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走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N(SPI3700SPI3800) /SPA400(SPA300SPA300HV)対象 SPM QA セイコーインスツルメンツ株式会社 科学機器事業部

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走査型プローブ顕微鏡

SPI3800N(SPI3700・SPI3800)

/SPA400(SPA300・SPA300HV)対象

SPM Q&A集

セイコーインスツルメンツ株式会社

科学機器事業部

 SPM Q&A 集 

 SPM Q&A 集をお使いになる前に 

SPM Q&A 集は、SPI3800N シリーズの走査型プローブ顕微鏡をご使用になっている方を前提に作成

されています。SPI3800N シリーズのクイックガイドや各種操作ガイドをお読みいただき、標準的に

装置をご使用いただくときに生じる、疑問や問題について説明されています。

また本書では、測定操作の手順に従って項目を分類し、<質問>とその<回答>が記述されています。

<質問>に対する<回答>が複数存在する場合もありますので、ご注意ください。

なお、本書にて使用されております走査型プローブ顕微鏡関連の用語については、別途 SPM 用語集を

ご参照ください。

- 目次 -

1.測定準備

質問 1-1.試料は固定する必要があるか? ‥‥‥1質問 1-2.試料の固定に使用する材料の種類は? ‥‥‥1質問 1-3.接着剤(銀ペースト・エポキシ系接着剤等)で試料を固定する方法は? ‥‥‥1質問 1-4.テープで試料を固定する方法は? ‥‥‥2質問 1-5.両面テープで試料を固定する方法は? ‥‥‥2質問 1-6.フィルム(シート)状試料を固定する方法は? ‥‥‥2質問 1-7.粉体試料を固定する方法は? ‥‥‥3質問 1-8.カンチレバーが見えない、見えにくい。 ‥‥‥4質問 1-9.試料が見えない、見えにくい。 ‥‥‥4質問 1-10.ADDの値が大きくならない。 ‥‥‥5質問 1-11.DIFやFFMの値を調整すると、ADDの値が大きく低下してしまう。 ‥‥‥7質問 1-12.Qカーブ測定後"このデータは無効です"というメッセージがでる。 ‥‥‥7質問 1-13.いつまでたっても(5分以上)アプローチが終了しない。 ‥‥‥8質問 1-14.AFMモードでアプローチが正常終了しない。 ‥‥‥9質問 1-15.DFMモードでアプローチが正常終了しない。 ‥‥‥9質問 1-16.試料表面の静電気対策法。 ‥‥‥9

2.測定

質問 2-1.測定条件の設定方法がわからない。 ‥‥‥11 質問 2-2.Iゲイン,P ゲインの調整方法がわからない。 ‥‥‥11質問 2-3.AFMモードにおけるたわみ量の調整方法がわからない。 ‥‥‥

12質問 2-4.AFMモードで軟らかい試料を測定する場合のたわみ量の調整方法。 ‥‥‥12質問 2-5.DFMモードにおける振幅減衰率の調整方法がわからない。 ‥‥‥13質問 2-6.DFMモードで軟らかい試料を測定する場合のたわみ量の調整方法。 ‥‥‥13質問 2-7.走査周波数の調整方法がわからない。 ‥‥‥14質問 2-8.細かなスパイクノイズが発生して、データがきれいに測定できない。 ‥‥‥14質問 2-9.50Hz(又は 60Hz)の商業周波数のノイズがイメージデータに現れる。 ‥‥‥15質問 2-10.イメージデータに 1~2�mピッチの縞模様のノイズが現れる。 ‥‥‥15質問 2-11.走査方向に対して下りの形状が流れる(凸部の右が流れた画像となる)。 ‥‥‥15質問 2-12.AFMモードで軟らかい試料を測定しているときに下りの形状が流れる。 ‥‥‥16質問 2-13.DFMモードで通常のパラメータ調整をしても下りの形状が流れる。 ‥‥‥16質問 2-14.DFMモードで凹凸の大きい試料を測定すると下りの形状が流れる。 ‥‥‥16質問 2-15.側面の傾斜が急な試料を測定すると、下りの側面が流れる。 ‥‥‥16質問 2-16.イメージデータに同じ方向性の同じような形状が、複数現れる。 ‥‥‥17質問 2-17.イメージデータに横筋がたくさん現れる。 ‥‥‥17質問 2-18.イメージデータの下部が平らになる。 ‥‥‥17質問 2-19.イメージデータの上部が斜めに流れたような画像になる。 ‥‥‥18質問 2-20.イメージデータ全体が流れた画像になる。 ‥‥‥18質問 2-21.測定中のイメージデータが不安定な(浮いているような)場合の対策。 ‥‥‥18質問 2-22.凹凸の大きな試料や走査エリアが大きな場合の測定条件。 ‥‥‥18

質問 2-23.高分解能測定や走査エリアが小さな場合の測定条件。 ‥‥‥19質問 2-24.画像の走査開始付近(往復以外は左側)が低く(または高く)ひずむ。 ‥‥‥19質問 2-25.大きな凸部(凹部)の右側が、へこむ(出っ張る)場合の対策。 ‥‥‥19質問 2-26.「拡大」・「移動」を使用したときに、「範囲外のオフセットが設定されました

というエラーメッセージが出る。 ‥‥‥20質問 2-27.測定位置の位置決めの方法。 ‥‥‥20質問 2-28.150μm スキャナ(100μm スキャナ)を使用するときの測定条件。 ‥‥‥21

3.データ処理

質問 3-1.データ処理の一般的な手順がわからない。 ‥‥‥22質問 3-2.上下方向に段差が出てしまったデータの処理方法。 ‥‥‥23質問 3-3.平坦な試料であるのに中心部がすり鉢状にへこんだデータの補正方法。 ‥‥‥23質問 3-4.本来平らである表面形状の、Y方向が歪んで測定された場合の補正方法。 ‥‥‥23質問 3-5.横筋の処理方法。 ‥‥‥24

4.表示と出力処理

質問 4-1.一般的な画像表示方法は? ‥‥‥25質問 4-2.表面の細かな形状を強調する表示方法は? ‥‥‥25質問 4-3.出力する三次元形状の高さを合わせる方法。 ‥‥‥25質問 4-4.断面プロファイルの表示の高さを合わせる方法。 ‥‥‥25質問 4-5.拡張印刷の特徴と使い方。 ‥‥‥25質問 4-6.データを JPEG等の形式で保存する方法。 ‥‥‥26質問 4-7.データを数値データにアスキー変換する方法。 ‥‥‥26

5.その他

質問 5-1.CCDの画像を画像ファイルとして保存する方法。 ‥‥‥27質問 5-2.測定中にパソコンがハングアップした場合の対応方法。 ‥‥‥27

添付資料

① 測定像に対する探針形状の影響 ‥‥‥28    ② 針形状が変化したときの形状像に対する影響  ‥‥‥30    ② 探針が太くなった場合の測定事例 ‥‥‥31    ③ 傾斜補正法 ‥‥‥32    ④ 3D描画タイプについて ‥‥‥33

現象と対策一覧 - 測定中に起こりやすい現象とその対策法 - ‥‥‥34

- 1 -

 1.測定準備 

質問 1-1.試料は固定する必要があるか?

回答 1-1.裏面が平らな試料は、試料台に載せるだけで良い。

裏面が不安定な(ぐらつく)試料は、平らな基板へ接着固定*1)してから試料台に載せる。

1) 接着固定方法の詳細は、質問 1-2~1-7 を参照。

質問 1-2.試料の固定に使用する材料の種類は?

回答 1-2.試料の固定には主に下記材料を使用することができる。

表 1:接着材料の種類

接着材料の種類*2) 特徴 代表的な商品名

銀ペースト 硬化に時間がかかるが、しっかり固定できる。金

属基板に固定すると、アースの効果もある。

ドータイト

2液のエポキシ系接着剤 硬化に時間がかかるが、しっかり固定できる。 アラルダイト

修正液 硬化が速くはがしやすい。

瞬間接着剤 硬化は速いが、接着部周辺の表面を汚す場合があ

るので使用には十分注意が必要。

アロンアルファー

テープ 固定後すぐに測定できる。 メンディングテープ

両面テープ 固定後比較的すぐに測定できる。

凹凸が比較的大きいものでも簡単に固定できる。Scotch 透明両面テープ

2) 各種接着材料による固定方法の詳細は、質問 1-3~1-7 を参照。

質問 1-3.接着剤(銀ペースト・エポキシ系接着剤等)で試料を固定する方法は?

回答 1-3a.基板へ試料を乗せ、周辺を上から盛るように固定する。盛りすぎると探針が試料に接触

する前に、カンチレバーホルダが接着剤の盛り上がりの部分へ接触することがあるの

で要注意。(図 1参照)

理由 1-3a.上から盛ると接着剤が基板と試料間に入り込まないため、硬化による収縮や温度変

化によるドリフトが発生しにくいため。

試料

接着剤

盛りすぎ

接着剤の収縮の影響が出やすい

図 1:接着剤による固定の模式図

基板

- 2 -

回答 1-3b.裏面を接着する場合は、接着剤が十分に硬化するまで待ってから測定する。

理由 1-3b.硬化が完全でないうちに測定すると、ドリフトが発生しやすくなり測定が上手くいか

ないことがあるため。 

質問 1-4.テープで試料を固定する方法は?

回答 1-4.基板に試料を載せ、図 2のように

2~4箇所程度をテープで固定す

る。

質問 1-5.両面テープで試料を固定する方法は?

回答 1-5.基板に両面テープを貼り、そっと載せる。

理由 1-5.接着時に強く押し込むと、両面テープの変形後の復元によりドリフトが発生しやすくな

るため。(図 3参照)

 質問 1-6.フィルム(シート)状試料を固定する方法は?

  回答 1-6.両面テープ(代表的な商品名:Scotch 透明両面テープ)で固定する場合は強く押し込

みすぎないようにする。そっと載せエアーガンやブロアで両面テープへの密着性を良

くすると、安定に測定できる場合が多い。(図 4参照)

   理由 1-6.フィルム等基板に密着して貼りつきにくい試料の場合、固定の際に基板との間に空気

等の隙間が生じて試料表面が上下に動き安定に測定できないことがあるため。(図 4参照)

試料

テープテープ

基板

図 2:テープによる固定の模式図

時間の経過

圧縮

復元による上昇

両面テープ

試料

基板

図 3:両面テープによる固定の模式図

- 3 -

- 4 -

質問 1-7.粉体試料を固定する方法は?

 回答 1-7.粉体試料の固定には、そのまま基板に置く、接着固定する、溶液に分散させて自然乾燥

させる、等の方法がある。実際には下記理由のため粒径が、①数十μm以上・②数μ

m程度・③サブμm以下で、適する処理方法が異なる。詳細は下記①~③を参照。

理由 1-7.探針の高さはシリコン製で 10~7μm、窒化シリコン(Si3N4)製で 3μm 程度なので、

粒子の大きさや粒子の塊の高さがそれ以上になると、探針が試料に触れる前にカン

チレバー等が触れてしまい上手く測定できないため。

①数十μm以上の粉体の固定方法

実体双眼顕微鏡や長焦点レンズを搭載した金属顕微鏡で測定したい粒を選び、測定面が水平に

なるように基板に載せる。ぐらつきやすい粒の場合は、両面テープ(質問 1-5 参照)や接着剤

(質問 1-2参照)の上に固定する。

尚、図 5の右図のように探針以外

の部分が、試料に最初に接するよ

うな配置となると測定できないの

で、カンチレバーの位置決めが重

要である。3)

   3)測定位置の位置決めは質問 2-26を参照。

②数μm以下の粉体の固定方法

溶液に分散して滴下し乾燥させる。

あるいはエアーで分散(注射器に

入れ空気と一緒に押し出す)させ

て、ある程度の密度で薄く基板に

載せる。図 6の右図のように分散

が上手くいかないと、測定できな

い場合がある。(理由 1-7参照)図 6:中程度の粒の固定と観察

エアーガン

エアーの吹き付け

両面テープ

フィルム等の試料

試料表面が振動しやすい

図 4:フィルム試料等の固定の模式図

- 5 -

③サブμm以下の粉体の固定方法 

溶液に分散して滴下し乾燥させる。あるいはエアーで分散(注射器に入れ空気と一緒に押し出

す)させて、濃い目の密度で基板にのせる。一度測定して密度を確かめ、薄める目安を確認し

て適当な濃度に調整後、測定する。

 

質問 1-8.カンチレバーが見えない、見えにくい。

回答 1-8.直上から光を当てた状態で斜め横から実体双眼顕微鏡で見ると、確認しやすい。また、斜

め横からファイバーライト等で光を当ててカンチレバーの縁が光る照射角度を探すことに

より、カンチレバーを確認できる場合もある。

理由 1-8.SPM に使用されている顕微鏡は同軸

照明なので、直上より照明して真上

に跳ね返った光を集光することによ

り観察する機構となっている(図 8参照)。

ここで、カンチレバーは水平面に対

して 11~13゜程度傾いた状態でホル

ダに取り付けられており、直上から

照射される顕微鏡の光を反射しない

ため見えにくい。さらにこのとき、

試料が黒など光を反射しない色である

と、真上に反射される光がほとんどな

くなるためより見えにくくなる。(質

問 1-9参照)

質問 1-9.試料が見えない、見えにくい。

回答 1-9.SPA300、SPA400、SPA300HV の場合は、ヘッド部をはずした状態で試料を観察すると、

見えやすくなる場合がある。ヘッドをはずしても見えない場合、斜め横からファイバー

ライト等で光を当てて試料が光る角度を探すことにより、確認しやすくなる場合がある。

十分な分散状態 少ない状態 過剰な分散状態

図 7:小さな粒の固体と観察

試料

顕微鏡

試料からの反射

顕微鏡のライト

カンチレバー

からの反射

直上から観察

11~13゜

図 8:試料とカンチレバーの観察

- 6 -

理由 1-9.SPM に使用されている顕微鏡は図 8 のように同軸照明なので、直上より照明して真上

に跳ね返った光を集光することにより観察する機構となっている。黒い色の試料や、

凹凸の激しい試料、傾いた試料は、真上に光を反射しにくいのでほとんど見えない場

合がある。

質問 1-10.ADDの値が大きくならない。

カンチレバーの種類とADDの標準的な値を表 2に示す。

   ADDの値が標準的な値に満たない場合、回答 1-10の対策を行う。

 回答 1-10a.探針・試料間を 0.5mm 程度まで近づけて調整する。   

理由 1-10a. 探針・試料間の距離が離れすぎていると、CCD でカンチレバーに対するレーザーの

位置が正確に観察できていないため、実際にはレーザーが、カンチレバーに当たっ

ていないまま調整していることがある。(図 9参照)

 

測定モード カンチレバーの種類 ADDの標準的な値(V)

AFM SN-AF01 7~13AFM SI-AF01 7~13DFM SI-DF20 2~5DFM SI-DF20(Alコート) 7~13DFM SI-DF40 2~5DFM SI-DF40(Alコート) 7~13

図 9:レーザーの光路に対するカンチレバーと試料の位置関係

試料とカンチレバーを近づけた状態でレーザーを調整すると、試料に当たったスポットとカンチレバーに当たったスポットが接近し外れにくくなる。

CCD 画像では、試料に当たっているレーザースポットが強く見え、カンチレバーに当たっていないように見えている。

CCD 画像では、当たっているように見えているが、試料とカンチレバーが離れすぎているため、実際には当たっていない。

試料に当たった

レーザーが、カ

ンチレバーのし

たから見えてい

る状態

カンチレバー

試料

レーザーの光路

CCD

カンチレバーを

透過した一部の

レーザーが、試

料に当たって見

えている状態

カンチレバーに当

たったレーザー

と、カンチレバー

を透過した一部の

レーザーが試料に

当たって見えてい

る状態

カンチレバーに

当たったレーザ

ーが、見えてい

る状態

上段:CCD の観察像

下段:カンチレバーと試料の位置関係

表 2:カンチレバーの種類とADDの標準的な値

- 7 -

回答 1-10b.探針・試料間を近づけても ADD が上手く調整できない場合、下記手順に従い光検出器を

大きく調整する必要がある。

    

      ①:レーザーを動かしADD の値が少しでも大きくなるところを探す。

      ②:FFM調整つまみ、DIF 調整つまみ(、ミラー調整つまみ)を大きく動かして

ADDの値が最大になる位置を探す。

      ③:①、②を繰り返して、ADD、FFM、DIF の値を調整する。

理由 1-10b.光検出器から大きくずれた位置にレーザー当たっているため。

回答 1-10c.光検出器をどのような位置にしても ADD が大きくならない場合は、カンチレバー、カン

チレバーホルダ、光ヘッド部を取り付け直す。

理由 1-10c.各部の取り付け方が不適切なため、レーザーの反射光路が、調整できないほど曲がっ

ているため。

回答 1-10d.回答 1-10a~1-10c の対策を行っても ADD の値が改善しない場合、カンチレバーを新し

いものに交換する。

理由 1-10d.下記要因のため、光検出部にレーザーが当たっているが、光量が足りない。

・カンチレバーの反射面の反射率が低下した。(ダメージ、汚れ、金属コートの劣化)   

      

・カンチレバーが、曲がっている。

  AFM 用の柔らかく、板バネ部分の長いカンチレバーでは図⑨右図のような反りが発生し、

レーザーを光検出部へ跳ね返すことができない場合がある。カンチレバーの中ほどにレー

ザーを当てると使用できる場合もある。(図 10参照)

反りが発生したカンチレバーとレーザーの関係

レバーの中ほどにレーザーを当てる

通常のカンチレバーとレーザーの関係

レーザーの光路

図 10:カンチレバーとレーザーの関係

- 8 -

質問 1-11.DIF やFFMの値を調整すると、ADD の値が大きく低下してしまう。

 

回答 1-11.DIF、FFM の値を 0V 付近へ調整できた時と逆方向につまみを回し、ADD の値が一番

大きくなる付近へ合わせた後、ADD の値が下がらない状態で DIF や FFM の値が 0V 程

度になるよう調整する。

理由 1-11.DIF、FFM調整中に、レーザーの光路が光検出器の外に外れてしまったため、ADD、

DIF、FFMの値が 0V程度になったため。

質問 1-12.Qカーブ測定で測定後"このデータは無効です"という エラーメッセージがでる。

"このデータは無効です"という エラーメッセージは、下記現象のときにでる。

① 複数のピーク 4)が存在し、きれいなピークが測定できていない場合(回答 1-12a-1~1-12a-3)② 振幅が小さい等ピークらしい波形が見られない場合(回答 1-12b-1~1-12b-5)対処法は回答 1-12aおよび回答 1-12b参照。

回答 1-12a-1.複数のピーク 4)が存在し、きれいなピークが測定できていない場合、カンチレバーを

付け直しQカーブを再測定する。

4) 複数のピークが存在している場合でも、一番大きなピークのみを選択し動作点を

計算して使用できる場合もある。

理由 1-12a-1.カンチレバーがホルダに適切に固定されていないと、不安定なためきれいなピーク

を得られないことがある。

回答 1-12a-2.綿棒等でホルダのカンチレバー取り付け部分をクリーニングすると、Q カーブ測定が

上手くいくようになることもある。

理由 1-12a-2.ホルダにゴミが挟まっていると、その影響できれいなピークを得られないことがあ

る。

回答 1-12a-3.カンチレバーを付け直しても Q カーブが改善しない場合、カンチレバーを新しいも

のに交換する。

理由 1-12a-3.カンチレバー自体にきれいに振動できない原因があるため。ただし、新品に変えて

も付け直す前と同じカーブが測定された場合、ホルダ本体に問題があると思われる。

回答 1-12b-1.振幅が小さい場合、あるいはピークらしい波形が見られない場合、最初の Q カーブ

測定パラメータの設定を表 3の推奨値に設定したことを確認する。

- 9 -

  

質問

カンチレバーの

種類

周波数(上限)(kHz)

周波数(下限)(kHz)

加振電圧

(V)ローパス

(kHz)ハイパス

(kHz)測定時間

(sec)プロパティ

(振動振幅)プロパティ

(周波数)

SI-DF20 150 100 0.5 5 50 2 0.5 V 3 kHz

SI-DF20(Al コ ート)

150 100 0.5 5 50 2 1.0 V 3 kHz

SI-DF

SI-DFト)SI-DF

表 3:カンチレバーの種類とQ カーブ測定パラメータの推奨値

- 10 -

理由 1-12b-1.最初の Q カーブ測定の条件で、上限周波数と下限周波数の入力値の間に、使用し

ているカンチレバーの共振周波数(カンチレバーが入っているケースに記載されて

いる周波数)が含まれていないと、ピーク(共振点)を検出できない。

答 1-12b-2.カンチレバーホルダを載せ直して、Qカーブを再測定する。

理由 1-12b-2.ホルダがユニットにしっかり固定されておらず、加振電圧が加わっていない場合が

あるため。

答 1-12b-3.使用するカンチレバーホルダを測定モードに対応したものに交換する。DFM、KFM、

MFM等の測定モードでSI-DF3を使用する場合は、必ずVE 用ホルダを使用する。

理由 1-12b-3.カンチレバーホルダは測定モードに対応して作成されているため。

答 1-12b-4.SPA400 の場合、ユニット裏面に BNC ケーブル(加振信号)が接続されていること

を確認する。

理由 1-12b-4.BNCケーブル(加振信号)が接続されていないと、加振電圧が加わらないため。

答 1-12b-5.探針と試料が接していないかを確認する。接していた場合、探針と試料を離してから

測定する。

理由 1-12b-5.探針と試料が接していると、カンチレバーがフリーな状態で起こる共振特性は得ら

れないため。

1-13.いつまでたっても(5分以上)アプローチが終了しない。

答 1-13.探針・試料間を 0.5mm程度まで接近させてからアプローチさせる。測定モード別の応用

的な対処法は質問 1-14および 1-15を参照。

40 400 200 0.5 5 50 2 0.5 V 3 kHz

40(Al コ ー 400 200 0.5 5 50 2 1.0 V 3 kHz

3(Al コート) 50 20 0.5 1 10 2 1.0 V 3 kHz

- 11 -

理由 1-13.試料と探針が十分に接近していない状態で、アプローチ動作を行っているため。

質問 1-14.AFMモードでアプローチが正常終了しない。

回答 1-14a.カンチレバー部分を確認してカンチレバーやホルダが試料に接触していたら、接触しな

いよう試料を調整するか、カンチレバーと試料の位置関係を変える。

理由 1-14a.試料が探針より先にカンチレバー周辺の構造物に接触していると、なかなかアプロー

チが終了しない。

回答 1-14b.アプローチをいったん終了して、その場から(あるいは設定値まで離してから)もう一

度アプローチすると正常になる場合がある。

理由 1-14b.ノイズの影響によってアプローチ途中であるのに探針が試料に達したと判断して、な

かなかアプローチが終了しないことがある。

質問 1-15.DFMモードでアプローチが正常終了しない。

回答 1-15.静電ブロア・軟エックス線帯電除去装置、銀ペーストによる固定などによって

を除去する(詳細は質問 1-16 参照)。SI-DF40 のカンチレバーを使用したり、

測定の振幅の値を 2~3V くらいの大きな値に設定することにより、静電気の

できる場合もある。

理由 1-15.DFM の場合、アプローチ状態に 試料表面の電場

オートゼロ動作に切り換わり、なかなか終了しない場合がある。

質問 1-16.試料表面の静電気対策法。

 回答 1-16.静電気対策法を以下にまとめる。

  ① 静電ブロアや軟エックス線帯電除去装置を 和する。

② 銀ペーストやカーボンテープで試料を金属の基板に固定し、静電気を除去する。

  銀ペーストを使用する場合、完全に固化するのを待ってから測定する。

③ SI-DF40等硬いバネのカンチレバーを使用すると静電気の影響を受けにくくなる。

④ Alコートされたカンチレバーを使用すると静電気の影響を受けにくい場合がある。

⑤ Q カーブ測定のプロパティダイアログの中 の 2~3 倍(Aれたカンチレバーの場合:2~3V)くらいの値に設定することにより、静電気の影

、静電気

Q カーブ

影響を低

の影響で、

なる前に静電気を帯びた

用いて、表面の電荷を中

l コートさ

で、振動振幅の値を通常

響を低減で

- 12 -

きる場合もある。

上記対策は静電気の影響の度合いにより、複数を併せて行う場合もある。

静電気の影響があると、アプローチが上手くいかない(質問 1-15)、ノイズが多くなる(質問 2-16)等の現象が起こることがある。帯電が予測される試料は、予め静電気対策を行ってから測定すると良

い。

① ユニットのパネルメータに DIF の値を表示し、アプローチ中の DIF 値の変化を確認すると、アプ

ローチの状況を判断することができる。

  

DIFの値が徐々に+へ変化する場合: 原因 静電気を帯びた試料に対して、アプローチしていると予想される。

静電気でカンチレバーが下向きにたわみ、DIF の値が+に変化する。やわらかなカン

チレバーほどたわみやすい。

対策 静電気を除去する対策を実施する。

 

DIFの値が徐々に-へ変化する場合:

原因 試料の一部がホルダや、カンチレバー周辺の構造物に接触し、ホルダを一部浮き上が

らせている。カンチレバーが上向きにたわみ、DIF の値が+に変化する。

対策 探針の先端が試料表面に接触する以前に、試料の一部がホルダやカンチレバー本体に接

触しないことを確認する。

 

正常なアプローチ動作時のDIF の変化: 

<AFM の場合> 初期設定の+0.5~+1V 程度の値から多少(1~2V 以内)変化をしながら、

あるとき急に 0V程度へ変化しアプローチが終了する。

<DFMの場合> +1~-1V程度の値がほとんど変化せずにアプローチが終了する。

② AFM 電流同時測定の時に、SN-AF-01A 等のように片側に複数のカンチレバーが付いているレバ

ーを使用する場合、使用しないカンチレバーは折って測定する。

③ 液中測定の場合は、下記図のようにカンチレバーとホルダのガラス面との間に気泡ができていな

いことを確認する。

④ シャーレセルや電気化学セルを使用する場合は、セルに対してカンチレバーホルダがほぼ中心に

なるようにマイクロメータを調整する。

気泡

ホルダーのガラス

試料面

-アプローチ時の注意点(応用編)-

図 11: 液中測定時に生じやすい気泡の例

- 13 -

 2.測定

質問 2-1.測定条件の設定方法がわからない。

 回答 2-1.一般的な測定条件調整の手順を以下に示す。

① Iゲイン,P ゲインの調整(詳細は質問 2-2参照)

② たわみ量、振幅減衰率の調整(詳細は質問 2-3~2-6参照)

③ 目的の走査エリアに対する走査周波数の調整(詳細は質問 2-2、2-7参照)

 

質問 2-2.Iゲイン,P ゲインの調整方法がわからない。

回答 2-2.例として、SPI3800N/SPA400・20μmPZT 使用の場合に、5μm 角を測定するときの

一般的なゲインの調整方法を以下に示す。

① Iゲイン=0.25 Pゲイン=0.1で、

自動調整によりアプローチする。

② モニタモードを開き、走査エリ

アを500nm、走査周波数を0.5Hz

で走査を始める。

Iゲインを発振しない程度に高めに

調整し、その値の3割減とする。

(図12(C):発振状態)

Pゲインを発振しない程度に高めに

調整し、その値の5割減とする。

(図12(C):発振状態)

③ ②の状態で走査周波数を上げてい

きどの程度まで追従できるかを確か

める。(図12(A)に近づく)

④ 目的の走査エリアに対する走査速

度を割り出す。

(500nmで10Hz程度まで追従できる

とすると、5μ角mは1Hzでの走査が

適当となるが、 5μm角で必要とする

分解能は500nm角より低いので、2Hz

形状像

誤差信号像

形状像

誤差信号像

形状像

誤差信号像

スキャンの向き

(A):追従性が悪い状態

(B):追従性が良い状態

(C):発振している状態

図 12 モニタの観察例

- 14 -

ぐらいの設定でも十分な場合が多い)

⑤ 走査周期を2Hz、走査エリアを5μm角として、モニタで形状と誤差信号(振幅の変化)を確認す

る。形状にリンク(微分的な変動)して、誤差信号が変化するのは正常に測定できていると判断で

きる。(*微分的な変動:急激に形状が変化している部分では、振幅が大きく変化する:図12(B)

の状態)

⑥ モニタを閉じて測定をスタートする。形状と、誤差信号を同時に表示させ、発振や追従性を確認

しながら測定する。試料の場所により探針への影響が異なる場合もあり、発振や追従性の悪さが目立

つ場合もあるので、ゲインや走査速度、たわみ量(振幅減衰率)を微調整する。

質問 2-3. AFMモードにおけるたわみ量の調整方法がわからない。

回答 2-3.アプローチ終了時のたわみ量は、通常-1nm に設定する。これはカンチレバーが上向

き 1nm 反り上がっている状態となるように試料の高さが制御されていることを意味す

る。おおかたの試料はこの設定値で測定可能である。

     たわみ量の符号が+のとき探針を試料から引き上げる方向に、-のとき押しつける方

向に設定される。

     軟らかい試料を測定する場合のたわみ量の調整方法は質問 2-4 を参照。

質問 2-4. AFMモードで軟らかい試料を測定する場合のたわみ量の調整方法がわからない。

回答 2-4.AFM モードで軟らかい試料を観察するときの力は、できるだけ弱いほうが良い。たわ

み量は、接触する力を決めるパラメータである。以下に探針が試料に触り始めるとき

のたわみ量の調整方法について説明する。

<探針が試料から離れる直前のたわみ量の見つけ方>

① アプローチ状態(図 13(A))から、たわみ量を少しずつ大きくしていきカンチレバーが下向き

に反る状態にしていく(図 13(B))。

② 吸着力を超える下向きの反りがたわみ量により設定されたとき、カンチレバーは試料から離れ

(図 13(C))。Z 電圧は+200V へジャンプし、スキャナが一番縮んだ状態となる。このときのた

わみ量:Faが、試料と探針が接触し始める付近の値である。

③ 再びたわみ量をマイナス方向へ変化させていくと、Z 電圧が+200V から一定値に移動する(図

13(D))。このときのたわみ量を Fb とすると、Fb は、試料と探針が接触しさらに吸着力分(Fa-Fb)の力が加わった状態である。

④ 再びたわみ量をFaに近づけていき、試料と探針が離れないぎりぎりのたわみ量を設定する(図

- 15 -

13(E))。この値が、探針が試料から離れる直前のたわみ量である。

質問 2-5. DFMモードにおける振幅減衰率の調整方法がわからない。

回答 2-5.アプローチの自動調整終了時の振幅減衰率は、試料に接触し始める振幅減衰率から 2%程

度振幅が減少するまで試料を近づけた状態である。通常は、このとき設定された値のま

まで測定して良い。

自動設定値のままで上手く測定できないとき、

・試料の凹凸が大きい場合は、さらに数%振幅が小さくなる値まで、振幅減衰率を調整

(振幅減衰率をマイナス方向に大きくする→  を数回クリック)して測定する。

・軟らかい試料や凹凸の小さな試料の場合は、振幅を大きくし(振幅減衰率をプラス方

向に大きくし→  を数回クリック)弱い力で測定する。(軟らかい試料を測定する場

合の振幅減衰率の調整方法は質問 2-6を参照。)

質問 2-6. DFMモードで軟らかい試料を測定する場合のたわみ量の調整方法がわからない。

回答 2-6.DFM モードで軟らかい試料を観察するときの力は、できるだけ弱いほうが良い。振幅

減衰率は接触する力を決めるパラメータである。以下に試料に探針が触り始める振幅

減衰率の調整方法について説明する。

<探針が試料から離れる直前の振幅減衰率の見つけ方>

① アプローチ状態(図 14(A))から振幅減衰率を少しずつプラス方向に大きくしていく(図 14(B))。

図 13:たわみ量の設定値とカンチレバーのたわみ変位の模式図

Z電圧:+200 へジャンプ

たわみ量:Fa

Z電圧:+200 から一定へ

たわみ量:Fb

Z電圧:一定

たわみ量:試料か

ら離れる直前の値

Z電圧:+方向へ

シフト

たわみ量:+へ

Z電圧:一定

たわみ量:-1

スキャナ

カンチレバー

試料

(A)アプローチ状態 (B)下向き反り状態 (C)フリー状態 (D)再アプローチ状態

(E)ソフトアプローチ状態

- 16 -

② 試料に接触し始める振幅減衰率を超えた値が設定さると探針は試料から離れる(図 14(C))。

この過程でそれで一定値を保っていた Z 電圧は、+200V 方向へ変化する。このときの振幅減衰

率:Aaが、試料と探針が離れはじめる値である。

③ 再び振幅減衰率をマイナス方向へ変化させていくと、Z 電圧が+200V から-方向に変化する。

(図 14(D))

④ さらに振幅減衰率を-方向に変化させ、Z 電圧が変化しなくなる振幅減衰率をAb とすると、Abは、試料と探針が接触しはじめた状態の振幅減衰率である。

質問 2-7. 走査周波数の調整方法がわからない。

回答 2-7.モニタ等を使用し走査中の形状の軌跡や誤差信号を観察して、探針が試料表面を一定の力

でなぞっていることを確認する(詳細は質問 2-2 参照)。3800N/SPA400 において 20μm スキャナを使用した場合の代表的な走査周波数を以下に示すが、試料の凹凸が激しい

場合はよりゆっくりした周波数で測定する必要がある

走査エリア(nm) 200 500 2000 200 1000 10000走査周波数(Hz) 6 4 2 6 1 0.5

質問 2-8.細かなスパイクノイズが発生して、イメージデータがきれいに測定できない。

回答 2-8.細かなスパイクノイズが形状や誤差信号に現れている場合、I ゲイン、P ゲインを小さく

振幅減衰率:Aa 振幅減衰率:Ab振幅減衰率:-へ振幅減衰率:+へ振幅減衰率:

自動設定

(A)アプローチ状態 (B)振幅大きくなる (C)フリー状態 (D)再アプローチ状態振幅小さくなる

(E)ソフトアプローチ状態

図 14:振幅減衰率の設定値とカンチレバーの振幅の模式図

スキャナ

Z電圧:一定

カンチレバー

試料

Z電圧:+200 へジャンプ

Z電圧:+200 から-方向

へシフト

Z電圧:+方向へ

シフト

Z電圧:一定

表 4:走査エリアと走査周波数の参考値

- 17 -

するとノイズが減少することがある。スパイクノイズがなくなるまで I,P ゲインを下

げて測定する。なお、このときフィードバックゲインを下げて追従性が低下したぶん、

走査速度を遅くして十分な追従性が得られるように調整する。(詳細は質問 2-2参照)

理由 2-8.Iゲイン、P ゲインの設定が大きすぎると過渡応答となり発振現象が起こることがある。

発振状態のままで測定すると、細かなスパイクノイズがイメージデータに現れる(図

11 参照)。(逆に I ゲイン,P ゲインを大きくするとスパイクノイズが増加することで

も発振状態を確認できる。)

質問 2-9.イメージデータに 50Hz(又は 60Hz)の商業周波数のノイズが現れる。

回答 2-9.周波数が 50Hz のノイズが入っている場合、1Hz で走査すると、25 山の波が画像に現れ

る。(走査周波数を速くすると山の数は減少する。)この場合、装置の電源のグランド

(アース)が接地されているかを確認する。また、防音ボックスを閉じて測定する。

理由 2-9.装置の電源のグランド(アース)が接地されていないと、装置の電気的なノイズがの

ることがある。また、防音ボックスが開いた状態で測定すると、蛍光灯の光が入り込み

ノイズが発生する場合がある。

その他 試料が帯電している場合も周期的なノイズが発生する可能性があるので静電気対策も行

うと良い。

質問 2-10.イメージデータに 1~2�mピッチの縞模様のノイズが現れる。

回答 2-10.レーザーの干渉縞の影響である。図 15(B)のようにカンチレバーの先端から少し根元

よりにレーザーを当て、洩れ光を少なくすると干渉の影響が少なくなる。

質問 2-11.走査方向に対して下りの形状が流れる(凸部の右が流れた画像となる)。

回答 2-11. Iゲイン,P ゲインを発振しない程度に大きく設定する。また、走査周波数を小さくし、

図 15:レーザーの照射位置

洩れ光があると試料からも

レーザー光が反射し、カン

チレバーから反射した光と

干渉する。

試料

カンチレバー

レーザースポット

(A)先端に照射

試料

(B)根本側に照射

- 18 -

ゆっくり測定する等パラメータを再調整する。各パラメータの調整法は質問 2-2 を参照。

理由 2-11.パラメータの調整が不十分で、試料の凹凸を十分に追従できる制御状態になっていな

い可能性がある。

質問 2-12.AFMモードで軟らかい試料を測定しているときに下りの形状が流れる。

回答 2-12.軟らかい試料は DFM での測定を推奨する。AFM で測定する場合は、質問 2-4「AFMで軟らかい試料を測定するときの調整法」を参照。

理由 2-12.軟らかい試料を AFM モードで測定すると、試料を変形させてしまうために、走査方

向に形状が流れる場合がある。

質問 2-13.DFMモードで通常のパラメータ調整をしても下りの形状が流れる。

 回答 2-13.モニタを観察しながら、形状が追従できるようになるまで振幅減衰率をマイナス方向に

大きくする(  を数回クリックする)。モニタの観察例は質問 2-2、図 11を参照。

理由 2-13.探針・試料間の距離がやや離れ気味でアプローチしているため、形状を十分に追従

できていない場合がある。

質問 2-14.DFMモードで凹凸の大きい試料を測定しているときに下りの形状が流れる。

回答 2-14. Q カーブ測定のプロパティダイアログ内で、振動振幅を通常より大きな値(2~3 倍)

に設定して測定すると凹凸に対する追従性が向上するので、測定が上手くいく場合が

ある。ただし、強くたたく条件となるので、軟らかい試料の変形や、探針の摩耗に要

注意。

質問 2-15.側面の傾斜が急な(60~70 度以上)試料を測定しているときに、下りの側面が流れる。

 回答 2-15.探針形状の影響の可能性がある。高さが 2μm以下の試料の場合ハイアスペクト Tip(Si-DF40H 等)を、高さが 200nm以下の場合スーパーシャープTip(Si-DF40s 等)

を、その他、Si-DF40P を使用すると、急な角度の試料の測定がしやすくなる。

理由 2-15.側面の角度が 60~70 度を超えるような凹凸試料の場合、試料の傾斜が、探針側面の

角度よりも切り立っているため、形状を正しく測定できない場合がある。

- 19 -

     詳細は添付資料①参照。

- 20 -

質問 2-16.イメージデータに同じ方向性の同じような形状が、複数現れる。

回答 2-16.カンチレバーを新品に交換して測定し、同じ現象が起こらなければ探針先端の影響であ

る。新品のカンチレバーで測定する。詳細は、添付資料②参照。

理由 2-16.付着物や、摩耗の影響によって探針先端の形状が変化すると、探針の形状がイメージ

データに観察されてしまうことがある。

質問 2-17.イメージデータに横筋がたくさん現れる。

回答 2-17.AFMモードでは、試料と探針の吸着の影響が大きい場合、筋が出やすい傾向がある。

たわみ量を質問 2-4 のように調整して測定する。また、静電気の影響の可能性もあるの

で、静電気対策を行うと効果がある場合もある(質問 1-15 参照)。以上の対策を行って

も上手く測定できない場合、DFMモードで測定する。

理由 2-17.試料表面が汚れていたり、吸着水が多くついている場合、ひっかかったりトラップ

されたりして探針がスムーズに走査できず、筋が出やすくなる。

その他 除振台が正常に機能していない可能性もある。測定前には必ず除振台の四隅を押して、

浮いていることを確認する。

質問 2-18.イメージデータの下部が平らになる。

  回答 2-18a.測定条件パネル 2 の AGC 寄与率を 3~5%程度に設定して、データの取り込みの余

裕度を大きくすると測定できる場合がある。

理由 12-18a.オートゲインコントロールによるデータ取り込み幅の予測を越えた値で、データ

が測定されていると、イメージデータの途中からデータが取り込めなくなり平ら

(単一色)に表示される。データ取り込み幅の余裕度はAGC寄与率で調整できる。

AGC寄与率が小さいほど余裕度は大きく設定される。

回答 2-18b.スキャン中の Z 電圧 5)を確認し、±200V 以内で変化していた値が、途中から+

200V または-200V で一定となった場合、試料の凹凸が大きすぎて測定できない状

態になったと予測できる。

1 ステップムーブイン(Z 電圧は+にシフト)やムーブアウト(Z 電圧は-にシフ

ト)を使用してアプローチ後の Z 電圧の値をシフトさせることで、ダイナミックレ

ンジ内に凹凸情報が入るように調整することができる。

5)Z電圧のダイナミックレンジは±200Vである。+200Vはスキャナが縮みきった状態。

-200Vはスキャナが伸びきった状態である。

- 21 -

その他 SPI3800N/SPA400 において、上記の方法を用いても 20μmスキャナで調整しき

れない場合は、大きな段差が測定できる 150μmスキャナや 100μmスキャナに交換

する。

 質問 2-19.イメージデータの上部が斜めに流れたような画像になる。

  回答 2-19.ダミースキャンの本数(通常 8~12 本)を、補助パラメータダイアログ内で流れた走

査線の本数分だけ増やすと改善される。アプローチ、拡大、移動の直後は、スキャナ

のクリープ 6)の影響が強く出るため、上部が流れやすい場合がある。ダミースキャン

の本数を増やしても改善しない場合は、数分程度待ってから(1~2 画面走査してか

ら)再測定する。

       6)クリープについては用語集参照。

質問 2-20.イメージデータ全体が流れた画像になる。

  回答 2-20.ドリフト 7)により、画像が流れてしまったと予測される。温度変化による場合は、部

の温度が安定し、ユニットや試料の温度変化がおさまった状態で測定する。アプロー

チ直後は、スキャナのクリープ特性によりドリフトが発生しやすい状態となるので、

数分程度待ってから(1~2 画面走査してから)再測定する。

       7)ドリフトについては用語集参照。   

その他 試料の固定が不十分でドリフトすることもある。質問 1-7「試料の固定方法」を参照。

質問 2-21.測定中のイメージデータが不安定な(浮いているような)場合の対策。

回答 2-21.試料と探針が部分的に離れていると思われる。

たわみ量や、振幅減衰率を調整する。調整方法の詳細は、質問 2-2~2-6 を参照。

質問 2-22.凹凸の大きな試料や走査エリアが大きな場合の測定条件。

回答 2-22.スキャンスピードは遅くして測定する。DFM モードを使用する場合、試料を強くたた

く条件に設定すると大きな凹凸に対する追従性が良くなる。ポイントを以下にまとめ

る。

① Iゲイン,P ゲインを発振しない程度に大きく設定する。(質問 2-2 参照)

② 走査周波数を小さめに(スキャンスピードを遅く)設定する。(質問 2-7 参照)

③ DFM モードでは、振幅減衰率をマイナス方向に大きく設定して追従性を良くする。

(質問 2-13参照)

- 22 -

④ Q カーブ測定においてカンチレバーの振動振幅を通常よりも大きく設定する。(質問 2-13参照)

質問 2-23.高分解能測定や走査エリアが小さな場合の測定条件。

回答 2-23.探針先端の変化を最小限にするため、試料と探針をやわらかく接触させながらゆっくり

測定する。ポイントを以下にまとめる。

① Iゲイン,P ゲイン調整を通常よりもやや小さく設定する。

② 走査周波数を通常より小さめに(1/2 程度)に設定する。(質問 2-7 参照)

③ たわみ量や振幅減衰率の設定を、試料にあまり力がかからないように調整する。(質問 2-4、2-6参照)

④ AGC 寄与率の設定値を 3~5%にし、データ取り込みのレンジから外れないようにする。

(質問 2-18参照)

⑤ Qカーブ測定においてカンチレバーの進度振幅を通常よりも小さく(1/2~1/5 程度)

設定する。

  その他 高分解能測定の場合、探針形状の影響を受けやすくなるため、形状効果が出ていないか

注意しながら測定する。(参照:添付資料①~③)

質問 2-24.画像の走査開始付近(往復以外は左側)が低く(または高く)ひずむ。

回答 2-24a.AFM モードで測定している場合、カンチレバーの押し付け力を低減(たわみ量をプ

ラス方向に大きく)し、摩擦によるねじれを小さくすると減少する(質問 2-4 参照)。

ただし、試料によっては完全に消すことができない場合もある。対策としては、摩

擦の影響が出にくいDFMで測定する。

理由 2-24a.AFM モードで高低差の少ない試料や摩擦の激しい試料を測定する場合、走査開始

付近では特に摩擦の影響を大きく受けてカンチレバーが大きくねじれる。このた

め、この部分で高さへの干渉が発生する場合がある。

回答 2-24b.モニタモードを使用して走査方向の傾きが最小になるように回転角度を調整したり、

サンプルの傾きが小さくなるように固定する。(参照:質問 2-24、添付資料④「傾斜

補正法」)

理由 2-24b.サンプルが走査方向に大きく傾いている場合、スキャナのクリープ特性によりひず

む場合がある。

質問 2-25.大きな凸部(凹部)の右側が、へこむ(出っ張る)場合の対策。

回答 2-25.試料を水平になるように固定すると減少する。試料を水平にセットするポイントを以

下にまとめる。

- 23 -

① マイクロメータでカンチレバーの位置を、試料表面が水平な位置へ移動する。

   ② モニタモードで回転角度が 0゜のときの形状の断面を確認し、低くなっている方向にマイク

ロメータでカンチレバーを移動する。(添付「傾斜補正法」参照)

③ モニタを確認しながら回転角度を調整し、スキャン方向の傾きが最も水平になるように調

整する。

   

理由 2-25.スキャナのクリープの影響で、発生する場合がある。

その他 Zの移動量の大きなスキャナを使用すると、クリープの影響が低減される。

質問 2-26.「拡大」・「移動」を使用したときに、「範囲外のオフセットが設定されました」というエ

ラーメッセージが出る。

回答 2-26.測定中心が移動して、測定可能な走査エリアが変化したため。

図 16 に 20μm スキャナの XY 平面における測定可能領域の模式図を示す。測定中心

が①の時、測定可能な最大エリアは aμm となる。ここで、走査エリアを aμm と設

定したまま測定中心を②に移動すると、測定可能エリアが aμm から bμm へ変わる

ためエラーメッセージがでる。測定範囲を bμm 以下に設定するとエラーメッセージ

は出なくなる。また、測定中心は“測定条件パネル 2”ダイアログで任意に設定する

ことができる。

質問 2-27.測定位置の位置決めの方法。

  回答 2-27.探針・試料間の距離をできるだけ近づけて、カンチレバーを目的の位置までマイクロ

メータで移動する。このとき、SI-DF40のカンチレバーを用いるとレバーの先端に探

0

y

x10μm

10μm

-10μm

-10μm

a

a

b

中心①

中心②

: 最大測定エリア

(20μm スキャナの場合)

: 測定可能な最大のエリア

: 測定不可能な設定エリア

図 16:20μm スキャナを使用したときの測定中心と測定可能エリアの関係

- 24 -

針がついているため位置決めがしやすい(図 17(A)参照)。また、金属顕微鏡搭載の

SPM を用いると約 2000 倍の高倍率で試料を観察することができるので、より細かい

調整が可能となる。

質問 2-28.150μm スキャナ(100μm スキャナ)を使用するときの測定条件。

回答 2-28.20μm スキャナ使用時よりも、I ゲイン、P ゲインを小さく設定する。また、走査周波

数を低めに設定する。

理由 2-28.150μm スキャナ(100μm スキャナ)の圧電定数は、20μm スキャナとは感度が異

なるため、圧電定数の相当分 I ゲイン、P ゲインを小さく(20μm スキャナ使用時の

1/3~1/5 程度)設定する。20μm スキャナ使用時と同じ条件で測定すると、発振がす

ることがある。(参考:質問 2-2)

カンチレバー 試料

(A)SI-DF40P による位置合わ (B)その他のカンチレバーによる位置合わせ

上から見た図

横から見た図

探針の位置がわかる

図 17:カンチレバーの種類と位置合わせの模式図

- 25 -

3.データ処理

質問 3-1.データ処理の一般的な手順がわからない。

 

回答 3-1.以下に一般的な処理の流れを示す。

① まず一次傾き補正を行いデータの処理の指針を立てる。(うねり、とび、コントラスト、周期

ノイズの確認)

② ラスター飛びがある場合は、ラインエディットやフラット処理を行う。

③ うねりがある場合は、2次、3 次の傾き補正やフラットの 1~3 次を使用する。

④ コントラストの調整。

⑤ 必要によりフィルタ(ローカルフィルタ、FFT)処理を行う。(滑らかにしたり、周期ノイズ

を除去する。)

⑥ 目的に応じて、三次元表示、断面表示・・・等を行う。

⑦ データの出力、保存。

      各種傾き補正の使用法を以下にまとめる。

1次傾き補正

処理対象イメージの全データから、最小二乗近

似によって 1次曲面(平面)を求めてフィッティ

ングし、面内の傾きを補正する。測定直後のデ

ータには、ほとんどの場合傾きが存在するので、

1次傾き補正で全体の様子を確認しやすくする。

大きな凹凸が局在化する場合は、マニュアル傾

き補正やエリア指定傾き補正(1次)を使用する。

2次傾き補正

処理対象イメージの全データから、最小二乗近

似によって 2次曲面を求めてフィッティングし、

面内の傾きを補正する。うねりを取り除きたい

場合に使用する。

3次傾き補正

処理対象イメージの全データから、最小二乗近

似によって 3次曲面を求めてフィッティングし、

面内の傾きを補正する。うねりを取り除きたい

場合に使用する。

平均傾き補正

処理対象のイメージ全体、あるいは指定したエリ

アの内側のデータから、X軸方向またはY軸方向の

平均傾きを求め、データ全面の傾きを補正する。

処理前 処理後

図 17a:1 次傾き補正の模式図

処理前 処理後

図 17c:3 次傾き補正の模式図

処理前 処理後

図 17b:2 次傾き補正の模式図

- 26 -

エリア指定傾き補正

処理対象のイメージについて、指定されたエリア

の内側(マスクを指定しているときはその外側)のデータのみを用いて最小二乗近により面を求め、

データ全体にフィッティングをして傾きを補正す

る。例えばデータに特異点が存在する場合、特異

点にマスクを指定することでその影響を回避する

ことができる。

マニュアル傾き補正

イメージデータに対する画像処理機能のひとつ。

X軸およびY軸方向の断面図の傾きに対してマニュ

アルで補正線(直線)を合わせ、その設定から得ら

れる平面をフィッティングして傾きを補正する。

原子ステップ等のステップ面を水平にしたいとき

等に有効である。

質問 3-2.上下方向に段差が出てしまったデータの処理方法。

回答 3-2.フラット処理を使用する。

フラット処理

スキャン中に探針にわずかな汚れが付いたり取

れたりする影響で、段差ができてしまう。本来

同じ高さの面であることがわかっている場合は、

各走査ラインの高さを同じにするフラット処理

(特に 1ヶ所が有効)で補正を行うことにより、

Z軸方向の高さの変動を補正することができる。

質問 3-3.平坦な試料であるのに、中心部がすり鉢状にへこんだデータの補正方法。

回答 3-3.湾曲は円弧の曲線なので、2 次や 3 次の傾き補正で処理することにより、かなり処理でき

る。

理由 3-3.走査型プローブ顕微鏡のほとんどは、チューブ型スキャナの首振り運動により走査して

いるため、走査はわずかな円弧を描いて行われる(添付資料④参照)。非常に平らな試料

の場合、これによって生ずる鉢状の凹みが強調されるため、画像が湾曲する場合がある。

質問 3-4.本来平らである表面形状の、Y方向が歪んで測定された場合の補正方法。

処理後処理前

図 18:フラット処理の模式図

指定したエリア

処理前 処理後

図 17d:エリア指定傾き補正の模式図

- 27 -

回答 3-4.水平な面を基準として、Y方向のフラット処理により補正することができる。

理由 3-4.非常に平らな表面を測定する時、温度ドリフト、スキャナのクリープ等により、Y 方向

が歪んで測定される場合がある。

質問 3-5.横筋の処理方法。

回答 3-5.数本程度のイレギュラーな横筋の場合は、ラインエディットを使用して補正する。ライン

を合わせにくい場合は、拡大を行ってからラインを指定すると合わせやすい。細かな横

筋が多数ある場合は、フラット処理を使用する。ラインアレンジを使用すると、より効

果的である。

理由 3-5.試料表面の付着物や吸着の影響によって、カンチレバーのとびや引きずりが起こること

がある(質問 2-16参照)。

- 28 -

 4.表示と出力処理 

質問 4-1.一般的な画像表示方法は?

回答 4-1.一般的には、立体的な表現力が豊かな「コンバイン」や、真上から見た状態

「平面像」がよく使用される。その他、色々な表現方法で表示できる。添付の「

プについて」を参照。

質問 4-2.表面の細かな形状を強調する表示方法は?

回答 4-2.「コンバイン」または「陰影像」が効果的である。「コンバイン」のパラメー

ントを以下にまとめる。

① 光源位置の設定の推奨値:仰角 30゜、水平角-90゜(又は 90゜)

  仰角>30゜に設定するほど反射して明るくなり、細かい形状が強調される。仰

設定するほど影が長くなって暗くなり、細かい形状が見えにくくなる。

② コンバイン比率の推奨値:高さ寄与率 60~80%、輝度寄与率 20~40%輝度寄与率や高寄与率を大きくすると、像は明るくなる。輝度寄与率+高さの

程度となるようにすると明るさは同じくらいで、細かい形状の見え方を調整でき

質問 4-3.出力する三次元形状の高さを合わせる方法。

 

回答 4-3.表示するときに拡大率のチェックを外し、実倍率に同じ値を入力して実行する

で高さの差が大きい場合は、一番高いデータを基準として残りの拡大率を合

質問 4-4.断面プロファイルの表示の高さを合わせる方法。

 

回答 4-4.断面プロファイル表示上で右クリックを行い、縦スケールの設定ダイアログ

ルに同じ値を入力する。

質問 4-5.拡張印刷の特徴と使い方。

回答 4-5.拡張印刷は最大 4 画面(ウィンドウ)までを、1 枚の用紙にレイアウトして

である。拡張印刷を起動後ファイルのコピーを指定するか、Alt+PrtSc(指

ィンドウ)、PrtSc(フルスクリーン)を使用して画面を取り込み使用する。

況でコピーされた画像を、出力前に確認することができる。イメージ状況で

を表現する

3D 描画タイ

タ調整のポイ

角<30゜に

寄与率=100る。

。データ間

わせる。

で高さスケー

印字する機能

定されたウ

イメージ状

はリアルな

- 29 -

縮尺では表示されないので、大まかな印字位置とデータを確認するのに使用する。

質問 4-6.データを JPEG 等の形式で保存する方法。

回答 4-6.SPI のソフトでは JPEG 形式での直接保存はサポートされていない。(BMP、TIFF 形式

での保存は可能。)ただし、画像データをクリップボード経由でコピーして使用できるの

で、ペイント等のグラフィック用のソフトウェアへ貼り付けて、任意のファイル形式で

保存することで対応できる。また、この機能を使用することにより、Word や Excel に直

接画像を貼り付けることもできる。

質問 4-7.データを数値データにアスキー変換する方法。

 回答 4-7.付属の FIS.EXE を使用することで、保存してある三次元データや、カーブデータ、断

面データをアスキー変換してエクセル等に読み込ませることができる。旧タイプの FISソフトは、データが横長に展開されるので、512 ポイント以上の配列の場合はエクセルの

読み込み制限のため、一部取り込まれない場合がある。エディタ等で折り返すか、縦長

に並びを変えることにより対応する。最新バージョン(Ver1.7)FIS.EXE では、縦長に

データを展開するのでエクセルの制限を受けないようになっている。

- 30 -

 5.その他 

質問 5-1.CCD の画像を画像ファイルとして保存する方法。

 回答 5-1.「V Magic」を使用すると、CCD 画像を JPEG 形式あるいはBMP 形式で保

できる。「V Magic」を起動して“on”をクリックすると CCD 画像が表

“save”をクリック し、取り込んだCCD像を画像ファイルとして保存する

質問 5-2.測定中にパソコンがハングアップした場合の対応方法。

 

回答 5-2.対処法を以下にまとめる。

① アプローチした状態でハングアップした場合、探針と試料をマニュアルで離す。この

と、再起動後そのまま同じ場所を測定できる。

・SPA400、SPA300の場合

マニュアルで、探針と試料を離す。(ユニットのスイッチを使用し、10秒程度離す)

・SPA300HVの場合

マニュアルで、探針と試料を離す。(ボックスのスイッチを使用し、10秒程度離す)

② 強制終了のメッセージが出た場合、メッセージに従い SPIWin のプログラムを終了し

起動する。SPIWin のプログラムでは、ソフトが正常終了をしなかった場合、取り扱

タはすべてバッファに一次保管される。一時保管されたデータは、次回ソフトを起動

再び取り扱うことができる。(ただしファイルネームがシリアルNo.に変わっている。)

   

③ フリーズした場合、OS を再起動する。強制終了時と同様に、SPIWin のプログラム

いたデータはすべてバッファに一次保管される。

その他 強制終了やフリーズの原因として、ハードディスクの C:ドライブの残り容

(200Mbyt 以下)場合がある。リソースが不足すると、動作が不安定になった

ップしたりすることがある。ウィンドウを数多く(20 以上)開いた状態や、複

ラムを立ち上げた状態の時に発生しやすい。

存することが

示される。

操作を行う

て、OS を再

っていたデー

したときに

で取り扱って

量が少ない

りハングア

数のプログ

- 31 -

 測定像に対する探針形状の影響 

はじめに

  探針の「先端角」と「太さ」は有限ため、その形が測定される形状に影響を及ぼすこ

  ここでは、探針形状のために起こる諸現象をまとめる。

  図①-1にカンチレバーの断面形状を示す。SN-AF01やSN-AF01A等のAFM用カン

縦方向も横方向も対称な断面をしている。一方、SI-DF20、SI-DF40等のDFM用カ

は、縦方向は対称であるが、横方向は非対称である。(ただし、DFM用カンチレバー

DF40Pは、横方向の断面も対称である。)よって、走査する方向によって、試料に対

触面の角度が異なることになる。

  図①-2にカンチレバーのホル

ダへの取り付け角度を示す。

探針の試料に対する接触面の

角度は、探針の先端角度と取

り付け角度によって表すこと

ができる。

  図①-3にDFMの探針で球状の

凸部を測定するときの模式図

を示す。球状の凸部を測定す

る場合、球の下半分の形は探

針が入り込めないため測定で

きない。よって、球は山状に

ユニット

300系

400

500θ゜

カンチレバー

プローブホルダ

拡大

図①-2:カンチレバー取り付け角

(17~20)゜

(17~20)゜

(25~35)゜ (

(B)DFM用カンチレバ (SI-DF20、SI-DF4*SI-DF40Pは横方向の断

(A)AFM用カンチレバーの形状(SN-AF01、SN-AF01A等)

(25~35)゜

(25~35)゜

(25~35)゜ (25~35)゜

図①-1:カンチレバーの断面形状

添付資料①

とがある。

チレバーは、

ンチレバー

の中でSI-して探針の接

取り付け角度

(θ)

13゜

13゜

11゜

度(θ)

10~20)゜

ーの形状

0等)面も対称。

- 32 -

観察される。ここでさらに、回転角度を 0゜で走査すると、先端角が非対称な面が接触 、

凸部の左右は非対称に観察される。一方、90゜で走査すると、対称な面が接触するた

左右は対称に観察される。(AFM用のカンチレバーの場合、( )内の値を図①-1(Aだし、SI-DF40P は 0゜で走査しても接触面の角度が対称になるように製造されている

図 3(B)のようになる。

  図①-4に側面の切り立った試料を測定する場合の例を示す。側面が切り立っている(

70゜以上)と、走査が不完全な部分ができるため、凸部の幅が実際よりも広く(凹部

観察される。ただし、ピッチの幅は変わらない。

凸部の幅  : W1(実際の幅)<W2(測定した幅)

ピッチの幅 : P1(実際の幅)=P2(測定した幅)

図①-3:走査方向と測定形状

θ゜

(10~20)゜-θ゜

(25~35)゜+θ゜

(17~20)゜

(A)回転角度 0゜で測定したときの測定形状 (B)回転角度 90゜(-90゜)で測定

カンチレバー

試料

走査方向

不完全走査部分

探 針

試料

P1

P2

W1W2

図①-4:側面の切り立った試料における、探針形状の影響

(A)走査模式図(断面) (B)測定形状模式図(上面

試料

測定データ

:測定形状

するため

め、凸部の

)参照。)た

ため、常に

傾斜角 60~は狭く)

(17~20)゜

したときの測定形状

:測定形状

- 33 -

 探針形状が変化したときの形状像に対する影響 

 

図②-1は、探針形状が付着物や摩耗等によって変化(太る、ダブルチップ等)して、測定

与えている(探針の形状が現れている)例である。

図②-2は、図②-1右下の部分拡大で、縦長(クロワッサン的な形状)の同一形状が多数観

る。探針形状が影響を与えている画像は、以下の2項目に示す傾向がある。

1.同一形状が画面上に多数現れる。(同じスタンプを多数押したような形状)

2.その形状が、全て同一方向を向いている。(一つでも向きが異なる形状がある場合は影

試料表面で同一形状の全てが同一方向に配列していることは希であり、このような場

の影響であることがほとんどである。

 図②-1:探針の形状が画面上に現れた例       図②-2:図1の右下の拡大

探針形状であることを確かめる簡単な方法を以下に示す。

1.試料台に対する試料の向きを回転させた後(スキャンローテーションは使用しない)再

  行い、同一形状の向きが変わらない。

2.違う探針を使用して、異なる画像が観察される。

 明確な同一形状が発生していなくとも、探針が太くなった場合は、測定される微細形状

傾向にある。探針形状が細い場合は、測定された微細形状の表情が個性的で、それそれが

傾向にある。探針形状の影響は測定する走査エリア(拡大率)にも依存しており、高分解

は十分に注意する必要がある。低分解能観察では、高分解能観察で多少の形状効果が出た

できる場合が多いので、目的に合わせて探針を選択することは重要である。

添付資料②

像に影響を

察されてい

響無し)

合は探針形状

測定を

が大きくなる

異なっている

能観察の場合

探針でも使用

- 34 -

  探針が太くなった場合の測定事例  

測定中、探針先端に試料が付着し太くなり、測定に影響を与える場合がある。

以下のような試料の場合は、発生しやすいので注意する必要がある。

・ 軟らかな試料

・ 吸着の強い試料

・ 紛体(特に帯電しやすかったり、飛び散りやすい粉)

探針が太くなると、以下のような現象が見られる。

・ 細かな形状が観察されずに、大きめの粒が観察されるようになる。

・ その粒は、同じような形状で、すべて同じ方向を向いている。

・ ドーム状の形状で、隙間が狭く(場合によってはV溝的に)観察される。

以下に、実際の画像事例とそれぞれの表面粗さ解析結果を示す。(同じ試料を同じ条件で観察した。)

測定モード:DFM、 カンチレバー:SI-DF40P、 試料:ポリイミド膜

走査エリア:500nm 走査速度:1.5Hz

新品の細い探針      少し太くなった探針    とても太くなった探針

 探針が太くなると、細かな凹凸をなぞることができないため、粗さの解析結果(Ra、Rms、P-V)

は、小さ目の値とり、表面積も少なめに出る傾向がある。厳密な粗さ測定を行う場合は、Tip の太さ

に十分注意し測定する必要がある。小さなエリア(1μm以下)での測定は、わずかなTipの太さ

の変化が、画像や粗さ解析に影響を与える。大きなエリア(数十μm 以上)での測定では、よほど

太くない限り、あまり影響を与えない場合が多い。

添付資料③

- 35 -

 傾斜補正法 

ここではSPA400と SPA300を使用した場合の、PZT スキャナの特性を利用した傾斜補正法を説明する。

スキャナは首振り運動によって走査しているため、カンチレバーとスキャナの位置関係が図④-1 の③

の関係であるとき、形状に図④-1の(C)に示すような、本来存在しない右上がり(図④-1の①のとき

は左上がり)の傾きが観察されることがある。

よって、カンチレバーとスキャナの位置関係を図④-1 の②になるように、走査方向のマイクロメータ

を回してカンチレバーを移動させると、傾斜を補正することができる。

また、このときの移動量の求め方を図④-2に示す。

なお、図④-1 の現象は、広いエリアを測定するとすり鉢状のゆがみがとして現れる。これは 3 次傾き

補正によって処理する。

スキャナの種類 n

20μm スキャナ 250

80μm スキャナ 140

150μm スキャナ 100

添付資料④

補正移動量X=X0/n[mm]

10μm

X0

プローブホルダ

マイクロメータ

①②

図④-1:スキャナの特性が及ぼす形状への影響

(A)①のときの断面形状 (B)②のときの断面形

(C)③のときの断面形状

スキャナ

図④-2:カンチレバーの補正移動量の求め方

- 36 -

3D描画タイプについて

SPIWinでは、次の8つの3D描画タイプを用意している。

添付資料⑤

通常は、コンバイン又は、平面像を使

用する。表面の細かな凹凸を際立たせ

たい場合は、陰影像又はコンバインを

使用し、影が長くなるようにライトア

ングルを小さ目する。

プリンターの関係で、ハーフトーンが

きれいに打ち出せない場合は、線画を

使用する。表示は、クリップボードへ

コピーできるので、他のソフト上に貼

り付けることができる。また、ビット

マップや TIFF 形式の画像ファイルと

して、記録できる。

平面像(Topview)表示の例 高低差を濃淡で示し、真上から見た 状態を、カラーバーと共に表示

XY 線画(Topview)表示の例 X 線画と Y 線画を重ね、任意の方向 から見た状態を、立体的に表示。

X 線画(Topview)表示の例 スキャン方向のラインで、任意の方向 から見た状態を、立体的に表示。

Y 線画(Topview)表示の例 スキャンと直行するラインで、任意の 方向から見た状態を、立体的に表示。

濃淡像(Solid Height)表示の例 高低差を濃淡で示し、任意の方向から 見た状態を、立体的に表示

陰影像(Solid Model)表示の例 凹凸を陰影で示し、任意の方向から 見た状態を、立体的に表示

Z 線画(Topview)表示の例 等高線状のラインで、任意の方向 から見た状態を、立体的に表示。

コンバイン(Combine)表示の例 濃淡と陰影で示し、任意の方向から 見た状態を、立体的に表示。

- 37 -

現象と対策一覧

-測定中に起こりやすい、問題とその対策法-

本一覧では、測定中に起こりやすい問題とその対策法をわかりやすく、簡単にまとめています。

より詳細な情報が必要な場合は、Q&A集の各項目、操作ガイド等を参照してください。

項 目 現 象 原 因 対 策

起 動 WINDOWS は立ち上がるが、SPI のソフトウェアが立ち上がらない。

CPU 内部スロットの接触不良である。

スロットの差し直しをする必要があります。下記エポリードサービス

へ問い合わせください。(連絡先 p.39)

       

光軸調整 検出器の位置が左右、上下に

大きくずれており、スポット

が検出器に当たっていない。

DIF、FFM つまみを回し、検出器を中央付近に移動させています。

(ディジタル表示部で値がプラスからマイナスに切り換わる位置を探

してください。)

SPA300 の場合、さらにミラーの角度も調整してください。(ミラーは少し回すと、ADDの値が大きく変わるので注意が必要です。)

CCD で見えるレーザースポットは、試料に当たって反射し

た光である。試料表面が傾斜

している等の理由で入射光と

反射光の光軸にずれがある

と、実際には入射光がカンチ

レバーに当たっていないこと

がある。

カンチレバーと試料の距離を(1mm 以内に)なるべく近づけます。(光軸のずれを少なくする)探針と、試料の距離の近づけ方は、クイ

ックガイドを参照してください。

レーザースポットはカンチレ

バーに当たっているが ADDが出ない。*詳細は Q&A集p.5を参照してください。

カンチレバーがホルダに正し

く取り付けられていない。(ex.カンチレバーがホルダの溝の

中にセットされず、台に乗り

上げてしまっている。)

カンチレバーの取り付け具合を確認し、付け直してください。

  ディテクタ(光検出器)の位

置が、DIF、FFM 調整後、移

動してしまう。(ドリフト)

ディテクタの調整つまみがゆるんでいたり、摩耗がかなり進んでいる

と思われます。下記エポリードサービスへ問い合わせください。(連絡

先 p.39)

カンチレバーにレーザーを照

射後、レーザーの位置が移動

してしまう。

レーザーの調整つまみがゆるんでいたり、摩耗がかなり進んでいると

思われます。下記エポリードサービスへ問い合わせ下さい。(連絡先

p.39)

使用しているカンチレバー

が、レーザー照射後、移動・

変形してしまう。

通常のカンチレバーでは(SN-AF01 の短いカンチレバー)発生しない現象です。カンチレバーホルダと、カンチレバーの隙間に、粘着的な

汚れや、細かなチリ、が存在しそれらの変形で、カンチレバーの角度

が変化する場合があります。綿棒に、エタノールを少量付け、カンチ

レバーをのせる部分を拭いてください。

光軸調整

光軸調整時に DIF の値がみるみるうちに変化する。

SPA300のユニットを使用中、カンチレバーホルダが移動し

てしまう。 

SPA300ユニットのカンチレバーホルダを挿入する部分を、エタノールを少量付けた綿棒で拭いてください。ホルダをセットする時、ゆるい

ようであれば、次の手順できつくなるように調整して下さい。カンチ

レバーホルダを押さえるバネ(向かって右)のネジをゆるめ、バネを

少々(1mm 程度)左へずらし、再度ネジで固定して下さい。ホルダの挿入がきつくなり、強く固定されます。

- 38 -

       

Qカーブ Q カーブの形状がおかしい。(非対象形状、ダブルピーク

等)*詳細は Q&A集 p.7を参照

カンチレバーホルダにゴミが

挟まっている。

ブロア、綿棒等でカンチレバーホルダのゴミを除去して下さい。

(SPA400 用のホルダの場合、カンチレバーの押さえを軽く押さえると、ゴミがつぶれて正常に戻ることもあります。)

  パラメータが正しく設定され

ていない。

パラメータを設定し直し、測定してください。Q カーブ測定後、"無効である"という エラーメッセージが出る。*詳細は Q&A 集p.7を参照してください。 カンチレバーホルダとカンチ

レバーが正しく取り付けられ

ていない。

カンチレバーホルダとカンチレバーの取り付け具合を確認し、取り付

け直してください。

  SI-DF20や SI-DF40を使用している場合、上記のような原

因が考えられる。

上記対策を行って下さい。Q カーブの Q 値が小さすぎる。

SI-DF3 を使用している場合、70~200 くらいであれば、一般的な値である。

問題ありません。

  SI-DF20や SI-DF40を使用している場合、300~700 くらいであれば、一般的な値であ

る。

問題ありません。Q カーブの Q 値が大きすぎる。

SI-DF3 を使用している場合、共振点ではない(50kHz 以上の)ピークを検出している可

能性がある。

測定周波数の上限と下限を設定し直し、測定してください。

       

アプローチ

(DFM)静電気の影響。 静電気の影響を・静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取

り除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

SI-DF20 や SI-DF40 でアプローチが上手くいかない、あ

るいはアプローチできない。

*詳細は Q&A集 p.8を参照してください。

試料表面のゴミの影響。 測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

  アプローチ後の振幅減衰率が

通常よりマイナスに大きく

(-0.6~-0.9 程度)なってしまう。

静電気の影響 静電気の影響を・静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取

り除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

  SI-DF20 では、動作点が低周波側の場合、-0.08~-0.30程度でアプローチするのが一

般的である。高周波側の場

合、-0.30~-0.50 程度でアプローチするのが一般的であ

る。

動作点が高周波側の場合問題ありません。低周波側の場合、やや静電

気の影響を受けている可能性があります。上記対策を行ってくださ

い。

アプローチ

(DFM)

振幅減衰率が、-0.3 程度でアプローチする。

SI-DF40 では、動作点が低周波側の場合、-0.05~-0.20程度でアプローチするのが一

般的である。高周波側の場

合、-0.20~-0.40 程度でアプローチするのが一般的であ

る。

動作点が高周波側の場合問題ありません。低周波側の場合、静電気の

影響の可能性があります。上記対策を行ってください。

  DFM でアプローチ後、Z電

圧が-200Vになってしまう。(-200V になる�スキャナが伸びきった状態。このとき探

針と試料は接触していませ

ん。)*詳細は Q&A 集 p.9を参照してください。

試料のドリフト等の影響。 試料の接着固定等による、ドリフトが安定するまでしばらく待ってか

ら再度アプローチしてください。

- 39 -

静電気力等の影響によって Qカーブ形状が変わった。

静電気の影響を静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取り

除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

その他、自動調整アプローチ後に振幅減衰率をあらかじめ-方向に大

きく設定する、例えば、アプローチ後-0.2 であれば-0.3 を入れて測定する方法もあります。また、Q カーブ測定時にプロパティの振幅を大きくする。例えば、現在 0.5あるいは 1.0Vで測定していれば 2V程度に変えて測定する方法もあります。

    試料表面に付着したゴミの影

響のため外れてしまう。

測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

  試料のドリフト等の影響。 試料の接着固定等による、ドリフトが安定するまでしばらく待ってか

ら再度アプローチしてください。

静電気力等の影響によって Qカーブ形状が変わった。

静電気の影響を静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取り

除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

その他、自動調整アプローチ後に振幅減衰率をあらかじめ-方向に大

きく設定する、例えば、アプローチ後-0.2 であれば-0.3 を入れて測定する方法もあります。また、Q カーブ測定時にプロパティの振幅を大きくする。例えば、現在 0.5あるいは 1.0Vで測定していれば 2V程度に変えて測定する方法もあります。

DFM でアプローチ後、Z電

圧が+200Vになってしまう。

(+200V になる�スキャナが縮みきった状態。)

試料表面に付着したゴミの影

響のため外れてしまう。

測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

アプローチ

(AFM)試料のドリフトの影響。 試料の接着固定等による、ドリフトが安定するまでしばらく待ってか

ら再度アプローチしてください。

静電気力等によって DIF の値が変化してプラス側に大きく

ずれている。

探針と試料間を少し離してから、DIFを再調整してください。

AFM でアプローチ後、Z電

圧が-200Vになってしまう。(-200V になる�スキャナが伸びきった状態。このとき探

針と試料は接触していませ

ん。)

試料表面のゴミ等の影響。 測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

  静電気力等によって DIF の値が変化してマイナス側に変わ

った。

探針と試料間を少し離してから、DIFを再調整してください。AFM でアプローチ後、Z電

圧が+200Vになってしまう。

(+200V になる�スキャナが縮みきった状態。)

試料表面のゴミ等の影響。 測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

       

イメージ

データ

イメージデータに 1~2�mピッチの縞模様のノイズが現れ

る。

レーザーの干渉縞。 レーザーをカンチレバーにしっかり当て、洩れ光を少なくする。カン

チレバーの先端から少し根元よりに当てると干渉が少なくなります。

  イメージデータに不規則にノ

イズがのる。*詳細は Q&A集 p.14 を参照してください。

フィードバックゲインが大き

いため、発振している。

フィードバックゲインを小さくする。

  イメージデータにスキャン方

向と平行に特徴的なノイズが

画面全体に入る。

除振台が正常に機能していな

い。

除振台が浮いた状態であるか確認してください。除振台に問題があっ

た場合、修理する必要があります。エポリードサービスへ問い合わせ

ください。(連絡先 p.39)

*詳細は Q&A 集 p.17 を参照してください。

試料がしっかり固定されてい

ない。

試料がしっかり固定されていることを確認してください。試料を固定

する場合、接着によるドリフトが安定するまで待ってから、測定して

ください。

- 40 -

    試料の裏面が汚れている。(平

坦でない。)

試料の裏面のゴミ(両面テープや接着剤の残り等)等の付着物を取り

除いてください。また、板状の試料で湾曲やバリなどがある場合、試

料を固定して測定してください。

    静電気等によるチャージアッ

プの影響。

静電気の影響を・静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取

り除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

    DFM の場合、より硬いカンチレバーに変えて測定してください。ある

いは、振幅を大きくして測定してください。

 

吸着が強く、探針が引きずら

れる。

AFM の場合、DFM で測定すると問題が解消する場合があります。

DFMでも同様の現象が起こった場合、上記対策を行ってください。

  電気的な影響。 防音カバーを閉めて測定してください。イメージデータに斜めに特徴

的なノイズが画面全体に入

る。*詳細は Q&A 集 p.15を参照してください。

静電気等によるチャージアッ

プの影響。

静電気の影響を静電ブロアや、ドータイトによるアースによって取り

除いてください。

Al コートされた、DI-DF20Al コートや SI-DF40Al コートを使用すると、静電気の影響を受けにくくなります。

  AFM 測定中に、探針が試料

表面を引っ掻いているような

波形がでる。

試料への探針の押しつけ力が

大きい。

たわみ量(フォースリファレンス)を+へ上げて測定してください。

たわみ量の設定方法の詳細はQ&A集 p.12を参照してください。

  試料表面が傾いている。 チルトやフラット処理によって、補正してください。*詳細は Q&A集p.22を参照してください。

スキャナ(圧電素子)のクリ

ープの影響。

チルトやフラット処理によって、補正してください。*詳細は Q&A集p.22を参照してください。

測定直後の形状像の上側(下

側)が高く、下側(上側)が

低く出る。

試料のドリフトの影響。 試料の接着固定等による、ドリフトが安定するまでしばらく待ってか

ら再度アプローチしてください。

  広いエリアを測定するとき

に、測定直後の形状像の四隅

が高く出る。

スキャナ(チューブ型スキャ

ナの首振り運動)の影響。(添付資料④参照)

チルトやフラット処理によって、補正してください。*詳細は Q&A集p.22を参照してください。

イメージ

データ 

広いエリアをスキャンする時

には問題ないが、狭いエリア

(500nm 角以下等)をスキ

ャンする時に、途中から一様

な色の像になってしまう。*

詳細は Q&A 集 p.17 を参照してください。

AGC 寄与率の値が大きすぎる。

測定条件パネル 2の AGC寄与率(AUTO GAIN RATIO)を 3%くらいまで小さくしてみて下さい。それでもダメな場合は 1%で試してみて下さい。

データの高い突起が全て白く

なる。

色のトーンを変えてみて、突

起のデータがライン毎につな

がっていれば形状データ。1

ラインだけであればゴミに引

っかかったノイズの可能性が

ある。

測定面を洗浄する、あるいはゴミのない場所を測定してください。

  データの高い突起が全て白く

なる。

スキャナの駆動範囲の限界を

超えているため、データを測

定できない部分が生じてい

る。(このとき Z 電圧は+200Vになる。)

高さ方向の駆動範囲の大きいスキャナに変更してください。また、試

料の傾きが大きいと、測定可能範囲が狭くなります。試料はなるべく

傾きがないように調整してください。

- 41 -

  画像の途中で突然ノイズ成分

が消えたり、像がボケたりす

る。

測定中に探針先端が欠けた

り、試料や試料表面の異物等

が付着して、振動振幅の条件

が変化し、画像が変わった。

測定パラメータを調整し、画像が途中で変化しない条件を見つけてく

ださい。それでも改善しない場合は、新しいカンチレバーに変えて測

定してください。

  測定直後のイメージデータで

途中から白くなる。

探針先端にゴミが付着したた

め。

測定パラメータを調整し、画像が途中で変化しない条件を見つけてく

ださい。

  測定直後のイメージデータで

途中から黒くなる。

探針先端が折れた、あるいは

付着していたゴミが取れたた

め。

測定パラメータを調整し、画像が途中で変化しない条件を見つけてく

ださい。

  何を測定しても同じ像や同じ

方向性を持った像になる。*

詳細はQ&A集 p.17「を参照してください。

探針の形状が出ている。(添付

資料②参照)

新しいカンチレバーに変えて測定してください。

      

原子像測定 除振台が正常に機能していな

い。

除振台が浮いた状態であるか確認してください。除振台に問題があっ

た場合、修理する必要があります。エポリードサービスへ問い合わせ

ください。(連絡先 p.39)

原子像を測定中横筋が多い。

探針の影響 探針を取り変えてください。

  原子像を測定中、画像が流れ

たり、原子が細長く観察され

る。

ドリフトの影響。 アプローチ後 5~30 分程度経過後(ドリフトがおさまるまで待って)測定してください。

  マイカの原子像を測定中横筋

が多い。

ゴミの影響。 マイカは吸着が多いので、長時間放置すると表面が変化(ゴミの付着

等)して測定に影響がでますので、必ず測定前にメンディングテープ

などで劈開してから観察してください。

原子像測定  電流を少なくすると、改善する場合があります。(I/Vアンプのゲイ

ンを 10 の 9 乗になるようにソフト上で設定し、0.1~0.03nA程度で測定して見て下さい。)アプローチの時は、Iゲインを 1~3 程度まで上げた状態で、アプローチして下さい。

探針の影響。

上記操作を行っても横筋がひどい場合は、探針を交換してください。

探針と試料間に、絶縁的な汚

れやゴミが介在している。

探針をエタノール等で超音波洗浄し、エタノールから引き上げた後、

すぐにエアーガンやブロアで先端のエタノールを吹き飛ばすようなク

リーニングをしてください。

STMでHOPGの原子像を測定中横筋が多い。

SPA300HV で加熱(冷却)試料台を使用している。

加熱・冷却測定を行っていない場合は、通常の試料台で測定してくだ

さい。

       

フォース

カーブ

フォースカーブがガタつく

(うねる)。

レーザーの干渉影響。但し、

SPA400では干渉の影響を低減するような改良がされている

が、300では少しでてしまう。

レーザーをカンチレバーにしっかり当て、洩れ光を少なくしてくださ

い。カンチレバーの先端から少し根元よりに当てると漏れ光が少なく

なり干渉が起こりにくくなります。

       

装置

トラブル

ステージが上がりきった状態

から、動かなくなってしまっ

た。

Z粗動系のモータが噛み込んでいる。

ムーブアウトの 1 ステップを数分間押し続け、その後ハイスピードにし、下がるかどうかを試して下さい。それでも下がらない場合は、ス

テージの噛み込んだ状態がひどいため、手動で動かす必要がありま

す。下記エポリードサービスへ問い合わせください。

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  ステージが下がりきった状態

から、動かなくなってしまっ

た。

Z粗動系のモータが噛み込んでいる。

ムーブインの 1 ステップを数分間押し続け、その後ハイスピードにし、上がるかどうかを試して下さい。それでも上がらない場合は、ス

テージの噛み込んだ状態がひどいため、手動で動かす必要がありま

す。下記エポリードサービスへ問い合わせください。

  SPA300HV のチャンバーの中にネジや試料を落とした。

  肉眼で確認できる場所に落ちている場合、長いピンセットなどで取り

出してください。見えないところへ落ちた試料を取り出す場合、チャ

ンバーを分解する必要があります。下記エポリードサービスへ問い合

わせください。また、ターボ分子ポンプ(TMP)の網目(約 0.6 ㎜×0.6 ㎜)より小さい部品(約 1 ㎜ � 以下)を落とした場合は、故障することがありますのでTMPを使用しないでください。

  SPA400 のスキャナの配線下の蓋が外れ、中へ落ちた。

  左右の 4 本のネジを外し、フロントのパネルをはずし、取り出して下さい。作業の詳細は、下記エポリードサービスへ問い合わせくださ

い。

お問い合わせ先:〒136-0071 東京都江東区亀戸 6-41-6株式会社エポリードサービス 担当:西畑

FAX:03-5606-3555

TEL:03-5609-3511

0120-51-3522(フリーダイヤル)