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「研修と実践の歩み」紀要 47号

巻 頭 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 校長 三 浦 治 彦

【幼小中高一貫教育】

Ⅰ.「ふるさとキャリア教育に関する実践」

・・・・・・ 教頭 庄 司 健 浩 1

【校内研修】

Ⅰ.令和元年度 校内研修の実施状況 ・・・・・ 広報・情報委員会 藤 野 一 輝 4

① 新学習指導要領について(教務部)

② 救命講習(心肺蘇生法とAEDの使用方法について)(生徒指導部)

【学年】

Ⅰ.羅臼高校の 3年間の学級経営について 6

① 1学年担任 ~今年の1学年経営~ ・・・・ 1学年主任 藤 野 一 輝

② 2学年担任 ~今年の2学年経営~ ・・・・ 2学年主任 河 野 隼 人

③ 3学年担任 ~今年の3学年経営~ ・・・・ 3学年主任 進 藤 祐 香

【教科・科目】

Ⅰ.公開授業研修の取り組みと成果 11

① 現代文B ・・・・・・・・・・・・・・ 国 語 科 河 野 隼 人

② 政治・経済 ・・・・・・・・・・・・・・ 社 会 科 福 田 浩

③ 数 学 Ⅱ ・・・・・・・・・・・・・・ 数 学 科 竹 守 一 馬

④ 数 学 Ⅰ ・・・・・・・・・・・・・・ 岩 崎 勇 司

⑤ 化学基礎 ・・・・・・・・・・・・・・ 理 科 先 田 直 裕

⑥ 科学と人間生活 ・・・・・・・・・・・ 福 島 義 己

⑦ コミュニケーション英語Ⅰ ・・・・・・ 英 語 科 晴 山 俊 一

⑧ 家庭基礎 ・・・・・・・・・・・・・・ 家 庭 科 進 藤 祐 香

⑨ 音 楽 Ⅰ ・・・・・・・・・・・・・・ 音 楽 科 藤 野 一 輝

⑩ 簿 記 ・・・・・・・・・・・・・・ 商 業 科 川 下 慈 博

Ⅱ.水産教室の実施報告と来年の展望 ・・・・・・・・・・ 岩 崎 勇 司 27

【校外研修視察】

Ⅰ.遠隔授業研修 視察報告 ・・・・・・・・・・ 川 下 慈 博 29

先 田 直 裕

【その他】

Ⅰ.「令和元年度」創作料理プロジェクト 活動報告と今後の展望

・・・・・・・・ 家庭科 進 藤 祐 香 30

商業科 川 下 慈 博

Ⅱ.令和元年度(2019年度)高等学校 OPENプロジェクト実施報告書

・・・・・・・ 教 頭 庄 司 健 浩 32

巻頭言

北海道羅臼高等学校長 三浦 治彦

新学習指導要領の移行期間を迎え、各学校においては学校教育目標の見直しを行い、生徒の実態

等に基づき育成すべき資質・能力を明確にした教育課程の編成とカリキュラム・マネジメントの確

立が重要となっている。各学校が育成すべき資質・能力を明確にするためには、生徒や地域の状況

などを把握することだけではなく、生徒が社会に出て活躍していくための視点や10年後、20年

後を予想し変化する社会の視点から考察することも必要である。

現在の社会においては、各教科・科目だけではなく、教科横断的な学びを通して育成されるであ

ろう資質・能力が求められている。そのため、今年度は教科横断的な活動を通じて学校教育目標の

実現に大きな役割を果たすと考えられる総合的な探求の時間や学校設定科目である自然環境科目

群等の取組について、カリキュラム・マネジメントの視点から、実践内容を先進的な事例として整

理した。

新学習指導要領においては、カリキュラム・マネジメントの一環としての指導と評価の充実が求

められており、「学習指導」と「学習評価」は教育課程に基づいて組織的かつ計画的に実施される必

要がある。また、主体的・対話的で深い学びの視点から、授業改善を通して各教科等における資質・

能力を確実に育成する上で、学習評価は重要な役割を担っていることを踏まえ、次年度以降も継続

して評価の在り方を中心に調査研究を進める予定である。

幼小中高一貫教育

- 1 -

ふるさとキャリア教育に関する実践

北海道羅臼高等学校教頭 庄司 健浩

Ⅰ テーマの趣旨

本校の他校との連携は、平成 19 年度に連携型の中高一貫教育推進協議会が設置された

ところから始まり、平成 24年度からは幼小中高一貫教育研究会が発足し、現在に至ってい

る。平成 27年度からの3年間は「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の研究指定

校として、「地域に根ざした人材育成のための効果的なキャリア教育のあり方」及び「地域

連携による持続可能なふるさと羅臼における人材育成」をテーマとしてキャリア教育に関

する実践を展開した。さらに、平成 30年度には、「高等学校 OPENプロジェクト」の指定校

として、生徒が地域の課題等を認識し、主体的・対話的に課題解決に取り組むことにより、

産業活性化を目指すとともに、発達段階に応じた体系的なキャリア教育を推進している。

Ⅱ 実践の内容

1 小中高の 12 年間を見通したキャリア教育

の全体計画の改善・充実

2 地域の特性や教育資源を生かした取組の実

3 生徒が自ら振り返りながら自己の将来や職

業を考えるキャリアノートの活用

4 羅臼地域に着目したテーマ学習の実施

5 6次産業化に向けた授業の実施

Ⅲ 実践の概要

1 小中高の 12年間を見通したキャリア教育の全体計画の改善・充実

平成 29 年度に作成した全体計画をより活用しやすいものにするために、各校で

の活用状況を把握し、改善していく。また、協議の場として、幼小中高一貫教育研

究会を活用している。

2 地域の特性や教育資源を生かした取組の実施

ESDを推進する羅臼町の教育において、最も顕著で特徴的な取組には、幼稚園

から小学校までは自然の中で体験し感じる学習を中心にしたもの、中学校から高等

学校では自然について自ら考え行動する学習へと主軸を移したものである「知床学」

の2つの象徴的な活動がある。これらの活動は、地元知床の自然に対する子どもた

ちの理解を深めるとともに、自らの郷土を愛する心を育む上で重要な役割を果たし

ている。なお、本校は平成 24年度にユネスコスクールに認定されている。

- 2 -

具体的な取組として、漁業後継者育成のため昭和 60年

度にスタートした「水産教室」では、ロープワークやダイ

ビング実習など独自のカリキュラムを設定している。ま

た、「創作料理プロジェクト」では、羅臼町漁業協同組合

から提供された食材を用いて、羅臼町飲食店業連合会の

アドバイスを受けて、メニューを考案し、チャレンジグル

メコンテストに出品した。冬には、羅臼町役場と連携し

て、道の駅等で生徒が直接、外国人観光客に販売し、メッセージカードを手渡すな

どして、交流する機会を設けた。

3 生徒が自ら振り返りながら自己の将来や職業を考えるキャリアノートの活用

平成 29 年度に作成したキャリアシートの活用の一貫として、各行事終了後等に自

ら考えたことをポートフォリオ形式でまとめている。自らの成長を自己認知する手立

てとして有効に活用している。現在の様式では少し煩雑な部分があり、簡略化できな

いか検討している。

4 羅臼地域に着目したテーマ学習の実施

本校の1年生に対して、「地域医療の推進」、「漁業振興」、

「海洋深層水事業」、「世界自然遺産事業」などをテーマと

して、自ら調べたことを発表する探究的活動発表会を 11月

に実施した。高校では初めてのスライドを用いた発表で苦

戦したものの、図や文章及び説明を駆使し自らの主張を工

夫して伝えるなどして取り組んでいた。

5 6次産業化に向けた授業の実施

「フードデザイン」の授業において、羅臼町漁業協同組合女性部の協力により、

地元産の真鱈とドスイカを使用した調理実習を行った。長く愛されてきた郷土料理

を理解するとともに、将来地元産の特産品を加工・販売することを視野に入れた取

組として実施した。

6 その他

(1) らうす高校生議会の実施

羅臼町の課題や活性化の方策を探る高校生議会を開催し、生徒が提案だけではな

く、課題解決まで見据えた取組を令和元年度より実施している。令和2年度につい

ては、町制 120周年事業と合わせた「夢提案型事業」とし、高校生ならではの視点

から、地域活性化に切込んだ高校生議会としたい。

(2) 地域みらい連携会議の実施

北海道教育大学釧路校准教授をはじめ、羅臼町役場、羅臼町教育委員会、根室振

興局地域政策課等の各担当者が集まり、本校に対して様々な助言をいただいた。

「それぞれの活動は手段であり、目的ではないので、目的を見失わないように取り

組むことが重要であること」や、「地域課題解決プロジェクトの実践例から高校生が

町おこしの中心になる事例があること」など示唆に富んだ助言があった。

水産教室 ダイビング

実習

探究的活動発表会

- 3 -

Ⅳ 実践の成果と課題

1 成果

(1) 本事業を通して、地元の理解を深め、地元を愛し、地元のためにできることを考

察するための知識を得ることができた。

(2) 羅高祭の行灯行列を見学した保育園児から、「すごい」という評価を直接生徒が聞

く機会があり、来年度はさらに頑張ろうという意欲につながった。また、町民から

も、「昨年度と違い、町の中心部から離れた高校からではなく、公民館前から出発し

たことで、街中でみることができてよかった」との評価を受けた。本校の取組を広

く羅臼町民に見てもらうことで、生徒が意欲的に取り組むことができた。

(3) 研究成果については、学校だよりを発行し、町内全戸へ計 2000部配布することを

通して、広く地域住民に紹介することができた。また、学校ウェブページに詳細を

紹介することで、多くの方に見てもらうことができた。

2 課題

(1) 地元を知る学習を推進しているが、羅臼町教育委員会主催の「知床学検定」の受

検者の割合がわずかに減少したり、地元への就職率が半数を割ったりしていること

から、地域産業活性化の方策を検討する必要がある。

(2) 「水産教室」や「創作料理プロジェクト」など、一部の生徒が学習している取組

をどのように全体で共有するか検討する必要がある。

3 今後の検討

羅臼地域に着目したテーマ学習については、羅臼町役場で実施している産業振興プ

ロジェクトと連携して、より課題設定を深める取組にしていきたい。また、らうす高

校生議会を実施し、生徒自らが課題を設定するだけではなく、その解決策を提案し、

自ら行動に移すところまでを目標としていきたい。一部の生徒が学習した内容につい

て、校内発表会などで、全校生徒と共有する場面を設けていきたい。

校 内 研 修

- 4 -

平成31年度 羅臼高校校内研修の実施状況

広報・情報委員会 藤野 一輝

生徒指導部 千代 麻友

はじめに

本校において今年度は2回、教員の資質向上を目指して校内研修を行った。以下に今年度の研修の内

容の外乗を示す。

1.第1回校内研修

・テーマ 新学習指導要領について

・期 日 令和元年6月28日(金)

・主 管 教務部

・目的と内容

昨今の教育において話題となる「新学習指導要領」について、改訂のポイントや基本的な考え方、

教科・科目の見直しなどを教員全員で理解すべく、今回のテーマで研修を行った。改訂における6つの

基本方針を具体的に研修し、生徒にとって重要な事項が何かといった考え方を共有した。教育課程編成

などにおける考え方を共有できた研修内容であった。

▲われわれ教員は、時代の変化や動向に

いち早く気づく力を育成しなければならない

- 5 -

2.第2回校内研修

・テーマ 心肺蘇生法とAEDの使用方法について

・期 日 令和元年11月29日(金)

・主 管 生徒指導部

・目的と内容

羅臼消防署の方を講師にお招きし、4つのグループに分かれ、心肺蘇生法とAEDの使用方法につい

て学んだ。

胸骨圧迫、人工呼吸、AEDの使い方の順に説明を聞き、人形を用いて実践を行った。最後は、実際

に倒れている人を救助することを想定したロールプレイングを行った。

救急隊の現場到着所要時間は全国平均8.7分である。(「令和元年版 救急・救助の現状」令和元年

12月26日消防庁公表より)救急隊が到着するまでの間、胸骨圧迫を繰り返し行うのは、体力・気力

ともに必要だということを感じた。

▲研修の様子。

いざという時の対応を迅速に、そして適切に行うことへ繋げてほしい。

おわりに

今年度も教職員の資質向上のため、多くの方々からのご協力・ご助言を得ることができ、上記のよう

な研修を実施することができた。深く感謝申し上げたい。また、その他研修を含めて学んだことを指導

の場で還元するべく、今後も不断の努力を重ねてまいる所存だ。

今後、激動の時代を過ごすわれわれにとって、求められるもとは高度かつ多様化されていくことは容

易に想像できるだろう。そのような時代の要請に応えるべく、これまで以上に意義の深い研修の企画・

実施を目指していきたい。

学 年

- 6 -

1学年の学年経営

1 学年主任 藤野 一輝

はじめに

羅臼高校で教員人生をスタートし、3 年が過ぎた。そして、今年度、教員人生の担任が

1年を終えようとしている。過去の副担任、学年付きの経験を活かして生徒に身につけて

ほしい力や 3 年後の将来像を見据えて学年経営を行っている。今年度は以下を重点目標と

して、学年経営を行った。

< 重点目標 >

1 学校生活に目標を持ち、積極的に取り組む姿勢の育成

2 基本的な生活習慣と学習習慣の確立

3 社会の変化に対応できる主体的・協同的な態度の育成

1 学校生活に目標を持ち、積極的に取り組む姿勢の育成

学習面において、本校の生徒は、4月に入学し、5 月には2年生から分かれるコースを

選択する。この学年も同じである。そこで、3年間の目標や目指す進路はもちろん、それ

に向けたスモールステップを決めさせる活動を行った。そのことで、「楽しい」だけの 3

年間ではなく、「有意義」な 3 年間になるだろうと考える。

ただし、これまでの学年は2つの中学校(羅臼中学校・春松中学校)から入学をしてき

ったのに対し、この学年は上記の2つの中学校が合併し、知床未来中学校の生徒が入学し

てきた。なので、生徒たちの人間関係が出来上がっている状況である。そのことで自分が

学年の中でどの位置していて、学力においても「大丈夫」という余裕を生んでしまう。そ

うなってしまうと、進路活動や卒業後の生きる力にも支障をきたしてしまう。そこで、個

人の目標を決めさせ、教室に全員分掲示すること、また、クラス全体での目標の設定を行

ってきた。このスモールステップが3年間の結果につながることを期待している。

2 基本的な生活習慣と学習習慣の確立

校外に出てしまうと見えない部分が多くある。また、現在は、スマートフォンの普及によ

り、SNSが著しく発展している。本学年の生徒の中でも多数使用しているだろう。ただ、

正しく使用できている生徒が何人いるのかに関しては保護者であってもなかなか見えてこ

ないものである。インターネットが普及して恐ろしいことである。実際には、私の授業で取

り入れた内容であるが、ネット社会の恐ろしさや正しい使用方法、考え方などを自ら調べさ

せて、発表させた。現段階で大きな問題が見受けられることはないが、今後も長い目をみて

- 7 -

指導していきたい。

また、学習指導において、家庭学習習慣の確立と各教科の連絡ボードの設置を行った。教

科連絡ボードについては、小中学校での公開授業において教室を拝見させていただいた際

に見つけたものである。まったく同じものではないが、各教科からの連絡事項やテスト予告、

次回必要なものや提出物などを視覚化できるようにした。今後はその連絡ボードのより良

い活用法を見つけていきたい。

3 社会の変化に対応できる主体的・協同的な態度の育成

ここ数年、生徒の現状を見ていくと一つの目標に対して自ら動こうとする意志や協力する

活動が苦手である。本学年も同じ傾向がみられる。社会に出た際には、どのような人であっ

ても協力して行う場面、できないものであっても自ら率先して行動しなければいけない場

面がある。そのような場面で逃げない力、そして協力しながら課題解決に向かう姿勢を育成

してきた。そこで、クラスに目標を各自で作らせ、掲示した。また、DH(総合的な探究の

時間)において、自らを見直す学習を行い、どのような性格なのかをリサーチした。

また、本校で取り組んでいる羅高学力コンテスト(以下、羅学コン)において5級受験者

の合格講習を後期より行った。入学後半年ほどにおいては、生活規律の定着を中心に行って

きたのに対し、後期からは、学力面や進路面、生活面多岐にわたり自らの向上に向けた内容

での講習や指導を行ってきた。

来年度においては、我々指導する側が不鮮明に指導している場面が少なからずあった。見

直しをかけ、より良い指導をできるよう、改善を図っていく所存である。

おわりに

32名での入学から 1 人欠けることなくここまで来たことに安心している反面、成績が

危うい者、欠席が多くなって来た者、人間関係が悪化している者が増えていることに危機感

を持っている。初めての担任ということもあり、至らない点があるもので生徒には非常に迷

惑をかけているのかもしれない。しかし、それぞれがやるべきことを明確にし、その目標に

向かって走っている姿を見て、私自身も日々勉強の精神をもって今後関わっていきたい。そ

して、そのような彼らも 3 年後には、社会に出ることとなる。その時に迷惑の欠けることの

ない人間にしなければならないと私は考える。残り 2 年で彼らにどのように関わっていけ

ばよいかを考えながら指導に当たっていきたい。

最後に、これまで 1 年間、私や 1 学年に関わっていただいた本校教職員をはじめとする

すべての方に感謝を申し上げたい。残り 2 年ありますが、よろしくお願いいたします。

- 8 -

2学年の学年経営

2学年主任 河野 隼人

はじめに

初任校として羅臼高校に赴任し、4年が経った。昨年度から引き続き2学年を受け持つ

こととなり、2年間を通して生徒に身につけさせたい力、将来像を見据えて学年経営にあた

った。以下が今年度の学年目標である。

< 学年目標 >

1 学校生活に目標を持ち、積極的に取り組むよう促す。

2 基本的な生活習慣と学習習慣を定着させる。

3 集団生活を送るために必要な奉仕の心を育て、主体的・協同的に行動できる力を高め

る。

1.生徒指導

卒業後を視野に入れ、あいさつの励行、正しい言葉遣いで話す習慣、礼儀・作法の実践を

はかり、概ね達成できている。しかし、時間・約束・規則等を守る姿勢を育てることに関し

ては、今後も対応が必要である。学年として大切に考えている「他者を尊重する思いと行動

の実践を促す」ことに関しては、概ね達成できており、クラスとしての団結力が高まってい

るように感じる。来年度は進路活動が中心となり、面談等を通して生徒理解に努め、個に応

じた効果的な支援活動を行う必要があると感じている。

2.学習指導

基礎学力の定着以前に、ベル席等の授業規律を確立し、学習に集中できる環境を整備する

ことをこの1年間大きな目標にしてきた。概ねできていると思うが、より高度な学習内容に

関しては、集中力がきれる場面が多かったように感じる。来年度への課題となった。また、

家庭学習に自主的・積極的に取り組む姿勢を育てるために、週末課題を実施していたが、改

良の必要性があると感じた。教科担任と連携し、基礎学力の定着と個の力の伸長を図ること

に関しては概ねできていた。

3.進路指導

検定取得・講習・模試への積極的な参加を促し、昨年度よりも自分の進路に対して真剣に

- 9 -

考える様子が見られた。年に数回、個人面談を実施し、個々の進路の取り組みを意識させて

いる。結果として、多くの生徒が進路に大まかな、または明確な考えを思い描けている状況

である。模試等の結果を活用し、進路に関する一人一人の意識・能力・適性の理解も図って

いる。まだ進路に対し明確な展望を描けていない生徒については今後も進路実現に向けた

計画の見通しを持たせるよう支援していく。

おわりに

初担任ということもあり、至らない点も多々あるなかで生徒たちは大変良く応えてくれ

ている。昨年度よりも、クラスとしてそれぞれが「助け合おう」とする姿が見られることに

担任として喜びを感じる。来年度の進路活動ではそれぞれが進路実現に向かい努力し、クラ

スが進路実現に向けて助け合えるよう支援していきたい。

また、進路の方向も様々で、授業の方針や内容を工夫してくれている先生方には、担任と

して感謝の意を表したい。来年度も変わらずご尽力のほどよろしくお願いいたします。

- 10 -

3学年の学年経営

3学年主任 進藤 祐香

はじめに

平成28年度に初任校として本校に赴任し、自身初めての担任となるこの学年を平成

29年度から受け持ち3年目となった。一筋縄ではいかないことばかりであったが、集大成

となる卒業年度を迎えた。今年度は、以下を重点目標として学年経営を行った。

< 重点目標 >

1 お互いの「違い」を認め、尊重し、助けあう心の育成

2 進路決定に向けて、計画的および継続的に取り組む力の育成

3 社会生活に必要な礼法や知識の習得

1 お互いの「違い」を認め、尊重し、助けあう心の育成

入学当初から生徒たちには、「三十人三十色」と言い続けてきた。みんな違って当たり前

という理解の上で、それぞれの持ち味を発揮できる学年にしたいという思いからである。現

代の複雑な社会においては、自分の価値観の押し付けや、考えが違う相手を切り捨てるので

はなく、まず相手を知る努力をし、違いを認め、尊重して助け合うことが大切だと考える。

本校は全校生徒が町内からの進学であり、高校入学時には人間関係が出来上がっている状

況がある。特に本学年は、「この人はこう」と決めつけ、かかわりを持とうとしない様子が

見られた。全員で力を合わせて一つの目標に向かう学校祭等の学校行事に全力で取り組む

ことで、この目標の達成に近づきたいと考えた。自分の気持ちはSNS等で発するのではな

く、面と向かって相手に丁寧に伝えることをルールとした。陰ではそれに反して、うまくい

かない様子もあったが、大切なことは面と向かって話す場面が見られた。ぶつかり合い、問

題が大きくなることもあったが、全員で起きている問題を共有し、目標に向かうためにまた

やり直そうという気持ちが感じられた。この経験から得たことを、今後の社会生活で生かし

てくれることを願っている。

2 進路決定に向けて、計画的および継続的に取り組む力の育成

年度当初のDHの時間に、各自の進路目標と達成までのスケジュールを改めて立てさ

せた。それをもとに、夏休み前までのDHの時間にすべきことを自分で考えさせ、継続的に

それに取り組ませた。進学組と就職組で教室を分けることで、同じ方向の進路に向かう仲間

と励ましあいながら、主体的に取り組む姿が見られた。一方で、何をしたらよいかわからな

い生徒もおり、学年と進路指導部の先生方にご協力いただき、志望理由書の作成や面接指導、

求人票の見方等、丁寧に指導していただいた。また、1年次から漢字を課題としてきた週末

課題を、今年度は各自の進路実現に向けた選択課題に替え、継続的に取り組ませた。取り組

- 11 -

みは概ね良好で、進路活動への気持ちの切り替えにもつながった。

また、先を見通せるよう、1年間のカレンダーを教室の掲示板全面に貼り出し、全員の試

験日が一目でわかるようにした。それにより、クラスメイトの受験を応援する姿も見られた。

進路は「団体戦」であり、クラスの中にその雰囲気をつくることが、生徒主体の計画的、継

続的な進路活動には大切であることを改めて感じた。

3 社会生活に必要な礼法や知識の習得

面接指導をはじめとした進路指導をする上で、基本的な礼法や知識が不足しているこ

とを感じる場面が多くあった。専門学校から就職指導担当の方を面接指導講師として招き、

面接の基本や社会人としての常識を指導していただいた。外部講師による緊張感ある雰囲

気のなか、生徒は真剣に耳を傾けていた。また、特に就職組は、応募前企業見学、履歴書作

成、面接、礼状作成という一連の就職活動を通して、実際に行う企業との緊張感あるやりと

りのなかで、やっと身をもって社会生活に必要なことを学んだのではないかと感じている。

日頃の学校生活において指導している礼法等が、社会生活に必要なことであることをいか

に理解させ、緊張感をもって行わせるかが課題であると感じた。

おわりに

初担任として多くのことを学ばせていただいた3年間であった。教師は生徒から学ぶ

ということを実感した。至らない私に本音でぶつかってきてくれた生徒たちには感謝した

い。

最後に、本学年に多大なるご支援・ご協力をいただいた先生方に、深く感謝申し上げま

す。誠にありがとうございました。

教科・科目

- 11 -

公開授業研修の取り組みと成果

教務部 藤野 一輝

1 今年度の取り組み

1.概要

昨年度、家庭学習や課題の工夫などに重点を置いて基礎基本の定着を向上させることを目指す「家庭学習

による基礎・基本の定着」グループ(以下、家庭学習グループとする)と、主体的・共同的な深い学びを達

成するために様々な手法について研究・実践を行う「協同学習の実践と効果的な手法の研究」グループ(以

下、協同学習グループとする)に分かれ、各グループ内で研修・研究・情報交換・授業公開などを行った。

(H30 自主公開研修 紀要参考)

昨年度、家庭学習・協同学習各グループでの研究を行ってきた。各グループについて一定の成果が得られ

た部分、継続して研究を行うべき部分等あったが、教員の大幅な入れ替えにより、継続した研究を行っても

正しい結果が出ないと判断した。しかし、研修の機会をなくしてはいけないという状況であること、学習指導

要領の改変の 2 点を踏まえたテーマとすることとした。

以上を踏まえて、今年度については、グループの設定をせず、本校教員全員に公開授業を、その後授業に

対しての合評会・意見交換会を行った。また、年間を通して、「生徒に身につけさせたい資質」を意識した授

業展開をテーマとして行ってきた。

2.研修・研究日程

月 日 内 容

4 月5日 公開研究会 実施計画・日程等の確認

6 月 6 日 第 1 回 授業評価アンケート

6 月 28 日

公開授業研修 第Ⅰ期

竹守教諭 数学Ⅱ

藤野教諭 音楽Ⅰ

7 月 26 日 一貫教育合同研修会

8 月 30 日

公開授業研修 第Ⅱ期

晴山教諭 コミュニケーション英語Ⅰ

川下教諭 簿記

岩崎教諭 数学Ⅰ

- 12 -

10 月 31 日

公開授業研修 第Ⅲ期

進藤教諭 家庭基礎

福島教諭 科学と人間生活

11 月 5 日・11 月 9 日 第 2 回 授業評価アンケート

11 月 15 日

公開授業研修 第Ⅳ期

福田教諭 政治・経済

河野教諭 現代文B

12 月 20 日 公開授業研修 第Ⅴ期

先田教諭 化学基礎

(未定) 今年度の研修の反省・次年度に向けての検討

- 13 -

2 研修の記録

1.研修

(1)公開授業研修

5回ある公開授業研修に全員が1度、授業を本校教員、町内にある小中学校に公開し、できる限り、全教

員が参観する形式で実施した。また、「Thanks カード」を使用し、合評会で聞けなかった内容を交流する

という2段階での形式とした。

(2)校内研修

授業改善に関して、公開授業研修終了後に1時間程度、合評会を行い、感想・意見・質問等の交流をし

た。その後、研修会等に参加した先生方からの研修の機会を設けた。

2.実践報告

公開授業研修 第Ⅰ期(6月28日)

「自学自習を促す授業の工夫」(2学年 数学Ⅱ) 氏名 竹 守 一 馬

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

「授業の予習・復習」が大切です。という言葉は

よく耳にするが、実際に生徒に授業評価アンケート

を取ると、「復習をしている」、「小テストや定期

考査の前に勉強している」と答える生徒が多くいる

一方で、「予習ってなに?」、「予習って何をすれ

ば良いの?」と答える生徒も多くいる。予習につい

ては多くの生徒が行っていないことが本校の現状

としてある。授業理解をする上で、予習とはとても

大切なことであると考えている。予習→授業→復習の流れを生徒につけさせることで、授業理解と知識の定着

につながるようにすることがねらいである。

数学Ⅱの授業においては事前に授業内容の基礎的な問題である練習プリントを配布する。まずは、自分たち

で教科書や参考書等を利用して試行錯誤しながら、問題を解答してくる。このときに、疑問に思ったことや質

問を自己評価シートに記入し、授業前に提出する。授業では、生徒が疑問に思ったことに対して教師が解答す

ることが主となり、疑問や質問がなければ演習となる。そして、1つの小単元ごとに小テストを行い、その都

度復習もしていく。

- 14 -

予習(練習プリント)→授業(疑問の解決)、演習(応用)→復習(小テスト)がこの授業の一連の流れであ

る。このような形で授業を展開してきたが、今年度はより復習の部分に力をいれた。毎授業で円周の時間をい

れるのではなく、家庭学習にすることで、家で机に向かうという姿勢を身に着けさせようとしたのが、今年度

の取り組みである。

2 成果・課題・今後の展望

授業の中での演習の時間を少なくすることで、家庭学習の時間が増えてきたことが成果である。その一方で、

分からない問題には解答せず、白紙で提出するという生徒も少し増えたことが課題である。今後は分からない

問題を自分で考え解くよう努力させる取り組みが必要である。

「音楽活動での自己表現向上を図る授業の工夫」(1学年 音楽Ⅰ)藤野 一輝

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

時代の変化は著しい。これからの我々に必要

な力は、自らの意思や考えをどのように外部に発

信ができるかが特に重要になってくるだろう。主

要 5 科目では、どうしても受験が必須になってし

まう関係もあり、知識を教える内容がメインにな

ってしまうのは仕方ないことなのだろう。しかし、

学習指導要領の改変がまもなくであること、将来

のわれわれに必要な力を考えるとどうしてもそれ

だけではいけないだろう。

本校における「音楽Ⅰ」は、全員必修の最後の芸術科目である。今年度は、「音楽活動」での生徒自身の

自己表現力の育成を図る授業展開を行った。

数年の傾向を見た際に、今までの合唱コンクールの練習や器楽等での演奏会についての練習を見ていると、

技術向上のための質問はよくあることだが、表現についての質問が増えてきている。どのように歌いたい・演

奏したいかを考えることができない生徒が増えてきている。あくまで憶測であるが、そのような機会がなかっ

たのだろう。そこでこの1年間で自分がどう演奏したい・歌いたいのかを考え、様々な形で表現できるような

内容を取り入れた。

今回の授業では、演奏につなげるために簡単なゲームを取り入れた。どのように表現したら相手に伝わるの

かを緒方まゆみ 著 吹奏楽・授業・部活動ですぐに使えるまゆみ先生のパワーUP!ゲーム29~活力・表

現力不足を楽しく解消!~に掲載されている「バーチャルゲーム」を基に行った。自分ではわかっているが、

なぜか伝わらないと感じた生徒が多くいた。その気づきがとても大切であると私自身感じている。そこからど

のようにしたら、伝わるようになるかを考えさせた。そのような機会を継続して行ってきた。

- 15 -

2 成果・課題・今後の展望

継続することが大切である。よく聞く言葉であり、とても重要な言葉である。ただし、われわれが大切なの

は、継続させることをどれだけ苦痛にさせるかが大切だと考える。この1年間で様々な活動を行ってきた。体

を動かす活動や言語活動、思考する活動をうまく絡めながら表現力の向上を図った。昨年度に比べ、ワークシ

ートや感想文等の着眼点が面白いものが増えた。想像力が昨年度より上がったと考えている。ただし、この活

動での課題として、切り替えができない生徒や動きの多いことで集中力が低下する生徒にとっては難しい内容

である。授業展開をより良くしていきたい。

公開授業研修 第Ⅱ期(8月 30 日)

「4技能を意識した授業展開」(1学年 コミュニケーション英語Ⅰ)晴山 俊一

1 取り組みの意図、ねらい(現状を踏

まえて・教科の特性 等)

人間の集中力は10~15分が限界だと言われ

ている。そこで1つの活動を10~15分に設定

し授業を3分割して毎時間組み立てている。分割

することで生徒は以前より集中して授業に取り組

むようになった。また、「Today’s Menu(本日の

授業内容を記載した用紙)」を黒板右上に掲示し、

生徒が自ら見通しを持って授業に臨める環境を整えている。活動が早く終わった生徒は、次に何を行うか掲示

を見れば分かるため、教師が指示をしなくても次の活動に取り組む姿が見られる。

昨年度同様に様々な活動を授業に取り入れて実践を試みた。以下に今年重点的に行っている「Up Up English」

の内容を記載する。また、英検対策として毎時間英単語練習を行っている。

I. Up Up English【文法確認】

ペアで行う。じゃんけんをして、勝った方が右側(文法等のキーワードや質問)を読み、負けた方が左側

(文法の中身や質問に対する答え)を読む。英語力がある生徒は紙を見ずに答える。

II. 級ごとの英検単語練習【語彙力強化】

4月に英検 IBA(英検能力判定テスト)を全員に受験してもらい、生徒個人の英検レベルを把握する。そ

の後、生徒のレベル(級)に応じた英単語プリントを配布する。毎時間授業の最初に25単語確認させ、

週の最後に単語テストを実施する。

III. Picture describing【speaking 力向上】

- 16 -

ペアの片方だけが教師が示した人や物を確認する。そして、英語を使ってその人、物の特徴を相手に伝え、

相手にその人物、物、状況を絵に描かせる。

2 成果・課題・今後の展望

以上に記載したⅠ~Ⅲの活動以外にもグループ学習を活用した教科書演習を行っている。また文法指導は、

毎時間単語練習の後に約10分で演習を行い、毎日ターゲットの文法に触れさせている。

生徒の授業に対する姿勢も良好であり、比較的落ち着いて授業を受けているが、英語の基礎力が大幅に向上

していないのが課題である。今後、さらに生徒の英語力を伸ばすためには家庭学習が鍵であると考える。休業

中だけでなく、日頃から宿題を課し生徒のさらなる英語力向上に努めていく。

基礎基本的事項の理解定着と技能表現力の育成について(2学年 簿記) 川下 慈博

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

簿記は2学年の実務コース選択者の必修科目と

して開設され、22名の生徒が履修している。実務

コースを積極的に選択している生徒もいるが、ほと

んどの生徒は進学との選択肢のもう片方として消極

的に選択しているのが実情である。また、特別な支

援を要する生徒も毎年数名含まれている。

本校で指導している簿記は他校と同様に売買業者

の簿記であり、卒業後に学習内容を直接活かせるよ

うな職種に就く生徒はあまりいないが、帳簿の記帳練習等を通じて会社の事業活動を少しでもイメージさせな

がら、就職して社会人になるための準備をしてもらいたいという思いで指導している。

具体的には、まず文章を読んで1つの取引を仕訳することが基本となり、次にそれを順に正しく帳簿に記帳

していき完成となる。その過程の中で、仕訳の文章を読む読解力、基礎的な計算力と読み取った情報を正確に

書き写す能力等が必要になってくる。小学校、中学校と順調に学習してきた生徒にとっては容易なことでも、

基礎的な読解力と計算力を備えていない生徒にとっては理解することが難しいようである。

通常の授業では、説明して例題で解答を示し、それから別の問題を解答させる。正しい答を確認しながら考

え方や注意点等を確認し、また別の問題で確認すると言うのが、基本的な授業の流れになるが、どうしても授

業がマンネリ化してしまう傾向がある。今回は、公開授業の中で先入先出法による商品有高帳の記帳を普段は

使っていないパソコンで帳簿処理をさせてみたが、考えていたより生徒の反応は良くなかった。学習内容をも

う少し理解させた段階で行うことと、使用するソフトにもっと習熟させておくことが必要であった。

- 17 -

2 成果・課題・今後の展望

全経簿記能力検定3級(2月)全員取得を目指して1年間授業を行ってきた。ある程度の目標は達成するこ

とができたが、特別に支援を要する生徒に対して授業中に十分に対応することが難しかった。また、補習等も

行ったが、完全に理解させるまでにはいたらなかった。今後は、ほとんど計算ができない生徒や易しい言葉の

意味さえもあまりわからないような生徒たちにも知識を理解させ、記帳方法などを定着させて、1人でも多く

検定に合格ができるように指導していきたい。

「必要な情報を抜き出すための式変形の工夫」(1学年 数学I)岩崎勇司

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

本時の学習内容は、一般系で提示された 2 次関数の頂点を求めるために必要な「平方完成」という技法を学

ぶ時間であった。この単元には、「頂点を求めるために式変形を行う必要がある」という、目的意識を持った

式変形の必要性を生徒が特に実感しやすいという特徴がある。そのため本時の授業においては、まず一般系で

提示された 2 次関数のグラフを書くためには何が必要だろうか、という発問から授業を展開することにした。

また、本校の生徒の大半が小中学校での算数・数学から苦手意識を持っており、式変形を行う本時では大量

の練習時間が必要になるのではないかと予想を立てていた。そのため本時では、式変形の方法の妥当性につい

ては紹介程度にとどめ、練習時間を多めに確保することにした。

2 成果・課題・今後の展望

本校の生徒においては、自分で「こうではない

か?」「こうしたらよいのではないか?」といった

疑問や気づきが生じることは現状少なく、「知らな

いことだから説明してもらわないといけない」とい

う気持ちで授業に望んでいることが多い。そのため、

「グラフを書くためには何が必要だろうか」という

発問に対しては、一部の生徒が「形が違うからでき

ない」という回答をした一方、板書が進むまで話を

聞かずに待っている生徒が存在してしまった。

また、式変形の練習時間を多めに用意はしていたが、クラスの半数以上の生徒にとっては未だに小中学校の

計算が十分にできていないなどの問題から時間が不足しており、この 1 時間のなかで授業の目標である「平方

完成の式変形を行うことができる」を達成できていない生徒が存在している実情となった。

これらのことを踏まえ、今後は小中学校で行われてきた四則演算や式変形の練習の時間を一定数確保すると

ともに、2 択の質問などの単純な予想を授業はじめに問うことから、「知らないことだけどどうにかして知っ

ている(既習の)形に持って行けないか」といった疑問意識を持たせられる提示を継続して行っていければと

思う。

- 18 -

さらには、最終的には「先生はこう教えていたけど、ほかの方法はないか?」など自ら発展させる力を身に

つけさせ、主体的な学びが生涯を通して送ることのできる力を身につけさせればと考えている。

公開授業研修 第Ⅲ期(10 月 31 日)

「主体的な課題解決能力の育成を目指した授業の工夫」(1学年 家庭基礎)進藤 祐香

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

家庭科は、「普段の生活に役立つ」「将来生きてい

く上で必要である」等、授業評価アンケートからも生

徒の関心が高いことがわかる。一方で、複雑化する社

会において、自立して生活するための知識や課題解

決能力の不足により、若者がトラブルに巻き込まれ

ている現状がある。成人年齢の引き下げにともない、

特に「契約」や「家計管理」といった消費生活におい

て、主体的な課題解決能力の育成が高等学校家庭科

では求められている。本校生徒の多くは卒業後地元を離れるため、より具体的に自立後の生活をイメージでき

るよう授業の工夫を試み、主体的な課題解決能力の育成に向けて取り組んだ。

具体的な実践内容以下の通りである。

(1)出張授業「高校生向け消費生活教室」

消費生活の導入授業で、経済産業省 北海道経済産業局の方々を講師に招き、「高校生向け消費者教室」を

実施した。「契約」「問題商法」「トラブルに巻き込まれたら」「お金について」という社会に出て遭遇する

であろう内容を、ロールプレイを交えて実践的に指導していただいた。

(2)家計管理シミュレーション

収支を考えた家計管理として、シミュレーション学習を行った。まず、実際に各自の進路に応じた平均収入

を知り、そのなかでやりくりする家賃、水道光熱費、通信費、食費等の生活必需項目を考えさせた。個人で考

えた後、グループ、そして全体でシミュレーション結果とその感想を共有した。

2 成果・課題・今後の展望

「高校生向け消費生活教室」では、外部講師による専門的な視点からの講義、生徒が主体となったロールプ

レイを通して、自立後の消費社会の実際を具体的にイメージできたようである。生徒からは、「実際にその場

面になると意思表示ができないかもしれない」「雰囲気にのまれそう」「日頃からどう対処するか考えておか

なければならない」等、危機感をもった感想があり、消費生活の導入授業として自身の消費行動の意識付けと

なった。

- 19 -

家計管理シミュレーションでは、支出が収入をオーバーする生徒もおり、実際にやりくりする大変さを実感

させることができた。それと同時に、全体で共有した内容のなかには、「こんなに少ない収入では生活が苦し

くて毎日が楽しくない」という声も見られた。限られた収入のなかでも日々の生活に楽しさや生きがいを感じ

るためには、「生活の工夫を楽しむ」「近い将来の目標を立てる」などがあげられた。生徒から発展的なまと

めが出てきたことは大きな成果である。

今後も、外部の専門機関による出張授業の効果的な利用や、生徒がより具体的に生活をイメージすることが

できる教材の選択を研究し、主体的な課題解決能力の育成を目指して授業の工夫に努めていきたい。

「見通しを持たせた実験をおこなうためには」(1学年 科学と人間生活)福島 義己

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

科学と人間生活は、中学校までに学習した内容を基礎として、自然に対する理解や科学技術と日常生活との

結びつきについて、理科の見方・考え方や科学的に探究するためなどの資質を育成するという点が特性である。

現状として、実験を行う上で、生徒が見通しを持たせて実験等を実施できていないことが挙げられる。その結

果、生徒の中には実験を行う意義や理由を理解できていない者が多くいる。

そのため、私自身の科学と人間生活の授業では、実験等を行う場合に「何のために行うのか、予想して仮説

を立てて検証すること」を明確にできるように意識をして授業を行っている。本授業の実験等では、中学校で

の学習事項(自然事象等)について復習を行い、中学校の学習事項から新たな課題や疑問点を見いだし解決し

ていく姿を目指している。本授業では、日常生活で起こる現象から、光が空気中からガラス中に進むときに起

こる屈折を調べる課題を設定した。その手立てとして、中学校で扱った「屈折」を「屈折率」として定量化し

ていくことで課題解決に近づいていくことを計画した。

2 成果・課題・今後の展望

日常生活で起こる現象を用いて、中学校の学習内容

を丁寧に復習したことで、生徒には「屈折」について

の実験を行うという見通しを持たせることができた

と考えている。しかしその一方で、「なぜ屈折率を計

測するのか」、「なぜ屈折率を求めるにはこの値を計

測するのか」といった実験方法の意図(必要性)や「屈

折率はどんなことを示しているのか」といった考察

(検証)に関する部分が生徒に伝わっていないと強く感じた。今後の展望(来年度)としてこの課題点を解決

するために。生徒自身が検証したいことを明確にした上で実験方法の設定を行わせたいと考えている。そのた

めには、実際に実験器具を用いた自由試行の時間を十分に設けることや実験方法を考える前に十分な知識を身

に付けさせることで可能にしていきたいと考えている。

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公開授業研修 第Ⅳ期(11 月 15 日)

「基礎基本的事項の理解定着と思考・判断・表現力の育成」

(3学年 政治・経済)福田 浩

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

3学年における政治・経済という教科は中学

時代の公民分野、高校2年時の現代社会と2度

学んでいる分野であるが、さらに内容的には難

しくなっている。しかし、生徒の殆どは中学

時、高校時の基礎的・基本的な事項の理解・定

着が殆どなく、簡単な事項の復習から始めなく

てはいけない。そのため、まずは基礎的・基本

的な事項の理解度を確認し、その上で、なぜこ

のようになったのかという事を既存の知識から

考えて判断し、書き起こしてみることで、自分の考えを表現できるようにさせたいと考えた。3 年生は教科

書の漢字は読めるが、その意味や原因・結果の歴史的過程やその背景など基礎的な知識が不十分であり、ま

ずはそれを教授すること。また、進学や就職をすぐ目の当たりに控えた学年ということで、小論文や作文な

ども課せられるので、日常的に限られた時間で自分の考えをまとめ、書くという事に慣れさせる意味もあ

る。こういった日々の取り組みによって、今までやってきていないであろう事に対してのシミュレーション

ができるはずである。政治・経済という教科の一般常識的勉強だけでなく、進学・就職に対する対策になっ

てほしいという展望である。

2 成果・課題・今後の展望

実際に大学入試センター試験の問題には政治・経済の授業でやった内容が現代社会分野でも何問か出てい

た。ただし、生徒は授業を聞いていなかったのか、理解度が低かったのか、本番の問題はできてはいなかっ

たようだ。そして、資料から読み取る問題ができていなかった。現在の1・2学年の生徒は現3学年より

も、学習の基礎基本の定着が低い。まず、漢字が読めない生徒が非常に多く、まずは教科書の音読から行っ

ているが、大学の一般入試レベルにはほど遠い現状である。疑問に思った事はすぐに調べるという知的好奇

心の育成からスタートさせていきたい。そして、授業の中でも資料から読み取るという事をもっと取り入れ

ていこうと考えている。

- 21 -

「基礎基本的事項の理解定着について」(2学年 現代文 B)河野 隼人

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

一部の生徒を除き、大部分の生徒が勉強に対して苦手意識を持っている。しかし、学習意欲に関しては高

い生徒が少なからずいるので、涵養的な指導を心掛けている。また、わからないことに関しては正直な反応

を示してくれるので、理解が不十分な箇所がどこなのか把握しやすい。机間指導を通して生徒の疑問に答え

ている。

本教材は主に「イソップ寓話」を用いて人生を考

え直す機会を提供してくれるものである。本文を読

んでいくと、注釈が与えられてはいるものの生徒に

とって馴染みの薄い用語が数多く書かれている。ま

た、本文の内容自体も生徒にとって理解が難しいも

のであることが予想される。本文中に出てくる用語

に関しては、丁寧な説明を心掛けた。また、本文の

内容自体も生徒にとって理解が難しいものなので、

実際にモニターに画像を映し出す等、説明に工夫を

加えた。最終的には、発表を通してそれぞれの「経験の教え」について考える機会を設けた。

2 成果・課題・今後の展望

今回は語句確認、音読、ノートにまとめる活動を通して段落の内容を理解することが目標であり、学習課

題集の問題の取り組みの結果で成果を確認した。また興味・関心を持って、主体的に取り組んでいるかも評

価の材料とした。結果として、段落の内容は多くの生徒が理解できていた。また、授業規律に関しても問題

が無いように思われた。

授業後の講評で、教師が生徒に「教えた」ことを「確認」する活動になっており、そこからさらに「主体

的に考えさせる」必要があるとの指摘を受けた。その講評を受け、単元の最後には発表を通してそれぞれの

「経験の教え」について考える機会を設けた。生徒それぞれが考えを共有する良い機会となった。今後の授

業でも、「国語科としての生徒の考えを共有し深める」活動を行っていきたい。

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公開授業研修 第Ⅴ期(12 月 20 日)

「生徒実験を取り入れる授業」(1学年 化学基礎)先田直裕

1 取り組みの意図、ねらい(教科の特性と現状・授業での具体的な取り組み 等)

理科は現実に起こる現象・起こりうる現象・存

在する現象を紐解く学問であり、高校で扱う授業

内容についても難易はあるが、どれも(過去に検

証された)現実の現象である。また、中高生の理

科離れが叫ばれて久しいが、私が関わった中学生

~高校生からは「中学ではいつも実験をやってい

た」「高校では全然やらくなった」「(だから高

校は)つまらない」という声を聴くことがあっ

た。授業をどのように進めるのか、生徒に科学に

関する事象や考察を追体験させる“学校の授業”において何をどの程度の重さで扱うかは、すべての理科教員

がいつも悩んでいることだと思う。実験については、安全面・費用面・時間等の都合から教師の演示実験に

留める選択も当然あってよいのだが、私は可能な限り生徒実験を行うべきだと考えている。これは理科で扱

うものが観測可能な実体であるという特性と、自分で行動したこと・経験したことのみが定着し将来的に活

きるとの考えに基づいたものである。

4月に赴任してから、羅臼高校の生徒の様子・中学校での学習の定着度合・羅臼高校の教育設備の充実度

などを手探りしながら授業を行ってきた。設備や実験器具の数・種類は十全ではないものの、ありがたいこ

とに生徒は意欲的に実験に取り組む様子であったため、私も授業・実験の準備~実施に力を入れることがで

きた。また、事務室の協力により年度の途中でも器具や薬品の拡充を進められたことも、大きな後押しとな

った。

公開授業研修が当たっていた 12 月末は「酸と塩基の反応」「中和反応」の分野を扱っている時期であっ

た。「中和反応」の授業での実験といえば酸・塩基の追加による pH 変化を指示薬によって確認したり、塩

化アンモニウムの白煙を観察したり、酸塩基の等量混合物から生成した物質を推定したり、食酢中の酢酸濃

度測定などが考えられる。公開授業研修では、濃度既知の酸塩基を少量ずつ混合し、万能 pH 試験紙を用い

て測定した pH の値から滴定曲線を描く実験を行った。

2 成果・課題・今後の展望

公開授業研修の以前にホールピペットの使い方、指示薬の使い方、万能 pH 試験紙の使い方については生

徒実験を行っている。既習事項の組み合わせであるが操作量が多いため、班によってはぎりぎりまで時間が

かかったところもあった。生徒は 50 分すべてを使い、概ね滴定曲線の特徴的な pH ジャンプを描くことがで

きた。なぜこのような変化をするのかについては、時間の都合と化学基礎の範囲外であることから扱わない

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が、生徒に教科書に記載されている情報を単に「そうなるらしい」と受け取らせるのではなく「実際にやっ

たらそうなった」と経験させることができた。

以前行った授業評価アンケ―トでは、生徒から実験を行う授業について肯定的な意見をもらっている。も

ちろん、実験を行うばかりの授業では年間で扱うべき内容を扱いきれないし、知識の確認や定着を図るには

演習や座学講義的な授業スタイルの方が効果的である。授業で何をどの程度の重さで扱うか、今後も生徒と

対話しながら検討~実施していきたい。

蛇足になるが、教育の充実には教員個人の努力だけではなく、アイディアを実現するための環境・雰囲気

も必要である。私個人が研鑽に励むとともに、学校全体が場として充実していくように皆で連携を取りたい

と思う。

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2 研修の成果・課題

1.授業評価アンケートの結果から

6月・11月に授業評価アンケートを実施した。

(1)集計結果

項目ごとに、4:そう思う、3:ややそう思う、2:あまりそう思わない、1:そう思わない で回答。

それぞれ4点、3点、2点、1点とポイント化した。その後、科目ごとで平均を出した後、グループごと・

全体で平均を取った(科目ごとのポイントの総和/科目数)。

設問 学年 1 学年平均 2 学年平均 3 学年平均

6 月 11 月 差 6月 11 月 差 6 月 11 月 差

① 予習・復習 2.78 2.74 ↘ -0.04 2.80 2.83 0.03 3.17 3.23 0.06

② 授業規律 3.25 3.16 ↓ -0.10 3.48 3.51 0.03 3.65 3.65 0.00

③ 理解度 3.01 3.01 -0.01 3.13 3.17 0.05 3.23 3.23 0.01

④ 興味関心 2.93 2.91 -0.01 3.00 3.09 0.09 3.08 3.06 -0.02

⑤ 進む速さ 3.20 3.22 0.02 3.27 3.37 ↑ 0.10 3.44 3.48 0.04

⑥ 話し方 3.34 3.37 0.03 3.40 3.55 ↑ 0.15 3.40 3.45 0.05

⑦ 説明の仕方 3.19 3.24 0.05 3.29 3.45 ↑ 0.16 3.36 3.41 0.05

⑧ 主体的な活動 3.05 3.16 ↑ 0.11 3.26 3.44 ↑ 0.17 3.50 3.41 ↓ -0.09

⑨ 発言への対応 3.24 3.38 ↑ 0.14 3.47 3.57 ↑ 0.10 3.54 3.45 ↓ -0.10

表1.全学年の結果集計

(2)「主体的な活動・発言への対応」に関する項目について

授業評価アンケートの授業の理解度を問う「主体的に活動(発表・意見交換・考察・実習 etc.)できる機

会を用意していたか」(表中の「主体的な活動」)という質問項目をもとに分析を行う。1・2学年では、

改善傾向である。しかし3学年では、悪化の傾向がみられた。

また、「生徒への発言・質問にきちんと対応していたか。」(表中の「発言への対応」)についても数値

は違うが同様の結果がみられた。

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(3)「学習意欲の高揚」に関する項目について

学習の興味・関心を問う「興味関心がわき、もっと学びたいと思いますか」(表中の「興味関心」)とい

う項目を中心に取り組みについて検証していく。1・3学年では、同程度の数値の悪化が見られた。2学年で

は改善傾向である。

(4)「授業規律」に関する項目について

授業規律について問う「始業着席や私語をしない、居眠りをしないなどの授業規律についてよく守れたと

思いますか。」(表中の「授業規律」)という項目を中心に取り組みについて分析していく。3年生につい

ては、あまり大きな変化は見られなかった。2 年生については、わずかではあるが、改善の傾向がみられた

のに対し、1年生は、大幅に悪化していることがわかる。

(5)分析と評価

今年度の取り組みについての分析を昨年度の結果との比較をしながら行っていく。ただし、教員の異動や

生徒の状況の変化もあるため、正確な比較はできないが、参考として行っていく。昨年までの取り組みの内

容と今年度の取り組みについてどちらのほうが生徒に成果が出るのかを見ていきたい。

設問 1 年 2 年 3 年

6月 11 月 差 6月 11 月 差 6月 11 月 差

生徒の取り組み

授業の予習・復習をよくできた 2.77 2.91 ↑ 0.14 2.86 2.80 ↘ -0.06 2.65 2.60 -0.05

授業規律を良く守れた 3.48 3.49 0.00 3.43 3.40 -0.04 3.43 3.42 -0.01

授業をよく理解できた 3.24 3.34 ↑ 0.10 3.12 3.10 -0.02 3.12 3.15 0.03

興味関心がわき、もっと学びたい 3.06 3.19 ↑ 0.14 2.97 2.93 -0.04 3.09 3.06 -0.03

教員の取り組み

進む速さは合っている 3.51 3.50 -0.02 3.41 3.44 0.03 3.31 3.48 ↑ 0.17

話し方・声の大きさは適切か 3.57 3.64 ↗ 0.07 3.47 3.41 ↘ -0.06 3.40 3.48 ↗ 0.08

説明の仕方は工夫されているか 3.52 3.64 ↑ 0.12 3.39 3.35 -0.05 3.31 3.45 ↑ 0.14

主体的に活動できる機会があったか 3.47 3.62 ↑ 0.15 3.50 3.48 -0.03 3.45 3.47 0.01

生徒の発言に対応していたか 3.63 3.70 ↗ 0.07 3.59 3.60 0.01 3.58 3.66 ↗ 0.08

表2.昨年度の結果(1・2 年)

昨年度の数値より今年度の数値のほうが向上または、横ばいの傾向がみられるが、そもそものポイントで

見ていくと、昨年度よりも結果が低い項目が多いことが課題としてあげられるだろう。

理由として昨年度については、研究テーマを設け、そのテーマについてグループでの研究・研修を行って

きたことで、わかりやすく授業改善等を行うことができたことが言えるだろう。今年度についてもテーマの

設定をし、授業後に合評会などを行い深められるような内容ではあったが、共通した理解ではなかったた

め、各先生方の裁量になってしまったことで今回の結果になってしまったのだろう。

ここで一つ気になる点がある。

- 26 -

1学年については、主体的な活動について、6月より良くなったと感じた生徒が増えたにも関わらず理解度

が低い。3学年を見てみると、主体的な活動があまり多くない、良い内容ではないと感じた生徒がいるから

か、あまり理解度が上がっていない。

これについて見てみると、現在の授業や教員の質が問われているのではないかと感じる。

事実、「協同学習」や「グループワーク」といった単語が飛び交う今、本校でも取り入れている教員は少

なからずいる。しかしその質が、話し合いをさせていれば良い、グループで考えることをすれば良いと感じ

ているのかもしれない。ただし、ここで考えていただきたいのは、主体的な活動を取り入れなかった場合に

ついても、大きく理解しているとは言えないことが問題である。

ということは、あくまで授業においての手法ではなく、教員から生徒への手立てであったり、考え方の質

であったりが大きく下がってしまったのではないだろうか。また、今年度特に生徒の学力差など個に応じた

指導・対応をする場面、生徒理解の希薄化も垣間見える時があった。学力差のある本校での指導ではない場

面であったり、学力の低い生徒への対応がなくここまで来た教科であったりなどさまざまである。

この研修においては1年間という長期間での取り組みであるため、定期的な交流や振り返りはもちろん必

要である。しかし本校では、具体的な研究テーマや研究内容の提示をし、より良い授業改善のための場を提

供できるように、教務部主体となり、推進していく必要があると感じる。

- 27 -

平成31年度高校生の水産教室 実施報告と来年の展望

1.はじめに

高校生の水産教室は、海洋生物の授業の一環として行われている事業である。本校のほかに、羅臼町教育委員

会や羅臼町漁業協同組合が主催となっており、時には町民のご協力をいただきながら学んでいく活動である。こ

の活動は主に、漁師が仕事で使うロープの結び方や、ダイビング実習を行い羅臼の海を潜る活動などを通して、

羅臼町の海洋および海洋関係者とふれあいながら学習を行うものである。

また今年度からは、希望者は国家資格である「潜水士」の受験が可能となり、知床ダイビング企画の協力のお

かげにより今年度は 2名の生徒が潜水士資格を取得するに至った。

2.今年度の主な活動報告

今年度の主な活動は「ロープワーク」「ダイビング講習・実習」「羅臼町の産業に関わっている人との学び」で

ある。

ロープワークでは、地元の漁師達を本校に招き、実際に漁で使われているロープの結び方を 4時間かけて学習

した。また、実際に自分たちが学んだ結び方がどのように使われているのかを学習するために漁港に伺い、2 時

間かけてロープの使われ方や、漁師の仕事風景などを見学した。

ダイビング講習では、知床ダイビング企画の協力の下、ダイビングの機材や危険性、楽しさなど様々なことを

学んだ。特に危険な行動や生物など命に関わる内容が多く、十分に海の危険性を認知した上でダイビング実習に

向かうこととなった。

ダイビング実習では、実際に羅臼町の海洋に潜る経験をした。ここでは、

講習で得た知識を活かしながら実際にダイビングを行った。最初はなかな

かうまく潜ることができなかった生徒も、次第に深くまで潜ることができ

るようになっており、充実した時間を過ごすことができていたようである。

生徒からは、「普段見ていたり、地元の漁師から話を聞いて知っているつも

りになっていた海の新たな一面を知ることができ、とても楽しかった。」と

いう感想も聞くことができた。

羅臼町の産業と関わっている人との学びでは、ウニ苗床センターの見学、セリや加工場の見学、標津町にある

サーモン科学館の見学などさまざまな場所に赴き、施設の方の話を聞いた。また鮭トバ加工実習として、2 日間

かけて鮭トバを加工する体験も行った。さらには、株式会社ケミクル代表取締役の芦崎様や元知床羅臼町観光協

会事務局長の池上様を本校にお招きし、産業のブランド化や商品等のプレゼンテーションの方法等についてのご

講演いただく機会も設けた。

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3.来年度の展望

今年度の反省点は主に次の 2 点である。一つ目は「事業を行うだけで学びを深める機会がないこと」、二つ目

は「例年同じ内容が多く、変わりゆく地方の実情に合わせ変化させていくべきこと」である。

一つ目の反省点では、事業を行いはしたが、それを振り返り、学ぶ時間がないため、生徒にとって「楽しかっ

た時間」等の感想で終わってしまっている場面がいくつか見られた。ただ事業を行うだけではなく、例えば「ダ

イビング実習を行い、海洋の様子を撮影することで、過去の写真を比較しどういった変化が見られるのか」等を

知り、その変化の原因や課題の改善方法について考察していくなどの活動を取り入れていくことができれば感想

で留まっていた生徒にも充実した学びを提供できるのではないかと思う。

二つ目の反省点では、毎年のように同じ活動が行われている現状があるようである。羅臼町の漁業の実態等や、

町全体の産業等は変容していっているため、それらに対応したカリキュラムを組み直していく必要性が生じた。

今年度ではそのための取り組みとして、羅臼町の観光業や商工業なども含めて学ぶことのできるカリキュラムを

作成している途中である。今後もより広い視点から羅臼町の産業について学んでいくことができるカリキュラム

を作成していくことになる。

今年度の主な成果としては、2 名の生徒が国家資格である「潜水士」に合格することができたことである。こ

の活動は今年度から始まった取り組みであり、知床ダイビング企画の協力の下、2 月に行われる試験のための講

習を受け、潜水士試験に向かった。生徒たちは、ダイビング講習で得た知識を用いながら講習を受け無事合格す

ることができた。来年度からも受験を促し、合格者を出していくことができればと思う。

▲ 今年度潜水士試験の合格した2名

校外研修・視察

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遠隔授業研修 視察報告 川下慈博・先田直裕

遠隔教育システムの実践校(北海道阿寒高校)へ行き視察してきた。阿寒高校は穂別高校と連携して遠

隔教育システムを利用している。

訪問日程:令和元年 11 月 19 日

訪問先 :北海道阿寒高等学校

◆遠隔システム利用のねらい

郡部にある小規模校であっても、可能な限り、都市部と変わらない教育環境を提供するとともに、

教育水準の向上、充実を目指す。

◆授業での利用

2年生 コミュニケーション英語

2単位 木・金曜日

テスト合格者11名で編成

4単位を2年、3年で2単位ずつ分割して実施

直接対面でする授業もある(5月・12月の2回)

◆主要5教科以外(総合的な学習の時間)での活用

遠隔システムを活用した授業の実施を通して、学校の行事

や特色ある取り組みについて相互に発表を行い、成果や課題

について意見交換する中で、自校の活動の良さや課題を再認

識する。

地域連携特例校間交流(穂別高校との交流)に利用して

いる。

実施は第1・2学年 各学年1回2時間を2回ずつ。

内容は互いの学校紹介、地域学習の発表。

◆取組概要

事前準備

・6 月頃 教務担任等関係者による打合せ

・8 月 31 日(金) 遠隔システムでの両校教員打合せ

《1学年》

①11 月 21 日(水) 阿寒幼稚園との交流〈阿寒高校〉

②12 月 7日(金) 町内バス見学、小中高体験型プロジェクト

《2学年》

③12 月 18 日(火) 台湾への見学旅行 〈阿寒高校〉

④ 1 月 25 日(金) 見学旅行 〈穂別高校〉

◆成果等

穂別高校との交流を通して、自校の行事や活動の良さを再発見するとともに、課題の検証と改善策

について話し合うことができた。

そ の 他

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創作料理プロジェクト活動報告

担当教諭 家庭科 進藤 祐香

商業科 川下 慈博

はじめに

今年度でプロジェクト始動7年目となった。本プロジェクトは、高校生の自由な発想による地域素材

を使ったメニュー開発を通し、主体的な課題解決能力や郷土愛の育成および地域活性化を目的とし、

本校と羅臼町教育委員会が協同で取り組んでいる。活動には、飲食業連合会をはじめ、漁業協同組

合、地元製造業者等、多くの方にご支援、ご協力をいただいており、地域が一体となった取り組みと

なっている。

今年度は、本プロジェクト立ち上げ同年から挑戦してきた「高校生チャレンジグルメコンテスト

in Hokkaido」の開催日が変更となり、本校生徒の実態や学校行事の日程から出場が難しいことがわ

かった。プロジェクトメンバー、羅臼町教育委員会担当者で話し合い、今後は『「らうす大漁焼き」を

羅臼町の名物に!』を目標に活動することを決めた。

1 考案メニューの商品化

羅臼町のシンボルマークを象った焼き台を町が製作してくださり、長年の目標だった羅臼高校考案メ

ニューの商品化が実現した。この焼き台で作る「らうす大漁焼き」は、プロジェクト1年目に考案したメ

ニューで、羅臼産鮭節の出汁がきいた生地が他にはない、羅臼高校オリジナルメニューである。今年度

は、元祖の味2種に加え、新たに3種の味を考案し、生徒たちはお客様に選ぶ楽しさを提供することを提

案した。また、町の大きな支援を受け、東京で開催された「知床物産展」に参加させていただき、広い視

野で知床羅臼の魅力やその価値、地域活性化について考えるきっかけとなった。

2 町内グルメフェアの開催

今年度は、過去6年間の考案メニューを町内の飲食店で食べることができ

る「知床羅臼高校生グルメフェア」の開催にこぎ着けることができた。これ

までも開催の提案を町内飲食店に呼びかけてきたが、高校生が考案したメニ

ューを店舗で再現して販売することは、コスト面、作業効率面から難しいと

いう声があり実現できなかった。今年度は、提供品の規格を各店舗が取り組

みやすいよう幅を広げることで、3店舗にご協力いただき実施することがで

きた。実際に各店舗やイベント協力業者と打ち合わせを行い、生徒たちは地

域の人と連携して町の活性化を目指していくことを改めて実感したようで

あった。

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おわりに

これまでの活動実績や、「らうす大漁焼き」を町の名物にし

たいという本プロジェクトの熱意が評価され、STV「高校

ブンカ部」応援プロジェクト様から今年度の応援校に選出してい

ただいた。贈呈された調理器具や店舗装飾品を大切に活用させて

いただき、今後も精力的に活動していきたい。

今年度も、多くの地域の方のご尽力をいただき活動することが

できた。特に、長年の目標であった考案メニューの商品化と町内

店舗での提供を実現できたことは大きな成果である。

多くのご支援・ご協力を賜りました皆様に、深く感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。

【活動内容】

〈Happy Camp IN 知床羅臼〉

日 付 9月14日

場 所 羅臼オートキャンプ場

〈漁火まつり〉

日 付 9月22日

場 所 羅臼漁港全天候型埠頭

〈知床アウトドアフィルムフェス2019〉

日 付 10月20日

場 所 知床自然センター(斜里町)

〈知床物産展〉

日 付 11月23日・24日

場 所 千歳船橋駅前広場(東京都世田谷区)

〈国際交流事業〉

日 付 2月22日・23日

場 所 羅臼町観光船乗り場・道の駅

〈知床羅臼高校生 グルメフェア〉

日 付 2月22日~3月31日

場 所 食事処いさり火・知床サライ・川ばた

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令和元年度(2019 年度)高等学校 OPEN プロジェクト実施報告書

研究指定校 北海道羅臼高等学校 教育局 根室教育局

1 研究主題

地域連携による持続可能なふるさと知床羅臼における人材育成

~さまざまな地域資源を活用した郷土愛の醸成~

2 研究実践内容

月 実 施 内 容

5月

6月

7月

・水産教室「開級式・記念講演」( 13日)

漁業後継者の育成を目的とした学校設定科目である海洋生物の開級式及

び記念講演を第3学年生徒が参加のもと実施された。記念講演は「羅臼町

を支える産業の担い手」と題してトークセッションが行われた。

・水産教室「ロープワーク」( 20日・28日・ 6月3日)

海洋生物(学校設定科目)において、羅臼漁業協同組合の協力のもと、

ロープの結び方や船についての知識を学んだ。3回目は羅臼港において、

実際に漁船や漁網で使われている結び方を見学した。

・水産教室「ダイビング講習」( 13日・17日・24日・7月1日)

海洋生物(学校設定科目)において、知床ダイビング企画と連携し、ダ

イビングライセンスを取得するための講習を実施した。

・インターンシップ( 19日・20日)

総合的な探求の時間で、第2学年生徒全員が町内21の事業所において

インターンシップを実施した。

インターンシップ発表会( 3日)

総合的な探求の時間で、第1学年生徒参加のもとインターンシップ発表

会を実施した。

・キャリアプランニング( 18日)

第1・2学年を対象に、進学・就職説明会を実施した。

・中高一貫生態系学習( 19日)

総合的な探求の時間で、第3学年を対象に斜里町岩尾別台地において、

知床の歴史と自然を総合的に学んだ

・水産教室「ウニ種苗センター見学」(22日)

海洋生物(学校設定科目)において、羅臼漁業協同組合の協力のもと、

ウニの養殖法について学んだ。

・中高一貫クマ学習( 22日)

総合的な探求の時間で、第2学年を対象に知床財団の職員による「クマ

学習」を実施した。

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8月

9月

10月

11月

・創作料理プロジェクト「メニュー開発」( 22日)

創作料理プロジェクトメンバー6名により、過去に開発したメニューの

ブラッシュアップを行った。

・水産教室「ダイビング実習」( 8月26日・2日・12日・17日・24日)

海洋生物(学校設定科目)において、知床ダイビング企画と連携し、ダ

イビングの実技を実施し、ダイビングライセンスを実施した。これらの知

識や技能を用いて、救助方法についても習得することができた。

・創作料理プロジェクト「ハッピーキャンプ」出店( 14日)

町内キャンプ場でのイベントに出店

・創作料理プロジェクト「漁火まつり」出店

羅臼町産業祭において出店

・水産教室「ブランド化・マーケティング学習」( 7日)

海洋生物(学校設定科目)において、株式会社ケミクル代表・芦崎拓也

氏より本校で開発した創作料理のブランド化についてご指導いただいた。

・中高合同講演会( 8日)

知床未来中学校と本校の全校生徒に日本キリバス協会代表理事ケンタロ

オノ氏より「だれ一人取り残されないために=私の国キリバスと地球温暖

化=」と題した講演をいただいた。

・創作料理プロジェクト「知床アウトドアフィルムフェス2019」出店( 20日)

斜里町ウトロにある知床自然センターにて出店

・水産教室「鮭に関する実習」( 21日)

海洋生物(学校設定科目)において、標津サーモン科学館の協力をいた

だき、鮭の採卵、受精を実施した。

・らうす高校生議会( 21日)

第2学年が現代社会の授業において、地域の課題解決に向けた高校生議

会を羅臼町議会を会場として開催した。

・浜中学報告会( 26日)

第3学年が浜中学報告会において、「知床学」を報告し、霧多布高校と

交流した。

・水産教室「鮭とば加工実習」( 28日)

海洋生物(学校設定科目)において、羅臼漁業協同組合の協力をいただ

き、鮭とばの加工を体験した。

・中間発表会( 31日)

・水産教室「観光・体験プログラム」( 5日)

海洋生物(学校設定科目)において、羅臼に観光客誘致の手立てについ

て議論をした。

・巡視艇「てしお」乗船( 8日)

第1学年がLHRの時間において、地域の基幹産業である漁業と密接に関

係する海上保安業務について理解を深めることができた。

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12月

2月

3月

・水産教室「郷土料理実習・加工品作り」( 11日)

海洋生物(学校設定科目)において、羅臼漁業協同組合女性部の協力の

もと、タラとイカを使った郷土料理の調理実習を実施した。

・水産教室「プレゼン学習」( 18日)

海洋生物(学校設定科目)において、前知床羅臼町観光協会事務局長の池

上美穂氏により、知床及び根室管内の魅力をどのように発信していくかという

講話をいただいた。

・創作料理プロジェクト「知床物産展」出店(23日~24日)

東京都世田谷で開催された知床物産展において出店

・羅臼町ユネスコスクール研究発表会( 7日)

羅臼小学校において羅臼町の小・中・高の実践発表会を実施した。

・対馬学フォーラム 2019参加(7日)

野外観察(学校設定科目)履修者のうち2名が、対馬市において学習の

成果を発表した。

・水産教室「閉級式」( 10日)

海洋生物(学校設定科目)の閉級式及び記念講演を全校生徒対象に実施

された。羅臼町地域おこし協力隊 大石陽介氏より「羅臼のふつう、みんな

のふつうはワールドクラス」と題して講演をいただいた。

・進路報告会( 18日)

総合的な探求の時間で、第1・2学年および知床未来中学校第2学年の

生徒に向けた報告会を実施した。

・創作料理プロジェクト「知床羅臼グルメフェア」( 22日~ 3月31日)

創作料理プロジェクトで過去に開発したメニューを町内飲食店で提供

し、名物化を目指す。

・創作料理プロジェクト「国際交流事業」( 22日・23日)

観光船乗り場にて、インバウンドに対応した実践販売を実施。

・ライフプランニング( 26日)9月より全14時間実施

総合的な探求的の時間で、第1学年が自分の就きたい職業について調

べ、発表した。

・生態系学習( 5日)

第1学年が総合的な探求の時間において、知床ネイチャークルーの協力

により、ワシの生態系について学習した。

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3 地域みらい連携会議の開催内容

第 1 回 令和元年5月29日(水) 14:00~15:30

出 席 者 三浦校長、宮前委員、高野委員、髙橋委員、福田委員、今泉委員、竹守委

員、下栃棚委員、庄司委員

協 議 内 容 ・事業の趣旨、実施計画について説明

・各種事業について協議

指導・助言

を 受 け た

内 容

(1)創作料理プロジェクトについて

・料理コンテストにこだわらず、商品開発を継続することが大事。

・パッケージを含めて料理の見せ方を工夫することが課題の一つにな

る。

・商品開発について、地域の企業といかに連携を図っていくか。とい

うところが課題。

(2)インターンシップについて

・高校生と大人が地域の課題を見つけ出して解決に導くプロセスを。

・課題解決型のインターンシップの在り方と、それを支える地域の取

組が必要となる。

・高校生が各事業所の課題を聞き取ってファイリングしてみてはどう

か。

第 2 回 令和2年2月20日(木) 14:00~15:30

出 席 者 三浦校長、野田委員、今泉委員、竹守委員、福山委員、庄司委員

協 議 内 容 ・今年度の各事業について報告

・来年度事業について協議

指導・助言

を 受 け た

内 容

(1)インターンシップについて

・事業所から来てほしいと言われるものにしていってほしい。

・職種が広がっているように思われる。

・これから設立される企業、新たな形態の企業が羅臼町に進出してくる。

これらの企業とパイプを繋げていくことが求められる。

(2)水産教室について

・地域の講師を有効に活用している。それぞれのプログラムにうまくマッ

チングさせている。

・獲った魚が流通して食卓まで。をイメージできる事業となるようにして

いくことが大事。

(3)高校生議会について

・町内の行政視察を実施してから質問を考えてみてはどうか。地に足のつ

いた質問になるし、質の高い議会となる。

(4)創作料理プロジェクトについて

・今後は、経営の視点からの販売、商品開発することを期待している。

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4 研究の成果と課題

(1) 目的の達成状況

○:成果 ●:課題

○ 学校設定科目や創作料理プロジェクト等の活動を通し、主体的に地域を愛し、元気

づけようとする心は醸成されている。

● 地域を活性化させるための具体的な手立てや方法についてのいくつかの案はあるも

のの、深まりが足りない。

○ 地元の企業や団体とは良好な関係を築きあげることができており、非常に強力

的である。

● 課題解決型のインターンシップの在り方を模索し、地域企業の理解を仰ぐ必要

がある。

(2) 目標の達成状況

● 羅臼町教育委員会主催の「知床学検定」の全校生徒における受験者の割合が、平成

30年度の32.6%から26.3%と年々減少しており、何らかの対策を立てなければならな

い。

● 地元への定着率向上に向けて、就職希望者のうち、地元への就職率が平成30年度の

45%から31%に下落している。特に女子において地元から離れる傾向にある。

(3) 実践研究の規模

○ 海洋生物とフードデザインの合同授業を実施することができ、教科横断的な連携を

さらに広げていきたい。

○ 中学生との合同講演会や、中学2年生を招いての報告会など、連携を図った

取組となっている。

(4) 研究成果の普及

○ 毎月、学校だよりを発行し、町内全戸(約2000部)へ配布することにより、研究

内容や成果を広く地域に広報できた。

○ 対馬学フォーラム2019に参加し、学習の成果を発表した。

○ 羅臼町ユネスコスクール研究発表会において、地域の方々に学習の成果を発表し

た。

○ らうす高校生議会を実施し、地域の課題解決に向けた提案をすることができた。

(5) 実践研究内容

○ 羅臼昆布と真昆布のグルタミン酸の調査研究

○ 海洋生物履修生2名が潜水士の資格取得

(6) 地域みらい連携会議

○ 本事業の実践について助言をいただき、3年次の取組に向けての方向性を共有する

ことができた。

● 会議は2度の開催に終わった。事業の進捗状況を報告する場を設けたいが、

時期の設定が非常に難しい。

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5 プロジェクトの達成状況

(1) [評価の観点]本道の基幹産業を支える人材や、地域を守り支えていく人材の育成

について

(評価)

学校全体として、本道の基幹産業や地域を支える人材の育成につながった取組

となった。

(評価した理由)

・「知床学」に関する学校設定科目を設置し、地域を理解し、地域を愛す

る教育内容となっている。

(2) [評価の観点]地域の自治体や企業、産業界等の関係機関との協働について

(評価)

地域の自治体や企業、産業界等の関係機関と協働した取組を実施し、成果や課

題を共有している。

(評価した理由)

・海洋生物などの学校設定科目に、多くの地域の方を講師として招いてい

る。

・創作料理プロジェクトが過去に開発したメニューの中から、町の名物化

にしようとの動きがスタートした。

・創作料理プロジェクトが過去に開発したメニューを町内飲食店が提供す

るグルメフェアを開催した。

・らうす高校生議会を開催し、地域の課題解決に向けた取組となってい

る。

(3) [評価の観点]生徒の主体性について

(評価)

生徒は、指示の範囲で主体性を持って取り組むことができている。

(理由)

・対馬学フォーラム 2019や羅臼町ユネスコスクール研究発表会など

・創作料理プロジェクトメンバーへの加入は任意であり、また、自ら活動

内容をSNSで発信している。

(4) [評価の観点]地域課題の解決状況について

(評価)

地域課題を把握し、取り組んだだけに留まっている。

(理由)

・らうす高校生議会において、地域課題解決に向けた提案をしたが、内容

に深まりがない。

・創作料理プロジェクトの開発したメニューの名物化に向けた取組は始ま

ったばかりであり、もう少し時間をかける必要がある。

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北海道新聞夕刊 令和元年 10月 24日

6 今後の取組

・羅臼町制施行 120周年事業において、生徒がボランティアとして多くの事業に関わる取組を進めたい。

・らうす高校生議会において、視野を広げ、多くの部署への質問・提案となるようにしていきたい。

・創作料理プロジェクトの開発したメニューの名物化に向け、PR活動の充実に努めたい。

・運営指導委員会に、課題解決型のインターンシップの効果的な実践例についてご教示いただきたい。

7 参考資料

(1) 「らうす高校生議会の様子」(現代社会)

令和元年10月21日(月)第2学年が羅臼町議会議場におい

て、生徒が議員となり、町長や各担当者とこれからの町づく

りの方策を審議した。生徒にとっては、町政についての興味・

関心を持つきっかけとなった。さらに、議場で議論を交わし

たことで、これからは自分たちが主体となった町づくりを推

進するという意欲を高めることができた。また、地域の課題

解決に向けて、主体的・対話的に取組むことを通して、地域

の活性化及び人材の育成に貢献することができた。

(2) 「創作料理プロジェクト 名物化に向けた取組」

創作料理プロジェクトでは、過去にメニュー

開発したものを羅臼町教育委員会や羅臼漁業

協同組合の支援と協力をいただきながら商品

化した。地域に根ざした町おこし活動として、

「らうす大漁焼き」を羅臼の名物にしようと、

観光客や地域の方々へ販売している。

(3) 「インターンシップの様子」 令和元年6月19日(水)・20日(木)

第2学年が町内21の事業所において、インター

ンシップを実施した。地域の良さや地域での生活

を営むことの意義等について理解を深め、小中高

が連携して体系的なキャリア教育の充実を図って

いる。

北海道羅臼高等学校 令和元年度 広報情報委員会

広報情報委員 竹 守 一 馬

藤 野 一 輝

川 下 慈 博

先 田 直 裕

福 島 義 己

齊 藤 友 輝

研 究 紀 要 第46号・47号

発行年月日 令和2年3月31日

発行 北海道羅臼高等学校

〒086-1834

北海道目梨郡羅臼町礼文町9番地3

電話 0153-87-2481