『医療クラスター』構想と『医療クラスター棟』整備『クラスター:cluster』という言葉は、ブド...

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Copyright © 独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 知的資産部 All Rights Reserved. 1 発行 研究開発基盤センター 知的資産部 内線 3210 [email protected] もくじ 1 表紙、巻頭言 3 ミネソタ州での研修、医療機器意識調査 4 食事業、競争的資金獲得推進 5 情報基盤整備、脳外セミナー岩手へ配信 6 秋のイベント 8 特集:医療クラスター棟の紹介 10 活動報告、移転のお知らせ 『医療クラスター』構想と『医療クラスター棟』整備 知的資産部 部長 巽 英介 『クラスター:cluster』という言葉は、ブド ウなどの房、あるいは同種類のものや人の群 れ・集団を意味します。『医療クラスター』構想 は、医療分野における先端技術や創薬の実用化 研究を推し進めるために、厚生労働省が国立高 度専門医療センターを中心に整備を進めている 仕組みのことで、2007 年 3 月の経済財政諮問会 議で厚労相が提出した産業政策『医薬品・医療 機器分野のイノベーション創出に向けて』の中 で初めて公表されました(次頁)。具体的には、 産学官が各々の技術を持ち寄り新規の医薬品・ 医療機器・医療技術等の共同開発ができる施設 の整備を進め、基礎研究・臨床研究とものづく りが一体化した場所を国立高度専門医療センタ ー内部に設けようとするものです。 そもそも地域や施設に基づく医療クラスター はとくに新しいものではなく、米国では何十年 も前から、テキサス州ヒューストンの Texas Medical Center やミネソタ州ロチェスターの Mayo Clinic(Mayo Medical Center)、オハイオ 州クリーブランドの Cleveland Clinic など数 多くの大型クラスターが形成されてきました。

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発 行 研究開発基盤センター 知的資産部

☎内線 3210 [email protected]

もくじ

1 表紙、巻頭言

3 ミネソタ州での研修、医療機器意識調査

4 食事業、競争的資金獲得推進

5 情報基盤整備、脳外セミナー岩手へ配信

6 秋のイベント

8 特集:医療クラスター棟の紹介

10 活動報告、移転のお知らせ

『医療クラスター』構想と『医療クラスター棟』整備

知的資産部 部長 巽 英介

『クラスター:cluster』という言葉は、ブド

ウなどの房、あるいは同種類のものや人の群

れ・集団を意味します。『医療クラスター』構想

は、医療分野における先端技術や創薬の実用化

研究を推し進めるために、厚生労働省が国立高

度専門医療センターを中心に整備を進めている

仕組みのことで、2007年 3月の経済財政諮問会

議で厚労相が提出した産業政策『医薬品・医療

機器分野のイノベーション創出に向けて』の中

で初めて公表されました(次頁)。具体的には、

産学官が各々の技術を持ち寄り新規の医薬品・

医療機器・医療技術等の共同開発ができる施設

の整備を進め、基礎研究・臨床研究とものづく

りが一体化した場所を国立高度専門医療センタ

ー内部に設けようとするものです。

そもそも地域や施設に基づく医療クラスター

はとくに新しいものではなく、米国では何十年

も前から、テキサス州ヒューストンの Texas

Medical Center やミネソタ州ロチェスターの

Mayo Clinic(Mayo Medical Center)、オハイオ

州クリーブランドの Cleveland Clinic など数

多くの大型クラスターが形成されてきました。

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これらのクラスターでは、ホテルや保養施設な

ど患者や家族に関係する施設だけではなく、医

療センターの周辺に医療機器メーカーや部品供

給企業、材料メーカー、さらには設計試作、ベ

ンチャ支援、薬事関連サービスなど多種多様な

医療関連企業が位置し、政府機関も様々な形の

支援を行うことで、産官学連携下での研究開

発・臨床応用・製品化における技術協力や資金

的援助、人材・情報交流などの連携体制を築い

ています。知的資産部では、これら先行する米

国医療クラスターの現状調査・情報収集を、ミ

ネソタ州ミネアポリス市との連携・交流により

進めています。

国立循環器病研究センターにおいて、このよ

うな医療クラスター形成の拠点とするために整

備されたのが『医療クラスター棟』です。医療

クラスター棟には、基礎研究・臨床研究・臨床

応用・製品化のワンストップでの実現の場とし

て、実験室やトレーニング室、模擬手術室や模

擬 ICU、会議室やセミナー室など、様々な設備

や機能が備えられています。また、医工連携・

病院研究所連携・産学官連携・TR・トレーニン

グなどを推進する役割を担う研究開発基盤セン

ターの各部が、知的資産部も含めてこの医療ク

ラスター棟内に居室を構えています。研究開発

が効率よく実施され、また得られた研究成果を

早期に臨床現場へ移し製品化するための体制整

備の場として、医療クラスター棟は大きな役割

を担っています。

ミネアポリス市街(左)とミネソタ大学(右)

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米国ミネソタ州での研修

事業化戦略室のメンバー2名(赤川、中田)が米国ミネソタ州で約 2週間の研修を行いました。ミネ

ソタ州ミネアポリス地域は世界有数の医療機器産業クラスターで、国循との交流も盛んです。本研修

の目的は、①医工連携・産学連携に向けた教育体制の視察・体験、②知的財産評価指標(※)及び評価

方法のモデル構築です。現地では、ミネソタ大学メディカルデバイスセンター(MDC)とライフサイエ

ンス専門のビジネスコンサルタントによる研修プログラムに参加しました。MDC では、企業出身者、

研究者等を対象に”Medical Device Innovation Bootcamp”というプログラムが設置され、専門家によ

る講義とグループワークによる実践を通じて医療機器の研究開発から製品化までの過程を学びます。

また、コンサルタントによるプログラムでは、策定中の知的財産評価指標のレビューや実際の評価フ

ロー等を検討しました。本研修の成果は、研究開発基盤センターの教育機能の充実や国循における知

財活用の促進に役立てられます。<事業化戦略室・中田はる佳>

※.医療分野の特性を反映した知的財産

評価指標。知的資産部と産学連携係を中

心に策定中。特許性・事業性と併せ、社会

性を評価項目に含めているのが特徴。

■詳細は国循 News Letter vol.2 に掲載。

国循ウェブ > 研基セ > 組織紹介 > 知的資産部

http://www.ncvc.go.jp/rdic/NewsLetter02.pdf “Medical Device Innovation Bootcamp”に参加 現地コンサルタントらと撮影

医療機器に対する国民意識調査

知的資産部が 2010 年度に行った『医療機器に対する国民意識調査』の結果を国内外の学会で発表

しました。本調査は一般市民 5,155名(医療従事者を除く)を対象に、医療機器の必要性、審査、自

給率、企業イメージ等について尋ねたものです。主な結果として、①今後、医療機器の必要性が高ま

ると考える人は 9割以上、②『国産』の医療機器を求める人は 8割以上、③審査期間の短縮を求める

人は 6 割以上、④医療機器産業に参入すると企業イメージは向上するということがわかりました(国

循 HP掲載:http://www.ncvc.go.jp/topics/002528.html)。これまで、医療機器の最終受益者である

国民目線での意識調査は十分に行われておらず、今後の医療機器研究開発の指標となる貴重なデータ

を得ることができました。発表会場では、研究者から国民・マスコミへの情報発信のあり方や異分野

企業が医療機器産業に参入する際の障壁等について議論がなされました。

知的資産部では、こうしたアカデミックな活動にも積極的に取り組ん

でいきます。<事業化戦略室・中田はる佳>

【発表学会】

4th Joint ESAO-IFAO Congress (2011/10/9-12)

“Wide Acceptance for Domestic Medical Devices in Japan”(発表者:中田はる佳)

第 49 回日本人工臓器学会 (2011/11/25-27)

『国産医療機器に対する国民の意識』(発表者:中田はる佳)

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『食』関連の事業スタート

国循に埋もれた知的資産を発掘し、産業界へわかりやすく翻訳し、マッチングを行って事業化する

知的資産部の機能を活用した案件の 1つ『食』関連事業が民間サービスとしてスタートしました。

2004 年頃から挑み確立した塩分 1 日 6 グラム、1 食 2 グラム未満の『美味しい減塩食』、三十余年

で培ってきた栄養管理の臨床技術と信頼はスタッフや患者様には知られていても院外に知られるこ

とが少ない状態でしたが、知的資産部との協働により健常者でも利用できるサービスへと発展しまし

た。患者さんのためのサービスが一般に広まることで国民から循環器病を遠ざけ、当センターが目指

す『循環器病の制圧』に貢献できる事業となることが期待されます。<産学官連携室・西 謙一>

Point:知的資産部のしごと

今回の食関連事業は 2004年頃よりノウハウとしてあった減塩調理を、2010年に知的資産部が知的資産とい

う観点から価値を見出し、事業化に取り組んだ事例です。管理栄養士さんが減塩を指導してもなかなか実践で

きないというニーズもあり、国民生活に近いところへ減塩ノ

ウハウを提供しようと民間事業化モデルを設計し、提案し

て参りました。企業との秘密保持契約に始まり、共同研究

契約の締結、事業化のためのライセンス契約の締結、産

業界で減塩が注目されるための様々な戦略を実践し今

冬に 2つの事業が商品として世に出て行きました。

知的資産部は発明者や発案者のパートナーとして、循

環器病制圧という同じ目標に向かって並走する取り組み

を行っています。

競争的研究資金の獲得を推進

知的資産部では、国循の研究成果や臨床ニーズから新しい医療機器・医薬品などの創出に繋げるた

め、企業との効果的なマッチング、知的財産・ノウハウの積極的な活用、共同開発プロジェクトのマ

ネジメントなどを通じて事業化を促進する活動を行っています。その一環として研究開発資金の獲得

を推進しており、平成 23 年度は『早期・探索的臨床試験拠点整備事業(厚生労働省)』や『課題解決

型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業(経済産業省)』といった大型の事業を

はじめ、国循における多くの競争的研究資金の獲得に貢献してきました。

また、(独)科学技術振興財団(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP(※))『フィージビリ

ティスタディステージ 探索タイプ』の申請にあたっては、コーディネータ等が申請者と連携して技

術移転や事業化の可能性を検討することが応募条件となっているため、国循ではコーディネータを知

的資産部の部員が担当し、申請者と協力して申請書の作成を行います。平成 23 年度は、研究所およ

び病院の計 5件の研究課題の採択に至りました。採択後も引き続き、事業化・製品化に向けて申請課

題に取り組む予定です。

知的資産部では、上記のような競争的資金や企業の助成金などの申請に関するご相

談を随時受け付けています。お気軽にお問合せください。<事業化戦略室・大屋知子>

※)A-STEP:大学や研究機関等の研究成果の技術移転の可能性の探索、研究シーズの顕在化、製品化に向けての実証試験の実施等のあらゆる研究開発フェーズに対応

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NCVC情報基盤整備について

国循では、独法化以降情報基盤の整備を進めており,順次新しいサービスを開始しております。

情報共有基盤 NCVCグループウェア:2011年 8月より本格稼働

会議室予約状況サービス → 対象を順次拡大中

患者様からのご意見箱ページ

研究活動に関わる各種お知らせ(研究助成等)

行事予定表:2012 年 1月 31日をもって紙配布を廃止

カルテ閲覧申し込みシステム。

PHS番号・内線番号検索システム

NCVCネット関連の情報提供:手順書・申請書等

病院情報システム関連の情報提供:JUNHIS Q&A,テンプレート申し込み

新電子メール基盤:2011 年 9月〜10月に4回に分けて順次移行

従来2台あったメールサーバを統合,全職員にメールアドレスを付与。

移行説明会を合計 14回実施。資料はグループウェアにて閲覧可能

また,IT 戦略室では,情報管理室と共同で『ディスク破壊実施日』を実施しております。パソコ

ンの廃棄時には情報漏洩防止のためにハードディスクの内容を適切に消去する必要があります。当セ

ンターでは磁気破壊と物理破壊の2種類の破壊装置を導入しており,定期的に破壊装置を利用できる

機会を設けております。次回は 2012年 3月 16日(金)に第6会議室にて実施予定です。直前になり

ましたらあらためてご案内いたします。<IT戦略室・原口 亮>

脳外科セミナーの岩手医大へのストリーミング配信について

IT戦略室では,脳血管外科と協力して『脳血管外科フォーラム 2011・サマー』(2011年 6 月 30〜7

月 1 日実施)の模様を岩手医科大学循環器センターへストリーミング配信しました。受信側で専用の

回線や機材が不要で,一般的なインターネット回線と PCや iPadのみで閲覧可能としつつ,配信内容

を考慮し暗号化を施すシステムとしております。<IT戦略室・原口 亮>

岩手医科大学(左)と国立循環器病研究センター(右)の外観

NCVCグループウェアの画面

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秋のイベントに出展・参加

国際展示会『BioJapan 2011』への出展

多数の企業が参加する展示会などのイベントに国循から出展し研究成果を紹介することは、企業と

のマッチングの機会を増やし、共同研究などに繋がる可能性を高めます。

2011 年 10月 5~7日にパシフィコ横浜で開催された『BioJapan 2011』は、創薬・医療機器・食品

関連などのバイオ系企業が参加する国際展示会です。この展示会では、知的資産部からブース出展を

行って、企業や大学・研究機関の関係者に国循の取り組みを紹介しました。また、会期中に開催され

た、大学や研究機関の技術シーズを参加企業にアピールできる『アカデミックシーズ発表会』では、

研究所より沢村達也部長(血管生理学部)、岩田裕子室長(分子生理部)、阪本英二室長(血管生理学部)

の 3名が発表を行い、国循の研究成果を広く周知することができました。

今後も、このような機会を有効に活用していければと考えていますので、企業との共同開発などを

検討されている場合は是非ご連絡ください。<事業化戦略室・大屋 知子>

イベント参加

産学官連携室では昨秋、さまざまなイベントに参加して情報収集や企業との接点拡大を図りました。

医療機器開発の現況を多角的に捉えるために様々なイベントに参加し、今年はアジア市場の動向を探

るため中国で開催された医療機器見本市にも参加しました。食の共同研究(減塩レシピのデジタル化)

には大きく進展があり、食関連イベントへの参加回数が多くなりました。<産学官連携室・西 謙一>

上:食関連イベントでは減塩食も配られました

下:中国国際医療機器博覧会には日本企業も出展していました

◇参加 フードテック 2011(インテックス大阪)、フードシステムソリューション 2011(東京ビッグサイト)、外食産業フェ

ア(名古屋市中小企業振興会館)、中信ビジネスフェア(京都府総合見本市会館)、中国国際医療機器博覧会(中国/福州

市)、イノベーションジャパン 2011(東京国際フォーラム)、第 2回関西メディカルテクノロジーEXPO(インテック

ス大阪)、生体医工学シンポジウム 2011(ビッグハット)

◇発表 第 18回近畿臨床工学会:『医療産業における産学連携スペシャリストとしての臨床工学技士』(発表者:西謙一)

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HOSPEX JAPAN 2011

2011 年 11 月 9 日~11 日に東京ビッグサイトで開催された『HOSPEX JAPAN 2011』は医療福祉設備

学会に併設する大規模な国際見本市で、来場登録者数は 15,581 名でした。例年どおり手術室や医療

設備の展示が多い中、今年は節電や防災の展示も多くありました。その中で国循の展示は異色でした

がブースには医療従事者、医療機器メーカー、これから医療機器産業へ参入しようと計画している企

業などたくさんの方々にお立ち寄りいただきました。

今回は国循広報の小林係長にも立ち会って頂き、広報係と知的資産部が協力して国循を PR するこ

とができました。<産学官連携室・西 謙一>

大型液晶モニタで視覚的に PR しました ブース来訪者には個別に説明 通路の角に位置する好立地でした

第 8回日本循環器看護学会

2011 年 11 月 12 日~13 日に仙台アエルで開催された『第 8 回日本循環器看護学会』は循環器領域

に関心の高い看護師が多く集まる学会で、今年は 830 名の参加がありました。

し、看護部と知的資産部が全面的に協力し、企業に混ざりブースを出展しました。脳内科から提供

を受けた『知ってることで救われる!?脳卒中って?』のマンガ冊子は初日の数時間で品切れになるほ

どの人気がありました。看護部が開発した褥瘡対策グッズなどの展示には関心を示す来訪者も多く、

循環器看護をリードする国循を PRすることができました。<産学官連携室・西 謙一>

国際画像機器展 2011

2011 年 12月 7日~9日にパシフィコ横浜で開催された『国際画像機器展 2011』では特設されたメ

ディカルゾーンに出展し、特に画像を取り扱うシーズの PRを行いました。<産学官連携室・西 謙一>

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特集:医療クラスター棟の紹介

国民に重大な影響を与える疾患に対し、先駆的な技術・モノ・システムの開発や実用化を図るため、

産学官が密接に連携して臨床研究や実用化研究を進める取り組みが国循の『医療クラスター』です。

その一環として昨年 12月より運用が始まった医療クラスター棟を紹介します。<産学官連携室・西謙一>

■体験型研修 (トレーニング室①②③)

メディカルスキルトレーニングができる部屋と

して模擬手術室、模擬集中治療室、処置研修室が整

備され、隣接して機器管理室や会議室があります。

医療機器は当院で実際に使われている機種を中心

に用意されており、医療ガスや無影灯など臨床と同

じ設備も整備されております。

各室の壁にはマジックミラーが取り付けられて

おり、室外からモニタできるようになっています。

また模擬手術室と集中治療室の天井にはビデオカ

メラが設置されており、DVD への録画もできます。

当施設では医家向け、企業向け教育を実施できる

ため、開発した医療機器の教育までを一貫して行え

るようになります。こうした研究機関は少なく、研

究開発の競争における国循の優位性が高まると期

待されています。

◎ 模 擬 手 術 室 ◎

無影灯、手術台、麻酔器などを常設 人工心肺装置一式 オリンパスの内視鏡装置

◎ 模 擬 集 中 治 療 室 ◎

ベッドや人工呼吸器などを常設 医療ガスや電源を備えたカウンター シーリングアームも設置

◎ 処置トレーニング室 ◎

種々のシミュレーターがあります マジックミラー越しの処置研修室 スキルアップトレーニングの様子

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■実験 (産学官連携実験室①②③)

1 階にある実験室①と②は実験台、薬棚、クリー

ンベンチなどの設備、光学顕微鏡や遠心分離機など

も常設しています。他機関との共同実験、試薬を使

う実験などを行う場所が無かった病院職員も実験

ができるようになります。換気機能付きの深型シン

クもありホルマリン浸漬試料を用いた実験や研修

にも対応しています。また二次救命処置研修など多

室利用の研修にも対応できるよう壁には医療ガス

のアウトレットも備えております。

2 階にある実験室③は ICT 実験室として活用して

頂けます。近年の医療機器のインターフェイスには

大型の液晶画面が採用されており、操作シミュレー

ションや教育に ICT は不可欠となっております。当

実験室は OA フロアーを採用し、用途に応じた配線

やレイアウトに対応できます。

実験室全景 薬棚、実験台、ドラフトチャンバ 顕微鏡や分析装置などもあります

■ミーティング (会議室 ABCDE)

会議室は A~E まで 5 室あり、全室プロジェクタ

とスクリーンを完備しています。会議室 A~C は可

動壁を取り払うことで 2 室利用、3 室利用が可能で

スクール形式では 40 名の研修に対応します。会議

も数名から数十名まで対応できます。

100 名を超える大規模なセミナーには図書館講堂

や研究所大会議室を併用することで対応できます。

スクール形式で 40名程の研修が可能 各会議室にプロジェクタを完備 ミーティングや控室としても利用可

■オフィス

医療クラスター棟には 1階に早期・探索的拠点事

業室、2 階には研究開発基盤センター長室、予防医

学・疫学情報部、臨床研究部、バイオバンクデータ

センター、教育推進部、知的資産部の事務室が配さ

れています。

所在地(図書館隣) 建物外観(研究所本館側から撮影) 玄関ロビー

※.医療クラスター棟の利用予約は NCVC のグループウェアをご利用ください。『会議室予

約コーナー』をクリックすると予約状況や規約などが表示されます。

[NCVC グループウェア( NCVC-HOME) > 事務業務 > 会議室予約コーナー]

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お知らせ

知的資産部からのお知らせです。国循外部向けウェブサイトにも活動報告を掲載しています。

活 動 報 告

産学連携情報交換会

10月 25日に第 3回と第 4回の産学連携情報交換

会を開催しました。企業のプレゼンテーションと参

加者とのディスカッショ

ンを通じ、今後の共同研究

の可能性を模索しました。

<産学官連携室・西 謙一>

被災地後方支援活動『減塩で健康教室』

11月 29日に岩手県栄養士会と国循の共催イベン

トを開催し健康サロンや講話、国循減塩食の試食を

行いました。当部からは中田と西が参加しました。

我々は被災地の循環器疾患予防の面から減塩ニー

ズが高いと考え、国循ノウハウを活用した後方支援

活動を推進しています。<産学官連携室・西 謙一>

着 任 報 告

昨年 9 月から IT 戦略室に堀山貴史(左)が、本年

1月から事業化戦略室に長谷川周平(右)が着任しま

した。よろしくお願いします。

事務所移転

国民に重大な影響を与える疾患に対し、先駆

的な技術・モノ・システムの開発や実用化を図

るため、産学官が密接に連携して臨床研究や実

用化研究を進める取り組みが当センターの『医

療クラスター』です。その拠点となる医療クラ

スター棟に知的資産部も入居しました。

これに伴い内線番号が変更になっておりま

す。新しい内線番号は 3210 です。

オフィスは医療クラスター棟の 2階です。お

気軽にお立ち寄りください。

独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 知的資産部

☎06-6833-5012 ext.3210 共用アドレス [email protected] (本号担当:西謙一)