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140 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編) 第  章 2 外国旅行の動向 外国旅行の現状と展望 2-1 インド人外国旅行者数は増加傾向にあり、1992 年 から毎年、前年を上回る成長を遂げている。インド の経済成長を背景に、中間富裕層以上の高所得層が 急増し、これらの層が積極的に外国旅行に出かけ るようになったものと推察される。インド政府が発 表した「India Tourism Statistics 2015」によると、 2015年のインド人外国旅行者数は過去最高の2,038 万人(前年比11.2%増)となった。国連世界観光機 関(UNWTO)は、インド人外国旅行者数が 2020 年 には 5,000 万人になると予測している。 インド人外国旅行者のうち観光客が占める割合 は、まだ商用客よりも少ない。訪日インド人の場合 も、観光客が占める割合は約3分の1という状況が 続いていたが、2016年には40.4%まで増加し、商用 客を上回った。 2015年にインド人が100万人以上渡航した国は6 カ国ある。そのうちの3カ国であるサウジアラビア (137 万人)、バーレーン(117 万人)、クウェート(106 万人)へは、就労目的の渡航者が多かったと思われ る。残りの3カ国は、米国(113万人)、タイ(104 万人)、シンガポール(101万人)で、観光および親 族・友人訪問目的の旅行者が多かったと思われる。 なお、インド人が多く渡航しているアラブ首長国連 邦とカタールへの渡航者数は公表されていない。 インドの旅行業関係者によれば、デリー、ムンバ イなどの大都市からの外国旅行者は、社会的・経済 的に高い地位にある場合が多く、年齢は30歳代~ 40 歳代が中心である。これに対して、地方都市から の外国旅行者の年齢は50歳代~ 60歳代が多い。近 年では経済成長による中間所得層の増加に伴い、若 年層も外国旅行に出かけている。 外国旅行に際して障害となり得る事項としては、 査証の問題がある。インドは南アジア地域協力連合 (South Asia Association for Regional Cooperation: SAARC)に加盟しており、加盟国のうちネパール、 ブータン、モルディブへは査証取得が免除されてい る。また、タイやウクライナなどは到着時に査証を 発給し、シンガポールやマレーシア、スリランカな どはeビザ(電子ビザ)と呼ばれるインターネット による査証申請・発給を行っている。ユニークな取 り組み事例としては、韓国の済州島のみを滞在する 場合、30 日間に限り査証なしでの滞在が認められて いる。インド人の査証取得に関しては、以前は煩雑 かつ困難であった国が多かったが、インド人旅行者 の誘致を図る目的で、一部の国では査証発給要件を 緩和している。 今後、インドの外国旅行需要が拡大することに よって、航空会社がインドへ新規就航したり増便を 図ったりして、航空会社間の価格競争が起こること が想定される。そうなれば、インドの外国旅行需要 はますます拡大する可能性もある。 2015年に初めて10万人を超えた訪日インド人数 は、2016 年には 12 万 2,939 人、2017 年には1月~ 10 月までで、前年同期比9.9%増の11万4,600人を記録 した。2017 年は日印友好交流年として、歌舞伎の公 演をはじめ、インド各地で様々な行事が開催されて いる。また、日本をPRするテレビ広告の放映など も実施しており、日本への関心がさらに高まるもの と期待される。 数年前までの訪日旅行先と言えば、東京・京都・ 大阪・広島などの人気旅行地が主流を占めたが、近 年では桜観賞や雪遊びなど、体験を目的とした訪日 も増えている。 一年を通じて訪日インド人が最も多く訪れる月 は、インドの長期学校休暇となる5月である。家族 を大切にするインド人は、家族や親族を含む大所帯 で旅行することも多い。以前、訪日インド人の主流 は、デリーやムンバイなどの大都市に住む富裕層で あったが、中間所得層の拡大により、大都市以外か ら日本を訪れるインド人も増えている。 観光客と逆転したとは言え、インドは「訪日プロ モーション重点20市場」の中で、商用客の比率が 38.5%(2016年)と最も多い。インドには自動車を はじめとする日本の大手メーカーが多数進出してい ることから、技術向上の目的で多くの技術者を定期 的に日本に派遣していることや、現地の販売店の従 業員を報奨目的で日本に派遣していることが考えら れる。 2017年12月時点で、インドと日本を結ぶ直行便 は、日本航空(デリー⇔成田)、全日空(ムンバイ ⇔成田、デリー⇔成田)、エアインディア(デリー ⇔成田)となっている。シンガポール航空やタイ航 空などはインドと日本の複数都市に就航しているこ とから、インドの地方都市に住む訪日客にとって、

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140 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第  章2 外国旅行の動向

外国旅行の現状と展望2-1

インド人外国旅行者数は増加傾向にあり、1992年から毎年、前年を上回る成長を遂げている。インドの経済成長を背景に、中間富裕層以上の高所得層が急増し、これらの層が積極的に外国旅行に出かけるようになったものと推察される。インド政府が発表した「India Tourism Statistics 2015」によると、2015年のインド人外国旅行者数は過去最高の2,038万人(前年比11.2%増)となった。国連世界観光機関(UNWTO)は、インド人外国旅行者数が2020年には5,000万人になると予測している。

インド人外国旅行者のうち観光客が占める割合は、まだ商用客よりも少ない。訪日インド人の場合も、観光客が占める割合は約3分の1という状況が続いていたが、2016年には40.4%まで増加し、商用客を上回った。

2015年にインド人が100万人以上渡航した国は6カ国ある。そのうちの3カ国であるサウジアラビア

(137万人)、バーレーン(117万人)、クウェート(106万人)へは、就労目的の渡航者が多かったと思われる。残りの3カ国は、米国(113万人)、タイ(104万人)、シンガポール(101万人)で、観光および親族・友人訪問目的の旅行者が多かったと思われる。なお、インド人が多く渡航しているアラブ首長国連邦とカタールへの渡航者数は公表されていない。

インドの旅行業関係者によれば、デリー、ムンバイなどの大都市からの外国旅行者は、社会的・経済的に高い地位にある場合が多く、年齢は30歳代~40歳代が中心である。これに対して、地方都市からの外国旅行者の年齢は50歳代~ 60歳代が多い。近年では経済成長による中間所得層の増加に伴い、若年層も外国旅行に出かけている。

外国旅行に際して障害となり得る事項としては、査証の問題がある。インドは南アジア地域協力連合

(South Asia Association for Regional Cooperation:SAARC)に加盟しており、加盟国のうちネパール、ブータン、モルディブへは査証取得が免除されている。また、タイやウクライナなどは到着時に査証を発給し、シンガポールやマレーシア、スリランカなどはeビザ(電子ビザ)と呼ばれるインターネットによる査証申請・発給を行っている。ユニークな取り組み事例としては、韓国の済州島のみを滞在する

場合、30日間に限り査証なしでの滞在が認められている。インド人の査証取得に関しては、以前は煩雑かつ困難であった国が多かったが、インド人旅行者の誘致を図る目的で、一部の国では査証発給要件を緩和している。

今後、インドの外国旅行需要が拡大することによって、航空会社がインドへ新規就航したり増便を図ったりして、航空会社間の価格競争が起こることが想定される。そうなれば、インドの外国旅行需要はますます拡大する可能性もある。

2015年に初めて10万人を超えた訪日インド人数は、2016年には12万2,939人、2017年には1月~ 10月までで、前年同期比9.9%増の11万4,600人を記録した。2017年は日印友好交流年として、歌舞伎の公演をはじめ、インド各地で様々な行事が開催されている。また、日本をPRするテレビ広告の放映なども実施しており、日本への関心がさらに高まるものと期待される。

数年前までの訪日旅行先と言えば、東京・京都・大阪・広島などの人気旅行地が主流を占めたが、近年では桜観賞や雪遊びなど、体験を目的とした訪日も増えている。

一年を通じて訪日インド人が最も多く訪れる月は、インドの長期学校休暇となる5月である。家族を大切にするインド人は、家族や親族を含む大所帯で旅行することも多い。以前、訪日インド人の主流は、デリーやムンバイなどの大都市に住む富裕層であったが、中間所得層の拡大により、大都市以外から日本を訪れるインド人も増えている。

観光客と逆転したとは言え、インドは「訪日プロモーション重点20市場」の中で、商用客の比率が38.5%(2016年)と最も多い。インドには自動車をはじめとする日本の大手メーカーが多数進出していることから、技術向上の目的で多くの技術者を定期的に日本に派遣していることや、現地の販売店の従業員を報奨目的で日本に派遣していることが考えられる。

2017年12月時点で、インドと日本を結ぶ直行便は、日本航空(デリー⇔成田)、全日空(ムンバイ⇔成田、デリー⇔成田)、エアインディア(デリー⇔成田)となっている。シンガポール航空やタイ航空などはインドと日本の複数都市に就航していることから、インドの地方都市に住む訪日客にとって、

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フィリピン

ベトナム

マレーシア

インドネシア

JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

インド

第2章 外国旅行の動向

経由便は便利である。インドでは、大手旅行会社は主に団体旅行、中小

旅行会社は個人旅行を扱っている。個人旅行はオンライン旅行会社(OTA)の台頭によりOTA経由で予約する人も増えているが、日本行きに関しては、旅行会社を通じて予約する場合が一般的である。

MICE*1と呼ばれる大型団体も褒賞旅行を中心に増えている。

インド人の場合、外国旅行先としては、まずは近隣の東南アジアや中東、次に知人を訪ねる目的でインド系移民やインド人が多く住む米国や英国を訪れる。そしてこれらの国に行った人たちが新しい旅行地を求め、日本や韓国を訪れる傾向にある。インド人外国旅行者の増加に伴い、日本を訪問したいという旅行者や、日本行きのツアーを造成したいという旅行会社が増加しており、日本への注目が高まっている。

2017年9月には安倍首相がモディ首相の出身地であるグジャラート州を訪れた。この訪問をきっかけに、グジャラート州でも日本への関心が高まっており、早速訪日旅行セミナーが開催された。今後はデリーやムンバイ以外の大都市でも、旅行会社を対象としたセミナーや商談会を行うと効果があるものと思われる。日本の旅行情報を多く提供することが重要である。

*1:企業などの会議(Meeting)、企業などが行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字。

外国旅行の旅行形態別特色2-2

インドの旅行会社ならびに観光マーケティング会社の調査によると、インドの主な旅行形態は、「パッケージツアー」、「個人旅行」、「インセンティブ旅行」、

「婚前旅行・新婚旅行」の四つに分類されるが、近年、「外国での結婚式」もインドならではの特色として注目されている。それぞれの詳細は以下のとおりである。

1. パッケージツアー経済成長に伴い外国旅行の初心者が増加してい

るが、彼らのニーズに合わせたパッケージツアーの需要の伸びが予測されている。デリーなど大都市の近郊にある衛星都市(グルガオンやノイダなど)では、大都市在住者と同等もしくはそれ以上の収入を

有する高所得者が増加している。外国旅行に対して興味があるものの、旅行経験に乏しい人が多いため、パッケージツアーを好む傾向にある。この他、ベジタリアン(菜食主義者)など食事に制約のあるインド人旅行者には、食事への配慮が行き届いたパッケージツアーが人気である。

外国旅行者の約2割がパッケージツアーの利用者とみられている。パッケージツアーは大手旅行会社によって造成され、販売は中小規模の旅行会社も行っている。ツアー商品は主に外国旅行の繁忙期に合わせて企画される。ツアーの日数は1週間~ 3週間で設定され、ツアーの内容は、交通、宿泊、観光が全て含まれ、できるだけ多くの観光地を訪れるように組まれている。

2. 個人旅行個人旅行はインドの外国旅行市場で急速に成長し

つつある旅行形態で、外国旅行全体の約6割程度を占めているとみられる。個人旅行者は旅慣れた旅行者か、もしくは初心者であっても親族・友人訪問を兼ねた旅行者であることが多く、家族で旅行することが多い。デリーやムンバイ、ベンガルールなどの大都市圏で増加している。

個人旅行を希望する外国旅行者の多くは富裕層の中でも上の層で、英語教育を受け英会話に慣れている場合が多い。どこで何をしたいのか目的がはっきりしているため、インターネットで旅の情報収集を行う傾向がある。ただし、訪日旅行に関しては、依然として旅行会社を経由して予約することが多い。若い世代のインド人はインド料理以外を食べる人も多いため、食習慣が許す限り(ベジタリアンなどの制約がない限り)、異国の料理などにも挑戦する傾向がある。

個人旅行は、旅行者の希望に応じた予算や日時、訪問都市などを基に旅程が組み立てられる。催行人数の制限がないため、一般の旅行会社やオンライン旅行会社で年間を通じて手配されている。また、団体旅行を好まない人がパッケージツアーを個人で買い取り、家族単位で旅行する場合もある。インド人は家族や友人を大切にするため、外国に住む親族・友人訪問を目的とする旅行が非常に多いのが大きな特徴である。

3. インセンティブ旅行インセンティブ旅行は近年、インドの外国旅行

市場で注目されている旅行形態である。自動車メーカーや家電、パソコン、携帯電話などの大手メー

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カーがインセンティブ旅行を主催し、アバクロンビー&ケント社(Abercrombie & Kent)やクオニ社(Kuoni)、日系ではJTBなどの旅行会社が主に手配を行っている。インセンティブ旅行の場合、査証申請に必要な書類を主催側が準備してくれるため、個人旅行として申請するよりも査証が入手しやすいことが、需要の高まっている理由の一つと考えられている。これまで東南アジアや中東、欧米へのインセンティブ旅行を実施していた企業が、最近では日本にも目を向けている。

全外国旅行需要におけるインセンティブ旅行の割合は増えている。インセンティブ旅行の形態は、社員研修旅行や招待旅行などがあり、小規模なものでは20人~ 30人、大規模なものでは50人~ 200人程度の団体旅行が主流である。中には400人規模でのインセンティブ旅行も実施されている。いずれも旅行日数は3泊5日、実施頻度は2年に1回または1年に1回が主流である。旅行時期は、インドにある企業の多くで、日本同様に会計年度が4月に始まるため、業務が落ち着く7月~ 9月が外国へのインセンティブ旅行が出やすい時期となる。あるいは、前年1月~ 12月の成績によって、翌年1月~ 3月にインセンティブ旅行を実施する企業もある。

インセンティブ旅行先を検討する上で鍵となるのが、料金と査証取得の容易さである。直行便があり、かつ査証が取得しやすい国への渡航が今後伸びる可能性がある。ヨーロッパではドイツ、スペイン、イタリアが、インドからのMICEの誘致に積極的に取り組んでいる。

4. 婚前旅行・新婚旅行新婚旅行は、所得層によって国内、外国の旅行先

が分かれる。かつて日本がそうであったように、国内が主であった行き先が、最近では外国が主になりつつある。それだけインド人にとって外国旅行は身近なものとなってきている。国内では山や雪など自然の景観が楽しめるインド北部のカシミール地方や、ビーチのある南インドへの旅行が人気である。外国ではタイやシンガポールなどの東南アジアや、ヨーロッパ、米国、豪州へ行く人たちも多い。外国へ行く際には、1週間~ 2週間かけて観光する周遊型の旅行が人気を集めている。いずれもカップル単位の個人旅行で一般の旅行会社を通じて申し込むが、近年ではオンラインで独自に予約する人も増えてきている。新婚旅行は12月~ 4月が多く、国内旅行の場合は1週間程度、外国旅行の場合は10日間程度が平均である。

5. 外国での結婚式もともとインドの結婚式は規模が大きく派手と言

われているが、最近では外国で結婚式を挙げるインド人が増えている。インドの結婚式市場は5兆円規模と言われており、外国での挙式に対する注目度の高まりから、これを専門に扱う会社も存在する。外国で結婚式を挙げる際の滞在日数は平均3泊4日、参列者数は平均150人、消費総額は平均5,000万円と言われている。中には数億円を消費することもある。大半の場合、当事者の両親が参列者の費用全額を負担する。

6. 学生旅行(教育旅行)インド人学生に対する訪日査証緩和措置により、

日本の高い技術を学ぶ目的で日本を訪問する学生旅行が増えている。インドの学生旅行は、日本のように学校の行事に組み込まれているものではなく、希望者を募って実施している。そのため、物見遊山的な旅行ではなく、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や大学の研究所を訪問するといった、目的意識の高いものとなっている。

日本以外では、シンガポール、アラブ首長国連邦、米国、豪州などを訪れている。

観光関連政策2-3

1. 外国旅行関連規制

インド人が出国する場合、インドルピーを外国で両替できる国が限られているため、インド国内で米ドルなどに両替してから持ち出す場合が多い。インド国内では米ドル以外の外貨も両替が可能になっている。

インド人がネパール、ブータン以外の外国へ旅行する際、持ち出し資金の上限は、商取引の有無にかかわらず1人1回の旅行につき、自国の通貨では紙幣で10,000インドルピーまで、外貨であれば300米ドルまで、トラベラーズチェックであれば1,000米ドルまで認められている。また、年間の外国への持ち出し金額は、観光などの商取引を伴わない場合、1人当たり外貨紙幣で1万米ドル相当額まで、商取引を伴う場合、1人当たり外貨紙幣で2万5,000米ドルまでとなっている。外貨の持ち出し金額がこれらの限度額を超える場合は、インド準備銀行(RBI)から事前に許可を受けておく必要がある。許可さえ得られれば、持ち出し金額に上限はない。

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フィリピン

ベトナム

マレーシア

インドネシア

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インド

第2章 外国旅行の動向

なお、インドのパスポートには、移民を目的とした旅行者が所持する「Emigration Check Required

(ECR)」というスタンプが押されたパスポートがあったが、今では廃止されており、「Emigration Check Not Required(ECNR)」というスタンプが押されたパスポートに統一されている。ECNRパスポートの所持者は、「Emigration Clearance(移民許可)」を取得しなくても自由に渡航できる。

2. 旅行業法

インド国内で新たに旅行業を営む会社に対し、インド観光省(Ministry of Tourism, Government of India)が許認可を与えている。また、消費者が旅行会社から不利益を被った場合、一般的な消費者保護法によって保護される。旅行業に特化した法律はない。

■インドの観光関連主要法令名 称 概 要 制定年 最終修正年

Ancient Monuments Preservations Act

インド全国の遺跡などの保全管理

1904年 1949年

Customs Act 入出国港湾施設での関税 1962年 1962年

Antiquities and Art Treasures Act

骨董品や美術品の取引制限 1972年 1972年

Fore ign Exchange Management Act

インド準備銀行の外貨規制 1999年 1999年

Nat iona l Tour i sm Policy

インド全国の旅行関連政策 2002年 2002年

日本の競合旅行地2-4

インド人が外国旅行の行き先を決める際、日本と地理的にも近いことから、韓国と比較される場合が多い。最近では中国もテレビ広告を行うなどインド人旅行者の獲得に熱心である。またシンガポールやマレーシア、タイなども依然として人気が高い。

1. 韓国韓国を訪問するインド人旅行者数は年々増加して

いる。ただし2017年は北朝鮮がミサイルを発射した影響からか、大幅に落ち込んでいる。大手韓国企業がインドに進出していることから、インド人社員を対象にした研修旅行や報奨旅行などを実施する企業が多い。

①主な観光魅力◦ソウルが中心◦デパートやショッピングモールでのショッピング◦歴史文化遺産見学

②観光インフラ◦インドのデリー、ムンバイ⇔ソウル(仁川)間

に直行便が運航している。

③マイナス要素◦韓国の一部の観光地やデパートなどを除いては

英語が通用しないため、言葉の心配がある。◦インド料理店が少ないため、食事の場所に困る。◦北朝鮮のミサイル発射による風評がある。

④政府観光局による外客誘致活動■ターゲット◦インセンティブ旅行

■外客誘致活動◦韓国観光公社は2008年にニューデリーに事務所

を開設し、メディアを使った広告・宣伝活動、セミナー、研修旅行実施などの誘致活動を行っている。◦2014年7月にMakemytrip.comなど、有力旅行

会社との共同広告を実施した。◦2017年4月から、JNTOとの連携による共同誘

致活動を展開した。

2. シンガポールシンガポールを訪問したインド人は、2015年に初

めて年間100万人を突破した。インド人にとって人気の国となっている。①主な観光魅力◦ユニバーサル・スタジオ・シンガポールなどの

大型テーマパークや、マリーナ・ベイ・サンズなどの娯楽施設がある。◦シンガポール動物園などの観光施設がある。◦デパートやショッピングモールでショッピング

ができる。

②観光インフラ◦インド各都市からの直行便が多数運航してお

り、飛行時間が約4時間と比較的短い。◦旅行代金が低廉である。◦シンガポールにはインド人居住者が多く、イン

ド人街もあるため、外国旅行の初心者にも親し

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みやすい。◦特に南インドからの居住者が多いため、南イン

ド料理の専門店が多い。南インド料理はベジタリアンメニューが多いので、ベジタリアンのインド人旅行者にとって利用しやすい。

③マイナス要素◦混雑時のホテル代の高さ

④政府観光局による外客誘致活動■ターゲット◦家族旅行◦インセンティブ旅行◦新婚旅行

■外客誘致活動◦シンガポール政府観光局は2005年にニューデ

リーに事務所を構え、テレビ広告を多用した宣伝活動や、旅行業界を対象としたセミナーを積極的に行っている。また、ムンバイにも事務所を構えている。

3. 米国2016年に米国を訪問したインド人は117万2,256人

を記録した。米国在住のインド系移民および在留インド人は440万人と言われており(インド外務省:Ministry of External Affairs, Government of India)、友人や知人を訪ねる目的による渡航が多い。①主な観光魅力◦ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルスが中心◦スミソニアン博物館やメトロポリタン美術館、

自由の女神像、ホワイトハウスなど有名な観光施設がたくさんある。

◦ディズニーランドなどのテーマパークがある。◦洋服などのショッピングができる。◦自然遺産が豊富である。

②観光インフラ◦インド各都市からの直行便が多数運航してい

る。(米国の就航都市は、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ)

◦手頃な価格のパッケージツアーが多い。

③マイナス要素◦査証の取得に手間と時間がかかる。

④政府観光局および旅行業界による外客誘致活動■ターゲット◦家族旅行◦商用旅行◦インセンティブ旅行

■外客誘致活動◦ニューヨーク市観光局は2008年にムンバイに

駐在員事務所を構え、広告宣伝活動、観光地のPR活動、視察旅行の実施などの誘致活動を行っている。

4. タイ2015年にタイを訪問したインド人は103万9,395人を

記録した。格安航空会社(LCC)の便がインド各地から運航しており、気軽に訪れることができる国というイメージが定着している。バンコク・パタヤ・プーケットで結婚式を挙げるインド人が急増している。①主な観光魅力◦距離が近く、インド料理のレストランも豊富な

バンコクが中心◦パタヤやプーケットなどでビーチリゾートが楽

しめる。◦ショッピングが楽しめる。

②観光インフラ◦手頃なパッケージツアーが揃っている。また、

OTAの台頭により、気軽に予約ができるようになった。◦到着時に査証を取得できる。◦在留インド人やインド系移民の増加に伴い、イ

ンド人が経営するレストランが増えている。

③マイナス要素◦特になし

④政府観光局および旅行業界による外客誘致活動■ターゲット◦家族旅行◦カップル旅行◦インセンティブ旅行◦新婚旅行

■外客誘致活動タイ国政府観光庁はデリーとムンバイに事務所を

構え、積極的な誘致活動を行っている。特に2008年に国際インド映画アカデミー賞(IIFA: International

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インドネシア

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インド

第2章 外国旅行の動向

Indian Film Academy)と呼ばれるインドの映画祭をタイで開催した頃から、タイへのインド人旅行者の誘致に力を入れている。インドで開催される旅行博ではタイの大きなブースを出展し、タイの魅力をアピールしている。

訪日旅行の価格競争力2-5

外国への団体パッケージツアーの価格を比較すると、日本と中国か韓国を組み合わせた2カ国周遊旅行は、15万インドルピー(26万円)~ 30万インドルピー(53万円)となっている。東京と京都方面を訪れる訪日団体パッケージツアーは、10万インドルピー(18万円)~ 15万インドルピー(26万円)程度となり、これはフランス、英国などヨーロッパ数カ国周遊や中国数都市周遊の価格とほぼ同額となっている。韓国へのツアーは日本へのツアーより10%~ 15%安い。日本は、ホテルや食の選択肢は幅広い価格帯で揃っているが、移動する際の交通費が他国に比べて割高で、低料金で提供されることがないため、それがパッケージツアー料金に反映されることが多い。

評価の高い日本の旅行地2-6

1. 東京とその近郊インド人にとって、東京は世界の最先端を行く

憧れの国際都市である。高品質の商品が豊富に揃うショッピング天国である一方、日本の古き良き伝統と文化体験が楽しめるユニークな場所として人気が高い。インドでは「メイド・イン・ジャパン」の製品は高品質と認識されているため、秋葉原で最新の家電製品を購入することは東京観光のハイライトとなっている。また、東京は高層建築が多く、区画整理が行き届いた洗練された街並みを体験できる都市としても、インド人の憧れとなっている。日本の歴史や伝統文化への関心も高く、浅草寺・仲見世、皇居前広場などでの写真撮影も欠かせない場所となっている。

東京近郊では、箱根周遊と富士山観光が人気である。代表的な観光地は以下のとおり。

◦東京(渋谷、新宿、秋葉原、お台場(ヴィーナスフォート、パレットタウン)、浅草(浅草寺、

仲見世)、皇居前広場、東京スカイツリー◦東京ディズニーリゾートR◦富士箱根伊豆国立公園(温泉体験、芦ノ湖遊覧、

箱根ロープウェイ、富士山五合目など)

2. 大阪・京都関西空港から入国する訪日インド人団体旅行者の

多くは、大阪から観光を始める。大阪でショッピングや観光などを楽しみ、京都へ足を延ばす。歴史に高い関心を持つインド人、中でもヒンドゥー教徒は京都を日本の宗教の中心地と考えているため、多くのインド人が京都観光を希望する。何百もの寺と庭、美しい輪郭の寺院の屋根など、日本の伝統や文化に惹かれるインド人が多く、金閣寺、嵐山、清水寺、東映太秦映画村は訪日インド人の定番観光ルートとなっている。東京から新幹線で簡単に行けることも、京都観光が好まれる一因となっている。代表的な観光地は以下のとおり。

◦大阪(梅田(梅田スカイビル)、心斎橋、大阪城、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン™など)◦京都(清水寺、二条城、金閣寺、嵐山、京都御所、

祇園、東映太秦映画村など)

3. 広島インド人が初めて日本を訪れる際、「ゴールデン

ルート+広島」が一般的な訪問地となっている。高等教育を受けたインド人の間では、広島が被爆地として広く認知されており、原爆ドームなど原爆関連施設への訪問を希望する人が多い。毎年8月7日に行われる平和記念式典などの関連行事への関心も高い。代表的な観光地は以下のとおり。

◦広島(原爆ドーム、広島平和記念資料館)◦宮島

4. 長崎ポルトガルやオランダとの交流など、日本の歴史

が感じられる場所として人気がある。また、広島と同様、被爆地としても広く認知されており、長崎原爆資料館や平和公園への訪問を希望する人が多い。日本周遊ツアーで長崎は外せない訪問地となっている。代表的な観光地は以下のとおり。

◦長崎(長崎原爆資料館、平和祈念像、平和公園、グラバー園)

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146 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

5. 立山黒部アルペンルート雪を見たいというインド人は多いが、その希望を

満たせる日本の代表的な観光地として、近年、立山黒部アルペンルートの雪壁がインドで浮上しつつある。同ルートを組み込んだツアーを企画する旅行会社も増えている。アルペンルートの開通時期がインドの学校休暇と重なっていることも、旅行需要増を後押しする大きな要因となっている。

なお、近年、日本の桜の認知度が急速に高まっており、富裕層の間では桜の開花時期に合わせて日本を訪れる人も増えている。

訪日旅行の有望な旅行者層2-7

■富裕層(家族旅行)属 性 家族を持つ高所得者。1世帯当たりの年収

が100万インドルピー(175万円)以上。

旅行形態 個人旅行またはパッケージツアー利用。

訴求ポイント 自然、歴史・文化遺産、文化体験、ショッピング、バラエティーに富んだ食事。

費用、日数など 5泊6日で17万ルピー(30万円)前後。一番人気のある訪日旅行の時期は、インドの休暇時期である4月~ 6月。インド人の滞在日程は、ツアーオペレーターが企画したとおりとなることが多い。

選定の背景 可処分所得が高く、子ども、家族を連れての訪日旅行が可能。

効果的な宣伝方法

◦四季折々の自然景観を楽しむことができ、若い世代からシニア層まで楽しめるテーマパークや観光施設が豊富であることから、家族旅行にふさわしい渡航先である、という点を強調する必要がある。

◦フェイスブックなど ITを活用したキャンペーン。

◦最も有力な宣伝媒体は、家庭内での回読率が高い全国紙(『Times of India』や『Hindustan Times』など)や、家族全員で見る夜の人気テレビ番組(ドラマなど)での広告となる。旅行を決定する際に、子どもの影響・意見が反映されることも多いため、メディアを通じて日本の美しい景色や文化を、子どもを含む広い世代に印象付けることで、富裕層の興味を喚起することができる。

◦映画産業が盛んなインドでは、映画鑑賞が代表的な娯楽であり、映画が市民の生活に与える影響力は大きい。インド映画のロケを日本に誘致し、映画を通じて日本の自然や伝統文化を印象付けることで、富裕層の興味を喚起することができる。

◦パッケージ旅行の旅程を決めるツアーオペレーターに対し、セミナーやファムトリップなどを実施し、販売担当者に日本の観光に関する知識を深め、セールスにつなげてもらえるよう働き掛ける必要がある。◦旅行者を日本へ誘致し、さらにリピーターを増やすためには、訪日旅行を取り扱う旅行会社を対象にセミナーなどを開催し、日本の最新情報(新しい施設や体験、交通機関など)を定期的に提供すべきである。

■インセンティブ旅行属 性 現地に進出している日系企業(特に自動

車などの製造業)。今後、外資系の銀行や保険会社も対象として見込まれる。

旅行形態 依頼者からの要望に応じたセミオーダーメイドの団体旅行。

訴求ポイント 伝統文化体験、自然景観、産業視察。

費用、日数など 3泊5日 ~ 7泊9日 で、1日 当 た り1万8,000円×日数+航空券代(ランドオペレーターへのヒアリングによる参考情報)

選定の背景 インドの経済成長と日系企業の進出。

効果的な宣伝方法

◦旅行業界誌『TTG MICE』などへの広告出稿。◦OTM(Outbound Travel Mart) や

SATTE(South Asia's leading Travel & Tourism Event)などのB to B旅行博への出展。◦商談会への参加。

Page 8: 2 外国旅行の動向 - Japan National Tourism …表した「India Tourism Statistics 2015」によると、 2015年のインド人外国旅行者数は過去最高の2,038 万人(前年比11.2%増)となった。国連世界観光機

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フィリピン

ベトナム

マレーシア

インドネシア

JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

インド

第2章 外国旅行の動向

訪日旅行の買い物品目2-8

インドでは日本製の電化製品やカメラなどの人気が根強い。日本の大手メーカーのカメラ、テレビ、家庭用電化製品などはインドでも一般に流通しているが、日本のブランドではあっても、タイや台湾の生産工場から流通し、表示が「メイド・イン・タイランド」や「メイド・イン・タイワン」となっているものもインドでは見られる。インド人は、このような製品を純粋な日本製品とは認めず、日本国内で製造された正真正銘の「メイド・イン・ジャパン」であり、かつ高級で最新モデルであることを重要視する傾向が強い。そこで、インド人が日本を訪れる際には、多くの時間をショッピングにあて、電気街に加え、主要都市の大きなデパートを訪れることも大きな楽しみとしている。訪日インド人にとって人気の高い土産品は、デジタルカメラ、DVDプレーヤー、腕時計、日本人形、着物、真珠、陶器、竹細工、浮世絵、骨董品などである。銀座、新宿などの東京の繁華街以外に、訪問地付近の商店街でもよくショッピングをする。

日本の食に対する嗜好2-9

食事はインド人旅行者にとって重要な要素である。インド人旅行者は、保守的で新奇な食事を試みないと長い間言われてきたが、近年、その風潮は変わってきている。外国旅行経験者の増加に伴い、旅行先の食文化を受け入れるインド人が増えてきている。日本食と言えば、「薄味で生魚などを含む」としてあまり好まれていなかったが、近年はデリー、ムンバイ、ベンガルールといった大都市に日本食レストランがオープンし注目を集めている。一般のレストランに比べて高額であるため、利用するのは富裕層やニューリッチ層に限られているが、若年層には、両親が日本食に対して抱いているような理由で日本食を拒む人はあまりいない。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査2016年」によると、「訪日旅行で期待すること」について、アンケート回答者全体のうち、「日本食を食べること」が52.7%で1位、次いで「ショッピング」が40.6%、「自然・景勝地観光」が29.7%という結果となった*2。インド人には牛肉や豚肉を食べないベジタリアンが多く、訪日旅行に際して食事に関する情報は非常に重要になる。日本滞在中にレストランで使用されている食材について説明を求めるというよりも、ベジ

タリアンとノンベジタリアンの識別を求める傾向にある。これは、日本食に慣れている富裕層や、高い教育を受けたニューリッチ層でも同じである。

訪日パッケージツアーに含まれる食事は基本的に朝食のみであるが、ツアーによっては昼食、夕食付きの場合もある。旅行の前にガイドブックや旅行会社を通じて食の情報収集を行うインド人は少なく、インターネットで訪問地のインド料理やベジタリアン料理のレストラン情報を集める程度である。また、自分で料理を作ることを好むインド人もいるため、簡易キッチン付きのホテルの人気が高い。

なお、インドでは抹茶が浸透しつつある。

*2:観光目的の訪日インド人に限ると、「日本食を食べること」が55.9%で1位、次いで「自然・景勝地観光」が51.4%、「ショッピング」が47.1%、「繁華街の街歩き」が43.2%という結果となった。

接遇に関する注意点2-10

日本の受け入れ側から見て、インド人は旅程や食事の変更が多く対応が大変だと思われがちである。外国旅行に出ることができる層は所得が高く、生まれた時から家政婦やサーバントと呼ばれる使用人がいる環境で育っている人が多いため、多少無理なことでも思ったことをそのまま口にする傾向がある。そのため、依頼を受けたらすぐに対応するのではなく、本意かどうか数回確認してから対応すると良い。また、リスクやキャンセル料が発生する場合は、きちんと説明することを心掛ける必要がある。欧米諸国同様に契約内容が重んじられるインドでは、しっかり説明をした上で、双方が納得することが重要である。