書の翻訳内容を認証するものではなく、また、本書全体をご利用いただく以外のいかなる利用方法も認めておりません。

Translated with permission from the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.) . A.S.P.E.N. has not independently verified this translation and does not endorse the use of this material in any form other than its entirety.

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監 訳

小谷穣治(兵庫医科大学 救急・災害医学講座 救命救急センター)

本書は、米国のガイドラインを和訳したものです。本邦では承認されていない医療用品、薬剤に関する記載が含まれている場合もありますので、ご留意ください。2016年9月作成ETD1116H01

提 供

A.S.P.E.N.Clinical Guidelines成人の重症患者に対する栄養サポート療法の実施と評価のガイドライン:米国集中治療医学会および米国静脈経腸栄養学会Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support �erapy inthe Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) andAmerican Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.)Stephen A. McClave, MD; Beth E. Taylor, RD, DCN; Robert G. Martindale, MD, PhD; Malissa M. Warren, RD; Debbie R. Johnson, RN, MS; Carol Braunschweig, RD, PhD; Mary S. McCarthy, RN, PhD; Evangelia Davanos, PharmD; Todd W. Rice, MD, MSc; Gail A. Cresci, RD, PhD; Jane M. Gervasio, PharmD; Gordon S. Sacks, PharmD; Pamela R. Roberts, MD; Charlene Compher, RD, PhD; and the Society of Critical Care Medicine and the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition

Journal of Parenteral and Enteral NutritionVolume 40 Number 2

February 2016 159-211

本書を無断で複写 ・ 複製 ・ 転載することは著作権法上認められませんので、固く禁止します。