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■研究担当 : 清水 祐公子/大久保 章/稲場 肇 ■所 属 : 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ ■連 絡 先 : [email protected] 非接触・高速で気体の温度を計測する デュアルコムによる温度計測技術 の開発 ●光コム(超短光パルスレーザー)で、気体の温度を測定する新たな技術を開発 ●2台の光コムを用いて気体分子の吸収スペクトルを測定し、±1 ℃以内の測定 精度を実現 ●燃焼中のガスの分子種ごとの温度変化の観測など、既存技術では困難な温度計 測への応用に期待 研究のねらい 光周波数コム(光コム)を2台用いたデュアルコム分光装置を用い、気体分子の振動回転スペ クトル観測により温度計測を行う「回転温度計測法(Rotational energy Distribution Thermometry: RDT)」を提案し、研究を進めています。これは、気体分子の回転振動バンドの多数の吸収線の 強度分布が温度の関数となっていることを利用して温度を求める方法であり、広帯域で複数種 の分子の温度を同時に測定することができるため、エンジンなどの内燃機関内の温度や排気ガ スの温度をはじめとして環境計測などの様々な分野での温度計測を可能とする技術です。 Research Institute for Physical Measurement 物理計測標準研究部門 ②各スペクトル線の吸収強度を ガウス関数でフィッティング ③全吸収強度を回転量子数の関数として、吸収強度の モデル式でフィッティング α peak 回転量子数(便宜的にPブランチは負とした) 195.739 195.740 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 6500 6520 6540 6560 6580 6600 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Transmittance Frequency / THz (a) R-branch Transmittance Wavenumber / cm -1 25 24 22 23 20 21 19 17 15 5 3 1 2 4 6 8 10 12 14 16 18 7 9 11 13 J = 1 2 4 6 8 10 12 14 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 15 13 11 9 7 5 3 P-branch (b) 195.0 195.5 196.0 196.5 197.0 197.5 198.0 Frequency / THz 吸収強度 α peak -30 -20 -10 0 10 20 30 0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 even even odd odd R-branch P-branch 気体分子は、その種類に固有の周波数の光を 吸収し、その吸収量は温度と相関があることが 知られています。そのため、気体分子が吸収し た光の周波数や量を詳しく測定すれば、分子種 の特定や、温度測定が可能となります。デュア ルコム分光技術により、アセチレン分子の吸収 スペクトルを、波長1.5 μm付近で広帯域に高速 測定し(図a)、測定した各吸収スペクトルの吸 収強度をガウス関数でフィッティングし(図b)、 その全吸収強度を、量子力学に基づいた理論式 を用いて一括解析するという、新たに考案した 解析手法を用いて温度を算出しました(図c)。 この解析により、今回の対象ガスであるアセチ レン分子の温度は23 ℃と決定でき、不確かさ 1 ℃以下の良好な測定結果が得られています。 連携可能な技術・知財 ・気体・液体温度測定に関わる技術コンサルティング ・本研究の一部は、独立行政法人 日本学術振興会の科 学研究費助成事業 基盤研究(C)「デュアルコム分 光による非平衡混合気体の温度測定技術の開発」 (平成28~30年度)により行われたものです。 研究内容 デュアルコム分光により得られた分子 の吸収スペクトルと解析手順の概要 (c) (b) (a)

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Page 1: PowerPoint プレゼンテーション195.0 195.5 196.0 196.5 197.0 197.5 198.0 Frequency / THz w +© U. peak-30 -20 -10 0 10 20 30 0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 even even odd odd R-branch

■研究担当 : 清水 祐公子/大久保 章/稲場肇

■所 属 : 物理計測標準研究部門 周波数計測研究グループ

■連 絡 先 : [email protected]

非接触・高速で気体の温度を計測する

デュアルコムによる温度計測技術の開発

●光コム(超短光パルスレーザー)で、気体の温度を測定する新たな技術を開発●2台の光コムを用いて気体分子の吸収スペクトルを測定し、±1 ℃以内の測定

精度を実現●燃焼中のガスの分子種ごとの温度変化の観測など、既存技術では困難な温度計

測への応用に期待

研究のねらい

光周波数コム(光コム)を2台用いたデュアルコム分光装置を用い、気体分子の振動回転スペクトル観測により温度計測を行う「回転温度計測法(Rotational energy Distribution Thermometry: RDT)」を提案し、研究を進めています。これは、気体分子の回転振動バンドの多数の吸収線の強度分布が温度の関数となっていることを利用して温度を求める方法であり、広帯域で複数種の分子の温度を同時に測定することができるため、エンジンなどの内燃機関内の温度や排気ガスの温度をはじめとして環境計測などの様々な分野での温度計測を可能とする技術です。

Research Institute forPhysical Measurement

物理計測標準研究部門

①デュアルコム分光で分子の吸収バンドを取得

P(11)

②各スペクトル線の吸収強度をガウス関数でフィッティング

peak

1( ) exp

BhJ JJ J

kT

③全吸収強度を回転量子数Jの関数として、吸収強度のモデル式でフィッティング

αpeak

回転量子数(便宜的にPブランチは負とした)

195.739 195.7400.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

6500 6520 6540 6560 6580 66000.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

Tra

nsm

itta

nce

Frequency / THz

(a)R-branch

Tra

nsm

itta

nce

Wavenumber / cm-1

25

2422

23

20

21

19

17

155

3

12

4

6810

1214

1618

791113

J = 1

2

46 8 10

1214

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

15

131197

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3P-branch

(b)

195.0 195.5 196.0 196.5 197.0 197.5 198.0Frequency / THz

吸収強度αpeak

-30 -20 -10 0 10 20 300.0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.0

eveneven

oddodd

R-branch

P-branch

気体分子は、その種類に固有の周波数の光を吸収し、その吸収量は温度と相関があることが知られています。そのため、気体分子が吸収した光の周波数や量を詳しく測定すれば、分子種の特定や、温度測定が可能となります。デュアルコム分光技術により、アセチレン分子の吸収スペクトルを、波長1.5 µm付近で広帯域に高速

測定し(図a)、測定した各吸収スペクトルの吸収強度をガウス関数でフィッティングし(図b)、その全吸収強度を、量子力学に基づいた理論式を用いて一括解析するという、新たに考案した解析手法を用いて温度を算出しました(図c)。この解析により、今回の対象ガスであるアセチレン分子の温度は23 ℃と決定でき、不確かさ1 ℃以下の良好な測定結果が得られています。

連携可能な技術・知財

・気体・液体温度測定に関わる技術コンサルティング・本研究の一部は、独立行政法人 日本学術振興会の科

学研究費助成事業 基盤研究(C)「デュアルコム分光による非平衡混合気体の温度測定技術の開発」(平成28~30年度)により行われたものです。

研究内容

デュアルコム分光により得られた分子の吸収スペクトルと解析手順の概要

(c)

(b)

(a)