2 外国旅行の動向 - japan national tourism...

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38 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編) 第  章 2 外国旅行の動向 外国旅行の現状と展望 2-1 ベトナムの出国統計は正式に公表されておらず、 世界観光機関(UNWTO)の統計にも掲載されてい ない。しかし、不定期にベトナム観光総局(VNAT) やベトナム観光協会(VITA)などから発表される ことがある。 VNAT によると、2015 年にベトナム人旅行者が多 く訪れた国・地域は、中国(216万人)、ラオス(119 万人)、カンボジア(99 万人)、タイ(75 万人)となっ ている。2016 年の数値は、中国とタイに関しては出 ていないが、ラオス(100万人)、カンボジア(96万 人)、タイ(83 万人)、シンガポール(47 万人)、韓 国(25万人)となっている。日本はそれに次ぐ23 万人で、他に 20 万人以上のベトナム人が訪問した国 ・ 地域はマレーシア(22 万人)がある。 ベトナムからの格安航空会社(LCC)の航空網が 拡大傾向にあることと、特に東南アジア諸国連合 (ASEAN)への旅行価格が国内旅行よりも安価に なることもあることから、外国旅行需要は増加の一 途を辿っている。VITAによると、2016年のベトナ ム人の外国旅行者数は概算で前年比 15%増の 650 万 人となっており、2021年には750万人程度に増大す るであろうというクレジットカード会社の試算もあ る。 ■訪日旅行の現状と展望 2016年の訪日ベトナム人数は23万人を超え、過 去最高となった。月別の訪日ベトナム人数は 2017 年 10 月時点で、2012 年 1 月以降 70 カ月連続して前年同 月を上回っている。これは、ビジット・ジャパン事 業の重点 20 市場の中で最長記録となっている。訪日 ベトナム人の増加の大きな要因としては、以下に述 べるとおり、段階的かつ継続的に訪日査証の緩和措 置が取られてきたことが挙げられる。 ① 2013 年 7 月:ベトナム国民を対象とした短期滞 在数次査証の発給が開始された。 ②2014年11月:在外公館が指定するベトナム旅 行会社(以下「指定旅行会社」)のパッケージ ツアーを利用して訪日するベトナム国民を対象 に、簡易な手続きで一次査証(一回有効の査証) 発給申請を行うことができる制度の運用が開始 された。 ③ 2016 年 2 月:短期滞在数次査証の発給対象者の 範囲を拡大することに加え、有効期間が5年か ら最長 10 年に延長され、数次査証取得後 2 回目 以降の訪日旅行をする際に、観光や親族・知人 訪問などの目的で使用することも可能とする措 置が取られた。 なお、2016年12月以降、在ベトナム日本国大使 館・総領事館に登録されている旅行会社を通じて、 全ての目的の訪日査証を申請することが可能な新制 度が導入された。(外交旅券・公用旅券所持者など の例外を除く。詳細は在外公館のウェブサイトを要 参照。ベトナムではハノイの日本国大使館とホーチ ミンの日本国総領事館が各々の管轄地域で旅行会社 の指定を行っていることに留意されたい。) 訪日ベトナム人は、訪問目的別の構成比が他市場 の旅行者とは大きく異なっている。訪日ベトナム人 全体の 3 割が観光、2 割が商用に止まり、5 割が「そ の他」となっている。この「その他」には留学生や 技能実習生も含まれており、この割合は過去5年間 大きく変わっていない。ベトナム人の日本留学熱や、 日本国内での労働力不足により、観光目的以外でも 訪日するベトナム人が増加している。 訪日旅行と言えば、以前は大部分がゴールデン ルート(東京~大阪間)のパッケージツアー商品で あったが、近年の傾向として、以下のとおり、①低 価格化、②旅行地の多様化が挙げられる。 ①低価格化 ゴールデンルートのツアーは 6 日間以上の商品が 主流であったが、日程を4日程度に短縮化し、1,000 米ドルを下回る商品が市場に流通し始めた。短縮し た日程では、ゴールデンルートを全部は訪問せず、 途中の中部空港から出国・入国する旅程も存在する。 ②旅行地の多様化 リピーターが少しずつ増加傾向にあり、ゴールデ ンルート以外でも中部、北海道、九州を訪れる商品 が造成され、少しずつ販売が拡大されている。LCC の就航に伴い、リピーターや個人旅行者層を意識し た関西方面の滞在型商品や、茨城県、群馬県、栃木 県を回る北関東を中心とした商品も登場し始めた。 その他、チャーター便を利用して、福島県、鹿児島 県、鳥取県など、地方を直接訪れる商品も通常の商

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38 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第  章2 外国旅行の動向

外国旅行の現状と展望2-1

ベトナムの出国統計は正式に公表されておらず、世界観光機関(UNWTO)の統計にも掲載されていない。しかし、不定期にベトナム観光総局(VNAT)やベトナム観光協会(VITA)などから発表されることがある。

VNATによると、2015年にベトナム人旅行者が多く訪れた国・地域は、中国(216万人)、ラオス(119万人)、カンボジア(99万人)、タイ(75万人)となっている。2016年の数値は、中国とタイに関しては出ていないが、ラオス(100万人)、カンボジア(96万人)、タイ(83万人)、シンガポール(47万人)、韓国(25万人)となっている。日本はそれに次ぐ23万人で、他に20万人以上のベトナム人が訪問した国・地域はマレーシア(22万人)がある。

ベトナムからの格安航空会社(LCC)の航空網が拡大傾向にあることと、特に東南アジア諸国連合

(ASEAN)への旅行価格が国内旅行よりも安価になることもあることから、外国旅行需要は増加の一途を辿っている。VITAによると、2016年のベトナム人の外国旅行者数は概算で前年比15%増の650万人となっており、2021年には750万人程度に増大するであろうというクレジットカード会社の試算もある。

■訪日旅行の現状と展望2016年の訪日ベトナム人数は23万人を超え、過

去最高となった。月別の訪日ベトナム人数は2017年10月時点で、2012年1月以降70カ月連続して前年同月を上回っている。これは、ビジット・ジャパン事業の重点20市場の中で最長記録となっている。訪日ベトナム人の増加の大きな要因としては、以下に述べるとおり、段階的かつ継続的に訪日査証の緩和措置が取られてきたことが挙げられる。

①2013年7月:ベトナム国民を対象とした短期滞在数次査証の発給が開始された。

②2014年11月:在外公館が指定するベトナム旅行会社(以下「指定旅行会社」)のパッケージツアーを利用して訪日するベトナム国民を対象に、簡易な手続きで一次査証(一回有効の査証)発給申請を行うことができる制度の運用が開始された。

③2016年2月:短期滞在数次査証の発給対象者の範囲を拡大することに加え、有効期間が5年から最長10年に延長され、数次査証取得後2回目以降の訪日旅行をする際に、観光や親族・知人訪問などの目的で使用することも可能とする措置が取られた。

なお、2016年12月以降、在ベトナム日本国大使館・総領事館に登録されている旅行会社を通じて、全ての目的の訪日査証を申請することが可能な新制度が導入された。(外交旅券・公用旅券所持者などの例外を除く。詳細は在外公館のウェブサイトを要参照。ベトナムではハノイの日本国大使館とホーチミンの日本国総領事館が各々の管轄地域で旅行会社の指定を行っていることに留意されたい。)

訪日ベトナム人は、訪問目的別の構成比が他市場の旅行者とは大きく異なっている。訪日ベトナム人全体の3割が観光、2割が商用に止まり、5割が「その他」となっている。この「その他」には留学生や技能実習生も含まれており、この割合は過去5年間大きく変わっていない。ベトナム人の日本留学熱や、日本国内での労働力不足により、観光目的以外でも訪日するベトナム人が増加している。

訪日旅行と言えば、以前は大部分がゴールデンルート(東京~大阪間)のパッケージツアー商品であったが、近年の傾向として、以下のとおり、①低価格化、②旅行地の多様化が挙げられる。

①低価格化ゴールデンルートのツアーは6日間以上の商品が

主流であったが、日程を4日程度に短縮化し、1,000米ドルを下回る商品が市場に流通し始めた。短縮した日程では、ゴールデンルートを全部は訪問せず、途中の中部空港から出国・入国する旅程も存在する。

②旅行地の多様化リピーターが少しずつ増加傾向にあり、ゴールデ

ンルート以外でも中部、北海道、九州を訪れる商品が造成され、少しずつ販売が拡大されている。LCCの就航に伴い、リピーターや個人旅行者層を意識した関西方面の滞在型商品や、茨城県、群馬県、栃木県を回る北関東を中心とした商品も登場し始めた。その他、チャーター便を利用して、福島県、鹿児島県、鳥取県など、地方を直接訪れる商品も通常の商

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JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第2章 外国旅行の動向

品と比べて安価で販売されるため、人気がある。現在、ベトナム人の訪日旅行に対する意識におけ

る「日本には行きたいが、高額で査証手続きが面倒」といった先入観が徐々に薄れつつある。日本が「一生に一度は行ってみたい『憧れ』の国」という存在から、「実際に予定を立てて訪問する『現実』の旅行先」として認知されつつある転換期を迎えている。

韓国、台湾などの競合国・地域は、ベトナム人への査証緩和措置や低価格による販売攻勢を追い風に、誘致活動を繰り広げているが、日本は日越両国の友好関係やベトナムでの良好な対日感情が優位に作用していることもあり、各種アンケート調査で日本が「行きたい外国旅行先」として常にトップクラスにランク付けされていることから、今後も訪日旅行需要が継続して高まっていくものと思われる。

訪日旅行需要をより拡大させるためには、更なる査証緩和措置や、日本関連情報の露出拡大、東南アジアの訪日旅行先進市場で行われているような旅行フェアでの即売の定着、訪日個人旅行需要の拡大、日本での訪問地の多様化、訪日インセンティブ需要の拡大、ベトナム市場を取り扱う日本のランドオペレーターの増加などを図る必要がある。

外国旅行の旅行形態別特色2-2

1. パッケージツアーベトナム人外国旅行者の68%はパッケージ旅行を

利用している。ベトナム人がパッケージ旅行を好む主な理由としては、「旅行会社に任せておけば効率的に観光地を回れること」、「ガイドの説明があること」、

「安全性の確保」や、「家族や友人、会社の同僚などと、大人数で楽しめること」などが挙げられる*1。

人気の旅行地はアジアに集中している。査証が不要なASEAN諸国(シンガポール、カンボジア、タイ、マレーシアなど)に加え、LCCの就航や査証緩和措置により、低価格の商品が豊富な韓国、台湾などが外国旅行先として定着している。各旅行会社は夏期休暇や旧正月(テト)前後に、廉価な海外パッケージツアーの販売促進を行っている。ヨーロッパや米国、アフリカといった遠距離のパッケージ商品も登場し始めており、外国旅行需要の拡大を促している。

訪日旅行に関しては、パッケージ旅行が7割以上を占めているものと思われる。査証の申請(旅行会社を通じて行うことが可能、前項参照)や言葉の問題から、初訪日の場合、ガイド付きのパッケージツ

アーを選び、ゴールデンルートを周遊するのが一般的である。ベトナムで訪日旅行商品を取り扱う旅行会社の数は増加傾向にある。

*1:INTAGE VIETNAM LLC.調査資料「Tourlist Behaviour Reseach in Vietnam」

2. 個人旅行インターネットの普及、LCCの路線拡大、国内

旅行・外国旅行に対する関心の高まりなどを通じて、ベトナム人の旅行スタイルは確実に多様化しつつある。国内外を問わず依然として団体パッケージツアーの人気はあるものの、オンライン旅行会社やLCCのウェブサイトを通じて個人で予約し、友人と自由な旅行を楽しむ若者層も拡大しつつある。ベトナムの現地系オンライン旅行会社に加え、グローバル企業のエクスペディア、ブッキングドットコム、アゴダ、口コミサイトのトリップアドバイザーなども、ベトナム語による利用が可能になっている。

訪日旅行に関しては、2回目以降の訪日旅行形態を個人旅行で希望する人々が増えている。JRパスや民泊サイトを利用して旅行を楽しむ傾向が広がりつつある。JNTOハノイ事務所が行った調査によると、個人で訪日旅行をしたいという人は、外国旅行経験が豊富であるという結果が出ている。なお、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」では、訪日ベトナム人の旅行形態の大部分が「個別手配」となっているが、サンプル数の少なさからか、実情とは異なっていることに注意されたい。

3. 婚前旅行・新婚旅行ベトナムでは、新婚旅行で外国に行くカップルは

まだ少なく、ベトナム国内のニャチャン、世界遺産のハロン湾、ビーチリゾートのフーコック島、高原リゾートのダラットなどに3泊~ 4泊で行くのが一般的である。結婚式に先立ち、婚礼衣装を着て専門の業者に依頼して写真集を作成する習慣がある。

新婚旅行先として外国旅行を選ぶのは富裕層に限られる。富裕層の新婚旅行先としては、タイのバンコクやパタヤ、インドネシアのバリ島、カンボジアのアンコール・ワット、シンガポールなどが人気である。富裕層をターゲットとしてヨーロッパの商品を販売している旅行会社も登場した。ビジット・ジャパン事業でも新婚旅行を対象とした事業を行っている。

参考 https://www.camnhannhatban.vn/honeymoon/

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4. インセンティブ旅行ベトナムの企業では社員の定着率の向上、優秀な

人材(特に管理職)の獲得、あるいは流出防止のために福利厚生の充実が重要課題となっており、その対策の一つが、会社が主催する旅行である。セールスの成績優秀者への報奨旅行や、家族も参加が可能な社員旅行が行われている。現在は、ASEAN諸国、韓国、台湾や、豪華絢爛な体験ができるドバイなどが人気の旅行地であるが、日本は「プレミアム感のある国」との認識が定着しており、社員の意欲の向上につながるため、旅行地として選ばれる傾向が強まりつつある。

訪日インセンティブ旅行は、以前は30人程度の団体であったが、近年は100人を超える団体も増えている。実施している業界は、保険、通販、金融、製薬、電力会社、塗料会社、広告代理店など多様化し始めており、今後、市場の拡大が期待される。

ベトナムの旅行会社では、日本の自治体やコンベンションビューローの支援制度の情報に関するニーズが高まっている。日本のランドオペレーターとの連携を強化したり、ベトナム語による情報発信体制を整えたりすることが課題となっている。

5. 教育旅行ベトナムでは、外国へ教育旅行に出かける学校は

少ない。訪日教育旅行の場合、日本語学習者や日本への留学生が増加傾向にあることから、数は多くないものの、個別に旅行会社や自治体に受け入れを要請している事例がある。今後の有望旅行者層の一つとして注目に値する。

観光関連政策2-3

1. 外国旅行関連規制

かつてベトナムでは外国への渡航は一般的ではなく、それゆえ、パスポートの申請は政府関係者や国営・外資系企業の社員などの一部を除き困難であった。1994年以前は外国へ渡航をする際には、パスポート以外にも出国許可書と渡航先の査証が必要であった。1990年代以降のドイモイ政策によって経済の刷新が進み、外国との業務取引が黎明期を迎えた。特に1994年に米国がベトナムへの経済制裁を取りやめた後は、外国への業務渡航が拡大した。

ベトナム政府は1997年11月に外国渡航の緩和策を導入し、パスポートの申請が容易になった。また、

2000年には、犯罪者などの例外を除き、10年期限のパスポートの申請が誰でも可能となった。

その他、ベトナム人の外国との往来増に拍車をかけた要因としては、1995年のASEAN加盟、2007年の世界貿易機関(WTO)加盟、外国に移住しているベトナム人(越僑)の里帰り、ベトナム政府による投資条件の緩和措置や、2013年のASEAN首脳会議で決定した域内間の観光客往来の自由化・査証免除などが挙げられる。

2. 旅行業法

ベトナムの観光政策は、文化・スポーツ・観光省(Ministry of Culture, Sports and Tourism)傘下のベトナム政府観光局(Vietnam National Administration of Tourism:VNAT)が中心となり、長期的な観光開発戦略「Vietnam Tourism Development Strategy」に基づいて進められている。

VNATは、観光産業をベトナムの経済発展を牽引する主要産業の一つにするという目標を掲げている。VNATは国内観光業を振興するため、キャンペーン対象都市を選び、集中送客を行う方針を取ることもある。ベトナムでは旅行業を容易に営むことができるため、大企業から個人営業まで旅行会社が多数存在しており、激しい競争が繰り広げられている。

ベトナムの観光に関する法律は、2006年に施行された「44/2005/QH11」の規定に基づいている。2017年6月には、同法律を大幅に改正することが国会で約9割の賛成を得て可決されており(「09/2017/QH14」)、2018年1月に施行される予定である。同法律の具体的な規定内容は、旅行会社の無許可営業や名義貸しの取り締まり強化、観光地の環境保全、外国旅行時のベトナム人観光客の節度ある行動、ツアーガイドの雇用の厳格化などから成っている。

日本の競合旅行地2-4

日本の競合旅行地は、各国政府観光局・統計局の統計でも明らかなとおり、韓国、台湾、ASEAN諸国(タイ、シンガポール、マレーシア、カンボジア)、中国などの周辺アジア諸国・地域が挙げられる。

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JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第2章 外国旅行の動向

1. 中国①概況

◦2015年のベトナム人旅行者数は216万人であった。◦2014年には中越両国間で緊張が高まったが、中

国を訪れるベトナム人は増加した。◦陸路で入国する場合、国境付近で中国査証の取

得が可能。

②主な観光魅力◦万里の長城、故宮博物院、シルクロードなどの

歴史遺産◦美しい自然景観◦上海、北京などでのショッピング

③観光インフラ◦ホーチミン⇔北京、上海(浦東)、広州は、ベ

トナム航空、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、ジェットスター・パシフィックなどが直行便を運航している。

◦ハノイ⇔上海(浦東)、北京、広州は、ベトナム航空、中国東方航空、中国南方航空、ジェットスター・パシフィックなどが直行便を運航している。

◦ダナン⇔北京、上海、広州は、中国東方航空、海南航空、ベトナム航空などが運航している。

◦その他の航空路線は、ハノイ⇔成都、ハノイ⇔昆明、ハノイ⇔南寧、ホーチミン⇔昆明、ホーチミン⇔深圳、ホーチミン⇔南寧、ダナン⇔成都、ダナン⇔杭州、ダナン⇔昆明、ダナン⇔深圳、ニャチャン⇔北京、ニャチャン⇔天津、ニャチャン⇔成都、ニャチャン⇔重慶、ニャチャン⇔昆明、ニャチャン⇔貴陽、ニャチャン⇔上海(浦東)、ニャチャン⇔杭州、ニャチャン⇔広州などがある。

◦ハノイ⇔中国南部各都市へは、5時間~ 11時間で行けるバスがある。

④マイナス要素◦言語障壁◦領土問題

⑤政府観光局の有無◦中国国家観光局の事務所はベトナム国内にはな

い。

2. カンボジア①概況

◦2016年のベトナム人旅行者数は95万9,663人であった。

②主な観光魅力◦アンコール・ワットなどの世界遺産◦プノンペンのカジノ

③観光インフラ◦ホーチミン⇔プノンペン線は、ベトナム航空、

カンボジア・アンコール航空、カタール航空が運航している。ホーチミン⇔シェムリアップ線は、ベトナム航空、カンボジア・アンコール航空が運航している。ホーチミン⇔シアヌークビル線は、カンボジア・アンコール航空が運航している。

◦ハノイ⇔プノンペン線はベトナム航空が運航している。ハノイ⇔シェムリアップ線は、ベトナム航空、LCCのベトジェットエアが運航している。

◦ダナン⇔シェムリアップ線はカンボジア・アンコール航空が運航している。

◦国境を接しているため、ホーチミン⇔プノンペンは、直行バスで約6時間での移動が可能である。

④マイナス要素◦治安(軽犯罪など)

⑤政府観光局の有無◦カンボジア王国政府観光局は、ベトナム国内に

は事務所がない。

3. タイ①概況

◦2015年のベトナム人旅行者数は76万7,643人であった。

②主な観光魅力◦バンコクでのファッションを中心としたショッ

ピング◦仏教文化、寺院(世界遺産)◦バーやディスコなどのナイトライフ◦タイ料理◦パタヤやプーケットなどのビーチリゾート

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③観光インフラ◦ホーチミン⇔バンコク線は、ベトナム航空、タ

イ国際航空、LCCのベトジェットエア、ジェットスター・パシフィック、タイ・ライオンエア、ノックエア、タイ・エアアジアが運航している。

◦ハノイ⇔バンコク線は、ベトナム航空、タイ国際航空、カタール航空、LCCのベトジェットエア、タイ・ライオンエア、タイ・エアアジアが運航している。

◦ダナン⇔バンコク線は、タイ・エアアジア、バンコク・エアウェイズが運航している。

◦その他の航空路線は、ハイフォン⇔バンコク、フーコック⇔バンコクがある。

④マイナス要素◦不安定な政情

⑤政府観光局の有無◦タイ政府観光局がホーチミンに事務所を設置し

ている。

4. シンガポール①概況

◦2016年のベトナム人旅行者数は46万9,429人であった。

②主な観光魅力◦マリーナ・ベイ・サンズなどの先進的な都市景

観◦ナイトサファリやセントーサ島などの造成され

たリゾート◦ユニバーサル・スタジオ◦カジノ◦ファッション街でのショッピングや、ファッ

ションの流行◦F1レースや国際展示会などのイベント

③観光インフラ◦ホーチミン⇔シンガポール線は、ベトナム航空、

シンガポール航空と、LCCのベトジェットエア、ジェットスター・パシフィック、ジェットスター・アジア、スクート・タイガーエアが運航している。

◦ハノイ⇔シンガポール線は、ベトナム航空、シンガポール航空、シルクエアーと、LCCのベトジェットエア、スクート・タイガーエアが運航している。

◦ダナン⇔シンガポール線は、シルクエアー、LCCのジェットスター・アジアが運航している。

◦地下鉄(MRT)やバスは電子カードが利用できる。また、観光バスも複数の路線がある。

④マイナス要素◦物価高

⑤政府観光局の有無◦シンガポール政府観光局がホーチミンに事務所

を設置している。

5. マレーシア①概況

◦2016年のベトナム人旅行者数は21万6,877人であった。

②主な観光魅力◦中国系、マレー系、インド系、中国からの移民

とマレー人の混血の子孫「プラナカン」の独自文化(建築、食事)

◦マラッカやペナン島などの世界遺産◦ショッピング

③観光インフラ◦ホーチミン⇔クアラルンプール線は、ベトナム

航空、マレーシア航空、エアアジア、マリンド・エア、ベトジェットエアが運航している。

◦ハノイ⇔クアラルンプール線は、ベトナム航空、マレーシア航空、エアアジア、マリンド・エアが運航している。

◦ダナン⇔クアラルンプール線は、エアアジアが運航している。

◦その他の航空路線は、ホーチミン⇔ペナン、ホーチミン⇔ジョホールバル、ニャチャン⇔クアラルンプールがある。

◦クアラルンプール市内の交通は、市内と近郊を結ぶ鉄道(KTMコミューター)、市内主要地点を結ぶ高架鉄道(LRT)、市の中心部を結ぶKLモノレール、空港と市内を結ぶKLIAエクスプレスとKLIAトランジットがある。主要観光地は市街中心部から離れているため、タクシーを使う必要がある。

④マイナス要素◦治安(軽犯罪など)

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JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第2章 外国旅行の動向

⑤政府観光局の有無◦マレーシア政府観光局がホーチミンに事務所を

設置している。

6. 台湾①概況

◦2016年のベトナム人旅行者数は19万6,636人であった。

②主な観光魅力◦故宮博物院の文化遺産、九份などの歴史的な街

並み◦中華料理、士林夜市などの夜市でのグルメ◦台北101などでのショッピング

③観光インフラ◦ホーチミン⇔台北(桃園)線は、ベトナム航空、

チャイナエアライン、エバー航空、ベトジェットエア、ユニー航空(立栄航空)、バニラエアが運航している。バニラエアは2016年9月に、ホーチミンから台北経由で成田に就航した。

◦ハノイ⇔台北(桃園)線は、ベトナム航空、チャイナエアライン、エバー航空、ベトジェットエアが運航している。

◦ホーチミン⇔高雄線は、ベトナム航空、ベトジェットエアが運航している。

◦ハノイ⇔高雄線は、ベトナム航空、マンダリン航空、ベトジェットエアが運航している。

◦ホーチミン⇔台中線は、マンダリン航空、ベトジェットエアが運航している。

◦ハノイ⇔台中線は、マンダリン航空が運航している。

◦ホーチミン⇔台南線は、ベトジェットエアが運航している。

◦その他の航空路線としては、ダナン⇔台北(桃園)線がある。

◦各空港から市内へは、バスまたは都市鉄道(MRT)が運行している。市内ではタクシーまたはMRTで移動する。台北市周辺は悠遊カードという電子カードで、市内バス、高速バス、MRT、鉄道に乗ることができ、コンビニエンスストアや飲食店などでも利用できる。悠遊カードはコンビニエンスストアなどで購入できる。同様に台中や高雄にも独自の電子カードがある。

④マイナス要素◦特になし

⑤政府観光局の有無◦ベトナム国内には台湾観光協会の事務所はない。

7. 韓国①概況

◦2016年のベトナム人旅行者数は25万1,402人であった。

②主な観光魅力◦K-popや韓流ドラマなどのロケ地◦済州島の査証なし観光◦ソウル、釜山などの大都市でのショッピング

③観光インフラ◦ホーチミン⇔ソウル(仁川)線は、ベトナム航

空、大韓航空、アシアナ航空、ベトジェットエア、ティーウェイ航空が運航している。

◦ハノイ⇔ソウル(仁川)線は、ベトナム航空、大韓航空、アシアナ航空、ベトジェットエア、イースター航空、ジンエアー、チェジュ航空が運航されている。

◦ダナン⇔ソウル(仁川)線は、ベトナム航空、大韓航空、アシアナ航空、ティーウェイ航空、ベトジェットエア、イースター航空、ジンエアー、チェジュ航空が運航している。

◦ホーチミン⇔釜山線は、ベトナム航空が運航している。

◦ハノイ⇔釜山線は、ベトナム航空、ベトジェットエアが運航している。

◦その他の航空路線は、ハイフォン⇔ソウル(仁川)、ニャチャン⇔ソウル(仁川)、ダナン⇔釜山がある。

④マイナス要素◦特になし

⑤政府観光局の有無◦韓国観光公社がハノイに事務所を設置している。

44 JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

訪日旅行の価格競争力2-5

かつて日本行きの平均的なパッケージツアーは、6日間~ 8日間で1,500米ドル~ 2,000米ドルと、最も高額の部類に属していた。最近は下記の表にあるように、米国、ヨーロッパ、アフリカなど遠距離の商品が市場に登場しているため(第2章2-2、1.パッケージツアー参照)、アジアと欧米との中間の価格帯になっていることが分かる。

日本のパッケージツアーは日程の短縮化と低価格化が進んでおり、既に韓国や台湾への渡航経験者を取り込めるような価格帯になってきている。日本は、アジア諸国の中では査証が必要で、かつ他のアジア諸国と比べて相対的に高い金額であるという状況から、プレミアム感が高い旅行地となっている側面もある。ただし、知名度や訪日取り扱い実績の少ない旅行会社が、インターネット上で法外に安い商品の販売広告を出しており、質の低下や購入者とのトラブルが懸念される。

最大の競合国・地域である韓国と台湾は、査証緩和措置を講じたり、低価格商品の販売促進を行ったりするのみならず、旅行会社への金銭的な支援や大量のギブアウェイ(景品)の提供、インセンティブ旅行を対象としたプログラムの実施など様々な施策を行っている。訪日旅行商品の販売においては、質の高さで差別化を図っていくことが求められる。

■外国旅行(パッケージツアー)価格比較表

旅 行 先 日数

価格(ベトナムドン)

価格(日本円)

フランス→スイス→イタリア 10 53,900,000 261,000

アメリカ西海岸  7 52,200,000 252,000

南アフリカ 8 47,500,000 230,000

日本 7 38,900,000 188,000

オーストラリア 7 37,990,000 183,000

シンガポール 3 9,990,000 48,000

韓国 5 9,900,000 47,000

台湾 4 9,000,000 43,000

タイ 4 4,690,000 22,000

注:JNTOハノイ事務所調べ2017年4月 ウェブサイトおよびVITM会場のパンフレットなどから抜粋(1ベトナムドン=0.004844円で換算)

評価の高い日本の旅行地2-6

訪日旅行の経験者が増加傾向にあるとはいえ、経験者の大半がパッケージツアーでの参加のため、具体的な訪問地について仔細に記憶していることは少ない。(パンフレットにもチャーター便を除き、東京、大阪、富士山、京都などの有名観光地しか掲載されないことがほとんど。)

JNTOハノイ事務所が行った調査によると、訪問した都市についての項目で回答が多かったのは、東京、大阪、京都、富士山、北海道、神戸、奈良などであった。中でも富士山は別格で、「日本=富士山」というイメージが定着していることから、初めて日本に行った際には特に富士山の写真を撮りたいという欲求が強い。(訪日観光目的として「富士山」を挙げる人が多い。)

■人気のある日本の旅行地場所 興味対象

1 東京および東京近郊

•日本の中心で、近代的かつ清潔な街並み•豊富なショッピング場所•バラエティに富んだ日本料理•東京タワー、東京スカイツリー•浅草寺•東京ディズニーリゾート

2 大阪

•ショッピング•ユニバーサル・スタジオ・ジャパン•通天閣•海遊館•お好み焼きやたこ焼きなど関西ならではのグルメ

3 京都•古都の街並み•歴史や伝統文化を感じさせる金閣寺、銀閣寺、清水寺など

4 神戸 •神戸牛

5 その他

•日光•富士山•河口湖•箱根•白川郷、高山

訪日旅行の有望な旅行者層2-7

日本への渡航費用は、他のアジアの国・地域と比較すると割高であったが、訪日旅行商品の低価格化が進んだ結果、査証緩和措置との相乗効果もあって、ハノイ、ホーチミン、ダナンなどの大都市に住む中間所得者層以上に手が届くようになってきた。

今後は、富裕層向けの高級ツアー(個人手配を含む)、中間所得者向けの安価なパッケージツアーに二極化することが予想される。今後の査証緩和の動

ベトナム

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フィリピン

マレーシア

インド

インドネシア

JNTO訪日旅行誘致ハンドブック 2018(アジア新興5市場編)

第2章 外国旅行の動向

向によっては、訪日旅行可能者層に大きな変化が表れる可能性がある。また、経済成長に伴い、ハノイ、ホーチミン、ダナン近郊の地方都市でも訪日旅行需要が高まることが予想される。

なお、若年層の日本への留学生が急増しており、留学生も広義のターゲットとしてとらえることもできる。

■主要都市の富裕層および中間所得層〇属性

◦1カ月当たりの世帯所得が1,500万ベトナムドン(約72,000円)以上の中間所得者層および富裕層

◦上記の層の中心居住地域となるハノイ、ホーチミン、ダナン在住者

〇旅行形態◦査証の取得や言葉の壁などがあり、団体旅行へ

の参加が多い。ただし、個人旅行へのニーズも高まりを見せつつある。

◦家族連れや友人、同僚と行くことが多い。◦1月下旬~ 2月中旬の旧正月(テト)の連休を

利用して外国旅行をする人が多いが、訪日旅行の時期は現在のところ、桜と紅葉の時期である3月~ 5月と9月~ 11月に集中している。その他の季節(学校休暇の6月~ 8月)の需要も少しずつ増加傾向にある。

◦近年は、国内旅行よりも近場の外国旅行の方が低価格の場合もあり、外国旅行を手頃な感覚で楽しめる環境が整いつつある。

〇訴求ポイント◦初めての訪日旅行は、定番のゴールデンルート

や富士山、桜・紅葉の季節を楽しむ人が多い。一度そのような日本を体験した人たちに、どのように2回目以降の訪日旅行を促進していくかが課題である。そのためには、大勢の仲間と楽しむことが好きで、購買意欲が高いベトナム人の嗜好に合った日本料理店や買い物場所を盛り込んだツアープランの提案が必要である。

〇選定基準◦東京や大阪以外の都市はあまり知られていない

ため、特定の都市に行くというよりも、「日本」に行くという意識が強い。日本は安心、安全というイメージが定着しているため、チャーター便で地方を周るツアーの購入にも抵抗感がない。

◦対日感情が良いため、さらなる査証緩和によりリピーターの増加が期待できる。

〇費用、日数など◦人気の観光地が点在する関東から関西にかけて

のゴールデンルートを周る5泊6日が主流で、旅費は総額で1,600米ドル~ 2,000米ドルほど。

(ただし、前述のとおり近年急速な低価格化が進み、1,000米ドルを下回る商品も登場。訪日商品の二極化が加速している)

〇富裕層および中間所得層への効果的な宣伝方法◦SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービ

ス)を含むメディアへの露出の拡大◦旅行会社を対象とした施策の充実化(補助やギ

ブアウェイの提供など)

訪日旅行の買い物品目2-8

JNTOハノイ事務所が行った調査によると、訪日旅行経験者のショッピング予算平均額は300米ドル~ 500米ドル程度であるが、1,000米ドル程度と回答する人も一定数確認され、ショッピングが大きな訪日目的の一つになっていることが分かる。ベトナムでは良好な対日感情に加え、日本製品の品質の高さと安全性への信頼度が高く、このような背景も旺盛なショッピング意欲を下支えしていると言える。

購入品目としては、衣料品(ユニクロのブランド名は都市部を中心に知名度が上がっている)、時計などの装飾品、化粧品、家電製品、サプリメント

(機能性食品を含む)、酒類、中古のスマートフォン、温水洗浄便座などが人気である。その他、ベビー用品店や100円均一ショップ、ドラッグストア、ディスカウントショップも人気がある。現在、ホーチミンとハノイを中心にコンビニエンスストアの開店が相次いでおり、市民の生活に浸透しつつあるため、日本滞在中、宿泊施設の近くにコンビニエンスストアがあると安心してショッピングができるという声も聞かれる。

日本の食に対する嗜好2-9

ベトナム人は日常的に、多様な食材を様々な調理法で食していることから、食におけるタブーはほとんど存在しない。そのため、日本での食事でもそれほど大きな問題は生じない。むしろ本格的な日本食を食べたいということが、訪日動機の中でも上位になっている。ただし、一般的に冷たいご飯を食べる

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習慣がないことと、鯨(海の神様として崇められている)を食べないという点は注意したい。

ベトナム人にとって日本食と言えば、寿司や刺身を思い浮かべる人が多かったが、近年は日本の外食チェーンの進出により、多種多様な日本料理が楽しめるようになっている。たこ焼きやどら焼きなども大都市では徐々に浸透しており、「抹茶」、「餅」、

「うどん」、「ラーメン」といった言葉もベトナム人の会話に登場するようになった。神戸牛を代表とする「和牛」も人気が高まっている。ハノイのリン・ラン通りやホーチミンのレー・タイン・トン通りには日本料理店が軒を連ね、ショッピングセンターにも日本料理店を入居させることが増えている。ベトナム全土に販売網を広げるイオングループでは、ショッピングモール内で日本の外食産業の店舗を展開している。系列スーパーで日本食材が安易に手に入るようにもなっている。2016年7月にはホーチミンに髙島屋がオープンし、日本料理店が多く入居するフードコートが人気を博している。2017年7月時点で、ベトナム国内の日本料理店数は1,000店を超えている。ベトナム料理と比べて数倍の価格ではあるものの、大都市を中心に、定期的に日本食を楽しむベトナム人が急速に増えている。また、サッポロビールはベトナムでも生産されており、大都市を中心に日本品質の高級ビールとして認知され、人気がある。

訪日ベトナム人に食事を提供する際の注意点としては、刺身や生ものを連続して出さないことと、脂っこい料理をあまり好まないため揚げ物のみとしないこと、食卓での味付け用に唐辛子(七味唐辛子はあまり好まれない)や醤油などの調味料を別途用意しておくことが挙げられる。

ビュッフェや食べ放題の焼肉、しゃぶしゃぶなどは好評である。特に鍋ものは、ベトナムでも年間を通じて人気があることから、好んで食すことが多い。懐石料理のようにご飯が最後に出るよりも、ご飯を食べながら食事をすることが一般的である。日本の果物もイチゴやブドウ、リンゴ、梨などを中心に人気がある。

接遇に関する注意点2-10

ベトナム人には目立った宗教的な禁忌はなく、接遇において特段留意することはない。ただし、同行する添乗員やガイドに対して宿泊施設の利用の仕方、ショッピング時の免税手続きの方法、食事内容、公共施設や食事場所での分煙化、集合時間などの説明を詳細に正しく伝えることが重要である。ベトナム国内では無料Wi-Fiの環境が整っているため、携帯Wi-Fiを持参していない場合は、接続方法を説明する必要がある。インターネットの接続環境を常に提供しないと、旅行者にストレスを与えることとなる。

ベトナムでは硬貨が流通していないことから、日本での硬貨の使用にも慣れていない。クレジットカード所持者でない場合は、多額の現金を持ち歩くことにもなり得るので、注意が必要である。

ベトナム人は長時間歩く習慣がないため、屋外で15分以上の徒歩観光を行うとすぐに疲労を覚え、不満が出やすいので注意を要する。

訪日旅行中、ショッピングのための自由時間や、SNS映えのする場所での写真撮影のための時間は特に重要で、この時間を十分に取らないと日本に旅行に来た意味がないと考える旅行者が多い。行程上最も配慮する必要がある。(その他第4章4-1、5.旅行会社招請も参照。)