平成 23 年度 - jetro

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平成 23 年度 インフラ・システム輸出促進調査等事業 (円借款・民活インフラ案件形成等調査) モロッコ・リン鉱石鉄道輸送力増強 に関する調査報告書 【要約】 平成24年11月 委託先: パシフィックコンサルタンツ株式会社 株式会社日立製作所 株式会社東芝

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Page 1: 平成 23 年度 - JETRO

平成 23年度

インフラ・システム輸出促進調査等事業

(円借款・民活インフラ案件形成等調査)

モロッコ・リン鉱石鉄道輸送力増強

に関する調査報告書

【要約】

平成24年11月

経 済 産 業 省

委託先:

パシフィックコンサルタンツ株式会社

株式会社日立製作所

株式会社東芝

Page 2: 平成 23 年度 - JETRO

1. プロジェクトの背景・必要性等

モロッコ(The Kingdom of Morocco)は、肥料の三大要素である燐(リン鉱石)の産出量で

は中国、米国に次いで世界第三位の規模を誇っている(2,660万 t)。多くの人口を抱える中国、

米国は輸出制限をかけていることもあり、世界流通量では圧倒的に両国を引き離し、首位とな

っている。同国でリン鉱石関連産業を一手に担うモロッコ王室リン鉱石公社(OCP:Office

Chérifien des phosphates)は国際市況高騰を睨みつつ、リン鉱石産出能力を現在の 2,800 万

tから中長期的に 5,500 万 t に増大させる計画を批准している。現在、モロッコ王室リン鉱石

公社が開発した4ヵ所の鉱山のうち、3ヵ所の鉱山から積出港までの輸送はほぼ 100%がモロ

ッコ国鉄(ONCF:Office National des Chemins de Fer)による鉄道輸送に依存している。

モロッコ国鉄は同輸送に電気機関車 39両を投入し、年間 3,000 万 t程度の輸送容量を確保す

るも、今後のモロッコ王室リン鉱石公社の増産計画 5,500万 t/年を踏まえた輸送力増強計画策

定が求められている。

リン鉱石輸送用電気機関車 39 両のうち 30 両は円借款を活用し、日立製作所・東芝合作で製

造・納入された。既に納入から 30年以上経過した現在でも運行信頼性が高く、品質において高

評価を得ている。

本プロジェクトは、モロッコ国鉄リン鉱石鉄道輸送力増強について、モロッコ王室リン鉱石

公社のリン鉱石産出計画と鉱石輸送計画の詳細を調査した上で、既存車両の修繕・延命提案及

び新車調達各々について、技術的観点、コスト的観点の双方より検討を行い、モロッコ国鉄の

所有する機関車資産のベストポートフォリオ(日本製既納電気機関車に関する修繕・延命及び

新造の組み合わせによる最適な機関車資産)を提案することを目的とする。

2. プロジェクトの内容決定に関する基本方針

本プロジェクトの内容を決定するために、以下の方針で検討を行う。

-モロッコにおけるリン鉱石生産の今後の見通しの分析

-輸送需要予測の結果を踏まえた鉄道貨物輸送への要求条件の整理

-日本製電気機関車の輸送力増強への対応方策の検討

-現有日本製電気機関車の修繕・延命対策及び機関車新造を組み合わせたベストポートフォ

リオの選定

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3. プロジェクトの概要

3.1 鉄道によるリン鉱石輸送の実態と将来見通し

3.1.1 車両の保有状況

モロッコ鉄が保有する電気機関車 89 両のうち、39 両がおもにリン鉱石輸送用として稼働

している。このうち 30両が日本製であり、1977~1987年において納入された。

日本製機関車は、モロッコの最重要輸出品のひとつであるリン鉱石の輸送において、重要

な役割を担っている一方で、機関車の平均車齢が一般的な寿命と考えられる 30年に達しよう

としている。このため、最近では、故障等により休車状態となるケースが発生しており、そ

の対策が求められている。

表 3-1 モロッコ国鉄が保有する電気機関車一覧(納入 1977年以降)

型式 納入年 両数 出力 最高速度 用途 製造者

E1100形 1977年 22両 2,850 kW 100 km/h リン鉱石運搬用 日立、

東芝(台車等)

E1200形 1982年 8両 2,850 kW 100 km/h リン鉱石運搬用 日立、

東芝(台車等)

E1250形 1987年 12両 3,900 kW 160 km/h 旅客用 日立

E1300形 1991年 18両 4,000 kW 160 km/h 旅客用 Alstom

E1350形 2000年 9両 4,500 kW 120 km/h リン鉱石運搬用 Alstom

E1400形 2010年 20両 5,500 kW 160 km/h 旅客・コンテナ用 Alstom

注)表中の太枠:リン鉱石運搬用機関車

出典:調査団作成

Page 4: 平成 23 年度 - JETRO

3.1.2 リン鉱石貨物輸送の実態

モロッコ国鉄カサブランカ(Casablanca)機関区の貨物運行管理担当者へのヒアリングによ

れば、リン鉱石貨物の状況は以下のとおりである。

リン鉱石輸送の貨物列車は、一日平均 23編成、最大 25編成の運行である。

運行編成の内訳は、クーリブガ(Khouribga)~カサブランカ港又はジョルフ・ラスファ

ー(Jorf Lasfar)港間に 15~16編成、ベンゲリール~サフィ港間に8~9編成となっ

ている。

1編成あたりの編成重量は 4,800tであり、60両編成の貨車自重が 960t、編成あたりの

リン鉱石の積載量は 3,840tである。

1両の機関車は起点から終点までを1サイクルとし、1.5 サイクルで運用されている。

リン鉱石輸送には1両の機関車が6ないし7日間、リン鉱石貨車を牽引する行程が組ま

れており、このほかにクーリブガ駅付近から分岐した山元の積込み線までのプッシュプ

ル運転に1日、救援などの予備行程として1日が充てられている。

モロッコ国鉄貨物・ロジスティクス局貨物輸送部長、モロッコ王室リン鉱石公社ベンゲ

リール事業所でのヒアリングによれば、南軸(ベンゲリール(Ben Guerir)/ユーソフィ

ア(Youssoufia)~サフィ(Safi)間)のリン鉱石輸送列車の積載量は、3,600t/編成と

のことであったため、以下の試算ではこの値を用いる。

図 3-1 鉄道によるリン鉱石輸送ルート

出典:調査団作成

Page 5: 平成 23 年度 - JETRO

モロッコ国鉄は、北軸を 19往復、南軸を 10往復に増強する計画がある。

→リン鉱石輸送担当貨物輸送部長が示した増強計画を達成した場合の推定輸送量(推定

算出量)は以下のとおりとなる。

表 3-2 リン鉱石輸送担当貨物輸送部長が示した輸送力増強を実施した場合の推計

路線 日あたり 編成数

編成あたり 輸送量

稼働日数 推定輸送量

(推定算出量)

①クーリブガ 19編成 3,800t/編成 365 日

2,635.3万 t/年 ②ベンゲリール 10編成 3,600t/編成 1,314万 t/年

合 計 29編成 - - 3,949.3万 t/年

出典:調査団作成

3.2 プロジェクトの計画概要

本プロジェクトでは、将来のリン鉱石増産計画を踏まえ、鉄道輸送力を増強するために必要

となる機関車数の調達方法について、以下の3案を設定し、比較を通じて、リン鉱石輸送用の

機関車調達の最適案(ベストポートフォリオ)を検討するものとする。

(検討ケース)

リハビリ主体ケース(ケース1):稼働可能な既存機関車すべてに対し、リハビリを行

い、2015年初頭までに必要となる機関車の不足分は新造機関車の投入により調達する。

新造機関車投入ケース(ケース2):2020年初頭までに調達できる新造機関車の車両

数は置換えを行い、必要となる機関車の不足分は稼働可能な既存機関車により調達す

る。

リハビリ、新造機関車投入組み合わせケース(ケース3):2020年初頭までに必要と

なる機関車の概ね半数はリハビリにより、残りは新造機関車の置換えにより調達する。

3.3 事業総額

本プロジェクトの事業費(2012年価格)を表 3-3~表 3-5に示す。

表 3-3 事業費(ケース 1)

初期建設費 2014~2019 168億 8,800万円 (2億 1,600万ドル)

追加建設費

2030~2034 192億 1,500万円 (2億 4,500万ドル)

2046 27億 3,000万円 (3,500万ドル)

2059~2061 72億 7,000万円 (9,300万ドル)

2064 81億 9,000万円 (1億 500万ドル)

2075~2079 192億 2,000万円 (2億 4,500万ドル)

出典:調査団作成

Page 6: 平成 23 年度 - JETRO

表 3-4 事業費(ケース 2)

初期建設費 2014~2018 251億 2,700万円 (3億 2,100万ドル)

追加建設費 2048 109億 2,000万円 (1億 3,900万ドル)

2059~2063 251億 2,700万円 (3億 2,100万ドル)

出典:調査団作成

表 3-5 事業費(ケース 3)

初期建設費 2014~2018 198億 5,400万円 (2億 5,300万ドル)

追加建設費

2030~2033 127億 6,500万円 (1億 6,300万ドル)

2047 56億 7,000万円 (7,200万ドル)

2059~2062 136億 8,700万円 (1億 7,500万ドル)

2063 52億 5,000万円 (6,700万ドル)

2075~2078 127億 6,500万円 (1億 6,300万ドル)

出典:調査団作成

3.4 予備的な財務・経済分析の結果概要

3.4.1 経済分析

プロジェクトを実施した場合と、実施しない場合における費用と便益について、国民経済的

観点から分析を行なう。本事業が実施される場合の費用は、追加投資を含む建設費及び保守運

営費とする。経済便益は、走行費用(VOC)との節約便益を推計する。表 3-6 に、経済分析の

結果を示す。

表 3-6 経済分析結果

(社会的割引率=5.2%)

ケース 経済的内部収益率

(EIRR)

費用便益比

(B/C)

経済的純現在価値

(ENPV)

1 40.4% 9.3 240億 1,000万円

2 34.4% 9.0 238億 3,000万円

3 36.3% 8.9 238億 2,000万円

出典:調査団作成

分析の結果得られた EIRRはケース1 40.4%、ケース2 34.4%、ケース3 36.3%であり、社

会的割引率=5.2%と比較して、本プロジェクトは経済的にフィージブルであると判断される。

Page 7: 平成 23 年度 - JETRO

3.4.2 財務分析

本事業の財務的妥当性を検証するため、プロジェクトの財務的内部収益率(Project FIRR)

を用いて分析を行う。Project FIRRの評価指標として加重平均コスト(WACC)を算定し、これ

を財務的機会費用(FOCC)とする。表 3-7に、財務分析結果を示す。分析の結果、Project FIRR

はケース1 37.3%、ケース2 36.4%、ケース3 38.8%であり、WACCの 1.6%と比較して、理論

的には財務的にフィージブルであると判断される。

表 3-7 財務分析結果

ケース 財務的内部収益率

(Project FIRR)

加重平均資本コスト

(WACC)

財務的純現在価値

(FNPV)

1 37.3% 1.6% 8,222億 5,000万円

2 36.4% 1.6% 8,256億 5,000万円

3 38.8% 1.6% 8,218億 2,000万円

出典:調査団作成

3.5 環境社会的側面の検討

3.5.1 事業の特徴

本プロジェクトは、現在、リン鉱石輸送用で使用されている電気機関車の修繕・延命工事を

施し、また、将来のリン鉱石増産計画に対応して、新たに新造電気機関車を導入するものであ

る。

修繕・延命工事がなされた既存電気機関車および新造電気機関車で使用されるモーターは、

既存機関車で使用されている直流モーターと比較して、消費電力が少ないことに加え、メンテ

ナンス面においても優れている。

プロジェクトの実施により次のような利点が挙げられる。

消費電力の軽減とそれに伴う温室効果ガスの削減

電気機関車の故障件数の削減(稼働率の向上)

既存機関車の修繕・延命工事および新造機関車供給に伴う雇用促進

モロッコ王室リン鉱石公社が計画するリン鉱石増産が実現することに伴う雇用増加、

GDP底上げ効果

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3.5.2 プロジェクトの実施に伴う環境改善効果

(1) 検討内容

プロジェクトの実施に伴い削減される電気機関車の CO2 排出量を推計する。併せて、現行の

電気機関車による輸送がすべてトラック輸送に置き換わった場合における CO2 排出量を推計す

ることにより、現状においても環境負荷の少ない輸送がなされていることを示す。検討ケース

は以下のとおりである。

ケース 1)現行の鉄道輸送における環境面での優位性の計測

トラック輸送時 すべてトラックによる輸送を想定

鉄道輸送時 すべて鉄道による輸送を想定

電気機関車はすべて直流モーターを想定

ケース 2)プロジェクトの実施にともなる環境改善効果の計測

プロジェクト

なし

電気機関車はリハビリ前(直流モーター)を想定

運行回数増加分については、トラック輸送を想定

プロジェクト

あり

すべて鉄道による輸送を想定

リハビリ電気機関車、新造機関車ともに、交流モーターを想定

(2) プロジェクトの実施にともなう環境改善効果の計測

前項における算定式及び条件に基づき計測した結果、以下のとおりとなった。

本プロジェクトの実施による CO2削減量は、約 7.6万 t-CO2/年である。しかしながら、近年、

CO2の取引価格は暴落傾向にあり、2012 年7月時点の「日経・JBIC 排出量参考気配」での取引

価格は 252円/t-CO2と、1年前の 1,308円/ t-CO2と比較して、約2割となっている。このこと

から、昨今の取引価格の傾向を考慮すると、収益性の面で、CDM の適用は非常に難しいと考え

られる。

表 3-8 プロジェクトの実施による環境改善効果計測結果

CO2排出量

(t-CO2/年)

現況 a.トラックで輸送した場合 490,055

(2012 年) b.鉄道で輸送した場合 68,672

c.環境面での貢献(=a-b) 421,383

将来 d.プロジェクト非実施時(Without Case) 140,580

(2020 年) e.プロジェクト実施時(With Case) 64,239

f.環境改善効果(=d-e) 76,340

出典:調査団作成

Page 9: 平成 23 年度 - JETRO

4. 実施スケジュール

実施スケジュールを図 4-1に示す。

図 4-1 実施スケジュール

E1200/E1250

電気品/艤装改造設計

量産分電気品製作

プロトタイプ分製作

円借款申請

新 車リ ハ ビ リ入札

協力準備調査

リハビリ、新車ともに52両の場合

量産分艤装輸送

設計

現地艤装作業

量産電気品製作/輸送

E1100プロトタイプ電気品

設計製作/艤装改造設計

’20

’19

’18

’17

’16

’15

’14

’13

’12

E1200/E1250

電気品/艤装改造設計

量産分電気品製作

プロトタイプ分製作

円借款申請

新 車リ ハ ビ リ入札

協力準備調査

リハビリ、新車ともに52両の場合

量産分艤装輸送

設計

現地艤装作業

量産電気品製作/輸送

E1100プロトタイプ電気品

設計製作/艤装改造設計

’20

’19

’18

’17

’16

’15

’14

’13

’12 12月

準備

実施

アプレイザル(9月)

交換文書E/N、借款契約L/A(10月)

入札(1月)

契約(2月) 製作9ヶ月輸送1.5

ヶ月/4両

3ヶ月/4

E1100

設計/製作/輸送/現地艤装/現車試験

E1200

E1250

設計/一部製作

輸送/現地艤装

現車試験

Certificate

取得後、順次

製作/艤装/輸送

3ヶ月/4

両 3ヶ月/4

出典:調査団作成

Page 10: 平成 23 年度 - JETRO

5. 円借款要請・実施に関するフィージビリティ

5.1 相手側機関の資金調達に関する考え方

モロッコ国鉄はリン鉱石輸送に電気機関車 39両を投入し、年間 2,800万tの輸送容量を確保

するもモロッコ王室リン鉱石公社の増産計画を踏まえ、早急に年間 3,500 万tを目標にした輸

送力増強計画策定が求められている。

リン鉱石輸送用電気機関車 39 両のうち 30 両は円借款を活用し、日立製作所・東芝合作で製

造・納入された。既に納入から 30年以上経過した現在でも運行信頼性が高く、品質において高

評価を得ている。輸送力増強計画策定においては現況機関車診断および最適な資機材調達など

について総合的な実現可能性調査が必要となるが、同社が長期にわたり信頼を置く日本企業に、

円借款の活用可能性を含む実現可能性調査を打診してきた経緯がある。

5.2 資金調達の実現可能性

本プロジェクトについて、実施決定権限を有する実施機関上層部局はモロッコ鉄財務・経営

管理総局及び機材保守局であり、円借款要請の決定権を持つ政府機関上層部はモロッコ経済・

財政省国庫局及び公企業民営化局である。

案件実施・円借款要請については、2012年1月末にモロッコ国鉄内において、機材保守局よ

り 2016~2020 年の国鉄投資計画に、42 両の既納日本製電気機関車のリハビリテーションの実

施を盛り込むよう、要請が出されている。

本調査の中で、これらの部局に対して案件の説明を行い、その結果、2012年5月には、モロ

ッコ国鉄から公企業民営化局に対して、円借款を活用するためのロング・リストに既納日本製

電気機関車のリハビリテーションの実施を掲載するよう、要請状が提出されている。

Page 11: 平成 23 年度 - JETRO

6. 我が国企業の技術面等での優位性

本プロジェクトへの参画を検討している我が国メーカーは日本国内における長年、多数の納

入実績に加え、モロッコ国鉄に対して 1977 年に E1100 形電気機関車を 22 両、1982 年に E1200

形を8両、1987 年に E1250形を 12両と、三次にわたって計 42 両を納入している。

現在、モロッコ国鉄が保有している電気機関車 89 両のうち、日本製が半数近くの 42 両を占

め、また E1100形はモロッコ国鉄が保有している電気機関車6形式の中で、1形式あたり 22両

と最大勢力を誇っている。(第二の勢力はフランス製 E1400形の 20両。)

また、本プロジェクトへの参画を検討している我が国の電気鉄道車両メーカー2社は、国内

外において納入した鉄道車両について、高い信頼性、安全性を確保している。

国内で培った鉄道車両の開発・製造に関するノウハウを活用し、輸出用車両の開発・製造も

担当し、鉄道車両の国際規格である UIC(国際鉄道連盟)規格や EN(欧州技術基準)、また、

それぞれの納入国や使用路線の要求仕様や安全性能などへの適応企画に対応することも可能で

ある。

1977年を初年とするモロッコ国鉄への納入実績や、近年の国外における受注・納入実績など

のノウハウによって、モロッコにおける既納日本製電気機関車のリハビリ、新造電気機関車の

受注に関する優位性を有していると考えられる。

7. 案件実現までの具体的スケジュール及び実現を阻むリスク モロッコ国鉄側は輸送力の増強にあたって、貨物列車の編成両数の増加(列車長の延長)や

地上側設備(変電所や側線等の線路施設など)の増強は意図していないとの表明があった。

したがって、本プロジェクトは地上設備の増強などの開発行為は発生しないため、円借款の

供与に向けた手続きと所要の調査は必要となると考えられるが、その他の追加的な調査分析の

必要性はないものと考えられる。

円借款要請の実現に関しては、モロッコ国鉄からの円借款要請を受けて、モロッコ経済・財

政省との面談において、円借款を適用する上では、省内において政府保証に関する協議が必要

であるとの表明があった。

モロッコに対して円借款を供与するためには、でき得る限り、円借款の供与に要する日本側

の手続き(協力準備調査、アプレイザル等)を短縮し、相手国側が要望するスケジュールに擦

り付ける必要がある。

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8. 調査対象国内での事業実施地点が分かる地図

図 8-1 事業実施地域

出典:調査団作成

リン鉱石主要鉱山

Khouribgaク ー リ ブ ガ

、Benguerirベ ン ゲ リ ー ル

、Youssoufiaユ ー ソ フ ィ ア

主要積出港

Casablancaカ サ ブ ラ ン カ

、Jorfジョルフ

Lasferラ ス フ ァ ー

、Safiサ フ ィ

臨海肥料プラント

Jorfジョルフ

Lasferラ ス フ ァ ー

、Safiサ フ ィ

リン鉱石輸送路線:

Khouribgaク ー リ ブ ガ

– Casablancaカ サ ブ ラ ン カ

Khouribgaク ー リ ブ ガ

– Jorfジョルフ

Lasferラ ス フ ァ ー

Benguerirベ ン ゲ リ ー ル

– Youssoufiaユ ー ソ フ ィ ア

– Safiサ フ ィ

Jorf Lasfer

Casablanca

Safi

Khouribga

Benguerir

Youssoufia