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1 乳幼児期の教育・保育制度のあり方 ~諸外国の政策動向をふまえて~ 2008611RIETI BBLセミナー ㈱日本総合研究所 調査部 主任研究員 池本美香 E-mail:ikemoto.mika@jri.co.jp 「乳幼児期の子どもにかかわる制度を再構築する」日本総研 Business & Economic Review 200712月より

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乳幼児期の教育・保育制度のあり方~諸外国の政策動向をふまえて~

2008年6月11日 RIETI BBLセミナー

㈱日本総合研究所 調査部 主任研究員 池本美香

E-mail:ikemoto.mika@jri.co.jp

「乳幼児期の子どもにかかわる制度を再構築する」日本総研Business & Economic Review 2007年12月より

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日本で乳幼児期の教育・保育制度が注目される背景

少子化対策からの関心

労働力人口の減少に伴う女性労働力への期待

日本の合計特殊出生率 1.34(2007年)

(1994年緊急保育対策、2001年保育所の待機児童ゼロ作戦、2008年新待機児童ゼロ作戦など)

教育政策からの関心

児童虐待、小1プロブレム、学力低下などから、幼児教育や家庭教育のあり方についての議論

中央教育審議会に初の幼児教育部会(2003年)

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3

日本の労働力人口の将来推計

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

1980 1990 2000 2004 2010 2020 2030 2040 2050 (年)

(万人)

労働力人口

労働市場への参加が進むケース

(注)労働市場への参加が進むケースは、2005年から2030年に、30~34歳女性が62.2→80.4%、60~64歳男性が70.5→89.4%に労働力率が上昇した場合。労働力人口は職業安定局2005年7月推計。2030年以降は2030年の年齢階級別労働力率が変わらないと仮定し、2002年将来推計人口(中位推計)に基づき、社会保障参事官室において推計。(資料)厚生労働省

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児童相談所における児童虐待相談対応件数の推移

1,101 1,171 1,372 1,611 1,9612,722

4,1025,352

6,932

11,631

17,725

23,274 23,738

26,569

33,40834,472

37,343

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

(年)

(件)

(資料)厚生労働省

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乳幼児期の教育・保育制度改革の動向

保育所の民営化(2003年3月認可保育所の設置主体制限の撤廃、認可外保育施設の増加)保育料の負担軽減(幼稚園就園奨励事業、私学助成、自治体独自の保育料補助、幼児教育無償化の議論)保育所(厚生労働省)と幼稚園(文部科学省)の連携(2006年10月~認定こども園制度、保育所保育指針に教育機能明記、幼保免許併有の促進)小学校教育との接続(幼小接続の取り組み、就学年齢の議論)

育児休業制度(1歳6ヶ月まで、収入の50%の給付)企業による従業員の子育て支援( 次世代育成支援対策推進法による企業認定、2008年3月末428社)在宅育児家庭に対する支援(児童手当の充実、杉並子育て応援券など自治体による補助)

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6

認可保育所の運営主体の変化

109

92

46

43

15

14

8

0 20 40 60 80 100 120

学校法人

有限・株式会社

NPO

個人

社団・財団

宗教法人

その他

(園)

(注)2006年4月現在(資料)厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課調べ

設置主体制限撤廃後に新設された認可保育所の経営主体(社会福祉法人を除く)

2000年 2005年 増加数 増加率12,707 11,752 -955 -7.59,492 10,872 1380 14.5

社会福祉法人 8,562 9,833 1271 14.8社団・財団・日赤・医療法人 274 270 -4 -1.5その他法人 317 533 216 68.1その他 339 236 -103 -30.4

(注)10月1日現在(資料)厚生労働省「社会福祉施設等調査」

公  営私  営

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認可外保育施設の増加

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年)

(施設)

事業所内保育施設 ベビーホテル

その他認可外保育施設 公立認可保育所

私立認可保育所 認可外保育施設合計

(資料)厚生労働省「社会福祉施設等調査報告」、厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課

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設置運営主体別にみた認定こども園数

25

80

49

37

13

6

55

174

104

76

35

14

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

公立

私立

幼・保連携型

幼稚園型

保育所型

地方裁量型

(施設)

2007年8月1日現在認定件数

2008年4月1日現在認定件数

(資料)文部科学省・厚生労働省幼保連携推進室調べ

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児童手当の財源の推移

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

1971 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99

2001

2003

2005

2007

(年)

(億

円)

地方

事業主

(資料)厚生労働省

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諸外国において乳幼児期の制度改革が活発化している背景

OECDによるECEC(=Early Childhood Education and Care)に関する共同研究(1998~2004年に20カ国が参加)の背景

少子化と女性労働力への期待子どもの貧困問題、格差拡大への対応(1990年代にOECD24か国中17か国で子どもの貧困率が上昇)乳幼児期教育・保育の社会的効果に関する研究成果

経済への影響(女性労働力率、高齢期の自立・子どもの貧困予防など社会保障負担軽減、保育産業による雇用創出、労働生産性の向上、税収増、犯罪率の低下など)

教育への影響(保育年数・親支援と成績、格差の縮小)1989年国連「児童の権利条約」の影響(子どもの権利擁護機関の設置、乳幼児期の子どもの権利に関する議論)

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諸外国における就学前教育・保育制度改革の動向

教育担当官庁で就学前施設も所管する動き(ニュージーランド、スウェーデン、イギリス、ノルウェー)保育の権利の拡大(育児休業・失業中の権利、就学年齢の引き下げ、保育所整備を自治体に義務付け)幼小接続の取り組み(カリキュラムの見直し、養成制度の統合、就学準備クラスの設置)保育の民営化(補助の公平性、親が運営する方式)保育料負担の軽減(幼児教育の無償化、保育料の上限設定)親支援機能の充実(家庭教育・地域社会の底上げ)

出産・育児休業制度の充実(労働時間短縮、父親休暇、看護休暇)在宅育児への経済的支援(児童手当、在宅育児手当、育児休業給付の対象拡大)

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諸外国における就学前教育・保育の所管官庁

0 1 3 4 5 6 7(歳)イギリスニュージーランドノルウェースウェーデンフランスベルギーアイルランドハンガリーイタリアチェコポルトガルオランダカナダオーストラリアデンマークフィンランドオーストリアドイツアメリカ韓国日本(注)

教育所管の幼稚園等のサービス社会福祉、健康、家族サービスとしての保育所、家庭保育等のサービス福祉と教育のサービスが混在義務教育

(資料)OECD, Strating Strong Ⅱ p.76 をもとに日本総研作成

2

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年齢別にみた就学前教育・保育の権利と保育料負担

0 1 2 3 4 5 6 7(歳)イギリスアイルランドハンガリー (注1)実質的には3歳以上オランダ (注2)4歳から学校ノルウェー (注3)法的権利付与予定ニュージーランド (注4)5歳から学校フランスベルギーイタリアチェコポルトガルカナダ(ケベック)オーストラリアオーストリアドイツアメリカ日本韓国 (注5)実質的には30%程度スウェーデンデンマークフィンランド

法的権利あり・サービス無料 法的権利なし・サービス無料法的権利あり・サービス有料 法的権利なし・サービス有料

義務教育(無料)(資料)OECD, Strating Strong Ⅱp.80,81をもとに日本総研作成

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就学前教育・保育への公的投資の対GDP比

2.0

1.7

1.3

1.0

0.80

0.55

0.50

0.48

0.45

0.45

0.43

0.40

0.25

1.7

0.26

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

デンマーク

ノルウェー

スウェーデン

フィンランド

フランス

ハンガリー

オーストリア

イギリス

アメリカ

ドイツ

オランダ

イタリア

オーストラリア

カナダ

日本

(%)

(注)OECD, Starting Strong Ⅱ(2006) p.105 0~6歳の2004年の数値。   日本の数値は、認可保育所および幼稚園への公的補助(保育所の地方追加額は含まない)をもとに計算。

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親に着目した就学前教育・保育施設の事例

フランス:親保育園(親も当番として保育に参加)

スウェーデン:親協同組合保育所(親が保育士を雇って運営)

ニュージーランド:プレイセンター(親の協働による幼児教育活動。親対象の学習コース設置。)

イギリス:子どもセンター(医療・保健サービス、就労支援、レクリエーション、講座など親・地域住民へのサービスを提供)

親のニーズを反映した保育内容

親同士のつながり(ソーシャル・キャピタルの蓄積)

成人教育の促進(家庭教育の底上げ、就労促進)

親・地域住民の生活のレベルアップ(地域の充実)

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諸外国の育児に関する休業制度

産休を含めた産後の休業期間(月)

うち給付のある期間(月)

育児休業給付の水準(注1)

育児休業の権利

父親休暇(注2)

看護休暇(注2)

日本 12 12 ● 個人 × △アメリカ なし なし なし なし × ×イギリス 18 6 なし 個人 ◎2週間 △フランス 36 36(注3) ○ 家族 ◎2週間 △ドイツ 36 14 ● 家族 × ◎イタリア 13.5 13.5 ○ 個人 × △オランダ 8.5 2.5 なし 個人 ◎2日間 ◎スウェーデン 16 16 ● 家族・個人 ◎10日 ◎ノルウェー 36 12 ● 家族・個人 △2週間 ◎デンマーク 10.5 10.5 ● 家族 ◎2週間 ◎フィンランド 36 36 ● 家族 ◎18日 △オーストリア 24 24 ○ 家族 × ◎(注1)○は休業前賃金の50%未満の給付もしくは対象者・対象期間が限定的。    ●は休業者全員に50%以上の給付(ただし全期間とは限らない)。(注2)×は休暇なし、△は休暇あり・給付なし、◎は休暇あり・給付あり。(注3)第一子については6カ月。(資料)各種資料をもとに日本総研作成。

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諸外国の家族関係社会支出の対GDP比(2003年)

0.21

0.39

0.17

0.38

0.29

1.74

1.19

0.58

0.4

0.58

0.32

0.33

1.24

0.66

0.34

0.26

0.18

0.85

1.11

0.84

0.83

0.44

0.08

0.11

0.03

0.15

0.09

0.12

0.1

0.09

0.19

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

スウェーデン

フランス

イギリス

ドイツ

イタリア

アメリカ

日本

(%)

その他の現物給付

保育・就学前教育

その他の現金給付

出産・育児休業給付

家族手当

(資料)OECD Social Expenditure Database 2007(日本のGDPについては内閣府経済社会総合研究所「国民経済計算(長期時系

列)」による。)

(出所)「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議基本戦略分科会2007年4月11日資料

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諸外国における就学前教育・保育制度改革の効果

女性就業率の上昇(労働力確保)

子どもの教育環境の改善(労働力の質の向上)

企業の生産性の向上

出生率の回復

行政事務の合理化による経費削減

女性の地位向上

高等教育より就学前教育に投資する方が効果が高いという議論

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6歳未満の子を持つ母親の就業率

77.5

64.759.5 59.2 57.1 57.0

53.049.2

35.2

85.0

61.3

54.048.5

41.4 42.545.3

37.2

71.2

36.037.0

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

スウ

ェー

デン

オラ

ンダ

フラ

ンス

アメリ

OECD平

ドイツ

イギ

リス

イタ

リア

ニュ

ージ

ーラ

ンド

日本

2002年

1990年

(%)

(資料)OECD, Society at a Glance 2005

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日本・フランス・スウェーデンの合計特殊出生率の推移

1.32

2.01

1.77

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

2.00

2.20

1985 1990 1995 2000 2005

(年)

日本

フランス

スウェーデン

(資料)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」

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男女賃金格差の状況

43

23

27

2325

23

19

10

15

39

2421 20 19 19

15

119

37

31

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

韓国

日本

ドイツ

イギ

リス

オラ

ンダ

アメリ

OECD平

スウ

ェー

デン

フラ

ンス

ニュ

ージ

ーラ

ンド

1995年

2005年

(%)

(注)女性の賃金が男性の賃金を何パーセント下回るかで表示。賃金は正規雇用者。(資料)OECD, Employment Outlook 2007 P.268

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22

年齢別にみた人的資本投資の収益率

0

1

(資料)OECD, Starting Strong Ⅱ p.38

就学前教育      学校           学校後教育

年齢

人的資本

投資の

収益率

r

機会費用

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就学前教育・保育制度改革への期待

女性の就労支援+格差是正・貧困予防・子どもの権利擁護・教育などの多様な効果を意識するべき

教育担当官庁での幼保一元化

保育の権利の拡大(「保育に欠ける」→教育機会)

保育の質の保障・向上(最低基準の引き上げ、職員の養成・研修・処遇のあり方、評価と情報公開)

公的投資の増額(保育料の負担軽減、幼児教育無償化、民営保育施設への補助等)

就学前教育・保育施設における親に対する支援の充実(相談、学習、就労支援、仲間作り)

就学前教育・保育を支えるワーク・ライフ・バランス(育児休業制度の見直し、企業のあり方)

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24

認可保育所・幼稚園の費用負担の状況(子ども一人当たり)

18.943.8

18.9

53.8

15.3 13.1 27.2

62.4

16.2

25.2

71.7

42.4

20.4 17.4 24.729.0

1.0 0.90.613.115.331.853.8

031.8

7.49.0

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

認可保育所 乳幼児 1・2歳児 3歳児 4歳以上児 幼稚園 国立幼稚園 公立幼稚園 私立幼稚園

(万

円)

保護者

地方

(注1)認可保育所の地方・保護者負担額については、国の保育単価平均(2007年度当初予算)および2005年の園児数をもとに、国3割、地方3割、保

護者4割の負担割合として計算した額で、実際の金額とは異なる。

(注2)幼稚園は2004年度の実績。

(注3)括弧内の数字は園児数(単位:万人)。

(資料)文部科学省「文部科学統計要覧」「学校経費調査」「地方教育費調査」等をもとに日本総研作成

(212)       (5)       (51)       (41)      (115)      (175)       (0.7)      (36)     (139)

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25

就学前教育・保育制度改革の方向と必要な費用

0歳児:育児休業給付平均額75.6万円を全員に支給(保育料への公的補助を廃止)

1,2歳児:認可外保育施設利用者に認可保育所への補助額64万円を支給

3歳以上:私立幼稚園経費46.2万円を基準に幼児教育無償化

(単位:億円)①私立幼稚園経費の基準で幼児教育無償化(3歳以上) 7,505②認可保育所公費補助を認可外保育施設利用者(1,2歳)に支給 551③0歳児家庭に手当(育児休業給付平均額)を支給 6,627①+②+③ 14,683日本の家族関係社会支出(2003年) 36,849フランス並みの給付を行った場合の家族関係社会支出(注) 106,000①②③の改革を行った場合の家族関係社会支出 51,532(注)政府の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議基本戦略分科会試算。(資料)各種データをもとに日本総研試算

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制度改革の費用負担の方法

国や自治体の負担感が強く、目下改革が停滞気味。

「子育て基金」というかたちで、税、事業主負担、個人負担をトータルに考えた一つの総合的な財源確保を検討すべき」という意見。(「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議基本戦略分科会)

企業の拠出が前提の国もある。(フランス、オーストリアの家族手当、オランダ、韓国の保育料負担)

企業の拠出を増やし、児童手当をベースに、保育に関する補助金、幼児教育に関する補助金、育児休業に関する給付などを統合して「子ども基金(仮称)」とする。(普遍的に底上げするという児童手当の理念で、就学前教育・保育制度への補助を見直す。)

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女性が職業を持つことについての考え(男女計)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

1992 1995 2000 2002 2006

(調査年)

(%

女性は職業をもたない方がよい

結婚するまでは職業をもつ方がよい

子どもができるまでは、職業をもつ方がよい

子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい

子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい

その他

わからない

(資料)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」

Page 28: 乳幼児期の教育・保育制度のあり方 - RIETI · 乳幼児期の教育・保育制度のあり方 ~諸外国の政策動向をふまえて~ 2008年6月11日RIETI BBLセミナー

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企業への期待

働き方の見直し(ワーク・ライフ・バランス)

「子ども基金(仮称)」への拠出

事業所内保育施設の問題

ビジネスチャンスとしての取り組み

CSR(企業の社会的責任)の観点からの取り組み(NPOとの協働)

労働組合による取り組み