20170202 srws第7回補講rob2.0で決める知りたい効果とは?
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系統的レビュー研究計画書作成ワークショップ第 7回サプリメント知りたい効果
京都大学大学院 辻本康尼崎総合医療センター Hospital Care Research Unit
片岡裕貴 辻本啓 滋賀医科大学 岡見雪子 平大樹 山本晴香
精治寮病院 阪野正大亀田総合病院 総合内科 佐田竜一
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このサプリメントの目標
• ランダム化の利点がわかる
• ITT解析と Per-protocol解析がわかる• ITT効果と Per-protocol効果がわかる• ITT効果と Per-protocol効果が、 ITT解析および Per-protocol解析と違うことがわかる
ご質問のスライド、レビューにおける知りたい介入効果
どちらかを選ぶ
• 介入に割り付けられた時の効果を知りたい( intention to treat effect)
• 介入を行い、介入を遵守した時の効果を知りたい( per-protocol effect)
ITT解析や per-protocol解析とは違うので注意
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そもそもランダム化とは?
本当はダミー人間を作って治療とコントロールを割り付けて比較し効果を見たい。でもそんなことできません。
ランダム化の最も強力な点とは対象者の背景因子を、計測できないものも含めて揃えることができる
つまり治療の割り付け以外は同じ集団とみなすことができるため、集団に対する平均の治療効果を正確に推定することができる
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ITT解析と Per-protocol解析とは?
ITT解析介入群に割り付けられた対象者は、介入を守れていなかったとしても、介入群として解析する。つまり、割り付けられた通りに解析する。
Per-protocol解析割り付けられた治療を受けた者のみをその治療群として解析する。
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例:やせ薬の RCT
例: 1日 4回飲むやせ薬と介入なしの体重減少効果を比較するRCT
ITT解析では100人中 50人しか正確に内服できなかったとしてもその 100人はやせ薬群として解析する。
Per-protocol解析では100人中 50人しか正確に内服できなかったとしたら守れた 50人をやせ薬群として解析する
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効果を計算やせ薬群は、守れた50人が平均で2キロ減少、守れなかった50人が平均で体重減少なし比較群は100人は平均で1キロ減少
ITT解析
やせ薬群 (50x2+50x0) 100=1➗ キロの効果比較群 (100x1) 100=1➗ キロの効果介入と比較の差=0
Per-protocol解析
やせ薬群 50x2 50=2➗ キロの効果比較群 (100x1) 100=1➗ キロの効果介入と比較の差=1キロ
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遵守できる人ってどんな人?
やせ薬群は、守れた 50人が平均で 2キロ減少、守れなかった 50人が平均で体重減少なし
守れない人と比べると、この守れた 50人は、規則正しい生活、きちんと介入を守れる性格、家族のサポート、高い収入がある集団かもしれない。
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どっちがいい?
ITT解析です。
Per-protocol解析では割り付けられた介入をしっかり守る集団と、守る人と守れない人が混ざった集団を比べています
つまり、ランダム化が成り立たない
ランダム化の最も強力な点である「同じ集団を作り出す」メリットを損ね、介入群と比較群が違う集団になっている
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メタアナリシスでは
メタアナリシスでは Per-protocol解析のデータは基本的に使いません。
ITT解析のデータを用いるのが原則です。
レビューにおける知りたい介入効果(再掲)
どちらかを選ぶ
• 介入に割り付けられた時の効果を知りたい( intention to treat effect)
• 介入を行い、介入を遵守した時の効果を知りたい( per-protocol effect)
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ITT効果をみたい100人にやせ薬を割り付けたときの効果は?
100人が守れるかはどちらでもいいしかし、やせ薬を100人に渡せば、全体で平均どれくらいの効果があるのか知りたい
先ほどの例:介入群 (50x2+50x0) 100=1➗ キロの効果比較群 (100x1) 100=1➗ キロの効果
つまり100人にやせ薬を渡しても平均でみると比較群との効果の差は0
これが ITT効果
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Per-protocol効果を見たいでは、Per-protocol効果は?やせ薬をきちんと1日4回飲んだときの効果のこと
守れたときの効果なので、Per-protocol解析の結果(やせ薬と比較の差=1キロ)でよい??
これは間違いです。なぜなら、介入を遵守したときの効果は介入を遵守できる人たちを対象に、介入とコントロールを割り付けてその差を見ないとわかりません
例では、もしやせ薬群に割り付けられていたらきちんと飲むことができない人たちが比較群に含まれています。したがって、この効果(1キロやせる)は、遵守できたときの正しい値とは言えません。
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Per-protocolの効果では ITT解析で出てきた値をper-protocol効果と呼べる?
ITT解析では介入群 (50x2+50x0) 100=1➗ キロの効果比較群 (100x1) 100=1➗ キロの効果
つまり100人に介入しても平均でみると比較群との効果の差は0
でもこれは守れる人と守れない人が混ざった集団に対しての効果。守れた場合の効果とは違いそうですよね。
ここがRoB2.0で見るポイントです。つまり、遵守出来ない人が多いと、 ITT解析で出てきた結果は遵守出来たときの効果から、離れていきます。その離れる具合(=バイアス)を評価する質問項目が2番目のドメインです。
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RoB評価
ITT効果を見たいか Per-protocol効果を見たいかで同じ研究でも RoB評価は違う可能性がある
例の場合、 ITT解析で出てきた値(介入 -比較= 0)は ITT効果には一致しそうな値でありバイアスは低そう一方、 Per-protocol効果には一致しないリスクが高いのでバイアスは高そう
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ITTと Per-protocol
ITT解析 > Per-protocol解析(特殊な場合を除く)
ITT効果と Per-protocol効果はどちらが知りたいかを選択するもの
どちらが知りたいかによって RoB評価も変わりうる
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参考文献
RoB2.0https://sites.google.com/site/riskofbiastool/welcome/rob-2-0-tool