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Copyright © 2018 CRDS All Rights Reserved. JSTフェア2018 CRDSセミナー JST研究開発戦略センター 環境・エネルギーユニット 大平 竜也 ものづくりの未来を担う革新的デジタルツイン ~未踏複合現象モデリングと その先進開発・設計・製造基盤技術確立~ 異分野の融合・横断が拓く新たな科学技術イノベーション 2018年8月30日

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JSTフェア2018 CRDSセミナー

JST研究開発戦略センター

環境・エネルギーユニット 大平 竜也

ものづくりの未来を担う革新的デジタルツイン

~未踏複合現象モデリングとその先進開発・設計・製造基盤技術確立~

異分野の融合・横断が拓く新たな科学技術イノベーション

2018年8月30日

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発 表 内 容

1

1. 研究開発を実施する意義

現状認識および問題点

本提案の位置づけ

2. 具体的な研究開発課題

3. 期待される効果

4. 推進方法

5. まとめと今後の予定

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現状認識:デジタルツインと先進開発・設計・製造基盤技術

デジタルツイン*は、デジタルデータをもとに物理的な製品をサイバー空間上で仮想的に複製する技術概念。

仮想世界であらゆる想定が可能な革新的シミュレーション技術。

製品のバリューチェーン全体を通じて高い付加価値を提供可能。

研究開発

設計

製造

保守

現実世界(Physical)

複製(データ)

デジタルツイン(双子)

フィードバック(最適解)

*デジタルツインは、米国国防省DARPAによる造語。本提案では、支えとなる多様な基盤技術を統合化する革新性から革新的デジタルツインと呼ぶ。

研究開発

設計

製造

保守

サイバー空間(Cyber)

IoT、AI、ビッグデータ分析等の現実データ取得・分析により基本モデルパラメータを常にアップデート可能

シミュレーション

製造 材料 構造強度

機械 燃焼 伝熱 流体振動 化学電気 計測制御

先進開発・設計・製造基盤技術(例)

計算力学

実際の工程

基礎科学からの未踏複合現象モデリングが益々重要になってきている。

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現状認識:デジタルツインへの先駆的取り組み 製造業以外も含めた産業全体のデジタル化は確実に進行している。

今後、デジタルツインの普及によりバリューチェーン全体のプロセスは大きく変貌すると考えられる。バリューチェーン

実施者 対象 内容 期待効果

開発・設計ロッキード・マーチン社

航空機・試作機をサイバー空間上に再現・様々な故障モードを想定して仮想飛行・初飛行前に不具合を事前に抽出

手戻り最小化、開発期間短縮、

事故率低減

開発・設計 ダイムラー社 自動車・トラックのバーチャルテストで認証受け(FP7)・様々な故障モードを想定して仮想走行・初走行前に不具合を事前に抽出

手戻り最小化、開発期間短縮、開発コスト低減

製造 シーメンススマート

ファクトリー

・物理的な工場の製造設備・制御機器も含めた全ての情報をデジタル化・サイバー空間上で製造設備の配置、産業ロボットや製造技術者の動き等を事前にシミュレーション

高度で多様な検証が可能

出典、JST CRDS 戦略プロポーザル「革新的デジタルツイン ~ものづくりの未来を担う複合現象モデリングとその先進設計・製造基盤技術確立~」/CRDS-FY2017-SP-01

航空機エンジンのデジタルツイン(イメージ)

現実世界の機器 サイバー空間の機器

出典、GE Global Research ホームページ

目的 対象 製品 概要 効果

オペレーションの最適化

機器単体

航空機エンジンGE90

自社開発のブレード損傷モデルを活用し、フライト状況を予測、保守コストを削減

保守サービスで、何千万ドルもコスト削減を実現

GEのデジタルツイン導入事例とその効果

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図出所、JST CRDS 科学技術未来戦略ワークショップ報告書 革新的デジタルツイン ~デジタルツインを支える先進設計・製造基盤技術~/CRDS-FY2017-WR-09

設計

製造・生産

保守

従来

手戻り発生で多数の試作が必要

個別部品・システムの

限定された性能解析検討や

実空間での試作、検証、評価

現場機器定期点検でコスト大

設計

製造・生産

保守

試作・検証・評価

現象解明によるデジタルツインを活用し、サイバー空間で設計と検証

ガスタービン全体システム

のデジタルツイン

機器センサー情報活用のデジタルツインで

故障事象予知、コスト低減

手戻りロス低減、試作回数低減、開発期間短縮、

品質向上

製造設備・工場のデジタルツインで

事前に不具合検出

製造現場での不具合検出

開発・製造の期間大、保守期間・コスト大

不具合やエラー

不具合やエラー

デジタルツイン活用

開発・製造の期間短縮、保守期間・コスト低減

全体システム ユニット 部品 全体システム ユニット

部品

複合現象統合化モデル*解析を実問題へ展開新しいメカニズムに基づく高効率機器を短期間で開発*燃焼・流体・構造・振動、摩擦・摩耗(トライボロジー)、機械損傷モデル等の統合化

試作・検証・評価

最終試作

形状決定

までの

開発期間例:

3~5年

最終試作

形状決定

までの

開発期間例:

半年程度

振動解析

燃焼流体解析

伝熱解析

未踏複合現象を解明、モデル化・燃焼素反応と乱流、伝熱の相互作用メカニズム・機械要素の損傷メカニズム、亀裂進展プロセス等

現状認識:デジタルツインによる開発、設計、製造、保守の加速化・効率化 ~ガスタービンでの例~

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現状認識:モデリングの基礎となる分野横断の未踏複合現象

技術分野 未解明の物理・化学現象(例) 参考図

機械(機械要素・トライボロジー)/構造強度

・転がり軸受けなど機械要素の損傷メカニズムにおける亀裂進展プロセス・潤滑膜の流れと構造体の運動、表面変形などの相互作用メカニズム 等

燃焼/流体・急激な過渡現象に対応するガス燃焼制御、空力制御に必要な素反応と乱流の相互作用メカニズム 等

流体/構造/振動

・回転機械や輸送機器における流体、構造、音響の相互作用メカニズム・複雑な流体関連振動現象における自励振動メカニズム 等

構造強度/材料/流体

・流体中における炭素繊維複合材料(CFRP)の亀裂進展プロセス 等

図出所、ジェイテクト、重工技報、龍谷大学理工学部、JST等の公開資料

モデル未反映の分野横断の未踏複合現象は、未だ多々ある。

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問題点:デジタルツインを支えるものづくり基盤技術に関する日本の現状・課題

先進開発・設計・製造基盤技術と関連学会製造

•溶接学会•日本接着学会

•機械学会(生産加工関連部門)

材料

•日本材料学会

•粉体粉末冶金協会

構造強度

•日本材料強度学会

機械

•機械学会(機素潤滑設計関連部門)

•精密工学会

燃焼

•日本燃焼学会

•日本機械学会(熱工学部門)

伝熱

•日本伝熱学会

•日本機械学会(熱工学部門)

流体

•日本流体力学会

•日本機械学会(流体工学部門)

振動

•機械学会(機械力学関連部門)

化学

•化学工学会

•日本エネルギー学会

電気

•電気学会(電力・エネルギー部門、産業応用部門)

計測制御

•計測自動制御学会

大学では、基盤技術分野の研究力弱化が懸念され、産業界では、製品、要素技術の性能品質は総じて世界有数だが、ビジネスモデルが弱く、プラットフォーム戦略による優位性確保が不十分。

産業界では、製品設計の際、材料、流体、熱など各分野連携が不足、製品設計・製造を支える解析設計ソフトウェアは海外製に依存。

施策面では、デジタルツインを支えるものづくり基盤技術の様な地道な研究に科研費等予算がつきにくい傾向。はやりの目立つ研究領域へ過度な資金・人員が集中。

日本の多くの研究開発投資が出口(製品)志向で、デジタルツインを担うような先進開発・設計・製造基盤技術への研究開発投資が疎かに。

日本の先進開発・設計・製造基盤技術は、世界トップレベルの分野がある一方、システム化や統合化は国際的に立ち後れ。

モデリング、シミュレーションの基礎となる物理・化学現象の把握・理解、評価方法の開発・標準化、評価データの蓄積が不十分。

例えば、個別要素解析技術は世界レベルでも、全体解析技術(ソフトウェア、モデル構成式、検証データ取得)は欧米が独占。

出典、JST CRDS 俯瞰ワークショップ報告書 エネルギー基盤技術(工学)/CRDS-FY2017-WR-04

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問題点: 基盤技術分野での主要論文誌論文数推移の各国比較

※電気分野でドイツ、フランス、日本は15位圏外のため点なし

【集計方法】●11分野の主要論文誌における論文出版状況を集計●対象出版年:1996年、2006年、2016年●集計対象DB:Scopus●集計対象文献の形式:article

①分野毎に1996~2016年の20年間の論文数の多い上位15カ国を抽出。②主要国(米、中、独、仏、英、日)における10年毎の順位得点(1位10点~15位0点)をレーダーチャートでプロット

日本:化学、材料、 製造、構造強度は比較的上位を維持するが、全分野で順位低化

米国:全分野でトップレベルを維持

中国:大きく飛躍

出典、JST CRDS 戦略プロポーザル「革新的デジタルツイン ~ものづくりの未来を担う複合現象モデリングとその先進設計・製造基盤技術確立~」/CRDS-FY2017-SP-01

1996 2006

2016

中国フランスドイツ日本英国米国

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提案の位置づけ:革新的デジタルツインに関する研究開発課題で対象とする製品分野・領域

製品サービスに関するものづくり技術の難易度(事業参入障壁の難易度)

難易

開発期間(開発コスト)

短い(安い)

長い(高い)

環境・エネルギーや

輸送に関する

機器・サービス

[風車、ガスタービン、

蒸気タービン、自動車、工作

機械、船舶海洋 等]

デジタルツイン活用により、高効率化、高機能化に加え、開発期間、開発コストも低減。ものづくり現場の生産性革命と低炭素社会を実現。

コモディティー製品・サービス

[汎用品、一般消費財等]

ものづくり技術の難易度が高く、開発期間・コストが大きい製品サービスの領域

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提案の位置づけ:先進開発・設計・製造基盤技術からのデジタルツイン複合現象モデリング

先進開発・設計・製造基盤技術(例)

研究開発

設計

製造

保守

現実世界(Physical)

複製(データ)

デジタルツイン(双子)

フィードバック(最適解)

研究開発

設計

製造

保守

サイバー空間(Cyber)

シミュレーション

①現象解明からの複合現象

統合化モデルの開発・検証、

モデル計算効率化技術開発、

構築したモデルの評価方法の開発・標準化

②①に資する基礎科学研究からの

知識基盤構築(物理・化学現象の

把握・理解、基盤となる構成方程式

の確立、基盤評価データ取得、蓄積等)

③②を活用した人材育成(ものづくり産業を支える工学系基礎的原理を理解した人材、基盤技術を横断し、知を融合させる工学系専門人材等)

実際の工程

製造 材料 構造強度

機械 燃焼 伝熱 流体振動 化学電気 計測制御

計算力学

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環境・エネルギー機器、輸送機器及びサービス(実問題)の開発、設計、製造・生産、保守を行う際に必要となるデジタルツインを出口として想定する。

構築、検証するモデル

実問題(ターゲット製品例)

風車ガスタービ

蒸気タービ

工作機械

自動車

船舶海洋

a 機械損傷プロセスモデル 〇 〇 〇 〇 〇 〇

b トライボロジーモデル 〇 〇 〇 〇 〇 〇

c 流体・構造・振動連成モデル 〇 〇 〇 〇 〇 〇

d 流体・伝熱・燃焼・化学・電気連成モデル 〇 〇 〇 〇 〇

e a~d統合化モデル(デジタルツイン) 〇 〇 〇 〇 〇 〇

革新的デジタルツインに関する研究開発課題

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構築、検証するモデル 個別目標研究開発の詳細※

[メカニズムの解明、モデル構成式の確立、複合現象モデルの開発と実験的検証、評価方法の開発・標準化]

a 機械損傷プロセスモデル

・亀裂進展・破壊損傷プロセスモデルや寿命予測モデルの確立

・デジタルツインへの展開

・複合材料も含む機械要素の損傷メカニズムや亀裂進展プロセスの解明

・流体中の材料の破壊過程・耐久性・耐衝撃性などに関するメカニズムの解明、モデル構成式の確立・それらに基づく寿命予測モデルの開発と実験的検証

B 摩擦・摩耗(トライボロジー)モデル

・回転機械摺動面相互作用モデルの確立

・デジタルツインへの展開

・回転機械の摺動面における低損傷化、低摩擦化等を目指した潤滑膜の流れと機械要素の運動や表面変形などとの相互作用メカニズムの解明

・モデル構成式の確立、関連モデルの開発と実験的検証

c 流体・構造・振動連成モデル

・流体、構造、音響相互作用メカニズムや流体関連振動メカニズムモデルの確立

・デジタルツインへの展開

・回転機械や輸送機械における流体、構造、音響の相互作用メカニズムや自励振動も含む複雑な流体関連振動メカニズムなどの解明

・モデル構成式の確立、関連モデルの開発と実験的検証

d 流体・伝熱・燃焼・化学・電気連成モデル

・急激過渡現象における燃焼素反応と乱流、伝熱の相互作用メカニズムモデル確立

・デジタルツインへの展開

・急激な過渡現象に対応する燃焼素反応と乱流、伝熱の相互作用メカニズムの解明

・モデル構成式の確立、関連モデルの開発と実験的検証

e a~d統合化モデル(デジタルツイン)

・分野横断の未踏複合現象統合化モデル確立

・計算高速化技術構築

・機械要素の運動、構造変形、振動、潤滑、流体、伝熱、燃焼、化学、電磁気など複合現象を記述する複数の支配方程式の統合化モデルの開発(プロトコルの統一など)と実験的検証

・モデル計算高速化技術の開発

※上記には、必要に応じてセンサーデータ取得やデータ同化に関する研究課題も含めていく。

未踏複合現象解明と構築モデル例

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高精度熱伝達モデルと火炎-壁面干渉機構の解明

乱流熱伝達・制御に関する最先端の知見

0

5

10

15

20

25

30

1 10 100 1000

Viscous sublayer

Log-law layer

tIVO

= -30 CAD

tIVO

= -15 CAD

tIVO

= 0 CAD

u+

y+

340 CAD

0

1

2

3

4

5

6

7

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Blasius

tIVO

= -30 CAD

tIVO

= -15 CAD

tIVO

= 0 CAD

u/U

• 壁面近傍の流動特性→ 熱流速モデルの基礎

• 温度・濃度との同時計測• 伝熱促進デバイス

• 適切な乱流熱伝達モデルの提言・提案

• 適切な壁面近傍の取り扱い

• 乱流伝熱制御

最先端乱流燃焼の直接数値計算

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

0 5 10 15 20 25 30 35 40

60[s]120[s]

180[s]240[s]

[

MW

/m2]

x [mm]

60s

120s

180s

240s

• 熱損失特性の解明 (エンジン条件)

• 火 炎 と壁 面 の干渉による熱流束増大機構の解明

• 計 測 と の 直 接比較

流体・伝熱・燃焼・化学連成モデル構築と検証の研究開発例

点火 ノッキング火炎伝搬 冷却損失

エンジン燃焼室例

最先端の流速・温度計測

xy

Wall

1.5 mm

3.2 mm

15.6 m/s

0 20 40 60 80 100

100

80

60

40

20

0

col

row

= 16.00

IntakeExhaus

t

最先端の熱流速センサー計測乱流熱伝達モデルの構築

図出所、JST CRDS 科学技術未来戦略ワークショップ報告書 革新的デジタルツイン ~デジタルツインを支える先進設計・製造基盤技術~/CRDS-FY2017-WR-09

• 瞬時熱流束センサー• 無線熱流束センサー• 多点熱流速センサー

• 共用エンジンでの詳細計測• 粒子イメージ流速計測法や

レーザー誘起蛍光法等との同時計測

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期待される社会・経済的効果、科学技術上の効果■製造業のバリューチェーン全体を通じて、効率向上、故障予知などの品質面、開発期間

短縮などの期間面、 開発コストなどの面で高い付加価値提供を期待。■ものづくり現場の生産性が劇的に向上し、ものづくり産業の生産性革命に貢献。■さらに、今後の低炭素社会実現や国際市場獲得にも貢献。

■未踏複合現象、例えば複合材料を含む機械要素の損傷メカニズム等の解明に加え、連携プロトコル等の複合現象統合化モデル構築の基盤となる技術を確立。

■現象解明からの新しい視点での産学ものづくり基盤技術を構築。

■新たな産学官連携体制構築と推進により、工学系人材が実際にデジタルツインを活用して知見を蓄積。

■“デジタルツイン機能を代表とする「バーチャル空間」と「リアル空間」の融合等を俯瞰的に把握できる人材”※を継続的に育成。 ※文科省高等教育局「大学における工学系教育の在り方について

(中間まとめ、2017年6月)」より抜粋

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革新的デジタルツイン構築への産学官連携体制(ネットワーク型)

拠点はある特定の大学に設置*

*力のある多様な大学、中小企業とも連携した多様性担保の体制とする

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まとめと今後の予定

■未来社会に対応するものづくりのデジタル化技術(デジタルツイン)とそれを支えるものづくりの基盤技術 に関する研究開発戦略が必要。

第5期科学技術基本計画超スマート社会(Society 5.0)

(1)環境・エネルギー・輸送に関する機器・サービスの革新的デジタルツインとそれを支える先進開発・設計・製造基盤技術、及び、現象解明からの複合現象統合化モデルの開発・検証などに関する研究開発課題

(2)上記課題を解決する短期、中長期の産学官連携研究開発体制、推進方法

■ものづくりの基盤技術が、現在、産学で脆弱化。

■上記戦略の施策化により、①~③の実現を目指す。①日本のイノベーション競争力の中長期的な維持強化②Society 5.0の新たなものづくりシステムによる生産性革命③低炭素エネルギー未来社会