系統的レビュー研究計画書作成ワークショップ第七回
統合、層別・感度分析、欠測への対処
兵庫県立尼崎総合医療センター Hospital Care Research Unit
片岡裕貴 / 辻本啓 / 辻本康
2
このコースの目標
• 各参加者が興味を持つ臨床疑問を洗練した
上で、実施に足るレベルの系統的レビュー
の研究提案書を完成させる
3
メタ・アナリシスの復習
メタ・アナリシスとは何?
4
メタ・アナリシスとは
各研究の結果をまとめ、その「効果サイズ」を統合すること
(お経:リスク比とか、ハザード比とか、標準化された平均値の差とか)
Cochrane handbook 9.4.2 Principles of meta-analysis
「効果サイズ」の例
個々の研究でのアウトカム
変数の種類 効果サイズ
30 日死亡割合 2 値変数 リスク比全生存期間 生存時間 ハザード比治療開始時と半年後の血圧の差
連続変数 平均値の差
6
メタ・アナリシスの復習:何と呼ぶ?
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Dec 9;12:CD004127
7
メタ・アナリシスの復習
概念的異質性と統計的異質性の違いは?
概念的異質性・統計学的異質性
概念的異質性 臨床的異質性 患者背景、治療の違い 方法論的異質性 risk of bias 、脱落の程度・扱い方
統計学的異質性 概念的異質性の結果 ( 偶然 )
9
出版バイアスへの検討
・臨床試験登録サイトの確認 ( ClinicalTrials.gov, ICTRP, UMIN-CTR )・ funnel plot を見てみる
10
SR & MA の全体像
構造化された疑問
系統的な検索・データベースの選択
・検索式の作成・文献の選択基準
・事前登録
漠然とした疑問
選択文献を対象とした批判的吟味
・事前に規定した評価基準 (Risk of bias)
発表 結果の統合とまとめ(=meta-analysis)
第一回 第二ー四回
第五回第六-八回第九回
11
今日の目標
• メタ・アナリシスしない結果のまとめ方について説明できる
• 層別解析について説明できる• 感度分析について説明できる• 欠測への対処法について説明できる
12
メタ・アナリシスしない場合 (= 質的な統合 )
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Dec 9;12:CD004127
13
層別解析 (= サブグループ解析 ) について
層別解析では、臨床的に異質な集団で( 性別や年齢ごとなど )分けて効果量がどうなるかを評価→臨床的異質性を検討
14
例: Interventions for insomnia during pregnancy
• 19歳以下、 20−34歳、35歳以上で分ける
• 妊娠第 1〜 3 期で分ける
15
例: Corticosteroid for treating sepsis
• Dose(400mg以上か未満 )
• 期間 (3 日以上か未満 )
16
層別解析を実施する場合の注意
・たくさん解析すると αエラーの危険性 (=偶然有意差がつく)・サブグループに分ける条件を用いたランダム割付が各研究でされていない場合、交絡への対処ができていないことになる (=実質的には観察研究 結果はあくまで参考値)
交絡の必要条件
・アウトカムに対する予後因子・要因と関連 (=あり・なしで分布が異なる)・中間因子ではない
17
E O交絡
18
交絡の例
E O肺がん
交絡飲酒
喫煙
交絡の必要条件
・アウトカムに対する予後因子・要因と関連 (=あり・なしで分布が異なる)・中間因子ではない
19
E O交絡
20
つづいて感度分析
患者選択、文献選択といった過程で、研究者が「えいや」と臨床的観点から決めた仮定が、前提を変えたとしても成り立つかどうかを検討するために実施対象を限定する(除外した対象への解析はしない)
21
例: Interventions for insomnia during pregnancy
• Blinding ができていないものを省く
• ランダム割付ができていないものを省く
• 欠測データが多い研究を省く
22
例: Corticosteroid for treating sepsis
• Blinding ができていないものを省く
• ランダム割付ができていないものを省く
23
層別解析や感度分析は
発表されている条件からしか実施できないこれは、文献のデータを元にしたメタ・アナリシスの限界
個別の患者データを用いたメタ・アナリシスの利点
https://www.clinicalstudydatarequest.com/
24
欠測データへの対処
欠測とは?
患者 ID 性別 年齢1 M 592 F 703 F 604 M 545 F 806 M 457 M ?
25
欠測データへの対処
どんな研究でも起こりうる• ランダムに発生した欠測• ランダムでない欠測 ←バイアスになる
26
欠測値の基本
原著者に問い合わせる!
27
著者から返事がない場合として
プロトコルに書くべき内容
• 欠測データの対処手法を用いる上で仮定する内容を明確に記述する
• 仮定が成り立たない場合についても解析して結果を示す(感度分析)
Review に書くべき内容
• Discussion で欠測データの与える影響について述べる
28
実際は
• 取り扱うアウトカムの種類 /特性である程度決まります
• 概念さえ理解すれば handbook通りにやっていけば OK
29
プロトコルは型通りです
実施する際に詳しくは相談してください
お経ですか?
お経ですね
今日の目標
• メタ・アナリシスしない結果のまとめ方について説明できる
• 層別解析について説明できる• 感度分析について説明できる• 欠測への対処法について説明できる
30
31
次はメタ・アナリシスの終わった結果の見せ方