「モンゴル襲来」の授業開発 - hiroshima...
TRANSCRIPT
-
「モンゴル襲来」の授業開発
-「国内外の危機」を視点として-
D145967 大坂 遊D135056 渡邉 巧
12014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉
-
はじめに:各プランの良さ(特質)と発展可能性①
タイプⅠ 取り扱う事象の通史的位置づけに注目した授業プラン
◎岩永プラン : 一つの事件にスポットを当てた因果関係の追求
モンゴル襲来「そのもの」が授業の中心
事件の原因・結果を説明できる
But... 事象についての深い理解はできても,時代の構造や要因を
説明することは難しい
他の時代や出来事 の応用が可能な枠組みの設定を→他の時代や出来事への応用が可能な枠組みの設定を
◎棚橋プラン : 時代の転換に注目した時代構造の追求時代の構造・転換を説明できる◎棚橋プラン : 時代の転換に注目した時代構造の追求
モンゴル襲来は時代構造をとらえるための「事例」にすぎない
But... 用意された資料の分析・解釈からは答えにたどり着けない
を説明できる
→事実に基づく探求を通して,子ども自身が時代構造を説明できる
支援をする教材と学習課題の設定を
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 2
-
はじめに:各プランの良さ(特質)と発展可能性②
タイプⅡ 取り扱う事象のとらえ直しに注目した授業プラン事象の背景をより
◎稲垣プラン : 世界史的視点からの事象の分析
モンゴル帝国側の視点からとらえ直したモンゴル襲来
事象の背景をより多面的世界史的に説明できる
But... 世界史的内容をカリキュラム上の流れに位置づけるのが難しい
→通史カリキュラムや年間指導計画の位置づけを意識した
教育内容の設定を教育内容の設定を
◎小林プラン : 事象の後世での解釈のされ方の分析
事象の影響をよりメタ的に説明できる
◎小林プラン : 事象の後世での解釈のされ方の分析
近代や現代の人々の視点からとらえ直したモンゴル襲来
But... 既有知が少なく,「時代像」を形成していない中学1年生の
子どもにとっては,「歴史像」のメタ的なとらえ直しは困難
(2時間構成にすれば可能)
子どもの既有知と発達段階を考慮した目標 方法の設定を→子どもの既有知と発達段階を考慮した目標・方法の設定を
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 3
-
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
本時の目標
鎌倉幕府滅亡を,国内外の危機という視点からみることで,
「御恩と奉公」体制の崩壊として説明できる。
獲得させたい歴史認識獲得させたい歴史認識
子どもたちは,モンゴル襲来を単なる「試練」や鎌倉武士(竹崎季子どもたちは, 襲来を単なる 試練」や鎌倉武 (竹崎季
長,北条時宗)の「頑張り」という一過性の出来事としてしか捉えて
いない。モンゴル襲来を含めた国内外の混乱が,鎌倉幕府を支
えていた「御恩と奉公」を崩壊させる一因となり,室町(南北朝)
時代へ移行していったという時代転換のプロセスをつかませたい。
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 4
-
2節 東アジア世界との関わり社会の変動 今日の課題
授業の全体像 : 板書計画から
鎌倉幕府が滅んだ原因を2つの「危機」から考えよう2節 東アジア世界との関わり社会の変動1.モンゴルの襲来と日本
今日の課題
1185年 鎌倉幕府成立
「御恩と奉公 による
1333年 鎌倉幕府滅亡
朝廷や御家人の不満が南北朝の動乱~
肥①外からの危機…モンゴルの襲来○モンゴル帝国の拡大
「御恩と奉公」による武士の政権が誕生する
朝廷や御家人の不満が爆発し,反乱が起きる
南北朝の動乱室町幕府の成立へ
将 軍
間接的に全国を支配
封肥後国(熊本)
○モンゴル帝国の拡大中国全土を支配し,元を建国南宋を攻めるため,日本に服属をせまる→執権の北条時宗は拒否
○二度の襲来(元寇) 三度目の襲来に
奉公
・京都,鎌倉の警備
・合戦への参加
御恩・土地の支配を保証
・新たな土地を与える
負担増
封建体制
博多に出向いてモンゴル軍と戦った
の御家人
竹②内からの危機…恩賞による借金
度 襲来( 寇)1274年:文永の役1281年:弘安の役
三度目の襲来に備え,常に防衛を強化する必要
支配 年貢
御家人 増加
竹崎季長のは
②内からの危機 恩賞による借金
○恩賞による重い負債要因① 土地が増えない
新しい領地を得られないため,土地を分け与えられない
※相続制度の破たん分割相続制度により,一人あたりの土地が減り,御家人の生活
農 民
支配 年貢
御家人が支配を任された土地
鎌倉に出向いて自身の活やくを訴えた
はたらき
要因② 受け取り人の増加御家人以外も戦いに参加し,恩賞を要求した
が苦しくなる 御家人が支配を任された土地
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉5
-
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
導入(モンゴル襲来前後の出来事を確認)
◎学習活動:教科書や資料集などをもとに,モンゴル襲来の前後の時代の変化を,竹崎季長という人物に焦点をあてて確認する。
・小学校の復習もかねて…「モンゴルの襲来と竹崎季長の“がんばり”を,絵画と年表で確認してみよう!」
→モンゴル軍との戦闘,恩賞をめぐる鎌倉での交渉※戦闘の様子や勝敗などはWSなどを使って整理してしまう
・年表で,鎌倉幕府が「朝廷・御家人の不満の爆発」によって滅んだことを確認する。
・前時までに作成した「御恩と奉公」の関係図を再度提示する。
MQ「モンゴル軍の攻撃を退けたにも関わらず,なぜ鎌倉幕府は滅亡へ向かったのだろうか?」
6
なぜ鎌倉幕府は滅亡へ向かったのだろうか?」2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉
-
展開1(外 ら 危機 ゴ 襲来 軍事的緊張)
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
展開1(外からの危機:モンゴル襲来の軍事的緊張)
SQ1「モンゴルの襲来自体は,当時の幕府の政策にどのような影響を与えただろうか?」政策 響
◎学習活動:教科書記述や絵画資料をもとに,モンゴル帝国の世界戦略と,モンゴル襲来が「御恩と奉公」体制に与えた影響を探求させる。
・教科書記述とコラム,年表を使って,モンゴル帝国と日本の政治交渉の過程を整理させる。
SA1「二度のモンゴルの攻撃自体は退けられたが,三度目の攻撃に備え 九州の御家人に大きな軍事的負担をかけ続けた
・資料集などの記述をもとに、当時の鎌倉幕府の国防政策を予測させる。
に備え,九州の御家人に大きな軍事的負担をかけ続けたため,御家人の不満がたまっていった」
BUT鎌倉幕府自体はモンゴル襲来から約半世紀も存続しているので,襲来自体が
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 7
BUT 滅亡の直接の原因ではないのでは…?
-
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
展開2(内からの危機:恩賞という負債)
SQ2「モンゴルの襲来は,その後の幕府と御家人の関係にどのような影響を与えただろうか?」関係 ような影響を与え ろう ?」
◎学習活動:教科書記述や絵画資料をもとに,モンゴル襲来がそれ以後の「御恩と奉公」体制に与えた影響を探求させる。御恩と奉公」体制に与えた影響を探求させる。
・教科書記述と資料集,『蒙古襲来絵詞』から,恩賞(御恩)の仕組みを確認させる。
・教科書記述と資料集のコラムから,モンゴル襲来で動員された人々の数や
SA2「御恩と奉公は,いくさで手に入れた新たな土地を,御家人に
教科書記述と資料集の ラムから,モン ル襲来で動員された人々の数や恩賞の配分のされ方を確認する。
御 奉 , 新 ,御家分け与えることで成り立っていたが,モンゴルの襲来では新たな土地が手に入らず,恩賞を請求する相手も増えすぎたため,いくさで活躍した御家人たちの不満がたまっていった」
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 8
いくさで活躍した御家人たちの不満がたまっていった」
-
終結
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
まとめ:モンゴル襲来後の半世紀で 幕府と御家人の関係はどのよう
終結 ヤマ場
まとめ:モンゴル襲来後の半世紀で,幕府と御家人の関係はどのよう
に変わったのだろうか。「御恩と奉公」の図を書きかえて,鎌倉
幕府が崩壊した理由を説明してみよう幕府が崩壊した理由を説明してみよう。
◎学習活動:数分程度時間を確保し,生徒自身の仮説(MA)をノートに書かせる。
MA(解答例)
学習活動 数分程度時間 確保 , 徒自身 仮説( ) 書 。→机間指導し,余裕があれば模範解答例を取り上げて発表してもらう。
MA(解答例)「御恩と奉公は,いくさで手に入れた新たな土地を,いくさで頑張った御家人に分け与えることで成り立っていた。モンゴルの襲来によって,勝っても新たな土地が手に入らず,襲来に備えた負担ばかりが増えた。これが御家人の不満につながり,幕府への反乱につなが たのではないか 」反乱につながったのではないか。」
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 9
-
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
探求に使用するおもな資料
▼全体を通して使用
←展開1で使用
▼全体を通して使用
↓↓
展開22で使用
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 10
用
-
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
2節 東アジア世界との関わり社会の変動 今日の課題
鎌倉幕府が滅んだ原因を2つの「危機」から考えよう2節 東アジア世界との関わり社会の変動1.モンゴルの襲来と日本
今日の課題
1185年 鎌倉幕府成立
「御恩と奉公 による
1333年 鎌倉幕府滅亡
朝廷や御家人の不満が南北朝の動乱~
将 軍
間接的に全国を支配
封肥①外からの危機…モンゴルの襲来○モンゴル帝国の拡大
「御恩と奉公」による武士の政権が誕生する
朝廷や御家人の不満が爆発し,反乱が起きる
南北朝の動乱室町幕府の成立へ
奉公
・京都,鎌倉の警備
・合戦への参加
御恩・土地の支配を保証
・新たな土地を与える
封建体制
肥後国(熊本)
○モンゴル帝国の拡大中国全土を支配し,元を建国南宋を攻めるため,日本に服属をせまる→執権の北条時宗は拒否
○二度の襲来(元寇) 三度目の襲来に 負担増
支配 年貢
御家人博多に出向いてモンゴル軍と戦った
の御家人
竹②内からの危機…恩賞による借金
度 襲来( 寇)1274年:文永の役1281年:弘安の役
三度目の襲来に備え,常に防衛を強化する必要 増加
農 民
支配 年貢
御家人が支配を任された土地
竹崎季長のは
②内からの危機 恩賞による借金
○恩賞による重い負債要因① 土地が増えない
新しい領地を得られないため,土地を分け与えられない
※相続制度の破たん分割相続制度により,一人あたりの土地が減り,御家人の生活
御家人が支配を任された土地
鎌倉に出向いて自身の活やくを訴えた
はたらき
要因② 受け取り人の増加御家人以外も戦いに参加し,恩賞を要求した
が苦しくなる
2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 11
-
主な参考文献
目標 導入 展開Ⅰ 展開Ⅱ 展開Ⅲ 終結資料
板書参考文献
主な参考文献
・近藤成一編『モンゴルの襲来』吉川弘文館,2003年。
・近藤成一「鎌倉幕府と公家政権」『国家史』山川出版社,2006年。
・高橋典幸編『日本の歴史 鎌倉時代3』朝日新聞出版社,2013年。
その他
杉和彦「中世社会 成立 『概論 本 史』吉 弘文館 2 年・上杉和彦「中世社会の成立と展開」『概論 日本歴史』吉川弘文館,2000年。
・老川慶喜他『詳説日本史B』山川出版,2013年。
・清水毅四郎他『小学社会 6年上』日本文教出版 2011年清水毅四郎他『小学社会 6年上』日本文教出版,2011年。
・松本彩「蒙古襲来絵詞解説」『旧御物本 蒙古襲来絵詞』貴重本刊行会,1996年。
教科書,資料集
・五味文彦他『新しい社会 歴史』東京書籍,2011年。
・『ビジュアル歴史』東京法令,2010年。2014/06/18 社会科教育論 第9講 発表用スライド 大坂・渡邉 12