蓮沼執太のスタディーズ studies for interview チラシ 6月

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Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2012 Shuta Hasunuma STUDIES 6 蓮沼執 太のスタディーズ 「Grow up!! Artist Project のこと」 裏面へ☞ Wednesday 友引 6June Please Take One 今月のステイトメント

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Page 1: 蓮沼執太のスタディーズ STUDIES for Interview チラシ 6月

Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2012

Shuta Hasunuma STUDIES

6蓮沼執太のスタディーズ

「Grow up!! Artist Projectのこと」裏面へ☞

水曜

Wednesday

友 引

6月Ju

ne

Please Take One

今月のステイトメント

Page 2: 蓮沼執太のスタディーズ STUDIES for Interview チラシ 6月

Grow up ! ! Ar t i s t P roje c t のこと今月のステイトメント

主催:アサヒ・アートスクエア協賛:アサヒビール株式会社お問合せ:アサヒ・アートスクエア事務局Tel. 090-9118-5171 / E-mail [email protected]

http://asahiartsquare.org

*内容・時間などの詳細は決まり次第ホームページに掲載します。

STUDIES(for Interview)

6 月 6 日

map次回のスタディ

Asahi Art Squar Grow up!! Artist Project 2012とはすでに発表実績のあるアーティストが自らの表現ともう一度向き合い、多角的な視点からじっくりと「考える」機会を提供するプロジェクト。公募で選ばれたサポート・アーティストに、アサヒ・アートスクエアの会場の無償提供、資金サポートなどを行っている。2012年は蓮沼執太が、アサヒ・アートスクエアを拠点に新プロジェクト「蓮沼執太のスタディーズ」に取り組んでいる。

浅草駅 浅草駅

本所吾妻橋駅

東京メトロ銀座線

隅田川

東武伊勢崎線

都営地下鉄浅草線

吾妻橋

アサヒビール ←アサヒアートスクエア

東京都墨田区吾妻橋 1-23-1(アサヒスーパードライホール 4F)東京メトロ銀座線「浅草駅」4・5番出口より徒歩 5分都営地下鉄浅草線「本所吾妻橋駅」A3出口より徒歩 6分

東武伊勢崎線「浅草駅」より徒歩 6分

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Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2012

Shuta Hasunuma STUDIES

蓮沼執太のスタディーズ

何をやっているのか、良くわからない。そんな声が耳に届くことが増えている「蓮沼執太のスタディーズ」。ここでは、そのスタディーズを包み込む、「Grow up!! Artist Project」[以下、GUA]という枠組みを説明したい。以下、少し硬いけれども、それによって少しでも見通しが良くなればと思う。

・そもそもアサヒ・アートスクエアはこれまでも独自のプロジェクトを企画実行してきたが、2008年、アーティストの創造活動をサポートする二つのプロジェクトを新たに始動した。一つは振付家が一度発表した作品をブラッシュアップし作品の完成度を高める「grow up! Danceプロジェクト」。もう一つがジャンルを問わず、新しい何かを創り出そうとするアーティストに作品発表の場だけでなく、創作の場を提供する「レジデンスプロジェクト」。それぞれ、公募で選ばれたアーティストに会場提供と資金サポートを行い、プロジェクトに取り組んでもらった。そして2010年、この二つのプロジェクトを統合・リニューアルして生まれたのが今回の「Grow up!! Artist Project」である。

・特徴以前の二つのプロジェクトが作品制作と発表を主なサポート対象としていたのに対し、アーティストが自分自身の活動について、多角的な視点からじっくりと「考える」機会をサポートするのがGUAの大きな特徴だ。「grow up! Danceプロジェクト」の“ブラッシュアップ”、「レジデンスプロジェクト」の“創作の場”、“ジャンルを問わない”といった姿勢は受け継ぎつつも、展覧会や舞台公演といった具体的な成果発表を必須とせず、事前に取り組むべきプログラムや課題も用意しない。既に発表実績のあるアーティストが、これまでの経験から抱えている問題意識を出発点に、一年間、自らプログラムを立案し、アサヒ・アートスクエアを拠点にさまざまに試行錯誤を行う。最終日を公開報告会とし、一年間という短い期間ではあるが、この間どのようなことを「考え」、次なる表現へとつなげていこうとしているのか、アーティストが報告を行う。この一連のプロセスこそがGUAである。

・プロジェクトマネージャーとしてのアーティストGUAとは端的に言えば、アーティストの試行錯誤の機会であり、そしてその場と時間をアーティスト自ら立案し、プロジェクトをマネジメントする点に大きな特徴がある。こちらから何らかのプログラムを提示することはなく、アーティストが自分の問題意識を深めるために、自ら場/時間を設計し、そのプログラムを実行する。現場で動きつつ、かつ先を見通しながら舵取りする、そんな複眼的な姿勢も要求される。もちろん、こうしたプロジェクトの性格上、公募で選ばれたサポート・アーティストによって、その年のプロセスは大きく変化する。実際、2010年のサポート・アーティストの寺内大輔[作曲家・即興演奏家]と2011年の岩渕貞太[ダンサー・振付家]を比べてみても、この一年間の使い方は全く違った。そして一年間の成果をどのように見たらいいのか、これも非常に大きな課題だ。GUA後のアーティストの活動をフォローしながら、GUAの一年間が何だったのか、その意味を考えて行く必要があるだろう。

・サポートそしてそれは、アサヒ・アートスクエアが求められるサポート内容、体制も毎年違うということを意味する。金銭的、人材的、設備的な限界はもちろんあるが、この環境を生かして、公募内容から、アーティストのサポートまで、どれだけ実りあるプロセスをつくれるか、受け入れる我々も試行錯誤をしている。

アサヒ・アートスクエアには多彩なジャンルの専門家が運営委員としており、アーティストと定期的に意見交換を行っている。アーティストの専門ジャンルが何であれ、様々な角度から議論ができる環境がここにはある。また、その議論を具現化した場合に、多様な表現に対応できる空間もある。アサヒ・アートスクエアがこれまで培ってきたネットワークを生かして、アーティストの要望に応えることもある。そして、今ある環境をフルに生かすことで、試行錯誤の振り幅をより広くできるのではないかと考えている。

・1年間アーティストのサポートプログラムは、多種多様なものがある。その中で、サポート期間が一年間というのは長いのか、短いのか。資金的、空間的な限界もあり現在は一年間としているが、Grow up!!を求めるアーティストをサポートし、その具体的な成果を見届けるには、一年間は確かに短いとも言える。ただ一方でこの「一年間」という区切りが、有効な面もある気がしている。ある期間を区切り、様々な関係者のなかで、一つのことに意識的に取り組むという機会はそうそうあるものではない。選考会では問題意識を宣言し、報告会ではこの機会で得た「次なる表現につながる何か」を報告する。この「一年間」というフレームワークを有効につかって、自身の問題意識をどのように掘り下げようとするのか。このとき、繰り返すが、アーティストは、試行錯誤をする主体であると同時に、自身が試行錯誤を続ける「場」と「時間」を設計する、プロジェクトマネジメントの役割も担う。

・ 蓮沼執太の「スタディーズ」こうした機会に蓮沼執太が考えたプロジェクトが「スタディーズ」。毎月アサヒ・アートスクエアに通い、作品制作に取り組みたいという。事前に決めたのは日程だけ。各回の内容は、その都度決め、プロジェクトを進めながら、毎回感じたこと、考えたことを盛り込みたいという。なので長期の見通しは立てず、まずはやってみてから、ということでプロジェクトは静かに始まった。それにしても、学ぶことや学習、調査、事例研究、下準備のための実験などを意味するこの「スタディーズ」というタイトルは、いかにも蓮沼らしい。これは彼の基本姿勢だとぼくは思う。CDリリース、ライブパフォーマンス、個展、ラジオ番組、イベントプロデュース、映画やCMへの楽曲提供など、こんなに多岐にわたる活動が可能なのも、彼にこの常に学ぶことに開かれた姿勢があるからに他ならない。知識を体系的に習得してから取りかかろうなんてしていたら間に合わない。何だか分からないけれど走り出し、やりながらその知識やスキルを求めていく。積極的に周囲に働きかけ、ネットワークを組み、人を巻き込み、現場を学習[スタディ]の場に変えて行くのが、彼のやり方だ。その意味で、彼のスタディーズとは研究室に一人閉じこもって続ける類いのものではない。ましてや教える側と教えられる側が線引きされ、一方的な知識の伝達が行われるものでもない。必要なのは、対話であり、興奮であり、議論であり、相互の交流だ。そして、このダイナミックなプロセスから新たな動きを生み出していくのが、彼の本質であり、アウトプットはこのプロセスの一過程に過ぎない。試行錯誤の場であるGrow up!! Artist Projectの仕組みと、この蓮沼の開放的で、触媒的な在り方は、底の方で通じ合う。スタートして3回、徐々に輪郭が見えつつある「スタディーズ」に、既に多くの人間が関わり始めている。これから、どのようなプロセスが生まれ、新しい作品がつくられるのか。期待していただきつつ、会場は常に公開されているので、ぜひ思い切ってこのプロセスに飛び込んでもらいたいと思う。

坂田太郎[アサヒ・アートスクエア ディレクター]