振動発電デバイスの 実用化において...
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生産性・コスト
許容価格:ボタン電池の2~3倍程度
5百円~千円が普及の目安
デバイス価格+初期調整の手間
≪ 電池の価格,寿命管理,交換や廃棄の手間×回数
製造しやすい構造か、現在高くても量産効果はあるか?
歩留まりやバラツキはどうか?
発生電圧、電力の目標
入力条件
• 周波数20Hz~150Hz
(機械振動:大体この範囲に入る)
• 加速度0.05G~1G
(実際はこれより小さい,
機械は振動がないよう設計されている)
出力条件
電圧 0.5~1V以上(整流可能)
発生電力0.1~1mWrms
負荷(無線モジュール)ではこの20%程度
共振をピッタリ調整することはできず
せいぜい半分程度
デバイスで1mWの出力でも負荷で利用できるのは0.1mW
負荷を考慮した設計や評価
出力インピーダンス
一般に小さい方が電源として好ましい(電流が取れる)
以上の出力がない or インピーダンスが高い場合
整流回路を繋げ、キャパシタに蓄電できるか検証する
1日かけてもよいので蓄電できれば使える
目安 100mFに3V = 0.45mJ
(0.2mJあれば無線送信が可能)
出力が取れない場合
デバイスを大きくする
ある程度の大きさは許容できる
理由:電力変換回路、無線センサモジュールだけでも20mm角以上、
現場での取り回しを考えるとある程度の大きさは必要
耐久性の目標
半永久 (取り付ける機械,振動体の寿命以上)
例) 寿命 20年とすると 60Hzの振動の場合 240億回で出力を維持
検証方法
最大振幅もしくは、目標出力の振動条件で、
寿命が推測できる程度の繰り返し振動試験(疲労試験)を実施
適当な回数毎に電圧を計測し比較し、電圧の劣化の程度を検証、推測する
(磁歪の場合、1億回で劣化なしと判断し、試験を中断)
耐熱性の目標
-30℃~85℃ 電子回路の耐熱性と同等以上
高温or低温雰囲気下での同様の疲労試験を実施
動作帯域
デバイスの共振周波数の±5%程度のずれでも
目標出力を維持
例)50Hzの場合、47.5~52.5Hz
理由:機械、デバイスには環境(温度)や経年変化がある
どの程度正確に
機械のメイン周波数(スライド6参照)
= デバイスの共振周波数と調整,保持できるか
(デバイスには個体差があり、感度は固定の仕方にも依存する)
様々な広帯域化の従来研究があり、適切な方法を選択する
電池に対する優位性
発電デバイス
ボタン電池 200~300円/1個
ボタン電池: CR 2032
電圧 3V, 容量 220 mAh
試算0.2 mW で 3300 時間 (125日)
0.2 mW で 半永久
+ 取り替える手間
使用時間
振動があれば
価格
500円程度
20 mW で3年間+取り替える手間
振動発電が実用化しない理由
回路効率100% (発生電力がすべて負荷で利用できる),実際の機械に取り付けた状態で共振周波数が振動ピークとピッタリあう仮定で,発生電力が20mWなく,3年持たなければ,ボタン電池を代替することはできない
従来のデバイスでは,
○発生電力が20mW未満 (回路効率を考慮すると100mW 未満)
○半永久の寿命がない (電池以上のリスク,手間)
○共振周波数を合わせることが難しい
(ラボの条件と実際は違う,ラボではデバイスの共振に合わせて電力を計測)
○デバイスや回路のコストが高い
のいずれかが障壁となっている
以上を全て克服すれば実用化の道が開ける
ウェアラブルは難しい
振動周波数は最大でも1Hz~2Hz、出力はμWレベル
回路も含めた違和感のない形態
(様々に変形したときに出力が取れるか、蓄電できるか)
耐久性、耐水性(洗濯性)も必要
高い要求 (身に着けるに値する機能性、スマートウオッチの電源など)
よく聞かれますが,スマートフォンを 振動発電で充電するのは不可能です
最後に
電池交換ができない(面倒),電池が持たない,
すぐになくなる用途を狙う
例 タイヤの中,僻地(山林),特殊環境(高温,極低温)、
平均1mWの電力が必要(すぐに電池が切れる->
高周波数,大加速度の振動で,大きな電力が取り出せる)
設計式や理論モデルを確立する(可能性を試算できる)
企業の要望(例)40Hz, 0.1Gで1mWのデバイスがほしい
デバイスコストが許容できる分野もある
例 インフラ分野
大きくてもよいので実用の可能性を示す
実用の可能性 = 無線送信ができる
特許の取得を目指す
企業との共同研究や商品化においては特許が重要