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1
7777....フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計 Revised June 29, 2013
7777----1111 フェルミ粒子とボース粒子フェルミ粒子とボース粒子フェルミ粒子とボース粒子フェルミ粒子とボース粒子
スピンと量子統計スピンと量子統計スピンと量子統計スピンと量子統計
量子力学的な粒子はスピンを持つ。 スピン:粒子の自転の角運動量に相当する物理量。 Dirac
定数 ][10054.1 34 sJ ⋅×= −h を単位として、整数 or 半整数を取る。 余り spin という言葉に捕
らわれ過ぎず、磁場に入れた時、Stern-Gerlach の実験に従い、分裂する性質(磁気モーメントを有
する)、と思っていれば良い。 そして、スピンが Dirac 定数を単位として、
a) 0, 1, 2, … という整数を取る時、この粒子を Bose 粒子と呼び、Bose 統計に従う。
eg. photon, π-中間子, phonon, 4He (2e, 2pr, 2neu), etc.
b) 1/2, 3/2, 5/2, … という半整数を取る時、この粒子を Fermi 粒子と呼び、Fermi 統計に従う。
eg. 3He, electron, proton, neutron(中性子)、 etc.
この理由は未解明。 そういうものだと思っていれば良い。
======== 参考 =======================
Stern-Gerlach の実験の概要
空間の量子化を示した初めての実験とされ、1922 年頃に行われた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Stern%E2%80%93Gerlach_experiment
真空中で、右側の炉から銀原子の蒸気を、コリメーターを介して x軸に沿って飛ばす。 これが、
不均一磁場中を通り抜ける時に、原子の持つスピンに応じて、上下( z 軸方向)にぶれる。 その結果、
得られるビームの到達分布は下の写真の通り。
今、磁石の長さ( x 方向)が l , 電磁石に掛かっている磁束密度( y の関数)をB 、銀原子の進
行速度をv ( )0,0,v=v 、 磁気モーメントµ の z 軸からの傾きをθ とすると、
磁界中を通過する時、磁気モーメントには z 軸方向に
x
y
z
2
z
B
∂∂θµ cos (7.A1)
の力が働く。
“Stern and Gerlach: How a Bad Cigar Helped Reorient Atomic Physics,” B. Friedrich and D.
Herschbach, Physics Today 56565656, 53 (2003).
Walther Gerlach が 1922 年 2 月 8 日付けで Niels Bohr に送った絵葉書(写真)。
よって、原子の z 軸方向の運動方程式は
z
B
dt
zdm
∂∂= θµ cos
2
2
(7A.2)
初期条件として、 0=t で 0=z , 0=dt
dB を用いると、(7A.2) より
2cos
2
1t
z
B
mz
∂∂= θµ
(7A.3)
x 軸方向の運動は影響を受けず、等速で移動するので、磁石を通り抜けるために要する時間は
v
lt = (7A.4)
この間に、原子は z 軸方向に
2cos
2
1
∂∂=∆
v
l
z
B
mz
θµ (7A.5)
だけずれる事になる。
元々この実験は、原子が生来角運動量を持つか否かを確かめるためのもので、そのため、予想さ
れたのは、 p 状態に対応し、 1,0,1−=lm の 3 状態に分かれるであろうというものであった。
===========END===============================
3
結論から言えば、
Bose 粒子は、
1
1)(
)( −= −µεβε
ef Bose-Einstein 分布
Fermi 粒子は、
1
1)(
)( += −µεβε
ef Fermi-Dirac 分布
多粒子の波動関数の対称性多粒子の波動関数の対称性多粒子の波動関数の対称性多粒子の波動関数の対称性
粒子の区別
1 粒子の波動関数: )(rψ → 2つの状態 )(1 rψ , )(2 rψ
測定される物理量: )()( * rr ψψ 密度行列
N 粒子の波動関数: ),,( 21 Nrrr Lψ
2粒子の波動関数: ),( 21 rrψ 粒子1の運動量 p 粒子2の運動量 p′
),( 12 rrψ 粒子1の運動量 p′ 粒子2の運動量 p
これらは別の状態、即ち異なる波動関数
しかし、もし粒子が「区別できない」時には、同じ関数となる。 ),(),( 1221 rrrr ψψ =
ところで、「区別できる」時も、2 粒子の入れ替えによって、密度行列等は同じにならなくてはならな
いので、波動関数はに因子
iae をつけて、
),(),( 2112 rrrr ψψ iae= ),(),( 1221 rrrr ψψ iae=
∴ ( ) 12 =iae 1±=iae
よって、
),(),( 1221 rrrr ψψ ±= (7.1)
上の「区別できない」粒子の議論と併せて、同種の 2 粒子の波動関数は粒子座標の置き換えに対し、
対称(+: Bose 粒子)または反対称(-: Fermi 粒子)。
Boson: photon, π-中間子
Fermion: 電子、陽子、中性子
空間座標 r + 内部自由度(例えば、spin) → x
),(),( 1221 xxxx ψψ ±= (7.2)
N 粒子の波動関数に関しては、任意の 2 粒子の座標の入れ替えを同様に考え、
4
),,,,,,,(),,,,,,,( 2121 NijNji xxxxxxxxxx LLLLLL ψψ ±= (7.3)
理想気体の波動関数理想気体の波動関数理想気体の波動関数理想気体の波動関数
2 粒子の運動の記述について、各々の粒子が独立に運動しているとすると、
( ) )()(, 2121 xxxx ba φφψ = (7.4)
と表す事ができ、各々の波動関数が ba φφ , である。
しかし、これは 2 粒子が異なる種類の時。 同種粒子の場合は、(7.2) の制約から、
( ) [ ])()()()(, 212121 xxxxAxx abba φφφφψ ±= (7.5)
ba φφ = の時、
Boson: + の時、 ( ) )()(2, 2121 xxAxx aa φφψ =
Fermion: - の時、 ( ) 0, 21 =xxψ
つまり、Fermi 粒子では、2 個の粒子が同じ状態を占める事はできない。
互いに独立した運動をしている同種粒子の系では
(1) Bose 粒子は同じ 1 粒子量子状態を何個でも占有できる。
(2) Fermi 粒子は同じ 1 粒子量子状態を 1 個しか占有できない。(Pauli の排他律)
複合粒子の性質複合粒子の性質複合粒子の性質複合粒子の性質
上の議論を拡張すると、
偶数個の Fermi 粒子を含む場合: Bose 粒子 (Boson)
奇数個の Fermi 粒子を含む場合: Fermi 粒子 (Fermion)
余り拘らず、取り敢えず認めるのが賢明。
7777----2222 フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計 (1)(1)(1)(1)
量子量子量子量子状態の粒子数表示状態の粒子数表示状態の粒子数表示状態の粒子数表示
各粒子が占有する量子状態を考える。 (P.43、図 2-5 参照)
ni :粒子数
Ε
εi
5
1 粒子状態を i と表せば、各々の状態を占める粒子数 in は数列表示すると、
( )L,,, 321 nnnni = (7.6)
これを「量子数」と考える事ができ、
Fermi 粒子で 1,0=in (7.7)
Bose 粒子で ∞= ,,2,1,0 Lin (7.8)
全粒子数は
∑=i
inN (7.9)
量子状態 i のエネルギーを iε とすれば、全エネルギーは
∑=i
ii nE ε (7.10)
この様に、量子状態を 1 粒子状態で占める粒子数で表す事を、粒子数表示という。
粒子分布の粗視化粒子分布の粗視化粒子分布の粗視化粒子分布の粗視化
2-3 節で行った方法に従い、1粒子状態をグループ分けする。
グループ l に属する量子状態の数を lM , エネルギーを lE , そこを占める分子の数を lN とする。
( )L,,, 321 NNN が粗視化された分子分布。 全粒子数 N 、全エネルギー E は、
∑=l
lNN (7.11) = (2.35)
∑=l
ll ENE (7.12) = (2.36)
粒子分布
( )L,,, 321 NNNN l = (7.13)
は、(7.6) と異なり、全系のミクロな量子状態を定めるものではなく、粗視化された状態の指定。
====== 2-3 節の復習 ====================
2-3 節の説明
特定の分子分布 ( )L,,, 321 NNN の下での全系の量子状態の数を求める事を考える
6
エネルギー値 El を有する(で代表される)量子状態数を Ml として、ここに Nl 個の分子を分配す
る事を考える。(上図は図 2-5 と等価: 既に第2章で議論)
この様な分配の場合の数は
lNlM であり、粒子の数が状態数に比べて十分少ない
1<<l
l
M
N (2.37)
とすると、各々の量子状態には粒子は0個若しくは1個しか入っていないと考えられる。
これらの粒子が区別できないとすると、場合の数は
!l
Nl
N
M l
通り
全てのグループについて同じ議論が出来、分布 ( )L,,, 321 NNN の下での全系の量子状態の数は
( ) ∏=l l
Nl
N
MNNNW
l
!,,, 321 L (2.38)
Stirling の公式を用い、
( ) ( ) ( )∑ +−==l
lllllBB NNNMNkNNNWkNNNS loglog,,,log,,, 321321 LL
∑∑
+=
+=
l l
llB
ll
l
llB N
MNkN
N
MNk 1loglog (2.39)
((((別の導出別の導出別の導出別の導出))))
分子が区別できるとすると
( ) ( ) ( ) ( )121!
! +−⋅⋅−⋅−⋅=−
= lllllll
lNM NMMMM
NM
MP
llL 通り
十分状態数が大きく、占有数が少ないとする。 即ち、
1<<l
l
M
N (2.37)
とすると、 ( )l
ll
Nl
ll
lNM M
NM
MP ≈
−=
!
! 通り
Μl
Νl
Νl :粒子数
Μl :量子準位数
Ε
Εl
7
ここで、分子が区別出来ない場合には、分配の仕方は、
!l
Nl
N
M l
通り (終)(終)(終)(終)
========END=============
粒子系のエントロピー粒子系のエントロピー粒子系のエントロピー粒子系のエントロピー
2-3 節では、十分状態数が大きく、占有数が少ないとする。 即ち 1<<l
l
M
N (2.37) を仮定し、
特定の分子分布 ( )L,,, 321 NNN の下での全系の量子状態の数を求める事を考えた。
ここでは、(2.37) (2.37) (2.37) (2.37) を使わずにを使わずにを使わずにを使わずに議論する。
Fermi 粒子の場合、 lM 個の量子状態から重複を許さず重複を許さず重複を許さず重複を許さず lN を選ぶ方法。
( )!!
!)(
lll
lNM
Fl NMN
MCW
ll −== 通り (7.14)
(2-3 節では、 ( )l
ll
Nl
ll
lNM M
NM
MP ≈
−=
!
! ∴
( )!l
NlF
l N
MW
l
= と近似)
Bose 粒子の場合には、 lM 個の量子状態から重複を許し重複を許し重複を許し重複を許し lN を選ぶ方法。
( )( )!1!
!1)(
−−+
=ll
llBl MN
NMW 通り (7.15)
これを、各グループで同様に考えるので、Fermi, Bose 粒子に対し、各々
( ) ( )∏ −=
l lll
llF NMN
MNW
!!
! (7.16)
( ) ( )( )∏ −
−+=
l ll
lllB MN
NMNW
!1!
!1 (7.17)
(7.16), (7.17) より、Stirling の公式を用いてエントロピーを計算。
Fermi 粒子については
( ) ( ) ( )( ) ( ) ( ) ( ) [ ]∑
∑
−−−−−−−≅−
==
lllllllllB
l lll
lBlFBlF
NMNMNNMMk
NMN
MkNWkNS
1log1log1log
!!
!loglog
( ) ( ) ∑ −−−−=l
llllllllB NMNMNNMMk logloglog
Μl
Νl
8
∑∑
−−
−−=
−−
−=
l ll
l
l
l
l
lllB
l ll
ll
ll
llB NM
N
M
N
M
NMMk
NM
NN
NM
MMk loglogloglog
∑
−−
−−
−+
−−=
l ll
l
l
l
l
ll
l
l
l
l
l
l
l
llB NM
N
M
N
M
NM
M
N
M
N
M
N
M
NMk loglog1log1log
∴ ( ) ∑
−
−
−−=
l l
l
l
l
l
l
l
llBlF M
N
M
N
M
N
M
NMkNS log1log1 (7.18)
Bose 粒子については
( ) ( ) ( )( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) [ ]
( ) ( ) ( ) ( ) ∑
∑
∑
−−−−−+−+=
−−−−−−−−+−+≅
−−+
==
lllllllllB
lllllllllB
l ll
llBlBBlB
MMNNNMNMk
MMNNNMNMk
MN
NMkNWkNS
1log1log1log1
11log11log11log1
!1!
!1loglog
ここに、 1>>lM 、 1>>lN なので、
( ) ( ) ( )
( )
∑
∑
∑
∑
−
+
+=
−−
++
+
+=
−−+
+=
−−++≅
l l
l
l
l
l
l
l
llB
lll
l
ll
l
l
l
l
l
llB
lll
l
lll
l
llB
lllllllllBlB
M
N
M
N
M
N
M
NMk
MNM
NM
M
N
M
N
M
NMk
MNM
NNM
M
NMk
MMNNNMNMkNS
log1log1
logloglog11log1
logloglog1
logloglog
(7.19)
(7.18), (7.19) をまとめ、
( ) ∑
−
≅
l l
l
l
l
l
l
l
llBl M
N
M
N
M
N
M
NMkNS log1log1 mmm (7.20)
複号は、上が Fermi 粒子、下が Bose 粒子
FermiFermiFermiFermi 分布、分布、分布、分布、BoseBoseBoseBose 分布分布分布分布
孤立系では、全粒子数 N 、全エネルギー E 一定の下で、(7.20) を最大とする状態を求める事で熱
平衡における粒子分布が定まる。 Lagrange の未定係数法を用い、
( ) ( ) ∑∑ −−=l
lll
lll NEbNaNSNS~
(7.21)
の最大を求める。
9
ll
l
l
l
l
l
l
l
llBl
ll
bEaM
N
M
N
M
N
M
N
NMkbEa
N
S
N
S −−
−
∂∂=−−
∂∂=
∂∂
log1log1~
mmm
Fermion の場合、
0log
loglog1log
1log
111log
1
1log
11
1
111log
1
log1log1~
=−−
−=
−−
−=−−
−
−=
−−
−−+
−=
−−
−−
−⋅
−
−−
−
∂∂=
−−
−
−
−−
∂∂=
∂∂
ll
llB
ll
l
l
llBl
l
l
l
lB
lll
l
lll
l
llB
lll
l
l
l
l
l
ll
l
ll
l
l
l
lllB
ll
l
l
l
l
l
l
l
llB
l
F
bEaN
NMk
bEaN
M
M
NMkbEa
M
N
M
Nk
bEaMM
N
MMM
N
MMk
bEaMN
M
M
N
M
N
MMM
NM
N
M
N
MNMk
bEaM
N
M
N
M
N
M
N
NMk
N
S
∴ lB
l
l
l Ek
bEa
N
M βα +≡+
=
−1log
とおくと、
lE
l
l eN
M βα +=−1 ∴
1
1
+= + lE
l
l
eM
Nβα
Boson の場合、
bEaMN
M
M
N
M
N
MMM
NM
N
M
N
MNMk
bEaM
N
M
N
M
N
M
N
NMk
N
S
ll
l
l
l
l
l
ll
l
ll
l
l
l
lllB
ll
l
l
l
l
l
l
l
llB
l
B
−−
−−⋅+
++
+
∂∂=
−−
−
+
+
∂∂=
∂∂
1log
11
1
111log
1
log1log1~
il
l
l
llBl
l
l
l
lB
lll
l
lll
l
llB
bEaN
M
M
NMkbEa
M
N
M
Nk
bEaMM
N
MMM
N
MMk
−−
+=−−
−
+=
−−
−−+
+=
loglog1log
1log
111log
1
10
0log =−−
+= l
l
llB bEa
N
NMk
∴
1
1
−= + lE
l
l
eM
Nβα
Fermion と Boson を併せて表示すると、
1
1
±= + lE
l
l
eM
Nβα (7.22) 上が Fermion、下が Boson
これは、物理的には、グループグループグループグループ l に属する一つの1粒子量子状態が占有される平均の粒子数に属する一つの1粒子量子状態が占有される平均の粒子数に属する一つの1粒子量子状態が占有される平均の粒子数に属する一つの1粒子量子状態が占有される平均の粒子数。
よって、(7.11), (7.12) は
∑ ±= +
lE
l
le
MN
1βα (7.23)
∑ ±= +
lE
ll
le
EME
1βα (7.24)
βα , を求める。
( ) ( )El
llB
El
lEB
El
l
l
lB
E
l
lE
N
NEk
N
Nek
N
N
N
Mk
N
N
N
S
N
S
l ∑∑
∑∑
∂∂
+=
∂∂
±=
∂∂
=
∂∂
∂∂=
∂∂
+ βαβα 11log
1log
m
m
(7.25)
( ) ( )Nl
llB
Nl
lEB
Nl
l
l
lB
l N
l
lN
E
NEk
E
Nek
E
N
N
Mk
E
N
N
S
E
S
l ∑∑
∑∑
∂∂
+=
∂∂
±=
∂∂
=
∂∂
∂∂=
∂∂
+ βαβα 11log
1log
m
m
(7.26)
(7.11), (7.12) の両辺をN 、E で微分
NNl
l =∑ (7.11) EENl
ll =∑ (7.12)
1=
∂∂
∑l E
l
N
N 0=
∂∂
∑l
l
E
l EN
N
0=
∂∂
∑l N
l
E
N 1=
∂∂
∑l
l
N
l EE
N
よって、(7.25), (7.26) は
( ) B
El
llB
El
lB
El
llB
E
kN
NEk
N
Nk
N
NEk
N
S αβαβα =
∂∂
+
∂∂
=
∂∂
+=
∂∂
∑∑∑ (7.27)
11
( ) B
Nl
llB
Nl
lB
Nl
llB
N
kE
NEk
E
Nk
E
NEk
E
S ββαβα =
∂∂
+
∂∂
=
∂∂
+=
∂∂
∑∑∑ (7.28)
ところで、エントロピーの微分に関しては、
TdE
dS 1= (1.44) VEN
S
T ,
∂∂−=µ
(6.22)
よって、 T
k B
µα −= T
k B
1=β
よって、 Tk B
µα −= Tk B
1=β (7.29)
量子状態 i がグループ l に属していれば、そのエネルギー iε は、 li E≅ε であり、i を占有する粒
子数の平均値(熱平衡値)は
( ) 11
±= − Tki Bie
n µε (7.30)
複号の上が Fermi Distribution, 下が Bose Distribution。
高温では、一般に 1>>−Tk B
i µε となり、
( ) 1>>− Tk Bie µε なので、(注: µε >>i の意)
( )( ) Tk
TkiBi
Bie
en µε
µε−−
− =≅ 1 (7.31)
となり、Fermi, Bose に関わらず、Boltzmann 分布に帰着する。
7777----3333 フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計フェルミ統計とボース統計 (2)(2)(2)(2)
大分配関数大分配関数大分配関数大分配関数
( ) ( )( )∑∑
−−=ΞN n
nB
NNETk
T µµ 1exp, (6.91)
を考えると、
量子数 ( )L,,, 321 nnnni = (7.6)
全粒子数 ∑=i
inN (7.9)
全エネルギー ∑=i
ii nE ε (7.10)
12
なので、
( ) ( )∑ ∑ ∑∞
= =∑
−−=Ξ0
1exp,
N Nn iii
Bi
nTk
T µεµ (7.32)
この計算をする。(この式自体はまず Nni
i =∑ となる全ての粒子分布について足し合わせ、
次に ∞= ,,2,1,0 LN についての和を取るという意味だが、順序を変えても結果は変わらない)
( ) ( )
∏∑
∑∑ ∑
−−=
−−=Ξ
i ni
B
i
n n iii
B
i
nTk
nTk
T
µε
µεµ
exp
1exp,
1 2
L
(7.33)
Fermi 分布の場合に、 in についての和を求めると、 1,0=in なので、
( ) Tk
ni
B
i Bi
i
enTk
µεµε −−
=
+=
−−∑ 1exp
1
0
Bose 分布の場合に、 in についての和を求めると、 ∞= ,,2,1,0 Lin なので、
( ) Tkn
iB
i
Bi
ie
nTk µε
µε−−
∞
= −=
−−∑
1
1exp
0
よって、大分配関数は、
( ) ( )( ) 11,
±−−∏ ±=Ξi
Tk BieT µεµ (7.34) 上が Fermi 粒子、下が Bose 粒子。
粒子分布粒子分布粒子分布粒子分布
1 粒子量子状態 j を占める粒子数 jn の平均数を求める。
全系が ( )L,,, 321 nnnni = にある確率は、
( ) ( ) ( )
−−Ξ
= ∑i
iiB
i nTkT
nP µεµ
1exp
,
1 (7.35)
なので、平均値 jn は
13
( ) ( )
( ) ( )∑
∑ ∑ ∑
−−Ξ
=
∑
−−Ξ
=∞
= =
j
i
njj
Bj
N Nn iii
Bjj
nTk
nT
nTk
nT
n
µεµ
µεµ
1exp
,
1
1exp
,
1
0
( ) ( )∑∑
−−=
−−jj n
jjB
jBn
jjB
nTk
nTk
nTkd
d µεµεµ
1exp
11exp
よって
( ) ( ) ( )( )( )
( )
( )( )
−=
±=
−−=
−−
−−
−−
−−
±−−∑∑
Bosee
eFermie
ed
dTkn
Tkd
dTkn
Tkn
Tk
Tk
Tk
TkB
njj
BB
njj
Bj
Bi
Bi
Bi
Bi
jj
2
1
1
11
exp1
exp
µε
µε
µε
µε
µµε
µµε
( )
( ) ( ) TkTk
Tk
jBiBi
Bi
ee
en µεµε
µε
−−−
−−
+=
+=
1
1
1 Fermi (7.36)
( )( )
( )
( )( ) ( ) 1
1
11
121 −
=−−
= −−−
−−
−−− TkTk
Tk
TkjBiBi
Bi
Bi ee
e
en µεµε
µε
µε Bose (7.37)
なので、前節の (7.30) と一致。
========APPENDIX========================
大正準集団による量子統計導出大正準集団による量子統計導出大正準集団による量子統計導出大正準集団による量子統計導出(別の考え方)(別の考え方)(別の考え方)(別の考え方)
(7.32) より大分配関数は
( ) ∑∑ ∑
−−∞
= =
−−∑∑
=∑
=Ξj
jj
jjj
j n
nn
N Nn
NE eeµεβ
µβ
0
(7B.1)
ここに、B-E では、 ∞= ,,3,2,1,0 Ljn F-D では、 1,0=jn 。 すると、
( ) ( )
∑∑∑−−
−−
−−
Π=∑
=∑∑
=Ξj
jj
j
jjj
j
jj
jjj
n
n
jn
n
n
nn
eee µεβµεβµεβ
(7B.2)
B-E では、
( ) ( )( ) ( )µεβµεβµεβ
−−−−−−
−Π=+++Π=Ξ
j
jj
eee
jj 1
11 2
K (7B.3)
F-D では、
( )( )µεβ −−+Π=Ξ jej
1 (7B.4)
これらをまとめて書き表すと、
14
( )[ ] 1
1m
mµεβ −−Π=Ξ je
j (- は B-E, + は F-D) (7B.5)
全系が量子状態 in にある確率は、
( )( )
Ξ
∑
=
−− ii
i n
i
enP
µεβ
(7B.6)
1粒子量子状態 j を占める粒子数 jn の平均値 jn は
( ) ( )
Ξ=
Ξ∑=
∑∑ ∑ −−∞
= =
−−
j
jj
i
ii
n
nj
N Nn
nj
j
enen
n
µεβµεβ
0 (7B.7)
( )[ ] ( )[ ]µβ
µεβµβ
µεβ∂Ξ∂=−−
∂∂=−− ∑∑
1exp
1exp
jj njjjj
nj nnn (7B.8)
∴ ( )[ ] 1
1log1log1
1m
mµεβ
µβµβµβ −−Π
∂∂=
∂Ξ∂=
Ξ∂Ξ∂
= jenj
j (7B.9)
jG
j
n
nn
n
nn
j
j Ze
en
n
j
jj
jjj
j
jj
jjj
εβεβ
µεβ
µεβ
∂Ξ∂−=
∂Ξ∂−
=∑∑
∑∑
=
∑
∑
−−
−−
log1
1
(7B.10)
B-E では、
( ) ( )
( )( ) ( )( ) ( )
1
1
1
11log
1
1
1log
1
1
1log
1
−=
−=−
∂∂=
−∂∂−=
−Π
∂∂−
−−−
−−−−
−−−−
∑
∑
µεβµεβ
µεβµεβ
µεβµεβ
ββεβ
εβεβ
jj
j
j
jj
ee
ee
ee
jj
jjj
j (7B.11)
F-D では、
( )( ) ( )( )( )( ) ( ) 1
1
1
1
1log1
1log1
+=
+−−=
+∂∂−=+Π
∂∂−
−−−
−−
−−−−∑
µεβµεβ
µεβ
µεβµεβ
ββ
εβεβ
jj
j
jj
ee
e
eejj
jj
(7B.12)
(熱力学関数の計算例:略)
15
少し簡便な大正準集団による少し簡便な大正準集団による少し簡便な大正準集団による少し簡便な大正準集団による BBBB----E, FE, FE, FE, F----D D D D 分布の導出分布の導出分布の導出分布の導出
各準位 j を占める粒子数とその確率(の比)は、
0 個 1 個 2 個 3 個
1=j 1ε 1 ( )µεβ −− 1e ( )µεβ −− 12e ( )µεβ −− 13e ...
2=j 2ε 1 ( )µεβ −− 2e ( )µεβ −− 22e ( )µεβ −− 23e ... (7B.13)
3=j 3ε 1 ( )µεβ −− 3e ( )µεβ −− 32e ( )µεβ −− 33e ...
大分配関数はこれらを、各 j について和を取り、独立な j について掛け合わせたもの。
B-E では、 ∞= ,,3,2,1,0 Ljn F-D では、 1,0=jn なので、
( ) ( )
∑∑∑−−
−−
−−
Π=∑
=∑∑
=Ξj
jj
j
jjj
j
jj
jjj
n
n
jn
n
n
nn
eee µεβµεβµεβ
(7B.2)
B-E では、
( ) ( )( ) ( )µεβµεβµεβ
−−−−−−
−Π=+++Π=Ξ
j
jj
eee
jj 1
11 2
K (7B.3)
F-D では、
( )( )µεβ −−+Π=Ξ jej
1 (7B.4)
これらをまとめて書き表すと、
( )[ ] 1
1m
mµεβ −−Π=Ξ je
j (- は B-E, + は F-D) (7B.5)
ところで、今、各準位の中で、何個粒子が状態を占有するかは異なる準位の状況とは独立。
(だからこそ、上式で、掛け合わせをしている) 従って、各準位の占有率を求めるには、
B-E では
( ) ( ) ( )( ) ( ) ( )
( )
( )
( )( ) ( )
1
1
11
11
11
1
3232
32
−=
−=
−
−∂∂−
=+++++++= −−−
−−
−−
−−
−−−−−−
−−−−−−
µεβµεβ
µεβ
µεβ
µεβ
µεβµεβµεβ
µεβµεβµεβ εβjj
j
j
j
jjj
jjj
ee
e
e
e
eee
eeen j
jK
K
(7B.14)
F-D では、
( )( ) ( ) 1
1
1 +=
+= −−−
−−
µεβµεβ
µεβ
jj
j
ee
en j (7B.15)
これらに対応して、それぞれ、B-E, F-D の分布関数と云い、 )(εf で表す。
Bose 粒子は、
1
1)(
)( −= −µεβε
ef Bose-Einstein 分布 (7.71)
Fermi 粒子は、
1
1)(
)( += −µεβε
ef Fermi-Dirac 分布 (7.41)
16
µε >> の極限では、いずれの統計も
TkBeefε
βεε−− ==)( となり、Boltzmann 分布一致する。
従って、統計が問題となるのは、 µε < , µε ~ の時である。
F-D 分布に関しては、 0=T の時の化学ポテンシャル µ を Fermi Energy と呼び、 0µ または Fε
と表す。 B-E 分布に関しては、 µε < では 0)( <εf となってしまい、物理的に意味をなさない。
従って、 0<µ である。
有限温度 T の時、
>>
=
<<
=
)(0
)(2
1)(1
)(
F
F
F
f
εεεε
εε
ε 大小関係は、おおよそ Tk B 程度を境。
=======END of APPENDIX=========================
1粒子状態のグランドカノニカル分布1粒子状態のグランドカノニカル分布1粒子状態のグランドカノニカル分布1粒子状態のグランドカノニカル分布
以上、補足の説明まで含め、grand-canonical 分布は一見複雑だが、計算して求めた粒子分布等
は案外簡単になっていて、これは、系が相互作用の弱い部分系の集まり系が相互作用の弱い部分系の集まり系が相互作用の弱い部分系の集まり系が相互作用の弱い部分系の集まり、と考えた時、ミクロカノニ
カル分布(エネルギー一定)よりもカノニカル分布(温度一定)の方が計算し易かった事と似ている。
そこで、グランドカノニカル分布の部分系を考えてみる。 理想気体において一つの1粒子量子
状態 j を占める粒子数 jn について考えてみると、この部分系の大分配関数 ξ (Ξ の小文字)は
( ) ( ) ( )( ) 11,
±−−−− ±== ∑Tkn
n
Tkn Bjj
j
Bjj eeTµεµεµξ (- は B-E, + は F-D) (7.39)
よって、1粒子量子状態 j を占める粒子数が jn である確率 ( )jnp 、平均値 jn は
( )( )
( )µξ
µε
,T
enp
Tkn
j
Bjj −−
= (7.38)
( )∑=jn
jjj npnn (7.40)
これらより、(7.36), (7.37) の導出が可能。
ε µ 0
f(ε)
1
ε µ 0
f(ε)
1
T>0 T=0
ε 0
f(ε)
µ=0
µ<0
Fermi-Dirac Bose-Einstein
17
7-47-47-47-4 理想フェルミ気体理想フェルミ気体理想フェルミ気体理想フェルミ気体
Fermi 粒子は、
1
1)(
)( += − Tk Be
f µεε Fermi-Dirac 分布 (7.41)
絶対零度のフェルミ分布絶対零度のフェルミ分布絶対零度のフェルミ分布絶対零度のフェルミ分布
>>
=
<<
=
)(0
)(2
1)(1
)(
F
F
F
f
εεεε
εε
ε
理想フェルミ気体の運動エネルギーは、自由電子近似を用いて
m
pF
2
2
=ε
体積 V の中に入った、電子等スピン 1/2 の自由粒子の系を
考える。
1 粒子状態は、球の内部に一様な密度
( )32
2
hπV
で分布。
そして、運動量 Fp の中に、粒子数は N 個。
( )Np
VF =3
3 3
4
2
2 ππh
3123
=
V
NpF
πh (7.43)
球面上のエネルギーは
32222 3
22
==
V
N
mm
pFF
πε h (7.44)
絶対零度における化学ポテンシャルは絶対零度における化学ポテンシャルは絶対零度における化学ポテンシャルは絶対零度における化学ポテンシャルは Fε (定義)(定義)(定義)(定義)に等しく、
Fεµ = (7.45)
===================================
( )( ) 32
42
3
20
230
Fkk kgV
dkkgV
dkkDNFF
ππ
π∫∫ === (7C.1)
31
26
=
V
N
gkF
π (7C.2)
FF mvk =h (7C.3)
この Fk をフェルミ波数、 Fv をフェルミ速度と呼ぶ。 Fermi 波数と Fermi エネルギーの関係は、
m
k FF 2
22
0
h== µε (7C.4)
zp
yp
xp
Fp
18
であり、また
FBTk=0µ (7C.5)
で定められる FT を Fermi 温度という。
ここで、 eV1 は
[ ] [ ] [ ] TkJeVC B=×=×× −− 1919 106.10.1106.1
[ ] [ ][ ] [ ]K
KJ
JKT 594,11
/1038.1
106.123
19
=××= −
−
eV1 は K000,10 強、と憶えておくと便利。 K300 は meV9.25 。
========END========================
有限温度の有限温度の有限温度の有限温度の Fermi Fermi Fermi Fermi 分布分布分布分布
図 7.2 参照
Tk B2 程度の幅を持つ。
化学ポテンシャルの温度変化化学ポテンシャルの温度変化化学ポテンシャルの温度変化化学ポテンシャルの温度変化
Nfi
i =∑ )(ε (7.46)
より化学ポテンシャルが定まる。 また、エネルギー εεε d+~ にある 1 粒子状態の数を εε dD )(
とおくと、
εεεεε µεβ de
DdfDN ∫∫∞
−
∞
±==
0 )(0 1
1)()()( (7.47)
注)5-4 節の空洞放射、5-5 節の固体の格子振動で、周波数 ω に対し、状態分布 ( )ωD を定義した
が、ここではここではここではここではエネルギーに対し定義するエネルギーに対し定義するエネルギーに対し定義するエネルギーに対し定義する。 結晶内の自由電子について考えると、1 粒子状態は、3
次元の運動量空間球の内部に一様な密度
( )32
2
hπV
で分布するので、(スピンの縮重を考慮)
( )( )
dppV
dD 23
42
2 ππ
εεh
= (7D.1)
ε µ 0
f(ε)
1
ε µ 0
f(ε)
1
T>0 T=0
Fermi-Dirac
Tk B2
19
ここに、
m
p
2
2
=ε dpm
pd =ε
εεε 22
m
m
m
p
m
d
dp === (7D.2)
よって、
( )( ) ( )
επε
εππε
ππ
ε 23323
23
2
224
2
24
2
2m
Vmm
V
d
dpp
VD
hhh
=×== (7.54)
また、電子の様な Fermi 粒子の場合、 0=T で、 Fεε ~0= で分布関数は 1、それ以外で 0
( ) NVm
dVm
dD F
FF
=== ∫∫23
32
23
032
23
0 3
222 επ
εεπ
εεεε
hh (7D.3)
µ<<Tk B の低温の時、
( ) ')'(0
εεεε
dDN ∫= (7.48)
とおくと
( )εεε
d
dND =)( (7.49)
(7.47) を部分積分して、
[ ] εεεεεε
εεεεεεε
dd
dfNfN
dfd
dNdfDI
∫
∫∫∞∞
∞∞
−+=
=≡
00
00
)()()()(
)()(
)()(
ここに、 0)0( =N , 0)( =∞f なので、第 1 項は消え、第 2 項では、
( )
( )( ) ( )( ) ( )( )11
11
1
1)(2 ++
=+
=− −−−−
−
TkTkB
Tk
Tk
BBBB
B
eeTke
e
Tkd
dfµεµεµε
µε
εε
(7.50)
この関数は、上のグラフの通り。 よって、 )(εN を µε = の周りで展開し、2 次の項まで取ると、
( ) ( ) L+
−+
−+=== µεµε ε
µεε
µεµε2
22
2
1)()(
d
Nd
d
dNNN
積分はどの範囲でとっても、結局、 µε = 近くのみしか効かない。 また、
εε
d
df )(− は ( )µε − の
偶関数なので ( )µεε
µε=
−d
dN 項は消える。
[ ] 1)()( =−=
− ∞∞−
∞
∞−∫ εεεε
fdd
df
ε µ 0
1
T>0
f(ε) -f’ (ε)
20
なので、
( ) εεεµε
εµ
µε
dd
df
d
dDNI ∫
∞
=
−−
+≅0
2 )(
2
1)(
ここに、
Tkx
B
µε −= とおくと、
Tkd
dx
B
1=ε
よって、
( ) ( ) ( )( )( ) ( )( ) dx
ee
xTk
dxTkeeTk
xTkdd
df
xxB
BxxB
B
∫
∫∫
∞
−
∞
∞− −
∞
∞−
++=
++=
−−
0
22
222
112
11
11)( εεεµε
巻末積分公式 (A.10), (A.9) より、
( )( ) ( ) ( )6
22!22
11
11
2
0
2 πζζ ==
−=++∫
∞
− dxee
xxx
よって、
( ) ( ) ( )222
2
0
2
362
)(TkTkd
d
dfBB
ππεεεµε ==
−−∫∞
また、低温における化学ポテンシャルの変化も小さいので、 0=T での化学ポテンシャルを 0µ
として、
µµµ ∆+= 0
とおき、 µ∆ で展開する。
( ) ( ) ( ) ( ) µµµµµ
µµµµ
∆+=∆
+≅=
000
0
DNd
dNNN
よって、
( )
( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( )22
00
22
00
0
2
6
6
)(
2
1)(
0
Tkd
dDDN
Tkd
dDDN
dd
df
d
dDNI
B
B
πε
µµµ
πε
µµµ
εεεµε
εµ
µ
µε
µε
+∆+≅
+∆+=
−−
+≅
=
∞
=∫
(7.51)
( )0µNN = であるから、(7.47) より
21
( ) ( ) 06
22
0
0
=
+∆ Tkd
dDD B
πε
µµµ
(7.52)
従って、低温における化学ポテンシャルの温度変化は、
( ) ( )( ) ( )2
0
2
00
6Tk
D
ddDT Bµ
επµµ µ−= (7.53) 」6/23
======以下は参考まで=========
体積 V の容器に入った自由粒子系では、状態密度と微分はスピンを考慮し、(2.21) より
( )( )
( ) 23
32
2ε
πε m
V
h
=Ω (2.21)
なので、
( ) ( ) 2132
2322 ε
πεεε
h
Vm
d
dD =Ω= (7.54)
( ) 21
32
23
2−= ε
πεε
h
Vm
d
dD (7.55)
よって、 Fεµ =0 とおくと、
( ) ( ) ( )
( )F
BF
BF
FB
F
F
Tk
TkTkVm
Vm
T
επε
επε
επ
εππµµ
22
22
2
21
32
23
21
32
23
2
0
12
2
1
622
6
−=
−=−=
−
h
h
(7.56)
即ち、化学ポテンシャルは温度と共に減少し、高温では、負の大きな数 ( ) TkT B>>µ となり、
( ) TkT B>>− µε が成立ち、Boltzmann 分布に近づく。
=======END=================
絶対零度のエネルギー絶対零度のエネルギー絶対零度のエネルギー絶対零度のエネルギー
単純に「エネルギーは単純に「エネルギーは単純に「エネルギーは単純に「エネルギーは 0 0 0 0 」ではないので注意。」ではないので注意。」ではないので注意。」ではないので注意。
粒子系の熱平衡におけるエネルギーは (7.10) より
( )∑∑ ==i
iii
ii fnE εεε (7.57)
なので、状態密度を用い、
( ) ( )∫∞
=0
εεεε dfDE (7.58)
22
0=T におけるエネルギーは、フェルミ粒子の場合、(7.54), (7.44) より
( )
FF NVm
dVm
dVm
dDEFFF
εεπ
εεπ
εεπ
εεεεεεε
5
32
5
2
22
25
32
23
0
2332
23
0
2132
23
0
0
==
=== ∫∫∫
h
hh (7.59)
∴
3222
0
3
25
3
=
V
N
mNE
πh (7.60)
エネルギーが体積に依存するので、
( )
V
N
V
N
mN
dV
dEp Fεπ
5
23
25
235
32220 ==−= h
(7.61)
となり、絶対零度で圧力を持つ。 (古典力学と異なる)
エネルギーの温度変化エネルギーの温度変化エネルギーの温度変化エネルギーの温度変化
有限温度におけるエネルギーは、(7.47) εεε dfDN ∫∞
=0
)()( より、
( ) ')'('0
εεεεε
dDG ∫= (7.62)
とおくと、( ( )εG は0からε までの準位が埋っている時のエネルギー)
( )
)(εεεε
Dd
dG =
( )
εεεε
εε
d
dDD
d
Gd )()(
2
2
+= (7.64)
なので、低温では、(7.51) に相当するものとして、
( ) ( ) ( )
( ) ( )2
2
22
0
00
006
)(
Tkd
Gd
d
dGG
dfd
dGdDfE
B
µµ επµ
εµ
εεεεεεεε
+∆
+≅
== ∫∫∞∞
(7.63)
(7.64) より、 )( 00
0
µµε µ
Dd
dG =
、
00
002
2
)(µµ ε
µµε
+=
d
dDD
d
Gd
ε’ ε 0
D(ε’ )
ε’ ε 0
1
T>0 f(ε’ )
ε’ ε 0
D(ε’ )f(ε’ )
X =
23
∴ ( ) ( )200
2
000
0
)(6
)( Tkd
dDDDGE B
++∆+≅µε
µµπµµµµ
(7.52) より、 ( ) ( ) 06
22
0
0
=
+∆ Tkd
dDD B
πε
µµµ
∴
( ) ( ) ( )
( ) ( )20
2
0
200
22
2
00
)(6
)(66
00
TkDG
Tkd
dDDTk
d
dDGE
B
BB
µπµ
εµµππ
εµµ
µµ
+=
++
−≅
よって
( ) ( )20
2
0 )(6
TkDETE Bµπ+≅ (7.65)
3次元の自由粒子系では、 ( ) ( ) 2132
2322 ε
πεεε
h
Vm
d
dD =Ω= (7.54)
なので、 Fεµ =0 として、
( ) ( ) 0023
32
23
3
2
3
2
3
22 µµεεεπ
DDVm
N FFF ===h
(7D.3)’
を用い
( ) ( ) ( )
( )F
B
BFBF
TkNE
TkVm
ETkDETE
επ
επ
πεπ
22
0
221
32
232
02
2
0
4
2
6)(
6
+=
+=+≅h
(7.66)
また、(7.65) より、低温における比熱は、
( )
TkDdT
TdEC B
20
2
)(3
µπ≅= (7.67)
3次元自由粒子系では、
F
B TkNC
επ 22
2≅ (7.68)
24
低温における低温における低温における低温における Fermi Fermi Fermi Fermi 粒子系粒子系粒子系粒子系
Fermi 粒子系 @低温
エネルギー: 2T に比例
比熱: T に比例
温度 T により、粒子は Tk B 程度のエネルギーを得るが、
これにより励起されるのは、 Fε より下 Tk B 程度にある
粒子のみ(Fermi 縮退)。 その数は、およそ
( ) TkDN BFε~'
1個当りの得るエネルギーが Tk B 程度なので、系全体で
は温度上昇に伴うエネルギーの増加は
( )( )2~'~ TkDTkNE BFB ε∆
(7.65) より、 ( ) ( )20
2
0 )(6
TkDETE Bµπ+≅ で、
64.1~6
2π なので、おおよそ一致。
この様な現象(熱励起が 'N の粒子に限定)が起こるのは、
FB Tk ε<< の低温で、およそ
B
FF k
Tε
= (7.69)
以下の時。 これを Fermi Fermi Fermi Fermi 温度温度温度温度という。 (7.44) より、
3222 3
2
1
=
V
N
mkT
BF
πh (7.70)
金属電子と液体金属電子と液体金属電子と液体金属電子と液体 3333HeHeHeHe
理想フェルミ気体: 金属中の自由電子、3He
金属中の自由電子 : 金属を構成する原子数と同じ程度
330324 10~10~ −− = mcm
∴
33010 mN
V −=
よって、(7.70) より、
[ ]
[ ]( )[ ] [ ]( )
53123
2068
32330231
234
123
3222
102.41010
1010
10
2.4
1031011.92
1005.1
1038.1
1~
3
2
1
×=×××=
×××
⋅×⋅×
=
−−
−
−−
−
−− mkg
sJ
KJV
N
mkT
BF ππh
従って、金属の Fermi 温度は [ ]K510 のオーダーとなり、常温では、 FTT <<
En
ergy
µ
0
kBT
Fig. 7-4 励起先は空準位で
なくてはならない
25
ところで、こうした温度領域において、金属(3D)の自由電子が
(1)古典統計力学に従うとすれば、エネルギー等分配則より、
TNkE B2
3= より、 TkC B2
3=
(2)Fermi 粒子だと
F
B TkNC
επ 22
2≅ (7.68)
実験結果(ここには掲載されていない)は(1)ではなく、絶縁体と大差ない。 この事は比熱の
主たる担い手が格子振動である事を示唆している。 一方、低温領域では、図 7-5 に見られる様に、
比熱は
3T に比例する項と T に比例する項とからなっている事を示唆している。
ところで、
3222 3
2
1
=
V
N
mkT
BF
πh (7.70)
より、質量の重く、低密度な Fermi 粒子は、 FT が低くなる。 その様な Fermi 粒子として、3He が
あり、3He の質量は電子の約 5,000 倍である事から、 KT F 1~ となり、この温度領域でも比熱は T
に比例する。
補足補足補足補足 金属自由電子の熱的有効質量金属自由電子の熱的有効質量金属自由電子の熱的有効質量金属自由電子の熱的有効質量
金属の比熱は低温領域において、
伝導電子からの寄与 F
B TkNC
επ 22
2≅ (7.68)
格子振動からの寄与 3
33
22
5
2T
s
VkC B
h
π= ( s は伝播速度) (5.87)
で与えられており、
3TTC αγ += ∴
2TT
C αγ +=
は低温領域において、比熱が伝導電子、格子振動からの成分で成り立っている事を示す。
すると、γ が電子からの寄与を示すパラメーターだが、図 7-5 の様に実験結果を解析すると、その
自由電子近似との比を熱的有効質量(thermal effective mass)と定義する事が可能で、
*m : 電子の熱的有効質量 m
m*
: 1.24 (Na), 1.49 (Al)
等となる。 これは、バンドにおける有効質量と分けて考えるのが通常である。
26
7-47-47-47-4AAAA 補足補足補足補足 Fermi Fermi Fermi Fermi 統計の利用統計の利用統計の利用統計の利用
理想量子気体のふるまい理想量子気体のふるまい理想量子気体のふるまい理想量子気体のふるまい
一般に、状態密度を )(εD とおくと、系の粒子数、全エネルギーは
εεεεε µεβ de
DdfDN ∫∫∞
−
∞
±==
0 )(0 1
1)()()( (7E.1)
εεεεεεε µεβ de
DdfDE ∫∫∞
−
∞
±==
0 )(0 1)()()( (7E.2)
(但し、上が F-D, 下が B-E 分布)
この状態密度を )(εD の関数型は、物質の次元により異なる。
3次元:
21)( εε ∝D バルク
2次元:
0)( εε ∝D 量子井戸
1次元:
21)( −∝ εεD 量子細線
0次元: δε ∝)(D 量子ドット
7-4A-7-4A-7-4A-7-4A-1111 金属からの電子の放出金属からの電子の放出金属からの電子の放出金属からの電子の放出
金属の中の伝導電子は、縮退した電子気体と看做す事が出来る。
こうした電子は、高温、外部からの励起等で放出可能。 特に熱によるものを熱電子放射(放出)、光
励起によるものを光電子放出と呼ぶ。
金属中の自由電子は外界(真空)に対し、 W− の位置エネルギーを持つとし、 [ ]KT 0= における
Fermi 準位 0µ は外界より φ だけ低いとする。 有限温度T において、Fermi 分布に従い、高い
エネルギーを有する電子の表面から放射の電子流の大きさを求める。
(7章 章末問題4 参照)
xxxx
yyyy
zzzz
ε µ 0
D(ε)
ε µ 0
1
T>0 f(ε)
ε µ 0
D(ε)f(ε)
X =
27
表面に垂直( z 方向)に W よりも大きな運動エネ
ルギーを持った電子が外界に出て行く事が出来るので、
その様な粒子の数を考える 自由電子近似なので、
(7.54) より
( ) dpph
gVdppD 2
34π= (7E.3)
( g は縮退度で、電子系では 2=g )
x 方向と y 方向は等価だが、 z 方向は別途考える必要があり、
( ) zyx dpdpdph
VdD
3
2=pp (7E.4)
であるが、表面の単位面積から単位時間に出て行く電子の数は
( ) 1
12
23 +
= −>
∞
∞−
∞
∞− ∫∫ ∫ µεβevdpdpdp
h
VN
mWp
zzyx
z
(7E.5)
但し、 m
ppp
m
p
m
k zyx
222
222222 ++=== hε (7E.6)
である。 ここで、
222 'ppp yx =+ とおくと、
1
1''2
2
22
'2
03 22
+
=
−+>
∞
∫∫µβ
πm
p
m
pmWp
zzz
z
e
vdpdpph
VN (7E.7)
tm
p z =−2
2
µ とおけば
( )
+=
+=
+=
+
=
+
=
−
>
>>
∞
−−
>
∞
−−
−−
>
∞
−
∫
∫∫
∫∫∫∫
m
p
mWp
zz
B
mWp
zztB
mWp
zz
tm
p
mWp
zzt
m
p
tm
p
mWp
zzt
m
p
z
z
zz
zz
em
pdp
h
TVmk
vdpeh
TVmkvdpe
m
h
V
vdpdp
e
ep
h
Vvdpdp
e
ph
VN
2
23
23
20
2
'
3
20
2
'
2
'
32
0
2
'3
2
2
2
2
2
1log4
1log4
1log22
'
1
'22
'
1
1'2
2
µβ
ββ
β
β
β
π
πβπ
ππ
(7E.8)
m
p zz 2
2
=ε であるから、
m
p
dp
d z
z
z =ε
ε
µ0
z
φ
WWWW
0
Metal
Vacuum
28
( )( )z
z
edh
TVmkN
W
zB εµβ
ε
επ −
>
+= ∫ 1log4
3 (7E.9)
0µµ ≅ であり、 TkW B>>=− φµ0 従って
( ) 1<<− ze εµ よって、
( )( ) ( )zz ee εµβεµβ −− ≅+ 01log (7E.10)
∴
( ) ( ) ( ) ( ) βφµβεµβ ππεπ −−∞ − === ∫ eh
VTkme
h
VTkmed
h
TVmkN BWB
W zB z
3
2
3
2
3
44400 (7E.11)
電流は、 eN なので、
TkB BeTh
Vmekj
φπ −= 2
3
24 (7E.12)
これは、Richardson-Dushman の熱電子の式として知られる。
7-4A-7-4A-7-4A-7-4A-2222 半導体の電子状態半導体の電子状態半導体の電子状態半導体の電子状態
電子軌道の混成とバンド形成電子軌道の混成とバンド形成電子軌道の混成とバンド形成電子軌道の混成とバンド形成 (直感的な説明)
隣接した原子から電子軌道が延び相互作用をし、隣接した原子から電子軌道が延び相互作用をし、隣接した原子から電子軌道が延び相互作用をし、隣接した原子から電子軌道が延び相互作用をし、
結合を形成。結合を形成。結合を形成。結合を形成。 この時、結合性・反結合性軌道にこの時、結合性・反結合性軌道にこの時、結合性・反結合性軌道にこの時、結合性・反結合性軌道に
分かれる。分かれる。分かれる。分かれる。
原子が規則配列したものが結晶。原子が規則配列したものが結晶。原子が規則配列したものが結晶。原子が規則配列したものが結晶。
ここでも隣接原子が混成軌道を形成する。ここでも隣接原子が混成軌道を形成する。ここでも隣接原子が混成軌道を形成する。ここでも隣接原子が混成軌道を形成する。
無限に原子が続く結晶中では更に、隣接した混成軌道同士も相互作用をする無限に原子が続く結晶中では更に、隣接した混成軌道同士も相互作用をする無限に原子が続く結晶中では更に、隣接した混成軌道同士も相互作用をする無限に原子が続く結晶中では更に、隣接した混成軌道同士も相互作用をする
原子の繰り返し(結晶)原子の繰り返し(結晶)原子の繰り返し(結晶)原子の繰り返し(結晶) →→→→ 隣接した原子同士の電子軌道が混成軌道を形成隣接した原子同士の電子軌道が混成軌道を形成隣接した原子同士の電子軌道が混成軌道を形成隣接した原子同士の電子軌道が混成軌道を形成
この結果、結合性・反結合性軌道は相互作用により、空間的に広がると共にエネルギー的にある幅の
間は連続的な準位を持つ様になる。 これがバンドである。 そして、結合性の価電子帯と反結合性の
E
E
結合性軌道
反結合性軌道
電子軌道
E
禁制帯(Forbidden Band) Eg: Energy Gap
伝導帯(Conduction Band)
E
価電子帯価電子帯価電子帯価電子帯((((Valence Band))))
禁制帯(Forbidden Band)
29
伝導帯の間には電子準位が無い領域があり、これをエネルギーギャップと呼ぶ。 この値が概ね 0.3~4
eV の物質を半導体と呼ぶ。
低温(室温でも)では、価電子帯は電子が満たされていて(このため、充満帯、とも呼ぶ)、電子は
動く事ができない。 一方伝導帯は、電子の占有率が低く、自由に動く事ができる。 このため、何ら
かの方法で伝導帯に電子を入れる事が出来れば導電性が得られる。
この様にして形成された、価電子帯と伝導帯は、
3次元の場合、各々 ( ) εε ∝D の状態密度を
持つ。 この中での状態の占有率は Fermi 分布
関数で与えられる。 (右図)
低温では、全ての電子は価電子帯にあって、伝
導に寄与しない。
n 型、型、型、型、p 型半導体型半導体型半導体型半導体
n 型半導体と呼ばれる物質では、ドナーと呼ばれる不純物原子が ppm レベル混入されている。 この
電子の占有する準位(不純物準位)が伝導帯の下端から DE (小さい)だけ低いところにあるとする
と、 DB ETk ~ 以上のエネルギーが与えられると、この電子は伝導帯に移り、伝導に寄与する。
nnnn 型半導体型半導体型半導体型半導体 pppp 型半導体型半導体型半導体型半導体
一般には、上の様に定められるが、 0=vE とおいて、下記の様に記述する事もある。
0
D(ε)
εj
ε
Eg
EA
0
D(ε)
εj
ε
Eg
ED
0
D(ε)
εj ε
EA
Eg Ec Ev εi
0
D(ε)
εj ε
ED
Eg Ec Ev εi
ε µ 0
D(ε)
εi εj
f(ε)
Eg
伝導帯伝導帯伝導帯伝導帯
価電子帯価電子帯価電子帯価電子帯
εi
30
逆に p 型半導体では、アクセプターと呼ばれる電子を受け入れる事の出来る不純物準位が価電子帯の
上端から AE (小さい)だけ高いところにあり、 AB ETk ~ 以上のエネルギーが与えられると、価電
子帯の電子がこの準位に移り、価電子帯中のホールが伝導に寄与する。
[[[[例例例例]]]] エネルギーギャップ gE を持つ真性半導体の伝導電子密度を n , 空孔密度を p とおき、この
時、伝導電子と空孔を実効質量 he mm , の自由粒子と考える時、(1) pn, を、(2)また、この時の
Fermi 準位(化学ポテンシャル)を求める。
伝導帯の電子のエネルギー準位を iε 、価電子帯の電子のエネルギー準位を jε 、とすると単位体積当
りの電子の総数 N は、
∑∑+
++
= −−ji
ji eeN
1
1
1
1)()( µεβµεβ
(7E.13)
真性半導体を考えているので、本来、価電子帯の準位を考えると
∑=j
N 1 (7E.14)
∴ ∑∑∑+
=
+−=
+ −−−−jji
jji eee 1
1
1
11
1
1)()()( µεβµεβµεβ (7E.15)
これは、 pn = に相当。
伝導帯、価電子帯、各々の準位でのエネルギーは
e
gi mE
2
2p+=ε h
j m2
2p−=ε (7E.16)
従って、
∫∫+
=+
=+−
−
1
2
1
2
)2
(3)(3 2
eg
i
m
pE
e
d
he
d
hn
µβµεβ
pp (7E.17)
∫∫+
=+
=+
−
1
2
1
2
)2
(3)(3 2
h
j
m
p
e
d
he
d
hp
µβµεβ
pp (7E.18)
ε µ 0
D(ε)
εi εj
f(ε)
Eg
31
TkE Bg >>− µ なので、Boltzmann 分布で近似すると、
( )
−−=
+−−≅ ∫
∞
Tk
ETkm
hm
pEdpp
hn
B
gBe
eg
µπµβπ exp2
2
2exp4
22
3
30
22
3 (7E.19)
( )
−=
+−≅ ∫
∞
TkTkm
hm
pdpp
hp
BBh
h
µπµβπ exp22
2exp4
22
3
30
22
3 (7E.20)
物理的に真性半導体では np = である。
∴
−=
−−
Tkm
Tk
Em
Bh
B
ge
µµexpexp 2
32
3 (7E.21)
∴
=
Tk
E
m
m
Tk B
g
e
h
B 2expexp
43
µ (7E.22)
よって、
( )
−
==
Tk
E
h
Tkmmpn
B
gBhe
2exp
22
23
2
21π
(7E.23)
また、
e
hB
g
m
mTk
Elog
4
3
2+=µ (7E.24)
参考書
“Electronic and Optoelectronic Properties of Semiconductor Structures,” Jasprit Singh,
Cambridge Univ. Press, 2003, ISBN 0-521-82379-X (or 03574-0)、
“Semiconductor Devices,” S. M. Sze, John Wiley & Sons, 2002, ISBN 0-471-33372-7
「熱学・統計力学」久保亮五(裳華房)
等
32
7-7-7-7-5555 理想理想理想理想ボースボースボースボース気体気体気体気体
化学ポテンシャル µ に対しエネルギーが ε の1粒子量子状態を占める粒子の平均数は
1
1)(
)( −= − Tk Be
g µεε Bose-Einstein 分布 (7.71)
(7-3 節、(7.30), (7.37) 等を参照)
絶対零度のボース分布絶対零度のボース分布絶対零度のボース分布絶対零度のボース分布
0)( >εg より、
0≤µ (7.72)
0=T の時を考える。 ボース粒子は一つの1粒子状態に何個でも占める事が出来るので、粒子数は
( )( )
>=
=00
0)(
εε
εN
g (7.73)
この様な分布となるためには、(7.71) が 0→T で
0=µ (7.74)
でなくてはならない。
有限温度有限温度有限温度有限温度のボース分布のボース分布のボース分布のボース分布
粒子数が定まっている系では、
Ngi
i =∑ )(ε (7.75)
状態密度を用い、積分形に直すと、(実は、これは、関数 )()( εε gD が連続な範囲でのみ正しい)
NdgD =∫∞
0
)()( εεε (7.76)
体積 V に入った自由粒子の状態密度は、(スピン 0 の boson なのでスピンの縮重を考えない)
21
32
23
2)( ε
πε
h
VmD = (7.77)
よって、
( ) Nde
VmTkB
=−∫
∞
−0
21
32
23
12εε
π µεh
(7.78)
Tk B
µα = Tk
xB
ε= とおくと、
Tk
ddx
B
ε= で、 (7.78) を書き直すと、
ε=ε0=0
Bose-Einstein 分布
ε=ε1
ε=εk
ε=ε2
ε=ε3
33
( ) ( ) Ndxe
xTk
VmxB =
−∫∞
−0
2123
32
23
12 απ h
∴ ( ) ( ) V
N
Tmkdx
e
x
Bx 23
32
0
21 2
1
hπα =
−∫∞
− (7.79)
ここで、
( ) ( )∫∞
− −=
0
21
1dx
e
xI
x αα (7.80)
を考える。 ここに、巻末の数学公式より、
( ) ∑∞
=
=1
1
nzn
zζ (A.8)
( ) ( ) LL 342.12
5,612.2
2
3,
904,
62
42
=
=
== ζζπζπζ (A.9)
( )( ) ( )ppdxee
xpxx
p
ζ!2
11
11 10
−=++ −
∞
−∫ (A.10)
( ) ( )1110
++Γ=−∫
∞ppdx
e
xx
p
ζ (A.11)
Boson については、 0≤µ なので、 0≤α
0=α の時、
( ) L612.222
3
2
3
10
0
21
×=
Γ=−
= ∫∞ πζdx
e
xI
x (7.81, 82)
0<α の時、 ( ) ( )0II <α
よって、 ( )( )0
223
32
IV
N
TmkB
<hπ
すると、逆に ( )( )0
223
32
IV
N
TmkB
>hπ (7.83)
∴ ( )( ) V
N
mkIT
B23
3223
0
2 hπ<
∴ ( ) ( ) ( ) cBB
TV
N
mkV
N
mkT =
=
<
32232
23431
23
2
23
22
ζπ
ζππ hh
(7.84)
34
を満たす低温の時、これを満たす α ( )0≤α 、即ち化学ポテンシャル µ は存在しない。
次に、この物理的な意味を考える。
BoseBoseBoseBose----Einstein Einstein Einstein Einstein 凝縮凝縮凝縮凝縮
絶対零度に近い低温を考える。 前に述べた通り、 0=T では全粒子が最もエネルギーが低い1
粒子状態(状態 0)を占める。
有限で十分な低温では、粒子の一部はエネルギーの高い状態へ励起されるが、大半は状態 0 に残っ
ており、その数は、(7.71) より、
1
1)0(
−= − Tk Be
g µ (7.85)
となる。 この )0(g はマクロな正の数でなければならない。
よって、
110 <<−< − Tk Be µ ∴ 21 <<< − Tk Be µ
∴ 2log0 <<−<Tk B
µ ∴ 2log0 Tk B<<−< µ
即ち、概ね、 Tk B<<−< µ0 となり、 0~µ と考えられる。
一方、全粒子数を与える (7.78) ( ) Nde
VmTkB
=−∫
∞
−0
21
32
23
12εε
π µεh
の積分を考えると、
0=µ の時、 ∫∞
−=
0
21
32
23
12εε
π ε de
VmN
TkBh
で、被積分関数
1
21
−TkBeεε
は、 0=ε で、発散する
が、実は、(7.76) を導いた時の仮定「関数 )()( εε gD が連続」を満たしていない事になり、積分は
0=ε を除いた値で行っている事に相当。
よって、状態 0 以外のエネルギーの状態を占めている粒子数を ( )TN ' とおくと、これが即ち上の
(7.78) の 0=µ の時のもの。
( ) ∫∞
−=
0
21
32
23
12' εε
π ε de
VmTN
TkBh
これは即ち、(7.79) において 0=α
∴ ( )( )
=
Γ=−
= ∫∞
2
3
22
3
2
3
1
'2
0
21
23
32
ζπζπdx
e
x
V
TN
Tmk xB
h
BoseBoseBoseBose----EinsteinEinsteinEinsteinEinstein 凝縮時の分布凝縮時の分布凝縮時の分布凝縮時の分布
ε=ε0=0
ε=ε1
ε=εk
ε=ε2
ε=ε3
35
(7.84) より ( )322
23
2
=
V
N
mkT
Bc ζ
πh である事を用いると、
( ) ( ) ( ) ( )23
232323
323
23
32
23
232222
3
2'
=
==
= −
c
cBB
T
TN
NTTTmkTmk
VTN ζππ
ζπhh
(7.86)
よって、状態 0 を占める粒子数は、
( ) ( )
−=
−=−=
2323
0 1'cc T
TN
T
TNNTNNTN (7.87)
cTT = (以上)で ( )TN0 は消失。 化学ポテンシャルは
cTT < で 0=µ
cTT > で 0<µ
現象としては、
cTT > で 粒子は各エネルギー・運動量空間に連続分布
cTT = で 原点 0=p にマクロな数の粒子が集まり始め
0=T で 全て原点 0=p に集まる。 これを BoseBoseBoseBose----Einstein condensationEinstein condensationEinstein condensationEinstein condensation という。
BoseBoseBoseBose 粒子系の比熱粒子系の比熱粒子系の比熱粒子系の比熱
cTT < における粒子系のエネルギーは、状態 0 を除いて求めればよいので、積分をそのまま利用。
( )∫∫∞
−
∞
−==
0
23
32
23
0 12)()( εε
πεεεε µε d
e
VmdgDE
TkBh
(7.88)
cTT < で 0=µ 。 よって、
( ) ( )∫∫∞
−
∞
−=
−=
0
2325
32
23
0
23
32
23
1212dx
e
xTk
Vmd
e
VmE
xBTkB αε πεε
π hh
(7.89)
積分の部分は、(A.11) より、
36
=
Γ=−∫
∞
2
5
4
3
2
5
2
5
10
23
ζπζdxe
xx L342.1
2
5 =
ζ (7.90)
すると、 cTT < におけるエネルギーは (7.84) より、 ( )322
23
2
=
V
N
mkT
Bc ζ
πh より、
( ) ( )
( )
=
×=
=
2
5
22
3
2
5
222
3
2
5
4
3
2
2523
2
25
323
2325
32
23
ζπ
ζπ
ζππ
Tkm
V
TkVm
TkVm
E
B
BB
h
hh (7.91)
同じく cTT < において比熱は、(A.9) も用い、
( )
( )( )( )
2323
2323225
23
2
232523
2
2523
2
927.123
25
4
15
23
2
2
5
24
15
2
5
24
15
2
5
22
3
≅
=
=
=
==
cB
cB
cBB
BB
T
TNk
T
TNk
T
T
V
N
mkk
mV
Tkm
VTkm
VdT
d
dT
dEC
ζζ
ζπζ
π
ζπ
ζπ
h
h
hh
(7.92)
因みに、 cTT > は少々複雑なので、略。 結果だけ、図 7-8 のグラフに示す。
( ) Nde
VmTkB
=−∫
∞
−0
21
32
23
12εε
π µεh
(7.78)
より、µ を温度の関数として求めた後、計算。
R2
3
R2
R
cT T
VC
0
Fig. 7Fig. 7Fig. 7Fig. 7----8 modified8 modified8 modified8 modified
理想フェルミ気体と理想ボース気体の比熱理想フェルミ気体と理想ボース気体の比熱理想フェルミ気体と理想ボース気体の比熱理想フェルミ気体と理想ボース気体の比熱 FermionFermionFermionFermion
BosonBosonBosonBoson
37
液体液体液体液体 4444He He He He の超流動の超流動の超流動の超流動
Bose 粒子系の実例。 理想気体としての4He は KTc 13.3~ であり、実際には KT 17.2=λ
で相転移し、 λTT < で超流動状態(superfluidity state)に。
(7.84) より、
∴
( )
( ) [ ]K
V
N
mkT
Bc
12.31012.41059.71035.81059.7
106.27612.2
1002.6
1038.11002.6
104
1063.61005.1
23
2
1819322719
32
6
23
2323
3
3434322
=×××=×××=
×××
×××
××××=
=
−−
−−
−
−−
ζπh
===========補足======================
以下、4He 原子を考える。
系全体の粒子数 N は各エネルギー状態 k にある粒子の合計であるから、
∑=k
knN (7F.1)
この kn の分布は 1
1)(
)( −= −µεβε
kef k
(7F.2)
絶対零度では、 0)( →εf であるが、存在している粒子はどこかの準位に納めなくてはならないので、
0=ε の準位に全て(N 個)の粒子が占有。
この事から、 0≠T でも (7F.1) を計算するのに、 0n のみ分けて考えると、
( ) εεπ µεβ deh
mVgnnnN
kk ∫∑
∞
−≠ −
+=+=0
23
200
0 1
22 (7F.3)
ここに、スピン 0 の粒子は縮退度 1=g である。
ze =βµとおくと、 0≤µ なので、 10 ≤< z で、
dte
z
t
h
Tmk
V
n
V
N
t
B ∫∞
−
+=0
21
23
20
11
22
ππ
(7F.4)
ε=0
Bose-Einstein 分布
k=0
38
Γ 関数を用いて、
dte
z
tz
t∫
∞ −
−Γ=
0
1
11)(
1)(
σ
σ σφ (7F.5)
で定義されるアッペル関数 )(zσφ を用いれば
)(2
23
23
20 z
h
Tmk
V
n
V
N B φπ
+= (7F.6)
ところで、(7F.5) を変形すると、
( ) ∑∫
∫∞
=
∞ −−−−−
∞
−
−−
=++++Γ
=
−Γ=
10
33221
0
1
1)(
1
1)(
1)(
n
ntttt
tt
n
zdtezezzetze
dtze
tzez
σσ
σ
σ
σ
σφ
L
(7F.7)
dtet t∫
∞ −−=Γ0
1)( σσ
この関数は、 1=z の時最大であり、 )(1
)1(1
σςφ σσ ==∑∞
=n n (7F.8)
さて、 0n の物理的な意味を考えると、下図の様に、温度領域により Bose 分布関数が変化するた
め、T が大きい時には、 0n は他の kn と同じオーダーになり、T が小さい時、N 個全てを含むレ
ベルになる。
よって、T :十分大、の時 0~0n とでき
)(2
23
23
2z
h
Tmk
V
N B φπ
≅
(7F.9)
即ち、T が低温になっていくと、通常の分布の範囲で積分をしても、全てのN を抱えきれなくなって
ε 0
D(ε)
ε
µµµµ≦≦≦≦0000
0
f(ε)
ε 0
D(ε)f(ε)
X =
ε 0
f(ε)
T: Low
µµµµ<0 T: High
39
しまう。 つまり、
)(2
23
23
20 z
h
Tmk
V
n
V
N B φπ
+= (7F.6)
において、 00 =n と出来る時は十分高温であり、 00 >n が低温領域。
有限温度において、丁度 00 =n となるのは、なるべく「通常状態」に粒子を詰め込みたい時で、 1=z
( 0=µ ) の時で、
=
=2
32)1(
2 23
22
3
23
2ςπφπ
h
Tmk
h
Tmk
V
N cBcB (7F.10)
∴ ( )3
223
2
2
612.222
32
=
=
V
N
mk
h
V
N
mk
hT
BBc πςπ
(7F.11)
この cT は以下に述べる通り、転移温度と呼ぶ。
cTT < では通常の量子状態で余った粒子が全て 0n を占有。
∴
+=2
32 23
20 ςπ
h
Tmk
V
n
V
N B (7F.12)
∴
=
+2
32
2
32 23
2
23
20 ςπςπ
h
Tmk
h
Tmk
V
n cBB (7F.13)
∴
−=
−
=
−
=
23
23
23
22
32
323
20
1
12
32
2
32
c
c
cBc
B
T
T
V
N
T
T
h
TmkTT
h
mk
V
n ςπςπ
(7F.14)
すると、 cTT < では巨視的な粒子数が 0=ε に存在する事が説明される。 これを Bose-Einstein 凝
縮と呼ぶ。 この時、 0=µ である。
He の場合、(7F.11) を用いると、 KTc 11.3~ が求まる。 (実験では 2.17 とか 2.19 K)
=======END=====================
40
cTT < にある 4He を超流動状態超流動状態超流動状態超流動状態という。 この時、液体 4He (< 4.2K: 実際には cTT < なので、
もっと低温)は勝手にコップの淵を越えて零れ落ちる、等の奇妙な振る舞いを示す。 液体の粘性抵抗
が消失した状態。 基底状態に集中した He 原子は零点振動をしているが、これ以上小さいエネルギー
状態はないため、散乱によるエネルギー損失がない。
フォトンとフォノンフォトンとフォノンフォトンとフォノンフォトンとフォノン
Photon(光子)も Boson の一種であり、5-4 節で扱った空洞輻射は Bose 粒子系の振舞いを示す。
一般に、振動子系は粒子数が一定でない振動子系は粒子数が一定でない振動子系は粒子数が一定でない振動子系は粒子数が一定でない BoseBoseBoseBose 粒子系粒子系粒子系粒子系である。
例えば、電磁波のエネルギー密度
( )1
3
32 −=
TkBec ωω
πωε
h
h (5.61)
の分母を見ると、化学ポテンシャル 0=µ とした時の Bose 統計に従っている。
電磁場の振動子のエネルギーは、定義より
∑=α
αα ω,k
kknE h ( )L,2,1,0=αkn
であり、エネルギーが αωkh の Boson が αkn 個ある時の全エネルギーである。
4He と異なる点としては、生成消滅が起こるため、化学ポテンシャルが定義されず、温度を下げると
photon は消滅し、Bose-Einstein condensation (BEC) は起きない。
理想気体の量子効果理想気体の量子効果理想気体の量子効果理想気体の量子効果
Fermi 縮退, BEC が起こる温度は、
3222 3
2
1
=
V
N
mkT
BF
πh (7.70) ( )
322
23
2
=
V
N
mkT
Bc ζ
πh (7.84)
ここに、 aN
V =
31
:原子間距離 なので、臨界温度は何れも、
2
2
2 amkB
h
のオーダーである。 これは、4-1 節で古典力学の近似が許される条件として不確定性関係より求めた
2
2
2maTk B
h>> (4.14)
とも整合するものである。