平成23年度 事 業 計 画 - 社団法人 鉄骨建設 ... · -1-平成23年度 事 業 計 画...

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-1- 平成23年度 1.活動方針 経済の低迷と政治の混迷が続くなか、平成23311日にマグニチュード9.0という史上最大規模 の東日本大震災が発生し、広範囲の地域において大津波・大火災あるいは原発事故による予期せぬ 甚大な被害が発生した。昨年度の鉄骨需要量が約418万トンと2年続けて異例の少なさとなるなかで、 この大震災の復興過程は鉄骨需要量にも影響を及ぼすものとみられる。しかしながら、国内建設投 資の長期的な減少傾向は避けられず、今年度以降も鉄骨需要の大幅な回復は期待できないと考えら れる。 したがって、協会会員企業の発展のために協会活動をいかに展開していくか、協会全体が一丸と なって知恵を出し合って、有効と思われる施策を講じる必要がある。協会としては、このような環 境下においても人材を育成し、技術で勝負ができる、そして未来に明るさを持った組織を構築して いくことが重要と考え、昨年に引続いて下記の基本3項目について優先的に取り組むこととする。 (1) 生産性の改革 顧客ニーズに応えるべく、品質向上、更なる生産効率アップ・コストダウンに挑む。 (2) 新素材への取り組みの強化 鋼材メーカーとの協力体制の下、高張力鋼を積極的に取り入れ、溶接技術の開発を 進め鉄骨の軽量化を目指す。 (3) 鉄骨の製造・建設の総合的サポートの確立 高品質な鋼構造物を実現するために、鉄骨の製造だけでなく、建設(建て方)という 顧客ニーズにも対応できるファブを育てるべく取り組むまた、毎年行っている陳情活動に関しては、東日本大震災に関連した工事工程の調整や鋼材納期・ 価格の問題を中心として関係先に強く訴えていくこととする。 さらに、本年度は社団法人として発足してから30周年を迎えるため、記念式典や祝賀会の開催、 記念誌の発行などの記念事業を行う。また、協会活性化の一環として1昨年に「第2回技術発表大 会」を開催し、成功裏に終えることができた成果を踏まえて、今後も継続的に発表会を続けていく こととし、本年度は第3回を開催する。発表内容は、従来型の鉄骨の生産技術的なテーマに加えて 大型工事プロジェクト、建築鉄骨に関連する周辺技術の分野にまで範囲を広げ、より総合的なもの にしていくこととする。 協会運営については、とくに、財務改善が喫緊の課題となっており、昨年2月に本部事務所を千 代田区岩本町に移し大幅な経費削減を図ったところであるが、正会員が減少する中、財務改善の足 枷にもなっていることから、引き続き新規入会勧誘に努め、協会活動を円滑に運営できるように会 員の支援・協力をお願いしていくこととする。 今年度新たに取り組むものとしては、国際化の一層の進展と国内建設投資の減少の中で、比較的 活況な経済状況にある東南アジアを主体とした海外鉄骨市況の情報収集、情報交換を行い、海外企 業対応などの検討を行うことに加え、東日本大震災の発生を受けて前年度末に設置した「東日本大 平成 23 4 1 平成 24 3 31

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Page 1: 平成23年度 事 業 計 画 - 社団法人 鉄骨建設 ... · -1-平成23年度 事 業 計 画 1.活動方針 経済の低迷と政治の混迷が続くなか、平成23年3月11日にマグニチュード9.0という史上

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平成23年度 事 業 計 画

1.活動方針

経済の低迷と政治の混迷が続くなか、平成23年3月11日にマグニチュード9.0という史上最大規模

の東日本大震災が発生し、広範囲の地域において大津波・大火災あるいは原発事故による予期せぬ

甚大な被害が発生した。昨年度の鉄骨需要量が約418万トンと2年続けて異例の少なさとなるなかで、

この大震災の復興過程は鉄骨需要量にも影響を及ぼすものとみられる。しかしながら、国内建設投

資の長期的な減少傾向は避けられず、今年度以降も鉄骨需要の大幅な回復は期待できないと考えら

れる。

したがって、協会会員企業の発展のために協会活動をいかに展開していくか、協会全体が一丸と

なって知恵を出し合って、有効と思われる施策を講じる必要がある。協会としては、このような環

境下においても人材を育成し、技術で勝負ができる、そして未来に明るさを持った組織を構築して

いくことが重要と考え、昨年に引続いて下記の基本3項目について優先的に取り組むこととする。

(1) 生産性の改革

顧客ニーズに応えるべく、品質向上、更なる生産効率アップ・コストダウンに挑む。

(2) 新素材への取り組みの強化

鋼材メーカーとの協力体制の下、高張力鋼を積極的に取り入れ、溶接技術の開発を

進め鉄骨の軽量化を目指す。

(3) 鉄骨の製造・建設の総合的サポートの確立

高品質な鋼構造物を実現するために、鉄骨の製造だけでなく、建設(建て方)という

顧客ニーズにも対応できるファブを育てるべく取り組む。

また、毎年行っている陳情活動に関しては、東日本大震災に関連した工事工程の調整や鋼材納期・

価格の問題を中心として関係先に強く訴えていくこととする。

さらに、本年度は社団法人として発足してから30周年を迎えるため、記念式典や祝賀会の開催、

記念誌の発行などの記念事業を行う。また、協会活性化の一環として1昨年に「第2回技術発表大

会」を開催し、成功裏に終えることができた成果を踏まえて、今後も継続的に発表会を続けていく

こととし、本年度は第3回を開催する。発表内容は、従来型の鉄骨の生産技術的なテーマに加えて

大型工事プロジェクト、建築鉄骨に関連する周辺技術の分野にまで範囲を広げ、より総合的なもの

にしていくこととする。

協会運営については、とくに、財務改善が喫緊の課題となっており、昨年2月に本部事務所を千

代田区岩本町に移し大幅な経費削減を図ったところであるが、正会員が減少する中、財務改善の足

枷にもなっていることから、引き続き新規入会勧誘に努め、協会活動を円滑に運営できるように会

員の支援・協力をお願いしていくこととする。

今年度新たに取り組むものとしては、国際化の一層の進展と国内建設投資の減少の中で、比較的

活況な経済状況にある東南アジアを主体とした海外鉄骨市況の情報収集、情報交換を行い、海外企

業対応などの検討を行うことに加え、東日本大震災の発生を受けて前年度末に設置した「東日本大

自 平成 23 年 4 月 1 日

至 平成 24 年 3 月 31 日

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震災対策協力本部」による震災復旧復興のための支援・協力を実施し、震災に伴う各種要請への対

応や電力設備増強・復興用鉄骨の需要拡大にも取り組んでいく。

その他の活動の主なものとしては、従前から取組んでいる鉄骨製作の専門工事業としての社会的

地位の向上活動や、他団体との継続事業についても、会員ならびに関係業界の理解と協力を得つつ、

積極的かつ着実に実施していくこととする。

2.活動計画

各委員会は、自ら計画した活動を実施するとともに、上記の活動方針に掲げた事項について関

係する委員会は、これらの事項について優先的に取組む。

2.1 特別委員会

【法人改革・活性化委員会】

平成20年12月に施行された公益法人制度改革を受け、当協会は、平成22年12月の理事会にお

いて、「一般社団法人」へ移行することを機関決定した。今年度は、平成24年度の移行申請

をめざし定款の変更や会計基準の切り替え等を行うなど準備作業を進めると共に、引続いて

今後の協会のあり方・活動運営方針等について検討を進める。

【JSA委員会】

鉄骨事業から撤退する会員企業が増え、S類工場の減少が進んでいることから、日本鉄骨評

価センターの工場認定の事業環境は、一段と厳しさが増してきている。

その一方で、会員企業とは別に認定取得申請をしてくる鉄工所も増えつつあるが、これまで

以上に積極的に認定を取得しようとする工場をリサーチし、取得工場の数を増やす方策を検討

する。

【創立30周年記念事業実行委員会】

協会は、本年、昭和56年11月の社団法人化後30周年を迎える。記念式典・祝賀会の開催、記

念誌の発刊のための準備を進め、11月に記念式典・祝賀会を開催し、記念誌を発刊する。

2.2 本部常設委員会

【運営委員会】

常設の各委員会の活動を支援・統括するとともに、協会の運営基盤の強化策などの具体的な

実施内容の検討を行う。

【広報・調査統計委員会】

<広報>

① 鉄建協ニュースの編集(毎月)

② 年刊誌「鐵骨」の発行

原稿依頼、工事写真集の依頼、絵画・写真・書の依頼、その他全体構成

③ 30周年記念事業

「30年のあゆみ」の編集・発行

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<調査統計>

①受注工事調査統計

② 鋼材価格推移調査・統計

③鉄骨需要の調査統計

④鉄骨物価指数の調査・統計モデル案の作成

【技術・研究委員会】

本委員会の所掌業務は、1)生産・品質関連の各種規定の検討、2)新素材・溶接技術・その他

新技術の開発・研究、3)高性能鋼材の施工性試験、4)対外委員会活動、5)環境対策活動などがあ

るが、本年度は、以下の6項目について取り組む。

①『鉄建協主催の技術発表会』の開催

②『高性能鋼材の溶接法』に関する研究

60kHTサブマージ多層溶接の研究

③『Sクラス鉄骨施工図』に関する研究

鉄骨工作図の作図マニュアルのブラッシュアップおよび活用検討

④『工場実施工』に関する研究

テーマ発掘の都度検討

⑤『端部エコーの研究委員会』への参画

トレーニング用試験体を用いてデータ収集

⑥『建築鉄骨標準ディテール』の完成・発刊

材料指定・施工試験などについて検討、BOX構造の優位性の客先アピールにつなげる。

【資材・調達委員会】

① 定例委員会

資材委員会構成各社による主要資材・副資材等の市場価格に関する月別調査を実施し、市

場動向の把握・分析ならびに情報交換を行う。また、海外相場や輸出状況と輸入鋼材につ

いて調査し、内外価格差等を把握する。

② 東西合同資材・調達委員会

資材委員会関西支部との合同委員会を開催し、東西資材環境の相違を把握するとともに、

委員相互の理解を深め、これらを資材調達の参考に資する。

③ 関連業界との意見交換

関係業界との協調と連帯を深め、諸資材に関する情報収集ならびに安定供給を図るべく、

以下の会合を必要に応じ随時開催する。

高炉メーカー、シャーリング業界、HTBメーカーおよび流通等の関係業界

④ 新素材への取り組み強化

新製品に関してメーカーより説明を受けるなど(特に高炉メーカー)、新素材に対する意

見交換会等を実施する。

⑤ 資材見学会

会員各社に対し研修を目的に関係業界の工場見学会を開催する。

⑥ 鋼材使用量実態調査

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会員各社を対象に鋼材・HTB ならびに溶接材料使用量の実態調査をする。

⑦「建築構造用鋼材の品質証明」に関わる調査・検討

鋼材の品質証明に関して、「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」の運用や、その他

の関連事項について検討を行う。

【生産・安全・品質委員会】

① 生産性の改善策

ⅰ)工程平準化の検討

ⅱ)各種加工方法の検討(組立、溶接)

ⅲ)省力工法の推進

② 品質向上マニュアル

不具合の原因と対策(情報収集・再発防止策の検討)

③ VEの具体化提案

VE案の実態調査

④ 労働災害実態調査

⑤ 安全標語(募集→選定→発表)

⑥ 安全ポスター作成・配布

⑦ 安全講習会の開催

【輸送・建方委員会】

① 鉄骨工事 現場施工マニュアルの作成

マニュアルのたたき台を作成し、ゲラの作成・見直し・修正を繰り返して

マニュアルを完成させる。

②現場で起こった問題点やその解決策の事例を収集

③現場視察や各種検証のための活動

ⅰ)現在の新しい施工方法や足場等の動向確認など

ⅱ)輸送車両の軌跡や腹すり等の実験検証など

④都内輸送ガイドマップ等の素案作成

ガード高さ注意箇所の表記や通行、待機に対する注意事項の表記などを記載する。

2.3 支部常設委員会

【支部 運営委員会】

① 定例会議(原則毎月開催)

本部報告ならびに以下の事業の具体的計画および実施

② 合同委員会

ⅰ)支部役員ならびに正副各委員長との合同で、各委員会での活動計画の協議を行う。

ⅱ)全委員も参加する合同委員会を開催予定

③陳情活動

本部に合わせて関係方面に陳情を行う。

④懇親ゴルフ会の開催

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【支部 調査統計委員会】

① 客先別見積条件の調査

ゼネコン別の再調査を行う。

② 見積および決定案件の調査

四半期毎にまとめ、関西市場の動向を見る。

③ 見学会 日時・見学先は後日調整

④ その他 正副合同委員会出席

【支部 技術・研究委員会】

① 法改正、施行令、告示、学会規準への技術的対応の検討

本部技術委員会で出された議題を支部技術委員会で検討する。また、学会委員報告を

受けて検討する。

② 各種要領書の見直し、改定作業

本部「建築鉄骨標準WG」の活動内容を支部に展開する。

③ 外部講師による技術交流会

鋼材、溶接材料、塗料などの新技術に関し、専門家による説明会・技術交流会を年間

2回程度実施する。実施にあたっては、広く知識を普及させる意味から技術委員のみ

ではなく、各社からの参加を積極的に奨励する。

④ 本部技術委員会活動への協力

ⅰ)各種技術課題検討会への参画、支部としての実施

ⅱ)本部委員会への出席

ⅲ)技術発表会への積極的参加

【支部 資材・調達委員会】

① 定例資材委員会

資材委員会構成各社による主要資材等の市場価格に関する月別調査を実施し、市場動向の

把握・分析ならびに情報交換を行う。

② 東西合同資材委員会

本部資材委員会との合同委員会を開催し、東西資材環境の相違を把握するとともに委員相

互の理解を深め、資材調達に資する。

③ 関連業界との意見交換

関係業界との協調と連帯を深め、諸資材に関する情報収集ならびに安定供給を図るべく、

関連業界との意見交換を行う。

④ 支部工場見学会

支部委員による関係業界の工場見学会を実施する。

⑤ 鋼材使用量実態調査

会員各社の年間鋼材等使用量を調査し、会員会社へ報告する。

⑥ その他

「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」の運用などについて情報収集・意見交換等を

行う。

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【支部 生産・安全・品質委員会】

① 定例会議

災害防止活動の水平展開や知識向上を目指した取り組み

② 研修・定例会議

工場・現場または研修場にて安全活動の勉強・定例会を行う。

③ 夏期安全祈願

神社において夏期の無事故・無災害を祈願する。

④ 新年安全祈願

神社において新年の無事故・無災害を祈願する。

⑤ 研修・大会などへの参加

安全衛生についての専門的知識の向上を図る。

3.他団体との共同事業

各機構で行っている事業(技術資格試験等)への参画、共同運営

① 東京都鉄骨加工工場登録制度推進機構

② 建築鉄骨品質管理機構(建築鉄骨検査技術者資格、試験日:H23/7/9)

③ 鉄骨製作管理技術者登録機構(鉄骨製作管理技術者資格、試験日:H23/10/15)

4.関連学協会の委員会等への参画

① 日本建築学会(鉄骨運営委員会、鉄骨製作小委員会、溶接施工小委員会など)

② 日本鋼構造協会(内質検査ガイドライン作成小委員会、狭開先ロボット溶接技術研究委員

会など)

③ 日本溶接協会

④ 建設業労働災害防止協会(運営委員会、教材作成委員会など)

⑤ 中央職業能力開発協会

⑥ 勤労者退職金共済機構(建退協)

⑦ 建設産業専門団体連合会

⑧ 建設業振興基金

5.建設技術に関する他団体主催行事への後援・協賛

他団体からの後援・協賛などの名義使用依頼への協力など

6.関係業界等との情報交換、懇談

① (社)全国鐵構工業協会との2団体三役懇談会の実施

② 鉄骨二団体活性化懇談会の実施

③ 国土交通省との情報交換の実施

④ 関係団体、業界等との情報交換等の実施

⑤ 認定、教育制度等の情報交換等の実施

⑥ 高炉メーカー、シャーリング業界およびHTBメーカーとの懇談会の開催

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7.そ の 他

① 新年賀詞交歓会の実施(本部)

② 会員懇親ゴルフ大会の実施(本部、支部)

③ 叙勲の推薦

④ 国土交通大臣表彰の推薦

⑤ 優秀施工者(建設マスター)国土交通大臣顕彰の推薦

⑥ 卓越した技能者(名工)厚生労働大臣表彰の推薦