「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 ·...

24
「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 多文化共生地域会議 2019.7.18 大泉 貴広 1

Upload: others

Post on 09-Mar-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

「外国人技能実習生と地域住民とのつながりづくり」

多文化共生地域会議2019.7.18

大泉 貴広

1

Page 2: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

1. 取り組みの背景と目的

震災前の約4倍

※法務省在留外国人統計より

人<県内の技能実習生数の推移>

865

380 749

1,237

1,729 2,138

2,839

3,283 3,402

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

背景①技能実習生の増加

2

Page 3: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

永住者, 5,172

留学, 4,516

技能実習, 3,402 , 17%

特別永住者, 1,843

家族滞在, 1,346

技術・人文知識・

国際業務, 1,133

日本人の配偶者

等, 989

定住者, 436 技能, 247

教育, 235

教授, 223

その他, 892 永住者, 3,983

留学, 3,376

特別永住

者, 2,169 日本人の

配偶者等, 1,507

家族滞在, 1,183

技能実習, 865

特定活動, 512

定住者, 413 教授, 411

その他, 1,682

2010年12月末

2018年6月末

※いずれも法務省在留外国人統計より

<在留資格別内訳の変化>

3

Page 4: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

水産加工の工場で働くインドネシア人技能実習生 ※実習生提供4

Page 5: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

土木工事の現場で働くベトナム人技能実習生 ※実習生提供 5

Page 6: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

・日本人側:技能実習生のことをよく知らない・実習生側:職場以外の人たちと出会う機会が少ない

⇓地域社会で「見えない存在」になっている技能実習生

インドネシア人技能実習生のラマダン明けの交流会@塩竈市内のコミュニティセンター

大規模災害時等のリスク要因にも

背景②

6

Page 7: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

・県内の技能実習生の実態を理解してもらう機会

・地域社会とのつながりを作る機会

を設けて、

技能実習生を地域住民として受け入れる環境づくりをする。

この取り組みを通して目指したこと

7

Page 8: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

年度 事業名 特徴 内容

H28

「技能実習生と地域をつなぐプログラム」(H28年度CLAIR多文化共生のまちづくり促進事業補助事業)

塩竈市に地域を限定してパイロット的に実施

・技能実習生をサポートする人材の育成・日本語交流教室(全7回)・市民との交流イベント・スタディツアー・街あるき

H29

「技能実習生との共生の地域づくり推進事業」(H29年度CLAIR多文化共生のまちづくり促進事業補助事業)

H28年度成果を踏まえて地域を拡大して実施

・市町村職員を対象とした研修会・一般市民向けのセミナー(仙台)・技能実習生をサポートする人材の育成

(仙台、石巻)・技能実習生と地域住民との交流の場の設定

(石巻、仙台、気仙沼、塩竈)

H30

「技能実習生地域共生推進事業」等

他団体の取り組みに協力・連携して実施

・市町村職員を対象とした研修会(主催:県、共催:MIA)・技能実習生と地域住民との交流の場の設定(①塩釜国際交流協会との共催、②主催:宮城県、共催:塩竈市・MIA)・防災研修(主催:気仙沼市、共催:MIA)

2. 取り組んだこと

8

Page 9: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

地域交流サポーターの育成(育成講座の内容:技能実習制度の概要・受入れ企業からの事例紹介・やさしい日本語・インドネシア語入門etc.)

◎H28年度

日本語交流教室

交流会の準備も協働で進める

9

9

Page 10: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

交流イベント(内容:インドネシア紹介、実習内容の紹介、民族舞踊、インドネシア料理の試食etc.)

街あるき

司会・プレゼンターを実習生自身が務める

地元NPOの協力を得て実施

10

Page 11: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

◎H29年度一般市民向けのセミナー@仙台(内容:当協会による技能実習制度の説明、企業2社による受入事例の紹介、インドネシア人実習生による民族舞踊、ベトナム人実習生による実習内容の紹介、実習生の日常生活の紹介、サポート事例の紹介、参加者同士の懇談)

「当事者」の声を直接聞く機会を多く設ける

1111

Page 12: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

交流の場の設定@石巻(市民団体の主催する日本語教室で学ぶベトナム人実習生と地域住民の交流会。内容:実習生によるベトナム紹介、実習内容紹介、実習生による歌/踊り、ベトナム料理の試食、アオザイの試着etc.)

市役所、市民団体との連携による実施

実習生と日本語教室のボランティアとの協働で準備を進める 12

Page 13: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

交流の場の設定@仙台(ベトナム人実習生が小学校を訪問し、ベトナム紹介、実習内容紹介、児童による日本文化紹介等をしつつ交流)

実習生、受入企業担当者と協力してプログラムを準備

13

Page 14: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

◎H30年度交流の場の設定@塩竈市(インドネシア人実習生、ベトナム人実習生、その他市内在住外国人・日本人によるポットラック式の交流会)

塩釜国際交流協会主催のイベントに共催団体として協力

防災研修@気仙沼市

ベトナム人実習生等の市内在住外国人を対象とした気仙沼市主催の講座に共催団体として協力

14

Page 15: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

気仙沼の防災研修に参加したベトナム人実習生が、後日開催された「仙台防災未来フォーラム2019」(主催:仙台市)で研修での体験談を発表

15

Page 16: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

3. 参加した技能実習生・日本人の声

もっと多くの日本人と友達になりたい。

(1)技能実習生の声

不安と緊張感がありましたが、実際会ってみたら楽しく過ごすことができました。

会社以外の日本人と交流できて、日本語を学ぶいい機会でした。

子供たちがベトナムを理解してくれて嬉しかったです。

ベトナムの文化、歴史を紹介できて、ベトナム人として、幸せと誇りを感じました。

この機会に、新しい友達を作ることも出来ました。両国の交流を深め、母国を紹介することも出来ました。とても楽しく、素晴らしい交流会でした。とても感動しました。

この交流会を通じて、日本の文化、生活などを理解できました。

16

Page 17: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

17

Page 18: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

(2)日本人の声普通は知り合うことのない実習生と楽しい交流ができて感激。

実習生の皆さんの一生懸命さ、そしてパワーを感じました。とても明るくて活気のある技能実習生で、技能実習制度についての印象がかわりました。

これまで労働者としてしか実習生のことを見ていなかった。機会があれば、同じ地域住民として交流したい。

私の近隣にも実習生の方々がおりますが、なかなかお会いする機会もなく、なんとなく、漠然としかわかりませんでした。どのような形で日本に来ているのか、どのような形で日本で働いているのかわかりやすい説明で、私なりに理解することができました。

実習生は、真面目だし好感が持てます。

実習生の皆さんが生き生きと活動していた。

日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。初めて実習生の人と話しました。やはり、直接話して交流することは大切だと感じました。

18

Page 19: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

技能実習生側:・日本人と交流すること、日本語・日本文化について理解を深めることを望んでいる。

・自分の国に興味・関心を持ってもらえることに喜びを見出している。

日本人側:・実際に交流すると、技能実習生に対して良い印象を持つ。

両者のつながりがもっとあってもいいのでは?

4. 取り組みを通して考えたこと

19

Page 20: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

5. 市民団体・行政などによる最近の取り組み加美町国際交流協会主催の「異文化交流を楽しむ会」(2019年3月)町内の企業8社に勤める技能実習生も参加

実習生との交流イベント(主催:県、共催:塩竈市・MIA)の様子が、市報「広報しおがま」(2019年3月号) の表紙に

20

Page 21: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

日吉山王神社(松島町)例大祭(2019年4月)インドネシア人技能実習生が神輿の担ぎ手として参加

※「東北家族」(インドネシア人技能実習生の親睦団体)提供

多賀城市市民活動サポートセンター主催の「ユニバーサルまちあるきツアー」(2019年6月)多賀城市内および塩竈市内の企業3社に勤める技能実習生が参加 21

21

Page 22: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

塩竈みなと祭(2019年7月)「よしこの塩竈」のパレードにインドネシア人技能実習生が塩釜国際交流協会のチームの一員として参加

22

Page 23: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

◎「特定技能」が創設され、外国人労働者が増えるのは確実。

◎「外国人技能実習制度」も「特定技能」による受入れも、さまざまな問題がある。

◎しかしながら、地域の課題として、身近にいる外国人労働者との共生を考える必要がある。

そのために必要なこと・自分たちの地域の実態を知る。・外国人労働者と地域社会との接点を作る。(既存のイベントの活用、市民団体との連携)

・単なる「働き手」ではなく、「生活者・隣人」として受入れる意識を持つ。→「地域を活性化する存在」として積極的な評価をする。

6. 「外国人労働者」との向き合い方

23

Page 24: 「外国人技能実習生と地域住民との つながりづくり」 · 実習生の皆さんが生き生きと活動していた。 日本の産業それも食とインフラに関わる仕事を担っているのだと驚いた。

24